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「ザ・パークハウス ステージ稲毛海岸ヴィラ」モデルハウス

 三菱地所レジデンスが来年1月に販売開始する戸建て「ザ・パークハウス ステージ稲毛海岸ヴィラ」を見学した。今回分譲する第1期工区は16区画で、販売棟数はモデルハウス2棟を除く14区画。価格は5,000万円台の後半からで、もっとも高いものでも7,000万円に届くかどうか。超割安と見た。

 現地は、三井不動産レジデンシャルと1960年代から開発を進めている一戸建て街区「美浜の杜シティ」と分譲マンション「ザ・ガーデンズ稲毛海岸」の最終章となる全157区画の「美浜の杜シティⅡ」内に位置しており、同社の販売区画は90区画。

 物件は、JR京葉線稲毛海岸駅から徒歩13~15分(JR稲毛駅、京成線京成稲毛駅のバス便あり)、千葉市美浜区稲毛海岸2丁目の第一種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する全90区画。第1期工区16区画の土地面積は115.04~125.04㎡、建物面積は101.72~111.99㎡、価格は未定だが、5,000万円台後半から6,000万円台の半ばになる模様。建物は2024年11月中旬に完成する予定。構造は木造枠組壁工法(2×4工法)2階建て、施工は三菱地所ホーム(人気商品の全館空調「エアロテック」は1~3工区は採用されていない)。管理組合を設け、月額2,000円で共用持ち分の広場の管理などを行う。

 主な基本性能・設備仕様は、「戸建てZEH」(Ua値0.6以下)、Low-E複層ガラス、1階リビング天井高2550ミリ、ハイブリッド給湯器「ECO ONE」、東ガスと共同のIGNIYUREソーラー、ガス衣類乾燥機「乾太くん」など。

 来場者の評価ポイントが高いのは、販売所長で同社販売一部販売グループ主幹・瀬戸太一氏によると、①3~4色のタイルを用いた外観や屋根形状などのデザインと街並み②木目調キッチン天井裏パネル③深型食洗機④タッチレス水栓⑤間口75センチの3つ口コンロ⑥1階の立水栓に加え2階のスロップシンク⑦玄関カウンター収納とシューズインクローゼットのダブル設置⑧浴室の取り外し可能な折り畳みカウンター⑨幅1.2mの洗面カウンターなど。

 5月から受け付けたエントリー数は464件、10月26日からのモデルハウス来場者は2週間で44件。来場者の過半は地元美浜区中心に千葉市内居住者。年代は30代から50代まで幅広く、二次取得希望者の割合は約半数(戸建て9%、マンション41%)。

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購入者が共同で所有・管理する「公開広場」

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今回の分譲対象工区

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キッチンの木目調パネル・深型食洗機(左)と2階スロップシンク

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着脱可能な浴室の折り畳みカウンター

◇        ◆     ◇

 価格が高いか安いかは検討者が考えることなので深入りしないが、マンションと比べればとても安い。仮に稲毛海岸駅前でマンションが分譲されれば坪単価は300万前後になるはずで、20坪で6,000万円だ。ここはスーパー「ヤオコー」と稲毛海岸公園に隣接しており、「サイゼリア」などの飲食店もあり、小・中学校も近い。駅からのアプローチも緑道(一部)を通っていける。住宅地としての環境は整っている。

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 取材に満足し、「サイゼリア」で昼食をとった。500mlの白ワインとチョリソーで税込み合計800円。記者の定番になっているビール2杯とイワシフライで税込み980円の「日高屋」より安かった(容器とグラスはガラスではなく味気ない樹脂製だったのにはがっかりしたが)。客層も全然違う。

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税込み800円の昼食

 それから、アプローチ道路とは別の市道を通って稲毛海岸駅まで歩いた。途中、街路樹など1本も植わっていなかった。〝これではマンションも戸建ても高い値段で売れるはずはない〟と納得もした。

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街路樹など1本もない市道

 ところが、駅に近い豊富な緑にあふれたURの団地で足が止まった。しばし見とれた。住み心地を聞こうと、「素晴らしい住宅ですね。こんな住宅に私も住みたい」と居住者らしき女性に声を掛けた。記者が聞きもしないのに、年齢が91歳で、毎日スクワットを30回行っており、家賃は7万円で(市に)申請をすれば5万円にも3万円にもなるとのことで、「(募集センターか管理事務所かに)案内しましょうか」と誘われた。

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URの団地

 丁重に断り、握手して別れようと手を差し出したら、その女性のむ方は、もち肌ではなく役割を終えたモミジのような小さい手を見せながら、「私の手は敏感でね(あなたのような汚いみだらな、何人もの女性をたぶらかし撫でまわした)、感染したくないのよ」とやんわり拒否された。

 仕方なく稲毛海岸駅に着き、電車に乗り乗り過ごし、自宅のある駅に着いたら、午後5時きっかりだった。いつもの「夕焼けチャイム」が鳴った。

♯おててつないで みなかえろ からすといっしょに かえりましょ♯

 好きな彼女と手を握れるのはあと何周か、しっかり握り返してくれるかばかり考えていたフォークダンスの体育の授業はもう60余年も昔だ。

 地所レジが勝つか、それより格が安くなりそうな三井レジが勝つかよくわからないが、今回の共同開発を会見場に見立てれば、同学年の三菱地所レジ・宮島社長と三井レジ・嘉村社長は笑顔で手を結びながら、クロスの陰では脛をけり合っている図式がぴったりだ-これも今日の取材の大きな収穫の一つだ。

三菱地所レジ全157区画「美浜の杜シティⅡ」内の90区画分譲へ(2024/10/21)

三井不レジ&三菱地所レジ初の戸建て〝共演〟全253区画の「稲毛海岸」分譲(2019/10/8)

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エントランス

 ハローウィンのこの日(10月31日)、わが国民を熱狂させた大谷翔平が所属する西海岸の王者ロサンゼルス・ドジャース(ナ・リーグ)と、本塁打王アーロン・ジャッジを擁する東海岸の王者ニューヨーク・ヤンキース(ア・リーグ)との48年ぶりの夢のワールドシリーズ第5戦があったのだが、試合がどうなろうと全く興味はなかった。唯一の関心事は、同業のF記者が絶賛した三井デザインテックの銀座オフィスが美しいかどうかを確認することだった。

 エントランスに入ってほとんど瞬時に心が踊り、取材を終えた30~40分後には感動で胸がふるえた。案内していただいた同社フェロー/エグゼクティブクリエイティブディレクター・見月伸一氏、広報担当の(記者がアンチ巨人&西武ファンを知ってか知らずか)巨人ファンというNさんと美大出身のOさん(二人でON、逆だとNO)に感謝申し上げる。

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①有楽町駅前のサクラの街路樹

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②板橋・浮間公園のメタセコイア(左)と③東銀座駅すぐのメタセコイア

  本題に入る前に写真①②③を見ていただきたい。①の写真は、JR有楽町駅前の東京交通会館前に植わっている街路樹だ。樹形からしてケヤキではないかと思ったのだが、よく見るとサクラだった。樹齢はわからないが、人間にしたら芳紀まさに十八か(サクラは雌雄同株だが)。千鳥ヶ淵や井の頭公園のような池のほとりではなく、何のストレスもないフラットなところで、強剪定などされていないからこのような美しい自然樹形を描いているのだろう。これこそが「フラクタル」現象だ。

 ②の写真は、戦後、米国から昭和天皇に献上されてから爆発的に全国に広がったメタセコイアで、板橋区・舟渡公園で撮影したものだ。樹高は30mにもなるはずだ(阿佐ヶ谷駅前の落葉したメタセコイアはビュッフェの絵画を見るようで最高に素晴らしい)。

 ③の写真は、東京メトロ東銀座駅を降りてすぐの同社本社ビルにも近い、公開空地に植えられているメタセコイアだ(本来、こんな狭い空間に植えるものではない)。虐待というべき強剪定がされていた。至るところからひこばえを茂らせ、必死に生きようとていた。

 千葉大学名誉教授・藤井英二郎氏は三鷹市で行われた講演会で「強剪定された街路樹をみて多くの人々は無意識でストレスを感じているんです。感じていながら気づいていない。これは不幸です…強剪定された街路樹は委縮した心と社会の表れです」と喝破した。

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 オフィス見学取材が決まったとき、ぜひとも聞こうと思っていたことが一つあった。丹下健三が「(建築物は)機能的なものが美しいのではない。美しいもののみが機能的だ」と専門書で書いていた。この言葉が頭の隅にこびりついており、マンションを見るときも街を歩くときも、美しいか醜いか機能的かそうでないかをずっと考えてきた。

 そこで次のような図表をつくった。丹下の言が正しいとすれば、右の図表になる。その逆だと左だし、機能性と美が重なり合うこともありうるとしたのが真ん中だ。

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 そして、お会いした方すべてに聞いてみた。ちょうど出合わせた同社取締役専務執行役員ライフスタイル事業本部長・玉留勇輝氏はためらいなく左を指さした。Oさんは「理想は真ん中」と答えた。Nさんは「多様性」などと回答を避けた。見月氏は当初明言しなかったが、記者とのやり取りの中で「私も丹下さんに近いかもしれない」と話した。

 新オフィスは、狭義の意味でデザイン性にこだわったのではなく、協創を生む機能性も重視したまさにユニバーサルデザインにしたということだ。建築家もデザイナーもそして我々も目指すべきなのは美と機能が重なり合う究極の「フラクタル」ではないか。

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 三井デザインテック新本社オフィス「CROSSOVER Lab」は2021年7月、「銀座6丁目-SQUARE」に移転したもので、1~3階の延べ床面積1,512坪(同社のプレス・リリースと記者の記事参照)。最先端のABW研究×クロスオーバーデザインをテーマに、社内外の組織の垣根を超えた「協創」を促し、Well-Beingな空間でイノベーションを誘発する新たな働き方の実現を目指している。

 ここでは、見月氏の説明と記者の感じたままの印象を紹介する。まず、エントランス。目に飛び込んできたのは天井まで届く両開きのナグリ仕上げのドアだった。同社は2016年、ロンドンで行われた著名なデザイナーやデザイン会社が結集したハイエンド向けホテル関連資材展示イベントで審査員特別賞を受賞したのだが、その時もこのナグリ仕上げを提案した。初めて挑戦するナグリを見事に仕上げた英国人の職人魂に、見月氏は「匠に国境はない」と感銘を受け、新オフィスのドアにも象徴的に取り入れたという。

 エントランス正面の壁がまた美しい。見月氏から説明を受けるまで分からなかったのだが、ビス、蝶番、塩ビパイプなどの建築資材をアートにしたものだった。1階の「CORDs(Crossover Design salon)」には和テイストが多用されていた。アクセント壁にはえもいわれぬ珊瑚珠色か紅柑子、藍染の一種である浅葱色が用いられていた。光の当たり具合で変化するグラデーションの演出も見事だ。

 2階の執務フロアはフリーアドレスで、ネイバーフッドエリアがたくさん設けられており、「協創」を促す仕掛けが随所に施されていた。カラーリングは暖色系が多用されており、これもリラックスできる空間に仕上げるよう計算されているに違いないと感じた。

 3階フロアは一変して「白」が基調だった。記者は小躍りした。美しいのはやはり白だ。見月氏に「私は女性がもっとも美しいと感じるのは白と黒」と話したら、見月氏も同じ考えのようで、目の前のNさんとOさんに視線を向けた。二人とも白と黒だった。3階にはこのほか、社外の顧客も招くことができるキッチン&バー、屋外テラスSORANIWA(空庭)も設置されている。

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屋外テラスSORANIWA(空庭)

 もう一つ気が付いたことがある。1階も2階も3階も内装仕上げはほとんどスクエアなのだが、3階の一角だけアール形状にした出入り口があった。これまた空間をシームレスにつなぐ計算がされていると思った。何の違和感も覚えなかった(最近の建築物はアールが流行のようで、三井不動産レジデンシャル「パークコート青山 ザ・タワー」や森ビル「麻布台ヒルズ」などマンションにもたくさん用いられている)。ただ、使い方を誤ると今風に言えばダサくなる。

 意外だったのは緑だ。フェイクグリーンは一つもなく、観葉植物はすべて本物だったのは予想した通りだったが、その数はそれほど多くなかった。過剰な緑はマイナスに働くことを考慮したのだろう。

 肝心な新オフィスの生産性の向上について。見月氏は「これは数値化が難しいが、号令をかけているわけではありませんが、出社率が高まったのは確か。コロナ禍で在宅・リモートが浸透した一方で、リアルな人のつながりが重要なことから、どこの企業も戻ってくるよう呼び掛けているが、なかなか難しいのが現状」と話した。

 これも同感だ。号令・命令でなく、出社したくなるような環境を企業は整えないといけない。三井不動産・植田俊社長も「行きたくなるような街づくりを進める」という趣旨の話をしていたのを思い出した。

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見月氏

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デザインウォール

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1階「CORDs(Crossover Design salon)」

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1階「CORDs(Crossover Design salon)」

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デジタルアート

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2階アート

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2階執務室エリア

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2F minä perhonen と協働した WEB BOOTH

PJエリアmdt_ginza_2f_040.jpg
2階PJエリア

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2階Quiet standing

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 同社は昨年8月、芥川賞作家の小川洋子さんを本社に招き、小川さんの作品「ことり」(朝日新聞出版)の朗読会を行ったと聞いた。会場は前述した「CORDs」で、見月氏があいさつし、Nさんがナビゲーターを務め、小川さんが朗読したのだという。

 小川さんが芥川賞を受賞したのは1991年で、作品は「妊娠カレンダー」(文藝春秋)だ。Nさんにも小川さんにも申し訳ないが、記者はその翌年、丸山健二「千日の瑠璃」(1992年、文藝春秋)に出会ってから、他の小説をほとんど読まなくなった。丸山文学に触れると〝中毒〟になる。ほかの小説を読むのはばかばかしくなる。

 女性作家で名が浮かぶのは、大好きな宮尾登美子(「櫂」もいいが「岩伍覚え書」が最高にいい)と、記者と同世代の小池真理子(本人が両性具有と言っているように男性の性愛が描ける稀有な作家)だ。よく読んだのは野上弥生子、宮本百合子、佐多稲子、金子みすゞ、林京子、杉本苑子、津村節子、角田光代、高樹のぶ子、高村薫、桐野夏生、笙野頼子(記者の高校の同窓生)あたりまでだ(1982年、59歳のとき自死した江夏美好の「下々の女」、吉永小百合さんが主人公になった中里恒子の「時雨の記」はとてもいい)。小川さん(62)のような若い方(受賞時29歳)の作品は生理的に受け付けなくなっている。例外は最近では西加奈子さんくらいか。男性作家も同じだ。

 先の朗読会は定員25名に対し200名の応募があったため、同社は落選した人も視聴できるようYouTubeにアップした。

 そのURLを送ってもらったので視聴し、「ことり」を図書館で借りた。400字にして487枚。ストーリ-は、兄を、母を、父を相次いで亡くして独り暮らしになったおじさん(50代半ばか)が「ことり」(メジロ)の世話をするようになり、やがて自らも「ことり」に看取られながら人生の幕を閉じるという、ごくありふれた家庭の日常を描いたものだ。

 パラパラとページを繰っていたら、「(おじさんに)即座に老人は言った。『鈴虫は女性の皮脂を好むのでね。特に処女の脂を』」(166ページ)というくだりに出会った-朗読会のURLを視聴して、小川さんは冗談が通じない方だと思ったが、全然そうでないことが分かった。(小生は、モンゴルの馬乳酒を「処女の聖酒」と名付けた。「百年の孤独」の100倍は売れるはず)

 この小説の主人公のほかに大きな役割を果たしているメジロだが、今は法律で捕獲も飼育も禁止されているが、記者の小さい頃はそんな法律はなかったので、面白いように獲れた。モチノキの樹皮をすりつぶして捕獲した。飼育も楽で、すぐ人に慣れた(スズメは鳥かごに入れると暴れ、竹ヒゴに体当たりしてほとんど〝自死〟した)。

 実は、「千日の瑠璃」も障がい者の少年与一とオオルリの出会いから物語が始まる。小川さんと丸山さんに共通するのは〝人間に対する愛〟だ。小川さんの36作品が35か国で読まれていることなど全然知らなかったが、多分、すべての作品に「愛」が貫かれているからだろうと思う。(丸山文学はその逆に、外国語に訳されたものはほとんどないはずだ。理由はいろいろあるのだろうが、記者は、丸山文学は結構難解ですらすら読めるものではなく、短い文章に込められた意味は深く、それを他国語に翻訳するのはほとんど不可だと思っている)

 同社オフィスのライブラリーには、小川さんが選本した「未来に残したい文学作品10選」も展示されている。V.E.フランクル「夜と霧」、武田百合子「富士日記」、川端康成「掌の小説」、清少納言「枕草子」、テネシー・ウィリアムズ「ガラスの動物園」、内田百閒「件」、フィリパ・ピアス「トムは真夜中の庭で」、谷崎潤一郎「春琴抄」、ジョン・スタインベック「怒りの葡萄」、宮沢賢治「銀河鉄道の夜」だ。

 記者は、「夜と霧」もいいが、若い方にはクロード・モルガン「人間のしるし」、トマス・キニーリー「シンドラーズ・リスト」、大岡昇平「レイテ戦記」・「俘虜記」も是非読んでいただきたい。それと丸山健二。

三井デザインテック、本社オフィスのライブラリーで小説家 小川洋子氏が選本した「未来に残したい文学作品 10 選」を展示

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ナグリ仕上げのドア

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デザインウォール

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デザインウオール

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 取材後、記者の野球記事やこだわり記事も話題になり、双方で年間数十万件のアクセスがあり、こだわり記事でアクセス数が1万件を超える記事も少なくないと話した。検索が可能な2013年以降の「こだわり記事」で「三井デザインテック」「三井倶楽部」に触れた記事へのアクセス数で1万件超は2件ヒットした。約1万3,000件の「三田ガーデンヒルズ」と約1万件の「パークマンション三田綱町」だ。「コンドルが設計した『綱町三井倶楽部』」「横浜MIDベース タワー」などの記事へのアクセス数も数千件ある。

 今回の銀座オフィスの記事は、見月氏から「1万件を超えますかね」と聞かれたが、残念ながらそれは期待できない。「こだわり記事」を読まれる方大半はマンション記事を期待されているのだろう。他は極端に少なくなる。今回は1,000件届くかどうかではないか。

 しかし、記者はアクセス数を稼ごうなどとは全然思っていない。〝記事はラブレター〟-この記事を参考にして働きやすいオフィス環境を整える会社が1社でもあればうれしいし、デザイン会社に就職しようと考えている学生さんはぜひ三井デザインテックを加えていただきたい。オフィス内をメディアや一般に公開した住宅・不動産会社を記者は三菱地所、三菱地所ホーム、積水ハウス、旭化成ホームズくらいしか知らない。

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ナグリ仕上げの両開きドア

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1階「CORDs(Crossover Design salon)」

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ニコライ・バーグマン氏の作品(1階)

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雑草に見るフラクタル現象(東銀座で)

三井デザインテック新本社『CROSSOVER Lab』開設(2021/7/15)

第一園芸独自に考案したオフィス空間デザイン三井デザインテック新本社に採用(2021/8/11)

「ビニール(フェイク)はよくない」フラワーアーティスト ニコライ・バーグマン氏(2023/12/6)

坪1300万円でどうか旧逓信省庁舎跡地の三井&三菱「三田ガーデンヒルズ」(2022/4/30)

今日は丸山健二「千日の瑠璃《究極版》」(求龍堂)の主人公・少年世一の命日(2020/6/18)

もう一つのターナーを見た三井デザインテック綱町三井倶楽部でセミナー&懇親会(2019/11/20)

横浜市内最高単価520万円に納得三井不レジ「パークコート山下公園」が好調(2017/12/22)

ターナー発見椿姫乾杯の歌に「ブラヴォー」三井デザインテックセミナー・懇親会(2017/12/4)

わが意を得たり人工植物は販売促進に逆効果三井デザインテック調査研究(2017/9/25)

今度は横浜のど真ん中人気必至の横浜公社「横浜MIDベースタワー」(2016/1/28)

コンドルが設計した「綱町三井倶楽部」を観た三井デザインテックがセミナー(2015/10/22)

「麻布霞町」を超えるか 三井不レジ「パークマンション三田綱町ザ フォレスト」(2014/7/4)

 国土交通省は10月31日、令和6年9月の新設住宅着工統計をまとめ発表。総戸数は68,548戸(前年同月比0.6%減、5か月連続の減少)で、内訳は持家19,350戸(同0.9%減、34か月連続の減少)、貸家31,033戸(同4.4%増、先月の減少から再びの増加)、分譲住宅17,921戸(同7.0%減、5か月連続の減少)。分譲住宅の内訳はマンション7,651戸(同6.1%減、2か月連続の減少)、一戸建住宅10,110戸(同8.2%減、23か月連続の減少)。

 首都圏の総戸数は前年同月比11.5%増で、持家(同0.9%増)、貸家(同20.8%増)、分譲住宅(同6.0%増)とも増加した。

 首都圏マンションは、着工戸数3,657戸(前年同月比24.1%増)で、都県別は東京都1,602戸(同13.3%増)、神奈川県1,416戸(同82.0%増)、埼玉県291戸(同38.9%減)、千葉県348戸(同24.7%増)。1~9月は38,764戸(同3.1%増)で、都県別は東京都19,853戸(同0.3%減)、神奈川県11,325戸(同9.1%増)、埼玉県3,904戸(同4.8%増)、千葉県3,682戸(同2.4%増)。

 

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左から北川氏、保坂氏、藤岡氏、橋本氏、大谷氏

 アパートメントホテル事業を展開するコスモスホテルマネジメント、霞ヶ関キャピタル、セクションL、リクリエ、NSKRE(日鉄興和不動産)ホスピタリティの5社は10月29日、業界動向セミナーを開催し、既存ホテルが取りこぼしている海外からの中長期滞在利用に対応し、爆発的に拡大することが見込まれるインバウンド需要に応えていくとそれぞれ怪気炎を上げた。セミナーには、専門紙記者や同業関係者、投資家(企業)など約40名が参加した。

 プレゼンテーションを行ったのは、客室数1,434室(2024年9月現在、以下同じ)のコスモスホテルマネジメント代表取締役社長・藤岡英樹氏、726室の霞ヶ関キャピタルHospitality and Culture Division Vice President・保坂賢太郎氏、224室のセクションL共同創業者/取締役・北川旭洋氏、269室のリクリエ取締役・橋本将崇氏、145室のNSKREホスピタリティ社長執行役員・大谷宗徳氏。それぞれ約10分間、各社の事業規模、特徴などについて語った。

◇        ◆     ◇

 記者は「アパートメントホテル」が新しいホテルカテゴリーとして認知されるかどうかわからないが、選択肢が増えるのは結構なことだ。ラグジュアリーホテル、シティホテル、宿泊特化型、ビジネスホテル…などと峻別する定義はないはずだが、ラグジュアリーもシティホテルも宿泊特化型も多様なニーズを取り込むプランを最近は備えている。

 もう一つ、注目しているのは三菱地所が外資と組んで展開しているフレキシブル賃貸住宅だ。定義は、月ぎめ家具付き賃貸住宅で、オンラインでの契約・契約期間の変更、申し込みから入居まで数日間、家具・家電・水道光熱費込みのオールインクルーシブル、24時間365日のトラブル対応、多言語によるサポートなどが特徴だ。業態としてはアパートメントホテルとそれほど変わらない。違いを強いてあげれば、宿泊・契約日数だろうが、フレキシブル住宅も契約日数を短縮することは容易なはずだ。三菱地所などは現在、1,000室規模の市場を2030年には約10倍の10,000室に拡大するとしている。

 この他、外国人向けサービスアパートメント、シェアハウス、民泊、外国人留学生向け宿舎、サ高住などもあり、大混戦を展開するかもしれない。

◇        ◆     ◇

 新型コロナが世界に蔓延し、わが国の2020年の訪日外客数は約412万人、2021年は約25万人、2022年は約383万人へ激減し、昭和の一桁時代に逆戻りした。コロナが猖獗を極めた2020年5月、アパホテルは「アパ直限定素泊まり2,500円プラン」キャンペーンを張り、業界のひんしゅくを買った。ホテルの身売り・倒産も相次いだ。コスモスイニシアがアパートメントホテル「MIMARUを立ち上げたときからずっと取材してきた小生は、藤岡氏がかわいそうで、会っても顔をそらし知らんぷりしたものだ。

 あれから3~4年。不死鳥のようにホテル業界は復活した。どれほどすごいか、藤岡氏か示したデータを示そう。

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 アパートメントホテルに限らないが、「MIMARU」客室単価は、2019年比2.0倍の47,836円で、STRの1.4倍をはるかに上回っている。

 コスモスイニシアの2025年3月期第一四半期決算の宿泊事業は売上高72億35百万円(前年同期比85.6%増)、セグメント利益23億32百万円(前年同期比179.1%増)を計上した。主力のレジデンシャル事業の売上高84億92百万円(前年同期比58.1%増)、セグメント利益2億79百万円(前年同期はセグメント損失4億45百万円)を利益面で上回り、全セグメント利益26億70百万円の大半を稼ぎ出している。

 他社がオペレーションの効率化に力を入れているのに対し、同社が運営している27施設で働くスタッフは148人で、藤岡氏は「フレンドリーな顧客対応に力を入れている。リピーターが多いことに、その効果が表れている」と差別化を強調した。

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藤岡氏

 霞ヶ関キャピタル・保坂氏は「一般的なホテルは稼働率が40%以上でないと黒字化は難しいが、当社ブランドは徹底した省人化オペレーションによって20%でも黒字になる。運営客室数は2026年には2,000室に拡大する。アパートメントホテルは、アパ(約11万室)の3倍、約30万室の需要がある」と語った。

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保坂氏

 セクションL・北川氏は「当社は不動産、ホスピタリティ、テクノロジーを兼ね合わせているのが特徴で、GOP(営業利益)率は業界最高水準の60~70%。今後はゲスト同士が交流できる施設に力を入れていく」と話した。

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北川氏

 リクリエ・橋本氏は「当社は国内向けに力を入れてきた。オンラインで対応できるものは福岡オフィスで対応し、チェックインの内製化、テック、生成AIの活用を進めていく。リノベ企画も検討していく」と語った。

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橋本氏

 NSKREホスピタリティ・大谷氏は、前職が東急不動産だったことを明かし、「すでに11施設の用地を手当て済みで、5年後には1,000室体制、将来的には2,000室を目指す」と抱負を述べた。(大谷氏の話を聞きながら、どこかで聞いた声だと思っていたが、東急不動産の記念碑的マンション「ブランズタワー豊洲」の記者発表会で当時、東急不動産執行役員住宅事業ユニット首都圏住宅事業本部本部長として「即日完売を目指す」と語った方で、RBA野球大会にも出場したことがあるとか=記憶にないので選手としては活躍していないのではないか)

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大谷氏

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アパートメントホテル業界動向セミナー(新橋プレイス 4階 AP新橋Eルームで)

フレキシブル住宅市場現在3~4%⇒2030年には15%へ三菱地所イベント(2024/10/4)

「参入は歓迎。市場が育つ」MIMARU・藤岡社長アパートメントホテル勉強会(2023/3/9)

外国人に人気のホテルTOP20にコスモスイニシア「MIMARU」3施設(2019/8/9)

東急不ほか 全1,152戸の「豊洲」事業説明会に40名超の報道陣 〝愛〟に反応(2019/2/18)

高評価に驚愕コスモスイニシア7件目「MIMARU京都新町三条」に体験宿泊(2018/10/17)

〝骨太ニッチ〟アパートメントホテルで独走コスモスイニシア第一弾「上野」開業(2018/2/2)

 

 

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「リーフィアレジデンス調布小島町」

 小田急不動産が分譲中のマンション「リーフィアレジデンス調布小島町」を見学した。駅から徒歩5分と近いにも関わらず、商業エリアから一歩入った住居系エリアで、ZEH-M Oriented認定、専有面積平均75㎡超、内廊下方式、「ONEX」(離れ)付きなど商品企画が秀逸。デザインも美しい。坪単価予想(というよりは願望)は外したが、とてもいいマンションだ。

 物件は、京王線調布駅から徒歩5分、調布市小島町二丁目の第一種住居地域(建ぺい率70%、容積率200%)に位置する敷地面積約1,951㎡、地上7階建て全50戸。専有面積は26.10~128.80㎡(6~7階住戸5戸は別に5.40~6.06㎡のONEX付き)、現在先着順で分譲中の住戸(6戸)の価格は8,278万円~14,008万円(専有面積66.69~81.51㎡)。坪単価は500万円弱。建物は2024年6月竣工済。設計デザイン監修は西山建築デザイン事務所(西山広朗氏)、実施設計・施工は風越建設。

 現地は、駅から遊歩道・大規模商業施設を抜けた住居系エリア(車道はあるが信号機はなし)。従前敷地は社宅。敷地西側は道路を隔てて第一種低層住居専用地域。建物は三方道路に接道。ZEH-M Oriented認定、内廊下方式を採用。住戸は東向きと西向きがほぼ半々。その他の主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ(一部除く)、御影石キッチン天板・洗面カウンター天板、食洗機、サッシ高2300ミリ、Low-E複合ガラス、6~7階の5住戸は食器棚標準仕様・5.40~6.06㎡のONEX(離れ)付き、物干しポール、全戸玄関宅配BOX・トランクルーム付きなど。

 3月上旬からエントリーを受け付けており、これまでの反響数は約2,100件、7月下旬からのモデルルーム来場者は約280件。10月19日に供給した1期30戸のうち26戸が申し込み済み。申込者の約半数は地元居住者。ほかは世田谷区など中広域にわたっているが、隣接市の府中市は少ないという。

 同社住宅事業本部住宅販売部マンション販売グループリーダー・清水徹氏は「用地を取得した段階から〝この価格で売れるのか〟という社内の声もあったが、ピン立地でここしかない条件を生かすよう6~7階をプレミアム住戸として仕様レベルを上げ100㎡超の専有部に『離れ』付きとし、物件全体で75㎡超の専有面積を確保し、1階の1住戸は専用利用権付き平置き駐車場とするなどプランニングには力を入れました。このような点がお客さまにご評価いただいています」と語った。

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エントランス

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モデルルーム

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ドアノブも本物の木

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写真左のゲートがあるのが専用カーポート付きの住戸、写真右は屋内から専用駐車場を写す

◇        ◆     ◇

 調布市(布田駅)は、50年近く前に結婚して住んだ街だ。今はマンションなどがたくさん建っているが、当時は、畑などがかなり残っていた。住むならここだと思っていたが、バブルが発生し、駅近マンションは坪500万円を突破して、あきらめざるを得なかった。

 今回のマンションは、2012年に京王線柴崎駅〜西調布駅、相模原線調布駅〜京王多摩川駅が地下化され、遊歩道などが整備されたことにより、住宅地として注目されるようになった、住宅地としては調布の一等地だと思う。

 物件特性は上段で紹介したので省くが、御影石、タイルを多用し水平・垂直ライン、分節を強調したデザインがとにかく美しい。監修した西山広朗氏の名前はどこかで聞いたような気がしたので、「RBAこだわり記事」で検索した。3件がヒットした。一つは同社の「「リーフィアレジデンス上原」で、あとの2つはいずれもモリモトの「浜田山」と「目黒」のマンションだった。近くには大規模商業施設だけでなく市役所、図書館、病院、文化会館などの公共施設も揃っている。

 現地を今春に見た段階で、坪単価は400万円台の後半どころか、500万円超ではないかと予想した(というより、500万円を突破している城北の北千住、大山などには絶対負けてほしくないという願望)。若干外したが、それでも予想は間違っていないと思う。

 京王線はバブルがはじけてからこの40年近く、他の沿線と比較して割負けしているとずっと書いてきた。街のポテンシャルは負けていないはずなのに、小田急線より2~3割、あるいはそれ以上安い。

 例えば、坪単価は730万円くらいで瞬く間に売れた三井不動産レジデンシャル「パークホームズ代々木西原」(69戸)。物件名にそうなっているように、小田急線(千代田線)代々木上原駅から徒歩9分の渋谷区西原に位置しているのだが(「代々木西原」の地名はない)、最寄り駅は京王新線幡ヶ谷駅で徒歩5分だ。しかも、代々木上原駅からだと坂がきついが、幡ヶ谷駅からだとフラットで緑道も利用できる。物件名を「代々木西原」でなく「幡ヶ谷」にしたら、この単価をつけられるかどうかは記者も自信がないが…。

 「調布」とほぼ同じ、小田急線新宿駅から15分圏内の大和ハウス工業「プレミスト世田谷梅丘」(29戸)は、各駅停車の梅ヶ丘駅から徒歩9分だが、坪単価は630万円だ。こちらもわざわざ「世田谷」をつけている。

 もう一つ。わが国初の全棟「ZEH-M」と全住戸「ZEH」マンション大京「ザ・ライオンズ世田谷八幡山」。各駅停車の京王線八幡山駅から徒歩3分の第一種低層住居専用地域立地で、坪単価は540万円台。やはり物件名に「世田谷」がついている。

 駅名の看板が外されたり、余計なものがつけられたりする。「調布」も「八幡山」も梅ヶ丘駅とほとんど同じ距離圏なのに坪単価は100万円以上安い。どうしてこのような屈辱的な扱いを受けるのか、京王電鉄も自治体も考えないといけない。

 だが、しかし、京王線は笹塚駅~仙川駅間約7.2kmの区間を高架化し、25か所の踏切を除却し、代田橋・明大前・下高井戸・桜上水・上北沢・芦花公園・千歳烏山は高架駅となる工事を進めている。いつ全体が完成するかわからないが、利便性は飛躍的に高まるはずだ。

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隣接の遊歩道から写す

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現地

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エントランス

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外観(水平、垂直、分節デザインが美しい)

わが国初の全棟「ZEH-M」全戸「ZEH」駅徒歩3分の1低層大京「八幡山」(2024/10/4)

代々木上原の1低層デザイン性高く借景見事小田急不・大和ハ・地所レジ「上原」(2022/3/11)

大激戦の「調布」割安単価で他社を圧倒三井不レジ名士の屋敷跡地は坪340万円(2011/5/11)

曰く言い難し三条実美の邸宅跡地価格はいくらかモリモト「ディアナコート目黒」(2018/3/2)

これを見よ比肩するマンションなしモリモト「浜田山」82016/3/2)


 

 

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なりわい賃貸住宅「meedo(みいど)」

小田急バスとブルースタジオは1026日、全13戸と店舗営業も可能なシェア店舗を備えた、なりわい賃貸住宅「meedo(みいど)」の上棟イベントに合わせて現地見学会・説明会を開催した。小田急バスが保有するバスターミナルに、ブルースタジオが企画・設計監理を行うプロジェクトで、2022年のグッドデザイン賞ベスト100を受賞した「hocco(ホッコ)」に続く第2弾。来春に開業する予定。

建設するのは、延床面積47.20~64.59㎡の店舗可の「あきない住居タイプ」3戸、50.2053.80㎡の店舗可の「なりわい居住タイプ」4戸、延床面積50.2059.20㎡の店舗不可の「なりわい住居タイプ」3戸、延床面積67.9072.04㎡の「住居専用タイプ」3戸の合計13戸と、居住者だけでなく地域の飲食店営業も可能な23.45㎡のシェア店舗。すべての住居はUa0.46の国際基準レベルの高性能で、4.325.25㎡の多目的に利用できる土間がついている。

地域レジリエンス機能として、施設のシンボルとなる井戸(深井戸)、ハイブリッド照明、かまどベンチ、マンホールトイレ、充電設備、防災ベンダーを整備する。

meedo(みいど)」は、施設のコンセプトである〝水と人々の営み〟のシンボルである井戸を掘り、計画地の周辺は「絵堂(えどう)」集落であったことから歴史を継承するために名付けられた。

説明会でブルースタジオ専務取締役/クリエイティブディレクター・大島義彦氏は、「三鷹駅からバスで30分近くかかるバスターミナルの住宅地。遠いところだからこそ、生活の延長として自分を表現できるよう企画した。3年前に完成した『hocco(ホッコ)』では毎月のようにイベントを行い賑わっているように実績もある。究極の専門店になる」と語った。

物件は、JR中央線三鷹駅南口から「晃華学園東」行き小田急バス28分「晃華学園東」バス停隣接、または京王線つつじヶ丘駅北口から「深大寺」行き京王バス7分「晃華学園」バス停徒歩数分、調布市深大寺東町2丁目の第一種低層住居専用地域、第一・二種中高層住居専用地域に位置する敷地面積約1,774㎡、建物は木造2階建て延床面積約299㎡のA棟(住居5戸・店舗1軒)、延床面積約498㎡のB棟(住居8戸)。工期は令和65月~令和73月。事業主・貸主は小田急バス、建築設計監理はブルースタジオ、施工はジェクト。

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左から小田急バス取締役不動産ソリューション部長・下村友明氏、同社取締役社長・早川弘之氏、大島氏

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模型

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なりわい賃貸住宅「meedo(みいど)」

        ◆     ◇

 大島氏は、〝ターミナル〟〝終点〟〝終着点〟を何度も口にした。この言葉から受ける印象は、♭落ち葉の舞い散る停車場は悲しい女の吹き溜まり だから今日もひとり 明日もひとり…過去から逃げてくる♭奥村チヨさんの歌謡曲だろうし、記者は、同世代の破天荒な生き方をした大好きな作家の一人、白川道の「終着駅」を思い出しながら複雑な気持ちで話を聞いていた。

しかし、終点は始発点でもある。身振り手振りの大島氏の熱弁に、この「meedo(みいど)」は人生をリセットし、新たなスタートを切るターニングポイントになるのではないかと考えるに至った。「究極の専門店」とは言いえて妙だ。肩肘を張らず、自分らしい生き方ができる。13の物語を奏でるのではないか。

Ua0.46の賃貸住宅など市内は言うまでもなく小田急線、京王線のバス路線を駆け巡ってもここしかないはずだ。井戸は、50m掘削してくみ上げるもので、大腸菌などは検出されなかったという。飲料水として利用するにはハードルは高そうだが、国分寺崖線の湧き水だろうから冷暖房としての役割を果たすのではないか。

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大島氏

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隣接地の生産緑地では柿がたわわに実っていた

2024年グッドデザイン賞 不動産各社が受賞 ブルースタジオ・はちくりはうす金賞(2024/10/16

地域の歴史・文化を継承し、コミュニティ育む ブルースタジオ 練馬区「種音(たね)」(2024/5/12

裏山の借景活かし 断熱等級6クリア ブルースタジオ 賃貸住宅「SUNKA(サンカ)」(2023/12/26

爛漫の春満喫 「hocco(ホッコ)」イベントに1000名超 小田急バス×ブルースタジオ(20224/2

ブルースタジオ 小田急電鉄の社宅再生リノベ「ホシノタニ団地」完成(2015/6/26

ブルースタジオ 木のぬくもりが伝わる「青豆ハウス」完成(2014/3/10

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「リーフシティ市川 ザ・タワー」

 三井不動産レジデンシャル、野村不動産、三菱地所レジデンスは10月25日、京葉ガスが進める複合開発「リーフシティ市川」内で建設中の期間70年の定期借地権付き免震マンション「リーフシティ市川 ザ・タワー」674戸の第一期販売を11月2日に開始すると発表した。これまで約2,500組超の反響と500組超のモデルルーム来場者がある。

 「リーフシティ市川」は、約3.7haの京葉ガス市川工場跡地計画のエリア愛称で、分譲マンションのほか共同住宅(賃貸)、シニア住宅、保育施設、地域貢献施設、レストルーム、中央広場、運動場などが計画されている。店舗(コンビニ)は2023年12月に開業済み。

 マンションには、京葉ガス供給エリアでは初採用となる「カーボンオフセット都市ガス」のほか、「ZEH-M Oriented」の取得、「再生可能エネルギー一括受電」などを採用する。

 物件は、総武本線市川駅から徒歩7分、市川市市川南2丁目の工業地域に位置する敷地面積約12,200㎡、29階建て全674戸。第1期専有面積は42.70~129.90㎡、予定価格は3,800万円台~19,600万円台(最多価格帯7,700万円台)。竣工予定は2026年12月下旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。

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◇        ◆     ◇

 記者は、千葉県内の好きな住宅地としては、計画的に整備された京葉線沿線以外では総武線の市川と習志野を真っ先にあげる。緑が多いからだ。現地はおおよその見当はつくが、見ていないのでなんとも評価できない。工業地域というのが気がかりではあるが、規模が約3.7haというから住環境は整備されるのだろう。

 肝心の坪単価はわからないが、最多価格帯の専有面積を70~73㎡だと仮定すると、350万円前後になるはずだ。船橋駅南口の「西武船橋店」跡地の再開発マンションは坪単価500万円とも聞いているので、市川駅から徒歩7分の定借で坪350万前後というのは納得だ。

 さて、これが売れるかどうか。千葉県居住者は都内に近い市川で7,700万円台(70~73㎡として)は魅力だろうが、都内居住者は江戸川を超えるのは抵抗感を感じるかもしれない。総武線沿線ではいま「駅近」の再開発マンションが猛烈な勢いで供給されているからだ。ここ数年間の総武線(都内)で分譲された再開発物件と、今後分譲される予定の主な物件を紹介する。

・野村不動産他「プラウドタワー小岩ファースト」(233戸)2022年竣工
・住友不動産「シティテラス新小岩」(268戸)2022年竣工
・野村不動産「プラウドタワー亀戸クロス」(934戸)2022年竣工
・野村不・阪急阪神不「プラウドタワー平井」(374戸)2024年11月竣工予定
・野村不動産他「プラウドタワー小岩フロント」(367戸)2025年11月竣工予定
・三井不レジ他「パークシティ小岩ザ・タワー」(731戸)2027年1月竣工予定
・日鉄興和不他「南小岩七丁目駅前地区」(約1,000戸)2029年度竣工予定
・三井不レジ他「「新小岩駅南口地区」(543戸)2032年竣工予定

 以上、8物件でトータルすると4,450戸(販売対象外住戸含む)だ。このほかの物件も供給されているので、その数は数千戸に上るとみられる。

 価格上昇も著しく、「プラウドタワー平井」までは坪400万円以下だったのが、「パークシティ小岩ザ・タワー」も「プラウドタワー小岩フロント」も坪400万円をはるかに突破している。20坪で8,000万円台の半ばか後半だ。(駅から距離のある物件は坪300万円以下もあるようだが)

 ただ、この単価でも、他の沿線、例えば北千住、赤羽、大山などの城北エリアは坪500万円を突破しているので、これらと比較すれば割安感がある。

 面白いのはこの3社の組み合わせだ。三井レジと野村不は総武線(都内側)で大激戦を展開しているのに、江戸川を渡ったら手を組むとは…経営者は何を考えているのかさっぱりわからない。三井レジ・嘉村社長、野村不・松尾社長、三菱地所レジ・宮島社長はほんの数か月しか違わない同じ1960年生まれの同学年だ。呉越同舟と言ったら怒られるか。

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「リーフシティ市川」

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中央広場

 

 

坪単価399万円圧倒的な割安感あり野村不・阪急阪神不「平井」最終分譲へ(2024/2/10)

総武線(亀戸~小岩)の開発に拍車再開発中心に5000戸超「亀戸」の上値圧力も(2021/9/1)

 

 約40年にもわたる積年の不審・疑問がこの日2024年10月25日、きれいさっぱり払しょくされた。こんなうれしいことはない。疑問とは、不動産流通推進センターに対する記者の考え方で、それが完全な思い違い、偏見であることが取材で分かったからだ。

 取材とは、この日実現した「物流施設が嫌悪施設になっている」(資料参照)ことに関する取材だ。同センター教育事業部統括参事・金子雅生氏と同センター教育事業部専門次官兼開発課長・櫻井弘久氏は、物流施設を「嫌悪施設」と決めつける意図は全くなく、不動産取引を円滑に進めるためには、重要な事項の不告知、不実告知を定めた宅建業法第47条第1号ニの「宅地若しくは建物の所在、規模、形質、現在若しくは将来の利用の制限、環境…宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの」については、事前に調査し、相手方に説明し、了解を得ることが必要と話した。

 それともう一つ、同センターの前呼称「不動産近代化センター」を現在の「不動産流通推進センター」に変更した経緯を聞き(これは書かない)、記者が40年間にわたって抱き続けてきた不信感・疑問も雲散霧消した。

 そればかりか、お二人は宅建士の最高位に位置付けられている「宅建マイスター」(現在約670人)事業を担当されており、今後「宅建マイスター」を取材するきっかけを与えてもらった。以前、「宅建マイスター」試験に挑戦したことがあるが、全然歯が立たなかった。「宅建マイスター」の頭脳がどうなっているのかとても興味がある。

◇        ◆     ◇

 取材をお願いしたのは、今から6年前の2018年5月、当時の三井不動産常務執行役員ロジスティクス本部長・三木孝行氏(現、顧問)は大勢の記者団の前で「もはや物流施設は嫌悪施設ではない」と語った言葉が頭の中にこびりついているのと、現在、シンガポールに本拠を置く日本法人「日本GLP」が計画している昭島市の「昭和の森ゴルフコース」など約65haを含む81.5haにも及ぶ物流拠点「玉川上水南側地区地区計画」(素案)の行方が気になっているからだ。

 この点については上段で書いた通り。考えないといけないのは物流業界だ。具体的な事実に基づき「物流施設は嫌悪施設ではない」ことを地域住民らに説明・証明する必要があるのではないか。施設で働く人はみんなエッセンシャル・ワーカーだ。

(添付資料)物流施設が嫌悪施設になっていることに関する取材のお願い 

 貴センターのホームページ「不動産相談」(掲載日:2016年2月、重要事項説明における「嫌悪施設」の調査範囲)では、「通常『嫌悪施設』と言われるものには、騒音や振動の発生、煤煙や臭気(悪臭)の恐れ、危険を感じさせる、心理的に忌避されるものなどがあるが、嫌悪施設の明確な定義はないと言わざるを得ない。嫌悪を感じるかどうかは個々人により判断が異なり、また、時代背景や技術の進歩により嫌悪感が薄れることもあり、一概に言えない。宅建業者はそれらを踏まえ、説明すべきかどうかの判断をせざるを得ない」としながら、<住宅地近辺における主な嫌悪施設>として、「騒音や振動の発生」生じさせる施設として「大型車両出入りの物流施設」を例示されています。

 私も、物流施設は小規模なものを除き、建設が許可されるのは工業系用途地域のみなので「嫌悪施設」と理解していましたが、添付いたしました記事の通り、「物流施設はもはや嫌悪施設ではない」と語り、街づくり、地域共生に力を入れている事業者がいます。

 そこで、「物流施設」を嫌悪施設から除外することはないか、除外するには何が必要かなどを取材形式でお聞きしたいと思います。

売上高、営業利益、営業利益率とも拡大・向上大和ハウス事業施設(物流)事業(2024/10/12)

◇        ◆     ◇

 「不動産近代化センター」の呼称変更については2014年と2015年に書いた記事を添付する。次のように書いている。

 「この呼称についてはもう30年も前から変更すべきという記事を書いてきたし、直接訪ねて呼称変更を〝お願い〟したことがある。(この日10月25日、2~3人の方に対応していただいたが、けんもほろろだったのを思い出した)

 なぜか。当時、記者はデベロッパーを取材していたのだが、不動産業界に『近代化』なる言葉が付けられた公益法人があるのに驚いた。『近代化』なる言葉は歴史の教科書に出てくる『戦前』のことだ。『もはや戦後ではない』と経済白書が謳ったのは昭和31年だ。どうして昭和の50年代にもなって『近代化』をわざわざつけなければならないのか不思議に思った。 

 確かに『全国宅地建物取引業協会連合会』(全宅連)という会員数が約11万(当時約14万)を擁す、主に街の不動産会社などからなる業界団体があり、『前近代的』と思われる部分も少なくなかった。

 しかし、それでも大手デベロッパーや大手流通会社は良好な街づくりや住宅供給を行っており、他の業種を含めトップランナーだと記者は思っていた。『近代化』などと言われると、自分自身が時代遅れの俗物と言われているような気がした。

 そこで『近代化』が付された団体があるかどうか調べた。今でこそネットで検索できるが、当時は電話帳やらその他の刊行物を調べ、『近代化』が付いている団体は不動産流通近代化センターのほかには、昭和44年に設立された財団法人東京タクシー近代化センターしかないことを突き止めた。東京タクシー近代化センターは平成14年に『東京タクシーセンター』に呼称変更されているので、現在、『近代化』のついている団体は不動産流通近代化センターしかないはずだ。」

◇      ◆     ◇

 以上の記事で書いているように、30年昔(当時)といえば、記者が業界紙の記者として働きだしてから数年経過したころだ。全宅連系の会社が主な事業とする賃貸管理業は、時代遅れの「礼金」なる商習慣にかじりつき、墨守していた(今でもそうだろう)。今は、外国人に「礼金」は通用しないはずなので〝room charge〟(飲食店などの「お通し」「突き出し」はそう呼んでいるのではないか)とでも説明しているのだろうか。

 記者は幸か不幸か、全宅連担当になったことは一度もないが(マンション・建売住宅担当にしてもらうよう当時の編集長に直談判した)、「前近代的」な業界を取材することなどしたくなかったし、「俗物」にもなりたくなかったのは事実だ。

 今でもそうだろうが、不動産業界紙は取材対象ごとに、例えば行政、大手デベロッパー、ハウスメーカー、流通業界、賃貸業、中小業界団体などに分かれており、しかも数年ごとに配置換えが行われる。これでは絶対自立した記者にはなれない。業界紙も変わらないといけない。

81.5haの物流「GLP昭島プロジェクト」敷地内に4.5haの樹林地開発に疑問の声も(2024/9/21)

「近代化」が消えた 近代化センターが「不動産流通推進センター」に名称変更(2015/4/20)

唯一残っていた「近代化」が消える 不動産流通近代化センターが名称変更(2014/11/4)

 

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 大成建設とチャレナジーは10月23日、三井不動産の協力を得てわが国初の超高層ビルの屋上に垂直軸型サボニウス式風車「サボニウス式風車」を30階建て「横浜三井ビルディング」に設置し、2025年4月から実証に向けた実験を行うと発表した。

 「サボニウス式風車」は、従来の水平軸型プロペラ式風車「プロペラ式風車」には風車の風切り音や発電モーターの振動などの問題に加え、広い設置面積を要することや所定の風速や風向が安定しないと効率的な発電ができないことなどの課題があるのに対し、①装置の設置に必要な面積が小さく、軽量なため、設置場所の選定や組立が容易②全方位からの風を受けて24 時間連続で悪天候時でも発電が可能③低騒音・低振動で、バードストライクを回避可能-などの特徴がある。

 チャレナジーは、東日本大震災に伴う福島の原発事故をきっかけに日本のエネルギー問題に着目し、次世代に安心安全なエネルギーを供給することをミッションに設立された。

 

 大東建託は10月22日、2024年5月2日に公表した業績予想と配当予想をそれぞれ上方修正すると発表。

 第2四半期業績予想は、売上高9,072億円(前回発表予想比1.9%増)、営業利益710億円(同26.8%増)、経常利益738億円(同25.1%増)、純利益511億円(同31.0%増)。

 通期業績予想は、売上高1兆8,300億円(同0.5%増)、営業利益1,200億円(同91%増)、経常利益1,230億円(同8.8%増)、純利益840億円(同10.5%増)。

 年間配当は前期の555円から630円(前回予想575円)に増配する。

 上方修正の理由を同社は、施工の平準化と工程の順調な進捗などにより完成工事高、総利益が増加したためとしている。

 

 

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