野村不動産 ベトナム・ハノイ市で初の事業参画 三菱地所らとマンション2,150戸
「The Senique Hanoi」外観(提供:CapitaLand Development)
野村不動産は8月14日、ベトナム・ハノイエリア東部に位置するCapitaLand Developmentと三菱地所との共同開発事業「The Senique Hanoi」に参画することを決定したと発表した。総売上高約6億シンガポールドル超(約666億円超)、地上37階建て3棟構成で総戸数は約2,150戸。同社のハノイ市アドレスでの事業展開は今回が初めて。(三菱地所の記事参照)
物件名称の一部である「Senique」はベトナムの国花である蓮の花を意味するベトナム語の“Sen”と、“Unique”を掛けた造語。
三菱地所ベトナム・ハノイで2物件約6,000戸(1,776億円超)の住宅事業に参画
三菱地所 ベトナム・ハノイで2物件約6,000戸(1,776億円超)の住宅事業に参画
「Lumi Hanoi(ルミ ハノイ)」外観(提供:CapitaLand Development)
三菱地所は8月14日、ベトナム・ハノイ市で2物件合計16億シンガポールドル超(1,776億円超)、約6,000戸の大規模分譲マンション開発事業に参画したと発表した。同社は2010年にベトナムに事業参画してから分譲事業では6物件3,573戸を販売しているが、今回の2物件のプロジェクトはその2倍近くになる。竣工は2026年以降。
事業参画するのは、シンガポールのデベロッパーCapitaLand Development社とFar EastOrganization社との共同による「Lumi Hanoi(ルミ ハノイ)」と、CapitaLand Development社と野村不動産との共同による「The Senique Hanoi(ザ セニーク ハノイ)」の2物件。
前者は、ハノイ市の新市街エリアまで車・オートバイで約10分、ミッドタウンまで約20分のハノイ市西部に位置する敷地面積5.6ha、総戸数約3,950戸。総売上高約10億シンガポールドル超(約1,110億円超)。戸数は同社の海外住宅案件として過去最大。建物は29~35階建ての9棟構成で、主要間取りである1BR~4BR(専有面積:42㎡~410㎡)に加え一部メゾネットやペントハウス住戸などを販売する。異なる外資系の設計事務所がコンセプトデザインを手掛ける。竣工予定は2026年。
「Lumi Hanoi(ルミ ハノイ)」プール(提供:CapitaLand Development)
後者は、人工ラグーン(海水遊泳施設)や湖、自然豊かな公園、テーマパーク、インターナショナルスクール、大学、ショッピングモール、病院など多種多様な施設が揃うハノイ市東部に位置する敷地面積2.1ha、総戸数約2,150戸。総売上高約6億シンガポールドル超(約666億円超)。建物は地上37階建て3棟構成で、主要間取りである1BR~4BR(専有面積:42㎡~430㎡)に加え一部メゾネットやペントハウス住戸も開発予定。竣工予定は2027年。
「The Senique Hanoi(ザ セニーク ハノイ)」外観(提供:CapitaLand Development)
「The Senique Hanoi(ザ セニーク ハノイ)」車寄せ(提供:CapitaLand Development)
商業施設・ホテル・マンションの不用品リユース・リサイクル 野村不動産HD
「PASSTO」(左)と意思表示カード
野村不動産ホールディングスは8月13日、回収・選別・再流通のサーキュラーバリューチェーンを構築するECOMMIT(本社:鹿児島県薩摩川内市)と「資源循環の取り組みにおける業務連携に関する協定書」を締結し、同社グループが運営する商業施設、ホテルなどで不要になった衣類や雑貨を回収し、循環型経済(サーキュラーエコノミー)・CO2削減に資する取り組みを開始したと発表した。
導入したのは、同社グループが運営・管理する「Recipe SHIMOKITA(レシピ シモキタ)」「SoCoLA(ソコラ)若葉台」「Bono(ボーノ)相模大野」などの商業施設5か所、「庭のホテル 東京」「NOHGA HOTEL UENO TOKYO」などのホテル4か所と、分譲マンション4物件の合計13か所。
商業施設とマンションには、回収ボックス「PASSTO」を設置、ホテルでは客室内に再生衣料繊維から作った意思表示カードを設置し、宿泊客が滞在中に不要となった衣類を意思表示カードとともに回収する。回収するのは衣類(トップス/ボトムス/ジャケット/コート等)、雑貨・ホビー用品(バッグ/キャップ・ベルト/ミニカー・鉄道玩具/ぬいぐるみ・フィギュア等)。
◇ ◆ ◇
この種の取り組みはよくわからないのだが、サーキュラー・エコノミーが注目されているのはよく理解できる。
わが国でも衣類は仕立て直して何世代にも受け継がれていた。祖母や母が「洗い張り」していたのを覚えているし、建築材も再利用されていた。馬糞、牛糞、鶏糞はもちろん人糞だって貴重な肥料になった。「肥溜め」にはまったこともある。古紙回収業、鉄屑屋などもあった。少なくとも1950年代までは家庭の燃料は薪炭で賄われていた。ほとんど再生可能エネルギーの時代だった。人間だって、仲が悪い夫婦を仲人が仲裁役になって再生・修復していた。
いまでも古本屋、古着屋、骨とう品屋などは流行っているのではないか。ブックオフグループホールディングスの決算を調べたら、2023年5月期の売上高は101,843百万円で、経常利益は3,040百万円だ。中古住宅の売買もサーキュラー・エコノミーの一つだ。「RBA」も「Reform by action」と読める。
分譲マンションは、個別管理会社と管理組合だけでなく、周辺のマンションや町内会などと連携し、地域全体に広がることを期待したい。
「不死鳥の慧眼」を見た 買取再販にサッシ交換 日新ハウジング・平山喜朗社長(76)
平山氏
記者が「中央線の不死鳥」と呼ぶ日新ハウジング社長・平山喜朗氏(76)に5年ぶりにお会いし、現在の中古マンション流通市場や健康の秘訣などを聞いた。「膵癌」の疑いがあるとかで心配したのだが、「膵癌」ならぬ「酔眼」は記者であって、4~5年前から買取再販にサッシ交換を取り込み、50歳で始めた趣味のゴルフではハーフで40を切るなど信じられな話を聞いた。「不死鳥の慧眼」を目の当たりにした。( )内は記者。
本社店舗
店舗の花壇
◇ ◆ ◇
-レインズデータでは、中古マンション市場は長いトレンドで見ると成約件数が増加し、単価・価格の上昇が続いています。いまの市場をどうみていますか
一言でいえば、特殊な市場です。当社の事業エリア、中でも中野地区は特に再開発の影響を受けて、中古市場もタワーマンションを中心に高額物件ほど上昇幅が大きく、値上がり益を睨んだごく限られた富裕層の需要は旺盛です。
一方で、一般ユーザー向けの中古市場は、新築マンションや金利、株価動向などの影響を受けやすい不安定な状況にあり、警戒する必要があります。一筋縄ではいきません。中でも、旧耐震など古いマンションに対する抵抗感は根強いものがあります。
この特殊市場を見誤ると危険です。長年事業をやっていると、このような経済の二重構造が見えてくるんです。
-買取再販が活況を呈していますが、いかがでしょうか
買取再販市場も甘くありません。他社物件もよく見ています。社員任せにはしていません。ものを見ると気づきがあり、商品企画のヒントにもつながるんです。どういうものが売れるのか、売れないのはなぜか、現場を見ればよく分かります。
当社は売主となる以上は〝そこまでやるか〟というくらい商品力を向上させています。例えばサッシの交換です。4~5年前から積極的に行っています。補助金も出ますから。管理組合がOKしない物件は買わない場合もあります。この取り組みは結構お客さまにも評価されています。サッシ交換までやっている同業は少ないはずです。
もう一つは、単にリフォームするだけでなく、買い取った物件の造作家具などを収納できる倉庫を2か所確保し、それらの造作家具を再利用するなどして最大限演出しています。これがお客さまの満足度を高めるのです。
-店舗前にたくさんの風船が飾られていましたが
販売現場にも風船を飾るんです。毎月、色を変えています。8月はブルーです。(「黒」はないですよね。縁起が悪い。売れるものも売れない)そう、黒はありません。(この前、平山さんと同窓の吉永小百合さんの記者発表会を取材したんですが、吉永さんはとても美しいターコイズブルーのドレスでした)そう、それはいい。それにしよう。(年間スケジュール表には1月は赤、2月は白、3月はピンク、4月は緑、5月はブルー〈水色〉、6月は青、7月は黄、8月はブルー〈水色〉、9月はラベンダー、10月は黄、11月はオレンジ、12月はマットピンクとあった)
-店舗前の花壇に花が植えられていましたが
私はね、見かけによらず花が好きでして、夏は百日草、冬は矢車草を店舗の前の花壇に植えています。これが近所の方に人気でして、毎年30人くらいですかね、苗をプレゼントしているんです。
-5年前に取材させていただいたときもとてもお元気でしたが、社長は私より一つ年上の76歳。後期(光輝)高齢者になっても元気な秘訣は何でしょう
健康第一です。朝5時半に起きて、6時半からの店舗前のモップ掛けは継続してやってますよ。(えっ、まだやっているんですか)30分すれば汗だくになりますから。モップ掛けは下半身を鍛えるんです。週2回、ジムに通って筋トレもやってます。スクワットは200~300回です。(絶句)
このモップ掛けと筋トレの成果はゴルフに現れています。この前、74人が参加したゴルフ月例会で準優勝しましてね。ハンディが21から19に上がって、CクラスからBクラスに昇格したんです。
一昨日も、ゴルフやってきたばかりです。仲間と。(この炎天下にですか)私は炎天下が好きなんです。鹿児島薩摩川内市出身ですからね。炎天下には慣れています。それで、前半のハーフで39が出たんです。3オーバーです。40切ったのは初めてでした。後半は45でしたが…。(えっ、それは凄い。私は50歳でゴルフを止めましたが、ハーフで70は叩いていましたから。第一打を打ったら、低空飛行して前方にある突起物に当たり、そのまま戻ってきて、ティーの後ろから第2打を打ったこともあるくらいです)
ゴールドティと筋トレの成果でしょうね。70代の半ばで80台で回れるのは100人に一人くらいだと思いますよ。今度の8月18日の月例会にかけているんです。優勝を狙っています。
-膵癌の疑いがあるという話がありますが…
今年に入って体調を崩しましてね、行きつけのクリニックに行ったら「膵臓にしこりがある」と言われましてね、一週間検査入院したんです。退院してからも薬は飲みましたが、食欲不振と倦怠感が激しく、会社も休みました。それで、治療を止めたんです。そうしたら体力が戻りだし、食欲も出てきたんです。(人間には自然治癒力がありますよね。がんの治療薬は健全な細胞も殺しますからね)そうです。(酒とたばこはどうです)酒は最初の胃がんのとき止めました。タバコは57歳でやめました。
◇ ◆ ◇
同社が4~5年も前からサッシ交換を積極的に行っていると聞いてびっくりした。「不死鳥の慧眼」を見た。記者は、新築マンションはもちろんだが、リノベマンションを見学した際、真っ先に確認するのはサッシの断熱性能だ。リノベマンションはここに手を付けないといけないと考えているからだ。ところが、築古の物件でも従前の単板ガラスをそのまま採用しているのがほとんどだ。理由を聞くと「サッシは共用部分」という答えが返ってくる。共用部分の改変は管理組合の承諾が必要だからだ。
国は昨年、既存住宅の省エネ性向上とCO2排出量の削減を促進させるため、「断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業(先進的窓リノベ2024事業)」を創設。断熱窓を採用した場合、一戸あたり5万円から最大200万円まで補助される。
買取再販に力を入れている会社でサッシ交換を行っているところはどれくらいあるのか。
波瀾万丈の「平成」掉尾飾る〝中央線の不死鳥〟日新ハウジング・平山喜朗社長(2019/4/30)
逆風にめげず今年も新卒13名採用 日新ハウジング(2008/1/7)
首都圏中古マンション坪単価 10年間でほぼ倍増 東日本レインズ調査(2024/8/8)
首都圏中古マンション 坪単価 10年間でほぼ倍増 東日本レインズ調査
別表1
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は8月8日、2024年度の首都圏の不動産流通市場動向をまとめ発表した。
中古マンション成約件数は36,595件(前年度比3.4%増)、成約坪単価は243.1万円(同7.5%増)、成約価格は4,700万円(同8.2%増)、専有面積は63.80㎡(同0.7%増)、築年数は23.83年(同0.23年増)となった。坪単価は2013年度から10年連続して上昇しており、築年数は1992年の11.19年から約10年増加している。
中古戸建ての成約件数は18,109件(同3.5%増)、成約価格は3,928万円(同1.1%増)、土地面積は137.61㎡(同1.3%減)、建物面積は102.51㎡(同0.2%減)、築年数は21.74年(同0.22年増)となった。築年数は1992年の12.65年からほぼ一貫して増加している。
別表1は、中古マンションの成約件数と成約価格の推移を見たものだ。件数は1992年の20,580件から2024年度は77.8%の増加。ただ、2019年の37,912件からここ5年間は頭打ちとなっている。坪単価は2012年の126.7万円を底に12年連続上昇、ほぼ倍増している。
別表2は、中古マンションの坪単価と専有面積の関係を見たものだ。坪単価が上昇すると専有面積は減少しており、相関関係があることがわかる。
別表2
別表3は、中古マンションの駅からの交通別成約件数の推移を見たものだ。居住性能より通勤・通学・通院などの利便性や資産性を重視する消費者の物件選好の変化、デベロッパーの〝駅近〟戦略が奏功しているのか、駅から徒歩10分以内が60%台の後半で推移している。2023年度の成約件数24,741件のうち68.9%を占め、坪単価は284.2万円、成約価格は5,315万円、専有面積は61.86㎡となっている。
別表3
別表4は、中古戸建ての駅からの交通別成約件数の推移を見たものだ。マンションとは対照的に、駅から徒歩10分以内は30%を割っており、徒歩10分以内の成約物件の価格は全体の成約価格より約1,000万円高く、土地面積は117.31㎡で、全体の134.70㎡より、約17㎡(5.3坪)狭くなっている。
別表4
別表5は、中古のマンションと戸建てを合計した中古住宅の成約件数の推移を見たものだ。着工戸数はマンションと戸建てはほとんど変わらないか、むしろ戸建てのほうが多いのに、中古市場ではマンションが圧倒的多数派を占める。2023年度では、全体の成約件数53,447件のうちマンションは35,907件(67.18%)で、戸建ては17,540件(32.82%)だ。
これほどの差が出るのは、分譲マンションはそもそも二世帯同居を想定していないことと、戸建て居住の子世代が世帯分離によりマンションを購入し、親世代は引き続き戸建てに住み続けるからだと考えられる。一方で、ファミリー向け賃貸の質は低いままで、住宅総数は6,502万戸(2023年10月1日現在)で、うち空き家は900万戸に達している-このいびつな構造をどう理解すればいいのか。
別表5
三菱地所 丸の内の飲食店向け共同調達プラットフォーム「MEC PANTRY」開始
「MEC PANTRY」イメージ
三菱地所は8月6日、丸の内エリア(大手町・丸の内・有楽町)の飲食店を対象に、食材やエネルギーなど増大する飲食店の運営コスト低減を目的に共同調達プラットフォーム「MEC PANTRY」の試験運用を開始し、第一弾プロジェクトとして三菱HCキャピタルと協働し、同日から米の共同調達「丸の内精米店」のサービス提供を開始したと発表した。大手デベロッパーが飲食店を対象に自ら精米事業を展開するのは初めて。
同プラットフォームは、同社の「新事業提案制度」により生まれたもので、商業部門社員が、エリアに出店している400を超える三菱地所の飲食テナントの増大する食材調達コストに着目し、企画・立案した。三菱HCキャピタルは、ファイナンス面での支援に加え、三菱地所とともに将来的な丸の内エリアの物流管理プラットフォームおよび物流網構築におけるデータ利活用や配送ロボットの活用に向けた検討も行う。
第一弾は、精米したての新鮮な白米を提供することで、顧客満足度・食材価値の最大化、食材調達コスト抑制による経営効率化への貢献を企図。国際ビルの一角に「丸の内精米店」を新設し、日本各地の農家から直接仕入れた米を受注ごとにオンデマンドで精米し、メッセンジャーサービスや配送マッチングサービス、大手配送業者と連携し、エリア内の各店舗へ配送する。また、生産者や自治体・飲食店舗のプロモーションを販売とセットで展開する。
「丸の内精米店」イメージ
アプローチ最高 長期優良住宅認定の戸建て 大和地所レジデンス「浜田山」
「ヴェレーナガーデン浜田山」
大和地所レジデンスは8月6日、分譲中の戸建て「ヴェレーナガーデン浜田山」をメディアに公開した。約4.3haの「柏の宮公園」と神田川に近接する第一種低層住居専用地域に位置する全8戸で、長期優良住宅認定を取得、価格は1億4,000万円台~1億7,000万円台。
物件は、京王井の頭線浜田山駅から徒歩10分(1~7号棟)~11分(8号棟)、杉並区浜田山二丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%)に位置する在来工法2階建て全8戸。敷地面積は127.65~137.80㎡、建物面積は94.51~102.10㎡、第1期6戸の価格は14,990万~17,490万円。竣工は2024年6月~7月。施工は東栄住宅。
これまでのエントリー数は370件、7月2日からオープンしたモデルハウス来場者は45組。第1期6戸を8月4日に分譲し、2戸に申し込みが入った。来場者の約3割が杉並区居住者で、年代は30~40代のパワーカップルが中心。
全戸とも長期優良住宅認定を取得しており、太陽光発電システムを搭載し、TESハイブリッド暖給により一次消費エネルギー削減率は22%で、ZEH水準をクリア、ウルトラファインバブル熱源機を採用している。1階の天井高は2600ミリ。
リビング
◇ ◆ ◇
物件の特徴の一つは、建ぺい率40%、容積率80%1低層で、約4.3haの「柏の宮公園」に近接し、8号棟は神田川に隣接しているなど緑豊かな閑静な住宅街に位置していることだ。駅からの徒歩時間約10分の大半は公園と、「パークシティ浜田山」に沿ったケヤキの街路樹が見事な通りを利用できる。「三井の森公園」にも近い。参考までに、「パークシティ浜田山」について触れた、光井純氏のインタビュー記事を添付する。
このアプローチの良さを加味したら、価格は2億円超もあるかと思ったが、安全策を選択したようだ。
施工が東栄住宅というのにも注目したい。東栄住宅は飯田グループの中ではもっとも早くから長期優良住宅取得に取り組んできた。大和地所レジデンスが11月に分譲する「ヴェレーナガーデン横浜鴨居」(33区画)の施工も東栄住宅だ。
飯田グループでは、一建設はこれから引き渡す自社分譲戸建ての8~9割を長期優良住宅認定とし、飯田産業は大和ハウス工業の分譲戸建ての設計・施工を埼玉の物件で担当する。飯田グループの動きから目が離せない。
「HARUMI FLAG」で美しい花を咲かせたい光井純氏建築美を語る(2023/1/30)
築60年、既存不適格、借地権…難問クリア 空き家リノベラボ「house matsubara」
「house matsubara」
Japan.asset management(Jam)は8月5日、空き家リノベラボ「house matsubara」を公開した。「築60年・既存不適格・借地権付き・検査済証なし」という厳しい条件が付いている空き家をJamが借り上げ、オーナーと共同投資により1階を店舗に、2階を住宅にコンバージョンしたもの。参加者全員に自家製漬け込み酒サワーなどが無料で供された。
物件は、京王井の頭線東松原駅から徒歩4分、世田谷区松原6丁目の第一種低層住居専用地域に位置する建築面積33.12㎡、延床面積62.38㎡の木造2階建て。築年数は60年(昭和38年)。改修竣工は2024年3月。
プロジェクトメンバーは、企画・設計:Jam、BIM設計:MAKE HOUSE、リーシング:omusubi不動産、底地権アドバイザー:市萬、施工:Rrise、テナント運営:Botany。
プロジェクトスキームは、Jamが建物オーナーと期間8年間の定期賃貸借契約を結び、Jamは転借人Botanyと契約期間3年間(再契約可能)の定期賃貸借契約(転貸)を締結。賃料の20%~40%程度を建物オーナーに固定賃料として支払う。工事費は700万円程度。
店舗エントランス
天井
文様入り窓ガラス(左)と配電用碍子
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公開されたのは1階の店舗部分で、面積は1低層地域で許可される50㎡未満。耐震補強を施し、床を撤去し土間空間とすることで天井高を3m近く確保。ガラス窓、柱、梁、天井板、配電用碍子など一部は従前のものを使用、デザインとして取り込んでいる。
店舗はカフェ&バーで、コーヒー、ティーのほかクラフトソーダ、クラフトフルーツ、30~40種の自家製漬け込み酒サワーなどが提供される。
この日は、1杯無料ということだったので、記者はアフリカ産ハニーブッシュサワーを頂いた。アルコール度数は4%。値段を聞き忘れたが、病みつきになりそうだ。昨年、三菱地所ホームの「KIGOCOCHI(キゴコチ)」ショールームで頂いた「KAMOSHIKA Drinks(カモシカ飲料)」と少し似ていた。
Botanyさん
◇ ◆ ◇
Jamのホームページにはオーナーへのインタビュー記事も紹介されている。一部を紹介する。
オーナーKさん:母が相続した家になります。元々、祖父母が建てた戸建住宅で、母も結婚までの少しの間住んでいたそうです。やがて祖父母が亡くなって、おじが引き継いで暮らしていたのですが、そのおじも高齢で使わなくなり、2018年ごろ空き家となりました。
-ちょうど昨年末に空き家特措法が改正されて、維持管理の不十分な空き家に対して固定資産税の軽減措置を外すことも含めて指導が入るようになったばかりですね。税負担リスクについてのご相談が増えているので、法改正が意識改革にはなっているようです。
Kさん:まさに意識改革になっていましたね。一番初めは、借地権自体が売れないかと考えました。借地権の更新料が結構大きな金額でしたから、更新前に手放すことも考えていたんです。色々と売却の可能性を探ったのですが、なかなか欲しいという方がいらっしゃらず、話がまとまりませんでした。
それで他に使い道がないかなということでインターネットで調べて、せたがや空き家活用ナビに相談してみました。すると複数社からお声がけがあり、具体的な提案までいただいたのは御社含めて2社でした。
もう一社の提案は、10年借り上げで家賃収入が月5000円ほどという条件で、お断りしました。5000円だと保険料もまかなえないですし、ましてや借地料などという金額でさすがに現実的ではない。「10年後に家が返ってきます」というお話だったのですが、私は正直この家が10年後あるのかどうかもわかりませんでした。10年先の未来を見いだせなかったんですね。
その後、話だけでもと思って御社に相談したんです。初めの提案では、自分の持ち物件として空き家を活用していただくならものすごく良いビジネスだなと思いました。ただ私たちの場合、借地権の更新料と内装造作の費用を地主さんにお支払いしたばかりで、毎月の借地料という負担もあるという、そこからのスタートです。なので、空き家の状態が悪く改修費がかかるとはいえ、提案された初期投資額を負担に感じました。もちろん、毎月の家賃をいただけて8年後にはお返しいただけることについては魅力的だなと思っていました。
なので、借上期間中のメリットがもう少しあればというところだったのですが、その後臨機応変に改修内容や負担区分を調整していただけて再提案いただいたので、「これであれば空き家のままにしておくよりは」と思って進めることにしました。
−実際に出来上がってみていかがですか?
Kさん:今回このように再生してもらってびっくりしました。 こんなに変わるのかというぐらい変わっていました。築60年の建物が再生されて次の方に引き継がれて使っていただけるんですから、私としては本当にやってよかったなと思います。
木質化PJ「KIGOCOCHI(キゴコチ)」マンションリフォーム提案三菱地所ホーム(2023/10/14)
驚嘆 2030年の年間DX投資額350億円に拡大 三井不「DX VISION 2030」策定
三井不動産は8月5日、記者説明会を開催し、2030年を見据えた新たなグループDX方針「DX VISION 2030」を策定したと発表。今年4月に公表した新グループ長期経営方針「&INNOVATION 2030」で示した事業戦略①コア事業の更なる成長②新たなアセットクラスへの展開③新事業領域の探索・事業機会獲得-を支えるインフラの1つにDXを位置づけ、現在のDXの年間投資額200億円を2030年には350億円に拡大する。
記者説明会に臨んだ同社執行役員DX本部長・古田貴氏は、2017年を同社のDX元年として位置づけ、これまでの成果として主要システム刷新率は92%、クラウド移行率は96%、社員IT満足度調査は86%に達し、DX本部人材はエキスパートの中途採用は80名超、プロパー、出向を含む本部人材は2009年の15名から140名超に増員したと話した。
「DX VISION 2030」では、現在の年間DX投資額200億円を2030年には350億円に拡大し、リアル×デジタルの「&Customer」、AI/デジタル人材変革を目指す「&Crew」、デジタル基盤の変革による「&Platform」により顧客ニーズに合わせた体験価値の向上を推進し、不動産デベロッパーの枠を超えた「産業デベロッパー」として、社会のイノベーション・付加価値の創出に貢献すると述べた。
DX推進の具体的な取り組みとして、同社DX本部DX二部DXグループエンジニアリングマネージャー・山根隆行氏は、DX本部のエキスパートが事業部門へ6か月間異動し、また、事業部門のビジネス人材をDX本部へ1年間異動することなどを通じて双方向で理解度を深め、人材の育成に力を入れていくと説明した。
古田氏
「DX VISION 2030」記者説明会(東京ミッドタウン日比谷で)
◇ ◆ ◇
この前の三井不動産レジデンシャルが行った吉永小百合さんの新CM発表会には、最前列に席を取り、一言一句を聞き逃すまいと耳を傾け、ボイスレコーダーにも記録し、ほとんど吉永さんが話した通りに記事で再現した。メディアはテレビ局9社をはじめ約80人だった。
この日の「DX VISION 2030」記者説明会へのメディアの参加者は40名を超え、CM発表会よりは少なかったが、関心の高さがうかがえた。記者は、スマホすら満足に扱えないアナログ人間なので、話を聞いてもさっぱりわからないだろうからいつものように最後列に座った。古田氏らの話はさっぱりわからなかった。耳が遠くなったばかりが理由ではない。
ところが、質疑応答で驚嘆すべき数字が飛び出した。ある記者の方が「DX投資額350億円…」と質問したのだが、胡乱な記者の頭脳もすぐ反応した。350億円といえば、同社の売上高2兆2,691億円(2024年3月期)の1%を超えるではないか(2030年でも1%くらいか)。広報担当者にも確認した。350億円は累積ではなく、年間投資額だ。
ものすごい額だとは思ったが、この額の意味するところが分からなかった。そこで、家に戻り、ChatGPTに次のように質問した。「売上高2兆2,691億円の三井不動産は、現在の年間DX投資額200億円を2030年には350億円にすると公表しました。この数値は同業、さらには他業種と比較してどのような意味を持つか説明してください」
回答は瞬時に返ってきた。一部を紹介する。
1. 業界内での競争力の向上
三井不動産は、不動産業界の中でも大手であり、業界の中ではかなりの規模の企業です。現在の年間DX投資額200億円から2030年までに350億円に増加させるという計画は、業界内でのデジタル技術の導入において積極的な姿勢を示しています。このような投資の増加は、より高度なデジタルソリューションを導入し、効率的な業務運営や顧客体験の向上を目指す意図を示しています。
2. デジタルシフトの推進
不動産業界は、他の業界に比べてデジタルシフトが遅れているとされていますが、三井不動産のような大手企業が大規模なDX投資を行うことで、業界全体のデジタル化を加速させる可能性があります。特に、顧客との接点やプロセスのデジタル化(例:バーチャル内見やAIによる物件推薦)に注力することで、市場全体のデジタル化の流れを先導する役割を果たすことができるでしょう。
3. 業界外の他業種との比較
他業種と比較すると、特にテクノロジー業界や金融業界では、より高い割合でのDX投資が行われていることが一般的です。例えば、テクノロジー企業は売上の大部分をデジタル関連の投資に回すことが多く、金融業界でもデジタル化は必須の戦略となっています。それに対して、不動産業界のDX投資は比較的少ないことが多いですが、三井不動産のような大手がこのような投資額を計画することで、業界全体の投資水準が引き上げられる可能性があります。
4. 長期的な戦略的アプローチ
2030年までの長期的な計画での投資額の増加は、三井不動産が将来にわたって持続的な成長を目指し、デジタル技術を駆使してビジネスモデルを進化させる意図を持っていることを示しています。これは、短期的な利益追求だけでなく、長期的な競争優位性の確保を目指した戦略的なアプローチであると言えます。
まとめ
三井不動産のDX投資額の増加計画は、業界内での競争力を高めるとともに、不動産業界全体のデジタル化を加速させる可能性があります。他業種と比較しても、大規模な投資が行われることで、業界全体のデジタルシフトが進むことが期待されます。また、長期的な視点での投資は、将来の成長に向けた戦略的な準備を示しています。
◇ ◆ ◇
瞬時に回答が返ってきたのはさすがだ。しかし、350億円の意味するものへの具体的な回答はなかった。ChatGPTは文字を理解し考えているのではなく、情報を処理しているからだろうが、このあたりにChatGPTの限界を感じる。
一つ例示する。この前の吉永小百合さんのTVCMのセリフだ。記事にもしたのだが、吉永さんは「あなたはいつだって、今がいちばん好き」「ずっと昔から、そして今からも」は、日本語文法的には問題がある。「あなたは」は主語だが、述語の「好き」の間には目的語がないと意味は通じない。この点をChatGPTに聞いたら、「ご指摘の通り…何に対して『いちばん』と感じるのかが明確でない可能性があります…『今がいちばん好き』の『今』が何を指しているのかが曖昧です」と返ってきた。小生のような馬鹿もそうだが、ChatGPTも鋏と一緒、使いようだ。
「私もいつか住みたい」吉永小百合さん三井不レジシニア向け「PWS」CM発表会(2024/7/31)
他に比肩するものなし三井不レジシニア向け「パークウェルステイト西麻布」開業へ(2024/7/30)
吉永小百合さん「あなたはいつだって、今がいちばん好き」に胸キュン(2024/7/29)
昭和女子大環境デザイン学科「2×4で茶室を建てよう 建て方実習」 2×4協会が協力
3日目(提供:日本ツーバイフォー建築協会、以下★印は同協会提供)
昭和女子大学の環境デザイン学科中山榮子教授の総合演習(プロジェクト)「2×4で茶室を建てよう 建て方実習2024」を8月2日、見学した。実習は同学科1~4年生18名が千利休がつくったといわれる2畳の茶室「待庵(たいあん)」を模してツーバイフォー工法(2×4)で建築するもので、日本ツーバイフォー建築協会が部材を手配しているほか、建て方を指導する指導するフレーマー(大工)を3名派遣している。同様の実習は2017年の平屋住宅建築に続き2回目。
実習では、パソコンソフトで作成した設計図をもとに、学生は事前研修で材料や構造などを学び、初日の8月1日は床を、2日目の2日は壁を、3日目の5日は小屋組みを行う。
通常の現場では、クレーンや電動のこぎり、くぎ打ち機などを使って組み立てていくが、授業ではフレ―マーの指導を受けながらハンマーでくぎを打ち、のこぎりを使って作業を行った。
授業を受けた2年生の学生は、「面で建てられるというのがすごい。座学では学べないものを学びました。将来は、永山さん(祐子氏=建築家・昭和女子大卒業生)のような建築家になりたい」「見た目以上にくぎ打ちは簡単だった。自宅で棚などをつくっていた経験が生きました」などと感想を語った。ハンマーやのこぎりを使うのは初めての人も多く、「手を打っちゃった。痛い」(2年生)と赤くはれた手を見せた人もいた。
同大学は「本学の環境デザイン学科でも、設計やインテリア・設備系だけでなく、最近では施工・管理部門にも進出しており、この実習で得た経験が将来のキャリアにつながる一助となればと考えています」とコメントしている。同大学のプレスリリースによると、2023年度の同大学卒業生の実就職率 は95.9%となり、「2024年実就職率ランキング」(大学通信調べ)で全国の女子大学で1位となり、私立大学では全国5位とあった。
実習風景(手を打たないかはらはらしてみていた)
「左端のくぎ打ちは左利きの人はいいんですが、右利きの人は苦労します。右端のくぎ打ちは逆です」
「金物はこの位置に固定するんです」
「2×4で茶室を建てよう 建て方実習2024」2日目終了時(昭和女子大キャンパスで)
キャンパス内の庭園
◇ ◆ ◇
記者は2017年のときも取材しているが、今回(8月2日)はくぎ打ちやのこぎりの扱い方に四苦八苦する学生さんをみていろいろ考えさせられた。
記者が小さい頃は薪炭時代で、ハンマーもくぎものこぎりも日常的に使っていた。槇割りは欠かせない作業で、中学の「技術」の授業では椅子なども制作した。ただ、「技術」は男子のみで、女子は「家庭」だった。今でも公立学校では男子は「技術」、女子は「家庭」のようだ。家父長制が色濃く残っていた記者の小・中学校時代とそれほど変わっていないようだ。
とはいえ、大工さんのハードな仕事を考えると、女性が大工になるのはハードルが高すぎる。先日の大東建託「匠マイスター技能選手権」でも実感したが、男性の大工さんは1枚30キロもする部材などを軽々と持ち上げて作業するそうだ。この日(2日)も、授業の指導者の大工さんは長さ90ミリのくぎを瞬発(1発)で板に打ち込んだ。
学生さんはどうかというと、初めてだから当然といえば当然だが、50発で打ち込む人はまれで、だいたい100発かかった。くぎが曲がったりする人は百十発かかっていた(くぎをまっすぐ打ち込むのは男性でも難しい。2×4の建物は33坪で8万本、くぎだけで重さは330キロを使用するそうだ)。
しかし、感想を聞いた3人の学生さんはみんな建築家(建築士)を目指すというから心強い。参考までに2015年に開かれた日本建築士会連合会女性委員会の「第24回全国女性建築士連絡協議会(略称:全建女)」を取材したときの記事を添付する。とても頼もしく思えた。建築士は女性だからというハンディは少ないのではないか。
1日目(★)
2日目(★)
カメラがとらえたプロの〝瞬発〟(文字通り瞬間だった。学生から歓声の声が飛んだ)
◇ ◆ ◇
取材の帰りだ。三軒茶屋駅前の世田谷通りに植わっている街路樹だ。中世のコルセット(拘束着)そのものの支柱が樹木の胴や根元を締め付けていた。樹種はトウカエデかモミジバフウか、樹脂は樹齢は数十年か。強剪定されているためこぶだらけで、車道も歩道も緑被被覆率は大きくないのが明らかだ。
昭和女子大の庭園には世田谷区の保存樹木が何本も植わっており、区は樹木を大事にする数少ない区だと思っていたが、街路樹はやはり道路の付属物の扱いしか受けていない-そうではない。世田谷通りは都道だ。ここに限ったことではなく、都のとくにプラタナスの街路樹虐待は前後に絶する。ひどいの一言だ。
三軒茶屋駅前の街路樹
拘束着そのものの街路樹支柱
根元も絞められていた
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