令和5年度の住宅着工 前年度比7%減の80万戸 2年連続減少 持家、貸家、分譲とも減る
国土交通省は4月30日、令和5年度の新設住宅着工戸数をまとめ発表。総戸数は前年度比7.0%減の800,176戸となり、2年連続で減少。持家、貸家、分譲住宅とも減少した。
内訳は、持家が219,622戸(前年度比11.5%減、2年連続の減少)、貸家が340,395戸(同2.0%減、3年ぶりの減少)、分譲住宅が235,041戸(同9.4%減、3年ぶりの減少)。分譲住宅の内訳はマンション100,241戸(同12.0%減、昨年度の増加から再びの減少)、一戸建住宅133,615戸(同7.4%減、3年ぶりの減少)。
令和6年3月の住宅着工は、総数が64,265戸(前年同月比12.8%減)で、内訳は持家16,637戸(同4.8%減)、貸家28,204戸(同13.4%減)、分譲住宅19,189戸(同16.8%減)。分譲住宅の内訳はマンション8,977(同21.1%減)、一戸建て10,113戸(同12.7%減)。持家は28か月連続、分譲戸建ては17か月連続の減少。
あの〝杉乃木〟ホテルと同様 外装材に天然木採用 三井不レジ「城北中央公園」
「パークホームズ城北中央公園」
三井不動産レジデンシャルは4月30日、同社初のマンションの外装材に天然木を採用するなどバイオフィリックデザインをテーマにした「パークホームズ城北中央公園」の物件エントリーを同日から開始したと発表した。
物件は、東武東上線上板橋駅から徒歩9分、板橋区桜川2丁目の第一種中高層住居専用地域に位置する7 階建て全37戸。専有面積は54.10~85.68㎡、竣工予定は2025年4月下旬。設計・施工は安宅設計・埼玉建興株。「城北中央公園」へ徒歩4分の立地特性を生かし、外装材に天然木を採用し、ルーフバルコニーに1.5以上の樹木を植えられる薄型マットを採用するなど、バイオフィリックデザインの考えを取り入れているのが特徴。
外装材には、兼松サステックの防腐・防蟻処理用木材保存剤「ニッサンクリーンAZN」で加圧式保存処理した国産スギ材に住友林業の木材保護塗料「S-100」を施した建材「SUSTIMBER(サスティンバー)」を採用。同製品は「三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア」でも採用している。
また、37戸中7戸にルーフバルコニーを設け、ボスケが提供する5~15cmの薄さにも関わらず1.5m以上の樹木を生育することが可能な薄層緑化マット「安行四季彩マット」を分譲マンションで初めて採用。ガーデニングを楽しむことができる。
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文句なしにいい。どれほど素晴らしいかは、同社の「三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア」の記事を読んでいただきたい。マンションの屋上に森を設けた旭化成ホームズ「アトラス江戸川アパートメント」が最高傑作だが、ルーフバルコニーに1.5m以上の樹木が植えられるマンションなど初めてではないか。モデルルーム見学を申し込んだが…。
建築家・藤本壮介氏「大屋根リング」意義を語る 三井不動産「木と生きる」イベント(2024/4/17)
さすが三井不動産わが国初の本物の木造〝杉乃木〟ホテル「神宮外苑」に誕生(2019/11/13)
野村不HD 2024年3月期 増収増益 賃貸など収益不動産の売却増寄与 増配へ
野村不動産ホールディングスは4月25日、2024年3月期決算を発表。売上高 7,347億円(前期比12.2%増)、営業利益1,121億円(同12.6%増)、経常利益 982億円(同4.4%増)、純利益681億円(同5.6%増)となった。期末配当は従来予想から10円増配し、1株当たり75.0円とし、年間配当金は140.0円となる。
セグメント別では、住宅部門は売上高3,518億円(前期比16.3%増)、事業利益408億円(同22.5%増)と増収増益。収益不動産事業の売却収入が増加した。計上戸数は4,298戸(前期4,142戸)、内訳はマンション3,069戸(同2,718戸)、戸建て385戸(353戸)。期末完成在庫は販売中が248戸(同222戸)、未販売が279戸(同199戸)。次期計上予定売上高3,800億円に対する期首時点の契約率は72.5%。
都市開発部門は売上高2,237億円(前期比12.3%増)、事業利益499億円(同26.4%増)と増収増益。収益不動産事業の物件売却収入が増加した。オフィス・商業の空室率は4.4%(前期4.8%)。
仲介・CRE部門は、売上高495億円(前期比4.0%増)、事業利益134億円(同2.7%減)と増収減益。仲介取扱高は10,204件(前期9,985件)、取扱高は1兆2,218億円(同1兆603億円)、1件当たり取扱高は11,974万円(同10,619万円)。
2025年3月期の通期予想は、売上高7,900億円(前期比7.5%増)、営業利益 1,140億円(同1.7%増、経常利益1,000億円(同1.8%増)、純利益700億円(同 2.7%増)を見込む。配当金は第2四半期末、期末をそれぞれ82.5円とし、年間配当金は165.0円とする予定。
西武グループ・野村不動産 「軽井沢千ヶ滝地区」共同開発で基本協定
西武ホールディングス、西武リアルティソリューションズ、野村不動産の3社は4月26日、「軽井沢千ヶ滝地区プロジェクト」について2024年4月25日付で共同開発に向けた基本協定書を締結したと発表した。
千ヶ滝地区は、1919年に西武グループが分譲を開始した別荘地の中心部に位置する約22ha。かつてはスケートリンク・ホテル・温泉などが存在していたが、現在は軽井沢千ヶ滝温泉のみが営業中。協定により、100年以上の歴史と自然環境を踏まえ、これから先100年を見据えたエリア価値向上に向けた取り組みを行っていく。
ポラス「東武動物公園」「ジャパン・レジリエンス・アワード2024」最優秀賞
「ディスカバリープロジェクト東武動物公園 コネクト・コミュニティ」
ポラスグループのポラスタウン開発は4月26日、同社が開発・分譲した「ディスカバリープロジェクト東武動物公園 コネクト・コミュニティ」が、一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会主催の「ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)2024」の最優秀賞を受賞したと発表した。NPO法人日本防災環境、ユニソンと取り組んだプロジェクトで、3法人での共同受賞。最優秀賞の受賞はポラスグループとして初。
プロジェクトは、東武スカイツリーライン・東武日光線東武動物公園駅から徒歩10分の全37棟(うち25棟が入居済み)の分譲地。災害に強い街をつくるため、「いつも」と「もしも」の境界をなくすフェーズフリーの考え方を取り入れた分譲地。身の回りにあるモノを、日常時だけではなく非日常時にも役立て、災害時には住民同士が助け合う「共助」、自ら主体的に考え行動する「自助」の醸成が自然にできる街と家づくりを目指し、「防災意識の高い街づくり」に挑戦した。
左2人目からポラスタウン開発・内田里絵氏、NPO法人日本防災環境・加藤愛梨氏、ユニソン・鷲津智也氏
ユニソン「防災トークセッション」に170名/AIの文字起こしは凄いが課題も(2023/7/15)
可視化難しい「防災」「コミュニティ」「環境」に挑戦ポラス「東武動物公園」(2023/6/16)
「成長する家」「両立の家」などシンプルで心地よい暮らし5提案 ポラス「高柳」好調
「楽家RAKUYA 松戸・高柳」
ポラスグループのポラスガーデンヒルズは4月25日、“シンプルライフ研究家マキ”さん&LIXILとコラボした分譲戸建て「楽家RAKUYA 松戸・高柳」(全28棟)のメディア向け見学会を行った。「楽家」はシンプルで心地よい暮らしを提唱するもので、今回の「高柳」は、2021年の第一弾「豊四季」(3棟)、2022年の第二弾「流山おおたかの森」(18棟)に次ぐ第三弾。2月2日に第1期15棟を販売開始して以降、これまでに23棟を成約、残りは5棟。好調な売れ行きを見せている。
物件は、東武アーバンパークライン高柳駅から徒歩13分、千葉県松戸市六高台5丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する全28棟。土地面積は120.92~126.91㎡、建物面積は95.30~104.17㎡、価格は3,480万~4,450万円。引き渡し予定は2024年7月。
「楽家」では、これまで家族の好みを自由にアレンジする「自由の家」、家事効率を最適化する「時短の家」、家事と仕事の両立を目指す「両立の家」、家族それぞれが憩いの時間を過ごす「休息の家」を提案しており、今回は家族と一緒に成長する子ども目線の「成長の家」を新たに追加した。
「成長の家」は、子どもに「自分で片づける」習慣を身に着けさせるため、玄関を入ってすぐのところに収納「ファミ片」を設けたほか、リビングに設置したベンチ「オキニコーナー」では、子どもの遊び場や読書コーナー、昼寝などができる工夫を凝らしている。ベンチ下にはお片付けボックスも設置している。
“シンプルライフ研究家マキ”さんは、YouTubeチャンネル「エコナセイカツ」やオンラインサロン「シンプルライフ研究会」を主宰し、アパレルブランドとの商品開発、モデルハウスプロデュースなどで衣食住にかかわる企業とのコラボレーションを得意としており、これまでの累計書籍発行部数は29万部。
「オキニコーナー」(左側は奥行きをとり昼寝もできるようにしている)
「オキニコーナー」
〝マキさん〟(現地で)
◇ ◆ ◇
今年に入ってからこれまで東武アーバンパークライン・新京成線沿線では、添付した5物件のマンション・戸建てを見学した。マンションは坪単価200万円以上だ。豊四季では400戸近いマンションが総合地所などによって分譲される。これも坪200万円以下はありえない。20坪で4,000万円以上だ。
今回の「高柳」は、土地面積が40坪以上、建物面積が100㎡前後で、価格は4,000万円前後だ。価格が安いからと言って基本性能が劣っているわけではない。リビング天井高は2700ミリ、サッシ高は2400ミリ。食洗機、床暖房もついており、多用されている引き戸は開閉ともソフトクローズ機能付き、床は突き板フローリングだ。分譲開始から2か月半で全28棟のうち残り5戸にこぎづけられたのは、マンションと比べ圧倒的に安くて質も高いからだ。
「楽家」はコンセプトを明確にしているのがいい。〝マキ〟さんも「万人に受ける必要はない。その人がいいと思う間取り提案」に力を注いでいるというのも大正解だと思う。かつて建売住宅は大量販売を前提にした画一的、没個性的なプランが中心だったが、いまは時代が変わった。多様化しているニーズに応える個性的なプラン提案はありえる。十中八九の人に嫌われても、他にはない〝これがいい〟と決断させる注文住宅に近い提案ができるのが理想的な建売住宅だと思う。
販売開始1か月で半数以上成約・申し込み東武鉄道&大和ハウス「新柏」114戸(2024/4/25)
爆発的にヒットするか長谷工コーポの新提案「Be-Fit」総合地所「みのり台」公開(2024/4/11)
新京成線五香駅圏で17年ぶりウルトラファインバブル装備坪単価250万円超ポラス(2024/3/16)
野田市内で17年ぶりマンション坪単価200万円 JR西プロ「梅郷」(2024/3/9)
ストンと腑に落ちる「KIZUKI」家事動線・収納に工夫凝らすポラス「南桜井」(2024/2/23)
ビル満床稼働 天井高2700ミリの賃貸は3割契約 住友不 中野駅前再開発が竣工
「住友不動産中野駅前ビル(左)・中野ステーションレジデンス」
住友不動産は4月24日、「住友不動産中野駅前ビル・中野ステーションレジデンス」のメディア向け完成内覧会を行った。JR中野駅周辺で進む11のまちづくり事業のなかで最も早く竣工するプロジェクトで、都心から少し離れてはいるが、都心にはない魅力を備えていることから、ビルは満床稼働、賃貸マンションも3割弱が契約・申し込み済みとなるなど好調なスタートを切った。今後の開発に弾みをつけそうだ。
JR中野駅周辺では現在、11の再開発などのプロジェクトが進行中で、南口では駅前広場の整備、東西南北同線の整備、商業・事務所・住宅開発による駅南口の活性化とにぎわい創出を目指す「中野二丁目土地区画整理事業」と「中野二丁目地区第一種市街地再開発事業」が行われており、「住友不動産中野駅前ビル・中野ステーションレジデンス」は市街地再開発事業によるもの。ペディストリアンデッキで駅とつながっている。11プロジェクトの中でもっとも早く竣工するもの。
「中野駅前ビル」は、敷地面積約1,717㎡、中間免震構造の20階建て延べ床面積約5,676㎡、基準階貸付面積約1,759㎡で、天井高は3m。竣工は2024年2月末。設計・監理はアール・アイ・エー。施工は西松建設。
1~5階は店舗。三段階の無停電対応を採用しており、送電停止、ガスの供給が途絶えても共用部の照明などに72時間給電するBCP対策なども評価され、満床稼働した。テナントは金融機関、エンタメ系、薬品、金融機関など幅広い職種にわたっているという。
「中野ステーションレジデンス」は、敷地面積約4,404㎡、免震構造の37階建て延べ床面積約49,991㎡。専用面積は26.67~211.15㎡。賃料は1K(約27㎡)が約16万円、1LDK(約48㎡)が約30万円、2LDK(約72㎡)が約50万円、3LDK(約150㎡)が約110万円、4LDK(約210㎡)が約210万円。二重床・二重天井、リビング天井高2700ミリ(最上階37階は3100ミリ)。竣工は2024年2月末。施工は西松建設。
3月15日から入居開始しており、3割弱が契約・申し込み済み。コンパクトタイプは近隣居住者、新宿・大手町などに勤務する単身者や、沿線に通学する学生など。大型住戸は会社経営者、弁護士、医師など「士業」の富裕層。
同社ビル事業本部賃貸住宅事業所長・永山貴氏は「当社は1980年代から賃貸住宅事業に力を入れてきた。2024年3月末で保有戸数は約6,500戸。入居率は97%だが、残り3%は入居率にカウントしない原状回復期間なので、ほぼ100%。3月15日オープンした今回の施設は、天井高2700ミリを確保し、分譲にはない広めのサイズを提供することで、富裕層などのニーズを取り込んだ結果、3割弱が契約・申し込み済み。24年前から供給を開始した最上級の『La Tour(ラ・トゥール)』は、〝狭い〟〝英語が通じない〟などの不満が多かった日本駐在の外国人が9割を占めたが、現在は逆転した。所有に固着する『分譲』と異なり、適切なサイズを求めて3~4年で住み替えることができる富裕層向けの『賃貸』は堅調に推移する。今後の目標値などは定めていないが、適地があれば積極的に手掛けていく。『中野』は東京都心も含めた選択肢の一つになる」などと語った。
2階賃貸エントランス
13階モデルルーム
36階眺望
37階天井高3.1m、キッチン(7.8帖)・リビング(41.4帖)からの眺望
内覧会に臨んだ同社賃貸事業所営業統括・鳴海智也氏(左)と永山氏
◇ ◆ ◇
永山氏の話を聞きながら〝なるほど〟と思った。20年前に見学した〝ワールドワイズ〟がうたい文句だった「ラ・トゥール新宿」を思い出した。同社が展開する「ラ・トゥール」を中心とする賃貸住宅事業は、わが国の「賃貸住宅」「分譲住宅」それぞれの弱点を補完・解消するものだ。賃貸は、分譲と比較して基本性能などあらゆる点で劣る。相対的に家賃は高く、だからこそ〝賃貸脱出〟などの言葉もある。
一方で、分譲も最近は価格高騰が続き、専有面積の圧縮は甚だしい。かつて3LDKといえば73㎡(22坪)はあったのに、最近は70㎡(21坪)あれば広いほうで、都心部などでは66㎡(20坪)あるかどうかだ。
同社の「中野」はどうか。設備仕様レベルは都心部の高額マンションほどではないが、基本的な住宅の質である広さについては1LDKで約48㎡、2LDKで約72㎡、3LDKで約150㎡だ。家賃はその分高くなるが、坪賃料平均2.3万円というのは、分譲相場から利回りなどを考慮して計算するとリーズナブルな値段だ。天井高を2700ミリ確保しているのにびっくりした(三井不動産レジデンシャル「パークシティ中野」は2650ミリ)。
永山氏は明言を避けたが、天井高2700ミリを確保している賃貸マンションは1割もないはずだ。
同社は今後、「御殿山」「大崎三丁目」「横浜」「南青山」で竣工予定で、「松濤」「元麻布」でも計画中という。
現地
中野サンモール
エントリー数1万件超坪700万円突破も納得三井不レジ「パークシティ中野」(2024/4/24)
販売開始1か月で半数以上成約・申し込み 東武鉄道&大和ハウス「新柏」114戸
「ソライエ新柏プレミスト」
東武鉄道(事業比率60%)と大和ハウス工業(同40%)が分譲中の「ソライエ新柏プレミスト」を見学した。駅から徒歩1分、東武ストアに隣接した四方道路に囲まれた一等地で、第1期の坪単価は256万円。販売開始から1か月で全戸数114戸の半数を超える69戸が成約・申し込み済み。極めて好調なスタートを切った。
物件は、東武アーバンパークライン(東武野田線)新柏駅から徒歩1分(70m)、柏市新柏一丁目の近隣商業地域に位置する8階建て全114戸。現在先着順で分譲中の住戸(11戸)の専有面積は63.29~78.68㎡、価格は4,498万円~6,498万円。第1期の坪単価は256万円。竣工予定は2025年3月。施工は長谷工コーポレーション。販売代理は大和ハウス工業。
1月6日からモデルルームをオープン。来場者は270件、3月10日に販売開始した第1期60戸は完売。その後2戸を成約、6戸に申し込みが入っている。これまでの反響数は888件。
敷地は四方道路に囲まれており、道路を挟んだ東側は平屋建ての東武ストア、南側は駅前ロータリー、西側に桜並木が近接。従前はパチンコ屋で、東武鉄道と大和ハウス工業が土地を取得した。
建物はL字型で、標準階の住戸は南東向きが9戸、南西向きが7戸。主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2550ミリ(1~2階)・2500ミリ(3階以上)、食洗機、タオル掛け1か所など。共用施設はラウンジ、ワーキングスペース。駐車場は敷地内69戸分。
販売代理の大和ハウス工業担当者は「当社の千葉県内の物件では『プレミスト千葉公園』150戸に次ぐ、売れ行きのいい物件。60歳以上の戸建てからの住み替え・買い増しされるお客様の比率が高く、50㎡台の住戸は単身女性の購入も目立ちます。将来の資産性を評価されているからでしょう」と語っている。
現地(敷地北側から)
現地(敷地西側から。当時はサクラがまだ残っていた)
4LDKは最高15倍 コロナ禍で驚異的売れ行き 東武鉄道他「流山おおたかの森」(2020/8/25)
エントリー数1万件超 坪700万円突破も納得 三井不レジ「パークシティ中野」
「パークシティ中野 ザ タワー エアーズ/ザ タワー ブリーズ」(左が「ブリーズ」)
三井不動産レジデンシャルは4月23日、「パークシティ中野 ザ タワー エアーズ/ザ タワー ブリーズ」のメディア向け内覧会を実施した。JR中野駅前の24階建てと20階建ての大規模再開発・免震タワーマンションで全807戸(販売対象は401戸)。敷地南側に遮るものがなく、「四季の森公園」に近接、武蔵野台地の免震構造・ZEH認証などを考えると、エントリー数が1万件超なのも納得できる。
物件は、JR中野駅から徒歩6分~8分、中野区中野4丁目の「囲町東地区第一種市街地再開発事業」地に位置する敷地面積約13,229㎡、24階建て「エアーズ」545戸(販売対象239戸)と20階建て「ブリーズ」262戸(同163戸)の全807戸(同401戸)。専有面積は30.65~125.12㎡。7月中旬に分譲する第1期1次80戸は駅に近い「タワーズ」が対象で、専有面積は54.80~125.12㎡、予定価格は12,000万円台~40,000万円台(最多価格帯14,000万円台)、坪単価は700~750万円。入居予定は2026年7月下旬。デザイン監修は三井純アンドアソシエーツ建築設計事務所。施工は東急建設。
現地は、中野駅周辺の約110haで11もの再開発事業が進行中のエリアの一角。敷地は東西軸が長い長方形で、駅に近い側からオフィス・商業棟の「中野M-SQUARE」-「エアーズ」-「ブリーズ」の3棟が建設され、「SQUARE」1~2階には大型スーパーマーケット、飲食店舗などが予定されている。駅北口からペデストリアンデッキで結ばれる。約1.5haの「四季の森公園」や中野区新庁舎、中野中学、東京警察病院、明治大、帝京平成大、早稲田大の大学施設、29年に開業予定の「NAKANOサンプラザシティ」などに近接。
今回分譲対象となる「エアーズ」の主な基本性能・設備仕様は、中間免震構造、ZEH-M Oriented認定、ワイドスパン、二重床・二重天井、リビング天井高2650ミリ(プレミアムの23・24階は3000ミリ)、ディスポーザー、食洗機、フィオレストーンキッチン天板、Low-Eガラス、二重サッシ(南側)、リビング・居室床暖房など。パークシティシリーズで初となる東京ガスとパナソニックが開発した「熱交換気システム・AIR TES」を全住戸に採用し、室内の温度変化を抑制し、花粉なども排除する。
共用施設は、エントランスラウンジ、ライブラリーラウンジ、ゲストルーム、フィットネスルーム、屋上テラス、ファミリーラウンジなど。
昨年9月にホームページを開設してからこれまでのエントリー数は1万件超、5月下旬までのモデルルーム来場予約は満席の約350件。今回分譲の第1期1次では「エアーズ」のプレミアム住戸17戸のうち約半数が分譲される。
エントランスホール
ライブラリ―ラウンジ
パーティルーム
屋上テラス
ファミリーラウンジ
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坪単価は700万円を突破すると思っていたが、高くなったものだ。三菱地所レジデンスが2016年に分譲した駅から徒歩6分の「ザ・パークハウス 中野タワー」178戸(分譲149戸)は坪500万円を超えなかったはずだ。同業の記者によると、中古でも坪700万円するとか。
単価は安くはないが、新宿を起点にすれば、もっとも住みたい街(吉祥寺も悪くはないが)に「中野」は選ばれるのではないか。今回の物件が位置する駅北口エリアは、再開発によって生まれ変わる。駅に近いにもかかわらず嫌悪施設(もうこういう呼称はやめたほうがいいとも思うが)など一つもなく、緑も豊富。大学など教育施設、病院、商業施設もそろっている。道路を挟んだ南側は鉄道線路が走っているのをどう見るかだが、南側の日照なども担保されている。エントリー数が1万件を突破しているのもよくわかる。
「木は熟した」 街並みを木造化するビルダー組織化へ AQ Group新社屋は坪145万円
AQ Group新社屋
AQ Groupは4月22日、わが国初の8階建て純木造の新社屋が完成したのに伴う完成発表会を行った。新社屋は埼玉県さいたま市西区に完成した8階建て延べ床面積約6,076㎡で、市場に流通している木造プレカット材を使用し、わが国の伝統的な組子・格子ザインを構造壁に取り込み、特殊金物を用いず、一般の工務店でも施工できる「普及型純木造ビル」としているのが特徴。発表会はメディア向けを含め三部構成で230人超が詰めかけた。同社・宮沢俊哉社長は「いよいよ木は熟した。5月にはフォレストビルダーを立ち上げ、全国の街並みの木造化を復活させる」と語った。
宮沢社長は、木造ビルを開発するきっかけとなった木造耐力壁研究の第一人者であるホルツストラ・稲山正弘氏(前東京大学大学院教授)との付き合いは20年に及ぶと紹介し、その後の2014年の埼玉北支店、2017年のつくば支店、2018年の港北展示場、2022年の川崎展示場などにつながったことなどを話し、「先生から『やってみないとわからない』と言われながら何度も失敗、実証実験を繰り返し、モジュール化やグリッド化を図り、『普及型純木造ビル』として今回の新社屋が完成した。今後は5階建て以下の非木造の16兆円市場に参入するため、5月には全国のビルダーに呼びかけ、フォレストビルダー組織を立ち上げる」などと語った。具体的案件としてさいたま市、赤羽、東陽町、墨田区などで計画を進めていることも明らかにした。
続いて登壇したゲストのアルセッド建築研究所・三井所清典氏(第10代日本建築士会連合会会長)は、「新社屋の施工期間が17か月というのもすごいが、その前の9か月の間に宮沢さんと稲山さんがタッグを組んで技術開発などを行ったのが驚異的だ。それをやってのけたのは天才肌のお二人の熱い思いだ。国産材の利用率は36.6%と聞いているが、目標とすべき50%は実現できる」などと絶賛した。
新社屋ビルは、JR大宮駅からバス約15分、さいたま市西区三橋5丁目に位置する敷地面積約9,000㎡(約2,700坪)、延床面積約6,076㎡。基本・実施設計は野沢正光建築工房。構造設計はホルツストラ。施工は田中工務店、伊佐建設。着工は2022年9月。今年4月に完成。
宮沢氏(左)三井所氏
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木造ファンの記者は、これまで木造マンション・ビル、木質化空間はかなり見学取材している。みんな素晴らしい。いくつか記事を添付する。
今回の同社の新社屋の何が素晴らしいかといえば、宮沢氏や稲山氏、三井所氏が強調したように、特殊技術を用いずに普通の工務店の技術で木造現しを実現できることを証明したことだ。たくさん写真に収め、同社提供の写真も紹介するので見ていただきたい。
見学会で一つ気になったことがある。外観デザインについてだ。全体としてモノトーンとして統一されており、ビルの特徴である組子格子デザインがガラス越しに透けて見える。曇天のこの日は風景にすっかりなじんでいた。
しかし、記者は水平ラインか縦マリオンなどにアクセントとして目を引くデザインを施してもよかったのではと思う。記者は黒と白の喪服(特に女性)が最高に美しいと思うのだが、これはわが国の文化をよく表しており、うなじや裾からのぞく白でも黒でもない褐色の肌を際立たせるからだ。
「これは埼玉県産材のヒノキ(左)。この組子格子耐力壁はカラマツで、光と風を取り込める(中)。住宅用の耐力壁の14倍の強度を持つが、特殊な金物など使わずビスで止めている。わが国の伝統的な木組みの技によって実現した(右)」などと語る稲山氏
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この種の見学会ではよくあるアンケート用紙が見学時に配布された。設問は、「今回の『新社屋』(はどれ)くらいの価値があるか 坪単価で答えていただきたい」という1項目のみだった。
これには驚いた。マンション坪単価だったら自信がある。最近では三井不動産レジデンシャルと三菱地所レジデンスの「三田ガーデンヒルズ」の坪単価を分譲開始の1年半前に1,300万円と予想しズバリ的中させたし、2018年分譲の三井不動産「MID TOWER GRAND」の430万円(実際は434万円)、三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス グラン 千鳥ヶ淵」の坪単価800万円も的中させている。外すのは2割くらいか。
しかし、賃貸オフィスは全くわからない。白紙にすることも考えたが、宮沢社長は「アンケートに回答していただいた後に、実際はいくらだったかお知らせしますので、ご協力ください」と呼び掛けたので、回答することにした。
多くのメディア・関係者が坪単価200万円前後と答えるだろうと宮沢社長は考えているはずなので、「坪単価200万円」と書こうと思ったのだが、木造の価値-CO2の大幅削減とかストレスがたまらない労働環境、一般に流通している資材をそのまま活用し、普通の工務店が施工できる価値などを総合的に判断すると「金額では測れない価値がある」と回答した。
※この日、発表会後に配布されたニュース・リリースには施工単価も記されているのだが、解禁日は4月23日午前11時となっているので、明日以降に価格を発表する(記者は的中したのか大外れなのか)。⇒ニュース・リリースには「純木造8階建て新社屋の炭素貯蔵量は1,444t-CO2で、一般木造住宅に換算すると95棟分。CO2排出量削減に至っては鉄筋コンクリート造と比較すると43%削減。普及に向けて大きな課題としてあげられた建築費が、このプロトタイプの純木造8階建てAQ Group本社ビルは坪145万円で、大手ゼネコンによる先導的な木造ビルに比べると1/2。鉄骨鉄筋コンクリート造の約3/4と大幅に建築費を抑えられることを実証した」とある。
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われわれメディアもそうだが宮沢社長、これからは坪単価を図るモノサシを変えようではありませんか。これまでのモノサシは鉄やコンクリが基本にあり、木造を鉄やコンクリの土俵に上がらせ、〝火に弱い〟〝地震に弱い〟などの〝弱点〟に対して木造派は〝価格が安い〟ことを強調してきた。
これはもう時代遅れだ。それぞれが他にない特徴を持っている。先に書いたように単なるコストだけでは測れない価値を価格に換算する手法を編み出さないといけない。
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