「月例レポート」携え1日2~3社、月50社駆け回るトータルブレイン杉原氏
杉原氏(2021年写す。今回は一段と黒くなっていた)
分譲マンション事業に関する市場調査から商品企画、設計・監理まで幅広いサービスを提供しているトータルブレイン取締役副社長執行役員・杉原禎之氏に2年ぶりにお会いし、最近のトレンド、展望などについて話を聞いた。もともと顔は黒かったのだが、真っ黒だった。ゴルフ焼けでも酒焼けでもない。日焼けだ。雨ニモマケズ風ニモマケズ雪ニモ夏ノ暑サニモマケズ、自ら構想を練り仕上げた「月例レポート」を携え、毎日2~3社、月にして50社に説明して回る〝足〟のなせる業でもある。
マンションデベロッパー50社といえば、ほとんどのプレイヤーを網羅していることになる。「月例レポート」は2008年の第一号から直近の2024年9月発行の「首都圏超ハイグレードマンション市場検証~@8,000千円/坪オーバーの市場状況を探る~」まで246号を数える。年間にして約10回発行していることになる。1号当たりのページ数は20ページ前後で、小説にすれば短編小説だが、ぎゅっと詰まった中身を加味すれば中編小説か。つまり、年間にして長編小説を3~4編発行していることになる。その価値たるや、金額に換算したら1冊数十万円だろう。
最新号は、2007年以降の坪単価800万円以上の51物件がデータとしてまとめられており、うち12物件について物件の特徴、販売手法、購入者の傾向が紹介されている。
一つひとつ紹介したいのだが、著作権の問題もあるし、杉原氏自らがまとめたデータを第三者に流すことなどできない。興味のある方は直接同社に問い合わせていただきたい。(記者は51物件のうち半数近くを取材しており、『RBAタイムズ こだわり記事』で紹介している。検索していただければただで読める)
冒頭に「自ら構想を練り仕上げた『月例レポート』を携え、毎日2~3社、月にして50社に説明して回る」と書いたが、これは知らない方に説明が必要だ。記者はトータルブレイン創業者の故・久光龍彦氏とは長谷川工務店時代からのお付き合いで、師と仰ぐ業界人3人のうちの一人だ。亡くなられる2019年までは定期的にお会いし、酒を飲みながら歓談していたのだが、「月例レポート」は杉原氏がまとめているとは全然知らなかった。久光氏が1か月に回る会社は40社くらいだったから、この5年間で10社くらい増加している。これまたすごい。
久光氏と杉原氏が異なるのは睡眠時間くらいか。久光氏は20時には床に就き、4時に起きていた。杉原氏は22時に就寝し、起きるのは5時だそうだ。
実はもう一つ、久光氏と杉原氏の違いがある。価値観、人生観の違いだ。久光氏は、記者もそうなのだが、「不動産の価値」として居住環境を重視した。不動産(マンションなど)はあちこちに所有していたようだが、住んでいたのはカバザクラの突板がふんだんに用いられていた山の手のマンションだった。一方、杉原氏が最初に買ったのは港区の湾岸マンションだった(その後買い替えたかどうかは不明)。杉原氏がそのマンションを買ったとき、久光氏は笑って何も言わなかったが、〝なんであんなところに住むか〟という表情をしていた。
この違いは、今回の「月例レポート」でも確認することができた。昨年ほぼ同時期に分譲された「三田ガーデンヒルズ」(1,004戸、以下「三田」)と「ワールドタワーレジデンス」(389戸、以下「浜松町」)の評価についてだ。
記者は「三田」が分譲開始される10か月前に「坪単価は1,300万円でどうか」という記事を書いた。結果はその通りとなった。未分譲住戸が13戸あるが、どのような形で分譲されるのか(一般公開はされないのではないか)。「三田」は、「広尾」「六本木」「虎ノ門」「麻布台」とともに「5大ヒルズ」と称されるのは間違いない。
「浜松町」は取材を申し込んだが断られた。なので設備仕様レベルはわからないのだが、坪単価1,176万円万円は妥当な値段だと思う。ところが、杉原氏は「私はもっと高くても売れたと思う」と話した。
皆さんはいかがか。記者は「浜松町」の施工を担当した鹿島建設のファンで、ハイスペックだとは思うが、超高層建築物に四方八方囲まれている。「三田」と異なり、投資需要もあったはずだから、杉原氏が考えるように坪1,500万円でも〝先物買い〟で購入する投資家はいただろうが〝格〟が違う。「三田」は第2種住居地域(容積率400%)立地、「浜松町は商業地域(同900%)立地だ。
つまるところ、数えれば20も30もある「不動産の価値」の要素のうち何を重視するかの違いだ。われわれ年寄りはみんな「居住環境」を重視するが、最近の人は「資産性」を重視する傾向が強い。
一般的には、資産性とは値下がりする可能性が少なく、交通利便性が高いエリアと解され、23区でいえば港区、千代田区、渋谷区や中央区、新宿区、文京区の一部だろう。今後も東京-有楽町-新橋-浜松町-品川ゲートウェイ-品川エリアは国際交流拠点として異次元の再開発プロジェクトが目白押しだ。これらのエリアに立地するマンションは、よほどの社会・経済状況が変化しない限り、資産性が担保されるはずだ。将来性を考慮すれば、杉原氏が「浜松町」を「三田」以上に評価するのはわからないわけではない(先日、三菱地所関係者と話をしたのだが、仮に皇居が見下ろせる「大・丸・有」エリアでマンションが供給されたら、坪単価は5,000万円くらいになるという点で意見の一致を見た)
だが、しかし、お金持ちは城南5山に代表されるように昔から高台立地を好んだ。1988年にバブルが崩壊するまでは、億ションといえば住居系立地がほとんどで、商業系エリアの物件は数えるほどしかなかった。「高台」であって「タワマン」ではない。
「タワマン」好きのお金持ちには「齊藤ひろ子+浅見泰司 編著 タワーマンションは大丈夫か?!」(2020年、プログレス)に関する記事を添付したので読んでいただきたい。
将来性ある穴場・路線開拓、新しい視点の構築必要トータルブレイン・杉原副社長(2022/8/8)
「しつこく繰り返し」仕上げる月例レポートトータルブレイン副社長・杉原禎之氏(2021/8/31)
〝業界の名物男〟逝くトータルブレイン社長・久光龍彦氏享年79歳死因は…(2020/1/6)
単価予想1,300万円的中!三井レジ&地所レジ「三田ガーデンヒルズ」700戸供給済み(2023/9/20)
坪1300万円でどうか旧逓信省庁舎跡地の三井&三菱「三田ガーデンヒルズ」(2022/4/30)
齊藤&浅見先生、誰に読ませたいのか?! 「タワーマンションは大丈夫か?!」(2023/1/30)
第六感も必要では 映像と音楽で快適なオフィスブース開発・検証 東京建物
東京建物は10月3日、コクヨ、VIEと共同で、音楽や映像で脳に刺激を提供するソリューションを組み合わせた可動式ブース「VIE POD(ヴィーポッド)」を開発し、同社のオフィスビルなどで商品検証を行うと発表した。
コクヨの既存商品「WORKPOD FLEX」をベースに、VIEが配信する「ニューロミュージック」(脳波への影響が科学的に実証された音楽)と映像コンテンツを取り入れたもの、ブース内でのアプリケーションの使用により、映像と音楽の刺激で「集中力」や「リラクゼーション」といった新しい付加価値を提供する。
開発に至った背景として、従業員の生産性向上は多くの企業が直面している喫緊の課題とし、脳疲労の蓄積やそれに起因する集中力の低下、自律神経の乱れなどの新たな問題も明らかになっていることから、ワーカーのパフォーマンスとウェルビーイングの向上を促進するとしている。
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これは間違いなく大きな効果がある。記者のかつての職場では「第九」が定期的に流されていた。この音楽が流れると「よし、やるぞ」と気合が入り、心を込めた記事を書いたものだ。圧倒的な人気を呼んだ2013年分譲の野村不動産他「Tomihisa Cross」のシアターでは「第九」第4楽章のBGMが流された。それだけ自信があったためだが、「第九」の音楽が流れたシアタターは40年以上の記者生活でここだけしかない。
ただ、同じ音楽がのべつ幕なし流されたら、効果は半減するどころか、マンネリになって逆効果をもたらすと思う。みんなシアターに「第九」を流したら販促効果など全く期待できないだろう。
この点について同社は「Well-being Lab.では、首都圏のビジネスパーソン1万人への調査結果を踏まえ、どのような行動や状況がウェルビーイングの向上に資するのかを分析した20個の『ウェルビーイング向上因子』を特定しています。『ウェルビーイング向上因子』を基に効果的な施策の検討を重ねる」としているので問題はないはずだ。
注文もある。オフィスビルにあふれているフェイクグリーンは一掃し、すべて本物の観葉植物にすべきだと思う。同社は分譲マンションにプロが活けた「生け花」を設置したことがある。大変な人気を呼んだ。
もう一つは、香りだ。アロマは好き嫌いがあるだろうが、気分がよくなるものはあるはずだ。
これで、聴覚、視覚、嗅覚の3つ。五感まであとの味覚、触角も何とかなる。さらに大事なのは第六感だ。ひらめき、インスピレーションを誘発する職場環境が欠かせない。なんでもそうだ。根を詰めて仕事をしても名案は浮かばない。ヒントは〝遊び〟〝リラックス〟〝息抜き〟だ。記者などはほぼ1時間置きに書くのを中断してタバコを吸い、たまには酒を飲み、校閲することにしている。
坪750万円でも好調 「Brillia」最高峰 東建・地所レジ「一番町」 サロンに乃村工藝(2018/4/18)
地揚げから30年坪330万円のマンションに再生「Tomihisa Cross」(2013/9/5)
TNFD提言に基づく自然に対する依存・インパクト 分析結果公表 野村不HD
野村不動産ホールディングスは10月4日、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく自然に対する依存・インパクト関係を分析した結果を公表した。
同社グループの事業活動(用地・物件取得、資産調達、商品企画・設計、事業推進、保有)について、評価ツールを用いて分析したも。2022年度時点で同社グループが保有していた物件、分譲物件は約700件、298haで、分析の結果「当社グループは、事業展開の特性上、都心や首都圏において、すでに建物がある地域での開発が多いことから、新たに自然資本を損失する要素は少ないと考えております」「当社グループが開発・保有を行っている物件が集中しているエリアでは、当社グループの事業が自然に影響を及ぼすことも想定されますが、同時に、当社グループが自然の保護・復元等に向けて取り組みを行うことでの好循環を期待することができます」としている。
同社グループの生物多様性に配慮した取り組みとしては、「プラウド国分寺」「(仮称)世田谷中町3丁目計画」「プラウドシティ小竹向原」などでABINC認証を取得したほか、2022年に締結した農林水産省との「建築物木材利用促進協定」では、今後5年間で10,000㎥の木材を建築資材として活用することを目指している。
また、分譲マンション「PROUD(プラウド)」では、今後の建設に際し、共用部の内装に原則国産木材を使用することとしており、オフィスビルブランド「H¹O(エイチワンオー)芝公園」「野村不動産溜池山王ビル」で木造ハイブリッド構造を導入。同社グループが保有する奥多摩町の「つなぐ森」での「森を、つなぐ」東京プロジェクトは「自然共生サイト1」に認定された。商業施設「横浜ビジネスパーク(YBP)」では横浜国立大学協力のもと、生物多様性保全を進める「ホタルがすむ街づくり展」を2008年より毎年開催している。
同社が生物多様性に配慮した取り組みを強化している背景には、世界経済フォーラム(WEF)の試算によれば、世界で創出された総GDPの半分以上の経済価値が自然資本に依存しており、その自然資本の劣化は社会経済の持続可能性に対する明確なリスクとされ、2022年12月に開催された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)では、2030年ミッションとして「生物多様性の損失を止め反転させる」「ネイチャーポジティブ(自然再興)」が掲げられた。
これを受け、2021年6月、各企業の自然関連のリスク・機会を適切に評価できる世界共通のフレームワーク「TNFD(Task Force on Nature-related Financial Disclosures)」が設置された。TNFDは、各企業に自然関連情報を開示することを求めている。同社グループは2022年7月、TNFDフォーラムへ参画した。
TNFD開示提言採用企業は世界320社で、このうち日本企業が80社を占め、国別では世界最多となっている。わが国の2024年度までのTNFDフレームワークによる開示を表明した建設・住宅・不動産会社はLIXIL、リゾートトラスト、積水ハウス、清水建設、住友林業、大成建設、竹中工務店、大和ハウス工業、大東建託、東急不動産ホールディングス、野村不動産ホールディングスの11社。2025年度の開示を表明した企業は大林組。三井不動産はTNFDフレームワークを参考にしながら、積極的な情報開示に努めていくとしている。
〝美は現しにあり〟木と鉄骨のハイブリッド実現野村不&清水建設「溜池山王ビル」(2023/11/21)
野村不動産「プラウド国分寺」国分寺崖線の既存樹を残し市民に一部開放(2016/7/26)
野村不動産 6月26日まで「ホタルがすむ街づくり展」開催(横浜ビジネスパーク)(2016/6/14)
ホタルやメダカ、せせらぎが見られる 新宿野村ビル(2008/6/9)
more trees(代表:隈研吾氏) 日本一人口が少ない野迫川村 森づくり協定
水谷氏(左)と吉井氏(AEAJ 3階グリーンテラスで)
一般社団法人more trees(モア・トゥリーズ)と“日本一人口の少ない秘境”奈良県野迫川村(のせがわむら)は10月2日、「森林保全および地域活性化に関する連携協定」を神宮前の公益社団法人・日本アロマ環境協会(AEAJ)3階グリーンテラスで締結した。締結式の模様はメディアに公開された。
more treesにとっては国内22か所目(海外2か所)の活動地で、締結式を東京で開催するのは1か所目の高知県梼原町(隈研吾氏の作品で知られる)に次いで2度目。会場となった「グリーンテラス」は隈氏が手掛けた「僕の建築家としての原点となる作品」で、グリーンテラスからは隈氏が小学4年生のときに建築家を目指すきっかけとなった国立代々木競技場が正面に見える。隈氏は30年来の友人だったmore treesの初代代表・坂本龍一氏の死去に伴い昨年6月、遺志を継ぐ形で二代目代表に就任した。締結式では隈氏の手紙が披露された。
締結式の冒頭、more trees事務局長・水谷伸吉氏は、主な活動として①森づくり②国産材利活用③カーボンオフセット④木育などセミナーを挙げ、今後の森づくりでは人工林が皆伐された後に再植林されない林地が3割強あることから、広葉樹に着目し、その地域の特性に合致した樹種の植林に力を入れ、「企業の森」づくりなど、都市と森林・林業を結びつける活動に力を入れていくと語った。
協定締結式に臨んだ吉井善嗣村長は、風景写真(記事参照)をスクリーンに映し出し、 「野迫川村には広葉樹の森がたくさん広がっており、春には薄桃色のヤマプキやミズナラなどの木々や草花が咲き誇り、夏には青々とした木々に包まれ、秋にはカエデなどの黄色や赤の紅葉が広がります。そして、冬を迎えると、深々と雪が降り銀世界を描きます。四季折々の自然のリズムを楽しむことができます」と切り出し、村の概要について標高400~1,300m(平均700m)、総面積の97%が森林で、年間平均気温は札幌とほぼ同じ9.2℃、令和2年の国勢調査では人口は357人で、離島を除けば全国最小、年間を通して雲海が発生しやすいことから「天空の國」と呼ばれているなどと説明した。シイタケ、マツタケ、アマゴ(養殖)、凍り豆腐などが特産品だそうだ。
森林・林業については、全国の林業地が抱える共通の課題である従事者の高齢化、担い手不足、急峻な地形、主伐期を迎えながら伐採されない人工林(樹齢約60年のスギ、ヒノキなど村有林は600ha)、放置間伐材などの課題解決に向けて、針葉樹の皆伐後の混交林化など森林の基盤整備、林業構造の強化などの川上と、木材利用・加工の拡大、森林サービスの顕在化・発展などの川中・川下の取り組みに力を入れていくと話した。
隈氏は締結式に欠席したが、「僕にとってグリーンテラスは思い出深い場所です。1964年、小学4年生のとき、代々木体育館を見て建築家を目指そうと思った。グリーンテラスは建築家としての原点となる真向かいに建て、テラスから代々木体育館が見える。今回、ここで協定式が行われるのは二重三重の喜び。more treesの代表だった坂本さんとは30年来の友人。森づくりには様々な困難、共通の課題を抱えているが、一番小さな村で活動することが、森林・林業にかかわる方に希望と勇気を与えるきっかけになることを願っている」とメッセージを寄せた。
野迫川村の雲海
野迫川村の紅葉
野迫川村の冬
全面的に国産ヒノキを使い、日本の伝統的な「木組み」の技を最大限に生かしたAEAJ グリーンテラス
グリーンテラスエントランス庇
壁全面にクロマツ材が張られている
隈氏直筆のmore treesつみき(野迫川村に贈呈される)
3階グリーンテラス
木漏れ日をイメージした3階グリーンテラスの天井
日本アロマ環境協会(AEAJ)1階
日本アロマ環境協会(AEAJ)1階
◇ ◆ ◇
故・坂本龍一氏がmore treesの代表を務めていたので動向には注目していたが、直接取材するのは初めてだった。隈先生の作品が見られるし、てっきり隈先生に会えると思い込み、事前の下調べなど全くしなかった。
それでも収穫はたくさんあった。グリーンテラスは写真で紹介した。美しい。見事というほかない。野迫川村の概要は上段で紹介したが、財政状況を調べたら、歳入は15.3億円で、地方税比率は4.4%、地方交付税比率は68%、経常支出比率は88.5%、財政力指数は0.13%で、高齢化率は50%を突破しており、林業従事者は30人くらいだ。
村長さんや隈さんのメッセージを聞き、野迫川村に隣接する十津川村の復興再生プロジェクト「高森のいえ」の見学を兼ねて訪れてみようという気持ちになった。野迫川村は、新幹線新大阪駅から電車、バスを乗り継いで約3時間だから、東京からだと6時間、宿泊費を含めると往復で10万円くらいか。
クマもそうだが、怖いのはヤマヒルだ。村長さんに尋ねたら、「ヤマヒルはいる」と答えただけで、〝それがどうした〟という顔をしていた(水谷さんが「刺されたらタバコの火を近づけるとコロリと外れる」と助け船を出してくれた)。
大好物のアユとイワナの骨酒に聞いたら、アユは標高が高いので棲息しておらず、村に唯一あるホテルでは骨酒の提供はないが、代わりにアマゴの養殖がさかんなので、自分で作れば飲めるとのことだった。
それにしても、この日のメディアの参加者は記者を含めて数人だった。坂本さんの都知事宛ての手紙にはハゲタカのように群がったのに、more treesの本来の活動である森づくりのイベントにはどうして集まらないのか。これも危機に瀕する森林・林業の実態の反映か。山がダメになり、田んぼが少なくなり、川の水量が激減し、アユもウナギもカニも食べられなくなった。磯物も壊滅状態だ。そのうち近海魚は絶滅するのではないか。
まだ言いたい。国土強靭化の肝は森林・林業の再生だと思うが、来年度の林野庁の予算要求額は3,478億円(前年度比117.8%)だ。一方、防衛省の予算要求額は過去最大の8兆5,389億円(同110.5%)だ。10年前の2017年度の予算額は林野庁が2,903億円で、防衛省が1兆8,260億円だった。伸び率は林野庁が19.8%増、防衛省が2.1倍増だ。同じ国を守り、人を守り育てるための予算(自衛隊は合法的に人を殺すことが許される場合がありえるが)なのなぜこれほど差が出るのか。釣り合わないではないか。自然災害の激甚化と森林・林業の衰退とは無関係ではないはずだ。
◇ ◆ ◇
吉井村長と水谷事務局長はヤマヒルをご存じなのは当然だか、他の関係者やメディアの方は知らなそうな人ばかりだった。いかに恐ろしいか、田舎に移住するのにどのような覚悟が必要か。かつて書いた記事を紹介するので読んでいただきたい。
「それより怖いのはヤマヒルだ。尺取虫のようにどこからともなく忍び寄り、やわらかい皮膚に食らいつく。血を吸われても気がつかないから始末が悪い。無理に引っぱがすと、皮膚ごとはがれ、なかなか血が止まらない。山ヒルは山道が獣道に変わって出現するようになった。全国どこでもそうだという。
日本のユマヒルはまだたいしたことがないが、古山高麗雄が戦記小説に書いているように、中国とビルマの国境あたりのジャングルのヒルは強暴だ。人間を察知すると、葉裏に隠れている無数のヒルが「ザザザザッ」と葉を揺るがし、頭の上から襲いかかる。そして、知らないうちに陰部などに食らいつき真っ赤に膨れ上がる。(チンポコが2つになる記述もあった)無理に引き剥がすと出血多量で卒倒するのだという。仕方がないから、食らいつかれたまま下半身をさらし、石などでつぶすしかないのだという。
田舎に帰省するとこの小説が頭に浮かび、田んぼのあぜ道すら怖くなる」
more trees 隈研吾氏とコラボした「つみき」マクアケで支援者募集(2015/9/24)
三菱地所レジデンス「西新宿タワー60」第1回コミュニティ支援イベント公開(2015/1/21)
セカンドライフは田舎暮らしより都会 三井不販のアンケート(2011/9/8)
スペパ志向に対応「Life Style Fit×すごし方ファースト」コスモスイニシア「木場」
モデルルーム イメージ図
コスモスイニシアは9月30日、多様化するライフスタイルにフィットするパナソニックの「Life Style Fit(ライフ スタイル フィト)」と同社の「すごし方ファースト」な空間設計を掛け合わせた、コンパクトな面積でも広いリビングを叶えたスぺパ*志向のモデルルームを「木場サニータウン」の1室に設け、同日から販売を開始したと発表した。
「木場サニータウン」は、JR京葉線潮見駅から徒歩9分・東京メトロ東西線木場駅から徒歩19分の1983年1月竣工の全467戸の大規模マンション。モデルルームは61.50㎡、価格は4,380万円(坪単価235万円)。洗面室はリネン棚を置けるよう配置を変更し、ランドリー収納を設置。キッチンのまわりを移動できる、壁に接していないレイアウトプラン(フロートプラン)によって床面を空けることで、ロボット掃除機でもお掃除しやすい空間を設けた。
「Life Style Fit」は、パナソニックが提供する住まいの設備や建材に関するサービスで、ユーザーのライフスタイルに合わせた暮らしの提案や診断を行うもので、ユーザーが「どんな暮らしがしたいか」という質問に答えることで、自分らしい暮らしにフィットするスタイルやプランを見つけることができるもの。
※スぺパ=スペースパフォーマンス:空間対効果、空間の利用効率を良くする暮らし方・過ごし方のこと
◇ ◆ ◇
同社がプレス・リリースに添付した国土交通省の不動産価格指数と住宅金融支援機構のフラット35利用者調査のグラフも紹介する。これに基本性能や設備仕様レベルを価格に換算したら、その差はもっと大きい。「木場サニータウン」は見学したことがある。当時の坪単価は150万円くらいではなかったか。
それにしても〝コスパ〟〝タイパ〟に〝スペパ〟とは…いまの若い人はそんなに合理的な生き方をしているのか。小生などは〝清く正しく美しく〟がもっとも美しい生き方だと思うが…だしぬけにクンデラの「存在の耐えられない軽さ」を思い出した。
東海・富山発(初)?! 「急変の早期発見」「軽症での早期発見」社会実装へ
トータルフューチャーヘルスケア共同プレス発表会(帝国ホテルで)
「急変の早期発見」「軽症での早期発見」社会実装へ-YKK AP、大東建託、NTT ドコモ・ベンチャーズ、中部電力の事業パートナー4社は10月4日、プレス発表会を開催し、イーソリューションズ子会社のトータルフューチャーヘルスケア(TFH)への出資を通じ、生活空間で発生する転倒などの急変や、認知症などの疾患リスクの早期発見モデルの社会実装に取り組む業界横断のプラットフォームを発足すると発表した。プレス発表会にはメディア約65人、関係者約50人が参加した。
プラットフォームを立ち上げたのは、転倒は、つまずきによる転倒だけでなく、脳卒中や心筋梗塞などの疾患起因による意識障害や、認知症やフレイルなどの心身の変化の兆候としても現れ、多くが生活空間で発生しており、寝たきり状態になるケースも多いことから、疾患リスクを早期発見できれば、医療費・介護費などの社会コストの削減に寄与できる可能性があるとしている。
早期発見モデルは、世界最先端技術を有するVayyar Imaging Ltd.(Vayyar)、Binah.ai Ltd(Binah)、PST(PST)ら技術パートナーと提携して、優先的な実施権を持つTFHが開発する。技術パートナーは提携協議を進めている3社も含め今後も提携企業を増やしていく計画。実証協力機関は慶應義塾大学医学部。
佐々木氏
主催者を代表してイーソリューションズ代表取締役社長・佐々木経世氏は、家で起きる転倒事故(年間743万件、死亡者数19万人)が多い現状や、認知症(潜在患者数1,002万人)、糖尿病(同2,469万人)、高血圧(同4,140万人)の受診率はそれぞれ12%、14%、43%にとどまっている深刻な状況を紹介し、「心疾患、脳血管、高血圧、糖尿病など8大疾患を早期発見すれば、医療費、介護費などの社会コスト(104.6兆円)は最大で13兆円削減できると予測されている。このような心強いパートナーに恵まれ、日本の未来のために一緒に取り組めることにわくわくしている」とあいさつした。
魚津氏
事業パートナーで、各企業との連携を促進する商社的な役割を担うYKK AP代表取締役社長・魚津彰氏は、同社の樹脂サッシ出荷量は12年間で5倍に拡大したことを紹介し、今回の事業では「2025年に実証実験のため社員寮を建設し、TFHなどと共同研究し、新たな商品開発につなげる」と語った。
竹内氏
大東建託代表取締役社長執行役員CEO・竹内啓氏は、2024年度を初年度とする中期経営計画で「託すをつなぎ、未来をひらく。」をパーパスに掲げたことを紹介し、「当社らしい街づくりを実践する『DKミライサークル』では、会員130万人のアプリ『ruum』と連携させて、賃貸住宅居住者225万人、介護関連施設179施設での実証実験と共同研究を進め、課題解決を目指す」と話した。
前田氏
1億人超の利用者がいるNTT ドコモ・ベンチャーズ代表取締役社長・前田義晃氏は「今回の業界横断の事業では通信環境整備を支援し、加えて、ドコモのヘルスケア基盤と『Well-being 推定AI』を活用し、早期発見プラットフォームと連携することで疾病リスクの早期発見に貢献していく。医療・ヘルスケア分野のデジタルによる改革は不可欠」と述べた。
林氏
中部電力代表取締役社長・林欣吾氏は、電力スマートメーターで計測した電力使用量をAIに分析し、フレイルを検知する、自治体向けサービスを開始していることを紹介し、「当社の電力解析技術とTFHの技術を掛け合わせ、フレイル以外の疾患対策を共同で開発する」と語った。
前田氏
来賓としてあいさつしたエグゼクティブアドバイザーの国際協力銀行取締役会長・前田匡史氏は、「日本の課題発見力は高いが、それを解決するビジネスモデルを構築する能力が低い。佐々木さんと出会ったのは18年前。佐々木さんは天才です。とにかく巻き込む力がある。業界の枠を超えて企業を結び付けていく拡張性に富んでいる。これが天才たるゆえんです。今回の事業は日本発の新しいビジネスとして世界に展開できる。益々の発展を確信しております。祈っているのではありません」と語った。
新井氏
また、順天堂大学理事長補佐医学部脳神経外科学名誉教授・新井一氏は「予防医学には、病気を発症させない健康増進など一次予防、いち早く病気を発見する二次予防、退院後の社会復帰を促す三次予防があります。私が注目しているのは今回の事業は二次予防に革命をもたらすのではないかということです」と絶賛した。
質疑応答に答える各氏
◇ ◆ ◇
プレス発表会の案内が届いたとき、素晴らしい取り組みだと思った。と同時に不思議に思ったことが一つある。主催者企業4社のうち東海・北陸が発祥か本社を構える企業はYKK AP、大東建託、中部電力の3社もあることだった。
この日、配布された資料には、イーソリューションズ社長の佐々木氏は富山県黒部市出身、YKK AP社長の魚津社長は富山県出身、大東建託の竹内社長は富山県砺波市出身、中部電力の林社長は三重県出身とあるではないか。出身は不明だが、エグゼクティブアドバイザーの富山大学学長の齋藤滋氏も登壇し、あいさつした。
まだある。建築家・隈研吾氏もエグゼクティブアドバイザーとしてビデオメッセージを寄せたが、記者団からの質問に、佐々木氏は「隈さんとは40年来の友人」と答えた。富山県には隈研吾氏の作品「Toyamaキラリ」と日本酒ブランド「IWA」の酒蔵がある。
これで知恵の輪が解けた。これは東海・北陸発(初)であり、さらに言えば富山発(初)のプロジェクトだ。佐々木姓は東北に多いが、由来は滋賀県だといわれている。三重県出身の記者の母親も佐々木姓だった。地方閥があるかどうかは知らないが、富山の薬売り商法は生きている。先用後利だ。きっと花が咲く。数兆円のマーケットになるような気がする。がんばれ富山!佐々木さん!
一つ追加。写真はすべて主催者のオフィシャル画像。写真家のクレジットは不要のようだが、最高に素晴らしい。他社も見習ってほしい。いつも送られてくる人物の写真は遠景の米粒ばかり。拡大に耐えられない。
プレス発表会場(帝国ホテルで)
フレキシブル住宅市場 現在3~4%⇒2030年には15%へ 三菱地所イベント
左から横手氏、アレックス氏、鈴木氏(日比谷国際ビルで)
三菱地所は10月1日、世界48都市、18,000室の家具付き賃貸住宅サービス事業を展開しているBlueground Holdings Ltd.(ブルーグラウンド)社のCEO兼共同創業者・Alex Chatzieleftheriou(アレックス ハジエレフテウ)氏らを招いて「Blueground Japan開業記念イベント」を開催した。
鈴木氏
イベントの冒頭、三菱地所住宅業務企画部長・鈴木智久氏は同社のフレキシブルリビング事業について説明。2019年にシンガポールのCo-Living(賃貸住宅)事業を展開しているスタートアップ・Hmlet社とJV事業を開始し、2023年11月には、三菱地所100%子会社のFL Japan Holdings(代表取締役:佐々木謙一氏)を設立。2024年10月現在、Hmlet Japan社は東京都心部で51拠点、1028室を運営している。
一方、米国Blueground Holdings Ltd.とは、日本国内での独占的ライセンス契約を締結し、2023年11月に設立した三菱地所の100%子会社Blueground Japan(代表取締役:横手翼氏)が今春から日本市場でのサービスを始動させている。
フレキシブル事業の特徴は、オンラインでの契約・契約期間の変更、申し込みから入居まで数日間、家具・家電・水道光熱費込みのオールインクルーシブル、24時間365日のトラブル対応、多言語によるサポートなど。
ブランド戦略として、Hmletのターゲットは若年層/子一人暮らし/フリーランスなどで、価格帯は20~40万円/月、運営方式はコミュニティ重視、ソーシングは1棟単位の借り上げ・運営。Bluegroundのターゲットはエグゼクティブ/ファミリーで、価格帯は40~100万円/月、運営方式はプライベート重視、ソーシングは1戸当たりの借り上げ。
将来展望として、この2ブランドの展開により2027年度は室数5,000室以上、売上高150億円以上、2030年は室数10,000室以上、売上高300億円以上を目指す。
アレックス氏
続いて登壇したアレックス氏は、創業する前の5年間は世界を飛び回り、ほとんどホテル暮らしで費用が高くストレスもたまることから創業を決断。設立当初は従業員10人、住戸数は100室だったのが、現在では従業員は1,000人以上、世界48都市で18,000室を運営している。2028年には100都市、1000,000室を目指すと語った。
日本市場については、①ホテル滞在は費用が掛かりすぎる②家具付き賃貸物件が少ない③手続きが面倒で時間がかかる④テクノロジーが活用されていないなどの課題を挙げ、「東京はニューヨーク、ロンドンに次ぐ世界トップ3の都市。賃貸住宅はデザインが優れており、メンテナンスが行き届いている。(同社が基準としている)機能が備わっている。まだまだ伸びる。わくわくしている。完璧なパートナー(三菱地所)を獲得できた。事業が成功することを確信している」と語った。同社が独自開発した物件管理プラットホーム-オペレーション-ダイナミックプライシングのテクノロジーで差別化を図るとしている。
横手氏
Blueground Japanの取り組みについては横手氏が説明。外国人から見た言語の壁、貸主側の躊躇、アナログな手続きを解消した世界基準のサービスと日本の不動産ノウハウを掛け合わせて展開しており、現在運営している都心7物件(36室)の平均面積は53㎡、稼働率は56%、年内に100室に拡大すると話した。
この後、Blueground Christos Misailidis氏、Alexandre Devoucoux du Buysson 氏、Hmlet Japan代表取締役兼Blueground Japan取締役・佐々木謙一氏によるトークセッション「フレキシブルリビング事業の現在」が行われた。
各氏は、フレキシブル住宅市場は現在3~4%にとどまっているが、2030年には15%まで拡大すると話した。
左から佐々木氏、アレクサンドル氏、横手氏、アレックス氏、クリストル氏、鈴木氏
家具付きマンション運営会社Blueground Japan社長は野球部の横手氏三菱地所(2024/10/1)
わが国賃貸市場の後進性衝く家具付き「Weave Place」浅草など都内7物目オープン(2023/3/4)
わが国初の全棟「ZEH-M」全戸「ZEH」 駅徒歩3分の1低層 大京「八幡山」
「ザ・ライオンズ世田谷八幡山」
大京とグループの穴吹工務店は10月3日、都心物件のマンションギャラリー「ザ・ライオンズギャラリー新宿」オープン記者発表会を開催し、同ギャラリーを10月5日にオープンし、第一弾として「ザ・ライオンズ世田谷八幡山」の案内を開始すると発表した。物件はわが国初の住棟「ZEH」、全住戸「ZEH」認定で、国土交通省の「サステナブル建築物船頭事業(省CO2先導型)に採択されている。
物件は、京王線八幡山駅から徒歩3分、世田谷区八幡山3丁目の第一種低層住居専用地域(法定建ぺい率50%、容積率100%)に位置する3階建て全52戸。専有面積は43.00~84.31㎡、価格は未定だが、68㎡の3LDKで11,000万円台~(坪単価543万円~)。竣工予定は2025年9月。設計は共同エンジニアリング。施工は穴吹工務店。販売開始は2024年11月中旬。
現地は社宅跡地。閑静な1低層の立地を生かし、建物の断熱性能や省エネ性能の向上、屋上の太陽光発電設備を設置することで、基準一次エネルギー消費量と比べ一次エネルギー消費量を一住戸あたり120%以上削減し、日本で初めて全棟「ZEH-M」と全住戸「ZEH」の両方の基準を満たす。
建物はコの字型で、プランは南向き・東向き・西向き18タイプ。屋上には共用と住戸別の太陽光発電設備を設置。共用部には大型蓄電池、井戸(生活用水)を設置することで、災害時に「電気」「ガス」「水道」全てのライフラインが途絶しても、自宅で1週間以上生活を維持することができる大京独自の防災対策システム、「SONA-L SYSTEM(ソナエルシステム)」を採用。専有部にはそれぞれ蓄電池、「エネファーム」を導入する。
モデル住戸の試算で年間に約167,000 円の光熱費削減を見込む。断熱性能では、冬でも室温18℃以上をキープする。
主な基本性能・設備仕様は住棟「ZEH」全住戸「ZEH」認定、都の「マンション環境性能表示」制度満点の★15個とCASBEE「Sランク」のダブル取得、リビング天井高2500ミリ、Low₋E複層ガラス樹脂サッシ、食洗機など。パッシブデザインも採用する。
これまでの反響件数は約2,000件。地元世田谷区居住者が約3割で、中高域から集客できており、年代は40~60代が中心。パワーカップルが主なターゲット。
大京は2023年4月、同社の分譲マンションブランド「ライオンズマンション」を「THE LIONS」へリブランド。「人生には価値がある」をブランドステートメントに掲げ、モノの豊かさだけでなく、「人生を守り抜く強さ」「誇りを生むデザイン」「地域と地球との調和」「一歩先を行く感性」にフォーカスした「よい暮らし」を提供していく。
ギャラリーでは、都内の販売物件に関する建物模型やコンセプトルームを設け、VR による内覧体験や商談スペースを設置しています。コンセプトルームは、洗練・上質・モダンデザイン・ラウンドデザイン(曲線)をテーマに「THE LIONS」の住まいを表現する。
エントランスラウンジ
◇ ◆ ◇
京王線沿線の1低層マンションでは現在、千歳烏山駅圏の旭化成不動産レジデンス「アトラスシティ千歳烏山グランスイート」が分譲中だが、競合するかどうかはわからない。八幡山は各駅停車だが駅から3分、千歳烏山は特急停車駅だが、こちらは駅から徒歩9分。
「八幡山」は何といって1低層のZEHマンションというのがいい。パワーカップルをターゲットにしているため、専有面積は圧縮気味だが、その分、価格が抑えられている。坪単価は最低で600万円、強気設定なら700万円もあるかと思ったが、そこまではいかない模様だ。ZEHの良さが訴え切れれば早期完売が期待できる。
「ザ・ライオンズギャラリー新宿」
「自分の人生は豊か」8割が回答 世帯年収1,200万円以上のパワーカップル 大京調査
京王線初か1低層の大規模環境性能表示満点の★15個旭化成不レジ他「千歳烏山」(2024/5/24)
代々木上原の一等地〝徳川山〟大京の最上位ブランド「リジェ」全12戸が人気(2024/1/12)
リブランディングのヒントあり「大京ライフスタイルスタジオ」(2023/12/3)
隣接のサカタのタネのメタセコイア圧巻大京のZEH-M「仲町台」販売好調(2020/2/21)
蛍が湧き立つ川に隣接基本性能・仕様レベル高い大京のZEHマンション「長津田」(2020/2/18)
わが国初の大京NearlyZEHマンション坪単価は東急「芦屋」の3分の1(2018/7/29)
「自分の人生は豊か」8割が回答 世帯年収1,200万円以上のパワーカップル 大京調査
大京とグループ会社の穴吹工務店は10月3日、世帯年収1,200 万円以上のパワーカップル男女500人を対象に住まいに関する調査結果をまとめ発表。パワーカップルの8割が「自分の人生は豊かなほう」と考えており、人生を豊かにするためには「家族と一緒に過ごす時間」を大切にし、住まいを選ぶ条件では「省エネ性」「資産価値」「防災性」など環境性能や将来性を重視する傾向も明らかになった。
調査は、①1都3県の世帯年収が1,200万円以上の共働きの20~60代のマンション購入意欲がある男女500人②1都3県のパワーカップル以外の20~60代のマンション購入意向がある男女500人を対象に行ったもの。
結果によると、いまの人生は豊かと思うかの問いには、パワーカップルの約8割が「豊かだと思う」と回答した。人生を豊かにするために大切にしていることを聞いたところ、パワーカップルの55%の人が「家族と一緒に過ごす時間」を挙げた。パワーカップル以外(44%)より11.2ポイント高かった。
住まいの役割について聞いたところ、パワーカップルは「安らぎやくつろぎを感じるためのもの」(65%)「家族と一緒の時間を過ごすためのもの」(58%)と回答。パワーカップル以外よりポイントが高かった。
暮らしの中で大切にしたい言葉では、パワーカップルは「健康」(60%)「安心・安全」(52%)「自由」(47%)の順となり、パワーカップル以外とほぼ同じ結果となった。両者を差分順に見ると、パワーカップルは「品格」39%(パワーカップル以外は29%)、「上質」37%(同27%)、「成長」36%(同27%)となった。
理想の自己イメージを聞いたところ、パワーカップルは「信頼できる、頼りがいがある」(47%)「健康的、健やか」(45%)「知的、賢い、優秀」(42%)が上位に、パワーカップル以外は「優しい、思いやりがある」(45%)「健康的、健やか」(45%)「信頼できる、頼りがいがある」(42%)が上位となった。
家族と一緒の時間を過ごすために今後重視することについての問いについては、パワーカップルは「省エネ設計」(24ポイント)「将来的な資産性」(36ポイント)「防災性」(24ポイント)「耐震性」(43ポイント)「断熱性」(32ポイント)が上位になった。
◇ ◆ ◇
記者はパワーカップルでもないし年代も異なるので何とも言えないが、自分の人生を前向きにとらえているのは結構なことだ。世帯年収が1,200万円あれば「人生は豊か」と考えるのは理解できる…「一人口は食えぬが二人口は食える」のことわざ通りだ。住まいに「省エネ」「防災」゜断熱性」を求めるのは正解だと思う。
アンケートに倣って理想の自己イメージに回答しようと思ったが、パワーカップル、パワーカップル以外の回答に自分が当てはまるものはほとんどないのに愕然とした。信頼できる、頼りがいがある人間では断じてないし、健康的でも健やかでもない。品格、知的、賢い、優秀、清潔、落ち着きとは真逆であるという自覚はある。
都内最大級の物流施設 23区希少の工専立地 三井不・日鉄興和不「東京板橋」竣工
「MFLP・LOGIFRONT 東京板橋」
三井不動産と日鉄興和不動産は10月2日、「MFLP・LOGIFRONT 東京板橋」の竣工記者説明会・内覧会を実施し、日鉄興和不動産執行役員企業不動産開発本部副本部長・加藤由純氏、三井不動産執行役員ロジスティックス本部長・篠塚寛之氏が施設の特徴などを説明し、板橋区区長・坂本健氏が防災拠点の取り組みなどを紹介した。説明会にはメディア約75名が参加し、関係者を含めると百数十人が参加した。内覧会では、都内初の物流施設併設型ドローン実証実験の場「板橋ドローンフィールド」の実演デモンストレーションなどが行われた。
施設は、日本製鉄の工場跡地を2021年に日鉄興和不が2021年に取得し、三井不と共同で開発を進めてきたもの。23区内の希少な工業専用地域に位置し、敷地面積約91,000㎡、延床面積約250,000㎡の都内最大の物流施設。敷地内に東京都初の物流施設併設型ドローン実証実験の場「板橋ドローンフィールド」を開設し、ドローン業界全体の産業発展に寄与することを目指すほか、官民連携により板橋区の防災拠点とし、隣接する公園と敷地南側に流れる新河岸川沿いの歩行空間を創出するなど地域に開かれた施設となっているのが特徴。ほぼ満室稼働する。
BCP対策・セキュリティ対策としては、免震装置、72時間対応の非常用発電機、備蓄倉庫、入退館管理、24時間常駐の防災センターなどオフィスビル同等のレベルとし、梁下有効天井高5.5m(オフィス天井高は3m)、床の積載荷重1.5t/㎡を確保。国際基準(45ftコンテナ車両)の大型車両にも対応可能なトラックバースなど最新鋭の設備を備えている。
共用部施設としては、2か所のラウンジ、ドライバー休憩室に加え、有人コンビニ、ジェンダーレストイレ、礼拝室、WEB会議用ブースなどの快適な空間・ワークプレイスを提供する。
建物デザインを手掛けたのはオーストラリアのデザイン事務所JACKSON TEECE。「White Waves」を外装デザインコンセプトに、空、さざ波など自然の有機的な流れを抽象化させ、地域と調和する洗練されたファサードデザインとなっている。
環境面の取り組みでは、屋上全面に約19,000㎡、約4MWの太陽光パネルを設置し、余剰電力は区内の73の区立小中学校へ供給することで、区立小中学校のRE100化に貢献。年間の一次エネルギー消費を実質的にゼロとする最高ランクの「ZEB 認証」とDBJ Green Building認証最高位となる「5スター」を取得している。
地域貢献では、様々なイベント開催が可能な広場を確保し、約25,000㎡の緑地エリアを整備して生物多様性に配慮し、周辺地域の在来種を基本とした計573本の樹木・約50種類の植栽を施している。
また、緊急着陸用のヘリポートとしても活用可能な高台広場と、隣接する板橋区立舟渡水辺公園を一体的に整備したほか、地域住民約1,000人を収容可能な緊急一時退避場所を整備。敷地内には、「板橋区災害時配送ステーション」を設置し、災害時に必要な飲料水や非常食等を保管するとともに、区内の避難所に支援物資を配送する。
日鉄興和不動産の加藤氏は、用地取得の経緯、区の地域課題への対応などについて説明し、安心・安全の取り組みを行い「地域に開かれ、人々の豊かな暮らしを実現する」と語った。
三井不動産の篠塚氏は、施設の位置づけを「街づくり型物流施設の集大成」とし、業界トップレベルのスペックを備え、また地域社会との共生を通じて「地域の価値向上に貢献したい」と語った。
施設は、都営三田線西台駅から徒歩10分、板橋区舟渡4丁目の工業専用地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する敷地面積約91,255㎡、6階建て免震構造の延床面積約256,157㎡。設計は日鉄エンジニアリング。施工は日鉄エンジニアリング・佐藤工業。監修はフクダ・アンド・パートナーズ。デザインは外装:JACKSON TEECE、内装:ボノボ。着工2023年2月、竣工は2024年9月。
外観
わくわく広場
あおぞら広場
6階ビューラウンジ
ドローンによる配送イメージ
左から加藤氏、塚原氏、坂本氏
◇ ◆ ◇
記者説明会で加藤氏は「地域に開かれ他施設」と、篠塚氏は「街づくり型物流施設の集大成」とそれぞれ語った。
その通りだと思う。施設の南側を流れる新河岸川に掛る舟渡大橋の歩者専用路から撮影した写真を見ていただきたい。美しいデザインが確認できるはずだ。敷地は隣接する舟渡水辺公園との垣根はなく、あおぞら広場、芝生広場、わくわく広場などは地域住民に公開される。従前は一般に供共用されていなかった新河岸川沿いの歩行空間も整備されるという。素晴らしい施設だと思う
しかし一方で、「地域に開かれた」「街づくり」「地域の価値向上」が強調されればされるほど、物流業界全体は地域から分断され、嫌悪施設として地域から嫌われているのではないかとい疑問が湧いてきた。
配布された資料には「工業専用地域(工専地域)での大規模開発」と記されており、篠塚氏は「希少価値が高い」とも語った。昨年行われた記者説明会では、敷地が工専地域であることは知らされていなかった(きちんと確認すべきだった)。
そこで調べてみた。篠塚氏の語った通りだ。東京都の市街化区域の用途地域指定面積111,553.7haのうち工専地域は1,323.0ha(全用途の11.5%)で、区部に限ると工専地域は1,018.5ha(同1.7%)しかない。工専地域の指定があるのは江戸川区の555.6ha(同15.2%)、大田区の361.0ha(同6.5%)、板橋区の87.8ha(同2.9%)、足立区の14.0ha(同0.3%)のみだ(かつて江東区も指定されていた)。
物流施設も消費地に近いほど価値が高いということだろうが、〝ほぼなんでもあり〟の準工と異なり、工専地域は住工混在を認めず、住宅、小規模の物品販売店や飲食店を除く商業施設、ホテル・旅館、学校、図書館などは許可されない(保育施設は許可される)。
区と東京都が工専地域のままにしたのは、都の「用途地域等に関する指定方針及び指定基準」(平成16年)の「基本的に物流機能を担うべき区域として、原則として工業地域又は工業専用地域を指定する」に倣ったのだろうが、「街に開かれた施設」にするのであれば、マンションや宿泊施設、その他の用途を可能にする準工業地域に変更する選択肢はなかったのだろうかという疑問だ。
それと、これは些細なことかもしれないが、社銘板に掲出を断った会社もあるということだが、これはなぜか。世間に知られると困ることでもあるのか。地域に開かれた施設と符合しないではないかという疑問を抱いた。
地域・自然との共生では、敷地内に植えられている樹木はみんな幼木で、施設内の緑もフェイクばかりだったことも気になった。酷暑に耐えられなかったのか、枯れている樹木もたくさんあった。外構に成木が植えられ、施設内も本物の観葉植物がふんだんに配されていた三井不動産のシニア向けマンション「西麻布」「幕張」「藤沢」と比較するのは酷だが、「街づくり型物流施設の集大成」を謡うのであれば、緑の質を上げてほしかった。
「板橋ドローンフィールド」の実演デモンストレーション
倉庫内
植栽
6階ビューラウンジから公園方面望む
舟渡水辺公園
舟渡大橋の歩者専用路から望む
◇ ◆ ◇
なぜ、このようなことを書くかといえば、2018年5月、当時の三井不動産常務執行役員ロジスティクス本部長・三木孝行氏(現、顧問)が「もはや物流施設は嫌悪施設ではない」と語ったのに記者は惚れこみ、その後ずっとこの言葉が頭の中にこびりついているからだ。事実、「船橋」も「羽田」も素晴らしい施設だ。
そんなこんなを考えながら取材を終え、駅に向かう途中だった。ビルの敷地内の樹木がことごとく強剪定され、エントランスに植えられている立派なクスノキなど数本が丸裸にされている光景に出会った。〝樹木葬〟とはこのことをいう。葉っぱはほとんどなし、死に瀕している状態だった。社名を確認した。ESG経営に力を入れているわが国を代表する大企業の物流子会社営業所だった。
公道からとはいえ写真撮影の許可を得ていないし、記事に掲載したら訴えられる可能性もありそうなので写真の公表は避けるが、この会社の幹部や社員は無残な樹木を見てなんの痛痒も感じないのだろうか。街路樹を枯死させた中古車販売会社とどこが違うのか。物流=嫌悪=樹木虐待を結びつけたくはないのだが…昭島の81haという桁違いの巨大物流開発は大丈夫か。
〝唯一無二都内最大〟三井不・日鉄興和不「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」着工(2023/1/27)
81.5haの物流「GLP昭島プロジェクト」敷地内に4.5haの樹林地 開発に疑問の声も(2024/9/21)