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「那須 無垢の音」(「水庭」)

 タカラレーベンは3月27日、「那須 無垢の音」のオープニングセレモニー&メディア向け内覧会を開催した。従前の「アートビオトープ那須」をリニューアルしたもので、同社代表取締役・島田和一氏が開発の経緯、ブランドコンセプト、今後の展開などについて語り、ホテル事業の責任者である同社取締役兼執行役員・岩本大志氏が施設の特徴について説明し、施設の〝売り〟の一つである「水庭(みずにわ)」について、設計を担当した建築家・石上純也氏か設計手法などについて語った。ホテルは4月1日にオープンする。

 島田氏は「MIRARTHグループ初となる自社ホテルブランド『HOTEL THE LEBEN』を立ち上げ、2022年に第一弾を大阪・心斎橋でオープンした。今では〝予約が取れないホテル〟として好評をいただいている。2026年12月にはかごしま空港ホテルを開業する。『那須 無垢の音』は、地産の美食と優雅な寛ぎを愉しめる『オーベルジュ』として開業する。ホテル事業は2030年までに2,000室にする目標を掲げている」などと語った。

 岩本氏はホテルの特徴について、「石上純也先生が手掛けた『水庭』、フレンチレストラン、『スイートヴィラ』から構成されており、7月には『B&B(ベッド&ブレークファスト)」も開業する。那須の天然水を地下水脈よりくみ上げ客室に提供し、客室の半露天風呂(一部桧風呂)、那須の旬の食材を楽しんでいただける』と説明した。

 石上氏は、「約50年前は水田だった土地の歴史と、この場所にある自然の素材を生かせないかと、自然と人とが共存するアート『水庭』を構想した。現在の宿泊施設エリアにあった約三百数十本の樹林を采配しなおし、160の池の水は小川から水をひき、昔の水田を表現した。夏には池の水、陸の草、光と影が交わる環境が作られ、秋には色づいた葉が池の中にたまる景色、冬には雪の白、影の黒のモノトーン景色に変化する。それぞれの景色を愉しんでいただきたい」と述べた。

 施設は、JR那須塩原駅から車で30分、栃木県那須郡那須町高久乙道上に位置する敷地面積約35,418㎡、客室数はスイートヴィラ15室(1室82㎡)、カジュアルツイン20室(1室20㎡)、その他施設はレストラン、ワインバー、ショップ、カフェテラスなど。スイートヴィラの宿泊料金は年間平均112,000円~(2名様1室、1泊2日2食付き)。2024年7月にはカジュアルに愉しめるツインタイプの「B&B」をオープンする予定。運営は那須横沢ホテルマネジメント(タカラレーベン100%子会社)。

 従前施設は1986年、栄光ゼミナールの文化事業「二期倶楽部」として創業。その後、様々な経緯を経て2007年、MIRARTHと共同事業を開始し、同年、二期倶楽部としては営業終了。2018年に 「水庭」完成。2020年、建築家・坂茂氏設計のスイートヴィラとレストランμ(ミュー)が完成。

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「那須 無垢の音」

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オープニングセレモニー(左から千葉拓海総料理長、石上氏、島田氏、岩本氏、永山総支配人)

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島田氏(左)と石上氏

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ヴィラ客室

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ヴィラ客室

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 この日は他社の取材を優先することに決めていたのだが、前日(26日)夜、「那須 無垢の音」を取材させていただくことに変更した。キャンセル・取材申し込みを受けていただいた両社に感謝申し上げる。

 「那須」を取材することを決めたのは、同社のホテル事業がどのようなものかこの目で確かめたかったのと、島田社長が何を話すか、石上氏が設計した「水庭」とはどんなものか、とても興味があったからだ。

 結果は大正解。同社が目指すホテル事業はワクワクするほど魅力的で、石上氏の「水庭」は人工ではあるが那須の自然木を見事に調和させている。さらにまた、ヴィラ、レストランμ(ミュー)の設計を建築家の坂茂氏が手掛けたことを初めて知らされたが、全てが本物でそのレベルの高さを確認することができた。

 まず、島田氏の挨拶。リリースでは触れられていないが、島田氏は真っ先にこのリゾートに出会ったのは10年昔であることを明らかにした。10年前と言えば、島田氏が社長に就任した年だ。その数年前から同社のマンションが劇的に変わったのを記者は確認している。一言でいえば〝非日常の演出〟だ。その舵取りを行ったのが島田氏だ。

 今回、島田氏直々に「水庭」を案内してもらった。島田氏は「現在ある『水庭』の場所は砂利敷の駐車場だった。こんなになるとは夢にも思わなかった」とも語ったが、ひょっとしたら、今日の姿を夢想していたのではないか。10年構想と考えれば腑に落ちる。

 〝非日常の演出〟と書いたが、記者はマンションの究極はホテルだと思っている。自腹を切って名だたるラグジュアリーホテルに宿泊したのも、究極のマンションとはどのようなものかイメージするためだった。これ以上は書かないが、皆さん、どこでもいいから同社のマンションを見学していただきたい。「福岡天神」と「上尾」の記事を添付した。

 「水庭」とはどんなものか。上段の石上氏のコメント通りだが、驚いたのはその設計手法だ。記者は造園のことはわからないが、樹木の移植はとても難しく、下手をすると多くは枯死するという。枯死させないためには事前の根回し・根巻がとても大事だと聞いている。

 ところが、石上氏は根回し・根巻を行わず、自然らしさを演出するために普通の造園では考えられないミリ単位で設計し、日本に3台しかない機械を使って1日1~2本ずつ、2年間(冬場は作業できない)かけて三百数十本の高木(クヌギが中心)を移植したという。そうすることで、生物多様性の宝庫でもある地中のいきものたちへのダメージも軽減できるのだという。移植から6年経過しているが、枯死の事例は十数本にとどまっているという。そしてまた驚いたのは、倒木を防ぐため地中1~2mに支柱を埋め込み、池の水は川から引いたもので、水そのものはただで、循環させているという。写真を見ていただきたい。見事の一語に尽きる。

 ヴィラも素晴らしい。何が素晴らしいかと言えば、全てが本物であることだ。樹林-テラス-室内のプランニングが素敵で、2階建てではなくスキップフロアを巧みに利用した平屋建てなのもいい。さすがプリッツカー賞の坂氏だ。(山形の「SUIDEN TERRASSE(スイデンテラス)」も見たいと思っているのだが…お金がない。今年、同賞を日本人として9人目の山本理顕氏が受賞したのもとても嬉しい)

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水庭

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水庭

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 島田社長は、2030年までホテル事業を2,000室にすると語った。那須塩原も競争は激化するはずで、「楽観はしていない」ようだが、「水庭」と「坂茂のヴィラ」の素晴らしさを伝えきれれば、「大阪」のように〝予約の取れないリゾート〟に生まれ変わるかもしれない。

富裕層の心揺さぶるタカラレーベン創業50周年記念「福岡天神」約1年で完売(2023/2/4)

地所レジから専有卸受け分譲タカラレーベン「上尾」1年で全183戸完売の勢い(2019/7/30)

まさに紙わざ ヒントは「6」坂茂氏が設計した芝浦工大のレストラン&カフェ(2022/10/25)

 

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ROOFLAG

記者はずっと分譲マンションや分譲戸建てを取材してきたからでもあるのだが、賃貸住宅にはいいイメージを持っていない。入居者がもっとも大切な顧客であるはずなのに、敷金、礼金、原状回復など時代遅れの商習慣を墨守し、大家・投資家の利回りを優先し、コストを下げるために居住面積を圧縮し、遮音・断熱などあらゆる基本性能・設備仕様レベルを落とす(だからこそマンションが売れるのだが)。あろうことか、高齢者を理由に入居を断る。レオパレス21の不祥事で賃貸業界への疑念は頂点に達した(この会社は好きになれず、一度も取材したことがないのは幸いだった)。

 その賃貸事業分野で断トツの大東建託も取材したことはこれまでほとんどなかった。発祥は名古屋なので、わが故郷・三重県の三交不動産などと共に応援したい気持ちはあったが、取材の間口を広げようとは思わなかった。

 ところが先日行われた、大和ハウス工業と同社との賃貸住宅の「災害における連携及び支援協定」締結発表会を取材して、同社の見方を修正しなければならないと思った。同社代表取締役社長執行役員・竹内啓氏は、有事に備えた防災訓練を日ごろから行っていると語った。その取り組みは半端でなかったからだ。

 竹内氏の話を聞きながら、後述する住宅セーフティネット制度のことが頭をよぎった。その場で取材を申し込んだ。この日(322日)実現した。場所は、同社の賃貸住宅未来展示場「ROOFLAG」だった。約1時間半、施設を見学し、セーフティネット住宅について大東建託パートナーズ事業戦略企画室メディア戦略課次長・宍戸敏之氏に話をきいた。同社に対する疑念は払しょくされたが、セーフティネット制度に対する疑問、謎はより深まった。

 まず、同社に対する見方から。「ROOFLAG」は、東京メトロ豊洲駅から徒歩11分、江東区東雲一丁目に2020年に完成した木造&RCの混構造4階建て本棟と、木造(2×4工法&CLT)モデルハウス2棟から構成されている。

 本棟アトリウムの天井には国内最大級という三角形のCLT屋根が張られていたのには圧倒された。枚数は128枚、体積は500㎥という。展示室にはCLTの模型もあった。このほか同社の理念・顧客主義などを紹介するコーポレートゾーン、歴史を紹介するヒストリーゾーン、ラウンジなどを見て回った。

 CLT2×4のモデルハウスは、木の素材をふんだんに用いたオーナーズモデルルームや16×16サイズの浴室も提案するなど分譲仕様の提案も行っている。断熱、遮音など構造に力を入れていることが一目瞭然の仕掛けも施されている。

 この時点で、同社に対する疑念は取り払われ、全国に617拠点(2024年4月)を張り巡らせ、賃貸住宅完工が41,238戸/年、賃貸仲介件数23,877件/年、賃貸累計管理戸数1,230,339戸、入居率98.0%(2022年)など圧倒的数字を誇る理由が少しは分かった。

 本題のセーフティネット住宅について。宍戸氏は「319日現在、全国の登録戸数は895,982戸に対して、当社の戸数は855,483戸、比率は95.5%。当社管理建物情報は、国土交通省の協力のもと、毎月25日前後にシステム通じて各自治体への申請(登録・変更)を行っています。賃貸住宅の仕様や性能は、国が定めた基準に沿って決定していますが、当社は、35年間サブリースで管理・運営を行っているため、35年間入居者様に選ばれ続ける建物にする必要があります。それが空室リスクの低減にも繋がることから、一定水準以上の建物性能は必要であるということを、オーナー様にご説明しています。また、マーケティングデータに基づき、社内基準に則り物件の立地ごとの事業性をきめ細かく見極めてオーナー様にご提案しているので、立地や地域性によって一概にパターン分けされるということでもありません。入居審査においては、当社の社内審査チェックに通れば高齢者や外国人、障がいを理由に差別することはありません。敷金もなく、ハウスクリーニング代金として46万円をお預かりしますが、高耐久仕様にしているため、退去時の原状回復はこの範囲内でほとんど収まっています。高齢入居者様のご逝去や、残置物の処理なども相続人の協力を得ながら問題なく対応しております。入居者様の属性の公表については、国からの要請があればご協力させていただきます」などと語った。

 同社の登録件数が群を抜くのは、国の依頼があり、国の基準に適合させたのだろうと思ってきたが、事実は違ったようだ。同社が当たり前のように行っていることを同業の他社はやらない-この後進性はいつになったら改められるのかという問題は残った。

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ROOFLAG」内観

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ROOFLAG」モデルハウス(CLT)

           

「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティネット法)」の一部を改正する法律が施行されたのは平成2910月。住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度の創設登録住宅の改修や入居者への経済的な支援住宅確保要配慮者に対する居住支援-この3つを柱とするもので、大きな期待が寄せられた制度だ。

 ところが、登録住宅は最初から伸び悩み、2度にわたる登録促進策を施したにもかかわらず、令和元年12月末時点の登録戸数は全国で27,056戸にとどまっていた。そこで普及促進策の第3弾として令和23月、業界団体連携による一括申請(データ連携型)が導入されてから増え始め、20212月末には30.2万戸に増加し、2020年度末までに全国で175,000戸登録という政府目標を大幅に上回った。令和6319日現在、登録住宅は895,982戸となっていることは前段で紹介した。

この数値だけ見ると爆発的な増加だが、率直に喜べない事情がある。上段でも紹介したように、この895,982戸の登録住宅のうち大東建託パートナーズを通じた登録住宅の比率は95.5%だ。同社登録を除くと戸数は約4万戸だ。(空き家活用を想定した)住宅確保要配慮者専用住宅は202312月末時点で5,778 戸(登録住宅の0.7%)しかない。登録住宅の空室率2.3%は大東建託パートナーズの数値そのものだ。

この現状をどう見るか。昨年7月、厚生労働省、国土交通省、法務省による第1回「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会」(座長:大月敏雄・東京大学大学院工学系研究科教授)が行われた。

 記者は、大東建託パートナーズのみに依存、偏重している現状について各委員から声があがると期待していたのだが、誰一人として声をあげなかった。その時点で検討会の視聴をやめた。肝心要の住宅確保要配慮者とは居住支援とは何かの本質的な議論はされず、山積する様々な課題にどう対応するかに論議が終始すると読んだからだ。

検討会はその後、12月まで5回開かれた。その5回目の会合で「居住支援とは何ぞやという話が第2回目の検討会の最後ぐらいで出てきていました。結局、居住支援ってよく分からないという話になって、それぞれの立場でイメージがずれているという話もそうなのですが」と発言された委員がいたが、それ以上の論議はされなかった。平山洋介・神戸大学大学院人間発達環境学研究科教授(当時)の著書「マイホームのかなたに」(筑摩書房、20203月刊)で平山教授が指摘した「留意すべきは、多彩な『カテゴリー』を『列挙』すればするほど、住宅セーフティネットの対象が『特殊』で、その構築が普遍性を持つ施策ではないことを示唆する効果が生まれる点である。住宅確保要配慮者の長大なリストの作成は、住宅困窮の範囲を拡大するのではなく、むしろ狭め、セーフティネット政策に『ピースミール・アプローチ』を当てはめる意味を持つ」(233ページ)の通りだと思った。

そして今年2月、中間とりまとめが発表された。とりまとめは「国土交通省、厚生労働省及び法務省においては、本中間とりまとめや関連する制度の諸課題を踏まえ、具体的な見直しに向けて必要な検討を進めるべきである。その際、地域における住宅セーフティネットの機能を強化するため、地方公共団体、不動産事業者、居住支援法人、社会福祉法人、社会福祉協議会、地域生活定着支援センター、NPO、更生保護施設等多様な主体が協働して取り組む仕組みの構築にも資するよう、制度、補助、税等幅広い方策について充実や見直しの検討を進め、可能な限り早期に実施するよう、各省が連携して取り組むべきである」と締めくくっている。-この通りなのだろう。しかし、平山教授が指摘するピースミール・アプローチ=対症療法的な手法では住宅困窮者は救われないような気がする。

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セーフティネット住宅情報提供サイトで東京都の物件を検索したら、ある区の駅近の築35年のマンションの1フロア延べ床面積51.38㎡を対象とした共同居住型住宅(シェアハウス)3室がヒットした。専用面積8.299.95㎡(2.53.0坪)、家賃7.3万~7.6万円(坪賃料2.5万~3.0万円)、敷金3万円、礼金なし。便所、洗面、浴室、台所、収納、洗濯室居室内にはなく、約24㎡のスペースで共有利用する。

 入居対象は女性限定で、低額所得者(生活保護者以外)、被災者、外国人、生活困窮者、犯罪被害者等、DV被害者、児童虐待を受けた者、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)、UIJターンによる転入者などで、ほとんどすべての入居者対象要件を満たしているが、家賃の額が近傍同種の住宅の家賃の額と均衡を失しないことの要件との整合性は欠いていないのか。この種のシェアハウスは他にも結構ある。

同じ区内には、豪華な2階建て延床面積105㎡で、家賃21.0万円(坪賃料約7,300円)もあった。 

天晴れ 大和ハウス・芳井社長&大東建託・竹内社長の即断即決 賃貸に関する災害協定(2024/3/5

住宅セーフティネットを考える 「住宅確保要配慮者」は400万世帯でも少ない(2023/7/18)

問題山積 要配慮者の居住支援 大家の安心、安否確認、支援法人などテーマ(2023/7/3

セーフティネット住宅 登録件数が激増 制度の前進と受け止めていいのか(2023/6/29)

大東建託 セーフティネット住宅の登録住宅は約45万戸 全国の90%超か(2021/7/14

激増セーフティネット住宅 1年で政府目標の2.8 大東建託がけん引/必読の平山論文(2021/7/12

坪3.5万円!億ション以上 現地見ずに家賃判断 審査は適正か セーフティネット住宅(2018/11/9

課題山積〝玉石混交〟市場に百家争鳴 サ高住に関する国交省・有識者懇談会(2018/2/3

 プレハブ建築協会は326日、住宅部会・教育委員会のメディア向け活動状況を報告し、懇親会を開催した。

 「住生活向上推進プラン2025」では、22年度実績は戸建てZEH供給率の目標である80%に対して79.3%、長期優良住宅認定取得率(戸建)85%に対して85.0%、工場生産のCO2排出量(総量)40%減(2013年度比)に対して63.2削減を実現するなと成果目標12項目のうち多くの項目で成果を上げた一方、長期優良住宅認定取得率(共同住宅)、ZEHM供給率(低層共同)などは目標、実績とも低い数値にとどまった。

 環境分科会部門では、計画2年目の22年度は、居住段階、向上生産段階とも前年を上回る実績をとなり、新築のZEH供給率79.3%、改修一次消費量削減貢献量27.1%増、工場生産におけるCO2排出量63.2%減、再エネ電気利用率67.8%などを達成したことから、2025年目標をZEH供給率8580%)へ、改修一次消費量削減貢献量30%増(同15%増)へ、CO2排出量を65%減(同40%減)へ、再エネ電気利用率75%(同30%)へそれぞれ上方修正した。

 このほか、住宅ストック分科会では積極的なリフォーム推進、教育委員会の住宅コーディネーター資格制度運営など幅広い活動が報告された。

地価はさらに上昇基調 いつの時代もマーケットを重視 東京建物・野村均社長

 今回発表された地価公示は、地域や用途により差があるものの、三大都市圏や地方圏でも上昇率が拡大傾向となるなど、地価は全国的に上昇基調を強めている。これは社会経済活動の正常化が一層進むなか、好調な分譲マンション市場に加え、ホテルや店舗需要の回復、オフィス需要の底堅さ、再開発による利便性向上エリアの増加が背景にあると考えられる。

 オフィスマーケットは、好調な企業業績などを背景に、オフィス回帰や業容拡大、人材確保を目的とした好立地・ハイグレードオフィスの需要は引き続き底堅く、空室率も低下傾向にある。新規大型ビルの稼働率も高く、特にサステナビリティやウェルビーイングなどに対応した高付加価値のオフィスビルは今後の需要も一層増大すると見ている。当社も八重洲・日本橋・京橋エリアや渋谷エリアで地権者の皆様と進めている再開発事業において、高い環境性能とワーカーのウェルビーイングなどに配慮した快適なオフィスビルづくりを進めている。

 ホテルや商業施設は、個人消費の回復やインバウンド需要の拡大などにより、国内の人流も増え、観光地や全国主要都市を中心に、ホテルの稼働率や飲食店舗の売上が増加するなど、この先も回復基調の継続が期待できると思われる。当社は今年、ヒルトンのフラッグシップ・ブランド「ヒルトン・ホテルズ&リゾーツ」として京都初進出となる「ヒルトン京都」をオープンする。同ホテルは京都市中京区の河原町三条に位置し、客室数330を超えるラグジュアリーホテルであり、今後、京都観光の拠点の一つとして重要な役割を担うと同時に京都経済の発展にも貢献するものと考えている。

 物流施設は、施設選別の目が厳しくなりつつあるなか、自動化、冷凍冷蔵、環境性能、ウェルビーイングなどの先進性・機能性・快適性を備え、「2024年問題」などの物流課題解決に資する付加価値の高い施設が一段と求められている。

 分譲マンションマーケットは、建築費高騰や土地代の上昇などにより価格は上昇したものの、低金利の継続やローン減税等の支援策を受け、共働き世帯の増加等もあいまって、市場は好調を維持している。特に、資産性を重視する富裕層やパワーカップル層を中心に、都心部や駅近物件の販売は好調が続いている。当社等が大阪で開発を推進し、今年竣工を迎える「Brillia Tower 箕面船場TOP OF THE HILL」「BrilliaTower 堂島」は、いずれも将来の資産性を重視した顧客層から高い評価を受け、販売は好調である。具体的には、「Brillia Tower 箕面船場TOP OF THE HILL」は、北大阪急行延伸部の新駅となる「箕面船場阪大前」駅にペデストリアンデッキで直結し、駅前整備進展による将来の利便性向上による資産性に、「BrilliaTower 堂島」は、日本初となるフォーシーズンズホテルと一体となった超高層複合タワーという希少性に高い評価をいただいている。

 先日発表された日銀の政策変更による金利上昇はそれほど大幅なものにはならないと見ており、当面不動産市場への影響は少ないと思われる。その他、地政学的リスクや為替変動の影響、国内外の物価動向や人手不足問題等、今後の景気への不安要素もあるが、アフターコロナとなった現在、社会経済活動がさらに活発化し、原材料上昇分の製品価格転嫁、賃金上昇などが進むと、商業地、住宅地、工業地を問わず利便性の高いエリアを中心に、地価はさらに上昇基調を強める可能性がある。

 地価動向には引き続き注視するととともに、当社はいつの時代もマーケットを重視し、お客様のニーズを的確に捉え、お客様が満足する商品の提供と人々が安全・安心・快適に過ごせるまちづくりを推進していく。

経済活動の回復の反映 産業競争力強化に貢献 三井不動産・植田俊社長

 今般発表された地価公示では、全国の全用途平均・住宅地・商業地のいずれも3 年連続で上昇し、上昇率が拡大しました。また、三大都市圏・地方圏においても、上昇が継続し、上昇基調を強めています。

 都市部においては、コロナ禍以降、インバウンドを含め人の流れが活発化し、経済が回復基調にあることが、今回の地価公示上昇に反映されていると考えています。オフィスにおいては出社回帰の動きがみられるほか、ホテルや商業施設における集客がコロナ禍前以上の水準で推移、さらに、住宅については堅調なマーケットに支えられて引き続き好調です。足元もこの動向は継続しており、今後のわが国の経済回復に一層寄与すると考えております。また、都市部以外においても、大手半導体メーカーの工場が進出する地域や、Eコマース事業伸長により、大型物流施設用地周辺での地価上昇も見られ、新たな需要創造により経済が活性化されていくということも、今回の地価公示で注目すべき点と考えています。

 先月には日経平均株価が過去最高値を更新し、日銀によるゼロ金利政策も解除されましたが、バブル崩壊後の「失われた30年」にピリオドを打ち、デフレから完全脱却ができるかどうか、2024年はその見極めをする勝負の年だと考えています。デフレのもとでは、付加価値創出のための努力が報われず、中々イノベーションを起こすのは困難でした。しかし、賃金上昇も伴った持続的・安定的なインフレに移行することで、投資の拡大、イノベーションや付加価値の創出、そして、その付加価値をお客様に正当に評価いただく、という好循環が生み出されます。この好循環のもと、日本経済が持続的に成長していくことを期待しています。

 当社グループは、これまでも、日本橋におけるライフサイエンスや宇宙領域での「場」と「コミュニティ」の提供などを通じて、集まる人々や企業のイノベーションや付加価値向上のお手伝いを行い、共に成長してきました。また、スポーツ・エンターテイメントの力を活用するなど、コロナ禍が明け再認識された「リアルの価値」を最大限に高めるミクストユースの「行きたくなる街づくり」も推進しております。

 今回の地価上昇については、我が国の経済活動の回復が反映された結果ととらえています。この経済活動の回復に伴い需要が創出され、日本の産業競争力強化、そして、国富増大に結び付いているとも言えます。当社グループとしましても、イノベーションや付加価値を創出することで、日本の産業競争力強化に貢献してまいります。

マイナス金利解除の影響は大きくない 野村不動産・松尾大作社長

 今回の地価公示は、全国平均で全用途平均・住宅地・商業地のいずれも、3年連続で上昇し、上昇率が拡大した。住宅地については3大都市圏・地方圏のいずれも3 年連続で上昇し、三大都市圏においては上昇率が拡大。地方圏では、地方四市が11 年連続で上昇した。商業地については大阪圏が2年連続で上昇、三大都市圏・地方圏いずれにおいても3年連続で上昇し、上昇率も拡大した。

 住宅市場に関しては、引き続き需要が堅調であることに加えて、マンション供給数が減っていることもあり、需要と供給のバランスが取れていることから売れ行き好調な状況が続いている。日銀が「マイナス金利政策」解除などの政策修正を発表したことを受けて、今後の金利上昇も予想されるが、当社のお客様の多くが変動金利の住宅ローンを利用されており、同ローンの過去の変遷を見る限りでは急激な上昇になるとは考えづらいことから、この影響は大きくないと考えている。但し、建築費高騰は今後も継続すると考えられることなどからも価格下落も想定しにくく、価格に見合った付加価値のある商品を企画していく必要がある。お客様のニーズが益々多様化する中、今後は「サステナビリティ」や「激甚化する災害」に対応した設備も一層求められてくる。

 オフィス市場に関しては、2025年に東京での新規供給が集中するものの、23 区全体のマーケット規模と過去からの供給量を鑑みると、需給バランスが急激に悪化することは考えづらい。当社主力ブランドのPMOを例に話すと、コロナ禍を経て出社や採用を増加している企業が増えてきており、PMO に加えて、サービス付き小規模オフィスのH1O、時間貸しシェアオフィスのH1Tの組み合わせにより、コロナ後の働き方の多様化にも対応出来ていることから、リーシングも順調に推移している。

 2025年にいよいよ竣工予定の「芝浦プロジェクト」S棟では、ワーカーの皆様が多様で新しい働き方を実現できるように、「TOKYO WORKation」をテーマに、都心で空・海・緑を圧倒的に感じられる立地特性を活かした新しい働き方を実現する。ビルの高層階1フロアの約1,500坪全てを「テナント様専用の共用施設」として用意するなど様々な工夫を予定している。

 ホテル市場に関しては、単月ではコロナ前の2019年を上回る訪日外国人数の月も出てきており、ホテル稼働率やADR も高い水準で推移している。商業施設についてはコロナ後の人流回復を受けて店舗需要が回復し、売上高が伸長している。

 物流市場に関しては、4月からの労働規制強化により、長距離ドライバーが不足する2024年問題を眼前に控えている。一方でEC拡大により、業務荷物量は増加傾向にあり、引き続き、物流オペレーションの自動化導入など、物流・荷主企業の抱える課題への解決策を今後も提供していく。

 当社グループでは、「将来自分たちが、どのような価値を社会やお客様に提供している企業グループになりたいのか」の目指す姿を明確にするため、2030年をターゲットとするグループビジョンとして「まだ見ぬ、Life&Time Developerへ」を掲げている。不動産開発や関連サービスの提供を通じて、お客様一人ひとりの様々な生活「Life」や、お客様一人ひとりの過ごす時間「Time」に寄り添うことを大切にしてきた。様々な社会課題に直面し、お客様の生活スタイル・価値観も多様化する中で、当社も変化していく必要がある。自らも変革していくことで、新たな価値を創造し、お客様に多様な付加価値を提供できる不動産関連商品・サービスをこれからも提供していく。

 地価公示は、不動産の取引動向や中期的な展望を反映したものであり、様々なマクロ指標と合わせて今後も重要指標のひとつとして注視していく。

不動産業界全体の好機 本質的な価値提供 三菱地所・中島篤社長

 令和6年地価公示は、全国平均で全用途平均・住宅地・商業地のいずれも3年連続上昇し、上昇率が拡大した。利便性や生活環境に優れた地点の上昇傾向が継続していることや、インバウンド需要を背景とした上昇が目立つ地価動向であったと認識している。

 足元では、日経平均株価の上昇、企業による力強い賃上げ、マイナス金利政策の解除など日本経済が大きく転換しようとしている。この動きを不動産業界全体の好機と捉え、本質的な価値提供を続けていきたい。

 分譲住宅は、都心の高額物件の需要が引き続き旺盛であり、都内では「ザ・パークハウス千代田六番町」の販売が好調に推移している。大阪では、梅田駅前の再開発事業「グラングリーン大阪」至近に計画中の「ザ・パークハウス 大阪梅田タワー」の反響が大きい。賃貸住宅では、フレキシブルな働き方が社会に根付いたことに伴い、居住者が24時間使用出来るコワーキングスペースを併設した「The Parkhabio SOHO」シリーズの引き合いが強い。

 順調なインバウンドの回復を背景に、ホテルやアウトレットも好調に推移している。ホテルでは、インバウンド比率がコロナ前を上回る水準になっており、市況を牽引している。今年2月に開業した「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 名古屋」や、今年5月に開業予定の「ザ ロイヤルパークホテル 銀座6丁目」などでもこの旺盛な需要を取り込んでいきたい。アウトレットにおいても、インバウンド比率が高まっており、「御殿場プレミアム・アウトレット」などが好調。昨年12月は御殿場を含む複数施設にて過去最高の月商を記録した。

 オフィスは、経済活動の正常化が一段と進んだことで、出社率が上昇傾向にあり、丸の内エリアへの集約移転や業容拡大による増床の動きが活発化している。同エリアの空室率は昨年12月時点で2.88%と低水準を維持しており需要は底堅い。今期は東京駅前の「TorchTower」の他、渋谷や赤坂でも新たに大型複合ビルを着工した。オフィス、商業、ホテル、エンタメなど多様な機能をハード・ソフト両面から整備し、人・企業を呼び込み、巻き込みながら、新しい価値を生み出し続けるまちづくりを実現したい。

 

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「キャンパスヴィレッジ生田」

東急不動産、三井ホーム、学生情報センターは326日、2RC造と4層木造の混構造の学生レジデンス「キャンパスヴィレッジ生田」が竣工したのに伴うメディア向け見学会を行った。家具家電付きで、「ZEH-M Oriented」を取得しているのが特徴。専用部の内観はほとんど同じだが、RC造と木造とで住み心地は変わるのか変わらないのか注目される。

物件は、小田急線生田駅から徒歩9分、川崎市多摩区三田四丁目に位置する敷地面積約1,5511㎡、6階建て(1~2階:RC造、3~6階:木造枠組壁工法)延べ床面積約3,197130室。専用面積は15.8716.71㎡、月額賃料は56,50070,000円。14階は男性、女性の区別はなく、5階以上は女性専用フロア。食費(任意)は25,300円。建築主は東急不動産、設計・施工は三井ホーム、管理運営は学生情報センター。工期は202212月着工~2024年3月竣工。

内外観に木を多用しているのが特徴で、エントランスや共用スペースの壁面に天然木をランダムに張り付けたデザインを施し、キッチンと一体となったダイニングテーブル、ソファ、ベンチなども木調で統一。居室番号板、EVCVCAFEサインには東急リゾートタウン蓼科で伐採されたカラマツを活用。共用部置き家具(アクタス)も使用後は廃棄物にしない仕組みを導入している。

エリア内に存在する明治大学、専修大学などの学生の入居を想定しており、2年後の満室を目指す。

東急不動産の学生レジデンス「CAMPUS VILLAGE(キャンパスヴィレッジ)」としては23棟目で、木造を採用するのは今回が初めて。脱炭素社会の実現に向けた取り組みの一つで、同社は着工ベースで2025年度以降に開発する学生レジデンス「CAMPUS VILLAGE(キャンパスヴィレッジ)」シリーズはすべてZEH水準にするとしている。

施工を担当した三井ホームとしては、木造マンション「MOCXION」の 6階建ては同社初で、スギの木1,526本分(炭素貯蔵量 771t-CO)に相当する炭素を固定化し、「ZEH-M Oriented」を取得。天然木や木調のデザインを豊富に採用しており、木のぬくもりを感じられる空間設計としている。

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RC(左)と木造

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部屋番号サイン

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1階共用部分

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 賃料が1階と最上階では1万円近く差があるのは理解できるのだが、どうして56階が女性専用なのかはよく分からない(親の気持ちはよく分かる)。

 そんなことより、記者が注目したいのはRCと木造の部屋とでは住み心地が同じなのか異なるかだ。混構造だからよりはっきり分かるはずだ。三井ホーム担当者は「可能であれば入居者アンケートを実施し、結果を公表したい」と語ったが、実現するかどうか。メディアを含めて関係者はコストの話をするが、環境負荷、住み心地の価値を金額に換算したら木造がいいに決まっているが…。

 今回の物件でも明らかに異なるのは居室内の柱・梁型だ。間取り図でもそれは確認できる。ところが、専用面積を調べたら逆だった。面積は壁芯で計算するのでRCも木造も同じはずだが、例えばRC12階は16.03㎡なのに対して36階は15.87㎡だった。その差0.16㎡。どうして木造のほうが狭いのか聞いたら、メーターボックスは木造のほうが0.09㎡だけ広いことなどによるとのことだった(メーターボックスは専用面積に入らないはずだが…些細なことなのでそれ以上聞かなかった)。 

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左から松澤氏、井野氏、齋藤氏(東宝日比谷プロムナードビル6階 セミナールーム「FRONTIER HALL」で)

 サンフロンティア不動産は3月25日、各界の有識者と環境保護・地域創生・人財育成をともに考えるライブ型セミナー「FRONTIER JOURNEY Live!」第1回目を開催。ゲストに1696年(元禄9年)から300年以上にわたって不動産業を営む銀座丸八代表取締役・松澤芳邦氏と、スイス発のラグジュアリーブランド「Akris(アクリス)」日本代表・井野智恵子氏を招き、同社代表取締役社長・齋藤清一氏の3者による「東京を世界一愛されるグローバル都市へ! 『銀座』流の街づくり」をテーマにトークセッションを行った。セミナーは年に4回程度開催する予定。

 松澤氏は冒頭、銀座の江戸-明治-大正―昭和の時代を紹介。関東大震災、第二次世界大戦によって壊滅的な被害を受けながらその都度再生し、建築物の絶対高さ56m規制を中心とする「銀座ルール」によって〝地価日本一〟を維持し続けていることなどを紹介した。

 トークセッションでは、ほとんどの敷地が1,500坪以下という銀座の弱点を逆手にとった街づくり、駐車場付置義務の緩和、古いものと新しいものの調和、〝ルールのないのがルール〟などの独自の街づくりなどが語られた。

◇        ◆     ◇

 昨日(3月24日)は、再開発の名のもとにいとも簡単に地区計画が変更され、風致地区が緩和されることに反対する千代田区や新宿区住民のセミナーを取材した。民主主義は死滅し、住民間のコミュニティはずたずたに切り裂かれ、疑心暗鬼が跳梁跋扈する現実社会を見た。

 そしてこの日(3月25日)は、何でもありの商業地域しかない中央区銀座の建築物の絶対高さが地区計画によって56mに規制されていることを初めて知った。1998年に決定したという。エリア最大の商業施設「GINZA SIX」の計画段階では特例として高さ200mに緩和する案も浮上したが、地元の反対で従来通りの56m抑えられ、特例は認めない方針が再確認された。エリア内に50棟のビルを所有するヒューリックも異を唱えなかったという。

 56mと言えば、オフィスビルなら12~14階建てしか建てられない。敷地は広くても1,500坪しかなく、細分化されていることが大規模ビルなどの進出を阻んでいる。

 地区計画の見直しは20年ごとに行われるのが慣行となっているが、松澤氏によるとその可能性があるのは50年後くらいという。

 デザイン協議会がまたユニークだ。新築の場合は、奇抜なデザインはまず確認申請が下りないそうで、既存のビルなどはその都度協議して決定するという。つまり、ルールがないのがルールなのだそうだ。ルールを定めないほうが柔軟な対応ができるという強かな計算だ(どこかで聞いたような気がした。前ソニー社長、会長の平井一夫氏の基本姿勢だ)。

 東京駅では高さ日本一の385mの「トーチタワー」、日本橋では高さ283mの「日本橋一丁目中地区」が進行しているというのに、銀座の地権者は自らの手足を縛り、歴史と文化を守ろうとしている。

 他に例をみない「銀座ルール」に、齋藤社長は「みんなで決めたルールは尊重しないといけない。持続可能性な街とは人が幸せになること。地域密着が基本」などと語った。

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 令和5年の商業地の地価公示価格日本一は、17年連続の東京都中央区銀座4-5-6(山野楽器銀座本店)の5,380万円/㎡(1億7,754万円/坪)だ。容積率は800%なので1種当たり単価は2,219万円。

 もうすぐ発表される令和6年のこの地点はいくらになるのか。銀座の実勢地価が坪1億円を突破したのは確か昭和61年だった。すっぱ抜いたのを思い出す。

 

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石川氏(左)と大城氏

東京1区市民連合は324日、第8回憲法フォーラムを開催し、石川幹子・中央大学研究開発機構教授が「都市の再開発と身近な緑Quality of Life(生活の質)」と題する、大城聡・弁護士が「千代田区・外神田の再開発を考える3つの視点」と題する講演をそれぞれ行った。リアル81人、オンライン36人の合計117人が参加した。

石川氏は、「詰め込み」と断ったうえで、神宮外苑再開発について「わたしたちプロもよく分からない『公園まちづくり制度』『再開発等促進区』『市街地再開発事業』によって巨額の利益を生み出す構図ができあがった」とし、「この問題は神宮内苑と一緒にして考えないといけない」と強調した。また、「神宮外苑地区第一種市街地再開発事業」に対する314日付の日弁連会長声明について、「適切な指摘に感動した」と称賛。さらに、神宮内外苑や新宿御苑エリアは世界遺産となる可能性を有しているとし、市民が申請に手を挙げることに期待を寄せた。

大城氏は、外神田一丁目南部地区第一種市街地再開発事業(約7.800㎡)は、エリアの3分の1を区、都、国が所有しており、行政主導によるまちづくりは市民の声が反映されていないと批判。「話し合いが不十分なのは、持続可能な街づくりのチャンスでもある。若い世代が参加できるプラットフォームを構築し、世界のアキバとして誇れるようなモデルにすべき」と語った。

市民連合は、憲法違反の安保法制の廃止と立憲主義の回復を求め、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」「安全保障関連法に反対する学者の会」「安保関連法に反対するママの会」「立憲デモクラシーの会」「SEALDs」の5つの団体の有志の呼びかけによって201512月に発足。東京1区市民連合は、東京1区で立憲野党と市民連合の希望を託す統一候補として海江田万里氏を候補に決めている。

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フォーラム会場(千代田区・エデュカス東京)

        ◆     ◇

記者は、この種の政治的な団体・会合は好きではない。敬愛する百瀬恵夫・明治大学名誉教授は「政治家は大馬鹿野郎か詐欺師のどちらか」と語った。記者は馬鹿を自認するが、「大」が付くほどではないし、多少の嘘はつくが詐欺事件に発展するような悪事を働いたことはない。大馬鹿野郎か詐欺師を応援する気にはなれないので、もう何十年も選挙に行ったことはない。選挙権を放棄しているので、政治について語る資格もない。何年か前、投票ハガキを持って投票会場に行き、「投票しません」と言ったら投票用紙は没収された。これは投票者にカウントされないのか、無効票なのか聞くべきだった。

しかし、政治には関与したくないが、住民自治はとても大事なことだし、フォーラムには石川氏と大城氏が講演するというので、参加費500円を払ってリアルで参加した。会場となった千代田区・エデュカス東京は、記者のような高齢者を中心に立ち見もでるほどの大盛況で、事務局からは会場参加81人、オンライン参加36人と報告された。過去最多クラスのようだ。

ここでは石川氏と大城氏の講演内容について詳しくは触れないが、石川氏が資料として配布したコピー「危機に瀕する外苑いちょう並木」(岩波書店「世界」20243月号)はとても参考になる。神宮外苑だけでなく、神宮内苑の400年昔の史料を渉猟し、自らのフィールドワークによる科学的データを提示する。ぐうの音も出ない。反証できる人は一人もいないのではないか。

惜しむらくはページ数が少ないことだ。石川氏も「詰め込み」と話したように、ページ数は10ページ、図版などを含めても400字原稿用紙にして25枚くらいではないか。素人に読ませるにはこの数倍は必要だし、〝持って歩く〟のがわれわれ世代のステータスだった「世界」はどれほどの若者に読まれているのか。どこの出版社・メディアでもいい、「悠久のときを共有できるこころ豊かな日々の暮らし」を願う石川先生の思いのたけを書籍化すべきだ。

もう一つの秋葉原の再開発は、手続き的な瑕疵はないはずで、大城氏もそのように話した。驚いたのは、大城氏が区の都市計画審議会関係者の利益相反に言及したことだ。「混迷する行政を象徴している。行政マンの矜持が問われる。行政システムは機能していない」と語った。区では今年1月、元区議会議員と元職員が官製談合防止法違反の容疑で逮捕された。

神宮外苑再開発 全エリア全樹木データ 保存・移植・伐採と移植難易度の関係は不明(2024/1/19

最多はカイヅカイブキ 外来種のヒマラヤシダー、フウなど目立つ神宮外苑の既存樹木(2024/1/9

氷の微笑、根回し、考え方更新、都市公園とは…神宮外苑を考えるシンポ千葉商大(2023/12/19

うろつくだけで工事妨害!? 暗黒社会へ突入 千代田区 イチョウ守る会を犯罪扱い(2023/12/1

異常事態に発展 二番町と外神田再開発、街路樹伐採 反対する区民ら共同声明(2023/3/14

 経済産業省と東京証券取引所が共同で選定、公表している「健康経営銘柄」「なでしこ銘柄」「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」「健康経営優良法人(ホワイト500)」に選ばれた主な住宅・不動産会社は次の通り。

 「健康経営銘柄」は、長期的な視点から企業価値の向上を重視する投資家にとって魅力ある企業として紹介することを通じ、企業による「健康経営」の取組を促進することを目指すもの。第10回目の今回は27業種から53社を選定した。

 「なでしこ銘柄」は、女性活躍推進に優れた上場企業を選定し、「中長期の企業価値向上」を重視する投資家に魅力ある銘柄として紹介するもので、今回は27社を選定した。

 「健康経営優良法人(ホワイト500)」は、優良な健康経営に取り組む法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業」として社会的に評価を受けることができる環境を整備するもので、大規模法人部門の上位層には「ホワイト500」を冠する。

「健康経営銘柄2024」

野村不動産ホールディングス 初選定。同社はグループ5社(同社、野村不動産​ソリューションズ、野村不動産​、野村不動産投資顧問、野村不動産ライフ&スポーツが初めて「ホワイト」に選出されたと発表。

令和5年度「なでしこ銘柄」

LIXIL 2年連続、8回目の選定。同社取締役 代表執行役社長兼CEO・瀬戸欣哉氏は「この度、通算で8回目のなでしこ銘柄に選ばれたことを大変うれしく思います。世界がかつてないほどのスピードで変化する中、当社は環境や社会の課題と真摯に向き合い、それに対応する革新的な製品やサービスを通じて、LIXILのPurpose(存在意義)である『世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現』を追及しています」とコメント。

三井不動産 3年連続の選定。同社は「ダイバーシティの一層の推進および女性の活躍推進は、グループ長期経営方針『VISION 2025』に掲げている取り組みを支えるインフラであり、当社の変わらぬ基本ストラテジーである『顧客志向の経営』を推進し、多様な顧客に満足いただく商品やサービスを提供するための経営戦略として位置付けています」と発表。

「健康経営優良法人2024(ホワイト500)」

東京建物 4年連続7回目の認定。同社は「2023年度は、適正飲酒を啓発するセミナーや運動習慣促進を目的としたプログラムのほか、対面歯科検診や約1,700名が参加した過去最大規模のウォークラリーイベントを実施し、役職員が健康に働き続けられる環境づくりを推進してまいりました。今後も「東京建物グループ健康経営宣言」のもと、グループを挙げて健康経営を推進し、役職員のウェルビーイング向上に努めてまいります」と発表。

平和不動産  同社は「中期経営計画において、有給休暇取得率:70%以上、がん検診(2年毎)実施率:35歳以上100%、健康診断実施率:毎年100%をKPIとして公表。がん検診費用の全額会社負担、インフルエンザ予防接種費用の全額会社負担。役職員および家族も視聴できる健康や運動、食事に関するWEBセミナーを開催している」と発表。

大東建託 4回目選定。同社は「本年は、大規模法人部門で2,988法人、中小規模法人部門2で16,733法人が認定されるなか、大規模法人部門の上位500法人が認定を受けることができる『ホワイト500』に大東建託を含むグループ5社が選出されました」と発表。

大東建託パートナーズ 初選出

大東建託リーシング 5回目・4年連続選出

日鉄興和不動産 5 回目の認定。同社は「2023 年は社員の『健康意識の向上』『風土醸成』を目的とした【健康増進月間】を年2回に分けて設定し、社員の自律的な健康づくりのサポートを実施した他、グループ企業と一体となったウォーキングイベントも展開し、従業員同士のコミュニケーション活性化にも取り組んできた」と発表。

長谷工コーポレーション 今回で6回目選定。社内診療所「HASEKO CLINIC」が実施する定期健康診断の他に、PET-CT検査(対象:一定年齢以上の社員)の検査費を全額会社負担しており、病気の早期発見による重症化予防対策に取り組んでおり、特定保健指導「長谷工ヘルスチャレンジ」や30代を対象とした健康教育、禁煙施策を実施していると発表した。

森ビル 3年連続認定、業種(不動産業)トップのスコア獲得。「社員一人ひとりが健康で意欲的に仕事に取り組み、ヒルズの先進的な働き方のモデルとなること」を目標に掲げた「戦略マップ」の開示、社員参加型企画「森ビルウェルネスプログラム」の実施、運動器具等の設置、社員およびグループ会社、取引先の社員を対象とした介護セミナーの実施などが評価されたとしている。

野村不動産ホールディングス 

ミサワホーム 認定は6年連続。同社は、社員の健康増進の一環として2018年から毎年開催しているウォーキングイベントでは、対象企業を昨年から拡大し4,600名以上が参加。新たな取り組みとして、ウォーキングイベントへのポイントを加算し卒煙を促す施策や、女性社員向けの健康セミナーなども実施したと発表した。

三井不動産レジデンシャルリース 初認定。同社は、「多様な人材(=社員)が持てる力を最大限発揮するためには、社員一人ひとりが心身ともに健康であることが欠かせない重要事項と捉え、社員が生き生きと働ける職場環境を目指して、健康維持・増進に取り組んでまいりました」と発表した。

パーク24 初認定。同社は、従業員一人ひとりの経験値やノウハウを高め、その能力を存分に発揮できる環境構築の一環として、従業員とその家族に対し、健康を保持増進できる環境づくりを重要視していると発表した。

東急リバブル、イーウェル 東急不動産ホールディングスは、同社とグループ企業6社(東急不動産、東急コミュニティー、東急リバブル、東急住宅リース、東急スポーツオアシス、イーウェル)が「健康経営優良法人2024」に認定され、東急不動産、東急スポーツオアシスの3社は2017年度の認定制度開始より8年連続で認定され、東急リバブルとイーウェルは「ホワイト500」に認定されたと発表した。

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「プロミライズ青葉台」

 横浜市住宅供給公社とURリンケージが参加組合員として事業参画・分譲している築50年の「桜台団地」建て替えマンション「プロミライズ青葉台」を見学した。ランドスケープデザイン、基本性能、価格設定が素晴らしい。これまで見学した建て替えマンションでは最高レベルだと思う。販売総戸数556 戸のうち半数を超える343戸が成約済みというのも納得できる。第3期販売は今夏を予定している。

 物件は、東急田園都市線青葉台駅から徒歩10~14分、横浜市青葉区桜台の第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域に位置する総開発面積約44,635㎡、5~6階建て6棟全761戸(地権者住戸205戸含む)。竣工予定は2025年9月〜2026年5月。設計・監理は松田平田設計。施工は五洋建設。管理は横浜市住宅供給公社。販売代理は長谷工アーベスト、東急リバブル。

 現地は、1967年竣工の「桜台団地」(4階建て全18棟456戸)の建て替え事業で、両社は参加組合員として事業参画。市内の建て替えマンションとしては最大級。昨年4月下旬に物件ホームページを開設し、同7月下旬にモデルルームをオープン後、9月下旬から第1期横浜市民優先枠の登録を開始。これまで2月末現在、問い合わせは4,000件超、モデルルーム来場数は延べ1,180件超。

 供給戸数は385戸(横浜市民優先枠93戸含む)で、2月末で343戸を成約。専有面積は31.50~91.76㎡、販売価格は3,298万~9,298万円。坪単価は290万円。契約者は地元青葉区を中心に横浜市内在住の30代プレファミリー、ファミリー層や東急田園都市線沿居住者、60歳以上のシニアなど。幅広い層から支持されている。都内居住者も2割弱。

 評価ポイントは、①東急田園都市線急行停車駅青葉台駅という都心へのアクセスの良さ②大規模敷地を活用した“自然との一体感”と“充実した共用施設”③将来を見据えたユニバーサルデザインや利便性を叶えた設計や設備④横浜市住宅供給公社とUR リンケージが手掛ける建替え事業という“安心感”-など。

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◇        ◆     ◇

 上段は、物件ホームページと3月8日に公表されたリリースをほぼそのままコピペしたものだ。記者は、単にコピペするだけでは〝か・ち・も・な・い〟と判断し取材を申し込んで実現した。これまで見学した横浜市公社のマンションの質が保たれているのかどうかを確認するのがその目的だ。

 最初に約9分のシアターをみたのだが、記者はシアターを聞き流すことにしている。販促に結びつきそうもない、こけおどしの技巧を凝らしてどうするのだと辟易している(例外は野村不動産他「Tomihisa Cross」だ。「第九」が流れたのには感動したし、商品企画も素晴らしかった)。

 今回はどうかというと、だしぬけに在原業平の「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」の歌が流れた。なかなかの導入だ。テーマは「愛」だった。地域への、建物への、自然への、人々への「愛」を分かりやすく説明されていた。この時点で、どうして人気になっているのかを理解した。質は落ちていないと。「人生は愛」-これが小生のモットーだ。

 ここで「愛」の一つひとつを紹介しないが、比高差20mの高低差を生かしたランドスケープデザインが素晴らしい。敷地の東西軸ほぼ中央に幅24.5m(一部は公道)の「センターウォーク」「シーズンズウォーク」「セントラルガーデン」や共用施設などを配置し、隣接する桜台公園とマンション入り口のバス停を結んでいる。敷地が広いから可能になったのだろうが、設計した松田平田設計はさすがというべきか(同社は東建の諏訪団地の建て替え「Brillia 多摩ニュータウン」も担当している)。

 基本性能・設備仕様では平均72㎡、二重床・二重天井、ディスポーザー、食洗機、Low-Eガラス(廊下側のみ)、浴室タオル掛け2か所、スロップシンク、奥行き2mバルコニーなど。

 これは、他の優れたマンションと変わりはないのだが、嬉しいのは単価設定だ。記者は見学する前、坪単価は300万円を超えても不思議ではないと思いつつ、ひょっとしたら300万円を切るかもしれないと考えていたのだが、290万円と聞いて公社、URの〝良心〟を見た。(敷地に隣接している、駅に近い野村不動産「プラウド青葉台」は坪単価320万円で早期完売したようだが、これはこれで納得)。

 全国の住宅供給公社について。ネットで調べたら全国住宅供給公社等連合会の会員は公社が37団体(他に4法人)とあった。この中で分譲事業を継続して行っているのは横浜公社のみではないか。今後の事業展開について、案内していただいた同公社街づくり事業部街づくり事業課事業推進担当係長・石井浩基氏と同課主事・都出祐司氏に聞いたら「未定」とのことだった。ただ「他の公社と異なり、当公社は賃貸は約700戸しかなく、今後も建て替えを中心に分譲事業を継続して行っていく」とのことだった。

 横浜の建て替えマンションでは、新日鉄都市開発・三菱地所「横濱紅葉坂レジデンス」がいい物件だった。設計は日建ハウジングシステム。

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現地

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桜台公園

今度は横浜のど真ん中人気必至の横浜公社「横浜MIDベースタワー」(2016/1/28)

横浜市住宅供給公社定借戸建て「十日市場」全11戸即日完売へ(2011/2/2)

「横浜ポートサイド」の再現なるか横浜市住宅供給公社「マークワンタワー長津田」(2011/7/22)

横浜市住宅公社&伊藤忠都市開発「アイマークス横浜桜木町」(2009/2/9)

横浜公社が全国初の億ション その英断に拍手喝采(2007/11/2)

東京建物「Brillia 多摩ニュータウン」1期から3期2次まで617戸が即日完売(2012/10/22)

花咲団地建替えマンション 人気必至 新日鉄都市・三菱地所「横濱紅葉坂レジデンス」(2010/5/24)

 


 

 

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「ジオ板橋大山」 

 阪急阪神不動産が分譲中のマンション「ジオ板橋大山」を見学した。ハッピーロード大山商店街から一歩入った、お茶の水女子大学国際学生宿舎跡地の事業期間(居住期間)70年の定期借地権付き分譲マンション(総戸数285戸)。昨年12月から販売を開始しており、年明けからも勢いは変わらず成約数は100戸を突破している。

 物件は、東武東上線大山駅から徒歩6分、板橋区仲町の第1種住居地域(許容建ぺい率60%、許容容積率254.52%)に位置する敷地面積8,000㎡超、10階建て総戸数285戸。専有面積は55.85~88.65㎡。3月10日現在の先着順で分譲中の住戸(9戸)の専有面積は68.42~72.16㎡、価格は6,190万~7,430万円(最多価格帯6,300万円台)。平均価格は6,900万円台。借地期間は2098年7月31日まで(建物解体期間を含む)。月額地代は13,350円~14,080円、月額解体準備金は11,640円~12,270円。竣工予定は2025年2月。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。販売代理は伊藤忠ハウジング。

 昨年6月からのエントリー数は約1,700件、9月からオープンしたモデルルーム来場者は約500件、12月から第1期(1・2次)を供給。追加供給も含めて約100戸を成約済み。

 現地は、お茶の水女子大学国際学生宿舎跡地で、事業期間(居住期間)は70年。敷地南側と西側に接道。隣地との間隔は東側が約14m、西側が約16m。建物はコの字型で、標準階の住戸プランは南向きが8戸、東向きが13戸、西向きが12戸。

 主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ、ディスポーザー、食洗機、御影石キッチン天板、Low-E複層ガラス、廊下960ミリ(一部除く)、防犯ガラス(一部)、浴室タオル掛け2か所など。共用施設はブックラウンジ、ワークラウンジ、パーティラウンジ、ゲストルームなど。他に棟内児童福祉施設の開設が予定されている。

 販売担当の同社住宅事業本部首都圏マンション事業部販売グループ・生方遼氏は、「フラッグシップの位置づけ。販売は順調で想定内。御影石キッチン天板は当物件の標準仕様。販売は伊藤忠ハウジング様に委託していますが、今後供給予定の物件については自社での販売体制を強化していきたい」と語った。

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緑道

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エントランスホール

 

 

◇        ◆     ◇

 同社単独のマンション見学は2017年の隈研吾氏がデザイン監修した「ジオグランデ元麻布」(19戸)、2018年分譲の「ジオ元赤坂」(22戸)以来久々だった。

 坪単価はこれくらいだろうと予想していたのでぴったりだった。少し気になったのは、同社に限ったことではないが、モデルルームを約68㎡にしているように、全体として専有圧縮型が中心だったことだ。

 これは、坪500万円をはるかに突破している池袋駅圏や東武東上線のマーケット、大山の地域特性を考慮した結果だと思う。ストライクゾーンを外さない戦略と見た(冒険もしてほしかったが…100㎡超でも何戸かは売れるはず)。商品企画では御影石キッチン天板、浴室タオル掛け2か所、タンクレストイレなどに同社のこだわりがみられる。

 定期借地権付きはネックにならないはずだ。平成3年(1991年)に借地法と借家法が改正され、定期借地権制度が創設されてから30年が経過した。すっかり市民権を得ている。最近の首都圏マンションでは東京建物の「西早稲田」(454戸)や三菱地所レジデンス「市谷加賀町」(228戸)が人気になっている。

 平成6年に分譲された首都圏初のサミュエル「グランビューあざみ野」(34戸)は定借期間は確か40年のはず。カウントダウンが始まった。中古市場でどのように評価されているか分からないが、残存期間の賃料に換算した価格で取り引きされているのではないか。

販売部隊を拡大というのは正解だと思う。販売部隊を持たない大手(系)マンションをたくさん取材してきたが、貴重な顧客情報が蓄積されず、物件によって商品企画が異なり、売れ行きにばらつきがみられる。

 マンションだけでなく、同社はビル事業なども首都圏で強化するというから見ものだ。

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