RBA OFFICIAL
 

02_ラウンジ_1.jpg
「SOCO HAUS KORAKUEN」ラウンジ

 三井不動産レジデンシャルは3月15日、同社グループの事業提案制度「MAG!C」に採択された、単身女性をターゲットとしたシェアリング型賃貸レジデンス「SOCO HAUS KORAKUEN」を開業する。開業を前にした3月7日、施設を報道陣に公開した。

 物件は、東京メトロ後楽園駅から徒歩9分、都営地下鉄大江戸線・三田線春日駅から徒歩9分、文京区春日二丁目に位置する敷地面積約755㎡、6階建て全76室、専用面積は15.90~18.00㎡。賃料は、水光熱費含め標準階(4階)で11.7万円(2.5万円)。竣工は1998年。竣工は2024年2月。入居開始は2024年3月15日。設計・施工はGOOD PLACE。従前は同社グループの男子独身寮で、3年前に同社事業創造部事業室主事・藤原圭佑氏(35)が提案した事業提案制度「MAG!C」に採択された。

 「SOCO HAUS(ソコハウス)」は、築23年の同社グループの男子独身寮をリノベしたもの。入居者の嗜好性にフォーカスし、ライフスタイルや価値観に合った生活を提案することで、都会の〝身軽でゆたかな暮らし〟を提案するもの。洗面・トイレ・シャワー室の3点セットを備えた約16㎡の専用面積のほか、1階と2階の一部に共用施設のラウンジ、ライブラリー、キッチンスタジオ、グローサリー、シアタールーム、トレーニングルーム、ランドリーなどを整備している。 

 藤原氏は「MAG!C」に採択された経緯について、「同僚などからのヒアリングを通じて、一人暮らしの住まいの課題を洗い出し提案に至った。女性にフォーカスし、一般的なシェアハウスとは異なる、入居者が豊かに暮らし、共用施設をシェアリングできるようにした。多くの企業ともコラボして企画意図を検証するとともに、ニーズを探っていく。ゲスト(異性)もウェルカム」などと説明した。

 企画に参画しているホテルプロデュースカンパニー水星・龍崎翔子氏は「働く女性のライフスタイル・ステージが変わるスビートが早くなっている。プライベートを確保しながら豊かに暮らせる空間提案に力を入れた」と話し、建築家で「ひとともり」代表取締役・長坂純明氏は「わたしにも24歳の娘がいる。価値観は(われわれとは)全然異なる。こだわった消費活動をする。そうした価値観、クオリティを大事にする世代のニーズに応えるため〝うそもの〟はひとつも採用していない」と語った。

 物件PR、募集活動はSNSや公式サイトなどDtoC 型手法を採用し、昨年8月から開始した会員登録は900人以上に達しており、2~3月に行った内覧会には300人超の予約がある。

 企業コラボに参加している企業はSoup Stock Tokyo、THE PERSON、Otonami、Hogara、TENTIAL、CARTA、TWINBIRDなど。

IMG_5371.jpg
左から長坂氏、龍崎氏、藤原氏

05_ライブラリー.jpg
ライブラリー

07_トレーニングルーム.jpg
トレーニングルーム

08_キッチンスタジオ.jpg
キッチンスタジオ

04_ファイヤープレイス.jpg
ファイヤースペース

09_ランドリールーム.jpg
ランドリールーム

10_居室(モデルルーム)_1.jpg
居室(モデルルーム)

◇        ◆     ◇

 事業提案制度「MAG!C」はとても面白い。成功するか失敗するかは当人を含め誰も分からないはずだが、「日々妄想」(植田俊社長のモットー)、やってみなければわからない。今回の提案も無限の可能性を秘めていると思う。 

 これまで見学したシェアハウスは三菱地所「ザ・パークハウス レックス 永福町」が、学生レジデンスでは長谷工コーポレーション「コムレジ赤羽」が突出していた。

 しかし、素晴らしいとは思ったが、違和感も覚えた。施設は立派だが、自由がない。24時間監視付きで、同性はともかく異性の入室も強く規制され、収容所と大差ないと感じた。独り立ちできるのだろうかと。われわれの世代の賃貸住宅(多くは間借り)も規制はあった。「牧田さん、昨夜はこれまでの女性とは違いましたね」などと嫌みの言葉を大家かけられたが、それ以上は追求されなかった。

 今回見学した施設(寄宿舎)も規則・ルールはあるのだろうが、同性・異性を招き入れるのは不可ではない。立派と言うほかない。1泊2,000円。(どこかの記者は「1泊2,000円なら1か月6万円で同棲できるではないか」と質問し、同社は「そこは常識の範囲内で…」と答えたそうだ=内覧会は2部制で、小生が参加したグループの記者からはそんな失礼な質問をする記者はいなかった=この話をかみさんに話したら「普通の女性はいいかもしれないけど、若い女性は風紀が乱れるわよ」と話した=普通の女性がどのような女性で、彼女の若い時はどうだったのか、風紀の意味も聞かなかった=いま記者はミラン・クンデラ「存在の耐えられない軽さ」を20年ぶりに再読している。自由とは何か。分からない)

 そんなことより、記者が感動したのは長坂氏の「嘘ものは一つもない」言葉だった。あちらこちらに配置されている観葉植物しかり、床や壁はマツやオーク材、籐椅子、天童木工の家具、和歌山の山から切り出した杉や信楽焼の椅子、天然目によるテーブルの縁取り、越前瓦タイルのテーブル天板、燕市のツインバードのオーブントースター、Mieleの洗濯機…などだ。そんなはずはないと、2階の手摺りに巻かれていたのも本物の籐だった。

 記者は、施設(寄宿舎)がターゲットとするミレニアル世代やZ世代のことはよく分からないのだが、どのような評価を受けるのかとても興味がある。同社によると、近隣のハイクラスの賃貸マンションの相場は25㎡で14~15万円(坪1.9~2.0万円)だそうだ。賃料(値段)が同じだったら広さ(量)か仕様(質)か、外観(容姿)か中身(空間)か、悩ましい選択だ。ミレニアル世代、Z世代はどちらを優先するか、1~2年後には回答が出るはずだ。

IMG_5377.jpg
ラウンジテーブル

IMG_5380.jpg
丸太スギのテーブル・籐椅子

IMG_5385.jpg
Mieleの洗濯機

IMG_5392.jpg
2階手摺り

IMG_5396.jpg
外観

「産業デベロッパー目指し、日々妄想」植田俊・三井不動産次期社長(20223/12/11)

三井不「MAG!C」発〝孤育て〟支援 ママ・パパ休憩室付き一時預かり保育施設開設(2024/1/13)

レンタブル比67% わが国初の社会人・学生・賃貸の複合 長谷工「コムレジ赤羽」(2022/3/2)

壁面にアートがいっぱい 三菱地所レジ 初のシェアハウス「永福町」完成(2018/4/27)

 

d98747b122a41a9240a5ec88ef47bd71.jpg
「Brillia Tower 千葉」

 東京建物・野村不動産・中央住宅・ファーストコーポレーションは3月5日、JR千葉駅から徒歩4分の三越千葉店跡地の免震マンション「Brillia Tower 千葉」の第1期90戸の登録申し込みを3月9日から開始すると発表した。

 建物は免震構造で1・2階に商業施設や保育所を整備し、街のにぎわいを創出する。2023年9月のホームページ開設以来、総エントリー数は2,800件を超え、2024年1月6日に公開したモデルルームの延べ来場者数は700組超(2024年2月25日時点)。

 物件は、JR千葉駅から徒歩4分、千葉市中央区富士見二丁目の商業地域に位置する23階建て全491戸(募集対象外10戸含む)。専有面積は33.99~160.10㎡、第1期(90戸)の専有面積は58.26~160.10㎡、価格は6,588万円~29,998万円(最多価格帯8,400万円台)。登録受付は2024年3月9日(土)~3月20日(水・祝)。設計・施工はファーストコーポレーション。デザイン監修は光井純アンドアソシエーツ建築設計事務所、Oil。竣工予定は2026年8月下旬。

◇        ◆     ◇

 取材を申し込んでいるのだが、顧客対応に忙殺されているようで実現していない。埼玉県の県都・浦和駅前の再開発マンションは坪500万円を突破するのは間違いないが、千葉駅前の一等地とはいえそこまでは無理で、坪単価は最低で350万円、均して400万円に届くかどうかだと予想している。「Brillia」はその壁を突破するか。高値を追求できないのは、千葉県下で〝価格ありき〟のマンションを供給してきたデベロッパーにも責任がある。

外観.jpg
「(仮称)軽井沢駅北口東側遊休地活用事業計画」

 三菱地所は3月6日、軽井沢駅北口直結の「(仮称)軽井沢駅北口東側遊休地活用事業計画」の新築工事を3月1日に着手したと発表した。

 しなの鉄道が所有し、1997年の北陸新幹線開業により廃線となった旧信越本線の線路跡地を活用するもので、敷地を同社が賃借して軽井沢駅自由通路直結の商業施設を開発、アクアイグニス、カルチュア・コンビニエンス・クラブが温浴施設や宿泊施設、飲食・物販店舗等を運営する。開業は2026年春の予定。

 物件は、JR北陸新幹線・しなの鉄道軽井沢駅から徒歩1分、長野県北佐久郡軽井沢町に位置する敷地面積約13,000㎡、鉄骨造・平屋建て・2階建て6棟の延床面積約5,400㎡。用途は温浴施設・宿泊施設、飲食・物販店舗など。

 

240215_Renovation_Dual_1.jpg
「ヴィラヴェール武蔵新城」

 高齢の一人暮らしの親と子どもの同居を想定した、コスモスイニシアのリノベーションマンション「ヴィラヴェール武蔵新城」を見学した。2月中旬に販売開始し、すでに成約済み。契約者は企画意図と異なる夫婦二人だが、専有面積81㎡の圧倒的広さが評価されたようだ。

 物件は、JR南武線武蔵新城駅から徒歩7分、川崎市高津区千年新町に位置する5階建て全60戸。専有面積は81.76㎡。売り出し価格は5,980万円(坪単価242万円)。竣工は1992年2月。分譲時の事業主は荏原製作所。

 プランは、高齢の独り暮らしの親と成人した単身の子の二世帯が同居することを想定。12.8帖大のリビング・ダイニングは、親の部屋の間の間仕切りをなくし(スライドドア付き)、親の部屋と子どもの部屋は収納スペースを挟んで直接接しないように配置。洗面はL型とし、二人が同時に使用できるようにし、浴室は16×16サイスで引き戸を採用。子ども部屋にはシンク付きバーカウンターを設置。親と生活スタイルが異なっても、気兼ねなく過ごせるようにしている。6帖大のゲストルームも設けている。

240215_Renovation_Dual_8.jpg
子ども部屋

240215_Renovation_Dual_2-3wp.jpg

Screenshot 2024-03-07 at 08-25-41 【BEFORE】ヴィラヴェール武蔵新城504 - 【BEFORE】ヴィラヴェール武蔵新城504.pdf.png Screenshot 2024-03-07 at 08-24-23 【AFTER_竣工前】ヴィラヴェール武蔵新城504 - 【AFTER_竣工後】ヴィラヴェール武蔵新城504.pdf.png
before and after

IMG_5345.jpg
幅1.4mの玄関(他社はどうしてやらないのか)

IMG_5352.jpg
L型洗面

◇        ◆     ◇

 同社の2023年3月期のリノベーション事業は、売上高160億円(前期比5.3%増)、売上総利益率13.4%(同0.3ポイント増)、引き渡し戸数313戸(同42戸減)だ。単純計算すると、戸数は新築の427戸より114戸少なく、利益率は新築の22.5%より低いが、1戸当たり価格は5,135万円で、新築の4,699万円より高い。利益率が新築より低いのは、リノベ費用が掛かり、手間・暇を掛けるからだろう。

 他社のリノベ物件は見ていないので比較は難しいが、同社の物件は結構見ている。ターゲットを絞り込む戦略が奏功しているとみた。近い将来、新築を逆転するかもしれない。

 今回の物件もよく考慮されたプランだ。玄関・ホールの演出がいい。従前は尺モジュールだったのを、下足入れを犠牲にして幅約1.4mに広げている。住宅の顔である玄関の演出に力を入れているのは、同社のマンション、戸建ての十八番だ。リノベーションでも生かされている。

 シンク付きの子ども部屋も納得だ。夫婦間でも別室を希望する人は一定数いるし、生活スタイルが異なる親と子には受けるはずだ。多目的に利用できるゲストルームの提案もいい。

 購入者は企画意図とは異なる夫婦二人と言うことだが(これはよくあるケース)、圧倒的な広さと、武蔵小杉の新築のほぼ半値という価格が評価されたのではないか。従前は荏原製作所の社員寮と聞いたが、全体的にレベルは高い。天井高は2400ミリだが二重床。周辺は戸建て住宅街。駅からのアプローチも「江川せせらぎ遊歩道」を利用できる。取材の帰り、シラサギをみた。

 同社が10年前に分譲した「イニシア武蔵新城」の記事も添付する。

IMG_5359.jpg IMG_5357.jpg
現地

IMG_5360.jpg IMG_5369.jpg
「江川せせらぎ遊歩道」

コスモスイニシア 「武蔵新城」見学会で改めて企画の大事さ学ぶ(2015/7/27)

コスモスイニシア 創業40周年の「武蔵新城」 30年前の「シカク」蘇る(2014/10/9)

締結式の様子.jpg
竹内氏(左)と芳井氏

 大和ハウス工業と大東建託は3月5日、両社グループが管理する賃貸住宅約189万戸の平時・有事の協業・情報共有を推進し、地域の防災力向上と入居者の安心・安全の暮らしを提供する「災害における連携及び支援協定」を締結したと発表した。

 協定の対象となるのは、大和リビングか管理する約65万戸、大東建託パートナーズが管理する約124万戸、合計189万戸で、平時では全国の賃貸住宅入居者のほか、オーナー、地域住民を対象としてAEDの講習や水災・火災のVR体験、消火訓練などの防災イベントを共同開催するなど、有事を想定した情報連携により、地域防災力の強化を図る。

 震度6弱以上の地震の発生もしくは警戒レベル5「特別警報」が発令される有事の際には、両社グループで協議のうえ、共同対策本部を設置。被災地域の状況調査結果や空室情報、被災者支援策を共有することで、被害状況を把握し早期の災害復興に役立てるとともに、被災地域の賃貸住宅入居者の仮住まいを融通し合あう。

 あわせて、大和ハウスグループのロイヤルホームセンターとも連携を図り、災害用備蓄品や復旧用資機材を必要に応じて供給し、大和ハウス工業の全国9か所の工場に移動式貯水タンクを設置し、有事の際、被災地域の賃貸住宅入居者に生活用水を配給する。

 会見に臨んだ大和ハウス工業代表取締役社長・芳井敬一氏は協定締結の経緯について、「2018年の岡山水害の現場を見て、当社が施行した建物は何ともないのに隣は大きな被害を受けていたりその逆もあったりした。同じ被害であるのに、このような差が出るのか、1日も速く賃貸住宅の平和をとりもどせないかずっと考えてきた。そんな折、昨年、三井住友海上さんから大東建託さんの取り組みを紹介された。大東建託さんとはお会いしたいと考えていたので、竹内(社長)さんにお会いし、非常に素晴らしい、ぜひ進めましょうと即決していただいたのがスタート。(管理戸数)業界トップの大東建託さんと組むことは世の中に大きなインパクトを与える。いかに被災者の方々の笑顔を取り戻すかが協定締結の主旨。このような輪を広めていただきたい。トップ同士の決断が大事だということも分かった」などと話した。

 大東建託代表取締役社長執行役員・竹内啓氏は、「当社グループはこれまで個社で平時の防災イベント・訓練を実施してきており、有事には被災地の状況調査、そしてオーナー、入居者様の支援策に取り組んできた。(昨年には)『大東建託グループ防災ビジョン2030』を策定した。ビジョンは『地域の“もしも”に寄り添う』という理念のもと、地域防災を平時と有事の両輪で支援し、当社グループ全体で災害時の地域の早期復興に寄与していくことを目指すもの。今回の連携によって、安心・安全により効果的な活動ができると考えている。両者の基盤をいかし、密に連携し迅速な対応を行っていく。地域全体の防災力の向上、地域住民の命と財産を守ることに少しでも貢献できればと考えている」と語った。

◇        ◆     ◇

 両社から共同会見の案内を受け取ったときは、双方は敵ではないにしろ、オーナーを奪い合う競合関係にあるはずで、協定締結の意図は何なのかよく分からなかった。

 しかし、この日(5日)、芳井氏と竹内氏の話を聞いて、疑問は氷解した。考えてみれば、公助はあてにできないことをみんな知っている。ましてや防災・防犯は個社の力でできるものではない。日ごろから地域全体の防災・防犯の取り組みを行っていくことが大事なことも分かっている。問題はだれがやるかだ。

 それを両社は決断した。両社グループが管理する賃貸住宅は、全国の賃貸住宅約1,500万戸の12~13%にしか過ぎないと考えることもできるが、大変な数字だ。いかにこの種の取り組みが困難であるかの例を示す。。

 マンションの管理計画が一定の基準を満たしていれば地方公共団体が認定する管理計画認定制度が令和4年度からスタートした。令和5年12月末時点で認定実績は378件(国土交通省が把握しているもの)しかない。全国のマンションストック約694万戸(2022年末時点)に対する戸数割合は示されていないが、0.3%程度と思われる。制度は遅々として進んでいない。

 これとは別に、マンション管理状況を★5つで評価するマンション管理業協会のマンション適正管理評価制度がある。2023年12月末現在、登録件数は2,624件となっている。同協会は令和6年度末までに1万件の登録を目指している。

この1万件がどのような数字かについて、同協会副理事長・小佐野台氏(日本ハウズイング代表取締役社長CEO)は2023年6月の総会後の懇親会で「一言だけ皆さんにお願いしたい。2年後のマンション適正管理評価件数を1万戸にするには、会員354社の管理件数の1割で達成できます。ちょうど1割、たった1割で達成できます」と呼び掛けた。これまた容易な数字ではない。

 賃貸住宅は両社が管理しているから可能なのだろうが、芳井氏も話したようにトップダウンで即決即断したのが決め手ではないか。仕掛け人の芳井社長は元ラガーマンだが、最前線の押し合いへし合いのFWではなかった。確かBKで司令塔的な役割を果たしていたはずだ。今回の協定も賃貸市場を冷静に俯瞰し決断したはずだ。ラグビーは試合が終わればノーサイド。お互いが健闘を称えあう-そのようなスポーツマンシップが生かされたと記者は理解した。ボトムアップだったら途中で頓挫していた可能性が高い。両社長の決断に天晴れ!座布団5枚!

◇        ◆     ◇

 会見で、大東建託は全国58拠点で18の自治体と防災協定を締結していることを知った。災害時に飲食料、防寒具などの災害支援物資の提供、帰宅困難者の一時的な受け入れ、災害時にガス・電力・水などのインフラの提供などだ。

 マンションを避難ビルに指定したり、施設を帰宅困難者に提供したりする事例は聞いているが、これほど多くの拠点で自治体と協定を結んでいる企業は他にあるのか。

IMG_5343.jpg
生活用水用の1000リットル入り貯水タンクを前に、左から大東建託取締役常務執行役員・守義浩氏、竹内氏、芳井氏、大和ハウス工業取締役常務執行役員 集合住宅事業本部長・出倉和人氏(大東建託は能登半島地震でも二缶セットで10回現地に運んだという)

 

 三菱地所レジデンスは33日、第一種低層住居専用地域位置し、かつ国分寺崖線に近接する全館空調システム付き「ザ・パークハウス 等々力」(39戸)の第1期分譲15戸を販売した結果、3戸に申し込みが入った。

坪単価は非公表だが、74㎡で11,980万円(535万円)、124㎡で25,780万円(686万円)だった。(記者は坪700万円を突破しても売れると見ていたのだが

国分寺崖線に近接する1低層&全館空調採用 三菱地所レジ「等々力分譲(2024/2/20

 

 ケイアイスター不動産は2月27日、オーストラリア現地法人KI-Star Real Estate Australia Pty Ltdの戸建てやタウンハウスの販売が好調に推移していると発表した。

 同社は2020年に海外事業部門を立ち上げ、2021年にオーストラリア ビクトリア州に現地法人のKAU社を、2023年5月にKAU社と現地デベロッパーの合弁会社MunCorp Pty Ltdをそれぞれ設立。以降、これまで2年間で累計100区画を開発。現在、7つのプロジェクトを推進中。

 同社独自の「ケイアイプラットフォーム」の目利きとデータドリブンのアプローチがオーストラリア市場でもその効果を発揮しているとし、今期・来期に累計600区画以上の用地確保を目指し、今後ビクトリア州を中心に豪州での戸建住宅の開発を推進していく。


 

 

 大和ハウス工業は3月4日、タイ王国で物流施設や工場の開発などを展開する最大手のWHA Corporation PCLが共同出資するベトナムの現地法人と、首都ハノイから東へ約40kmのフンイエン省「ミンクアン工業団地」内のマルチテナント型物流施設「DPL Vietnam Minh Quang」(平屋建て敷地面積約70,109㎡、延床面積約42,330㎡)を着工したと発表した。同社のベトナム北部での初の開発物件。

 同社は、「第7次中期経営計画(2022年4月~2027年3月)」で、海外事業は2026年度には売上高1兆円、営業利益1,000億円を目指すとしており、ASEAN・東アジアでは売上高500億円を計画している。

◇        ◆     ◇

 三井不動産は3月4日、米国子会社Mitsui Fudosan America, Inc.を通じ米国を代表する不動産開発・投資会社であるTishman Speyerと共同事業契約を 締結し、2事業へ出資したと発表した。同社初の米国物流施設事業に参画するもので、出資上限額は5億ドル(約680億円)。

 2事業は、カリフォルニア州オレンジ郡アーヴァイン市に位置する「(仮称)Great Park Parcel 1」(延床面積約55,300㎡)と、カリフォルニア州サンフランシスコ市の既存物流倉庫を取得し、リニューアルする「(仮称)2225 Jerrold」。

 

 MLB最優秀賞に輝いたエンゼルス大谷翔平選手が、10年間で1,000億円を超える契約金でドジャースに移籍したことで世界は沸き立った。2023年12月22日付日経新聞は「関西大の宮本勝浩名誉教授は――ドジャースに移籍したことによる2024年の経済効果が約533億5,200万円に上るとの試算を発表した」と、2024年3月2日付日刊スポーツは「大谷の『商品価値』」は、やはり10年総額1,000億円超の年俸だけでは計れそうにない」とそれぞれ報じた。

 野球だけでなく、最近は従来のサッカー、ゴルフなど一部のスポーツだけでなく、パリオリンピック2024の開催年でもあることから卓球、バトミントン、バスケット、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィン、フェンシング、パラスポーツなどメダルが有望な選手・種目にも注目が集まっている。

 そこで、主なデベロッパー、ハウスメーカーのスポーツ・スポンサーシップ、CSRの取り組みを紹介する。従来は、「ブランド力向上」「販売促進」などが主な目的で、自社のロゴや看板の露出時間をテレビ広告料に換算してスポンサーシップの効果を計ってきたが、最近は様々なイベントを活用してSNSなどで直接消費者にアピールし、ビジネスにつなげているのが特徴だ。(あいうえお順)

・いちご  Jリーグトップパートナー。ウエイトリフティング部、ライフル射撃部の部活動も。

・エイブル スキージャンプ髙梨沙羅、プロテニスプレーヤーダニエル太郎、スノーボードアルペン竹内智香などのスポンサー。首都大学サポート企業。

・オープンハウスグループ ヤクルトスワローズのトップスポンサーとして知られており、村上選手が史上最年少で三冠王を獲得した2022年に「3億円の家」をプレゼントし全国区になった。3億円は2023年9月期決算の経常利益1,369億円の0.002%。このほか「つば九郎ハウ巣」を建設したり「日本で一番スワローズな家」を販売したりした。

・木下グループ フィギュアスケートでは圧倒的なテレビ露出時間を誇る。卓球、サーフィンなどのスポンサーにもなっている。

・ケイアイスター不動産 2015年から障がい者アスリートを継続して雇用しており、2019年4月にケイアイチャレンジドアスリートチームを発足。「デフフットサル」、「デフサッカー」「ろう者柔道」「車いすバスケットボール」「車いすバドミントン」などで活躍中。

・コスモスイニシア 2007年に発足した小学校4年生以下を対象とした野球大会「コスモスイニシアJr.カップ」に協賛している。

・サンフロンティア不動産 日本トライアスロン連合(JTU)のオフィシャルスポンサー。

・スターツ 日本卓球協会トップパートナーで、伊藤美誠選手などが所属。陸上競技部を持ち、東京マラソンなどのスポンサーにもなっている。

・積水化学工業 卓球早田ひな、テニス内山靖崇などの支援活動を行っている。

大成有楽不動産 国立競技場の施設運営会社。

・大和ハウス工業 日本サッカー名蹴会、日本パラ水泳連盟、日本トライアスロン連合、全国野球振興会、湘南ベルマーレ、日本視覚障害者柔道連盟などのスポンサー。

・東急不動産 会員制フィットネスクラブ「東急スポーツオアシス」を運営しており、2022年度の売上高は155億円。

・東京建物 2024年秋開業予定の東京都の「有明アーバンスポーツパーク」の整備・運営を行う事業者の代表企業に選定されている。日本障がい者スポーツ協会のオフィシャルパートナー。

・日本エスコン エスコンフィールド北海道日本ハムファイターズのネーミングライツを取得。球場周辺の大規模開発「北海道ボールパークF ビレッジ」内で様々な不動産開発事業を展開している。

・野村不動産 野村不動産パートナーズはパラアスリート支援を行っており、「東京都スポーツ推進企業」に7年連続、文化庁「スポーツエールカンパニー2023」に6年連続でそれぞれ認定されている。スポーツクラブ「メガロス(MEGALOS)」を運営する子会社・野村不動産ライフ&スポーツの売上高は 150億円(2023年3月期)。

・長谷工コーポレーション  「学生駅伝」オフィシャルパートナー。

・ポラスグループ 本場徳島、東京高円寺とあわせ日本三大阿波踊りの南越谷阿波踊りの協賛会社として知られるが、スポーツでは浦和レッズのトップパートナースポンサー。

・三井不動産 同社は3月1日、商業施設事業とスポーツ・エンターテインメント事業の連携を加速させるため、「商業施設本部」を「商業施設・スポーツ・エンターテインメント本部」に改称し、ソリューションパートナー本部の「東京ドーム事業部」を同本部に4月1日付で移管すると発表。組織改正に伴い、常務執行役員・若林瑞穂氏が同本部長委嘱に就任し、副本部長委嘱に肥田雅和氏が執行役員として昇格すると発表した。

 2021年に株式の80%(残りは読売新聞社)を取得し子会社化した東京ドーム運営では、シェアオフィスなどのリニューアル工事を施した。2023年3月期の売上高は731億円。年間来場者数は4,000万人。来場者の数は、新宿伊勢丹の約2,500万人、東京ディズニーランドの約2,200万人をはるかに超える。

 2016年から子どもを対象とした「三井不動産スポーツアカデミー」は2024年2月現在、開催件数は26回を数える。

 また、同社は2027年開業予定の新秩父宮ラグビー場の運営企業として鹿島建設(代表企業)、東京建物、東京ドームなどとともに参画することが決定している。

・三菱地所 同社グループは「三菱一号館美術館」の運営のほか、メセナ大賞に輝いた「Shall Weコンサート(出張コンサート)」「キラキラっとアートコンクール」「藝大アーツイン丸の内」「アートアワードトーキョー 丸の内」など文化・芸術活動支援に力を入れている。

 スポーツ分野では、日本開催のラグビーワールドカップではオフィシャルスポンサーとなり、様々なイベントを開催した。日本障がい者スポーツ協会のオフィシャルパートナー。

・リスト 横浜FCのドリームパートナーのほか、横浜マラソン、トライアスロンなどに協賛し、プロスキーヤー佐々木明選手とスポンサー契約を結んでいる。

◇        ◆     ◇

 従業員の健康増進のためにスポーツ活動の促進に積極的に取り組む企業を認定する文化庁の「スポーツエールカンパニー」は1,246社、従業員のスポーツ促進やスポーツ支援に取り組む企業等を認定する東京都の「東京都スポーツ推進企業」は483社。

 企業メセナ協議会の「Mécénat Report2022」(回答企業517社)によると、メセナ活動費総額は663億円で、内訳は企業が183億円(n=254)、財団(n=166)が480億円。令和4年度の企業版ふるさと納税実績は、金額が341億円(前年度比1.5倍)、件数が8,390件(同1.7倍)となっている。

 経団連が1990年度から毎年度報告してきた、会員企業による社会貢献活動の動向調査「社会貢献活動実績調査」は2017年度で終了しており、2019年4月、任意団体としての「1%クラブ」を解散し、経団連企業行動・CSR委員会(2019年5月に現委員会名称に変更)の下部に「経団連1%クラブ」として位置づけ、活動している。2017年度の社会貢献活動支出額は回答企業全体で1,997億円、1社平均では5億9,300万円となっている。

 これらの額が多いか少ないか分からないが、東証日経平均株価が4万円を本日(3月4日)突破したことを考えると、圧倒的に少ないような気がするが…。

 

Screenshot 2024-03-02 at 17-38-40 n2024030101416.pdf.png
対象エリアは青の部分

 スリー・ワイ・エム・ディ・オールコーポレーションをはじめとした30者(個人含む)は3月1日、新大阪駅南口エリア(本地区)のまちづくりを検討する組織「新大阪駅南口エリアまちづくり協議会」設立し、運営推進パートナーの野村不動産、計画作成パートナーの東急不動産、西松建設、丸紅都市開発とともに本地区の活性化、街の価値や魅力の向上などの取り組みを行っていくと発表した。本地区の対象エリアは約13ha。

 協議会設立の背景・経緯として「本地区において2023年より民間主導の勉強会等を開催し、地権者の皆様と意見交換等を行ってきました。その中で、本地区では駅の乗降客数が多いにもかかわらず、駅から外への人の流れが少ないことや、築40 年の老朽化した建物が増加しているなど多くの課題を抱えていることを共有し、将来のまちづくりビジョンなどを組織として検討する」ためとしている。

 今後、勉強会の実施、知名度向上のための各種イベント、行政機関などとの連絡、協議、調整、「まちづくりビジョン」や「地区整備方針」などの策定を行っていく。

◇      ◆     ◇

 新大阪駅は、取材のために数えきれないくらい乗り降りしたが、駅構内から外に出た記憶はない。どのような街か全然知らない。「うめきた」に負けない街づくりはできないのか。参加企業は「うめきた」にも加わっていない東京の会社ばかりというのはなぜか。13haといえば「HARUMI FLAG」と同じだ。

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン