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 ひどい世の中になってきたものだ。西村経済再生相は一昨日、「屋外でマスクを付けていても感染が相次いでいる」と発言した。外に出るなということか。宣言前はタバコ2本を吸うためにコーヒー代に1,350円も払って京王プラザを利用したが、今はどこも酒、たばこは禁止。昨日は仕方なく、スーパーで缶ビールを買って、公園ベンチに座り、むき出しでは白い目で見られそうなのでビニール袋に入れて、本を読みながら飲んだ。西武ライオンズは負けが込み、ついに5位転落。取材は7日に2本、11日に1本のみ。

 やることがないから、わが業界紙の最新号を読んだ。これがまたひどい。記者のぼやきなど読みたくないだろうが、ざっと以下の通りだ。

 「住宅新報」の5月4日号Web版。面白そうな記事見出しをチェックした。トップは「春の繁忙期 首都圏賃貸住宅市場 コロナ転機、コア業務に注力 需要変化と顧客対応」だが、記者は賃貸住宅市場に興味はないのでスルー。もっとも興味があるマンション・開発分野は、独自取材によるニュースはなし。

 びっくりしたのは、「野村不HD 21年度売上高、利益とも過去最高 住宅と海外が業績をけん引」の記事だ。同社の2021年3月期はコロナの影響を受け減収減益たったのでフェイクニュースかと思ったら、なんと2022年3月期の予想記事だった。決算数字は遅行指標だから、次期決算予想について書くのは勝手だが、コロナがどうなるかわからない時点でこの種の記事を書くのはいかがなものか(同社は商業、ホテル事業の比率は高くないのは理解できるが)。まず事実から先に報じるべきだ。

 〝羊頭狗肉〟の極めつけは「ニュースが分かる! Q&A エリア別首都圏コンパクトM事情 高額化で供給エリア変動」だった。このところのコンパクトマンションの価格(坪単価)上昇について触れたものだが、自ら足で稼いだ情報(情報源は予想がつく)ではないので、真新しい具体的な動きについてはなにもなし。「先輩」と「後輩」のばかばかしい漫才で終始している。紙がもったいない。

 蛇足ながら、人の財布の中身を探りたいのは小生も同じ。「後輩」の方は足立区の40㎡のマンションを購入したそうだが、北千住はあるかどうか知らないが、坪単価は300万円以上だろうし、他のエリアでも坪280万円以下はありえない。「後輩」の方、貴殿の買ったマンションは3,600万~3,800万円くらいと予想したがどうだろう。記者なら、彼女が出来ても困らないようもっとポテンシャルの高いエリアを選ぶ。大きなお世話か。

 〝なるほど〟と思わせる記事もあった。「GW商戦に向け新商品相次ぐ スキップフロア、ニューノーマル対応を提案 富裕層向けや普及価格の大空間も」だ。セキスイハイムやパナソニックホームズが平屋商品を発売するのは時代のニーズに合っていると思う。大和ハウスの富裕層向け「希(まれ)」は、記者もオンラインで取材したが、同紙の記事はあっさりしたものだったのは意外な気がした。

◇       ◆     ◇

 4月26日付「週刊住宅」は、「水害より地震、物件価格に影響 分譲マンション約9%低下 倒壊への不安、8割以上に タワマン、弱点露呈」などと長ったらしい見出しの記事がトップだ。「災害リスクが分譲マンション価格にどのような影響を及ぼすか考察してみた」とあるので読んだが、中身は全くなし。ニッセイ基礎研究所や東京都の公表データをなぞっただけ。「考察」の使い方を間違っている。あとはプレス・リリースのオンパレード。現時点(5月4日)で5月3日号のWeb版はまだ掲載されていない。

 コロナが猛威を振るっているのに同調するのか、両紙にはそれでも業界紙かといいたい。情けない。独自・現場取材をしなくなったら記者じゃない。かくいう記者は先週、5件の現場取材記事を書いた。読み比べていただきたい。

 ついでに、不動産流通研究所のWeb「R.E.port」について。同紙は評論記事は少ないが、プレス・リリースはもちろん発表会・見学会の模様は過不足なく伝えている。小生の記事よりはるかにまとまっているものも少なくない。購読は無料だし、1週間遅れの新報や週刊住宅より業界の動きがよくわかる。「日刊不動産経済」は購読していないのでよくわからないが、独自取材記事もあるようだ。

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 東京都の5月2日の新型コロナ感染者は879人となり、日曜日の感染者数としては1月24日の986人に次ぐ高い数値を示した(累計感染者数は141,005人、人口比で約1.0%)。変異株の影響か、10代の感染者が激増しているのが特徴で、2~3月では1日平均18人だったのが、4月以降は43人と2.4倍に増加、最近は連日のように60人を突破している。

 4月9日にまん延防止等重点措置が取られてから20日以上、4月25日の緊急事態宣言から1週間経過した。第一波のときは、5月3日(日)に93人と100人を切ってから5月17日(日)には5人まで減少し、7月2日(木)に107人を記録するまで約2か月間は2ケタにとどまっていた。今回の第四波はどのように推移するのか、目が離せない。11日の宣言解除まで8日間しかない。

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 メディアはこの日(5月2日)、西村康稔経済再生担当相が記者会見で「変異ウイルスの感染力の強さに注意を促し、『屋外でマスクを付けていても感染が確認される事例の報告が相次いでいる』と警戒を呼び掛けた」と報じた。

 記者は、この西村大臣の発言にショックを受けた。確かにゼロリスクはありえない。「杞憂」はもはや死語と化しつつある。車が歩道に突っ込み、時には空からも人や車が降り注ぐこともある。一寸先は闇、何でもありの時代だ。

 だが、しかし、屋外でマスクを付けていても感染する事例が相次いでいるというのは具体的にどのようなケースか、空気感染もありうるのか。

 この西村大臣発言と、厚労省の「新型コロナウイルス感染症と診断された人のうち、他の人に感染させているのは2割以下で、多くの人は他の人に感染させていないと考えられています。このため、感染防護なしに3密(密閉・密集・密接)の環境で多くの人と接するなどによって1人の感染者が何人もの人に感染させてしまうことがなければ、新型コロナウイルス感染症の流行を抑えることができます」(この日本語は分かりづらい=多くの感染者は他人に感染させる率は低いといいながら、すぐ打ち消して、1人の感染者が何人もの人に感染させるとはどういう意味か=新型コロナウイルス感染症の〝いま〟に関する11の知識)とはどこで整合するのか。

 そういえば、菅総理も第三波の緊急事態宣言を発令するとき「経路不明の大半は飲食関係とする専門家の知見がある」と発言した。しかし、「大半」はどの程度なのか説明はなかった。

 具体的数値・知見を示さず「相次ぐ」「大半」を語ったところで、コロナの嘲りに対する反撃にはならない。疑心暗鬼を招くだけだ。

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 記者がどうしても腑に落ちないのは、改正「特措法」「感染症法」が2月13日に施行され、保健婦を増強し、積極的疫学調査に力を入れているはずなのに一向に感染経路不明率が下がらないことだ。

 都の経路不明率は4月に入ってから5割を切ったのは1度もなく、逆に6割超は11日もあり、1日平均58.4%に達している。〝5割の壁〟は突破できていない。この5割超の不明者のうち「大半」は飲食関係なのか、「屋外でマスク付けていても感染」するのは本当か。

2日は879人 第四波突入 日曜としては1/24以来の高水準 東京都 新型コロナ感染者

 


 

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「YANAKA SOW」

 積水ハウス不動産東京、エアトリステイ、オレンジ・アンド・パートナーズは4月22日、「旅するように暮らす」をテーマにした民泊運用型セカンドハウス「YANAKA SOW」の記者内覧会を行った。積水ハウス不動産東京が都市型ホテル向けとして取得した土地に、劇作家・小山薫堂氏が代表を務めるオレンジ・アンド・パートナーズと世界最大級の旅行コミュニティプラットホーム・Airbnbが共同してプロデュースしたユニークなホテルだ。ホテルは5月1日にオープンする。運営は、Airbnbの公式パートナーのエアトリステイが行う。

 施設は、積水ハウス不動産東京がホテル用として2019年末に取得したJR日暮里駅から徒歩7分、台東区谷中5丁目に位置する、従前は民家だった敷地約120坪の3階建て鉄骨造。

 民泊のスタイルを踏襲したフロントデスクを設けない無人のチェックイン・アウトに、街案内役のスタッフ(YANAKA DIGGER)2人を組み合わせることで、友人宅に泊まりに来たようなくつろげる時間を提供するのが特徴。

 客室は37㎡と47㎡の全13室。ルームチャージは37㎡(定員4名)が1.6万円、47㎡(同6名)が2.0万円。1泊から長期滞在も可能で、共用部には無料で利用できるキッチン・ランドリー・ライブラリーなどを備え、各客室にはキッチン、冷蔵庫などを設置している。

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ラウンジ

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愛とエロスの客室(47㎡)

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「Shunga」

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 ホテル用地は、インバウンド需要を見込んで取得したのに違いない。まさかのコロナ禍で、当面は苦境を強いられそうだが、記者は、外観・内装デザインもさることながら、「地元の人と旅人の物語を作っていく」-暮らしと旅と紡ぐコンセプトに惚れ込んだ。客室に「もみじ」「かえで」「かつら」など名称を付けるのは和風旅館では当たり前だが、ここは全然違う。全てを紹介する。

 ①愛とエロス②音楽を掘る③街を読み解く④古寺巡礼⑤禅と仏教⑥他者とのつながりを考える⑦茶人の暮らす家⑧東京ストリート⑨東京の風景⑩東京を食べる⑪日本の家⑫日本の色とかたち⑬日本の暮らしの今昔-。

 皆さん、いかがか。いかにもオレンジ・アンド・パートナーズ代表の小山薫堂氏がやりそうなアイデアだ。①~⑬に一つも引っかからない人はまずいない。記者は、①は悩ましいが(小生より若い記者のYさんは卒業だとか)、あまり興味がない②⑤を除いて連泊したい。(他の記者の方は①に全然興味を示さなかったのが不思議。人生は「愛」だ)

 その①には背表紙に「Shunga」と書かれた分厚い和紙で綴じられたような本があった。中を少し覗いた。北斎、英泉、国貞、歌麿などだった。単身者とかファミリーにはどうかと思うが、若いまたは熟年カップルにお勧めだ。本を読みだしたら眠れなくなることを保障(保証か)する。

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土門拳、谷崎の「陰翳礼讃」がある-何のテーマか

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洗面

◇       ◆     ◇

 前段でコンセプトがいいと書いたが、ホテルの「YANAKA SOW」には、住むと泊まるの間を表す「荘」、町に寄り「添う」、地域の「層」を深掘る、という3 つの意味がこめられているという。チェックインから約3時間、YANAKA DIGGERの2人が自らの足で稼いだ街の情報を伝えるというのも頷ける。

 ラウンジには、「大切な人への手紙」「次の旅人ヘの手紙」「YOUR DIG SPOTs」の中から一つを選び、投函する「POST」が設置されている。これをYANAKA DIGGERが開封し、街の人や次の旅人に知らせていくというものだ。

 何でもないことのようだが、この日書いたフージャースコーポレーションの「地域資源と接続する」マンションのコンセプトや、三井不動産が掲げる「残しながら、蘇らせながら、創っていく」再開発のコンセプトとも共通するものがある。

 街を歩くと、この荘・沿う・層にピッタリの資源がたくさんあることが分かる。周囲はほとんど低層の寺だ。その一つ、赤穂浪士の供養塔がある「観音寺」の築地塀は見事だ。文化庁の有形文化財にも指定されている。幸田露伴の居宅跡地もあった。

 取材後、オープン形式の飲食店はないか探したがなかった。仕方なくコンビニで缶ビールを買って、誰一人いない谷中霊園で飲んだ。この日は風が強く、カサカサと卒塔婆が泣いたのにはさすがにいい気持がしなかった。

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「POST」

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現地(左側奥がホテル)

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観音寺の築地塀

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「+SHIFT NOGIZAKA」

 サンフロンティア不動産は4月21日、ワークスタイルデザインブランド「+SHIFT(プラスシフト)」のフラッグシップ新築オフィスビル「+SHIFT NOGIZAKA」のメディア向け内覧会を行った。

 物件は、東京メトロ千代田線乃木坂駅から徒歩1分、港区赤坂8丁目の商業地域に位置する敷地面積約361㎡、13階建て延床面積約1,289㎡。1フロア82.20~133.30㎡(12席~19席)。1フロア11席前後。賃料は平均9万円/席、平均3.5万円/坪。建物は2021 年3月31日に竣工済み。デザイナーは山下泰樹氏。

 付帯設備は高速wi-fi、プリンタ複合機、ホワイトボード、Bluetooth スピーカー、モニター付応接室、冷蔵庫&電子レンジ、プロジェクター付き共用ミーティングルーム(10席)、コーヒーマシン(1階ラウンジ)、無人ミニショップ(1階ラウンジ)など。

 賃料には管理共益費、家具・機材使用料、清掃費(コミュニティーマネージャー)、廃棄物処理費、水道光熱費、wi-fi 通信費、印刷費(インク・トナー/紙代は別途)などが含まれる。

 「+SHIFT」は、同社とデザイナー・山下泰樹氏がコラボレーション。外観デザインは、“根”をモチーフにこれまでのオフィスの概念を超える斬新なものになっているのが特徴。

 床材には無垢材のフローリングを使用。手に触れる部分にはレザーやファブリックをあしらい、五感を刺激する様々な工夫を施している。

 同社執行役員リプランニング事業部長・小田修平氏は、「リプランニング事業は、5年以上前から付加価値の高いセットアップオフィス事業を展開しており、曜日貸しオフィス、Art×Office、5月にオープンする『LIT』など様々なニーズ対応できている。コロナ禍でもしっかり利益を確保している。今回の『+SHIFT』はDRAFTさんとコラボしたもので、デザイン・意匠から内装、インテリア家具、アメニティに至るまで全てDRAFT化した。豊かな世界観が実現できている。建築費は坪215万円で、内装に坪80万円、家具などに坪20万円、合計で坪315万円。この種の賃貸オフィスでは日本一お金をかけているのではないか。坪3.5万円の賃料は相場の坪2.5万円より高いが、いいものには対価を払うテナントが増えている」と語った。

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1階ラウンジ

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プライベートガーデン付きの2階フロア

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トイレサイン

◇       ◆     ◇

 写真を見ていただきたい。外観がとてもユニークで、東京モード学園か池袋ダイヤゲートを連想させる。立地も最高。乃木坂駅から徒歩1分、乃木神社・公園に隣接。東京ミッドタウン、隈研吾氏がデザイン監修した全197戸が億ションの「パークコート赤坂檜町ザ タワー」も徒歩圏。よくぞこんな好立地の土地を仕入れられたものだ。

 外観だけではなく、内装も床は無垢のフローリング、本革の収納扉・手すり、お洒落なトイレサイン…細かなところにもこだわりを施しており、「+SHIFT」をフラッグシップにする意気込みも感じられる。共用施設も充実している。

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2階プライベートガーデン(正面の巨木は乃木神社の港区保存樹に指定されているシイノキ)

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13階のルーフトップガーデン

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左から「+SHIFT NOGIZAKA」、「パークコート赤坂檜町ザ タワー」、「東京ミッドタウン(乃木神社から望む)

社員の「快適性」と「健康」追求 意欲的な商品企画「秋葉原」竣工 サンフロ不(2021/1/18)

〝日本初 全てがアート〟 サンフロンティア不 シェアオフィス「A YOTSUYA」(2020/11/28)

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「関西 住まいの夢工場」

 積水ハウスは4月20日、京都府木津川市にある総合住生活研究の「関西 住まいの夢工場」に新設したライフスタイル型モデルハウス「みんなの暮らし 4stories」の記者発表会・内覧会を行った。モデルハウスは4月29日にオープンする。

 「みんなの暮らし 4stories」は、理想の住まいを説明的に伝える従来型のモデルハウスから脱却し、人が本当に住んでいるかのようなリアルな生活・暮らしを提案することで「共感」を呼ぶことをコンセプトにしている。

 今回新たにオープンするモデルハウスは、二世帯向けの「高橋さんち。」、自分と家族の「王国」を築く富裕層向けの「財前さんち。」、アクティブシニア向けの「山本さんち。」、子育て&共働き世帯向けの「小林さんち。」の4棟。

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積水ハウス執行役員総合住生活研究所長・野間賢氏(左)と河崎氏(記者はこの日の河崎氏の衣服について、小さい画像しか見えなかったが「春爛漫にふさわしい淡黄蘗(うすきはだ)」と表現した。河崎さん、間違っていませんよね)

◇       ◆     ◇

 同社から取材の案内が届いたとき、小説の舞台にもたびたび登場する木津川を観たいものだと参加も考えたが、ライフスタイル型モデルハウスは昨年8月に「関東 住まいの夢工場」で見学しており、コロナ禍で交通費と時間をかける価値とを天秤にかけて断念した。ところが、発表会の数日前に、オンラインでも参加を受け付けるとのメールが届いたので参加した。

 ただ、この日(4月20日)、記者はスウェーデンハウスの「世界初の機能を搭載したオンライン住宅展示場システム発表会」にリアルで参加することも決めていたので、積水ハウスのオンライン見学会は途中で退席した。その際、以下のような率直な感想をチャットで送った。

 「河崎さん(この日、施設の説明を行った同社執行役員住生活研究所長・河崎由美子氏)は『共感』と仰いました。わたしは、モデルハウスに使用されている床材、壁材、建具家具などの素材がなんであるか、天井の高さや階段の広さなどを具体的に伝え、空気感が感じられるような語り、演出も必要だと感じます。

 これは御社だけでなく、オンライン説明会はやや説明が過ぎるというのが率直な感想です。一番良かったのは『樟の一枚板』でした。クスノキの香りを伝えればもっとよかったし、『豪華』というのは『美しい花』と一緒。『目も彩な』というようにどのように豪華なのか伝えるべき。古河の見学会での『小林さんち。』を説明された方は最高によかった」と。

 このチャットは少し補足する必要がある。「御社だけでなく」としたのは、あるデベロッパーのオンラインでのマンションプロジェクト発表会を視聴したときも同じような感想を抱いた。今回の発表会は「(同社)広報室社員の携帯端末からの簡易配信のため、音声・映像などの乱れなど閲覧しづらい部分もあるかと思いますが」ということを割り引いても、「4stories」のよさを伝えきれていないと感じた。一方通行のオンラインの課題だろう。

 「一番良かったのは『樟の一枚板』」とも書いたが、これは「豪華」なバーカウンターを担当者が紹介したものだ。これは分かる人には分かるだろうが、その豪華さをどこまで伝えられたか疑問だ。

 「目も彩な」は、同社が2018年に「住生活研究所」を設立し、その発表会を行ったとき、河崎由美子所長の衣服に記者は感動を覚え、次のように書いた。「この日の河崎氏が着ていた洋服がまた目もあやな、えもいえぬ『赤』だった。本人に聞いたら『タイシルクです。70代の母が着ていたワンピースをツーピースに仕立て直したものです。〝幸せ〟の継承です』と語った」

 ここで「河崎氏が美しい」と書いていたら、ご本人も含め顰蹙ものだったに違いない。

 「古河の見学会での『小林さんち。』」は、添付した記事を読んでいただきたい。説明したのは住生活研究所課長・木野村昭彦氏(41=当時)だった。木野村氏は最初に「リアルを表現した」と短い言葉で特徴を言い切り、自らの子育て・共働きをリアルに語った。

 そんな経験をしているのでチャットで注文を付けた。

 ただ、素晴らしい説明もあった。「山本さんち。」で担当者の方は、敷地に植わっている、「山本さん」が植えたアカマツについて「アカマツの葉っぱ(二葉松)は、枯れても離れずにくっついている」という主旨の説明をした。熟年夫婦をアカマツの枯葉に例えるこうした意表を突く言葉にみんな共感を覚える。別れたくてしょうがない妻、あるいは夫もドキリとするはずだ。

 とりとめないことを書いた。この続きはスウェーデンハウスの記事で書く。積水ハウスが伝えられなかったものをスウェーデンハウスは伝えた。

従来の総花的提案から脱却 積水ハウス ライフスタイル型モデル「7stories」開設(2020/8/27)

〝幸せ(人間愛)〟のさらなる追求に期待 積水ハウスがわが国初の「幸せ」研究所(2018/7/27)

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湘南ステーションビル「ラスカ平塚」のアートギャラリートイレ(全て同社提供)

 湘南ステーションビルの「ラスカ平塚」のトイレを見学した。噂にたがわぬ素晴らしいトイレであることを確認することができた。「トイレは経営の問題」という哲学の一端を垣間見る思いがした。

 最初に見学した「ラスカ平塚」のトイレは、1階と2階の階段室の中央にある男性用トイレだった。間口は優に10mを超えていた。しかも、壁面は直線ではなく、湘南の海の波をモチーフにしたのか緩やかなウェーブが掛かっており、本物の木枠や真鍮製のキャビン窓があしらわれていた。内部も木調デザインで統一されていた。

 一定の条件を満たす人でないと利用できない女性用の2階と3階の階段室中央にある「マーメイドルーム」は見学できなかったが、これは〝トイレ〟の概念を超えるものであるのは間違いない。カード鍵付きなので一人しか利用できないようになっており、便器は1ブースしかない。その代わりウォーターサーバー、コーヒーメーカー、化粧品、フィッティングルームなどが備わっており、トイレというより多目的に利用できる休憩室(レストルーム)そのものだ。

 もう一つ、素晴らしいコンセプトのトイレも3階にあった。2014年から実施しているもので、市内にある東海大教養学部芸術科学科デザイン学課程と提携し、年2回、学生の作品をトイレに掲出している。作品は学生の学課の評価基準にもなっているという。小便器、大便器含め男性用トイレには10作品以上掲げられていた。みんな素晴らしいものばかりだった(女性用もほぼ同様のようだ)。2階のベビールームも初めて見た。

 掃除などメンテナンスを担当する人も、女性は「マーメイドスタッフ」、男性は「ポセイドンスタッフ」と呼ばれ、専用のユニフォーム姿だった。

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これがトイレか まさにアートギャラリー出入口

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会員制パウダールーム

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会員制パウダールーム

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会員制パウダールーム

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 「湘南ステーションビル」のトイレの取り組みは、日本トイレ協会会長・小林純子氏編著「心に響く空間―深呼吸するトイレ」(弘文堂、設計事務所ゴンドラとの共著)で詳しく書かれている。元湘南ステーションビル社長で交通道徳協会会長・室賀實氏と、同社元専務・佐竹明雄氏の対談だ。少し長いが紹介する。

 室賀氏が社長に就任したのは平成2年。当時、経理部課長代理だった佐竹氏は、「当時の駅ビルは平塚に限らず、国鉄・JRの退職者の受け皿みたいな位置づけでしたから、男性社員は隠居後の仕事として割り切っていましたし、女性社員にいたっては電話番か来客のお茶出しをするだけで、あくまで男性社員の補助でした。社風は極めて保守的で前例踏襲を金科玉条としていて、職場は沈滞ムード一色でしたね」と語っている。

 その沈滞ムードを吹き払うプロジェクトとして、室賀社長は平成3年4月、「CBF」(Conductors for the Best Future=最良の未来を導く人々)を立ち上げ、佐竹氏を事務局長に据えた。メンバーは、入社したばかりの社員を含めることを条件に男女同数、所属する部署、地位・性別に関係なく編成した。

 CBFで出た提案は全て経営会議で議論された。もっとも多く出たのがトイレに関する提案だった。そこで、女性社員に限ってトイレの勉強をする有志を公募。総務部、経理部、事業部、営業部の各部から編成された4名のトイレ研究グループWC(ワンダフルクラブ)が誕生した。メンバーは全国のトイレ約40か所を視察し、5点満点で採点したところ、ラスカは2.7点にしかならなかったという。

 その後、改革を進め、前段で紹介したようなトイレ整備を行った。清掃員の呼称も〝おばあちゃん〟から前段の「マーメイドスタッフ」「ポセイドンスタッフ」に改めた。士気の向上につながった。効果はてきめんで、売り上げ増にも寄与したようだ。

 現在まで社長は何度も交代したが、今でもWCは継続して活動しているという。

 会員制の「マーメイドルーム」は他の商業施設などにも影響を与え、渋谷ヒカリエにも同様の施設があるようだ。

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女子用トイレ

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ベビールーム(授乳室もあった)

マスク越しに強烈な匂い 平塚駅前公衆トイレ 利用者はほとんど男性 トイレ考Ⅲ-3(2021/4/3)

富士を観ながら…日本トイレ協会「特別奨」受賞 「ダイヤゲート池袋」 トイレ考Ⅲ-2(2021/4/1)

多様化する利用目的 少ない車いす対応 マンホールトイレ 畢生のトイレ考Ⅲ-1(2021/3/31)

トイレ紙1日使用量 男性3.5m 女性12.5m 年間排泄量15t 畢生のトイレ考Ⅱ(2021/3/30)

櫂 糞尿譚 陰翳礼讃 水琴窟 シカの糞…虚々実々 記者畢生のトイレ考(第1回)(2021/3/29)

安否確認イベントに過去最多65%参加 三菱地所レジ・コミュニティ 津田沼「奏の杜」(2021/3/14)

「美しい公衆トイレ発信できた」安藤忠雄氏/世界からオファー 日本財団PJ(2020/9/15)

素晴らしい槇文彦氏、田村奈穂氏、片山正通氏 日本財団 渋谷公園トイレPJ(2020/9/21)

〝駅なのか街なのか〟JR東日本最大規模の「グランスタ東京」8/3開業 トイレに注目!(2020/7/30)

マンション・戸建て トイレはTOTO、LIXIL、パナソニックがデッドヒート(2020/3/24)

デベロッパーも取り組んでほしい 「TOTO商品はすべてがユニバーサルデザイン」(2020/2/3)

女性輝けないトイレ 「利用しない」公園90%、駅38%、職場30% 国交省アンケート(2017/1/21)

労働環境改善活動にエール 全国低住協「じゅうたく小町部会」に参加して(2016/11/26)

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今井議長(左)と小泉大臣(小泉氏はオンライン画像)

 エコ・ファースト推進協議会は4月14日、通常総会を開催し、2020年度事業報告、議長・副議長・幹事の選任、2021年度事業計画を承認した。議長は今井雅則氏(戸田建設代表取締役会長)、副議長は稲垣士郎氏(積水ハウス代表取締役副会長)をそれぞれ再任、新幹事に上田輝久氏(島津製作所代表取締役社長)を選任した。

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 総会では、この日(4月14日)が40歳の誕生日という小泉進次郎 環境大臣・気候変動担当大臣が「2050年カーボンニュートラルに向けた取組」と題する講演を約20分オンラインで行い、これに応える形で今井議長が議長メッセージと要望を発表した。

 今井議長は、①脱炭素社会の形成②循環型社会の推進③自然との共生④地域連携⑤環境コミュニケーション⑤イノベーションの推進の5項目についてメッセージを送り、要望として「エコ・ファースト推進協議会は設立12年を迎え、加盟企業も50社となりました。幅広い業界から選ばれた各社は高い環境目標を掲げ、日々の事業活動に取り組みながら、各業界の環境対策をリードしてきました。また環境省から発信される環境政策や環境活動に賛同・協力し、加盟企業各社が連携を図りながら政策推進に貢献してまいりました。今後、脱炭素社会実現、資源循環型社会実現に向け、官と民との連携した取り組みはますます重要となると考え、その橋渡し役であるエコ・ファースト推進協議会の使命を確実に果たして行きます。環境省におかれましても協議会加盟企業各社の環境施策の推進や、協議会のプレゼンス向上のために、是非、お力添えいただきますようお願い申し上げます」と小泉大臣に伝えた。

◇       ◆     ◇

 小泉大臣の講演を一つひとつ伝えたいのだが、同協議会から詳細な資料を頂いたので、こちらを是非読んでいただきたい。環境省の資料には議長会社の戸田建設をはじめ、住宅・不動産業界では積水ハウス、大和ハウス工業、住友林業、東急建設、ヒューリック、三井不動産、三菱地所の取り組みも紹介されている。

 小泉大臣は、昨年の国連総会での菅総理の2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会実現宣言を「不戦敗を免れた」と評価しながらも「これからが大事。わが国が本気で脱炭素社会の実現に取り組んでいることを皆さんと一緒になって進めていく」と述べた。

 また、同省の「再エネ電力と電気自動車や燃料電池自動車等を活用したゼロカーボンライフスタイル・ワークスタイル先行導入モデル事業」に毎日1,000件の問い合わせがあることも紹介した。

 大臣小泉大臣講演資料(エコファースト協議会総会).pdf

 今井議長メッセージ(フレーム付).pdf

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12月ン戦車グラフ.png 4月感染者グラフ.png

 最近の東京都の新型コロナ感染状況は、爆発的に感染者が増加した第3波と同様の様相を呈しているが、年代・性別では差異がみられる。第3波では各世代に感染者が広がっていたのに対し、今回は20代を中心とする働き盛りの感染者が多数を占めている。

 別表は、昨年12月9日から15日まで(以下A)と今年4月7日から13日まで(以下B)の1週間の年代・性別感染者のそれぞれの数値を比較したものだ。
 Aの感染者は3,635人でBは3,444人。Aを年代別にみると、20代がもっとも多く全体の25.8%を占めている。20代男性、20代女性、30代男性のだけで全体の37.6%を占めている。20~50代は2,682人で全体の73.8%で、60~90代は668人で18.4%となっている。経路不明比率は57.4%となっている。

 これに対しBは、20代が1,068人と多く、全体の31.0%を占め、20代男性20代女性、30代男性だけで全体の42.4%となり、Aを4.8ポイント上回っている。20~50代は全体の78.3%の2,695人となっており、Aを4.5ポイント上回っている。60~90代は451人で、全体の13.1%とAから5.3ポイント低下している。

 経路不明比率はAが57.4%で、Bが60.4%となっており、AよりBが3.0ポイント上回っている。数値で見る限り、積極的疫学的調査は効果を発揮していないともとれる。

 若年層の感染比率が高まっていることも含め、この差は何に起因するのか、変異型と思われているが正確なところは分からない。

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「Odakyu Laundry 経堂店」

 小田急不動産は4月15日、小田急線経堂駅から徒歩8分にコインランドリー事業第1号店「Odakyu Laundry 経堂店」をオープンする。前日の14日、店舗をメディアに公開した。

 店舗は、小田急線経堂駅から徒歩8分、世田谷区経堂1丁目の準工業地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する敷地面積約411㎡、建物面積約117㎡。駐車場6台(ランドリー利用金額に応じて割引有・ランドリーを利用しない方も利用可)。営業時間は7:00~23:00(年中無休)。ランドリー機器 セルフランドリー13台(洗濯乾燥4台・乾燥機8台・スニーカー洗専用11 台)。提供サービスは店舗内空間除菌・洗濯終了コール・稼働状況確認サービス(同社HP で確認可)。

 同社仲介事業本部ソリューション事業部パーキンググループリーダー・坂本和弘氏は「一般的なコインランドリーは10坪、大きくても25坪で、商圏は1キロくらいだが、第1号施設は敷地面積が124坪、建物面積が35坪あり、駐車スペースも6台収容可能としているので、5キロ圏の利用者を想定している。Wi-Fiを完備し、マッサージチェア、ドリップコーヒー自販機、カウンターなどを備え、洗濯から乾燥までの待ち時間にも対応できる施設にした。一般的なものと比較して3倍くらいの収益を見込んでいる」などと話し、今後は土地オーナー向けの土地活用メニューに加え、洗濯物預かり代行サービスも検討するという。

 同社は、施設の隣接地に現在は定期借地として賃貸している数倍規模の土地を所有しており、定借契約期限が切れる13年後には一体開発を検討するという。

 コインランドリーは、共働き世帯の家事労働の低減や土地オーナーの遊休地の活用ニーズの高まりを受け市場が拡大しており、現在の1,500億円から2,000億円市場は4,000億円、5,000億円に拡大すると予想されている。

 住居系での設置は建築基準法の用途規制を受けるが、初期投資額はそれほど高くなく、無人化による人件費の負担が少なく、ランニングコストも高くなく、投資利回りも10%くらい確保できることから、アパート経営などと比べメリットが多いとされている。

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カウンター

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毛布などもセットするだけ

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精算機

◇       ◆     ◇

 記者はいつだったかどこだったか、まったく記憶にないのだが、コインランドリーなるものを1度か2度利用したことを覚えている。仕上がるまでの待ち時間を持て余し、なんだか恥ずかしいような気持がしたのを思い出す。

 同社から見学会の案内が届いたとき、どうしてコインランドリー事業に手を出すのかよく分からなかったが、何事も勉強だ。見学することに決めた。

 今回、店舗を見学してなるほどと思った。ワイシャツとかスーツとかコートなどではなく、クリーニング屋に持ち込むのがためらわれる布団や毛布などを洗いたいというニーズが高いのもよくわかる。洗濯機・乾燥機は高いものでは高級車並みだという。飲酒・喫煙が禁止なのは理解に苦しむが…。

 事業を担当するのはソリューション事業部というのも納得だ。沿線に住む住民の細かなニーズに一つひとつ応えることは、やがて数倍の効果をもたらすのではないか。最近見た分譲マンションでも共用部にコインランドリーを備えたものが人気を呼んでいる。

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樹脂サッシ採用 洗濯機・乾燥機・洗剤使用はただ コスモスイニシア「大森町」完成(2021/3/2)

実質10か月で300戸超の驚異的売れ行き 大和ハウス「プレミスト船橋塚田」(2020/10/20)

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 トーハン、三菱地所グループ、三菱商事都市開発の3者は4月9日、トーハンの現本社跡地の有効活用に関する基本協定書を3月19日付で締結したと発表した。

 トーハンは本社を移転し、新宿区東五軒町所在の現本社跡地に三菱地所、三菱地所レジデンス、三菱商事都市開発が2棟の賃貸用建物(オフィス1棟、住宅1棟)を建設する。竣工後は三菱地所リアルエステートサービスが同建物を賃借する。

 計画地は、東京メトロ東西線神楽坂駅から徒歩8分。計画建物はオフィス棟、住宅棟の延床面積約38,000㎡。竣工予定は2024年11月。


 

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