地域との共生・協創目指す 持続可能な物流拠点 IHI・野村不「Landport 横浜杉田」
「Landport 横浜杉田」
IHIと野村不動産は4月18日、地域との共生・協創もテーマの一つになっている大規模物流施設「Landport 横浜杉田」が竣工したのに伴うオープニングイベントを開催。〝幻の梅〟と呼ばれる地域の象徴である「杉田梅」の植樹式が行われたほか、キッチンカ―による防災食体験、消防・警察車両の乗車体験、物流施設見学、紙芝居などが行われ、多くの地域住民も参加した。
オープニングイベントで横浜市金沢区長の齋藤真実奈氏は「安心・安全の『防災協定』を締結していただいたのがとてもうれしい。このエリアは1,300社、3,600人が就業する市内随一の産業団地。区内には住宅、商業施設が集積し、歴史資産も残っています。居住者の永住志向も強く〝自慢の区〟です」と挨拶。
地域を代表して登壇した横浜市金沢団地協同組合理事長・榎本英雄氏は「50年前に埋立地に日本有数の団地が誕生したが、住環境は予想を上回るペースで変化した。交通問題への対処とともに、避難施設にしていただき大変ありがたいと」語った。
「杉田梅」普及の第一人者であり、「幻の杉田梅林 賑い復興“梅のまち杉田” 実行委員会」副会長の市原由貴子氏は「横浜杉田はかつて梅で栄えた街でした。その光景は歌川広重が描いております。大火、近年の宅地化などで梅の木は消えてしましましたが、その歴史、文化、名前は妙法寺の樹齢450年の杉田梅が示すように残っています。歴史・文化を継承していただくのは大変うれしい」と述べた。敷地内には樹齢10年超の成木が3本(接ぎ木)、苗木が30本植えられている。
主催者のIHI常務執行役員・二瓶清氏は「当社の旧会社・石川島播磨が飛行機などの工場として操業を開始したのは昭和12年(1937年)。2019年に閉鎖後は、地域貢献にも資するよう跡地利用を検討してきた。今後も継続して活動していく」と語った。
また、野村不動産取締役専務執行役員・黒川洋氏は「地域にとって思い入れの強い場所であることから、地域のために何ができるか考えてきた。施設は防災拠点とし、コミュニティ広場の整備、屋上菜園の整備、梅をイメージしたデザインなど、当社の物流施設ブランド『Landport』シリーズを代表する施設」と話した。
物件は、横浜シーサイドライン南部市場駅から徒歩4分(首都高速湾岸線杉田出入口680m)、横浜市金沢区昭和町に位置する敷地面積約71,034㎡、4階建て延床面積約163,409㎡。竣工は2025年3月末。設計・施工は五洋建設。満床稼働した。
施設は「オープン・シェア型物流施設」がコンセプトに、施施設利用者の×地域関係者×地域社会が豊かになることを目指す。敷地内に地域住民も利用可能な広場を整備し、区との協定による防災拠点を締結し津波避難施設とし、屋上菜園を設置している。
建物は免震構造を採用、BCP対策として72時間運転可能な非常用発電機、防災備蓄庫の設置など、サステナビリティの取り組みとして屋上の太陽光発電システムによるZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)の最高ランクを取得予定。
左から齋藤氏、榎本氏、市原氏
左から二瓶氏、黒川氏
植樹式(左から五洋建設・清水琢三社長、齋藤氏、榎本氏、二瓶氏、黒川氏、IHI物流・川田基浩社長、市原氏)
イベント風景
イベント風景
◇ ◆ ◇
物流施設を見学する機会は多くはないが、物流業界は2024年問題(時間外労働規制)への対応、アナログ的な商習慣の改善が喫緊の課題だとされている。
この日、メディアに配布された資料「持続可能な物流拠点の未来」(流通経済研究所)には、物流業界が抱える問題点を指摘し、「トラックドライバーは、2027年には24万人不足」「2030年には物流需要の約34%が運べなくなる」「ドライバーの賃金は、2030年には2022年比で27%、輸送費は同34%それぞれ上昇」し、「何も手を打たなければ、現状の物流体制は維持できなくなる懸念」が示されている。
他方で、「Landport 横浜杉田 ファクトブック」には、「物流施設への嫌悪施設イメージ」として「(多くのデベロッパーが)『地域共生型の施設開発』に目を向け始めているが、地域とのトラブルを避けるためのある種のカモフラージュ的な地域連携に留まっており、まだその成功事例はごく少数であり、その型化・横展開は道半ば」とある。(赤字は資料のまま)
そして、記者が取材するごとに考えるのは〝物流施設は嫌悪施設〟かどうかだ。〝嫌悪施設〟は法律で決まっているわけではなく、定義もない。不動産流通促進センターが地域などとのトラブルを未然に奉仕するためガイドラインで示したものだ。この問題について、関係者は考えないといけない。
いわゆる嫌悪施設と呼ばれるものは、われわれが生きていくために不可欠なものばかりで、働く人はエッセンシャルワカーと呼ばれる-この矛盾、不条理に対して「何も手を打たなければ、現状の物流体制は維持できなくなる懸念」が現実のものとなるのは必至だ。
今から7年前の2018年、三井不動産常務執行役員ロジスティクス本部長・三木孝行氏(当時)が「もはや、後発ではない。嫌悪施設ではない」と語ったのを忘れない。
成木の杉田梅を背景に記念写真
成木の杉田梅(みがたくさんなっていた。実は大きく酸味が強いので梅干しに最適とか)
都内最大級の物流施設 23区希少の工専立地三井不・日鉄興和不「東京板橋」竣工(2024/10/3)
「物流施設」=「嫌悪施設」=「倉庫」なのか三井不ロジスティクス記者説明会(2024/7/12)
コモンスペース中央に全5棟 差別化できている コスモスイニシア「南荻窪」
「イニシアフォーラム南荻窪」2階リビング
コスモスイニシアが分譲中の戸建て「イニシアフォーラム南荻窪」を見学した。JR荻窪駅、西荻窪駅からそれぞれ徒歩14分の1低層エリアに位置する、コモンスペースを取り囲むように配棟されている3階建て。周辺は良好な戸建て住宅街。商品企画の差別化はできていると思う。
物件は、JR荻窪駅・西荻窪駅から徒歩14分、杉並区南荻窪2丁目の第一種低層住居専用地域(建ペい率50%、容積率100%)に位置する全5棟。土地面積は100.11~110.44㎡、建物面積は92.25~121.43㎡、現在先着順で分譲中の住戸の価格は1億3,780万円。建物は竣工済み。構造・規模は2×4工法3階建て。施工は三井ホームエンジニアリング。3月15日から3戸の分譲を開始しており、2戸は契約済み。
現地は、閑静な第一種低層住居専用地域の閑静な住宅街の一角。道路を挟んだ敷地北側は中学校と神社に隣接、南側は低層住宅街。主な特徴は、全5棟がコモンスペースに面している住棟配置のほか、ZEH水準、ゆとりある玄関・ホール、2階リビング天井高4m以上、ふるまい本棚、ロフト、ルームバルコニーなど。
ルーフバルコニー
玄関・ホール
◇ ◆ ◇
現地に着いたとき、すぐ思い出したのは2016年に見学取材した同社の「グランフォーラム石神井公園」だった。コモンスペースを中央に配した住棟配置が同じだったからだ。敷地全体を無電柱化し、インド砂岩による植栽桝やゲート、斑岩による舗装などもほとんど同じだった。
驚いたのは、同社の物件を含め周辺には完売済みの戸建てを含め十数か所で戸建て分譲現場があることだった。価格帯もみんなよく似ている。1億円は超えるが、2億円以上は少ないようだ。
同社の分譲戸建ては上段で紹介したように差別化は出来ていると思うのだが、他社物件を見ていないので何とも言えない。物件をたくさん見ないといけないということだ。
現地
現地
植栽帯
井の頭公園に2分 隣接地も公園 リビング天井高4m超 コスモスイニシアの戸建て(2024/10/23)
価格に見合う価値あり コスモスイニシア「グランフォーラム石神井公園」(2016/12/3)
高額注文住宅と規格住宅を車の両輪へ 野島秀敏・三井ホーム社長
野島氏(本社:新木場センタービルで)
三井ホームは4月17日、社長就任記者懇親会を開催し、4月1日付で社長に就任した野島秀敏氏が「注文住宅の会社から住宅事業+木造施設建設の会社へ」構造改革を進め、「木造建築のナンバーワンを目指す」と語った。同社の強みである富裕層へのアプローチを再強化する一方で、コスパ・タイパを重視する若年層に対応した規格住宅「三井ホームセレクト」を棟数ベースで注文住宅と同じくらいにする意向を示した。懇親会には約30人が参加した。
野島氏はまず、昨年5月に本社機能を「新木場」に移したことについて触れ、移転の大きな目的の一つとして「新木場は木造の会社が集積しており、昔からおつきあいしている会社もあれば、初めて接点を持たせていただいている会社もある。当社は木造建築のナンバーワンを目指しており、皆さんとうまく関係を構築するために飛び込んできた」と説明した。
注文住宅市場については、「マーケットがずっと縮小し続けており、業界として厳しい状況に追い込まれているのが現状だが、一方で、環境問題、脱炭素の流れの中で建物を木で作ろうという動きが強まっており、これをチャンスと捉えたい」と話し、「注文住宅の会社から住宅事業+木造施設建設の会社へ」構造改革を進めると話した。
そのため、「当社は25万棟の注文住宅の実績がある。そのノウハウを生かし、強みである富裕層向け高額注文住宅を再強化する。一方で、コスパ・タイパ、リセールバリューを重視する若い方向けの規格住宅(三井ホームセレクト)を昨年スタートさせた。試行錯誤の段階だが、できるだけ早い時期にこの両輪を回せるようにしていく。将来的には棟数ベースで注文住宅とセレクトの比率を同じくらいにしたい」と語った。
同社の木造建築の事例としては木造マンション累計受注棟数78棟のうちMOXIONが46棟に上っていることのほか、木造ニーズの高まりの中で学校施設、学生寮、ロードサイド店舗などが増加していることを説明した。
10ブースくらいある執務室(プレートに「KARIN」とあり、室内の机はカリン材)
◇ ◆ ◇
野島氏が話した中で、富裕層向け高額商品の強化と規格住宅の投入により、車の両輪を目指すと語ったことに注目したい。国交省のデータを待つまでもなく、持家の着工戸数は漸減するのは間違いない。縮小するパイの奪い合いになるのは必至だが、記者はデザイン性の高い同社の商品は競争力が高いと見ている。
規格住宅はどのようなものかよくわからないが、野島氏は性能を落とさずに、分譲マンションや分譲戸建てに流れている需要層を獲得できると話した。かじ取りが見ものだ。
9階本社オフィス(手前のテーブルはかなり高価)
◇ ◆ ◇
記者も野島社長に聞きたいことはあったのだが、質疑応答の時間が足りなかったのか、個別質問があったためか、たくさんのメディアの方が列をなしていたので質問をあきらめた(それにしてもみんな質問時間が長すぎる。ワンイッシューにすべき)。
聞きたかったのは、野島氏の入社は1988年だから、その直後にバブルが崩壊した。甘い汁は全然吸っていないはずだ。その後2013年に三井不動産レジデンシャルに異動するまでの25年間はどのような仕事に携わっていたのかだ。厳しい事業環境下にあったはずで、座右の銘と関係はあるのかどうか。また、慶大卒といえば、三菱地所レジデンスの宮島社長の2歳後輩だ。趣味も似ているのではないか(宮島氏はカヌーではなかったか)。交流はあるのかどうか、機会があったら聞いてみよう。
もう一つは、〝木造コンプレックス〟〝現しの呪縛〟について。この問題については記事を添付するので、読者の皆さんも考えていただきたい。「モクシオン稲城」を取材したとき、同業の記者の方が「これって鉄かコンクリか木造か分かりませんよね」との趣旨の質問をしたところ、同社技術研究所研究開発グループマネージャー・小松弘昭氏(当時)は「現しにしないといけないというのは木造コンプレックスの裏返し。木の性能、コストなど科学的・合理的なことのほうが大事」と言ったのを記事にしたものだ。
記者はこの小松氏の〝一喝〟になるほどとは思ったが、やはり「現し」は美しい。「美しいもののみが機能的」と語った丹下健三の意見に賛成する。野島氏の意見を聞きたかった。
さらに加えるなら新木場の地区計画についてだ。都は平成11年11月15日付で従前の用途地域・工専を準工業に変更し、なおかつ「新木場・辰巳三丁目地区 地区計画」を定め、約151haにわたり「木材関連をはじめとする多様な生産・流通機能と商業・業務機能などが共存できる複合地区の形成を図る」目的に適さない住宅や風俗系建築物、廃棄物処理場を不可とした。面積は約115haの皇居を上回る。
読者の皆さんもご存じなかったようで、この記事へのアクセス数は7,000件を突破した。記者は、貯木場の役割が終えたのだから、その景観を生かしホテルや住宅を可能にしたら「グラングリーン大阪」を上回る素晴らしい街ができると思う。あと10年もすれば、そのような案が浮上する気がしてならない。これは野島氏より三井不動産社長の植田氏に聞くべきか。「妄想」⇒「構想」⇒「実現」の可能性はあるかどうかだ。
野島氏は1963年生まれ。兵庫県出身。慶應大学経済学部卒。1988年、三井不動産入社。2013年、三井不動産レジデンシャル企画経理部長、2015年、同社東京オリンピック・パラリンピック選手村事業部長、2020年、三井ホーム取締役常務執行役員、23年兼三井ホームカナダ(株)代表取締役会長(現任)・兼三井ホームアメリカLLC取締役会長(現任)を歴任。2024年、同社取締役専務執行役員、2025年4月1日付で代表取締役社長に就任。趣味はダイビング(キャリア26年)、座右の銘は「寛仁大度」。
外貌の呪縛を解き放つか「現しを求めるのは木造コンプレックス」三井ホーム小松氏(2021/12/9)
第6のアセットクラス「三井のラボ&オフィス」住宅不可の新木場に開業(2021/7/8)
あふれる本物の緑 デジタル技術駆使した仕掛けも 阪急阪神不 新宿に常設モデル
「ジオ ゲストサロン 新宿」
阪急阪神不動産は4月16日、先に新宿アイランドタワーに開設した首都圏初の常設総合マンションギャラリー「ジオ ゲストサロン 新宿」を関係者・メディア向けに公開した。広さは約270坪で、首都圏で年間400~500戸をコンスタントに供給する販売拠点にする。本物の緑をふんだんに導入し、ゆったりくつろげる商談室や大型タッチパネル、3D=のグラム模型など最新のデジタル技術を駆使して〝ジオ〟の全てが分かる工夫・演出を行っている。素晴らしいギャラリーがまた誕生した。
同社グループは2001年から首都圏でのマンション分譲を展開しており、これまでに計89棟、5,400戸以上を供給してきた。サロンの開設は、〈ジオ〉ブランド35周年の節目の年でもあり、今後の首都圏での事業拡大を見据えたもの。
「あなたの未来、〈ジオ〉とここから。」をコンセプトワードに掲げ、本物の観葉植物をふんだんに盛り込んだ「ジオ ライブラリーフォレスト&商談室」と「ジオ ナレッジゾーン」では、緑の中に透明ディスプレイを設置し、リラックスして回遊できるように工夫を凝らしている。また、約9㎡の商談室(全11ブース)には特殊ガラスを採用し、スイッチ一つで透明⇔不透明の乳白色に切り替えることができるようにしている。
「ジオ ナレッジゾーン」にはタッチ式4面サイネージを設置。高精度センサーにより人の動きと連動したデジタルアートが楽しめ、同社の分譲実績、品質管理、商品企画などが全面で表示される。「ジオ ラボゾーン」ではパースやCGを立体的に視認できる3Dホログラム模型も設置し、従来の販売拠点では表現できなかったコンテンツを用意している。
コンセプトルームは約67㎡。「ジオ ナレッジゾーン」との壁を設けず、自由に出入りできるようにしている。バルコニーの壁にはORコードをかざすと、壁内部の鉄筋が見える仕掛けも施している。
サロン開設に伴う第一号物件は、荻窪駅から徒歩12分の第一種低層住居専用地域に位置する「ジオ荻窪」(99戸)。価格は未定で、記者は現地を見ていないが、駅から南側は良好な住宅街が多い。坪単価は700万円台とみた。
エントランス ウェディングゾーン(正面は6×2.6mの大型LEDモニター)
「ジオ ライブラリーフォレスト&商談室」(左)と「ジオ ナレッジゾーン」
特殊ガラスOFF(左)とON
4面サイネージ
◇ ◆ ◇
記者はこれまで、総合マンションギャラリーは20か所くらい見学している。各社ともそれぞれ趣向を凝らしており、優劣は付けづらいが、大きさでは住友不動産の「総合マンションギャラリー新橋館」がダントツの710坪だ。豪華さでは、5つ星クラスのホテルロビー・ラウンジを再現した伊藤忠都市開発の「ギャラリークレヴィア有楽町イトシア」と三井不動産レジデンシャル「三井グランディオーソ・クラブ」が双璧だ。
記者が好きな緑を中心としたデザインでは、積水ハウス「グランドメゾンギャラリー新宿」と野村不動産「プラウドギャラリー新宿」が素晴らしい。このほか、野村不動産「プラウドギャラリー武蔵小杉」、コスモスイニシア「イニシアラウンジ三田」が印象に残っている。
最近見たマンションギャラリーでは、東京建物「「Brillia Tower 堂島」、積水ハウス他「グラングリーン大阪 ザ ノースレジデンス」、日鉄興和不動産「リビオシティ文京小石川」がベスト3だ。
さて、今回の同社のギャラリーはどうか。新宿エリアでは三井不動産レジデンシャル、住友不動産、野村不動産、伊藤忠都市開発、積水ハウス、大京に続く7社目だが、他社に引けを取らないと見た。本物の緑をふんだんに採用しているのがなによりもいい。記者は10年以上前からマンション販売事務所などのフェイクグリーンをやめよと主張してきたが、本物を採用するところが増えている。結構なことだ。
「ジオ ライブラリーフォレスト」
商談室
◇ ◆ ◇
阪急阪神東宝グループについて。同社は、首都圏でのブランド力・認知度を向上させるため、阪急阪神東宝グループの歴史や住まいづくりへのこだわりなどの取り組みを映像で紹介するコーナーも設けている。
これは正解だろう。三重県出身で西武ライオンズファンの記者は阪急、阪神、近鉄、南海などは小さいころから知っていたが、野球ファンでない首都圏の方は同社グループがどのような事業を展開しているのか知らない人は多いはずだ。記者は2001年に同社が首都圏初のマンションを分譲したのも覚えているし、隈研吾氏が設計した2017年分譲の「ジオグランデ元麻布」も見学している。これまで取材してきて、商品企画はアピールしきれていないと思っていた。販売部隊も設けるべきだとも思う。
東宝宝塚はブランド力アップに大きな力を発揮するはずだ。記者は中学3年の修学旅行で東京に初めて行ったとき、日劇であられもないフレンチカンカンに目を白黒させた記憶がある。エンタメは三井不動産も力を入れているように無限の可能性を秘める。
ただ、プロ野球球団の阪神タイガースはよくわからない。野球ファンでない方の為に少し紹介すると、阪神の通算成績は.517で決して高くはない。リーグ優勝は6回、日本シリーズは2回しか優勝していないのに、2024年の観客動員数は巨人の約283万人を上回る約300万人で12球団トップだ。(わが西武の通算成績は.526で、リーグ優勝は23回、日本シリーズは13回も優勝しているのに、2024年の観客動員数は12球団最低の約156万人)
プロ球団を持つことやスポンサーになることが本業にどのような影響を与えるのか。最近の阪神はそうでもないが、ファンの方は何かにつけ東京に負け、チームも負け続けることに自虐的な喜びを感じる人が多いような気がするが…。ハイソなイメージが強い阪急とどうも一致しない。
徒歩10圏内で9駅13路線が利用可能 パークビュー売り 積水ハウス「御徒町公園」(2025/2/22)
見事な模型紹介コーナー 物件に込めた意気込みひしひし 日鉄興和不「文京小石川」(2025/1/25)
大阪の市場を劇的に変えた 東京建物&HPL「ONE DOJIMA PROJECT」竣工(2024/5/58)
〝ぶっ飛んだみどり〟だけでない 「グラングリーン大阪」タワマンに絶句(2023/10/12)
まるで植物園 五感で体験できる 野村不動産 マンション総合ギャラリー「新宿」(2023/2/21)
5社ブランドとの連携がいい 野村不の常設「プラウドギャラリー武蔵小杉」(2022/6/25)
目を見張る 710坪のマンションギャラリー 住友不「汐留」開設/第一弾は「虎ノ門」(2022/1/14)
木漏れ日、渓流の音…イニシアの世界観を表現 総合ギャラリー「三田」(2021/7/30)
これは凄い ホテルなら5つ星 伊藤忠都市 「ギャラリークレヴィア有楽町イトシア」(2020/9/10)
隈研吾氏がデザイン 〝グランデ〟首都圏第一号 阪急不動産(2017/3/6)
三菱地所ホーム 家の中に自然の中低木 最新モデルハウス「ONE ORDER」横浜に開設(2017/10/20)
1週間に5件 全て売れ行き好調 マンション・戸建ての販売現場に本物の生花・観葉植物(2018/4/19)
いい加減にしてほしい モデルルームのケミカル製品・造花の氾濫(2017/5/23)
3月の訪日外客数 前年同月比13.5%増の約350万人 3月としては過去最多
日本政府観光局(JINT))は4月16日、2025年3月の訪日外客数の動向をまとめ発表。外客数は3,497,600人で、前年同月比13.5%増となり、3月として過去最高だった2024年の3,081,781人を大きく上回り、同月過去最高を記録するとともに、3月までの累計では10,537,300人となり、過去最速で1,000万人を突破した。
国別では、最多は韓国の691,700人(前年同月比4.3%増)で、以下中国661,700人(同46.2%増)、台湾522,900人(同7.9%増)、米国342,800人(同18.2%増)の順。このほか前年同月比でインドネシア、マレーシア、インド、タイなどの増加が目立ち、香港、フィリピン、ベトナムなどは減少した。
全9戸 価格はすべて10億円超か 小田急不 代々木上原駅4分の南傾斜1低層
「(仮称)元代々木マンション」建築現場(右は三菱地所レジデンスのマンション)
建築主の小田急不動産は「ノーコメント」、つまりTesともNoとも言っていないので、以下の記事は、いわゆる建築計画のお知らせ看板の事実に基づいた記者の予想記事であることを断っておく。予想が外れても責任は取らないが、的中する確率は6割以上だと思う。同社の記念碑どころか、今後の新しいマンション事業のメニューになる可能性を秘めているので書くことにした。記事を書いたことで、同社が今後の取材を拒否する可能性はゼロではないが、まずないと見た。黙認するはずだ。
物件は、小田急線代々木上原駅から徒歩4分、渋谷区元代々木町の第一種低層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率150%)に位置する敷地面積約870㎡、建築面積約621㎡、地下2階地上5階建て延床面積約2,893㎡の全9戸。着工予定は2025年6月、竣工予定は2027年8月。事業主は小田急不動産。施工は竹中工務店。
現地は、比高差にして2層くらいありそうな南下がりの傾斜地。敷地は東、南、西側道路に接道。三菱地所レジデンスが2018年に分譲して圧倒的な人気を呼んだ「ザ・パークハウス代々木上原」47戸が道路を挟んだ東側に隣接。
情報はこれだけしかない。道路制限、日影規制、北側斜線などの法律がどうなっているのか、容積不算入の部分がどれくらいあるのかわからないが、有効率を80%と仮定すると、単純計算して1戸当たり平均専有面積は約257㎡(約78坪)になる。
坪単価はもちろんわからないが、立地条件からして最低坪1,300万円とみた。このままの好調市場が継続すれば坪1,500万円もありうる。グロス価格は最低でも約10億円、高値追及すれば約12億円だ。
この価格予想も間違っていないと思う。比較可能な前例もある。シーラ「THE SYLA SHIBUYA-TOMIGAYA(ザ・シーラ 渋谷富ヶ谷)」7戸と諸戸の家「代々木上原の邸宅」だ。前者は1フロア1戸の約30坪のマンションで、坪単価900万円、平均価格は2.7億円。後者は敷地面積242.12㎡(73.21坪)の戸建てで、価格は10億円超。いずれも竣工までにほぼ完売している。
今回の物件は、駅からの距離、1低層の南傾斜の住環境などからして価格はこれらを上回るのは間違いない。施工も竹中だ。レベルの低いマンションになるはずがない。
価格10億円超分譲戸建ての歴史を変えた諸戸の家「代々木上原」完売(2025/3/6)
1フロア1戸の全7戸 30坪で価格2.7億円シーラ初の「渋谷富ヶ谷」早期完売(2025/2/17)
代々木上原の一等地〝徳川山〟大京の最上位ブランド「リジェ」全12戸が人気(2024/1/12)
坪800万円をはるかに突破?三菱地所レジフラッグシップの「代々木大山」(2023/9/9)
マンション管理適正評価制度 2024年度末の登録件数は8,250件 満点の★5つは31%
マンション管理業協会は4月14日、2024年度第4四半期終了時点のマンション管理適正評価制度の登録状況をまとめ発表。2024年度末(2025年3月末)の登録件数は8,250件となり、目標としていた2024年度末で会員会社が管理する全物件の10ェに当たる10,000件は達成できなかった。大手デベロッパー系の管理会社は10%以上達成した模様だが、中堅以下の普及がいま一つのようだ。同協会は引き続き普及に努めていくとしている。
評価別登録数は、★5つが2,525件(30.6%)、★4つが3,494件(42.4%)、★3つが1,837件(22.3%)、★2つが390件(4.7%)となっている。
都県別では、東京都の2,540件(30.8%)が最多で、神奈川県1,108件(13.4%)、大阪府749件(9.1%)の順。竣工年別では1991年~2000年竣工が全体の29.5%を占めている。
★5つの戸数別分布では、400戸以上は77.3%がもっとも多く、50戸未満は24.6%となっており、戸数が多いほど割合が高くなっている。
管理評価項目別では、耐震性ポイント(平均:9.45点/10点満点)、管理体制ポイント(平均:18.29点/20点満点)が高い数値を示しているが、管理組合収支ポイント(平均:29.16点/40点満点)、生活関連ポイント(平均:4.27点/10点満点)が低い数値にとどまっている。
工事原価上昇続く2025年3月 前年同月比4.7%増 建築物価調査会
建設物価調査会は4月10日、2025年3月の建設物価建築費指数(東京2015年平均=100)をまとめ発表。工事原価は136.0(暫定)で前月比0.4%増(0.5ポイント(以下,p)、前年同月比4.7%増(+6.1p)となった。純工事費では137.1(暫定)で前月比0.4%増(+0.6p)、前年同月比4.7%増(+6.1p)となった。
昭和記念公園が徒歩圏 設備仕様レベル高い トヨタホーム「ANESIA THE CENTRAL」
「ANESIA THE CENTRAL(アネシア ザ・セントラル)」
トヨタホームが5月中旬に分譲するマンション「ANESIA THE CENTRAL(アネシア ザ・セントラル)」 を見学した。国営昭和記念公園に隣接する区画整理事業地内の一角で、同社の首都圏初の戸建てとの大規模複合開発。共用施設、設備仕様は間違いなく水準以上だ。
物件は、JR中央・青梅線東中神駅から徒歩10分、昭島市もくせいの杜二丁目の第2種住居地域に位置する9階建て全68戸。専有面積は63.40~81.31㎡、価格は未定で、坪単価は300万円に乗るかどうか。竣工予定は2025年12月上旬。設計・監理はウィル・アーキテクツオフィス。デザイン監修はコトナ。施工は森組。販売開始は5月半ば。現在までのモデルルーム来場者は約50組。
現地は、都市再生機構施行による9.5haの「立川基地跡地昭島地区土地区画整理事業地」内の一角にあり、開発面積は約3.0ha。同社としては全157区画の戸建て街区「トヨタホーム ザ・セントラル」との首都圏初の大規模複合開発。
街全体にヤシノキを数十本植樹しているほか、有孔ブロックを多用しデザインを統一。また、タウンセキュリティを導入、車の出入り口を3か所に限定し、防犯カメラも設置。街区内の道路は車のスピードを抑えるための植栽帯の設置、電線・電柱の地中化などを図っている。国営昭和記念公園入口までは徒歩12分。
建物は南向きと南西向き約6:4の割合。主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ(最上階は3000ミリ)、ディスポーザー、食洗機、御影石キッチンカウンター、ソフトクローズ機能付きリビングドア、木調へだて壁、水栓付きバルコニー奥行き2m、浴室タオル掛け2か所、パナソニックの浴槽美泡湯など。共用施設としてパーティルームと併用のゲストルーム(約60㎡)が設けられている。
同社はこれまでマンション販売は他社に委託してきたが、今回は自社で販売するという。力が入っている物件だ。
ランドスケープ
パーティルーム併用のゲストルーム(最上階の右端)
模型の駐車場はすべてトヨタのミニカー(1000万円超のレクサスもあるとか)
◇ ◆ ◇
同社のマンション見学は2017年の「アネシア築地ステーションレジデンス」以来久々だった。「築地」はミサワホームとのJVだったが、今回は単独。昭和記念公園に隣接した〝世界のトヨタ〟の商品企画を観るのが取材の目的だった。
取材の目的は、立川駅圏ではマンション坪単価は400万円をはるかに超え、JR青梅線昭島駅圏では大和ハウスの「プレミスト昭島」が圧倒的な人気を呼んでおり、物件レベルや価格などを確認することにあった。
立地は申し分ない。敷地南側は戸建て街区なので日照面で問題はないし、南西向きの住戸も敷地からセットパックして建てられており、緑地・歩道を合わせると幅は10mくらい確保されている。
基本性能・設備仕様も水準以上だ。モデルルームに当てられている75㎡の角住戸プランは横入り玄関で、他の住戸も単純な田の字型ではないし、ディスポーザーも標準仕様としているのもいい。共用施設として、パーティルームとの併用だが、公園が一望できる8階の角住戸をシャワー室付きのゲストルームにしているのにびっくりした。この規模でゲストルームを設けているマンションは少ないはずだ。
問題は、価格はいくらになるかだ。立川駅圏は坪400万円をはるかに突破しているので価格的には優位にあるが、昭島駅圏では坪280~290万円の大和ハウス「プレミスト昭島」があり、価格下げ圧力もかかっている。同社は「坪単価は300万円を目指す」としているが、記者も300万円前後だろうと予想する。
駅周辺ではURの賃貸マンションの建て替えなど約55.9haの東中神駅周辺地区住宅市街地整備計画もあり、整備されれば街並みは一変するが、現段階で詳細は未定なので、強気な価格設定は難しいと見た。
シンボルツリーのヤシノキ(車のスピードを緩める効果もある)
現地(緑地帯・歩道の広さが分かる)
東中神駅舎(左)と南口の再開発エリア
「プレミスト昭島」第2弾の第1期1次は143戸全戸の半数以上大和ハウス(2023/11/15)
平均75㎡レベル高いマリモ「昭和記念公園」 4カ月で半分以上の90戸超成約済み(20211/13)
トヨタホーム・ミサワ築地駅直結の「アネシア築地」は坪500万円突破か(2017/11/13)
中古マンション、中古戸建てとも成約件数が大幅増加 東日本レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は4月10日、2025年3月の不動産流通市場動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は4,991件(前年同月比31.0%増)、坪単価は260.7万円(同4.1%増)、価格は4,945万円(同2.6%増)、専有面積は62.58㎡(同1.5%減)。成約件数は5か月連続で前年同月を上回った。坪単価は59か月連続で前年同月を上回った。
中古戸建ての成約件数は2,195件(同62.8%増)、価格は4,030万円(同2.6%減)、土地面積は144.91㎡(同0.2%減)、建物面積は103.85㎡(同1.2%減)。成約件数は5か月連続で前年同月を上回った。