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「ASOOM新橋」完成予想図

 旭化成ホームズは6月6日、港区新橋で開発を進めてきたコンパクトオフィス「ASOOM新橋」が2025年6月1日に開業したと発表した。

 デザインに木製サッシを採用し、オープンキッチンや屋上テラス、共用ラウンジ、リフレッシュルームなど居心地を重視したオフィス空間のほか、新しいワークスタイルであるABW(Activity Based Working)に対応したワークプレイスを提供する。BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)★★★★、CASBEE(建築評価認証、スマートウェルネスオフィス評価認証)Aランクをそれぞれ取得。

 物件は、都営三田線御成門駅から徒歩4分、JR山手線新橋駅から徒歩9分、港区新橋5に位置する14階建て延床面積約2,378㎡。竣工は2025年5月31日。設計監理はUG都市建築、施工は植木組。

※Activity Based Working(アクティビティ ベースド ワーキング):仕事の内容や気分に合わせて、働く場所や時間を自由に選べる働き方

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共用ラウンジ

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ABWを採用したワークプレイス/リラックスルーム

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緑に囲まれた屋上テラス/屋上テラスからの眺望

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「ビー・グレイス柏 未来隣区」1期・2期(完成予想図)

 ポラスグループの中央グリーン開発は6月6日、全92区画の分譲戸建て「ビー・グレイス柏 未来隣区」のメディア向け見学会を行った。柏駅からは距離がややあるが、大規模開発であることを生かし、コミュニティを醸成する集会所を設け、居住者が街づくりを行う仕掛けを施している。集会所とデルハウスは出色の出来だ。

 物件は、JR常磐線・東武アーバンパークライン柏駅から徒歩22~23分、バス12分バス停から徒歩9分(自転車で柏駅から約8分)、柏市篠籠田の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する開発面積約16,000㎡、全92区画。1期(13戸)・2期13戸の土地面積は120.28~137.22㎡、建物面積93.57~98.12㎡、価格は3,990万~5,690万円(中心価格帯は4,000万円台後半から5,000万円台前半)。建物は2025年4月完成済。構造は木造2階建(在来工法)。施工はポラテック。

 現地の従前は林地。コロナ禍の最中に42区画を取得し、その後隣接地の50区画を取得。全92区画として開発した。公道の入り口から最大比高差は約10mの高台立地。

 主な基本性能・設備仕様は、ZEH水準、リビング天井高2700ミリ、食洗機・浴室乾燥機・電動シャッター・床暖房・宅配ボックス・エコワン・雨水タンクなど。共用施設として平屋建て木造集会所(延床面積56.51㎡)を設け、かまどベンチ、シェアサイクルを備えている。

 同社千葉支店取締役支店長・小林亮一氏は「この規模の住宅地開発は当社グループとして10年ぶり。希少性が高いので、知恵を出し合い、ハード・デザインに加え、集会所を設けるなどコミュニティも重視し、災害時の共助を育む『未来輪区』とネーミングした。今年3月28日から第1期13戸を販売開始し、これまでに12戸を成約、5月に分譲開始した第2期13戸も4戸が成約の見込み。7月に第3期を分譲する予定で、それまでは成約したい」と語った。

 同社設計部企画設計課課長・剣持翔太氏は、「設計のポイントはサステナブルを形にしたこと。コミュニティを醸成する施設として集会所を設置し、各住戸のLDKを美南が゛羽ではなく道路面に配した。景観協定を結び、街並みを入居者の方々が創りやすいような仕掛けも施している」と話した。

 同社開発千葉支店流山事業所営業課2係チームリーダー・伊香龍人氏は、「売れ行きは好調に推移している。検討者は近くのマンションや、駅の反対側の停止条件付土地分譲や、その他周辺の分譲戸建てと比較されている。購入者の半数は柏市内、子育て世代が中心なのはメインターゲットとして設定した通り。好立地ではないが、集会所を設置した理由などをきちんと伝えており、総合力として他には負けない。高い評価を頂いていることにそれが表れている」と語った。

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モデルハウス(マンションに標準装備しているピアキッチン付き)

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集会所

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左から剣持氏、小林氏、伊香氏

◇        ◆     ◇

 価格は予想した通りだった。同社の物件の手前には、総合地所などの「ルネ柏ディアパーク」(389戸)のマンションが分譲開始された。坪単価は250万円前後だ。当然、マンションとも競合しているはずだ。どちらがいいかは検討者が判断することなので、記者はコメントしない。

 ただ、今回の分譲戸建ての特徴である集会所はとてもよくできている。なによりいいのは、床と壁にニュージーパインと呼ばれる本物の木が使われており、床はナグリと浮造りの中間くらいの仕上げになっている。素足で歩くととても気持ちがいい。集会所は法人化して、柏市の管理団体に寄付することになっている。共用施設のままだと区分所有の問題が発生するからで、入居者は管理費として2,500円/月負担する仕組み。

 3棟のモデルハウスは、同社グループのそれと同じようにふんだんに本物の木を多用しているのは変わらないが、それぞれリビング階段、小上がりスペース、縁側デッキ、ピアキッチン(同社のマンションに標準装備)、中二階、銘木壁付きSTAIR LIVINGなど、企画意図を明確に伝えている。同等の価格帯の戸建てやマンションと比較して出色の出来だと思う。

 駅からの距離、戸数の多さなどからして常識的には完売まで2~3年かかるはずだが、そんなに時間をかける予定ではないようだ。

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モデルハウス
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デッキ付きモデルハウス

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モデルハウス

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集会所(左は提供公園)

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ニュージーパインの床

柏駅圏最大389戸 18坪(62㎡)の新型3LDKに注目総合地所「ルネ柏ディアパーク」(2025/2/16)

 

 


 

 

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遠藤氏(ザ オークラ東京で) 

 不動産流通経営協会(FRK)は6月5日、総会を開き、新しい理事長に三井不動産リアルティ代表取締役社長・遠藤靖氏(61)を選任した。遠藤氏は、桐蔭学園から慶大に進み、野球部主将として85年秋のリーグ優勝、学生日本一に導いた功労者。通算31勝を挙げながら読売巨人軍のドラフト1位を蹴って三井不動産に入社した〝RBAの星〟志村亮氏の高校時代を含め3年先輩。遠藤氏は、総会後の懇親会で次のように挨拶した。

 このたび太田理事長のあとを受け、新たに理事長を拝命いたしました遠藤でございます。開宴に先立ちまして、一言ご挨拶を申し上げます。
 本日は、ご来賓の国土交通省の平田研不動産・建設経済局長をはじめ、日頃からたいへんお世話になっております 関係諸官庁の皆様、友好団体の幹部の皆様、マスコミの皆様、そして会員の皆様には、ご多用中にもかかわらず、このように多数ご出席を賜りまして、厚く御礼申し上げます。
 先ほど、第 56 回定時総会および臨時理事会を開催し、私ども新役員が選任されましたことを、まずはご報告申し上げます。太田前理事長には、令和 5 年から 2 年間、当協会の理事長として、当協会ならびに不動産流通市場の発展に多大なご尽力をいただきましたことをあらためて感謝申し上げる次第です。
 さて、足下の不動産流通市場は高い価格水準を維持し、順調に推移しております。 一方で、世界各地における紛争、為替や物価の著しい変動など、社会・経済環境は大きく変動しております。 この重要で難しい不動産流通市場の重要性を高めるために、現状の課題を 3 点ほどお話ししたいと思います。
 まず一点目としては長年の課題でもあります、既存住宅流通促進のための税制改正です。本年 12 月には令和 4 年度から 4 年間の住宅ローン減税の期限が到来ます。今後の税制改正要望につきましては、関係諸団体と協力して、しっかりと活動して参りたいと存じます。
 次に 2 点目として、新たな不動産流通制度・システムの構築です。国土交通省の旗振りの下、デジタル技術を活用した役所調査の実務展開などにも、ご協力できればと考えております。
 3 点目は、安心安全な仲介サービスの提供であります。 消費者の皆様から信頼され、高く評価されるように、その担い手となる営業従事者への教育研修には、これまで以上に注力して参りたいと考えております。
 課題は以上 3 点でありますが、今後とも関係団体の皆様と連携しつつ、会員相互の結束のもと、協会活動の一層の充実を図り、不動産流通業の発展に寄与して参る所存でございます。
 皆様のご支援、お力添え賜りますよう、お願い申し上げます。
 最後になりましたが、本日ご出席の皆様の益々のご健勝とご活躍を祈念申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。 ありがとうございました。

◇        ◆     ◇ 

 遠藤氏が三井不動産リアルティ副社長に就任した時のRBAタイムズWEB版の記事に対するアクセス数は、2025年5月27日現在、17,943件(6月5日現在18,069件)で、2013年以降2025年までのアクセスランキングで何とベスト10入りしている。遠藤氏が副社長に就任する2年前に書いた、慶大後輩の志村亮氏が〝快投〟したときの記事に対するアクセス数はベスト19位の16,351件(6月5日現在16,384件)だ。この差は縮まるのか拡大するのか。

 このアクセス数は、もちろん大手デベロッパーやハウスメーカーの歴代社長・会長などの累計アクセス数には歯が立たないだろうが、1本当たりのアクセス数は誰にも負けない。野球の力はそれほど大きいということだ(G.G.佐藤氏を紹介した記事はベスト12位)。

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不動産協会理事長・吉田淳一氏(左)と遠藤氏

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 元三井不動産リアルティ(当時、三井不動産販売)社長で、初代日本郵政不動産社長の岩崎芳史氏(82)にもお会いした。空手2段(2018年は初段だった)の体力は衰えておらず、とても元気だった。「100歳まで生きる」とか。

 岩崎氏は三井不動産の横浜支店長時代、地域密着に徹しマンション事業で圧倒的な力を誇っていた大京に肩を並べるまで成長させた功労者だ。大企業の弱点である〝大男総身に知恵が回りかね〟を克服した。現在の三井不動産社長・植田俊氏の結婚式で仲人役を務めたのは岩崎氏で、遠藤氏も横浜支店に勤務していたそうだ。

 ちなみに、岩崎氏が日本郵政不動産の社長に就任した時の記事は6月5日現在6,369件だ。遠藤氏や志村氏には大きく離されているが、数だけが問題ではない。

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岩崎氏

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 元住友不動産ステップ(当時、住友不動産販売)の野球部スポークスマン兼スコアラーだった越智千明さんにもお会いした。胸には名刺ではなく手書きのネームプレートだったので、オヤッと思ったが、やはりそうだった。今年3月、定年の65歳で退社し、現在は居住地の川崎市の審判団体に属し、毎週日曜日はスタッブ10人とともに3試合の審判をこなしているという。

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越智氏

RBAタイムズWEB版アクセスランキング100(2013年~2025年)

三井不リアル副社長に学生野球日本一に導いた慶大卒の遠藤靖氏(02/03/2019)

〝RBAの星〟三井不・志村亮氏(51)が12年ぶり登板抜群の制球力健在(20/11/2017)

G.G.佐藤ら元プロ7人擁すトラバース参戦第30回RBA大会最多69チーム(12/05/2018)

10年計画で収益の柱に 「自由を愛し、自然体」郵政不・岩崎社長 空手初段も取得(2018/5/21)

 

 

 


 

 

Screenshot 2025-06-04 at 11-33-11 木造寺院・ホテル・商業施設一体型複合施設の開発事業 日本不動産学会長賞を受賞 東京建物株式会社.png
「東京建物三津寺ビルディング」 

東京建物は64日、宗教法人三津寺との共同事業として建築した「東京建物三津寺ビルディング」が「日本不動産学会長賞」を受賞したと発表した。「歴史ある建造物の保存」「地域の賑わい創出」「日本文化発信」を同時実現したのが評価された。

同ビルは、大阪市中央区心斎橋筋二丁目に立地。用途は寺院、ホテル、物販店舗。設計・施工は大成建設。着工は202116日、竣工は2023929日。

 

 

 東京カンテイは6月2日、全国の億ション供給動向をまとめ発表した。2024年に全国で供給された億ションは5,531戸で、このうち首都圏は約75%の4,157戸(前年4,180戸)を占めている。都県別では、東京都がもっとも多く3,625戸で、次いで大阪府753戸、神奈川県329戸の順。宮崎県で初めて2戸供給されたため、累計の億ション空白県は山形、鳥取、香川、徳島、佐賀の5県となっている。

 2024年12月末時点の累計供給戸数は68,351戸で、分譲実績が確認されたのは42都道府県。圏域別では首都圏が54,569戸、近畿圏が8,899戸、中部圏が2,221 戸、地方圏が2,662戸。都道府県別では東京都の48,183戸が最多で、全国シェアは70.5%となっている。

◇        ◆     ◇

 面白いデータだ。全国で供給されるマンションは、投資向けやコンパクトを除けば約10万戸(首都圏は約5万戸)だろうから、そのうち約5%(首都圏は約10%)が億ションと捉えることができる。

 気になったのは、全体市場をどこまで捕捉しているかだ。不動産経済研究所の調査では、首都圏の2024年億ション供給戸数は3,648戸(前年4,174戸)となっている。不動研は着工戸数の半分も捕捉できていないので少ないのは分かるが、東京カンテイとの差はそれほどでもない。東京カンテイに非分譲住戸をカウントしているのかどうか聞いたが、同社はデータをカウントする際に総戸数をカウントしているが、クローズド販売など一般分譲されない億ション戸数は含めないとのことだ。例えば、「グラングリーン大阪」のように全484戸のうち236戸しか一般分譲されなたかった物件は、残りの戸数はカウントされていないということだ。

 だとすれば、実際の億ションの供給戸数は、同社発表戸数より数千戸多い可能性もあるということだ。「供給」の定義を考えないといけないかもしれない。

 もう一つ、同社はバブル期を1988年(昭和63年)から1992年(平成4年)の5年間としているが、これには異論をはさまざるを得ない。

 バブル発生はもう少し前の1886年(昭和61年)ころだと思う。この年、民活第一号マンションの「西戸山タワーホウムズ」が分譲されたが、モデルルーム来場者は5万人を突破し、申込者は、北は北海道から九州まで全国に及んだ。完全に〝バブル〟だと思った。業界関係者もそう見ているはずだ。

 バブルが崩壊したのは1990年(平成2年)9月だ。これも間違いない。同年8月、湾岸戦争が勃発したのを機に株価が暴落し、9月のマンション月間契約率は確か50%を割ったはずだ。その後、マンションの値引き・解約が相次いだ。

 ただ、マンションは土地の仕入れから着工・分譲までかなりずれがあるから、単純に供給が多かった1988年(昭和63年)から1992年(平成4年)の5年間をバブル期としたのも分からないわけではない。そのように断ればよかった。

 同社は今後、億ション市場についてレポートするとしている。期待したい。かつて同社は詳細な億ション市場動向をまとめ発表している。用途地域別では、住居系エリアが大多数を占め、商業・工業系は数えるほどしかなかったのを覚えている。いまはその逆で、商業系が過半を占めているのではないか。消費者のニーズが居住環境より利便性を重視するように変化したのか、デベロッパーがそのように誘導したのかは分からない。

 

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「グラン レ・ジェイド三宿通り」 

日本エスコンは62日、最上位ブランド〝グラン〟を冠した「グラン レ・ジェイド三宿通り」が販売開始からほぼ1か月、531日に完売したと発表した。

物件は、東急田園都市線池尻大橋駅から徒歩14分・三軒茶屋駅から徒歩14分、世田谷区池尻一丁目に位置する6階建て全10戸(会員優先分住戸5戸含む)。一般分譲5戸の価格は20,990万~25,490万円。平均坪単価は820万円。入居予定は20263月。

外観は、カーテンのように波打つデザインにより外壁が光と影のコンストラストを演出し、平均専有面積100㎡超で、ルーフバルコニーや専用ガレージ付き住戸など多彩なプランを用意。一般エントリーを41日に開始し、これまでのエントリー数は約520件。販売開始は421日から。

全戸にホワイエ(屋内廊下)土地の価値を最大限引き出す日本エスコン「渋谷富ヶ谷」(2017/4/24

ライトコート付きのプラン秀 日本エスコン 首都圏初の〝グラン〟「若松町」(2016/11/4

 

 

 

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左から川村氏、神保氏、菊地氏(大手町ファーストスクエアカンファレンスで)

 東京建物、読売広告社、プライムプレイスの3社は6月2日、3社による新会社「WonderScape株式会社」を設立し、大型デジタルサイネージやイベントなどにより都市空間に付加価値を創出する「空間メディア事業」を開始したと発表した。2030年までに年間約5件・50億円投資し、売上高約30億円を目指す。

 WonderScapeには、「Scape(まちの風景)」に「Wonder(驚き・不思議)」を与えたいという思いが込められており、同社は今後、全国主要都市で東京建物グループが所有する物件に加え、第三者が所有する物件においても大型デジタルサイネージの設置を進めるとともに、連動したイベントを展開し、まちのにぎわい創出に貢献していく。第一号案件として、地下鉄「大手町」駅直結の大規模複合ビル「大手町タワー」で約300インチの大型デジタルサイネージ「大手町タワービジョン」の稼働を開始した。

 報道関係者向け新会社設立・事業戦略発表会に臨んだ東京建物取締役専務執行役員・神保健氏は、「従来、街づくりは建物を建てることなどハード面が重視されてきたが、10年くらい前から人々の賑わいや都市の活力を生み出すという形に変わってきた。最近では、大阪駅前に4.5万㎡の公園をつくる『グリーングラン大阪』が最たる例」と新会社を立ち上げた背景について説明し、「『空間メディア事業』は都市空間を情報発信媒体(=メディア)として活用することと定義づけている」と語った。

 読売広告社代表取締役社長・菊地英之氏は、「当社は不動産会社や住生活関連会社などの顧客が多いのが強み。今回も、東京建物さんと2021年から共同で取り組んでいる『都立明治公園』が縁となった。市民が街に対して持つ愛着や誇りを可視化する『CIVIC PRIDE』指標を通じて知見を積み上げてきた。このケイパビリティを新会社でも生かしたい」と話した。

 プライムプレイス代表取締役社長執行役員・川村崇氏は、「当社は東京建物グループのプロパティマネジメント事業を展開しており、商業施設の受託件数は全国で64施設に上っている。その8割以上はグループ外」と語った。

 新会社は、東京都中央区八重洲一丁目4番16号 東京建物八重洲ビル、株主は東京建物(56%)、読売広告社(34%)、プライムプレイス(10%)。社員は7名でスタート。社長には神保氏が就任した。

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「大手町タワービジョン」

◇        ◆     ◇

 記者発表会後、第一号案件の「大手町タワービジョン」の見学会も行われた。天邪鬼の記者は、同社担当者の説明をほとんど聞かず、1日約6万人が行き交うという地下通路を通る人々を観察した。デジタルサイネージを正面から見る人は、目に留まっているはずだが、立ち止まって凝視する人はなく、目線を上げる人は10人に1人いるかどうかだった。逆から来る人が立ち止まるシーンはまったくなかった。

 考えれば当然だ。街中に広告が氾濫しており、デジタルサイネージも当たり前になっている。一方で、発表会で配布された資料には、広告売上高の対前年比伸び率が媒体別に示されていたが、伸びているのはインターネット広告のみだ。それでも2015年は15.7%だったのが2024年は6.4%となっているように伸び率は鈍化している。その他では、屋外広告はコロナ禍での落ち込みを取り戻しつつあるが、新聞、テレビは横ばいかむしろ下落している。みんな情報源はネットで、SNSが情報を拡散しているのが現状だ。

 そこで、結論付けたのはデジタルサイネージだけでは大きな効果は期待できないのではないかということだ。広告マーケティングのイロハはAIDMAだ。Attention(注意)-Interest(興味)-Desire(欲求)-Memory(記憶)-Action(行動)へどうつなげるかだ。新会社関係者もそんなことは百も承知のはずで、メディアミックスを通じてイベントなどへ人の動きを誘導するはずだ。「大手町タワー」でいえば、どこに見負けない「大手町の森」がある。三菱地所の「大手町仲通り」の様々なイベントと連携すれば、日本一のストリートになる。他にも展開すれば30億円をはるかに突破できるのではないか。

 発表会では、公共空間の活用もテーマの一つになっていたが、記者は否定的に見ている。公園利用など公共施設・空間の利活用はたくさんの規制がある。そう簡単ではないはずだ。

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3,600㎡の「大手町の森」

めっちゃ楽しい 三菱地所など「仲通り綱引き大会2025」 ソニー生命 2年ぶり4度目V(2025/5/22) 

国交省「TSUNAG 認定」トリプル・スター 東京建物/三菱地所など/積水ハウス(2025/3/19)

〝負けたらあかんで東京に〟返上「グラングリーン大阪」南館3/21オープン(2025/3/17)

Park-PFI活用「都立明治公園」来園者240万人突破東京建物/公園を考える(2025/2/7)

時とともに成長する「うめきた公園」美しい「JAM BASE」先行街びらき(2024/9/4)


 

 

 国土交通省は5月30日、令和7年4月の新設住宅着工戸数をまとめ発表。着工戸数は56,188戸となり、前年同月比26.6%減、3か月ぶりの減少。内訳は持家が13,635戸(前年同月比23.7%減)、貸家が24,939戸(同27.9%減)、分譲住宅が16,148戸(同29.7%減)。分譲住宅の内訳は、マンションが7,709戸(同36.9%減)、一戸建住宅が8,169戸(同22.8%減)。

 

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仲井氏(如水会館で)

 プレハブ建築協会は5月30日、通常総会後に記者会見を開き、同協会会長・仲井嘉浩氏(積水ハウス代表取締役兼CEO社長執行役員)が今年度の重点的な取り組みについて説明した。

 仲井氏は、今年度の重点施策として3点を挙げ、その一つは、「住生活向上推進プラン2025」の総仕上げの年であるとし、次期の「住生活向上推進プラン2030」を立案し、より質の高いストック生成を目指すと語った。2つ目は災害対策で、激甚化する自然災害に平時から備えるため、協会本部事務所を移転し(新事務所は千代田区麹町2丁目14-2、麹町NKビル)、BCP対応、データ管理、DX効率化を推進するとした。3点目はストック対策で、耐震性・省エネ性など山積する既存ストックの課題解決に取り組み、人材育成にも力を入れると話した。

◇        ◆     ◇

 いつか機会があったら仲井氏に聞こうと思っていることが一つある。住宅の緑被率アップについてだ。言うまでもないことだが、「都市の緑地は、美しい景観の形成、温室効果ガスの発生やヒートアイランド現象の緩和、災害時における避難路・避難場所等の形成、雨水の流出抑制機能の発揮、身近に親しめる多様なレクリエーションや自然とのふれあいの場、野生生物の生息、生育環境の確保など多様な効果を有している」(国土交通省:まちづくりGXの検討状況資料)。記者は「住宅」と外構の緑は不可分だと思う。

 しかし、全国の市街化区域の緑被率は減少する一方で、最新のデータでは23.2%にしか過ぎない。首都圏の分譲戸建ての平均敷地面積は30坪(100㎡)がやっとだ。これでは敷地内に緑を確保するのは難しい。

 一方で、国も自治体もグリーンに対する補助・助成制度を設けてはいるが、一般住宅に対して緑化を義務付けているところは少ないはずだ。施主・戸建て購入者もまた、住宅と外構・緑を切り離して考える人が多いからか、外構の緑化は後回しになる。

 不動産の価値を評価する制度・指標にはCASBEE、WELL Building Standard、LEED認証、SITES、ABINC認証、i-tree…たくさんあるが、これらを統合して緑の価値を可視化する取り組みをプレ協に期待しているのだが…。

◇        ◆     ◇

 プレ協の令和6年度事業報告で気になる数値が示されている。「令和6年度の新設住宅着工戸数は、81.6万戸(対前年度比+2.0%)で、うち持家22.3万戸(同+1.6%)、貸家35.7万戸(同+4.8%)、分譲22.9万戸(同-2.4%)となった。このうち、プレハブ住宅では、全体9.4万戸(同-6.7%)で、持家2.6万戸(同-4.5%)、貸家6.2万戸(同-8.0%)、分譲0.5万戸(同-14.1%)となった」とし、「住宅市場を取り巻く環境は大変厳しい」としていることだ。

 果たしてそうか。住宅市場が縮小傾向にあるのはいまに始まったことではない。今後も、税制面でのメリットが大きい賃貸はともかく、持家や分譲が縮小するのは間違いない。

 しかし、大手のハウスメーカー・デベロッパーの決算数字を見ても、軒並み売上高、営業利益はアップしている。時代の変化、多様なニーズに対応しているからだ。優勝劣敗-この原則はビジネス界では貫徹される。

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井戸氏

 野村不動産は5月30日、「物流事業戦略発表会」を開催し、今後3年間で15棟・延床面積約130万㎡・投資額約3,000億円の事業化を決定したと発表した。累計では運用棟数60棟・延床面積約365万㎡・投資額8,000億円になる見込み。

 日本国内のEC市場規模は令和5年で24.8兆円(前年比9.23%増)と増加を続けている一方、運送事業者における時間外労働の上限規制による「2024年問題」や、物流施設での商品包装・仕分け・検品などに従事する様々な労働力不足が深刻化しており、今後具体的な対応をしない場合、新型コロナウイルス感染症拡大以前の2019年度の貨物輸送量等と比較し、2030年度には約34%不足する可能性があると言われている。

 同社は、物流業界が直面している様々な課題に対して、首都圏以外のエリアでも物流施設を開発することによる長距離配送の中継輸送への対応や倉庫内自動オペレーションの最適化を目指した「Techrum(テクラム)」の取り組み、冷凍冷蔵倉庫の開発、地域コミュニティ活動の促進に寄与する活動も積極的に行っていくとしている。

◇        ◆     ◇

 記者は、これまで物流事業を取材したのは大和ハウス工業と三井不動産くらいで、野村不動産が2006年に「Landport厚木」を竣工してから現在まで45棟、約70万坪の実績を積み上げてきたことなど全然知らなかった。

 興味がないからでもあるが、この業界については、のどに小骨が刺さっている気がかりなことが一つある。「物流」は「嫌悪施設」か否かだ。今から7年前の2018年5月、当時、三井不動産の常務執行役員ロジスティクス本部長・三木孝行氏(58)が記者発表会で「もはや、(当社は)後発ではない。(物流施設は)嫌悪施設ではない」とぶち上げたのがきっかけだった。これには衝撃を受けた。

 それまで記者は、物流施設は建築基準法では「倉庫」に該当し、住居系用途地域では建築不可なので、「嫌悪施設」だと理解していた。ただ、「嫌悪施設」そのものは法律用語ではないことも知っていた。建基法にも都市計画法にもそのような規定・文言は一つもない。「嫌悪施設」は、不動産流通促進センターが不動産取引に当たって、消費者などとのトラブルを避けるため、倉庫などを「嫌悪施設」と例示し、きちんと説明することを求めているものだ。なので、三木氏が「物流施設は嫌悪施設ではない」と話したのに衝撃を受けた。驚いたのは記者だけではなく、業界関係者もそうなのか、記事に対するアクセス数は約4,000件に達した。

 考えてみれば、物流施設で働く人はいわゆるエッセンシャルワーカーだ。建築規制があるからといって何の根拠も示さず「嫌悪施設」と決めつけるのは気の毒だ。

 そこで、この日(30日)、会見に臨んだ同社常務執行役員都市開発第二事業本部長・井戸規昭氏らに三木氏の発言を紹介し、「野村さんのこれまでの45施設は嫌悪施設か。そうでないのなら、業界あげて実態調査を行い、きちんと消費者に伝えるべきではないか」と質問した。

 これに対して井戸氏は「ここに出席している3人は物流施設が嫌悪施設だとは全く思っていない。物流あってこそお客様に荷物が届けられる。重要な社会インフラの一つ。不動産協会にも物流事業委員会(平成30年度設置)があり、横とのつながりもある。業界全体として地域貢献をアピールし、盛り上げていく」と話した。

 ぜひそうしていただきたい。ただ、「横とのつながり」にはやや引っかかるものがある。不動産協会には物流事業を手掛けるデベロッパーはほとんど加入しているはずでまとまるのは早いだろうが、〝アナログ業界〟の代表と言われる業界全体との連携は進むのか。

 国土交通省によると、物流の関連団体は日本物流団体連合会、日本倉庫協会、日本ロジスティクスシステム協会、利用運送振興会、航空貨物運送協会、日本インターナショナルフレイトフォワーダーズ協会、全国通運連盟、日本冷蔵倉庫協会、全日本トラック協会…市場規模が大きいから当然ではあるが、住宅・不動産関連団体(かなりある)のそれとは比べものにならない。

 最大の業界団体と思われる日本倉庫協会の設立は昭和23年4月で、会員数は3,500社もあるようだ。一方で、日本物流団体連合会の設立は平成3年7月で、企業会員は78社、団体会員は14団体。これらの会員の中には記者もよく知っている既存の大手倉庫会社が名を連ねているが、デベロッパーの名は一つもない。これはなぜか。業界団体同士で縄張りを争う時代ではないはずだ。今度機会があったら聞いてみよう。

地域との共生・協創目指す持続可能な物流拠点 IHI・野村不「Landport 横浜杉田」(2025/4/19)

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「物流施設」=「嫌悪施設」=「倉庫」なのか三井不ロジスティクス記者説明会(2024/7/12)

「最早、後発でない」「嫌悪施設でもない」三井不ロジスティクス本部長・三木氏(2018/5/21)


 

 

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