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「日本橋本町三井ビルング&forest」

 三井不動産は5月21日、「EMA WISH PROJECT~森とまちを願いでつなぐ~」メディア向け発表会の一環として、国内最大・最高層となる「日本橋本町三井ビルング&forest」建設現場見学会を実施した。木造ファンの記者は、同時間帯に不動産協会の総会後の懇親会があったため、集合時間に間に合わず、ほんの一部しか見学できなかったが、素晴らしい賃貸オフィスビルになることを確信した。

 説明会場となっていた8階部分についたときは説明会は終わっていた。目に飛び込んできたのは約1200ミリ角の現しの構造柱。施工の竹中工務店東京本店作業所工事長・福田義広氏によると、構造柱と構造柱をつなぐ梁の部材はカラマツで、カウンターはヒノキ材だった。

 現場には、1時間耐火、2時間耐火、3時間耐火の柱の見本が置かれており、手に触れることもできたので、下層階-中層階-上層階によって太さも重さも異なることがよくわかった。構造的には1階から4階まではS造で、4階の一部に竹中の特許技術である3時間耐火の「燃エンウッド」が、5~14階が2時間耐火の「燃エンウッド」が、15~18階が1時間耐火の「燃エンウッド」がそれぞれ採用されている。耐震壁・制震壁にCLTを多用している。

 同社担当者は「画期的プロジェクト」「環境経営と人財確保、心地よい空間で働けることなどが評価され、オフィスは満床」と説明した。

 一つ残念だったのは、外観は明るくてお洒落ではあるが、木造と思えるデザインはほとんどなかったことだ。

 「EMA WISH PROJECT~森とまちを願いでつなぐ~」は、同社グループ保有林の木材から製作した絵馬に、保有林が所在する北海道・旭川市の旭川市立永山南小学校の児童が描いたイラストをあしらい、小学生や地域住民、竹中工務店、同社社社員に加え、「三井のすずちゃん」こと俳優の広瀬すずさんをはじめとする著名人・アスリートなど約700人が未来への願いを記入し、これらの絵馬を日本橋エリアでビルの高さと同じ全長約84mにわたり掲出するもの。

 プロジェクトには北口榛花さん、小谷実可子さん、坂本花織さん、小塚崇彦さん、渡邊雄太さん、冨永啓生さんなど72人のアスリートが名を連ねている。

 「日本橋本町三井ビルディング&forest」は、中央区日本橋本町一丁目3番地に位置する敷地面積約2,500㎡、18階建て延床面積約28,000㎡。オフィス基準階(専有面積)は   約1,180㎡、構造は木造・鉄骨造、設計・施工は竹中工務店。竣工は2027年1月予定。規模は国内最大・最高層となる。都心型の賃貸ラボ&オフィス「三井リンクラボ」も予定している。

 国内初適用となる木造・耐火技術を多数導入し、同社グループの北海道の保有林約5,000haの木材を構造材とエントランスホールの壁など内装仕上げ材に使用。国産木材使用量は1,100m3超。一般的な鉄骨造オフィスビルと比較して、躯体部分での建築時CO2排出量約30%の削減効果を想定している。

 屋上には、有機質肥料を用いた水耕栽培システムや、省エネ効果が期待される室外機芋緑化システムを導入する。共用部には、アサヒ飲料の「CO2を食べる自販機」を新築のオフィスビルとして初めて設置する予定。

 環境対策としては、ZEB Ready認証、いきもの共生事業所®認証(ABINC認証)などの取得を目指すほか、次世代の環境配慮型オフィスビルとして、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の導入や建築廃材のアップサイクルなどの先進的な取り組みを実施する。

  同社は、木造建築ブランドを「&forest」として、第二弾の鉄骨・木造・SRCの11階建て延床面積約18,000㎡のハイブリッド賃貸ビル「(仮称)日本橋本町一丁目5番街区計画」を建築中で、2028年2月竣工を目指している。設計/施工は山下設計/大林組。

Screenshot 2026-05-22 at 13-30-07 三井不動産 国内最大・最高層の木造賃貸オフィスビル着工.png Screenshot 2026-05-22 at 13-30-42 三井不動産 国内最大・最高層の木造賃貸オフィスビル着工.png

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左から1時間耐火、2時間耐火、3時間耐火(柱の太さが異なり、灰色のモルタルの幅が異なるのが分かる)

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柱と梁

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竹中工務店木造・木質建築推進本部営業・プロモーショングループ長・本谷雄気氏(左)と同社東京本店作業所工事長・福田義広氏

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現地

三井不2棟目のハイブリッド木造賃貸オフィス「日本橋本町一丁目5番街区」着工(2025/11/10)

〝美は現しにあり〟木と鉄骨のハイブリッド実現野村不&清水建設「溜池山王ビル」(2023/11/23)

全て流通材、組子格子耐力壁を現しで表現AQ Group「8階建て純木造ビル」見学会(2023/8/26)

 


 

 

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光井氏が25歳の頃に描かれたと思われるデッサン

 5月21日~26日まで開催される「東京建築祭2026」の会場の一つ、光井純&アソシエーツ建築設計事務所を21日のぞいた。他の取材もありわずか30分間の見学だったが、若かりし頃に光井氏が描いた極めて微細で正確、かつ大胆なデッサンに、絵画が趣味だった小生は驚愕し、嫉妬するとともに軽いめまいを覚えた。先生、もう古希を迎えたのだから本業は優秀なスタッフに譲り、気随気儘の線描画家に転出されてはいかがか。大ヒットするはずだ。

「HARUMI FLAG」で美しい花を咲かせたい光井純氏建築美を語る(2023/1/30)

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光井氏は人物描写を大切にしている

 会場に入ってすぐ、壁にラフな絵がたくさん張られているのが目に入った。建築家がよく描くデッサンだ。何枚かは力作もあったが、少しは絵の素養があると思っている、かつては油絵が趣味だった記者(小学生のとき描いたクレヨン画は全国の学校で展示されたようだが、下手の代表作としてではないはず)はうまいとは思わなかった。

 その旨を担当者に正直に話したら、その方はどこかから光井氏が40~50年前にイェール大学に送ったスケッチブックを持ち出し、記者に見せた。パラパラと数ページ見ただけだが、めまいを覚えるほど驚嘆した。ダ・ヴィンチの微細な人体解剖図かビュフェの線描画に勝るとも劣らない。

 そこで考えた。ル・コルビュジエは建築家かつ画家として知られる。先生、先生は古希を迎えられた。もう本業はスタッブに任せて、線描画家に転身されてはいかがか。わが国の厳しい設計業の内幕・内実は、「書くな」(影響が大きすぎるという意味)と厳命されたので書かないが、プリツカー賞を受賞する前に山本理顕先生から聞いている。神経をすり減らす激務から解放されて自由気まま、融通無碍に線描画を描いたら埋もれていた才能が花開くのではないか。

 こんなことを書いても誰も信用しないだろうから、1年に1作品としていくらで売れるかの計算をした。公共施設やホテル向けに100号50万円として500枚で2億5,000万円、一般向けに10号5万円として2,000枚で1億円、合計3億5,000万円だ。小生も5万円だったら1枚購入する。画商に手数料として半分渡しても、1億5,000万円は手元に残る。向こう10年間で15億円だ。

 参考までに。小生は安藤忠雄先生の「仙川」、隈研吾先生の「原宿」のマンション購入を真剣に考えたが、予算が足りなかった。絶賛した「HARUMI FLAG」の記事にはアクセスが殺到した。少しは購入検討者の役に立ったはずだ。

 驚いたのは、先生のデッサンだけではない。同社のスタッフの一人でシニアアソシエイト・武田美紀氏も参画したという大和ハウス工業「プレミスト首里金城町」67戸(2023年竣工)の模型もそうだ。飛び上がらんばかりに驚いた。素晴らしい傾斜地マンションだ。

 首都圏の傾斜地マンションといえば、第一ホテルエンタープライズ「ヒルサイド久末」65戸(1985年竣工)、同「ゆりが丘ヴッィレッジ」82戸(1986年竣工)、丸紅「テラス寺尾台」43戸(1986年竣工)、谷脇建築設計事務所「熱海パサニアクラブ」279戸(1989年竣工)、三武「ヒルサイドテラス平山城址」42戸(1991年竣工)などを思い出すが、「首里金城町」もわが国を代表する傾斜地マンションの一つと言えるのではないか。

 大和ハウスは年に2回くらいメディア向けマンション事業説明会を実施しており、担当者もこの物件について触れているはずだが、記者は全然覚えていない。

 プレス・リリースも読んでいないので今確認したら、物件概要に光井純&アソシエーツ建築設計事務所の記載はない。小生はデザイン監修や設計者を必ずチェックするが、記載されていない物件のほうがはるかに多い。

 光井氏の代表作の一つである「HARUMI FLAG」の展示は1室があてがわれていた。約60年の分譲マンションの歴史の中で、記者が優れた大規模マンションを3物件上げるとすれば、「広尾ガーデンヒルズ」「パークシティ浜田山」「HARUMI FLAG」だ。詳細は省略する。見学者はぜひとも「浜田山」「HARUMI FLAG」を見学していただきたい。実際にものを見ないとその良さは分からない。

 「HARUMI FLAG」を観たあとは、「三井ショッピングパーク ららテラスHARUMI FLAG」内の「1階レストラン「Cafe&Restaurant CENTRALE」を利用することをお勧めする。トマトが抜群においしい。以前記事にも書いたが、「家計は火の車のわが家のトマトの年間消費額は一般的な家庭の年間消費額6~7千円の3倍以上だ。まずいトマトは食べない。血糖値の数値が安定しているのはトマトのおかげだと思っている。酒のつまみにしている」

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「プレミスト首里金城町」の模型

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小生の油絵(左)とパソコンに張り付けているフラゴナール「読書する少女」

「プレミストを建替・リブネスとともに柱の一つに育てる」大和ハウス・芳井会長(2026/5/20)

東京建築祭2026にJMAが初参加|30年の取り組みを公開(2026/5/16)

槇総合計画事務所創立60周年展覧会「人と社会と建築と」3/10~4/5(2026/3/10)

抜群に美味しい「ザファーム」のミニトマト「ららテラスHARUMI FLAG」(2024/3/1)

ランドスケープ&デザイン、共用施設…最高に素晴らしい「HARUMI FLAG」板状棟(2023/11/23)

隈研吾氏が設計坪700万円超でも好調スタートプロポライフ「札幌宮の森」(2022/9/24)

三井不レジ・日鉄興和・三菱地所レジ・不燃公社麻布十番駅近接の2.5ha再開発(2020/9/19)

文句なしにいい街づくり・基本性能坪単価280万円か「HARUMI FLAG」(2019/4/24)


 

 

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吉田氏(オークラ東京で)

 不動産協会は5月21日、通常総会後の懇親会を開催。吉田淳一理事長(三菱地所取締役会長)は次のようにあいさつした。

 本日は、公務ご多忙中にもかかわらず、金子恭之国土交通大臣、永井大臣政務官にご出席賜りますとともに、日頃からご支援・ご協力をいただいております関係省庁や友好団体、報道関係の皆様にも、多数のご出席をいただき、誠にありがとうございます。まず本日、当協会の定時総会が滞りなく終了いたしましたことをご報告させていただきます。

 さて、国際情勢に目を向けますと、中東情勢の先行きが見通しづらい状況であり、今後も注視していく必要があります。

 一方で、我が国の経済は、全体としては堅調に推移しているものの、物価上昇への対応等の課題に直面しています。不動産業を取り巻く環境においても、マーケットは総じて安定的に推移しているものの、建築費の高騰や金利の先高感など、確実に厳しさを増しつつあります。

 中でも、建築費の高騰は、事業の持続可能性はもとより、市街地再開発などの都市再生、ひいては日本の経済成長に深刻な影響を及ぼす大きな課題と考えております。

 この課題については、国土交通省のご協力のもと、今後日建連と合同で立ち上げる「協議体」の場で、不動産業界と建設業界が同じ方向を向いて、「担い手確保」「労務費の行き渡り」「生産性の向上」等について忌憚のない議論を行ってまいりたいと思います。

 これらの状況も踏まえ、当協会といたしましては、これから申し上げる活動に重点的に取り組んでまいります。

 第一に、環境政策に関する取組みです。環境政策のテーマは、「2050年カーボンニュートラル達成に向けた、建物の排出削減と経済成長の両立と、サプライチェーンでのGX推進加速による社会的要請への対応」です。2050年への道筋として、新築物件における2030年のZEH・ZEB水準の義務化、さらに、2035年や2040年に向けたエネルギー政策が示される中、省エネと再エネの両輪でさらに取り組みを加速して参ります。

 また、引き続き中高層建築物における木材利用の普及を進めるほか、ライフサイクルカーボンの算定・届出の法制化や、サステナビリティにかかる情報開示に向けての対応を図ってまいります。

 第二に、都市政策に関する取組みです。都市政策のテーマは、「成熟社会における人々の「共感」を呼ぶ国際競争力強化に資する持続可能なまちづくり」です。少子高齢化・人口減少の進行、自然災害リスクの増大や建築費の高騰といった課題に加え、ウェルビーイングの向上をはじめとした都市に求められるニーズも多様化しております。

 都市の個性を磨き、新たな価値創造やイノベーションを創出する、災害に対するレジリエンスを強化するといった、まちを「つくる」ということに加え、まちを「育て、活かす」という視点で、引き続き、既存ストックの利活用の促進、持続可能なエリアマネジメン体制の構築に取り組んで参ります。

 第三に、住宅政策に関する取組みです。住宅政策のテーマは、「安心・安全に誰もが暮らせる住まいの確保と既存ストックの有効活用、住宅・建築物における持続可能な社会の構築」です。4月に施行された改正マンション関係法に基づき、多世代にわたり活用されるストックを形成し、適正な維持管理等を通じて市場で適正に評価され、循環するシステムの構築を目指します。

 また、こどもや高齢者、障害者の方々を含め、誰もが安心して暮らせる住まいの確保に向けて、新築住宅の供給と既存住宅の機能更新の両面で、支援の拡充等に必要な取り組みを展開して参ります。

 加えて、老朽化マンションの建替えが円滑に進むよう、事業のボトルネックとなっている手続き等について、引き続き見直しを求めて参ります。

 第四に、税制改正に関する取組みです。今年度期限を迎える、土地固定資産税の負担調整措置等の重要項目をはじめ、GXやDXの推進やイノベーション創出、経済社会構造の変化等に伴う課題に対応した環境、都市、住宅等の政策推進に関連し必要な税制の検討を行い、令和9年度税制改正要望をとりまとめて参ります。

 第五としまして、昨年より対応を進めてまいりました「投機的短期転売問題」については、昨年11月に当協会から発信した対策について、会員企業各社の取り組みを引き続きフォローしてまいります。

 不動産協会としては、これらの活動を通じ、魅力的なまちづくりや豊かな住生活の実現、さらには我が国経済の成長に貢献していきたいと思っております。

 さて、話は変わりますが、いよいよ来年3月から横浜市で開催される「国際園芸博覧会」の開催まで1年を切りました。このイベントは、国土交通省をはじめ関係省庁、地方自治体、関連団体が連携して推進している、首都圏で初のA1(エーワン)クラスの国際園芸博覧会です。

 本博覧会は、我が国の魅力や技術、そして自然との共生のあり方を世界に発信する貴重な機会です。昨年の関西万博の成功に続き、首都圏で開催されるこの園芸博覧会を成功させるため、皆様には是非とも応援をお願いしたいと思います。

 本日ご参集の皆様方に、引き続き当協会へのご支援・ご指導をお願い申し上げまして、私のご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

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懇親会場

◇        ◆     ◇

 上段は、同協会事務局の協力を頂き、吉田理事長のあいさつ全文を紹介した。現在、不動産業界が抱える問題を網羅し、同協会が取り組もうとしていることが示されている。

 この日(5月21日)は、三井不動産のわが国最大の木造賃貸オフィスビル「日本橋本町一丁目3番計画」の現地見学会があり、吉田理事長のあいさつを聞き終えた時点で退席した(10分間もなかった)。懇親会が始まる前、同協会副理事長で三井不動産社長の植田俊氏にお会いしたので、「社長、木造ビルの取材のほうが大事ですよね」と聞いたら、「その通り」と答えた。木造ビルについては明日(5月22日)紹介する。凄いビルが完成する。

 ラッキーだったのは、会場に入るとき、わが三重県を代表する同協会理事で三交不動産社長の中村充孝氏にお会いしたことだ。歓談する時間はなかったので、その場でコメントを求めたところ、中村氏は次のように話した。

 「今年は三重県政150周年、伊勢志摩サミット10周年、伊勢神宮の遷宮に向けたお木曳も始まり、大変盛り上がっている。ぜひとも三重に足を運んでいただきたい。当社の住宅事業は、東京はもちろん、地元でも資材価格などの上昇から価格が高騰し厳しい取得環境が続いているが、安価で良質な住宅を提供できるよう鋭意取り組んでいる」

 木造ビル建築現場でも三重に関するとてもいい情報を得られた。これも明日紹介する。

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中村氏

環境、都市、住宅、税制への取り組みに重点不動産協会・吉田理事長(2025/5/14)


 

 

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芳井氏

 大和ハウス工業は5月18日、2026年3月期決算に関するメディア向けスモールミーティングを開催。冒頭、同社代表取締役会長CEO・芳井敬一氏は、2026年3月期決算は、2027年3月期を最終年度とする第7次中期経営計画を前倒しで達成し、売上高、各利益ともすべて過去最高を更新、2027年3月期から開始する予定の第8次中期経営計画は、中東情勢が不透明なことから発表時期を延期し、2027年3月期の業績予想では原油高、工事遅延、資材高騰などのリスクとして売上高3,000億円、営業利益1,000億円のマイナスを織り込み、年間配当については1円増配の176円予定していると話した。その後、約1時間にわたり同社代表取締役社長COO・大友浩嗣氏らとメディアとの質疑応答に答えた。

 同社の2026年3月決算は、売上高55,768億円(前期比2.6%増)、営業利益614,8億円(同12.6%増)、経常利益5,719億円(同10.9%増)、純利益3,505億円(同7.8%増)。賃貸住宅、商業施設、ホテル事業などが順調に拡大し、売上総利益率は19.2%(前期比0.7ポイント上昇)へ改善した。

 セグメント別では、戸建住宅は売上高13,422億円(前期比17.3%増)、営業利益1,556億円(同123.0%増)、賃貸住宅は売上高14,292億円(同3.9%増)、営業利益1,411億円(同8.6%増)、マンションは売上高2,796億円(同3.8%増)、営業利益59億円(同45.1%現)、商業施設の売上高12,901億円(同5.1%増)、営業利益1,624億円(同11.4%増)、事業施設の売上高11,898億円(同13.1%減)、営業利益1,276億円(同20.0%減)。

 2027年3月期業績予想は売上高58,000億円(前期比4.0%増)、営業利益4,000億円(同34.9%減)、経常利益3,420億円(同40.2%減)、純利益2,270億円(同35.2%減)を見込む。年間配当は前期比1円増の176円を予定。

◇        ◆     ◇

 同社の決算説明会の質疑応答で、分譲マンション事業について質問するメディアはほとんどいない。これは分からないわけではない。2026年3月期のマンションの売上高は2,796億円で、セグメント別売上高比率は5.0%だ。比率は賃貸住宅25.6%、戸建住宅24.1%、商業施設23.1%、事業施設21.3%と比べものにならない。国内市場はどんどん縮小し、大手の寡占化が進行している。

 また、特ダネ、ホットニュースを追いかけるのが習性のメディアも、中東情勢の影響や住友電設の子会社化による業績の影響などについて記事にするほうが、読者の関心も呼びやすい。わずか5%しかないマンション事業について質問しない、興味がないのは当然かもしれない。

 一方、分譲住宅市場が〝守備範囲・定位置〟の記者は、同社のマンションもずっと取材してきた。同社内の売上比率は低いが、業界全体で見ると三井不動産、住友不動産、三菱地所、野村不動産などに次ぐ規模だ。東急不動産や東京建物、積水ハウスなどよりも多い。

 それだけではない。かつてマンションは〝売ったらおしまい〟だったが、今は各社ともファンの囲い込みに必死だ。関連会社を通じた管理、売買仲介、リフォームだけでなく、あらゆる生活関連サービスを展開している。会員組織は大きいところでは数十万人にも達している。大和ハウスの取り組みは他社に後れを取っている印象を受ける。

 物件そのものはどうかというと、最近は首都圏の「塚田」「昭島」「大倉山」「船橋」「鶴見」などトップレベルの物件を供給している。

 この日は、耳が遠くなった記者に同社広報が気を利かせてボイスレコーダーを貸してくれた。ものすごくクリアに聞こえたので、お礼の意味も込めてマンション事業について質問することにした。狙いは芳井氏や大友氏の答えを引き出すだけではなく、メディアに注目させることにもあった。

 質問は、2025年度のマンション売上戸数1,263戸(1戸当たり平均7,340万円)に対する完成在庫437戸、営業利益59億円(営業利益率2.1%)の数値は同業他社と比較して圧倒的に低いのではないかというものだ。

 数値をどこと比較するかだが、例えば三井不動産。同社の2025年度の国内住宅分譲の売上高は4,393億円、営業利益は1,120億円(営業利益率25.5%)だ。マンションの売上高は4,008億円、計上戸数は2,747戸(1戸当たり14,592万円)、完成在庫は36戸。

 大和ハウスの利益率が低いのは海外の棚卸評価損を計上したためで、それを除くと9%という回答があったが、それにしても低すぎる。

 適正在庫については様々な考え方があるだろうが、かつて大京・横山修二社長が「年間販売戸数の1か月分が適正」と話したのを覚えている。なぜそうなのかといえば、一定の在庫がないと、顧客の購入希望に添えない、つまり販売機会を失うことになるというものだった。

 これに照らし合わせると、大和ハウスの完成在庫率は34.6%だ。在庫率が高いのは、消費者の取得環境が厳しく競争も激しく、絶えず価格下げ圧力がかかる地方での供給比率が高いからではないかと考えている。一つ間違えると在庫は100戸、200戸規模に膨れ上がるのが今の市場だ。

 記者の質問に対し芳井氏は、「マンションブランドの〝プレミスト〟は、建て替え・リブネス事業とともに柱の一つに育てる。期待していただきたい」と答えた。

 同社は、リブネス事業の売上高を2030年までに1兆円(2025年度は約4,500億円)に伸ばす目標を掲げている。記者もこの分野は飛躍的に伸びると思っている。再生と新築と両輪でこれまでにない事業モデルを構築するのは可能だと思う。

 それでも何かが欠けている気がする。先にも書いたブランディングではないか。かつて〝パークマンション〟〝パークハウス〟〝シティハウス〟〝プラウド〟〝ブリリア〟などは頻繁にメディア見学会を行い、消費者への浸透に力を入れた。記者はモリモト、大和地所レジデンス(前日本綜合地所)などを年間10~20件は見学して記事にした。消費者に浸透するのに一定の役割を果たしたはずだ。

 〝ダイワハウス〟を知らない人はいないだろうが、〝プレミスト〟が同社のマンションブランドだと答えられる人はどれだけいるか。メディアの方も先に上げたマンションを見学したことがある人は数えるほどしかいないはずだ。記者はものを見ないと成長しないし、企業は記者を育てる役割も担っているはずだ。同社が近く分譲する「つくば」の見学会をやってはいかが(記者は申し込み済み)。「鶴見」もいい。

総面積10.5ha 公園と住宅700戸の一体開発第一弾大和ハウス「鶴見花月総持寺」好調(2026/3/17)


 

 

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「駒沢公園第3モデルハウス(MITSUI HOME KOMAZAWA)」

 三井ホームは5月19日、同社の最新の「MOCX WALL(モクスウォール)工法」をモデルハウスに初採用した「駒沢公園第3モデルハウス(MITSUI HOME KOMAZAWA)」をメディアに公開した。壁倍率30倍超のオリジナル高強度耐力壁「MOCX WALL」を採用することで下がり壁や耐力壁を削減し、大開口・大空間を実現するとともに、ライフスタイルの変化にも対応する自由度の高いデザイン・可変性を可能にした。モデルハウス仕様で坪単価は270万円で、本物志向の富裕層がターゲット。

 特徴は、第一に木造マンション「MOCXION」で培った高強度耐力壁技術を戸建て向けに最適化して導入したことで、「下がり壁」や「耐力壁」を大幅に削減したこと。第二に都市部の限られた敷地でも、光と風を最大限に取り込む「高さ3mの大開口」(2階リビングの最大天井高は4.38m)を実現したこと。第三にプランニングでは持続的な幸福感(ウェルビーイング)を提案し、ライフスタイルの変化に対応する自由度の高い居住空間を体感できること。

 見学会で同社技術研究所研究開発グループ長・上迫弘幸氏は、「部材を一から見直し、オリジナル耐力壁を採用したことで圧倒的な開放感と自由空間を実現した。ノイズレス、シームレスな空間は、家族構成やライフスタイルの変化に対応できる。リフォームが容易で、間仕切りをなくしたり別用途に再構成したりすることも可能。当社グループが掲げる『経年優化』の思想を具現化するもの」と話した。

 また、同社注文住宅事業推進室開発グループ長・小田康太氏は「外観デザインは、上質なベージュトーンを採用し、緩い勾配金属屋根を採用することで視認性を高めた。植栽計画では三重県鈴鹿市の圃場の何万本の中から百日紅やカツラ、サザンカなどを選んだ。インテリアはクワイエットラグジュアリーを多用することで、ターゲットとする本物志向の富裕層に訴求するようにした」と語った。

 「駒沢公園第3モデルハウス(MITSUI HOME KOMAZAWA)」は、世田谷区・駒沢公園ハウジングギャラリー内にオープンしたもので、MOCX WALL工法(2階建て)、延床面積243.02㎡(73.51坪)。モデルハウス仕様で、外構などを含めた価格は3.5億円。建物坪単価は270万円。

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外観

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LD

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Powder&Fitnese(ファニチャーはDEDON)

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ハイシーリング天井

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上迫氏(左)と小田氏

◇        ◆     ◇

 今回のモデルハウス見学会は、昨年11月に行われた構造見学会も取材しているので、どのようなものになるか楽しみにしていた。「MOCX WALL」の特徴はハイシーリングや二方向持ち出しバルコニー、フラット掃きだし窓などによく表れていた。デザインはオーソドックスな和洋折衷で、奇を衒っていないのがいい。

 とてもいいと思ったのは2階のLD(28.9畳大)もそうだが、Kichen(10.3畳大)、Garden Lanai、Powder&Fitnese(10.3畳大)、Lounge(12.5畳大)などだ。

 Kichenはドイツ・ポーゲンポール製、天板はマラッツィ社のシルバールート。Garden Lanai には大きな水盤が設けられている。Powder&Fitnese はサウナとDEDON(デドン)のファニチャーが採用されている。

 嬉しかったのは、わが三重県の鈴鹿市が全国有数の植木産地なのは初めて知ったことと、見学しながら予想した坪単価250万円がほぼほぼ的中したことだった。駒沢住宅展示場は大激戦を展開することになるはずだ。

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掃き出し窓

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Garden Lanai

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マラッツィ社のシルバールートが採用されているキッチン天板

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外観

三井ホーム新工法「MOCX WALL」初採用した「駒沢第三モデルハウス」見学会(2025/11/20)

外観・内装とも黒・グレーが基調玄人の虜になるか旭化成ホームズ「FREX asgard」(2025/3/4)

〝生活を紡ぐ(life knit)〟積水ハウスの新提案モデルハウス「HUE(ヒュー)」(2023/7/27)

「希」に見る設計依頼 1か月で来場100組超大和ハウス富裕層向け「MARE」(2021/6/2)


 

 

首都圏中古マンション成約件数・成約㎡単価・在庫件数の動き

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東日本レインズ公表グラフ 

東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は513日、20264月の首都圏不動産流通市場動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は3,903件(前年同月比 1.2%減)となり、2410月以来18か月ぶりに減少、成約坪単価は283.6万円(同5.9%増)となり、205月から72か月連続で上昇(前月比は0.5%減)、成約価格は5,321万円(同5.4%増)となり、2411月から18か月連続で上昇(前月比は3.6%減)、在庫件数は前年同月比2.7%と2か月連続で増加した。

中古戸建て住宅の成約件数は1,839件(同3.5%増)となり、2か月ぶりに増加、成約価格は4,177万円(同9.8%増)となり、4か月連続で上昇、土地面積は146.01㎡(同3.3%減)となり、8か月ぶりに縮小、建物面積は104.39㎡(同2.3%増)となり、3 ヶ月ぶりに拡大、在庫件数は前年同月比1.4%減と3か月連続で減少した。

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東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の2025年度のレインズ(REINS:不動産流通標準情報システム)のアクセス数は前年度比8.3%増の66,785万件で、1日当たり約182万件となる。2025年度末の会員数は148,841会員(前年度末比1.3%増)なので、1会員当たりアクセス数は4,487件、1日当たり約12.3件となる。会員社の従業員は、パスワードを取得すればシステムへのアクセスが可能だ。

記者は、以前からレインズ情報システムは、情報の非対称性の最たるものだと思っている。毎月発表される中古流通市場動向データは、業界関係者はもちろん一般の人にも参考になるが、データはPDFなので、分析するためにはエクセルに変換しなければならない。

PDFをエクセルに変換するツールはあるが有料だ。同機構には国土交通省の「不動産情報ライブラリ」のようにCSVファイルとして公表してほしい。そうすれば詳細なデータ分析が可能となる。

同機構はサイトに掲載されている資料・データを引用・転載する際の同機構の承諾は原則不要としており、「資料を営利目的で作成または販売すること」を禁じているが、同機構のデータを餌に消費者を釣ろうとするサイトが散見される。消費者保護の観点からもCSVファイルにすべきだと思う。

 

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 光井純&アソシエーツ建築設計事務所は、2026年5月21日・26日(1​0​:​0​0​〜​1​7​:0​0)​に行われる「東京建築祭2026」に初参加する。「HARUMI FLAG」や「麻布台ヒルズ」などのプロジェクト展示に加え、マスタープランから建築・空間・ディテールまでを一体的に捉えたJMAのデザインを紹介する。

 東京建築祭は、東京の魅力的な建築を楽しむ大規模イベント。昨年は11万人以上が来場している。会場は会場:光井純&アソシエーツ建築設計事務所 東京本社(JMA)
(東京都品川区西五反田5-2-4 レキシントン・プラザ西五反田3F)。

東京建築祭公式ウェブサイト

「HARUMI FLAG」で美しい花を咲かせたい光井純氏建築美を語る(2023/1/30)


 

 

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「パークタワー栄」

 三井不動産レジデンシャルは5月14日、「パークタワー」シリーズ名古屋初の「パークタワー栄」のコンセプトルーム「栄レジデンシャルサロン」事前内覧会を5月16日から開始するのに先駆け、メディア内覧会を実施した。

 物件は、名古屋市営地下鉄東山線・名城線栄駅から徒歩10分、名古屋市営地下鉄東山線・鶴舞線伏見駅から徒歩8分、名古屋市中区栄二丁目に位置する敷地面積約1,121㎡の24階建て全95戸。専有面積は50.01~161.43㎡、予定価格は6,500万円(50㎡)、7,500万円(58㎡)、10,400万円(66㎡)、16,300万円(90㎡)、21,100万円(100㎡)、6億円超(161㎡)。竣工予定は2028年11月下旬。設計・監理・施工は矢作建設工業。販売予定は2026年7月上旬。2026年1月のホームページ開設以降、これまで500組を超える反響がある。

 特徴は、①名古屋の中心として発展してきた「栄」の歴史・文化・緑が交差する立地②高層階からは360度の眺望が望めること③デザイン監修に星野裕明氏(ホシノアーキテクツ)を起用④角住戸比率約88%-など。

 現地は、「本町通」など三方に接道。世界最大級のプラネタリウムを持つ科学館や美術館を擁する白川公園に近接。

 主な基本性能・設備仕様は、免震構造、直床、リビング天井高2650ミリ(1部除く、最上階のラグジュアリータイプ2戸は2750ミリ)、ディスポーザー、食洗機(20階以上はMieleの深型)、フィオレストーンキッチン天板・洗面所(一部)など。

 「栄レジデンシャルサロン」は、名古屋圏では珍しい360度の眺望が体験できる「Dynamic View LED」を採用している。

 同社中部支店営業室主管・古谷歩氏は、「平均専有面積は76㎡で、過去10年間に供給された都心3区の平均面積より15㎡広い。『栄』という限られた地区のランドマークにする」と語った。 

 三井不動産のビルや三井不動産レジデンシャルのマンションのデザイン監修を数多く担当している星野裕明氏のビデオメッセージも紹介された。星野氏は呉服の街だった「栄」をイメージしたシンボリックな意匠デザインにすると語った。

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エントランス

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コンセプトルーム

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「Dynamic View LED」

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古谷氏

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 取材の最大の目的は、今年の名古屋圏の地価公示上昇率は、東京圏と大阪圏だけでなく、地方4市(札幌、仙台、広島、福岡)にも、さらにまた、全国平均よりも下回っている-この地盤沈下の理由を探ることにあった。

 その理由の一つとして、先月の「ザ・ランドマーク名古屋栄」竣工内覧会の取材のときも感じたのだが、地元の大企業-トヨタ、JR東海、名鉄、中部電力(2021年にグループ入りしたエスコンは札幌などの地方で大活躍しているが)…などはマンションやビルなど街づくり・再開発で存在感を示していないということだ。中心的な役割を担っているのは、みんな東京や大阪などの〝外様〟ばかりだ。かつての中部圏は地元意識が強く、他者を寄せ付けない風土があった。〝今は昔〟だ。三重出身の記者は残念でならない。中日ドラゴンズが阪神、ソフトバンク、オリックス、日ハム、楽天、広島より弱いのは地盤沈下と関係はないのか。

 何かにつけ話題になる〝上げ潮〟の福岡は、七社会(九州電力、西部ガス、西鉄、JR九州、福岡銀行、西日本シティ銀行、九電工)が街づくりを牽引している。デベロッパーでは福岡地所がある。名古屋・中部圏と対照的だ。

 質疑応答では聞きたいことはたくさんあったが、聞けば記者の無知ぶりをさらけ出すことになるのでやめた。他の記者の方の質問に期待したがダメだった。結局のところ、何も知らないことを改めて思い知らされただけだった。

 ただ、全くの空振りだったかといえばそうでもなく、いくつか収穫もあった。その一つは、主催者としてあいさつした古谷氏は、今年1月に異動で名古屋勤務になったということだ。名古屋弁が聞けなかったのは残念だったが、古谷氏は「HARUMI FLAG」を担当しており、今回の物件を皮切りに名古屋圏の事業を強化する狙いがあると読んだ。

 もう一つは、「直床」の意味を知らないスタッフがいたということだ。つまり、名古屋では「直床」が多く、「二重床」は少ないのではないかということだ。

 さらに、もう一つ。取材が終わったのは15時で昼食もまだだったので、安くておいしい飲食店がないか関係者に聞いたところ「味仙」を紹介されたのだが、開店は17時とのことなので断念せざるを得なかった。東京の人気店ではありえないことだ。

 仕方がないので、タバコが吸えるカフェがないか探したのだが、栄駅まで1軒もなかった。駅地下のカフェはどこも禁煙なのはこの前の取材で確認している。これまた東京ではありえないことだ。(ギャラリーに近接する白川公園には「禁煙」の看板はかかっておらず、吸っている人がいた。記者も一服した)

 …ここまで書いてきて、読者の方に失礼な、退屈極まりない記事だと思う反面、いま一つ元気がない名古屋圏の現状を伝えているような気もする。

 肝心の坪単価について。予定価格から坪単価をはじくと429万円(50㎡)から696万円(100㎡)、1,230万円超(161㎡)とかなり差がある。

 これは、どこのタワーマンションでも同じだ。敷地条件、日照、眺望と関係がある。物件の周囲は10数階建ての建築物が多く、同レベルの12階以下の1フロア5戸の住戸は南東・南西の角住戸は70㎡台だが、それ以外は50㎡台だ。単価はかなり抑えられているという印象を受けた。比較するのは適当ではないが、沖縄では坪400~500万円の物件も供給されている。

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白川公園

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現地

〝どえりゃでかい開発は外様ばっかや。どもならんがな〟三菱地所他「名古屋栄」続編(2026/4/11)

フージャースコーポ 首都圏外では初のシニア向け「デュオセーヌ覚王山」(2026/4/11)

差別化奏功市況いま一つの名古屋圏で好調竣工完売へフージャースコーポ「刈谷」(2026/4/10)

栄の中心地に大規模複合施設三菱地所他「ザ・ランドマーク名古屋栄」竣工(2026/4/7)

ランドスケープ&デザイン、共用施設…最高に素晴らしい「HARUMI FLAG」板状棟(2023/12/11)


 

 

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(提供:リージョンワークス)

 「第16回 不動産協会賞(2025年刊行分)」を受賞した3作品の一つ、後藤太一+リージョンワークス著「経営戦略としての都市再生:チームによるエリアマネジメントの実践と手法」(学芸出版社、A5変判・272頁)を読んだ。受賞理由の「福岡、神山、渋谷、福井で都市の経営を30年実践してきた実務のプロが…知見を示す内容は、まちづくりの現場で役立つヒントが詰まった、実践者のための指南書となる一冊」であるのは間違いない。都市再生、街づくり・地域活性化に取り組むすべての関係者必携の好著だ。

 読むことを決めたのは、2026年4月16日に行われた同賞表彰式で同協会理事長・吉田淳一氏(三菱地所会長)が「今回は特に不動産業界に深く関わるさまざまなテーマの課題について、示唆に富んだ著作が選ばれた。どれも中身の濃い素晴らしい著作」(不動産流通研究所WEB「R.E.port」)と述べ、書籍の帯には馬場正尊氏(建築家/OpenA代表)と藻谷浩介氏(地域エコノミスト)の〝絶賛〟メッセージがあったからでもあるが、何よりも「福岡、神山、渋谷、福井で30年、まちの経営を支えた実務のプロが導く戦略・組織・事業のつくり方」のうたい文句に引き付けられ、また、あれやこれやのデータをかき集め、同業の学者・研究者の論文で自論を〝補強〟する、ありきたりの学術論文ではないと確信したからだ。

 読み始めたのは、「この本は、まちづくりやエリアマネジメントに取り組むデベロッパー、鉄道会社、自治体などにお勤めの方、飲食店や集会施設を含めて人が集まる場づくりをしている方、まちづくりの仕事に関心を持つ学生や実践しているコンサルタントにぜひ読んでいただきたい。同時に、まちに関心を持つ、さまざまな方に読んでいただけるよう、どこから読んでも、気になる章だけ読んでも、あるいは(主にⅢ部は)参考書のように都度参照していただいて大丈夫なように、アラカルトの構成にもなっている。さあ、新たなる希望と武器を得て、都市に出て行こう」(「はじめに」19p)という呼びかけに従い、第Ⅰ部「ケーススタディ」の章末に紹介されている、「現場の手触り感や体温が伝わる」(19p)の座談会からだった。

 この選択は正解だった。福井の座談会で後藤氏は「これからの福井の物語をみんなで紡いでいきましょう」と締めくくっているが、この言葉がストンと腑に落ちた。同著にある「貿易や戦争における日本とアジアの玄関口であり続けた福岡が、その発展史を未来志向で伸ばしていく必然性に、関係者がストンと腹落ちしたのである」(215p)と同じ感覚だ。

 あらゆる人を巻き込み、その地域ならではの歴史や文化を織り込みながら街を再生し次世代に継承していく活動は、まさにその地域の綿や繭などの天然資源をよりをかけて糸にし、自然由来の草木などを用いて得も言われぬ色に染め上げ、それを縦糸と横糸にして丁寧に織り込み、丈夫で長持ちする布に仕上げる「紬」そのものだ。小さいころ、祖母がカラン、コロンと音をたてながら蓆を編み、昔話を聞かせてくれた記憶を、この書籍は呼び覚ませてくれた。

 「物語を紡ぐ」ことの重要性については、スーザン・ジョージ著「これは誰の危機か、未来は誰のものか」(岩波書店・荒井雅子訳)で、変化を実現するため必要な「6つのM」が提示されている。つまりMoney(資金)、Management(マネジメント)、Media(メディア)、Mission(使命)、Motivation(意欲)、Myth(神話・物語)」が参考になる。スーザン氏はこの「6つのM」の中で「Myth(神話・物語)」がもっとも重要だと述べている。

 もう一つ、ストンと腑に落ちた座談会での会話がある。「複眼的なメンバー構成と、組み合わせが多様にある柔軟さ、そしてトリガーを引く人が複数いる体制があることは大きい」(71p)と、松岡恭子氏(スピングラス・アーキテクツ代表取締役)は述べている。

 この「複眼的なメンバー構成」はとても重要なことだと思う。徳島県神山町プロジェクトのワーキンググループ(WG)を立ち上げる際に「WGは役場と民間とそれぞれ14名ずつの計28名で構成された。役場職員はさまざまな課から、民間人は町内で生まれ育った人と移住者がバランスするように配慮し、男女比も半々に近づくようにした」(78p)結果、「町民・町内バスツアー」の参加者は延べ1,000人を超えている」(102p)。同町の人口は約4,500人だから、ものすごい人数だ。

 「複眼的」で思い出すのは、令和4年10月に亡くなった千葉大学名誉教授・小林秀樹氏(享年68歳)の「複眼の視点」だ。小林氏は2010年11月のフォーラムで「『縦割り制度』を見直し、私たちの暮らしの実態に近づけようとする複合・混合・連携・協働・総合・合築・中間などの言葉で表現される試みを『複合』という言葉に代表させて『複合の可能性を追及しよう』」と語った。

 小林氏に関する記事は何本か書いたが、いま検索したらアクセス数は1万件近いものもあった。小林氏には多くのファンがいたということか。惜しい方を亡くした。

 ケーススタディ座談会のあと、第Ⅱ部「フレームワーク」、第Ⅲ部「メソドロジー(方法論)」を読んだ。書き出すと止まらないので詳細は省くが、データ収集による予習が重要、各自治体が公表するデータはCSVにすべき、自分の目で街を観察すること、東京を物差しにした論議は視野狭窄に陥りやすいこと、どの都市でも中心地から半径2㎞の範囲に個性的な地区が隣り合っていること、見えない情報は個別のインタビューで補うこと、大規模なシンポジウムよりも、皆で対話するセミナーなどのほうが、人数が少なくても共感が得られる…とし、総括として図示されている日本のエリアマネジメント実務に必要なスキルセットはとても参考になる。

 4市のケーススタディは飛ばし読みした。〝100年に1度〟の再開発で沸く渋谷では、「MIYASHITA PARK」は何度も取材(飲む目的もあるが)した。「渋谷川」と「玉川上水旧水路緑道」も歩き、課題(都市公園もそうだが、利用・歩きたくなる仕掛けが圧倒的に欠ける)も見つけた。

 他の都市再生プロジェクトは、メディアなどが報じている以外のことは知らない。福岡は、近年では数年前に2度取材しただけだ。神山は一度も行ったことがない。そもそも徳島は大歩危・小歩危を電車の中から眺めただけだ。福井は、水上勉の出身県なので好きな県ではあるが、永平寺に行ったことしかない。知らないことは書かないのが記者の基本姿勢だ。

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後藤氏(提供:リージョンワークス)

◇               ◆     ◇

 神山町について。神山町は今年1月、「【第3期】まちを将来世代につなぐプロジェクトの策定について」を発表している。2016年に開始した創生戦略「まちを将来世代につなぐプロジェクト(つなプロ)」が10年の節目を迎えたことから、これまでの取り組みを整理し、2026年度から2030年度までの5年間を戦略期間とする第3期として策定したものだ。

 しかし、同町の人口動態や財政状況を見ると、前途は容易ではない。令和7年度の人口は4,529人(前年度比65人減)。内訳は出生9人、死亡116人(自然減107人)、転入169人、転出128人(社会増41人)。転入は多いが、死亡・転出を埋めるには至っていない。

 令和7年度予算は71.1億円で、町税4.4億円、繰入金2.1億円などの自主財源は3.0億円、自主財源比率は43.4%だ。財政力指数は0.2で、全国市区町村の中でも下位にランクされている。

 書籍にも登場するリージョンワークスのメンバーで、神山町に移住してプロジェクトの主要メンバーを務める森山円香さんを含め、頑張れというほかないのだが…。 

 投稿によると、森山さんはいま、京都大学の大学院に通っているそうだ。片道5時間の道のりは全然苦にならないという。最近、ひよこを飼い始めたとある。森山さん、鶏は4~5羽くらいだと毎日家族分の卵を産みますよ。鶏小屋は近所の人が作ってくれるはず。雄も交えたほうがいい。〝コケコッコー(早く起きろ)〟とけたたましい声で鳴くのは雄だけ。飼育代はそんなにかからない。フンは肥料になる。

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神山町ホームページから

◇       ◆     ◇

 エリアマネジメントについて一言。この嚆矢は一般社団法人大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会のはずだ。1998年2月、 「ゆるやかなガイドライン」を策定し、発表したのが走りだ。

 同協会は表に出ることはほとんどないが、三菱地所の取り組みなどを通じてずっと取材してきた。何がすごいかといえば、メインストリートの都道・丸の内仲通りのイベントだ。都道の占用(使用)許可は年間約3.2万件あるが、大半は道路工事関連だ。イベントなどの件数は公開されていないが、申請資料作成は大変なはずだ。それでも仲通りは訪れるたびに何らかのイベントで使用されている。車が通っている光景などほとんど見たことがない。もう廃道にしてはどうかと思うほどだ。

 もう一つ、まだエリアマネジメントなる言葉がなかった時代に、街づくりをコントロールしていたのが、記者が〝奇跡の街〟と呼ぶ山万の「ユーカリが丘」だ。事業に着手したのが昭和46年。その後、50~60年代に入ってからか、他の事業から撤退し、退路を断って「ユーカリが丘」などの街づくり・開発中心に切り替えた。市場の好不況にかかわらず住宅の年間供給量は200戸くらいに絞り、人口動態を日々チェックし、高齢化が進むと若年層向けの住宅供給比率を高め対応した。街ですべてが完結するよう、それこそ〝ゆりかごから墓場まで〟の施設を整備した。ここもエリマネの見本のような街だ。

 後藤太一+リージョンワークスと学芸出版社にお願いがある。この書籍をこれでおしまいにするのではなく、続編を出版していただきたい。出版されたのが2025年9月だから、この5年後の2030年あたりがいい。PDCA(Plan-Do-Check-Action)だ。各プロジェクトはどうなったのか。座談会に登場した方々でまた語り合っていただきたい。シリーズ化すれば、これまでにない人・街・文化を紡ぐ書籍になるはずだ。

 その際には、2025年5月に発刊された「永山祐子作品集 建築から物語を紡ぐ」(グラフィック社)とまではいかなくとも、カラー版にし、各氏の顔写真ももっと大きくしてほしい。今回の書籍の粗を探すとすれば、学術書に多いA5変判であるからか、四六判のブックカバーに収まらず、各ページの余白は上下左右とも約1cmしかないことだ。

めっちゃ楽しい三菱地所など「仲通り綱引き大会2025」ソニー生命 2年ぶり4度目V(2025/5/22)

壮大な街づくりの一環 501㎡の「新国際ビル」路地裏を多目的空間にリノベ三菱地所(2022/5/27)

旭化成ホームズ・松本吉彦氏「一緒に登山…」故・小林秀樹千葉大名誉教授を語る(2023/8/5)

富裕層の心揺さぶるタカラレーベン創業50周年記念「福岡天神」約1年で完売(2023/2/4)

公園が旅の目的になるわが国初のPFI事業三菱地所他「光と風の広場」開業(2022/3/22)

期待の大きさの分だけ深い失望「渋谷川・古川の河川再生」現地を歩く(2020/10/5)

若い人で溢れかえる「立体都市公園制度」を活用した三井不「MIYASHITA PARK」(2020/9/6)

平成の田園調布になるか 1区画200坪の街づくりつくば市の「春風台」(2015/5/15)

奇跡の街〟山万「ユーカリが丘」で新たな試み(2008/7/31)

〝奇跡の街〟山万「ユーカリが丘」で「電気バス社会実験」出発式(2009/4/24)

 

「理想の間取りは普通の間取り」 小林秀樹・千葉大大学院教授(2014/1/22)

〝複合〟でつなぐ地域の暮らしと福祉「もう一つの住まい方推進協議会(AHLA)」フォーラム(2010/11/29)


 

 

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洋光台南第一住宅(提供:スタジオ・クハラ・ヤギ) 

横浜市磯子区の洋光台南第一・第二住宅管理組合は59日、「二団地協同★南団地わくわく会議」の一環として「団地再生検討成果報告会」を開催した。二団地は、築55年の全1,459戸の大規模分譲マンション団地で、高経年マンションの様々な課題に向き合い、住民主導で団地再生を目指しており、2年前に「南団地わくわく会議」を立ち上げた。団地再生の取り組みは、国土交通省の令和6年度の「マンションストック長寿命化等モデル事業」にも採択されている。この日は、居住者や関係者など約70人が参加した。

洋光台南第一・第二住宅は、日本住宅公団(現・UR都市機構)によって建設された1971年築、39696戸の第一住宅(四街区)と、1970年築、33797戸の第二住宅(六街区)を合わせた敷地面積約15.6ha57階建て72棟全1,493戸の分譲マンション。

二団地協同に取り組む背景には、築後55年を迎え、建物と居住者の二つの老いに加え、資材費、労務費の高騰、金利上昇、ナフサショックなど〝八難〟を抱える危機感があり、行政、専門家を巻き込み、住民主導で団地再生を実現するのが目的。

これまで、第一住宅では、全体構想案の作成、新集会所の建設、2023 年度からは住民有志の専門委員会活動などを行ってきた。第二住宅では、意見交換会や意識調査を実施してきたが、第一住宅・第二住宅の取り組みを加速させるため、2023 年度から2団地での意見交換を実施している。

「南団地わくわく会議」(二団地の住民有志による懇談会)は2年前に立ち上げたもので、再生事業に参画しているスタジオ・クハラ・ヤギ(設計事務所)、よこはま建築監理(マンション修繕・改良コンサル)、EOSplus(設備設計)、マインドスケープ(ランドスケープデザイン)など事業者と協働し、①100年住宅を目指す②資産価値の維持・向上③若年層・子育て世代の住民を増やす-3つの目的を掲げ、今すぐ取り組まなければならない課題を洗い出し、その対応策を報告書に盛り込んでいる。今後23年の団地再生ロードマップとして、外断熱工法による断熱性能の向上、サッシ交換、外観デザイン刷新、外構整備、照明更新、伐採木活用、ベンチ整備、植栽計画の策定、ワークショップ開催などを提示している。

「団地再生検討成果報告会」は二部構成で、洋光台南第一住宅管理組合理事長・木田進太郎氏が司会を務め、第一部ではスタジオ・クハラ・ヤギ代表取締役・久原裕氏、EOSplus電気設備チーフエンジニア・佐藤拓斗氏、マインドスケープデザイナー・三好あゆみ氏がそれぞれの立場から説明・報告。第2部では外断熱工事を16年前に行った竹山団地の竹山16-2団地管理組合法人事務局長・稲葉壮二氏が外断熱の効果について説明。また、洋光台南団地の設計を担当した日本住宅公団の建築士・井上十三男氏と濱恵介氏が当時のエピソードなどを紹介した。以下その概略。

久原氏は、耐震性能、躯体寿命に大きな問題はないとしながら、環境性能(断熱性能)を向上させる必要があるとし、外断熱工法を採用すれば飛躍的に性能が向上し、駅に近い立地条件を考慮すれば若年層にとっても魅力ある団に再生できると強調した。

佐藤氏は、二団地が抱える課題として特徴のない外観デザイン、既存外灯の老朽化、照度不足などをあげ、既存の妻側外構タイルを再利用し、照明デザインを一新して魅力向上を図りたいと語った。

三好氏は、この2年間の活動について、アンケート回答数が200件しかなかったこと、健全樹木は10%くらいしかないことなど課題はあるとしながら、ロボット草刈り機23台を導入したところ、居住者に〝ルンバ〟として人気になり、業界でも話題になったことを紹介した。

稲葉氏は、外断熱改修に関する効果を検証した研究論文を紹介しながら、「冬温かい、暮らしやすい。メーカー、ゼネコンからお金はもらっていないが、普及に貢献しているので感謝状くらいもらってもいい。『経年優化』という言葉もあるように、外断熱は長寿命化にぴったり」などと冗談を交えながら語った。

井上氏と濱氏は、井上氏が名前の通り昭和13年生まれの88歳(米寿)で、濱氏は6つ下の82歳であることを紹介。二人して数か月で図面を描き、工事発注までこぎつけたことなどを語った。また、濱氏は設計図はコピーするたびに位置図が数%伸び、建物が収まらず、街区道路を幅員2mくらいにするほかなかったと信じられないエピソードも明かした。「壁式工法」の耐震性にも触れ「大丈夫だろう」と語った。井上氏は、自ら居住する約12,000戸の「光が丘団地」の活性化活動に参加しており、〝シビックプライド〟の重要性を説いた。

報告会に参加した、入居開始から住んでいる女性(93歳)は「若かった頃は、みんなで草刈りをしました。時代が変わったということ。道路が狭いのは私もいつも通っているのでそう思いますが、なぜそうなったかの説明をお聞きし納得しました」などと、積年の疑問・不満が解消し、満足げだった。

国土交通省の令和6年度の「マンションストック長寿命化等モデル事業」では、複数の専門家・事業者が協同で大規模団地の再生に取り組む点、2団地の足並みを揃えるための意見交換を行っている点、住民アンケートや不動産事業者へのヒアリングにより、現状把握・課題の洗い出しを行う点、第一住宅でのアイデアブックの作成や集会所の新設、専門委員会活動などのこれまでの取り組みが評価された。

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木田氏

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左から久原氏、佐藤氏、三好氏

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左から稲葉氏、井上氏、濱氏

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報告会が行われた洋光台南第一住宅集会所(提供:スタジオ・クハラ・ヤギ) 

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報告会

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いかにも昭和40年代の公団住宅

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妻側の外観

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外壁に使用されているタイル

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 報告会は予定の3時間を30分も上回る長丁場に及び、小学生並みの45分の授業時間くらいが限界の記者は相当堪えたが、軽妙洒脱な木田氏のスピーチと各氏の話はとても面白かった。取材の声を掛けていただいた木田氏に感謝申し上げる。

 驚いたのは、築55年というのに参加者には若い男女(3050代か)が多いことだった。若年層・子育て世代の居住者も多い印象を受けた。広場では小さな子どもがたくさん遊んでいた。嬉しかったのは、93歳の女性の方の感想だった。年齢など全く感じさせない明瞭で美しい言葉に感動すら覚えた。

濱氏が東大の先輩で建築家・磯崎新(1931- 2022年)にあこがれていたとの話には歴史を感じた。公団住宅の1960年代の「nLDK」表示を編み出したのは磯崎だと言われている(本人は肯定も否定もしていない)。

「外断熱」を採用するのは大賛成。中古マンションの最大の課題は断熱性の向上だと思う。木田氏は、現在の修繕積立金では実施するのはコスト的に難しく、見直しすることを示唆したが、断熱性向上のためのリフォーム工事への国の支援施策は継続されるはずだ。

「南団地」の中古マンション市場での評価を調べてみた。国土交通省の不動産情報ライブラリで検索すると、洋光台南第一・第二住宅と思われる2025年の中古マンション取引事例は29件ある。1戸当たり平均価格は1,358万円、平均面積は65.5㎡、坪単価は68.4万円だ。買取再販物件と思われる事例もあり、820万円(45㎡)⇒1,900万円、750万円(50㎡)⇒1,700万円でそれぞれ成約されている。いずれも改修済みだ。

この単価水準が今後も維持できるかどうかは分からない。何もしなければ漸減するのは容易に想像できる。

しかし、外断熱工事を実施し、デザイン、照明、ランドスケープなどを刷新すれば駅からの距離、生活利便施設の集積度などを考慮すれば単価を倍増させることは可能だと思う。

エレベーターなしをどうするかは分からない。建築基準法では、階数によるエレベーター設置の規定はなく、「高さ31mを超える建築物には、非常用エレベーターを設置しなければならない」(同法342項)の規定を初めて知った。

そういえば、民間の低層3階建て分譲マンションにエレベーターが設置されたのは昭和60年代の初めだったような気がする。5階建てはもっと以前から設置されているのが当たり前だった。 

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幅員2mの東西軸道路(桜のトンネルになるとか)

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ロボット草刈り機

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団地エントランス(敷地面積を戸数で割ると約104㎡)

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