「葉山に住みたい」「湯沢買った」「誰も本音はかない」三菱地所レジ宮島社長

マンション市況について語る三菱地所レジデンス宮島社長(大手町ファイナンシャルシティ グランキューブで)
三菱地所レジデンスは12月3日、メディア向け懇談会を開催し、同社代表取締役社長・宮島正治氏が第一部のマンション市況と同社の事業戦略について約40分間、第二部の飲食を伴う懇親会で約1時間、一滴の酒も飲まずかなり個人的なことを含めて縦横無尽に語った。メディア関係者は40~50人が集まった模様だ。
第一部では、マンション価格高騰の要因として①建築コストの上昇②土地価格の上昇③需要の集中と供給不足④金融政策・低金利の影響④株価の上昇⑤一部の目玉物件で短期転売による影響-などについて説明した。
首都圏マンションの平均成約価格が1億円に達しても販売が好調に推移している理由として、野村総研のデータを引用し、超富裕層(2021年9.0万世帯⇒2023年11.8万世帯)、富裕層(同139.5万世帯⇒同153.5万世帯)、準富裕層(同325.4万世帯⇒同403.9万世帯)、アッパーマス層(同726.3万世帯⇒同576.5万世帯)、マス層(同4,213.2万世帯⇒同4,424.7万世帯)の数値が示す通り、需要層の二極化がコロナ後急速に広がっていると指摘した。
なかでも、市場を牽引している「パワーカップル」については、ニッセイ基礎研究所の調査から、過去10年間で2倍、2024年は45万世帯、うち子育て世帯が約66%と説明し、ペアローン利用者も大幅に増加し、現在では3組に1組以上に上っていると語った。
また、子育てファミリーは、住宅価格が相対的に安く、教育環境が整っており、自治体の支援策が充実している都心部のほか江戸川区、文京区、世田谷区、品川区などの偏差値の高いエリアを選択していると話した。
最近話題になっている投機的短期転売問題については、不動産協会のリリースを示しながら、①登録・購入戸数の上限設定②契約・登記など名義の厳格化③引渡しまでの売却活動禁止をあげ、同社も来年1月から引渡しまでの売却活動禁止を徹底させると語った。一方で、「外国人であれ日本人であれ(管理規約など)ルールを守るのが基本。国籍によって差別するのはいかがなものか」と、過剰な外国人対応には疑問を呈した。
同社のマンション事業戦略については、これまでの〝選ばれ続ける〟基本姿勢を堅持し、利用価値(機能的な役立ち)から使用価値(体験的な満足感)へ、暮らしの質、住み心地等情緒的な価値を高めることで差別化を図ると述べた。

今気が付いた。このメガネは近眼ではないはず
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宮島氏の説明は的を射ていると思った(記者は相撲に例えれば今の市況は序ノ口に過ぎないと思っているが)。住宅ローン金利が引き上げられそうなことについてメディアから質問が飛んだが、宮島氏は「現場からは当社の需要対象は飲み込める(影響は限定的)との報告を受けているが、(年収が限られている)郊外部は影響を受けるのは必至」などと答えた。ローン減税対象面積が50㎡から40㎡に引き下げられることについては大歓迎の姿勢を表明した。
当日は、多くのメディアの方が参加していたので、宮島氏には注文もした。同社に限らず、デベロッパー各社はコロナ以降、マンション見学会をほとんどやらなくなった。モデルルームは数か所に集約し、営業体制も土日を挟んで週3~4日に絞っている。スタッブの負担を軽くするためだ。
このため、供給大手10社に絞ればメディア向け見学会は年間10物件くらいだと思われる(記者などは厳しいことを書くためか排除されているデベロッパーもある)。この日集まったメディアの方々のうち現地をきちんと取材している人は数人いるかどうかだろう。
現地を観なくてマンションは語れない。デベロッパーの〝暴走〟をチェックするのも記者の役割だ。宮島氏には「三井不動産リアルティの嘉村社長、東京建物の小沢社長、野村不動産の松尾社長などとは同級生ではないか。みんなで話し合って、見学会を増やしてほしい」とお願いした…来年増えることを期待したい。
ご存じない方もいるかもしれないので、主なデベロッパー社長、マンション担当役員生年月日を紹介する。
・住友不動産仁島浩順社長は1961年3月6日生まれ
・三井不動産植田俊社長は1661年2月16日生まれ
・長谷工コーポレーション熊野聡社長は1961年9月7日生まれ
・三菱地所中島篤社長は1963年8月9日生まれ
・大和ハウス冨樫紀夫執行役員は1963年11月20日生まれ
・東京建物小澤克人社長は1964年2月1日生まれ
・三菱地所レジデンス・宮島正治社長は1964年5月26日生まれ
・三井不動産レジデンシャル・嘉村徹社長は1964年10月7日生まれ
・野村不動産・松尾大作社長は1964年10月18日生まれ
・東急不動産星野浩社長は1965年9月28日生まれ
・ミラースHD島田和一社長は1965年12月4日生まれ
交流はないと思われるが、飛ぶ鳥を落とす勢いにあるオープンハウスの荒井正昭会長は1965年10月29日生まれだ。この他、同年代のデベロッパー社長・役員は数えきれないほどいるはずだ。共通項は、バブルのおこぼれ・おすそ分けにあずかった人はいるかもしれないが、誰一人として甘い汁を吸ったことはなく、バブル処理に追われた人ばかりということだ。これから、誰も経験したことがない市況に突入する。〝みんなで渡れば怖くない〟になるのか、怖気ついて手を離す人が出てくるのか、興味津々。

懇親会で自身について語る宮島氏
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場を移した飲食を伴った懇親会でも宮島社長の独演会は続いた。記者などは飲むのが目的だから、一部始終を観ていなかったが、宮島氏は「昭和の住宅すごろく」ならぬ「モノポリー」(記者は何のことかさっぱり分からない)を持ち出した。慶大ヨット部出身であるためか「将来は、かみさんに遊んでもらえる葉山に住んで、釣りを楽しみたい」「湯沢に45㎡のマンションを買った」「坪30万円でしょ(記者)」「その通り(つまり470万円)。みんなを集めて、話しあっている。お互い手を組んだりしているが、内心では〝畜生〟と考えているので、腹のうち明かさない。愚痴ばっかり」(懇親会では本音を明かしたのか)「一番腹黒いのは誰ですか(記者)」「私です。みんな曲者」…このような話が延々と続いたはずだ。周りには娘か孫のような若い女性が蝟集していた(誰かがペアローンは離婚の足かせになると話したが、その逆だ。山分けしてさっさと別れたほうがいい。そうなるはずだ。口の悪い記者には男も女も一人も声を掛ける人はいなかった。同業に好かれるようでは記者はおしまいだと一人合点しているのだが、今確認したら、小生は高くもない安くもないワインを水のように飲んでいたのでどなたかよくわからないのだが、業界を代表する媒体のそれぞれ男女の記者2人の名刺がポケットに入っていた。とても嬉しい)。
不動産投機についてはもう書かないが、バブル期には家族郎党はもちろん、友人・知人などを総動員し、あるいは日雇い労務者を雇って登録に並ばせるのが日常茶飯だった。公庫対象外は全て不動産業者が買い占めたマンションもあった。
バブル崩壊後では、記事にも書いたが、2002年分譲の〝モッくん〟こと 本木雅弘氏をイメージキャラに起用した坪単価160万円を切る超割安の三菱地所他 「Wコンフォートタワーズ」1,149戸には申し込みが殺到し、完成後は分譲当初よりはるかに高い価格で取り引きされた。不動産業者が買い占めたからだ。規制する法律などない。私有権は絶対的・排他的に保護されている。完成する前に合理的理由がないのに転売するのは、あるいはそれを認めるのは法的に問題があると記者は思う。

第2部の懇親会
東京都港区の億万長者納税者の1%超一人当たり所得は数十億円(2025/11/9)
「選ばれ続けるマンション」づくり堅持三菱地所レジ・宮島正治社長事業説明会(2024/8/30)
分譲では初かオーバル型の中庭がいい 20数年前の〝アート〟蘇る野村不「東雲」(2021/11/13)
「エコボイド」「ソラテラス」が圧巻三井不動産レジ「パークタワー東雲」完成(2014/3/10)
「豊洲」だけじゃない 「辰巳」(東雲)も人気急上昇(2006/4/5)
〝ハッとしてお台場、グッときて銀座〟〝トシちゃん〟マンション アップルタワーに注目(2005)
10月の住宅着工7か月ぶり増加 持家は減少続くも貸家、分譲住宅は増加
国土交通省は11月28日、令和7年10月の住宅着工戸数をまとめ発表。総戸数は71,871戸(前年同月比3.2%増)で7か月ぶりの増加。内訳は持家は18,081戸(同8.2%減)で7か月連続の減少、貸家は30,771戸(同4.2%増)で7か月ぶりの増加、分譲住宅は22,480戸(同14.8%増)で7か月ぶりの増加。分譲住宅の内訳はマンションは11,650戸(同31.8%増)で7か月ぶりの増加、一戸建住宅は10,564戸(同0.5%増)で7か月ぶりの増加となった。建築工法別では、プレハブは7,998戸(同9.2%増)で7か月ぶりの増加、ツーバイフォーは8,668戸(同3.8%減)で、先月の増加から再びの減少。
首都圏は総戸数27,269戸(同6.6%増)で、持家は4,029戸(同3.1%減)、貸家は12,846戸(同11.4%増)、分譲住宅は10,227戸(同6.7%増)。
首都圏マンションは5,225戸(同7.4%増)で、都県別は埼玉県526戸(同21.0%減)、千葉県86戸(同25.9%減)、東京都2,965戸(同15.4%増)、神奈川県1,648戸(同9.0%増)。
首都圏分譲戸建ては4,802戸(同6.1%増)で、都県別は東京都1,466戸(同0.9%増、神奈川県1,263戸(同1.2%減)、埼玉県1,127戸(同2.1%増)、千葉県946戸(同37.3%増)。
「笑顔が最高」みやぞんさん 「県性が重要」指出さん 東急不「TENOHA 代官山」

指出さん(左)とみやぞんさん(TENOHA 代官山)
東急不動産は11月28日(金)~12月2日(火)の5日間、全国6か所で展開する地域共生の活動拠点「TENOHA」の魅力を一堂に発信するイベント「TENOHA WEEK」を拠点の一つ「TENOHA 代官山」で開催する。28日、メディア向けイベントとして、人気お笑い芸人「みやぞん」さんとソトコト総編集長・指出一正さんがトークショーを行い、地域の食材を使ったおにぎり、サンドイッチも提供された。
「みやぞん」さんは、「地方に行くとほっこりする。愛県心があるのかな」「北国は強い。行ってみて元気を逆にもらう。人と会うのが大事。情報だけで判断しないことも必要」「みんな県に誇りを持っている」「笑顔、笑顔、笑顔が最高。笑顔に勝るものない」「日本の最南端・与那国島の観光大使をやっているが、何もない。〝何もない〟があるんです」「足立区が故郷で、隣の埼玉県も好き。第二の故郷」「地方は行かないと分からない」「住めば都」「神社も大好き」「行きつけの歯医者は静岡」などと笑いを誘い、最後は即興ギターを披露した。
指出さんは、「東京VS地方ではない。地方と一緒に創る協働。剥離するのではなく友だちになることが大事」「森林率など土地の魅力を偏差値として採用するべき」「県民性もあるが、それぞれの地域の良さにひかれて行く、関係性を重視する〝県性〟が大事」「TENOHAは地域創生のお手本。関係人口に貢献している。拠点の売上が伸びて楽しく、豊かさを感じていただきたい」などと話した。
「TENOHA(テノハ)」は、地域に寄り添い、それぞれの地域の課題や特性・ニーズに合わせた様々な取り組みを行うため、同社の発電所やリゾート施設などがある縁の深い「TENOHA 松前」(北海道松前町)「TENOHA 能代」「TENOHA 男鹿」(秋田県)「TENOHA 蓼科」(長野県茅野市)「TENOHA 東松山」(埼玉県)「TENOHA 代官山」(渋谷区)の6か所で2022年から順次開設している。
今回のTENOHA WEEKでは、個性あふれる全国6カ所のTENOHAを紹介するほか、TENOHAのある各地方自治体の魅力を、都市部に住む人にも感じてもらえる様々なコンテンツを用意。代官山蔦屋書店コンシェルジュによるブックキュレーションも行う。

「TENOHA 代官山」

「TENOHA 代官山」屋上

「TENOHA 代官山」

「ウマッ、めっちゃおいしい。ガツンとくる」

〝即興で何だってできるんだ〟

指出さん
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取材のもう一つの目的は、建築家・隈研吾氏がデザイン設計を手掛けた、商業施設とシェアオフィス、賃貸住宅からなるMAIN棟、カフェやイベントスペースのある木造2階建てのTENOHA棟からなる「Forestgate Daikanyama(フォレストゲート代官山)」を見学することだった。「TENOHA」には、移築も可能な岡山県産の間伐材が採用されていた。MAIN棟の縦のルーバーや木箱に見える部分はアルミ製だった。
MAIN棟には2階に喫煙所もあったので、1階の「ブルーボトルコーヒー代官山カフェ」でコーヒーを飲んだ。最高においしかったのでコーヒー豆200グラムを買った、代官山に行ったらここでコーヒーを飲みます、飲む、飲むとき、飲めば、飲もう、飲め。

「Forestgate Daikanyama(フォレストゲート代官山)」(東急不動産ホームページから)

省エネ・ZEH水準化が課題 リノベセミナー/ZEH水準「芝浦アイランド」見学会

「中古・リノベーションマンション市場の動向・展望」セミナー(コスモスイニシア本社が入居する新田町ビルで)
一般社団法人リノベーション協議会と性能向上リノベの会は11月28日、「中古・リノベーションマンション市場の動向・展望-新築供給の構造的減少により中古・リノベが主戦場に-」と題するメディア向け業界動向セミナーを開催。冒頭、SUUMO編集長兼SUUMOリサーチセンター長・池本洋一氏が最近の新築マンション市場やストック市場、近く示される住生活基本法の重点項目などについて解説・説明し、その後、池本氏もゲストとして加わり、リノベーション協議会会長・内山博文氏がモデレーターを務め、パネリストのエフステージマーケティング企画室/ブランド事業部・伊藤洸氏、コスモスイニシア商品企画部部長・辻井正人氏、NCN環境設計部次長・東憲一氏がそれぞれの立場から現況や展望などについて話しあった。
池本氏は、新築マンション市場や中古マンション市場について説明したあと、新たな住生活基本計画ではストック活用が最大のテーマになることから、良質住宅が市場で適正に評価される取り組みが重要で、断熱性能やZEHなど〝見えない〟性能を消費者に分かりやすく伝えることが課題であると語った。
セミナーでは、〝首都圏シェア№1〟のエフステージ伊藤氏は、2024年度の売上高は336億円で、販売戸数は767戸(1戸当たり4,380万円)。2027年度は売上高500億円、販売戸数1,000戸を目指すと語った。
コスモスイニシア辻井氏は、2026年3月期のリノベーションマンション事業の売上高は255億円、売上高総利益率は16.3%を予想しており、1戸当たり販売額は約1.2億円と話した。
エヌ・シー・エヌ東氏は、同社と連携している三菱地所レジデンスは販売している中古マンションの60%超がZEH・省エネ化を実現していると話した(配布資料によると、現在、中古マンションのZEH・省エネ化率は18%)。
一般社団法人リノベーション協議会(旧リノベーション住宅推進協議会)の設立は2009年。理事長には、当時業界最大手のインテリックス社長・山本卓也氏(現会長)が就任。設立趣旨に「消費者が安心て既存住宅を選べる市場をつくり、既存住宅の流通を活性化させること」とあるように、雨後の筍のように乱立し、リフォームなどほとんど行わず、買い取った中古住宅に利益を上乗せして転売する業者も多く、それらの業者と一線を画す狙いがあったようだ。
現在の会員数は745社。買取再販を手掛ける不動産業者の約3割のようだ。自主規制の「必要な改修工事を施し、その記録を住宅履歴情報として保管する」適合R(リノベーション)住宅」の累計件数は約8万件。
一方、平成29年度に施行された国の「安心R住宅」の令和6年度末の累計件数は10,942戸で、マンションが過半を占めている。

内山氏
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記者は、リフォーム・リノベマンションについては、2009年のタカラレーベン「ル・アール蘇我」を皮切りにデベロッパー、ハウスメーカーなど供給会社でいえば10社くらい見学取材しているが、買取再販大手のカチタス、レジデンシャル不動産、スターマイカなどはほとんど見学したことがない。
この業界についてはよくわからないのだが、矢野経済研究所は、2025年度の全国の中古住宅買取再販の成約戸数は前年比18.8%増の62,700戸を予測している。今年度の全国の中古住宅成約件数は16~17万戸くらいになると思われるので、比率は37~40%くらいか。
また、LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)」のリリースによると、2025年4月の築31年以上の中古マンション買取再販物件の掲載割合は、首都圏が43.8%、全国では29.9%となっている。東京23区の買取再販物件の平均価格は5,231万円で、新築マンションの平均価格9,000万円と比べると約3,700万円の差があるとしている。
業界の課題は、セミナーでも話されたように、省エネ性の向上だ。国は新築住宅については2030年にZEH水準を義務化すると打ち出している。ZEH水準を満たさないマンションや分譲戸建てはもはや市場で流通しえない。中古住宅についても同様にZEH水準とすることが求められる。そうでないものは価格競争力を失うのは必至だ。
この点について、コスモスイニシアは今年7月、他社に先駆け「住宅省エネルギー性能証明書」取得率を30%にすると発表した。この30%は高いのか低いのか、内山氏に聞いたら「高い目標」「将来的(2030年)にはそうしたい思いはある」と答えたのにとどまった。
伊藤氏は、購入検討者の省エネ住宅への関心は高いものの、住宅ローン控除は選好に影響がみられないとし、この乖離を縮小するのが課題と話した。
記者は、リフォームもリノベーションも、陳腐化した間取りを一新し、建具・家具、水回り設備の更新は当たり前で、やはり熱の出入りが激しい窓の断熱化を図るべきだと思う。メーカーの開発も進んでいる。管理組合が断熱窓を採用しなくても、自己負担で取り換えることができるし、補助金も出る。省エネ・ZEH水準にすれば、ローン控除額はそうでないものより累計224万円(省エネ)、269万円(ZEH)控除額が増える。そして何より快適性が格段に向上する。
◇ ◆ ◇
コスモスイニシアはセミナー後、ZEH水準を取得した築19年の「芝浦アイランドグローブタワー」のメディア向け内覧会を行った。専有面積は84.92㎡で、従前は3LDKだったのを、共働き夫婦の入居を想定し2LDK+WICに変更したもの。〝オーバーラップ〟と呼ぶ設計思想をコンセプトに、動線を効率的にし、それぞれの空間をシームレスにつないでいるのが特徴。LDKを22.8畳確保し、レインボーブリッジが目の前に見える部分にヌック(2畳大か)を設け、キッチンはL型に変更して仕事や趣味に生かせる空間にし、収納は1か所に集約したほか、広い土間空間を設けている。販売価格は27,500万円(坪単価1,069万円)。
「芝浦アイランド」の記事を添付する。今回販売される住戸の坪単価は276万円くらいだったと思われる。約3.8倍の上昇率だ。当初からペアガラスを採用していたのがZEH水準化を可能にした要因の一つで、天井高も約2600ミリ確保されている。

ヌック(左)とLDK

玄関

キッチンはダークトーンにまとめ、天板も黒系で統一

洗面(タオル掛けは従前は1か所)
人と人・空間を自在に操る通り土間付きリノベ「湯島ハイタウン」コスモスイニシア(2025/9/4)
「住宅省エネルギー性能証明書」取得率30%の意味 3割打者と同じ価値があるのか(2025/7/17)
Before12.9万円⇒After19.3万円リノベ効果覿面東急不動産×リノべる「北葛西」(2025/6/19)
井戸・池・せせらぎの価値は1億円超/年小田急バス×ブルースタジオ「meedo」(2025/5/17)
14年も前から断熱窓の提案に驚愕インテリックス「青山リノベーションスタジオ」(2025/7/4)
築47年+88年三井不&青木茂建築工房「リファイニング建築®」7件目「本駒込」(2024/3/15)
「死んだ家が蘇った」オーナー空き家リノベラボ「太子堂の家」完成 Jam(2025/3/9)
ミレニアル&Z世代の心つかむか三井不レジ単身女性向けリノベ賃貸「KORAKUEN」(2024/3/8)
大和ハウスリブネス事業買取再販軸に4000億円に拡大事業用にも対応(2024/5/15)
バブル時坪450万円⇒リノベ坪211万円コスモスイニシア「湘南タワーズ」分譲(2021/6/10)
20年、30年前の記憶蘇る大和ハウスリノベマンション「リブネスモア戸田公園」(2020/9/24)
三菱地所レジ 1棟リノベ「ザ・パークリモア白金台三丁目」は全14戸が200㎡超(2017/1/16)
リビタ 一棟丸ごとリノベーション「つくば春日」 30坪で施工は鹿島(2014/6/16)
タカラレーベン 好調リニューアルマンション「ル・アール蘇我」は4日間で120組超(2009/5/25)
賃貸マンションの概念を変える 「芝浦アイランド・エアタワー」(2007/3/8)
街全体の資産性と割安感が人気「芝浦アイランド」(2006/12/12)
「芝浦アイランド地区プロジェクト」島びらき(2007/3/22)
三井不動産など「芝浦アイランド」全体が竣工(2008/9/18)
坪単価600万円に納得 高い居住性能 反響1万件へ 大和ハウス「船橋」

「プレミストタワー船橋」
大和ハウス工業(事業比率75%)は11月27日、千葉県最高層&最高単価となる船橋駅徒歩2分の住宅・商業・広場一体開発の51階建てタワーマンション「プレミストタワー船橋」(677戸)のメディア向け内覧会を行った。予想される坪単価はかつてない600万円になる模様で、関係者の間でも話題になっており、千葉のマンションの命運がかかっている注目物件だ。モデルルームを見学して、アッパーミドル・富裕層をターゲットにした41階以上の128戸は人気を呼ぶ可能性は高いと見た。坪単価600万円もありかと。
現地は、西武百貨店跡地。同社が2021年に用地を取得。その後、市と協議を重ね、JR船橋駅と京成船橋をペデストリアンデッキでそれぞれ結び、防災拠点や公共施設を整備する計画が評価され、従前の都市計画上の容積率600%が900%に緩和された。
建物の2階には広場「フォレストアリーナ」を設け、京成船橋駅とペデストリアンデッキで結び、1階・2階には地域用の防災備蓄倉庫、3階にはワークスペースを兼ねた帰宅困難者一時避難スペースを設けている。1階~3階は商業施設、4階~6階は事務所など。
主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented、低炭素建築物認定、二重床・二重天井、リビング天井高2600ミリ(7~40階)・2900ミリ(41~48階)・3200ミリ(49~51階)、ディスポーザー、食洗機、フィオレストーンキッチン天板、ハイサッシ・ハイドア、LIXILと共同開発したスマートホームシステム、タンクレストイレ、床タイル仕上げ(一部除く)、浴室タオル掛け2か所など。共用施設はフィットネスルーム、ランドリールーム、ゲストルーム、カフェスペース・ワークスペース・ライブラリースペースからなる「パノラマラウンジ」(164㎡)など。
物件は、JR・東武アーバンパークライン船橋駅から徒歩2分、京成本線京成船橋駅から徒歩4分、船橋市本町一丁目の商業地域に位置する敷地面積約6,668㎡、51階建て全677戸。専有面積は43.71~134.02㎡、全63タイプ。価格は未定だが、坪単価は600万円になる模様。売主は同社のほか東京建物(事業比率12.5%)、京成電鉄(同12.5%)。竣工予定は2028年3月。設計・監理は長谷工コーポレーション、久米設計。施工は長谷工コーポレーション。
これまでのエントリー数は7,000件で、約6割は千葉県居住者。うち3割が船橋市居住者。都内は中央・港・江東など約3割。持家は約7割。11月からのモデルルーム案内会来場者は約800件。
内覧会で同社東京本店マンション事業部長・永井壮氏は、「2018年に用地を取得してから地権者から優先交渉権を得て実現した。マンション市場は都心部も郊外部も建築費の高騰などで難しい局面を迎えているが、昭島で分譲したマンション同様、再開発案件ではないが街づくり型の面開発を行い、住戸プランは7~40階のSuperior(549戸)、41~48階のUpper Suite(95戸)、49~51階のTop Suite(33戸)の3グレードに分けた」と話した。
また、同社東京本店マンション事業部販売事務所長・細川智史氏は、「これまでのペースからしてエントリー数は1万件と予想している。エントリー者のメインは約3割が市内の経営者、1割が医師。年齢は50代以上が2割。都内からの反響は都心部のタワーマンションを回遊している人が中心。Upper、Topの手ごたえは十分。販売は来年2月7日登録を予定している」などと語った。

外観

模型(低層部)

永井氏(左)と細川氏

130Aモデルルーム

75Cモデルルーム

80Fモデルルーム
◇ ◆ ◇
記者は、同社が9月9月3日に行った「マンション事業計画説明会」で、同社上席執行役員の富樫紀夫氏(62)が「プレミストタワー船橋」について触れ、「地区計画の高さ規制をクリアするため地域の地権者などから全員合意を得て、3年くらいかけて役所との協議を進めてきた…当初の販売価格は坪320~330万円を予定していたが、建築費は倍くらいになったので、販売価格は倍とまではいかないが、かなりそれに近い金額になりそう」と語ったのに、驚嘆した。
富樫氏も語ったように、土地を仕入れた時点の坪320~330万円というのは極めて妥当な価格だ。その後の価格暴騰は、富樫氏も予想できなかったはずだが、容積率を600%を900%に緩和させたのは天晴れというほかない。従前の容積率だったら、予想される坪600万円は絶対不可だろう。
ご存じない方も多いだろうから、バブル期の千葉県のマンション価格(単価)がどれくらいだったかを、当時記者が書いた記事から紹介する。バブルがはじける直前の平成2年の坪単価は、3月の「船橋」は448万円、5月の「本八幡」は521万円、7月の「船橋」は414万円、9月の「京成大久保」は465万円、11月の「木更津」は405万円…などとある。「船橋」「市川」などは坪450~500万円が相場となっていた。
その後、バブル崩壊後の単価は関係者もご存じだろう。直近の最高値は、2024年分譲の東京建物他「Brillia Tower 千葉」の坪単価421万円のはずで、三井不動産レジデンシャル「パークタワー柏の葉キャンパス」(629戸)の坪単価は記者予想の430万円くらいになると見ている。
これらからして、いかに「プレミストタワー船橋」の単価が突出しているかお分かりだろう。記者は、モデルルームを見学するまで、販売は容易ではないと見ていた。
ところが、3タイプのモデルルームを見学して、坪単価600万円もありかと考えを改めた。住戸プランはワイドスパンが中心で、設備仕様レベルも高い。そして、大きなインパクトになると見たのは天井高だ。リビングは最低でも2600ミリ、最大で3200ミリあり、Upper、Topはトイレ、廊下も2500ミリだ。ドアも天井まである。このような居住性の高いマンションは、これまで千葉県では供給されたことはないはずだ(記者は、これまでで最も天井高の高いマンションは「パークコート六本木ヒルトップ」だと見ている)。市内を離れられない経営者・富裕層が食指を伸ばすのは容易に想像できる。最高価格は7億円を超えるというから、坪単価にしたら1,724万円だ。これもありか。何も東京を起点にしなくてもいいということか。
ただ、ボリュームゾーンのSuperiorについては値付けに苦慮するのではないか。県都の「千葉」でも坪421万円だ。同社も売主になっている「西千葉」は坪270万円だ。都内江東区の「小岩」などは坪500万円台の前半だ。細川氏は「竣工までに完売したい」と語ったが…。

134㎡モデルルーム オプションのキッチン

オプションの幅1.8mの両開きドア

ドア天井も2500ミリ

猫足つき浴槽

現地
全国のマンション 富裕層やシニア層のセカンド・投資・移住ニーズ継続 大和ハウス(2025/9/15)
大和ハウス他「プレミストタワー船橋」(677戸)反響4500件超 単価は500万円超(2025/9/3)
第1期90戸は坪421万円 高額住戸中心に人気 東京建物他「Brillia Tower 千葉」(2024/4/17)
現段階で最高品質のマンション三井不動産レジデンシャル「パークコート六本木ヒルトップ」(2011/11/16)
野村不動産グループ記者懇親会〝記事化不可〟の縛りなし 酒の提供はなし

野村不動産グループ 2025年度記者懇親会(フェアモント東京43階会場から晴海方面を望む)
野村不動産グループは11月26日、2025年度記者懇親会を「フェアモント東京」で開催。第一部では、野村不動産ホールディングス代表取締役社長兼社長執行役員グループCEO・新井聡氏と、同社代表取締役副社長兼副社長執行役員グループCOO・松尾大作氏がグループの事業について説明し、第二部では、12人の役員が出席し、メディアとの懇親談会を行った。

、2025年度記者懇親会(フェアモント東京)
◇ ◆ ◇
新井氏と松尾氏の事業説明は割愛する。ほとんどすべての事業が順調に推移している。記者が注目したのは、国内デベロップメント事業の開発用地取得状況は住宅部門は分譲住宅25,400億円(19,000戸)など27,700億円、都市開発部門で10,300億円確保していることだ。新井氏も松尾氏も懸念材料はないことを強調した。
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配布された式次第のタイムスケジュールによると、第2部の懇談会は15:00~15:40まで。40分しかない。出席する役員は12人。参加したメディア関係者はざっと目測して50~60人。均等に割り当てたら役員1人にメディア5人。一人当たり歓談・質問時間を3分とすれば、全役員から話を聞くには待ち時間を計算すると90分はかかると記者は考え、全員から話を聞くことはあきらめた。
聞くのは新井氏と、記者の守備範囲である分譲住宅・再開発など数人に絞った。某社のように〝懇親会で見聞した話を記事にはしない〟という縛りもないことを事前に確認していたので、ばっちり取材することができた。唯一の計算外だったのは、酒類の提供がなかったことだ。この種のイベントで酒類の提供がないのは多分業界初。仕方がないので、冷たいお茶2杯とコーヒー1杯しか飲まず、用意された軽食は一切手を出さなかった。
以下が単刀直入に聞いた質問と答え。役員の方と記者の方が歓談中に割り込んだこともあったかもしれないが、謝るほかない。
新井氏に聞きたいことは一つ。社長に就任したとき、関係者から東大の剣道部出身と聞いた。それが事実かどうかを直接確認することだけ。なぜか。東大剣道部出身といえば、記者が好きな作家の一人・帚木蓬生氏がそうだからで、もう一つ、これまた大好きな同社グループダイバーシティ&インクルージョン推進担当、兼コーポレートコミュニケーション部、サステナビリティ推進部担当の宇佐美直子氏のご主人が剣道部出身だと聞いていたので、ひょっとしたら帚木氏や宇佐美氏のご主人との交流や対決の話が聞けるかもしれないと思ったからだ。
結果は空振り。新井氏は東大剣道部出身で3段を取得したと話したが、帚木氏が剣道部出身であることを知らなかった。OB会などには出席していないからのようだ。剣道は大学を卒業してからやっていないようで、専らゴルフとか。

新井氏
松尾氏に聞くことも一つだけ。「西麻布三丁目北東地区第一種市街地再開発事業」(六本木ヒルズ隣接)の分譲単価がいくらになるかだ。松尾氏が答えないのは百も承知のうえで、「社長、坪単価3,000万円でどうですか」と質問した。一瞬、頷いたような気もしたが、そうではなかった。単に目線を下にしただけで「何も決まっていない。これから」としか答えなかった。(分譲は来年か再来年だろうが、記者は単価予想に自信がある。最上階は坪単価5,000万円でも売れると思う。100坪で50億円だ。申し込みが殺到するはずだ)

松尾氏
再開発担当の同社執行役員開発企画担当の山本成幸氏には、先日発表した「若松二丁目住宅マンション建替え事業」について質問した。着工したばかりで、詳細は決まっていないが、事業は二本柱で、一つは建て替え事業、もう一つは敷地売却による再開発。もちろん、価格がどうなるかなどについて言及はなかったが、記者は「坪単価430万円でどうですか」と挑発した。答えるはずはない。大和ハウス「プレミストタワー船橋」には興味を示された(皆さん、船橋・南船橋ではこれから3物件で3,000戸の供給が始まる)。

山本氏
同じマンション・戸建て・賃貸・シニア事業などが担当の執行役員住宅部門長・中村治彦氏には、坪単価270万円の「西千葉レジデンス アベニュー」(512戸)と分譲戸建て「笹塚駅・下北沢プロジェクト」の取材を申し込んだ。「西千葉」はホームページを確認したら第1期150戸に申し込みが入ったようだ。信じられない価格の安さだ。

中村氏
マンション管理業協会の記者懇親会でいつもお会いしている同社執行役員運営管理部門長・問田和弘氏には、管理会社管理方式の導入状況について聞いた。今期末で新築マンションを中心に13件に導入することが決まっており、既存マンションも1件あるとか。1戸当たり約1,500円のようだ。今後5年間で64件に伸ばす予定とか。(大和ハウスは10月末で180件超の導入実績がある)

問田氏
このほかの事業についても質問したかったのだが、時間切れとなった。中締めの挨拶で、同社代表取締役副社長兼副社長執行役員コーポレート統括・芳賀真氏は、同社グループ8社が「BLUE FRONT SHIBAURA」に本社機能を移したことについて触れ、「このような事例は稀有なこと。定量的なデータは(現時点で)提供できないが、当社グループの強み。シナジー効果を発揮する。来年以降の記者懇親会もここで実施する」と締めくくった(来年は、その定量的効果を発表することに期待したい)。
船橋・南船橋で再開発3物件マンション3,000戸相乗効果か共倒れか(2025/11/21)
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オープンハウス ラグジュアリーブランド「イノベイシア恵比寿」
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「イノベイシア恵比寿」
オープンハウスは11月26日、GINZA SIXに開設したラグジュアリーブランド「INNOVACIA(イノベイシア)」専用サロンのメディア向け内覧会を開催。オープンハウス・ディベロップメント取締役マンション開発事業部長・川上智宏氏が同社のマンション事業の特徴などについて説明した。新ブランドの第一号「イノベイシア恵比寿」の坪単価は1,000万円強になる模様だ。サロンでは、VRスペースのほか「Haruki」「Kafka」などアーティストの名前にちなんだ6つの個室を用意している。
川上氏は、2008年に第一号を供給した当時からの姿勢として①土地の特徴を生かした柔軟性②圧倒的な決断の速さ③(当時は謳っていなかったが)〝便利地・好立地〟のマーケットイン④セールバリューを堅持しており、その結果、東京都の2024年のマンション供給量は4,941戸で、2位の野村不動産ホールディングスの3,584戸を上回り、4年連続トップであることを強調した。
新ブランドについては、「必要なものをしっかりと見極め、こだわるべきところには徹底的にこだわる。自分にとって大切ものを知る人にこそこれまでにない価値を実感していただけるはず」などと話した。
「イノベイシア恵比寿」は、JR山手線・埼京線・湘南新宿ライン恵比寿駅から徒歩9分、目黒駅から徒歩11分、目黒区三田二丁目の第一種住居地域(建ぺい率60%、容積率300%=前面道路幅員により160%)に位置する敷地面積約1,909.67㎡、5階建て全46戸(優先・先行分譲募集対象住戸21戸含む)。現在、先着順で分譲中の住戸(5戸)の専有面積は58.19~81.05㎡、価格は17,000万~26,000万円。第1期2次(3戸)の専有面積は56.52~75.93㎡、価格は18,000万~31,000万円。竣工予定は2026年8月下旬。売主はオープンハウス・ディベロップメント。施工は丸彦渡辺建設。設計・監理は共同エンジニアリング。共用部設計はデザイナー・柳原照弘氏。
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「イノベイシア恵比寿」
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「INNOVACIA(イノベイシア)」専用サロン

「INNOVACIA(イノベイシア)」専用サロン

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「INNOVACIA(イノベイシア)」専用サロン
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内覧会が始まったのは午後1時から。記者は2時から野村不動産ホールディングスの記者懇親会の取材が入っており、わずか20分しか取材できなかった。アーティストの名を付けた個室は見ておらず(他の4人のアーティストはだれか、とても興味がある)、おおその見当はくが、マンションの現場も見学していないことを最初にお断りしておく。
現地は見ていないが、三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス 恵比寿南」とは、道路を隔てた対面に位置する。恵比寿ガーデンプレイスに近接している。
物件概要からすると、坪単価は1,000万円強のはずだ。高いか安いかはユーザーが判断することだが、最近のマンション相場からしたらかなり割安感がある。
サロンに設けられたサンプルルームは、よくできていると思う。キッチン・洗面天板はシーザーストーン、食洗機(Miele)、ミストサウナなど。ワインセラーが設けられているのはとてもいい。
取材の帰りに頂いた、柳原氏がクリエイティブディレクターを務める「1616/arita japan」はかみさんが絶賛した。通常の陶器製品の1.8倍の強度があるそうだ。この皿に盛られる食材は幸せだ。味も1.8倍に跳ね上がるのではないか。
記者は、同社がマンション分譲を始めたころの物件を結構見学している。添付したので参照していただきたい。「南青山」の記事はアクセス数が約6,000件だ。

柳原氏
恵比寿駅圏の最高峰坪900万に迫る野村不「恵比寿ヒルサイドガーデン」が人気(2019/4/19)
平成最後の寒波もろともせず坪750万円の住友不「恵比寿」竣工(2019/4/12)
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〝宝の表土が捨てられた〟!? 神宮外苑の新ラグビー場予定地(建国記念文庫)

建国記念文庫北側(赤い部分が表土でない部分)
〝宝〟であるはずの表土が捨てられている!?-「神宮外苑の緑と空と」グループは11月22日、「植木職人さんと神宮外苑の移植状況チェック」イベントを開催し、「植木職人の小島さん」は、建国記念文庫北側(旧新宿区道)の整備現場について、「本来深さ20~30cmの宝物の表土は保存し、もとに戻すべきなのにそうなっていない」と指摘し、訝る記者に東京大学名誉教授・石川幹子氏は「見れば分かるでしょ」ととどめを刺した。この他、「植木職人の小島さん」は建国記念文庫から軟式野球場に移植されたシラカシについて「来年の夏が越せるかどうか」などと警鐘を鳴らした。

神宮外苑イチョウ並木




垂乳根(記者は小さいころ、祖母の垂乳根と遊んだ)

このようなイチョウも5~6本あった
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冒頭の写真を観ていただきたい。皆さんは、この写真から「宝の表土」が捨てられていることを見抜くことができるか。記者はさっぱり分からなかった。「植木職人の小島さん」や「見れば分かるでしょ」と記者に言った石川氏の説明からすれば、巨木の根本にある緑の部分と、そうでない部分に注目すべきだというのだ。そうでない茶色の部分は赤土だというのだ。
なるほど、よく見れば、茶色の部分は表土でないことは容易に理解できる。表土が微生物や小動物にとって生きるための必要条件であることくらい分かる。
ネットで調べた。前富士常葉大学環境防災学部教授・竹林征三氏(1943年- 2021年)の「一万年前の表土 Topsoil of Ten Thousand Years Ago」には次のようにある。「表土は大自然が 何百何千年かけて作った極めて価値高い財産であり、表土の中には自然生態自己復元に欠かせない埋土種子が多く含まれている。また、生態システムを支えている多くの有用微生物の宝庫である」とし、「既存法面の表土の持つ極めて価値の高い有用表土を合理的に収集、保存、供給できるシステムとする」「自然生態自己復元緑化」を提唱している。
神宮外苑の整備にこの「自然生態自己復元緑化」の考えが取り入れられているかどうか知らないが、石川氏は「セントラル・パークの整備では、表土が保存され、再び戻されたという記録が残っている」と話した。
小島さん、石川さん、よくわかる。しかし、神宮外苑再開発は公園整備事業ではない。都の都市計画審議会で承認された事案だ。批判の矛先は事業者ではなく、形骸化している審議会とその委員に向けるべきではないか。

移植樹木について説明する小島さん

移植されたシラカシかケヤキ

移植されたヒトツバダコ

絵画管敷地内の3代目のヒトツバダコ
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前夜、ロッシェル・カップさんからのメールで、取材することにした。「植木職人の小島さん」から直に移植の是非、手法を聞くことはもちろんだが、今が盛りの神宮外苑のイチョウ並木を観察することにあった。写真のように、人でごった返していた。4列並木がシンメトリーで美しく、イチョウもまた円錐形に剪定されているからだろうが、記者などはさっぱり理解できない。イチョウなどどこにでもあるではないか。むしろ、垂乳根に憐れみを覚えた。移植が検討されている秩父宮ラグビー場の18本のイチョウは健全であることが確認できた。4列植栽の約40本のイチョウ並木では、5~6本は落葉し、丸裸になっているのが確認できた。これは樹勢が衰えているためかどうかは素人の記者には全く分からなかった。
記者の発言が参加者や小島さんからたしなめられたこともあった。どなたかが「イチョウ並木は(存続の)危ないわよ」と話したので、記者は「イチョウ並木は保存されますよ」と言い返したら、「あなた、勉強不足」「イチヨウは西日が必要」「地下の根が張れるかどうか」とやり返された。
西日を嫌う樹木、植物はたくさんあるが(記者と同類の隠花植物がいい例)、イチョウは西日が重要というのは初めて聞いた。晩秋の西日に映える姿は、花言葉の「長寿」「荘厳」が示すように、若い人にもお年寄りにも何かを暗示するものがあるのか。
もう一つは、建国記念文庫から軟式野球場に移植されたシラカシについて、小島さんが「来年の夏が越せるかどうか」と話されたので、「シラカシはどこにでもある安い木。枯死してもいくらでも替えがある。移植費のほうが問題」と話したら、「どこにでもある木を大事にしないといけない」とやり返された。いうことなし。
石川さんが「ヒトツバダコは剪定するものではない。自然樹形が美しく、だからこそ美しい白い花が咲く」というのは大賛成。「グラングリーン大阪」の「うめきた公園」には立派なヒトツバダコが植えられている。
石川さんはまた、自然林には高木-中木-低木-地衣類が層をなして混在することが大事だとも話された。これにも同感。先日、東京建物の「大手町の森」を観てきたが、同社は千葉県での実証実験を3年間もかけて行い、森を移植した。こんな美しい森は都心にはない。


石川さん
ニッケイ、ヨモギ、スミレなどを用いたカクテル提供 東京建物「森の市」(2025/11/21)
神宮外苑の樹林地の気温 市街地より1.6℃低いことを実証 三上・都立大名誉教授(2025/8/24)
神宮外苑問題新たな局面へ「都の公園まちづくり制度は違法」専門家有志が主張(2025/7/15)
時とともに成長する「うめきた公園」 美しい「JAM BASE」先行街びらき(2024/9/4)
神宮外苑問題は都知事選の争点になるのか 〝街路樹の味方〟の記者の独白(2024/7/2)
神宮内外苑問題・石川幹子氏 外神田再開発・大城聡氏 東京1区市民連合フォーラム(2024/3/25)
神宮外苑再開発 全エリア全樹木データ 保存・移植・伐採と移植難易度の関係は不明(2024/1/19)
最多はカイヅカイブキ 外来種のヒマラヤシダー、フウなど目立つ神宮外苑の既存樹木(2024/1/9)
氷の微笑、根回し、考え方更新、都市公園とは…神宮外苑を考えるシンポ千葉商大(2023/12/19)
うろつくだけで工事妨害!? 暗黒社会へ突入 千代田区 イチョウ守る会を犯罪扱い(2023/12/1)
秩父宮ラグビー場が「未供用」の謎 「広場」は都市公園ではない 神宮外苑再開発(2023/8/9)
サンフロンティア「FRONTIER PITCH TOKYO for Startups 2025」 アジラが優勝

「FRONTIER PITCH TOKYO for Startups 2025」
サンフロンティア不動産は11月19日、スタートアップ支援イベント「FRONTIER PITCH TOKYO for Startups 2025」を開催。本選に進出した8社がピッチを行い、審査の結果、株式会社アジラが優勝した。
「FRONTIER PITCH TOKYO for Startups 2025」は、これからの日本社会・経済を牽引するスタートアップ企業を対象に「日本を盛り上げるスタートアップ」をテーマとして開催するピッチコンテスト。審査はビジョン(熱意)/ビジネスモデル(市場性)/独創性・新規性/推進力の4項目。
優勝した株式会社アジラは、“テクノロジーの力で安心で快適な世界へ”をコンセプトに、行動認識AIを用いてトラブルの予兆を捉え、防犯カメラを事件・事故の「記録」から未然防止のインフラへと進化させることに取り組む企業。姿勢データのみを抽出・解析し、リアルタイムにインシデントを検知・通報できる点が高く評価された。優勝賞品として、家具付きのセットアップオフィスの1年間無償利用権(1,800万円相当)が贈呈された。
審査員を代表してサンフロンティア不動産代表取締役社長・齋藤清一氏は「志を持った皆さんが、これからマネタイズや経済的な収支の面でも成果を伸ばしていくことで、『論語とそろばん』を両立させながら、社会に貢献していかれることを期待しています」語った。

左から齋藤氏、アジラ 代表取締役CEO・尾上剛氏
優勝はFRDジャパン サンフロ「FRONTIER PITCH TOKYO for Startups 2024」(2024/9/30)
船橋・南船橋で再開発3物件 マンション3,000戸 相乗効果か共倒れか

「若松二丁目住宅マンション建替え事業」
若松二丁目住宅マンション建替組合と、参加組合員として参画している野村不動産、三井不動産レジデンシャル、旭化成ホームズ、日鉄興和不動産は11月17日、同組合が施行する「若松二丁目住宅マンション建替え事業」を10月31日に着工したと発表した。事業は、千葉県内最大規模の建替え事業で、国土交通省の「令和4年度マンションストック長寿命化等モデル事業」に採択されている。
「若松二丁目住宅」は、JR南船橋駅に近接、船橋市若松二丁目に位置する敷地面積約42,306㎡、延床面積約30,241㎡、5階建て17棟、総戸数576戸。竣工年は1969年。2007 年ころから管理組合内で建替えの検討を開始し、2012年に建替え推進決議を可決、2014年に事業協力者の選定を行い、2023年3月、一括建替えを決議。工期は2期に分かれており、先行工区の竣工は2028年の予定。
建築基準法第86条の一団地認定の分割・再設定、総合設計制度の活用などにより、敷地分割を行いながら一体的な街並みの実現を図る。
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船橋駅圏では現在、船橋駅から徒歩11分のJR東日本の社宅跡地約45,400㎡で「(仮称)JR 船橋市場町社宅跡地開発計画」が進行中で、同社と同社グループのジェイアール東日本都市開発、東急不動産の3社が2028年完成を目指し約1,000戸のマンションを建設する。
「若松二丁目住宅」がどれくらいの規模になるかは不明だが、敷地規模と総合設計制度を活用することなどから、「(仮称)JR 船橋市場町社宅跡地」を上回る可能性もある。双方で2,000戸超だ。船橋駅前では、坪単価600万円といわれる大和ハウス「プレミストタワー船橋」(677戸)の分譲が始まる。3物件を合わせると3,000戸くらいになりそうだ。
常識的に考えたら、需要規模は3物件併せて年間500戸くらいと思われも完売まで6年かかる計算だ。相乗効果を発揮するのか、共倒れになるのか。

