6月の訪日外客数 過去最多338万人 上期累計も過去最速の2,000万人突破 JNTO
日本政府観光局(JNTO)は7月16日、2025年6月の訪日外客数は前年同月比7.6%増の3,377,800人となり、6月として過去最高を記録したと発表。1~6月の上半期の累計でも21,518,100人となり、前年同期を370万人以上上回るとともに、過去最速となる6か月で2,000万人を突破した。
6月は5月と同様に夏休みシーズン前となり、訪日需要が比較的落ち着く時期であるものの、多くの市場でスクールホリデーに合わせた訪日需要の高まりがみられたことなどにより、東アジアでは中国、韓国、東南アジアではシンガポール、インド、欧米豪では米国、ドイツが伸びた。
米国で単月過去最高を更新したほか、韓国や台湾、シンガポールなど15市場で6月として過去最高を記録した。
「住宅省エネルギー性能証明書」取得率30%へ コスモスイニシア リノベマンション
「コスモポリス品川」の3住戸で「住宅省エネルギー性能証明書(ZEH水準または省エネ基準)」取得
コスモスイニシアは7月16日、リノベーションマンション事業「INITIA & Renovation」について、今年度着工する既存マンションから「住宅省エネルギー性能証明書(ZEH水準※1・省エネ基準※2)」取得率30%を目標値とすることに決定したと発表した。証明書を取得するとローン控除の優遇措置や補助金申請が受けられる。
住宅の省エネルギー化の推進にあたり、YKK AP、u.company、エヌ・シー・エヌの3 社と協業体制を構築しており、これらの企業と連携しながら、設計や仕様検討の段階から、各物件に応じたZEH水準・省エネ基準到達に必要な条件の提示、申請業務のサポートなど、技術面・制度面において実務的な支援を受けながら省エネルギー化を進めているとしている。
※1 ZEH水準:建築物の断熱性能及び設備に関する基準を満たした住宅で、断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上の性能を有する住宅
※2 省エネ基準:建築物の断熱性能及び設備に関する基準を満たした住宅で、断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上の性能を有する住宅
14年も前から断熱窓の提案に驚愕インテリックス「青山リノベーションスタジオ」(2025/7/4)
リスト 最高価格72.5億円のアジア初のポルシェブランドマンション タイで分譲開始
リストグループのリストインターナショナルリアルティ(LIR)とリストインターナショナルリアルティタイランド(LIRタイオフィス)は7月15日、アジアで初となる高級スポーツカーのポルシェをモチーフとしたブランデッドレジデンス「Porsche Design Tower Bangkok(ポルシェ デザイン タワー バンコク)」22戸を9月末日から共同で販売開始すると発表した。最高価格は72.5億円(坪単価2,108万円)となる予定。
LIRタイオフィスは、2018 年に高級不動産仲介ブランド「サザビーズ インターナショナル リアルティ®」 のタイ国内独占営業権を取得。これまでのタイ国内での高級不動産の販売実績が評価され、今回の物件の販売権利を取得。LIR東京オフィスと共同で、日本国内で初めて同物件を先行案内するイベントを6月25日にポルシェ銀座スタジオで開催した。
価格は約20億6,480万円から約72億5,000万円(専有面積約525~約1,135㎡)を予定している。
1戸25億円の分譲戸建て「元麻布」リストが分譲、契約済み(2025/7/10)
神宮外苑問題 新たな局面へ「都の公園まちづくり制度は違法」専門家有志が主張
神宮外苑イチョウ並木(青山通りから2025年7月14日撮影)
神宮外苑地区再開発の再考を願う建築・造園・都市計画・環境の専門家有志は2025年7月2日、文部科学大臣宛てに「神宮外苑再開発事業におけるJSCによる秩父宮ラグビー場の財産処分の認可申請への不認可及び適切な指導に関する要請書」を提出した。要請書は、神宮外苑の再開発を可能にした「東京都公園まちづくり制度」そのものが違法であると主張している。多くの専門家が制度を違法としていることから、神宮外苑問題は新たな局面を迎えた。
有志に名を連ねているのは、石川幹子氏(東京大学名誉教授)、糸長浩司氏(元日本大学教授)、大方潤一郎氏(東京大学名誉教授)、原科幸彦氏(千葉商科大学前学長、東京科学大学名誉教授)、藤本昌也氏(日本建築士会連合会名誉会長)、松隈 洋氏(神奈川大学教授)で、要請書の冒頭は次のようにある。
「私たち専門家有志は、神宮外苑の文化的資産及び環境の保全を求め、2023年3月8日以来、建築・造園・都市計画・環境政策等の420人の専門家の署名をもとに「施行認可の撤回及び環境影響評価の継続審議」を求める要請書を三度にわたり都知事、都議会議長及び環境影響評価審議会会長に提出してきました。(中略)しかし、現段階では何の回答もない状況です」
続いて、「東京都は2013年に作成した『東京都公園まちづくり制度実施要綱』の『公園まちづくり制度』を神宮外苑地区に適用し、秩父宮ラグビー場を『当初都市計画決定からおおむね五十年以上経過した未供用区域』とし、都市計画公園を削除しました。そして、再開発等促進区を定める地区計画を導入し、超高層事務所ビル等を建てることを可能にする都市計画を決定しました。これらの審議過程は、民主的で透明なものとはいえないだけでなく、都市施設の都市計画決定に関する知事の裁量権の濫用に当たる違法なものです」としている。
そして、「そもそも都市計画公園等の都市施設の都市計画決定あるいは変更にあたっては、都市計画基礎調査等を踏まえ『土地利用、交通等の現状及び将来の見通しを勘案して、適切な規模で必要な位置に配するよう』定められている(都市計画法第13条第1 項第11号)にもかかわらず、当該都市計画公園に関するユーザーのニーズの動向や環境保全の必要性等を、客観的データ等を踏まえ、市民参加過程を含む正規の都市計画の審議過程を通じて十分に吟味しないまま、単に都市計画公園内の一部の土地の区域が『長期に渡って未供用』であるということを理由に当該未供用区域を都市計画公園区域から除外することは都市計画法に違反した違法な行為であるといえます。つまり、『東京都公園まちづくり制度実施要綱』は、都知事の都市計画の運用に関する著しい裁量権の逸脱を認めた違法な要綱であり、この要綱に基づく都市計画公園区域の変更も違法なものであるといえるのです」と主張している。
日本イコモスは、神宮外苑の再開発について、令和4年10月3日付「近代日本の公共空間を代表する文化的資産である神宮外苑の保全・継承についての提言」では「『公園まちづくり制度』の不適切な適用」としている。「公園まちづくり制度」そのものが違法としたのは今回が初めてと思われる。
このほか、神宮外苑の再開発に反対しているロッシェル・カップさんなどが東京都を訴えている「神宮外苑再開発事業認可取消等請求事件」では、令和6年5月10日付準備書面で「東京都公園まちづくり制度は要綱で定められた制度であるが、都市計画法の趣旨に反するものである以上、違法なものである」としている。
今気が付いたのだが、右のイチョウの枝ぶりからして、専門家が指摘している樹勢が衰えているイチョウか
移植が検討されている秩父宮ラグビー場前のイチョウ並木
◇ ◆ ◇
要請書を読んだ。都の行為が「違法行為」であると主張する方々に対して、判断材料がない段階で行政の長として答えようがないのではないか。有志の方々は、都の「東京都公園まちづくり制度」は都市計画法違反と主張するならば、「要請書」-つまり「お願い文」などという形式ではなく、事業を認可した東京都を被告とする行政訴訟を提起すべきだと思う。
しかし、都市計画法そのものは、行政の無謬主義に基づいており、都が都市計画法の何条に違反しているかを証明するのは至難の業だ。有志の方々は、違法の根拠として都市計画法第13条第1項第11号を持ち出しているか、これのどこに違反しているのか示していないし、秩父宮ラグビー場が昭和50年からずっと「未供用」(記事参照)とされてきたのは不条理だとしても、事実のようだ。全て法律が優先する。悪法も法だ。都も事業者も、施設内の「広場」を「都市公園」とは一言も言っていない。「都市計画公園」と「都市公園」は似て非なるものだ。これを混同しているから問題を難しくしている。「神宮外苑」が都市公園であるかの言説をまき散らしてきた専門家にもその責任はあると思う。(どこかの記事に、都が「未供用と断定」と書かれていたが、これは事実ではない。都市計画法でずっと「未供用」とされてきたのだ)
景観権に訴えても勝ち目はない。勝訴するためには、大量の巨木伐採によってどれほどの利益か損なわれるか科学的に証明する必要があると思うが、残念ながらわが国には、米国などで採用されている「i-Tree(都市緑地機能評価)システム」は一般化されていない。
ただ、石川幹子氏が7月14日に行われた緊急オンラインセミナー「神宮外苑で今、何が起きているのか? 」で語った「神宮内苑は代々木公園から水の供給が得られているから維持できているが、内苑も危機的状況にある。維持・管理ができないのであれば、明治神宮は国に返還すべき」という意見は傾聴に値すると思う。
〝街路樹虐待は自分の首を縛るようなこと〟藤井・千葉大名誉教授強剪定を批判(2024/7/24)
神宮外苑問題は都知事選の争点になるのか〝街路樹の味方〟の記者の独白(2024/7/2)
神宮内外苑問題・石川幹子氏外神田再開発・大城聡氏 東京1区市民連合フォーラム(2024/3/25)
氷の微笑、根回し、考え方更新、都市公園とは…神宮外苑を考えるシンポ千葉商大(2023/12/19)
秩父宮ラグビー場が「未供用」の謎「広場」は都市公園ではない神宮外苑再開発(2023/8/9)
小田急バス&ブルースタジオ なりわい賃貸「meedo」街びらき 想定の倍2000人超
「みいどまちびらき夜市」
小田急バスとブルースタジオは7月13日、「みいどまちびらき夜市」と銘打った店舗兼用賃貸住宅「なりわい賃貸住宅『meedo(みいど)』」街びらきイベントを開催。「Meedo」に入居する〝なりわい〟店舗のお披露目のほか焼き菓子、コーヒー豆、ヨーヨー釣り、ワークショップ、オリジナル雑貨、野菜市など趣向を凝らせた出店イベントに、来場者は想定1,000人の2倍強の2,000人超にのぼり、大賑わいとなった。
「meedo」は、JR三鷹駅から小田急バス28分晃華学園東「meedo」下車すぐ・京王線つつじヶ丘駅から京王バス7分徒歩1分、調布市深大寺東町2丁目の第一種低層住居専用地域、第一・二種中高層住居専用地域に位置する敷地面積約1,774㎡、木造2階建て延床面積約299㎡のA棟(住居5戸・店舗1軒)、延床面積約498㎡のB棟(住居8戸)。小田急バスが保有するバスターミナルに、ブルースタジオが企画・設計監理・運営を行うプロジェクトで、「住まいと商い・仕事が共存する“なりわい暮らし”」がコンセプト。2022年のグッドデザイン賞ベスト100を受賞した「hocco(ホッコ)」に続く第2弾。
かつてエリアには国分寺崖線の湧水用水・井戸があったことから、敷地内に設けた広場には井戸を掘り、せせらぎを設け、かまどベンチや停電時でも利用可能な自動販売機を設置し、有事の際は地域レジリエンスの拠点としても機能するようにしている。
夜市に参加した調布市多摩川に住む50代の男性は「子どもが梅ジュースのワークショップを体験しており、ここに来れば梅ジュースが飲めるというので家族3人で参加した。とてもおいしい。このように地域が盛り上がるのはとてもいいこと」と話した。その奥さん(30代ですよね、と声を掛けたらご本人は笑って否定しなかった)は「そんなに便利なところではないのに、こんなにたくさんの人が来ているのにびっくりしました」とイベントを満喫していた。
近くの分譲マンションを買ったばかりという小さな子ども連れの30代前半の夫婦も「凄い人が集まっている」と驚いていた。
夜市は15:00~20:00まで。出店したのは次の通り。「Paper&Print」(文房具販売・工場)「整体院はるかぜ」(整体院)「micro DELI&SHOP」(惣菜・スイーツ)「masala masara深大寺」(インド風カレー)「キミノコーヒー」(コーヒー豆販売)「焼き菓子chaco」(焼き菓子販売)「OYANEKO OYATSU」(焼き菓子 販売)「Sugar massege」(アイシングクッキーワークショップ)「MATOUKA」(アロマワークショップ)「sayanao」(シャカチャーワークショップ)「柴田真央」(雑貨販売)「地域農家さん」(野菜販売)。
井戸水をくみ上げる子どもたち
「キミノコーヒー」(コーヒー豆販売)
「柴田真央」(雑貨販売)
◇ ◆ ◇
イベントのお誘いには、「事前申し込みは不要で、お散歩ついでに、ちょっと涼みに、お酒を飲みに….」とあったので、暑い真昼を避けて夕方の4時から参加することにした。〝便立地、好立地〟でもないので参加者は少ないだろうから、近くのコンビニでウイスキーを買い、井戸から汲み上げた水を氷にしてもらって、どこかに腰かけて湧水ロックを楽しもうと。
豈図らんや。現地は人混みでごった返していた。立錐の余地もない。ありえない光景だ。どこからこんなたくさんの人が湧き出すのだろうと唖然とした。瓶ビールを買ったのだが、立ち飲みするほかなかった。
主催者もこれほど人が集まるとは予想していなかったようで、用意したパンフレット、うちわなどは足りなくなり、対応に追われていた。声を掛けるのもためらわれたので、湧水ロックはあきらめた。後で聞いたのだが、来場者は1,000人と読んでいたようだ。
皆さん、いかがか。仮に1,000人の来場だったら、1時間当たり200人だ。これなら余裕を持って対応できたのではないか。来場者はその倍だから常時400人以上が詰めかけていたことになる。この集客力、動員力はどこからくるのか。ヒントは〝なりわい〟だろう。
そこで考えた。このようなプロジェクトは、全国の住宅地の活性化、町おこしに活用できるのではないかと。1低層の用途規制を緩和し、調整区域の一号店舗と同じように空き家などを活用してはどうか。官民が連携すれば狭小敷地の併合・一体化も可能ではないか。「よそ者」「わか者」「ばか者」のほかに「高齢者」の知見を生かせば一石四鳥の町の再生が実現するのではないか。
せせらぎにはメダカが泳いでいた
井戸・池・せせらぎの価値は1億円超/年小田急バス×ブルースタジオ「meedo」(2025/5/17)
小田急バス×ブルースタジオなりわい賃貸第二弾「meedo(みいど)」開業へ(2024/10/27)
中古マンション市場も二極化 都心と郊外は雲泥の差 東日本レインズデータから
既報の通り、東日本不動産流通機構(東日本レインズ)による令和6年6月の首都圏中古マンションの成約件数は4,299件(前年同月比31.9%増)、坪単価は275万円(同6.9%増)、成約価格は5,209万円(同5.1%増)、専有面積は62.50㎡(同1.7%減)、築年数は26.96年(前年同期は24.36年)となったのだが、もう少し詳しくデータを見ることにした。都心と郊外は雲泥の差であることが分かる。マクロデータのみに頼っていては、市場を見誤ることになりかねないということだ。
都県別成約状況では、東京都の成約件数は4,299件(前年同月比31.9%増)、坪単価は386万円(同13.2%増)、価格は6,791万円(同5.1%増)、専有面積は58.04㎡(同2.5%減)、築年数は25.87年(同2.60年増)。
神奈川県の成約件数は1,003件(同40.5%増)、坪単価は186万円(同5.2%減)、価格は3,751万円(同6.6%減)、専有面積は66.66㎡(同1.5%減)、築年数は27.62年(同3.08年増)。
埼玉県の成約件数は509件(同47.1%増)、坪単価は143万円(同2.8%増)、価格は2,906万円(同1.9%増)、専有面積は67.09㎡(同0.8%減)、築年数は27.49年(同0.91年増)。
千葉県の成約件数は427件(同12.1%増)、坪単価は121万円(同9.8%減)、価格は2,629万円(同9.3%減)、専有面積は71.89㎡(同0.5%増)、築年数は30.85年(同3.69年増)。
これらの数値を見比べると、東京都の成約件数は首都圏全体の54.9%を占め、坪単価は首都圏平均の1.4倍、価格は首都圏平均の1.3倍になっており、一方、他県の坪単価は横ばいか下落しており、価格は東京都の半値で推移していることが分かる。また、専有面積は各都県とも一貫して縮小しており、築年数は千葉県が30年超となっているのが目立つ。
記者がもっとも興味があるのは、いま自宅マンションを売却する人は買値を上回っているのか下回っているのかだ。世間では分譲と賃貸都ではどちらが得かが俎上に上る。記者は住宅を損得で考えるべきではなく、ライフスタイルによって自由に選択できる市場になることを願っている。
ここではこの問題に深入りすることをしないで、単純に考えることにする。築年数26.96年といえば、今から約27年前の1998年(平成10年)だ。デベロッパーはバブル崩壊の痛手から立ち直っていたころで(退場を余儀なくされたデベロッパーはたくさんあったが)、マンション市場は活況を呈していた。不動産経済研究所のデータによると、1998年の首都圏マンション供給量は約6.6万戸で、坪単価は193万円、平均価格は4,168万円、平均専有面積は71.01㎡だ。その後、2008年のリーマン・ショック後の一時期を除けば価格、単価は右肩上がりで推移している。2024年の平均価格は7,820万円、坪単価は388万円だ。
中古マンションはどうかというと、1998年の成約件数は22,356件、坪単価は115万円、価格は2,192万円、専有面積は62.87㎡、築年数は15.20年だ。現在の中古マンションの成約状況を当時と比べると、坪単価と成約価格は約2.4倍へと大幅に上昇している。当時、マンションを買った人は損切りしないで売却できているという計算が成り立つ。これが現在の活況を呈している中古マンション市場の大きな要因の一つだろう。
問題を指摘するとすれば、専有面積の圧縮だ。現在の新築マンションの平均専有面積は66.95㎡で、1998年比で4.06㎡(1.23坪)縮小している。中古マンションの専有面積は1998年の62.87㎡よりも狭い62.50㎡だ。〝便立地、好立地〟(資産性)のために住宅の基本的な質である居住面積を犠牲にしていることが分かる。
30年経過しても、住宅の質はそれほど向上していないとも受け取れるが、この〝便立地、好立地〟(資産性)が重視されるのは分からないわけではない。〝時は金なり〟だ。移動に伴う時間を金額に換算したらいくらになるか。これは人それぞれだろうが、仮に1時間2,000円としたら(オフィスワーカーの賃金を時間給にしたらもっと高いはずだが)、駅から徒歩10分なら往復で666円、月に約2万円、年間で約24万円だ。夫婦ならこの2倍。〝コスパ〟を重視する若い人にとっては無視できない額だ。
では、居住面積を金額に換算したらいくらになるか。首都圏賃貸住宅の相場を坪1万円とすると、年間で12万円だ。夫婦で共有すれば1人当たり6万円となる。
この数値から、時間か居住性かを問われれば、やはり時間を重視する人が多数を占めるだろう。〝便立地、好立地〟が住宅市場で優位にあることの説明がつく(絶対ではないので、郊外の価格が安くて居住性に優れた住宅が一定の支持を受けているのもよくわかる)。
成約状況をさらに詳しく見ると、面白いことが分かる。2025年4月から6月の成約件数12,090件の1,000万円ごとの価格帯別分布でもっとも多いのは6,000~7,000万円の1,904件(全体の15.7%)だが、10,000万円以上は1,189件(8.8%)で昨年同期の715件(7.6%)から大幅に増加している。10,000万円以上を都県別にみると、東京都が1,104件(前年同期は663件)を占め、他の3県合計は85件だ(前年同期は52件)。ちなみに、他県の1,000万円ごとの最多価格帯はいずれも1,000~2,000万円で、神奈川県500件(17.8%)、埼玉県325件(23.1%)、千葉県289件(23.4%)、3県合計で1,114件だ。東京都の億ション成約件数のほうが多い。
この数値からは、東京都の高額住戸が市場を左右していることが浮き彫りになり、中でも都心3区(千代田区・中央区・港区)の数値が突出している。東京都全体の6月の成約状況は先に見たが、都心3区の成約件数は都全体の7.1%の306件(前年同月比29.1%増)で、坪単価は766万円(同26.8%増)、価格は13,502万円(同33.7%増)、専有面積は58.16㎡(同5.5%増)、築年数は20.45年(前年同期は20.05年)となっている。
坪単価、価格とも大幅に上昇しているが、興味深いのは築年数だ。他の地域では城東地区24.08年、城南地区28.22年、城西地区27.11年、城北地区26.89年、多摩地区27.97年となっており、かなりの差がある。
なぜそうなのかは詳細な分析が必要だが、先に見たように築年数が浅いほど中古市場での評価が高く、ここ数年の新築価格の暴騰の恩恵を高額マンション居住者が受けていることをうかがわせる。一部では投機的需要も発生しており、中古価格が新築価格を上回る逆転現象もみられる。
月並みな言葉だが、首都圏中古マンション市場も二極化が広がっているということか。
6月の中古マンション・戸建て 成約件数は大幅増加 東日本レインズ(2025/7/10)
パナソニック ホームズ 社内表彰「2024年度 アーキテクト・オブ・ザ・イヤー」決定
パナソニック ホームズは7月10日、同社の建物設計の優秀事例を表彰する社内表彰制度「2024年度 アーキテクト・オブ・ザ・イヤー」の最優秀事例6例など全18例を選出、表彰したと発表した。
同表彰制度は、同社の設計従事者の提案力の向上と優秀事例における特長・工夫の水平展開を目的に2016年度から実施しているもの。1次・2次の書類審査を経て、最終審査はコンペ形式により、設計者自らが審査員にプレゼンテーションを行い、総合的な設計提案力を評価する。
選考は全6コース<「設計デザインコース(130㎡未満/130㎡以上)」「空間デザインコース」「事業用物件コース(3階以下/4階以上)」「リフォームコース」>で、応募作品の中からそれぞれ最優秀賞、新人賞などが選ばれる。
今回の対象事例は2023年10月~2024年9月に完工した事例で、応募数は235事例。書類審査を通過した18例が審査対象。審査員は同社の主要役員、建築家の連健夫氏など。
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この種の社内表彰制度は各社が行っており、雑誌社が絡んでいるので他のメディアはリリースをコピペして記事化するのはためらわれ、「か・ち・も・な・い」と判断されるのだろうが、小生などは取材の声が掛れば飛んでいく…会場は多分大阪だろうから無理だが…。
受賞作品はみんな面白い。例えば、設計デザインコース(130㎡未満)の最優秀賞に選ばれたパナソニック ホームズ多摩の山西宏和氏の作品。テーマは「間口狭小地に建つ開放リビングのある家」で、接道幅4.7m・約26坪の限られた敷地で、「家族が集まり、ゆっくり過ごせる明るい
リビング」を実現。2階リビングは最高3.3mの天井高を確保し、勾配天井を活かした木質感あふれる空間が、明るく開放的な雰囲気を演出したもの。
この他、「~暗さへの挑戦~『真のホテルライク』とは」「はじまりの家」「2つのファサード(外観)を持つ完全分離型併用住宅~」「人と街を支える地域健康拠点」「忙しい日々にゆとりを生み出すこだわりの住まい」などのテーマがいい。
6月の工事原価 集合住宅、事務所、工場、住宅とも上昇 建築物価調査会
建設物価調査会は7月10日、2025年6月の「建設物価 建築費指数」(東京2015年100基準)を公表。工事原価は集合住宅(RC造)、事務所(S造)、工場(S造)、住宅(W造)とも前月比で上昇した。
集合住宅(RC造)の工事原価は138.8(暫定)で前月比1.1%増、前年同月比5.3%増、純工事費は140.1(暫定)で前月比1.2%増、前年同月比5.6%増となった。
事務所(S造)の工事原価は137.8(暫定)で前月比0.5%増、前年同月比3.9%増、純工事費は138.7(暫定)で前月比0.6%増、前年同月比4.0%増となった。
工場(S造)の工事原価は136.5(暫定)で前月比0.6%増、前年同月比3.0%増、純工事費は137.3(暫定)で前月比0.6%増、前年同月比3.1%増となった。
住宅(W造)の工事原価は142.7(暫定)で前月比0.8%増、前年同月比3.6%増、純工事費は144.3(暫定)で前月比0.8%増、前年同月比3.6%増となった。
工事原価は、直接工事費と共通仮設費を合計した純工事費に加えて現場管理費や一般管理費なども含めた額。
6月の中古マンション・戸建て 成約件数は大幅増加 東日本レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は7月10日、令和6年6月の首都圏流通市場動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は4,299件(前年同月比31.9%増)で8か月連続の増加、坪単価は275万円(同6.9%増)で20年5月から62か月連続で上昇、成約価格は5,209万円(同5.1%増)で8か月連続で上昇、専有面積は62.50㎡(同1.7%減)で7か月連続の縮小となった。
中古戸建ての成約件数は1,943件(同49.2%増)で8か月連続の増加、成約価格は3,937万円(同1.9%減)で2か月ぶりに下落、土地面積は144.36㎡(同1.7%減)で3か月ぶりに縮小、建物面積は103.59㎡(同0.7%減)で2か月ぶりに縮小した。
リスト&ロイヤルHD 日本初進出の高級リゾート「Anantara軽井沢」開発
「Anantara Karuizawa Retreat (アナンタラ軽井沢リトリート)」開発調印式(東京アメリカンクラブで)
リストグループのリストデベロップメントとロイヤルホールディングスグループのロイヤルマイナーホテルズは7月10日、日本初進出となるラグジュアリーホテルブランド「Anantara(アナンタラ)」を冠した「Anantara Karuizawa Retreat (アナンタラ軽井沢リトリート)」に関するマネジメント契約を締結し、浅間山を望む長野県軽井沢町の約4万㎡の高級リゾートを開発すると発表した。
施設は、北陸新幹線軽井沢駅から車で約15分、長野県北佐久郡軽井沢町に位置する開発面積約41,933㎡。客室数は:スイート23室(60~120㎡予定)、ヴィラ18棟28室(70~270㎡予定)。開業予定は2030年。館内にはオールデイダイニング、スペシャリティレストラン、バーを含む3つの飲食施設を備える予定。一部のヴィラは、ブランデッドレジデンスとして分譲することも検討している。
この日の調印式に臨んだMinor International Public Company Limited(マイナー・インターナショナル)創業者兼会長・William Ellwood Heinecke(ウィリアム・エルウッド・ハイネッケ)氏は、「当社は世界60か国、650ホテルを運営している。今回、リスト社とロイヤルホールディング社とパートナーシップを組めたことは本当にうれしく光栄に思う。Anantaraの日本進出は素晴らしいこと」と、また、リスト代表取締役社長・北見尚之氏は、「2010年にサザビーズ インターナショナル リアルティの国内独占営業権を取得してから国内のほか、5か国で事業展開しているが、今回は新たな挑戦。最高級のホテルにする」とそれぞれ挨拶した。
ロイヤルマイナーホテルズ代表取締役社長・本山浩平氏は、「2025年3月に設立したロイヤルマイナーホテルズとしてホテルマネジメント契約の第一号となるAnantara Karuizawa Retreatでパートナーシップを結べることを大変誇りに思う。同社は、ラグジュアリー施設の創造における卓越した専門性があり、独自のデザインと上質な滞在を追求するAnantaraブランドの理念と調和している」と、リストデベロップメント代表取締役社長・木内寛之氏は、「当社はこれまで、高品質な住まいと街づくりを通して、お客様に豊かなライフスタイルを提供することを目指してきた。近年では、ホテルコンドミニアムやラグジュアリー邸宅にも積極的に取り組んでいる。そのような中で、アジアを代表するホテルチェーンである同社と、当社のビジョンが合致し、今回のホテルマネジメント契約締結に至った」と、それぞれコメントした。
マイナー・ホテルズは、AsPAC最大級のホスピタリティ及びレジャー企業であるMinor InternationalPCL(マイナー・インターナショナル)の中核企業。57か国で560 棟以上のホテル、リゾート、レジデンスを運営している。2027年度末までに280軒以上のホテルを新たに加えることを目標に掲げており、世界規模の成長を加速させる。
Anantara(アナンタラ)の発祥はタイで、アジア全域、中東、インド洋、アフリカ、ヨーロッパなど25か国、59軒のホテルを展開している。
イメージパース