RBA OFFICIAL
 

外観見上げ0323.jpg
「プレミストタワー白金高輪」

 大和ハウス工業は10月8日、東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線白金高輪駅から徒歩1分の「プレミストタワー白金高輪」の分譲を10月9日から開始すると発表した。

 2棟の分譲マンションと隣接するビルなど「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」を活用した物件で、同社は2016年8月から参加組合員として参画している。

 全280戸のうち販売対象住戸は153戸。うち開放感があり眺望もいい20階以上の住戸は123戸。第1期1次の60戸の専有面積は33.06~117.15㎡、価格は5,780万~2億6,650万円。

◇       ◆     ◇

 このマンションについては先月取材し記事にもしているのでそちらを参照していただきたい。変更しなければならないのは、取材したとき販売事務所長・宮本章司氏が「第1期は40~50戸供給を目指しています」と話した部分くらいだ。実際はさらに上積みした60戸になった。坪単価は上方修正していないはずだ。

先行逃げ切りか まくり一発か レベル高い 大和ハウス「プレミストタワー白金高輪」(2020/9/19)

小田急不動産.png
「(仮称)新宿区片町計画」

 小田急不動産は10月8日、2022年2月竣工予定の賃貸マンション「(仮称)新宿区片町計画」につなぐネットコミュニケーションズのインターネット接続環境「UCOM 光 レジデンス マンション全戸一括10Gタイプ」を採用すると発表した。

「UCOM 光 レジデンス マンション全戸一括10Gタイプ」サービスの回線速度は上り下り共に10Gbps 高速通信、配線タイプはLAN配線タイプ、専用部仕様は据置型Wi-Fi ルーター(全室レンタル)、サポート体制は電話サポート 年中無休。

物件は、新宿区片町2-5ほかに位置する13階建て延べ床面積約2,994㎡の78戸。竣工予定は2022年2月。

◇       ◆     ◇

 悲しいかな、ネット環境のことなど全く分からない小生は、このニュース・リリースの意味するところが理解できない。申し訳ないというほかない。

image002.png
「星野リゾート 界 由布院」イメージ図

 東急リバブルは10月8日、大分県由布市で進める開発型アセットマネジメント(AM)事業に12月から本体工事に着手すると発表した。

 同事業は、TLS6特定目的会社が建設する温泉旅館「星野リゾート 界 由布院」に同社がプロジェクトマネージャー兼アセットマネージャーとして参画するもの。

 「星野リゾート 界 由布院」は、星野リゾートが全国に展開する温泉旅館ブランド「界」として2022年夏頃の開業を目指している。基本設計・意匠監修は隈研吾建築都市設計事務所が手がけ、農村の奥座敷の風格を感じるエントランスロビーや棚田のように広がるランドスケープを一望できる長い濡れ縁、雄大な由布岳に面した大浴場など、由布院の豊かな自然を心ゆくまで感じられるデザインを予定している。

 施設は、大分県由布市湯布院町に位置する土地面積約35,562㎡、パブリック棟2階建、客室棟3階建×4棟、離れ平屋建×計5室の延べ床面積約4,365㎡。客室数は45室。施工はフジタ・新成建設特定建設工事共同企業体。設計は隈研吾建築都市設計事務所。開業は2022年夏(予定)。

sM4Y0a9A.jpg
「フェアフィールド・バイ・マリオット・栃木宇都宮」(写真は記者撮影の★印以外は広報事務局提供)

 積水ハウスとマリオット・インターナショナルは10月7日、地方創生事業「TripBase(トリップベース)道の駅プロジェクト」の一つの「フェアフィールド・バイ・マリオット・栃木宇都宮」ホテルを開業した。同日、関係者、メディア向けにオープニングセレモニー・内覧会を行った。

 セレモニーの冒頭、挨拶に立った積水ハウス取締役専務執行役員・石井徹氏は、「『TripBase道の駅プロジェクト』のポイントは3つ。1つ目は道の駅にホテルを隣接させた点です。地域を渡り歩く拠点として宿泊に特化したホテルです。2つ目は新しい旅のスタイルの提案です。目的を定めずに、知られざる魅力スポットを巡り、偶然の出会いを楽しみながら渡り歩く。“旅の新たな価値”を提案できればと思います。3つ目はアライアンスです。これまでに25道府県の自治体、36社のパートナー企業の皆様と事業連携を進めています。2025年までに25道府県、約3,000室まで規模を広げていく」などと語った。

 続いて登壇したマリオット・インターナショナル日本・グアム担当エリアヴァイスプレジデントのカール・ハドソン氏は、「マリオット・インターナショナルは世界中で成長し続けており、世界には7,400以上のホテルがあります。その中でもフェアフィールド・ブランドは30年以上にわたりゲストの皆様に家族のようなおもてなしをして参りました。『フェアフィールド・バイ・マリオット・栃木宇都宮』は、日本で55番目のマリオットブランドのホテルとなり、マリオット・インターナショナルが日本に初めて導入する、“道の駅に近接”したロードサイド型ホテルです」と紹介した。

 来賓として出席した宇都宮市長・佐藤栄一氏は、「年間140万人のお客様が訪れる『道の駅うつのみやろまんちっく村』の中にホテルを作っていただいたことで、大谷観光含めた宇都宮の大きな財産になっていくものだと思います。行政も一体となり、おもてなしの心で育てていきたいと思います。今後、県内の自治体が連携して盛り上げていくことで、栃木宇都宮がさらに成長していけるように努力してまいりたいと思います」と歓迎の言葉を述べた。

 施設は、東北自動車道宇都宮ICから車で約5分、宇都宮市新里町に位置する宿泊特化型の3階建て延べ床面積約3,100㎡。客室は87室で、広さは全室25㎡。ルームチャージ(大人2人と子ども1人)は1万円。

 約46haの滞在体験型ファームパーク「道の駅うつのみやろまんちっく村」に隣接しており、同施設内の露店風呂を利用できるほか地元産食材を使った料理やオリジナル餃子、園内で醸造された地ビール、イチゴの摘み取り体験やイチゴのスイーツ作りなどか行える。カール・ハドソン氏は、コロナ過にもかかわらず満室稼働したと報告した。

 両社は2018年、「TripBase(トリップベース)道の駅プロジェクト」を立ち上げ、2020年10月6日に開業した岐阜県2か所のホテルに続く3か所目。今後2025年までに全国25道府県の自治体、36社のパートナー企業と連携し約3,000室規模へ拡大する予定。

-s5Nx_vA.jpg 0SF927gA.jpg 6D89kvtQ.jpg
左から石井氏、カール・ハドソン氏、佐藤氏

FJitJe3g.jpg
テープカット

IMG_8132.jpg
全景(★)

0xugiHoA.jpg
ラウンジ

H5d7_p_Q.jpg
地元の工芸品や書籍を紹介するコーナー(芥川賞作家の立松和平の本もあった)

IMG_8160.jpg
キッチンには地ビールや地元産の食材なども置かれていた(★調理は不可)

◇       ◆     ◇

 ホテルは積水ハウスの十八番〝5本の樹計画〟も盛り込まれているのが特徴の一つだが、客室に入った途端、飛び上がらんばかりに感動した。床は郊外マンション市場を席捲しつつある直床のそれと比べてはるかに柔らかく、子どもだけでなく家族みんながトランポリンを愉しむような心地にいざなってくれるのではないかと思った。

 客室の広さは全て25㎡で天井高は2400ミリくらい、浴槽はなし、冷蔵庫はあるがくしや髭剃り、浴衣・バスローブもなし(パジャマはあり)など設備仕様・アメニティなどは他の宿泊特化型でもそうないのではないか。

 アメリカの小説などによく登場するモーテルに似ているのかとも思ったが、ホテル担当者に聞くと、それらよりは豪華だということだった。共用部を含め施設全体が火器の使用は不可となっているのにもびっくりした。客室1室あたりの投資額は約2,000万円。

 感動はもう一つあった。電通PRによるセレモニー・内覧会に関するオフィシャル素材提供が画像も映像も完ぺきだったことだ。

 記者はこの種の取材ではいつも登壇者が話すのを必至にメモし、記事にしている(時にはテープに残すこともあるが)。同社はその手間を省いてくれた。前段の各氏の挨拶は全てコピー&ペーストしたものだ。

 しかし、情報提供が完ぺきであるからこそ取材する記者の眼力が試される。コピー&ペーストすれば〝講釈師見て来たようなウソをつく〟ことも可能だが、提供されていない情報をどのように探り出し、記事にするかが問われる。今回の取材でそれができたかどうかは自信がない。

9TORLeWw.jpg
客室

◇       ◆     ◇

 取材で楽しみにしていたのは栃木弁を聞き、名物郷土料理「しもつかれ」やイナゴの佃煮・ふりかけなどを食べることだった。

 栃木弁は、語尾に〝だべ〟〝だっぺ〟などと濁音・半濁音を付けるのが特徴で、聞きようによってはひどく乱暴で汚く、人を小ばかにするような響きもあるが、伊勢の〝な言葉〟のように丸く収めこむような働きもする。

 カール・ハドソン氏が「皆さま、こんにちは。本日は『フェアフィールド・バイ・マリオット・栃木宇都宮』にお越しいただき誠にありがとうございます」「お客様が家族的で温かさとともに楽しんで頂くことを心から願っています」などと日本人以上に美しい日本語でもって心のこもった挨拶(小生は英語をまったく解せず、この部分だけがよく聞き取れた)をされたので、宇都宮市出身の佐藤市長も「いいホテルだっぺ」などと返すのを期待していたのだが、全然話されなかったのは残念だった。

 しかし、隣接する「ろまんちっく村」を訪れていた地元の方々からは栃木弁を堪能させてもらったし、「しもつかれ」やイナゴの佃煮についても話を聞くことができた。記事にはしないが、昔の栃木の人たちは厳しい環境を生き抜く術を身に着けていたことが分かる。慣れないと「しもつかれ」やイナゴの佃煮はちょっと食べられない。

IMG_8140.jpg
「ろまんちっく村」(★人通りが少ないように見えるが、人が映り込まないようにした結果。かなりの人出があった)

◇       ◆     ◇

 「ろまんちっく村」にある温泉・プールを備えた宿泊棟「ヴィラ・デ・アグリ」も見学させてもらった。内観は、施設案内などの張り紙がべたべたと張られていたのは割引材料だが、大谷石をふんだんに用いており、こちらも素晴らしい施設だ。東日本一の施設にランクされたこともあると聞いた。

 客室は10室。新型コロナ前の稼働率は95%に達していたという。6名利用の客室料金は大人1人4,990円。客室に風呂はなく、露店風呂付の大浴場がある。もちろん男性用のみ覗いたが、小生より体重が3倍はありそうなトドそっくりで、湯上りのピンクどころか赤茶けた豚の丸焼きそのものの素っ裸の人を見て息が詰まりそうになった。

 よせばよかった。貧相な裸体をさらけ出すことになるこの種の風呂を記者は好きではない。どこだったか、助平根性も手伝って男女混浴の風呂に入っていたら、前を隠すこともなく寸胴の大年増が群れをなして闖入してきたときは、襲われるのではないかと恐怖を感じ、すごすごと逃げだしたのだが、〝ゲラゲラ〟と嘲笑する声が背後から襲ってきたときは鳥肌が立った。

 皆さんはそんな経験はないか。露天風呂は年齢制限を設けるべきだ。

IMG_8162.jpg
「ヴィラ・デ・アグリ」客室(★)

IMG_8163.jpg
「ヴィラ・デ・アグリ」全景(★)

「道の駅」ハブに地方創生 ホテル事業 第一弾15カ所1000室 積水ハウス・マリオット(2018/11/28)

キービジュアル1.jpg

 三菱地所は2020年10月8日(木)~11月1日(日)、「有楽町エリア再構築」に向けた先導プロジェクトである有楽町「Micro STARs Dev.」の一環としてアーティスト・藤元明氏のディレクションのもと取り組むアートプロジェクト「ソノ アイダ#有楽町」の第3弾企画「ARTIST STUDIO ACTIVITIES」を実施する。

 「アートは現場が一番面白い」をテーマに期間中、藤元氏のほか藤崎了一氏、相澤安嗣志氏の3名のアーティストが同区画に滞在し、その場で制作・展示・販売を行う。会期中に100点を目指すという。

 会場は、丸の内仲通りに面する国際ビルヂング1F(千代田区丸の内3丁目1-1)で、午後13:00~19:00(土日11:00~、月曜定休)。

 藤元氏は開催にあたり「アート作品とはアーティスト活動の最終的な成果物です。アーティストはその制作現場を見せる機会はほとんどありません。しかし、アーティストにはそれぞれ独自の制作プロセスがあり、オリジナルの道具や技法を開発し、完成度に悦になる一方、瞬発的発想や偶然の瞬間などにも醍醐味を見出します。本展覧会では会期中の3週間、藤元明・藤崎了一・相澤安嗣志3人のアーティストが、『ソノ アイダ#有楽町』の会場に制作環境を移設し、滞在し、作品制作と展示(販売)を同時進行します。制作するために変化し続ける空間、作品を生み出し続ける苦悩や工夫、予想できない状況そのものを展示し、我々の一番面白い部分をオスソワケしたいと思います」とコメントを寄せている。

藤元明.jpg
藤元氏

藤元制作風景.jpg
藤元氏の制作風景

藤崎作品1.jpg
藤崎氏作品

相澤作品2.jpg
相澤氏作品 


 

image002.png
イメージ図

 細田工務店は10月4日、東急ハンズと規格住宅BinOを運営するBinOmaster's clubとのタイアップによるモデルハウスを横浜市都筑区の「ハスウクエア横浜」に10月10日オープンすると発表した。

 スキップフロア構造を採用。壁で空間を仕切らずに、床の段差で立体的に空間を分けることで広がりと繋がりのある住空間を演出。顧客はライフスタイルに合わせ①Basicリビング階を選ぶ②infill間取りを選ぶ③optionこだわりや楽しみをプラス-を選べるほか、平屋タイプの「FREEQシリーズ」も可能。

 モデルハウスでコーディネートされる家具や生活関連商品などは東急ハンズで入手できる商材を活用する。


 

d_img_3.jpg
「ウィザースレジデンス市原五井」

 新昭和が分譲中の「ウィザースレジデンス市原五井」を見学した。内房線五井駅から徒歩5分のクリニック・介護・保育施設との複合の免震構造全119戸で、同駅圏では2年ぶり、100戸超では22年ぶりの供給。複合開発は市内初。昨年9月に第1期を分譲開始して以来残りは6戸。竣工予定の来年4月までに完売する可能性は高い。

 物件は、JR内房線・小湊鐡道線五井駅から徒歩5分、市原市五井中央西2丁目の商業地域に位置する敷地面積約2,906㎡、15階建て119戸。専有面積は64.45~78.25㎡、先着順の価格は2,598万~3,798万円。坪単価は161万円。竣工予定は2021年4月下旬。施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。

 現地の従前はイトーヨーカ堂の店舗で、その前は市原市役所。マンションのほかドラッグストア・駐車場、クリニック・カフェとクリニック・介護施設・病児保育・保育施設が併設され、交流広場も整備される。

 建物は南東向きで、住戸プランは約64㎡の2LDKが2スパン30戸、他は70・73・75・78㎡がそれぞれ1スパン15戸。

◇       ◆     ◇

 五井駅圏のマンションを見学するのは初めてだが、戸建ては、約380haという組合施行としては全国屈指の土地区画整理事業「国分寺台」を昭和50年代後半から平成にかけて何度も取材している。デベロッパーは日本新都市開発で、年間400~500戸もの建売住宅が分譲され、コンスタントに売れていた。その国分寺台の居住者からの購入もあるという。

 同社は姉ヶ崎駅近くでも全110戸のマンションを分譲している。戸建てとの価格的競争力があればコンスタントに売れるということのようだ。

design_road_cg.jpg
緑道

IMG_8073.jpg
現地


 

IMG_8070.jpg
「大網白里市子育て交流センター」

 今年のキッズデザイン協議会「第14回キッズデザイン賞(子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門)」を受賞した積水ハウスの「大網白里市子育て交流センター」を見学した。

 「大網白里市子育て交流センター」は、大網駅からバスで約10分、平成2年から12年にわたって行われた組合施行の約90haの土地区画整理事業「みどりが丘」住宅地の一角に位置する敷地面積約1.277㎡、木造平屋建て延べ床面積約1,242㎡。

 「学童エリア」「児童館エリア」「子育て支援エリア」の3つの機能を持たせているのが特徴で、隣接する平成24年に駅近くから移転・開校した大網小学校の学童保育室の不足を解消するとともに、広域「サードプレイス」として子育てをワンストップで支援する環境を整えている。学童は今年4月、児童館と子育て支援は7月にそれぞれオープン。学童の登録者は約150人に達し、児童館、子育て支援施設も隣町の東金市民を含め多くの利用者があるという。

 市は当初、土地区画整理地内に所有する約4.6haの土地にPPP手法による子育て、福祉、医療、商業の複合施設を考えたが不調に終わったため、2018年、学童・児童館・子育て支援施設の建設を条件に提案を公募した。

 同市企画政策課政策推進アドバイザー・伊藤栄朗氏は、「応募があった4プランのうち2つは四角い鉄骨造で、もう一つは在来工法だったが、木造ですべての施設を南向きにして光と風を取り込んだ積水さんのプランが高く評価され採用が決まった。設計・施工を一括発注したことでコストも抑えられた。この種の施設は全国的にも珍しいのではないか」と語った。

 同社はこのほか、今年のキッズデザイン賞で「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門」で1点、「子どもたちを産み育てやすいデザイン部門」で4点、合計6点が受賞。同賞の受賞は累計93点となっている。

IMG_8055.jpg
児童館エリア エントランスホール

IMG_8059.jpg
子育て支援センターエリア

IMG_8064.jpg
学童エリア

IMG_8065.jpg
指はさみ防止ドア

IMG_8061.jpg
中庭

◇      ◆     ◇

 これまで大網駅は、大規模住宅地「季美の森」の取材などで5回くらい訪れている。まだ大網白里町の時代で、2015年に市制が施行されたのは知らなかった。

 駅に降りた途端、清澄な空気に触れ、わが心にも悪影響を及ぼしている汚濁まみれの都心の空気とつながっているのが不思議に思えた。周りの風景は以前とあまり変わらずゆったりと時間が流れているのを肌で感じた。早速、これまでもよく利用した駅前にある創業48年というタバコが吸える喫茶店に入った。

 施設見学は、小学校に隣接し、学童・児童館・子育て支援の3つの機能を持たせたワンストップの施設は珍しく、ひょっとしたらキッズデザイン賞の上位賞を狙えるのではないかと考えお願いした。残念ながら上位33賞には選ばれなかったが、収穫も多かった。

 施設は、東西に総延長83m。地盤を周囲より1m下げている効果か、低層の建物は周りとよくなじんでいた。内観はスギの構造材をところどころ現しにし、床はレッドオークの無垢材、天井高は最大4m、Low-Eガラス、中庭にはモミジ、引き戸、開き戸には全て指はさみ防止対策…今年のキッズデザイン賞で総理大臣賞を受賞した「まごころ学園」も素晴らしいと思ったが、紙一重の差しかないのではないか。

 空気はおいしく、施設は素晴らしかったが、市の課題も多いようだ。伊藤氏によると、「みどりが丘」にはスーパーが一つもなく、全2,000区画のうち地権者が所有する2割くらいが更地として残っており、当初予定人口の8,900人は、5,000人に届くがどうかとも話した。今回の施設を除く残り3.6haの市有地に商業施設などの誘致は可能なのかどうか。人口も市制施行時に5万人を突破したが、最近は減少に転じたという。

 しかし、希望も持てる。市内の全体で2,000戸近い「季美の森」のフェアウェイフロント住宅は1億円を突破し、4,000~5,000万円台の普通の住宅もよく売れた。このほか、外房線沿線の鎌取-誉田-土気-大網には良好な住宅地がたくさんあることだ。官民を挙げて地域の活性化、空き家対策に取り組めば優位性をアピールできるのではないか。

 最後に、コロナ禍にもかかわらず見学をセットしていただいた同社広報、技術的な説明をしていただき帰りには駅まで送っていただいた同社千葉支店設計課係長・土屋貴輝氏、同支店課長・大越太郎氏、そして何よりも施設建設の経緯、市の課題などを分かりやすく説明していただいた伊藤氏、指定管理者のオーエンス施設長・上代真澄氏にお礼申し上げる。

 市の新型コロナ感染者は6人だそうだが、都県またぎした小生は徹底して三密を避けている。コロナを運ばなかったのはまず間違いないし、このあと市原市と千葉市の2か所でマンションの取材をしたが、おにぎり1個と缶ビールの昼食は野外で済ませた。

IMG_8067.jpg
エントランスホール

IMG_8069.jpg
エントランス

総理大臣賞に福祉型障がい児入所施設「まごころ学園」 第14回キッズデザイン賞(2020/9/30)

積水ハウス 第14回キッズデザイン賞2部門で6点受賞(2020/8/24)

積水ハウス 保育園「深川冬木」 キッズデザイン賞 少子化対策担当大臣賞(2018/9/26)

三菱地所レジデンス1.png image002.png
「アベニュー」(左)と「ガーデン」

 三菱地所レジデンスと西松建設は10月2日、JR・東京メトロ四ツ谷駅から徒歩3分の駅前再開発「コモレ四谷」内の2棟のマンション「ザ・レジデンス四谷」24戸(「アベニュー」15戸、「ガーデン」9戸)が9月28日抽選分譲した結果、最高35倍、平均8.9倍で即日完売したと発表した。

 専有面積は34.19~136.93㎡、価格は6,500万~2億8,800万円(最多価格帯12,200万円台、16,700万円台。坪単価は「アベニュー」が674万円、「ガーデン」が657万円。建物は2020年1月に完成済み。施工は大成建設。

 資料請求は5,092件(2020年3月17日~9月27日)、来場者は712件(6月13日~9月27日)、登録期間は対面が9月19日~9月27日、オンラインが9月19日~9月22日、登録件数は215件。

 登録者の属性は、居住地は新宿区19%、千代田区10%、港区6%、年齢層は30歳代~70歳代で、60歳代が最多、職業は会社役員、経営者で40%、次いで医師16.1%、会社員14%、購入目的は自己居住が50%、投資用16%、セカンドハウス12%、親族居住11%。

◇       ◆     ◇

 このマンションについては何度も記事にした。そちらも参照していただきたい。2月21・24日付記事では「読者の皆さんからは『高い!たわけたことを抜かすな』と罵声を浴びせられそうだが…桜並木が美しい外濠公園が目の前のマンションなら坪750万円というのはむしろ安い-これが記者の結論だ」と書いた。

 結果的には大外れ。読者の皆さんには申し訳ないというほかない。同社は「『ガーデン』の坪単価が低く見えますが、当物件は地権者さんも多く、今回販売対象となっている部屋は北向き中心であること、また南向きについてもオフィスがあるため眺望が良くないことなどがあり、このような単価になっています」(広報)としている-これが慰めか。

 これほど大幅に狂ったのは2014年の東京建物「Brillia Towers目黒」以来だ。そのときは「記者がはじき出した坪単価は最低でも500万円だ。550万円と聞いても驚かない。さすがに600万円はないと判断した」と書いたが、実際は坪単価600万円だった。

三菱地所レジ「ザ・レジデンス四谷」24戸 最高35倍 平均9.0倍で即日完売(2020/9/29)

三菱地所レジ「ザ・レジデンス四谷」28日分譲 「ガーデン」坪750万円予想外れる(2020/9/21)

外濠公園-番町が望める駅前の「コモレ四谷」マンション「ガーデン」はいくらか(2020/2/21)

IMG_8038.jpg
「BONUS TRACK」

 小田急電鉄は10月1日、開発を進めてきた「下北線路街」の施設の一つ「BONUS TRACK」を開業した。同日、プロジェクトを担当する同社生活創造事業本部 開発推進部課長・橋本崇氏と施設を運営する散歩社代表取締役CEO・小野裕之氏、同社取締役CCO・内沼晋太郎氏によるトークセッションが行われた。

 橋本氏は、3年前に同プロジェクトを担当したとき、地域住民から聞き取り調査を行った結果、〝昔は個性的な店が多かった〟との声を聞き、復活できないかと考え、それを実現するには賃料を抑える必要性を感じ、小野氏に相談を持ち掛けたなどと開発の経緯について語った。

 小野氏は、「下北沢には自分たちの価値をしっかり認識している多様な主体者(店舗など)が存在し、民間の力と融合させれば地域とも共存できると考え、事業に参画した」と話した。

 内沼氏は、音楽、アート、映画など地域の人々に日常使いしてもらえるようなイベントをどんどん仕掛けていくと語った。

IMG_8029.jpg
左から橋本氏、内沼氏、小野氏

◇       ◆     ◇

 この施設については開業前の3月末にも取材しているので、そちらの記事も参照していただきたい。

 トークセッション会場で配布された資料の一つに「BE YOU.シモキタらしく。ジブンらしく。」のパンフレットがあった。

 新聞紙の見開き2ページ分に相当するA1判を4つ割り、つまり8ページ建ての大きなもので、世田谷代田駅から下北沢-東北沢に至る全長約1.7㎞の゛下北線路街」に、今回の「BONUS TRACK」を含めホテル、旅館、学生寮、コミュニティハブ、カフェ、商業施設など計画を含め13のプロジェクトが図示されている。

 そして、冒頭のキャッチコピーには「いろんな人が、自分らしく生きている街、シモキタ。ここまで多様性にあふれている場所は、日本中を見渡しても、そうそう存在しません。」とあった。

 このフレーズに京王線沿線に約50年住んでいる京王ファンの小生は敏感に反応した。「ここまで多様性にあふれている場所は、日本中を見渡しても、そうそう存在しません」というのは根拠があるのかと。

 橋本氏はさすがに「このコピーは街づくりの思いを表現したもので…」と言葉を濁したが、小野氏は「北は北海道から南は九州まで全国の街を巡ったが、一定程度人口が集積し、個性的な店舗が揃い、車が歩行者に気を付けるウォーカブルな街は他にない」と言い切った。

 この答えに記者も頭をフル回転した。京王線沿線にそんな街はないかと。残念ながらない。尻尾を巻くほかなかった。

 同じような空間はないわけではない。似たようなエリアはある。京王新線初台-幡ヶ谷-笹塚の線路沿いには緑道、公園が走っている。総延長は下北線路街の約1.7㎞と同じくらいではないか。もう一つは、京王線と京王相模原線の分岐駅である調布駅の地下化にともなう地上空間だ。

 前者の公園、緑道はそれなりの人通りはあるが、管理するのは渋谷区で周囲の商業施設、住宅などとは隔絶されており、お互いが背を向けた状態で存在する。最近、日本財団による公園トイレも幡ヶ谷駅近くに建設されたが、果たしてどれくらいの人が利用するか。記者はほとんどないとみている。

 後者の調布駅前の整備だが、これは調布市の事業として行われており、完成は2025年度なので現段階ではよく分からないが、市民が自由に行き交う空間は期待できないのではないかと記者は思っている。

 なぜ、これほどまでに異なるのか。詳しく紹介する余裕はないが、一言でいえば街づくりの思想・理念の有無だ。小田急は地域と共存する街づくりを進めようとしている。一方の京王はそれがない(失礼)。初台-幡ヶ谷-笹塚の緑地空間に市民が関わる余地は皆無だ。調布駅前の空間づくりも市民の声(あるのかないのかよく分からないが)が反映されるのは期待薄のような気がする(記者は40年前の緑が豊富な調布駅周辺はよく知っている)。

IMG_8031.jpg
「恋する豚研究所コロッケカフェ」

IMG_8035.jpg
「お粥とお酒 ANDON」

IMG_8041.jpg
正面の「ADDA」のカレーは人気とか

◇       ◆     ◇

 「お帰り、何か食べてきた? 」「うん」「2,000円渡したんだけど収まった? 」「…(倍以上)」「お酒飲んできたでしょ。すぐ分かるんだから」「…うん」-小田急電鉄の取材を終え、うちに帰ったのは午後2時半を過ぎていた。

 利用した「恋する豚研究所コロッケカフェ」「お粥とお酒 ANDON」「日記屋月日」はみんないい店だ。おいしかった。2,000円は本を買ったことにしよう。駅前の温泉旅館・由縁別邸はGo Toトラベルを利用して飲みに行こう。

 京王線にも「BONUS TRACK」のような街はできないか。がんばれ京王!小田急に負けるな!

IMG_8045.jpg
「温泉旅館・由縁別邸」

小田急電鉄〝下北沢の新たな名所〟SOHO&店舗「BONUS TRACK」4月1日開業(2020/3/30)

日本財団 渋谷区公園トイレ整備に17億円 「西原一丁目」完成/真逆の児童遊園(2020/8/31)

坂茂氏も坂倉竹之助氏も素晴らしい 日本財団の民設民営 渋谷区公園トイレ(2020/8/9)

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン