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「アトラス四谷本塩町(旧四谷コーポラス)」

 旭化成ホームズは7月1日、「小規模マンションの建替え」をテーマにした第8回「高経年マンション再生問題 メディア懇談会」を行ない、同時に8月に竣工する「アトラス四谷本塩町(旧四谷コーポラス)」の竣工見学会を開催した。

 冒頭、旭化成不動産レジデンス代表取締役社長・兒玉芳樹氏は、「今回の懇談会への参加者は過去最多の約40名にのぼり、関心の高さを実感している。地権者と共同の夢を実現する当社の建て替え事業はオンリーワン・ナンバーワンの事業として築きつつある」と挨拶した。

 また、同社常務取締役マンション建替え研究所所長・阿佐部肇氏は、「私自身、研究所を立ち上げたときから関わってきた」と話し、マンション建て替えの現状、同社の事業トピックスについて説明した。

 同研究所副所長・大木祐悟氏は、都心マンションの建て替えの合意形成を阻害する要因として①区分所有者の無関心②区分所有者間の路線対立③経済的問題④リーダーの欠如⑤管理組合のガバナンスの5つを指摘。最近は、建て替えを比較的容易にする容積率に余剰があるマンションは少なくなっていると報告した。小規模マンションの建て替えでは合意形成を進めるうえで区分所有者の一票が重くなり、建て替えを検討する際の費用負担が過重になり、さらに小規模敷地は日影規制など建築上の制約が多いことなどを説明した。

 「四谷コーポラス」では、建て替え決議は区分所有者25名のうち2名が反対したが、決議後の催告に応じ建て替えに参画し、結果として全員合意で実現し、建て替えを成功に導いた理由として、区分所有者のコミュニティ意識が高かったこと、プランを33パターン用意するなど区分所有者の要望を計画に盛り込んだことなどを上げた。その結果、再取得者は9割に達したと報告した。

 同社開発営業本部 首都圏営業部 企画推進課・佐藤安澄氏は、都心マンション敷地の制約を克服した事例として「四谷コーポラス」「市ヶ谷ハイツ」「河田町住宅」「宇田川住宅」を上げ、「四谷コーポラス」は、敷地が南北に細長く高低差がある制約がある中で、地下にエントランス・共用部分、容積不算入の地下住戸(4戸、約176㎡)を設け、構造計算上は地上7階建てでなく地上6階・地下1階建てとするなど難点を逆手に取った計画となっていることを強調した。

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左から兒玉氏、阿佐部氏、大木氏、佐藤氏

◇      ◆     ◇

 この物件については、建て替え前の見学会が行なわれており、記事にもしているのでそちらを参照していただきたい。

 竣工したマンションのエントランスホール・ラウンジなど共用部分は非常によくできていた。壁面にはレンガタイルを張り巡らし、従前のブルーのドア、外壁に用いられていたロートアイアンや居室内のコンセントなどを飾りとして再利用していた。

 住戸内は3タイプ見学したが、いずれもリビング天井高は2400ミリしかなかった。これは「日影規制がもっとも影響した」(佐藤氏)ためのようだ。

 地階と1階のメゾネット(99㎡)は置き型バス、防犯ガラスが採用され、地階と1階にそれぞれエントランスが設けられていた。

 全体の設備仕様は坪単価からして「こんなもんか」という印象を受けた。賃貸は14戸だという。

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ラウンジに飾られていた従前のドアなど

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共用廊下

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エントランスホール

◇      ◆     ◇

 一つだけ気になったことを指摘したい。「共用部分は非常によくできている」と書いたのだが、エントランスホール中央にでんと据えられていたドライフラワーとフェイクを組み合わせた〝奇怪〟なフラワーオブジェだけは気に入らなかった。

 記者はこれまで何度も「フェイクをやめよ」と書いてきた。1戸数千万円もするマンションの居住者が毎日通るエントランスホールの真ん中にいかにもフェイクの造花を飾る神経が理解できない。画竜点睛を欠くとはこのことだ。参考までにいくつか記事を添付する。

 まあ、しかし、総務省の家計調査年報による一世帯の年間切り花支出金額は、トマトの8.1千円、アイスクリーム・シャーベットの9.7千円と大差ない約8.2千円であることを考えると、もうみんな花や緑に関心を示さないのかもしれない。その一方で自動車関連に28万円、通信費に16万円(別にネット接続費2.8万円)、菓子類に8.4万円かけている。酒類は4.0万円、たばこは1.0万円、こづかいは10.6万円。

 わが家はどうかというと、自動車関連はゼロで、酒類は12万円、たばこは12.4万円、こづかいは? 。自慢できるのはトマトで9.6万円。普通の家庭の10倍以上だ。狂っているのは記者か世の中か…多分両方。

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手前の緑と白は全てフェイク

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東急不「ブランズ ザ・ハウス一番町」のロビー(生花は池坊が生けた)

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自宅やオフィスの机に飾っているポトス・ドクダミ(全てただ)

民間マンション第一号建て替え 旭化成不レジ「アトラス四谷本塩町」完売(2018/11/13)

旭化成不レジ 民間初の分譲「四谷コーポラス」建て替え説明会・見学会に80名(2017/9/5)

旭化成ホームズ 「宇田川町住宅」建て替え竣工見学会(2013/10/30)

パーカーズとコラボの第三弾 コスモスイニシア「中央湊」の緑の質と量に感動(2019/6/3)

三菱地所ホーム 家の中に自然の中低木 最新モデルハウス「ONE ORDER」横浜に開設(2017/10/20)

これぞ正統派の億ション 話題の東急不動産「ブランズ ザ・ハウス一番町」竣工(2017/1/23)

呉越同舟効果 「5本の樹計画」の本領発揮 積水「品川シーサイド」1期207戸!(2017/3/24)

いい加減にしてほしい モデルルームのケミカル製品・造花の氾濫(2017/5/23)

カテゴリ: 2019年度

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「プレディア府中西府」完成予想図

 JR西日本プロパティーズのマンション新ブランド〝PREDEAR(プレディア)〟の「プレディア府中西府」を見学した。最高のブランド名で、商品企画もなかなかいい。

 物件は、JR南武線西府駅から徒歩2分、府中市本宿町1丁目に位置する8階建て全20戸。専有面積は57.84~72.76㎡、現在先着順で分譲中の住戸(3戸)の価格は4,238万円~4,948万円。坪単価は237万円。竣工は2019年4月、入居は2019年9月下旬。設計・施工・監理は風越建設。販売代理はCity Innovation(シティイノベーション)。

 現地は、西府駅前通りの二方道路の角地。建物は内廊下方式で、基本階は1フロア3戸(7~8階は2戸)構成。住戸プランは59・70・72㎡が中心。主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、御影石カウンター、食洗機、ソフトクローズ収納、リビング天井高2450ミリ、横入り玄関(一部)など。

 建物完成後の4月27日から完成販売を行っている。

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 西府駅圏のマンション取材は今回で3回目だった。いつものように駅に降りて単価予想をした。3年前見学したタカラレーベンの近接マンションは坪230万円だった。それよりも間違いなく高く、250万円くらいだろうが、同社はそんなに高くしないで240万円くらいにするのではないかと考えた。

 最初、販売担当者から220万円くらいと聞いて、そんなはずはないと思ったら、やはり平均は237万円だった。どんぴしゃりではなかったが、ほぼ的中した。二方道路の角地の立地であることを考慮すれば間違いなく早期完売すると読んだ。

 プランもなかなかいい。59㎡(6戸)の北西角住戸はL字型キッチンが約4.1畳大で多目的に利用できるスペースを確保している。70㎡(6戸)の南東角住戸9300ミリのワイドスパン、72㎡の南西角住戸(6戸)は多面採光。

◇       ◆     ◇

 同社の不動産企画部企画グループ長・前川元氏(不動産鑑定士)らに新ブランド〝PREDEAR(プレディア)〟について説明を受け、これはいいとすぐ思った。大手デベロッパーのブランドに負けないからだ。

 さて、皆さん、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、野村不動産、東急不動産、東京建物、大和ハウス工業のマンションブランド名はご存じだろう。改めて書くまでもないが、それぞれパークホームズ、(ザ・)パークハウス、プラウド、ブランズ、ブリリア、プレミストだ。

 もうお分かりだろう。みんな「ハ行」から始まる。ここに割って入る意図があるのかどうか知らないが、前川氏によると新ブランドは、特別な意味を表わす「PREMIUM(プレミアム)」と、大切な人への想いやつながりを表わす「DEAR(ディア)」を掛け合わせた造語で、「三菱重工のものづくりへのこだわりを引き継ぎ、JR西日本グループが大切にしてきたまちづくりを通じて『機能的な快適性』と『手が届く上質』の両方の価値を兼ね備えたレジデンスの供給を目指す」そうだ。

 今回の商品企画では、横入り玄関、ソフトクローズ収納、広めのキッチンスペース、二段の浴室タオル掛けなどにその哲学・思想が盛り込まれていると見た。

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 一つだけ気になった点がある。モデルルームのインテリアだ。これはみんないわばお飾りだから、記者がとやかく言う問題でもないが、たくさん置かれていた観葉植物は全てフェイクで、造作家具類も安物ではなかったが決して高価なものではなかった。これが「手が届く上質」なのかもしれないが、せっかくのプランがみんな安物に見えた。白粉を塗りたくったモデルルームも考えものだが、もう少し上質な空間を演出してもお客さんに失礼にはあたらないのではないか。

 次は「プレディア横浜三ツ沢」をお届けする。

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モデルルーム

タカラレーベン「レーベン府中西府」 駅前でスーパー、保育園、小学校が近接(2016/8/31)

左手にタコ 一筆書きのようにマンション検査を徹底 新三平建設・高谷氏(2013/11/19)

カテゴリ: 2019年度

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「ブランズタワー豊洲」完成予想図

東急不動産は6月14日、NIPPO、大成有楽不動産、JR西日本プロパティーズとともに開発を進めている湾岸免震タワーマンション「ブランズタワー豊洲」の報道陣向け見学会を行い、モデルルームを7月下旬にオープンすると発表した。

物件は、東京メトロ有楽町線豊洲駅から徒歩4分、江東区豊洲5丁目に位置する開発面積約24,000㎡の48階建て全1,152戸。専有面積は43.41219.44㎡、価格は未定だが、75㎡で9,000万円前後、坪単価は400万円になる模様。施工は熊谷組。販売開始は10月上旬。現在、資料請求・問い合わせは約7,000件。

現地は「東電堀」や「豊洲ぐるり公園」に隣接。敷地内にスーパー、保育所を設置する。敷地の一部は豊洲西小学校増築棟用地として江東区に譲渡する。街のにぎわいを創出するエリアマネジメント手法を採用するのも特徴。

モデルルームは、もっともタイプが多い75㎡と60㎡のコンパクトと100㎡の3タイプ。リビング天井高2650ミリ、廊下幅1.1m(75㎡)、キッチン・洗面・トイレカウンターは御影石、バックカウンター・吊戸棚標準装備など。

見学会で同社住宅事業ユニット 首都圏住宅事業本部 執行役員本部長・佐藤 知之氏は「資料請求・問い合わせは想定を超える約7,000件に上っており、期待されていることを感じる。『HARUMI FLAG』と同時期に分譲できることに喜びを感じている」と話した。

HARUMI FLAG」との競合について関係者は「晴海はこれからの街であるのに対し、豊洲は成熟した街。競合することはあまりない」と否定した。

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記者はシアター画面に最初に流れたコピー「愛が長続きするタワー。」に反応した。いったい結論をどうするのだろうかと。締めのコピーは「愛は(マンションの)日常の中に存在する」だった。

これに感動したのだが、と同時に心配にもなった。愛ははかなく壊れやすく脆い。愛と憎しみは紙一重、憎しみにだって転化、点火する。多くの人は「永遠の愛」を一度は誓う。しかし、わが国の離婚率は35%に上るというではないか。

それほど愛は難しい問題だ。永遠のテーマと言われるゆえんだ。それでもか、だからか、みんなこの問題に触れるのを避けたがる。このシアターを見た同業の記者の皆さんのうちどれだけの人が心に残っただろうか。皆無と言っては失礼だろうが、聞き流した人が圧倒的に多いはずだ。来場者も同じだろう。心に残らなければ、愛をテーマにした企画担当者、コピーライターの「愛」はどこに行くのか。愛して返しの愛がないことほど空しいことはない。まだ「嫌い」と言われるほうが救われる。

何を言いたいのか。「返しの愛」を受ける工夫を行えということだ。これまで「愛」をテーマにしたマンションはあっただろうか。どこかのモデルルームで「幸せを感じるとき」をテーマに来場者にメモのような形で書いてもらい、ボードに張り出しているのを見たことがある。記者が販売担当なら、モデルルーム来場者(成約者)を対象に大真面目で「愛」をテーマにした作文コンクールをする。審査員には著名な作家を呼び、賞金総額はこのマンションの戸数にちなんで11,520万円にする。これを実施したら受賞者はもちろん購入者は絶対記憶に残る。これからのマンション販売はどうやって消費者を参加させるかだと思う(掲示板も工夫次第で使える)。

さて、ではこのマンションに住んだら「愛」は成就するのか、本当に長続きするのか。それを見える形で示す必要がある。ここでは一つひとつ上げないが、数えたら100くらいはあるのではないか。記者がもっとも「愛」を感じたのはリビング天井高2650ミリだし、廊下幅が約1.1m(75㎡)、バックカウンター・吊戸棚が標準装備、キッチン・洗面・トイレ天板は御影石などもいい。「水辺」をアピールするのも効果的かもしれない。

エリアマネジメントは結構なことだが、これは消費者に分かりづらい。伝えきれないのではないか。そうではなくて、例えば「愛の実践(実現)プロジェクト」とでも言いかえたら、ほとんどの人は興味を示すのではないか。

来場者に徹底して「愛」を伝えること、そして作文のような形で「返しの愛」を呼び起こすような具体的な取り組みを行えるかどうかが、このプロジェクトの成否のカギを握っているような気がしてならない。

坪単価400万円への挑戦も納得だ。100㎡以上が92戸もあるのは大変だろうが、いま23区の〝駅近〟の100㎡マンションはほとんど1億円を超える。ここに住めばお金では買えない「愛」を手に入れることができることを訴えてほしい。記者のモットーは「人生は愛」「記事はラブレター」だ。

HARUMI FLAG」との競合についてはあまり書かない。〝湾岸ならどこでもいい〟人は有明なども含めて悩ましい選択になるだろうが、分譲単価は100万円以上異なるはずで、商品力が売れ行きを左右するのではないか。

東急不ほか 全1,152戸の「豊洲」事業説明会に40名超の報道陣 〝愛〟に反応(2019/2/18)

 

カテゴリ: 2019年度

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「クリオ藤沢セントラルマークス」完成予想図

 明和地所が分譲中の「クリオ藤沢セントラルマークス」を見学した。現在、藤沢駅圏はファミリーマンションが大量に供給されており大激戦だが、同社は駅から徒歩3分の利便性と、コンパクトながら内廊下方式のワイドスパンのプランの優位性を前面に打ち出しており、販売も順調に進んでいる。

 物件は、JR藤沢駅・小田急藤沢駅南口から徒歩3分、藤沢市鵠沼橘1丁目に位置する13階建て全60戸。近く分譲する第1期2次(5戸)の専有面積は32.75~63.52㎡、価格は3,100万円台~5,400万円台。平均坪単価は300万円前後。竣工予定は2020年12月中旬。設計はSD建築企画研究所。施工は小柳建設。

 5月下旬から販売を開始しており、第1期の20戸くらいに販売のめどがついており、順調なスタートを切った。

 現地は、駅南口から徒歩3分の商業地域立地だが、嫌悪施設はほとんどない。建物は北西道路に面しており、内廊下方式の1フロア5戸構成。角住戸比率は80%。

 住戸プランはワイドスパンが特徴。南西向きの52㎡角住戸は8.3×6.85m、南東向きの63㎡角住戸は8.3×7.95m、北西向きの32㎡中住戸もスパンは4.4m。主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、ディスポーザー、食洗機など。

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 同社は5月20日、2022年3月期を最終年度とする中期経営計画を発表。マンション分譲事業は年間1,000戸前後の安定的な事業展開を図り、流通事業の取扱いを積極的に拡大し、最終年度に売上高612億円(2019年3月期499億円)、営業利益45億円(同30億円)を目指すと打ち出した。

 記者は、同社の創業時からずっとマンションの取材を行ってきた。マンション事業は首都圏も地方圏も競争が激化しており、年間1,000戸供給体制は容易なことではない。他社を凌ぐためには用地取得力を高めることだろうが、やはり今回のような他社との差別化をどう進めるかがカギを握ると思う。

 もう同社の営業マンですら知っている人はいないかもしれないが、ディスポーザーを最初に採用したのも、100㎡マンションを積極的に供給したのも同社だ。少なくとも「国立」問題までは商品企画力が突出していた。

 商品企画・デザイン力でいま大手に負けない中堅デベロッパーはモリモト、コスモスイニシア、大和地所レジデンスの3社だと思うが、同社もこの一角を占めてほしい。商品企画を武器に当時の輝きを取り戻してほしい。

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カテゴリ: 2019年度

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「イニシア中央湊」モデルルームからの眺望(合成)

 コスモスイニシアが分譲中のマンション「イニシア中央湊」モデルルームを見学した。「青山フラワーマーケット」を運営するパーク・コーポレーションの空間デザインブランド「parkERs(パーカーズ)」とコラボレーションした第3弾で、古材を用いたテーブルやハンモックなどの什器・設えとよくなじんだ緑の量と質に感動した。モデルルームのおもてなしはかくありきの見本だ。

 物件は、東京メトロ日比谷線八丁堀駅から徒歩5分、中央区湊1丁目に位置する10階建て全36戸。第2期1次(戸数未定)の専有面積は71.78~77.10㎡。全体平均坪単価は425万円(隅田川向きは470万円、反対側は380万円)。竣工は2019年12月下旬。施工は大豊建設。4月末から分譲開始し、これまで16戸が販売済み、

 建物は内廊下方式で、1フロア4戸構成。道路を挟んで隅田川に面した東向き2タイプ(南側にも採光・開口部)と、西向きの2タイプ。

 主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、突板フローリング、ディスポーザー、食洗機、ミストサウナ、Low-Eガラス、シーザーストーン天板など。

 パーカーズが商品化した家具や小物が選択でき、当初2年間は毎月1輪の花が届けられるほか、共用部分内の植栽メンテナンスが受けられるのが特徴。

 同社分譲事業部分譲二部プロジェクトマネージャー・岡端知子氏は「お客さまの評価も高く、もちろん販売促進につながっています」と話した。

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音が出る水盤

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完成予想図

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 パーカーズとコラボした同社の戸建て・リノベマンションは見学しているが、分譲マンションでは「墨田」「江古田」に続く第三弾の今回が初めてだった。

 モデルルーム玄関を入るとすぐアロマの甘美な香りが心を満たし、ゆったりした玄関・廊下が目に飛び込んできた。玄関カウンターはシーザーストーンで、反対側の壁面との距離は最大で約1.5mもある。岡端氏は「居住面積は70㎡台ですが、90㎡台とかわりません」といみじくも言ったように、同社が最近力を入れている〝魅せる玄関〟の演出だ。

 そして、いたるところに置かれている観葉植物。エバーフレッシュ、ノシラン、ペペロミア、シェフレア、シノブ、胡蝶蘭、エスキナンサス、ヤブラン…モデルルームだけで13種、販売事務所を合わせると約20種にも上る。費用は約130万円(高いと感じる人もいるかもしれないが、著名な画家の絵画はけた違い)。

 100万円もする古材を用いたダイニングテーブルや、やはり100万円近くする音の出る大盤の水盤、ハンモックなどはともかく、床は最近ほとんど見かけなくなった突板フローリングで、戸数36戸にしては珍しいディスポーザーが標準装備だ。

 岡端氏によると、この秋にはこの物件に近い築地エリアで同社も含めて5物件、戸数にして500~600戸が供給されるという。間違いなく単価はここより高い。全て見学しよう。

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エントランス

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販売事務所が入居するビルの看板(この看板をみて見学する人も多いとか)

「パーカーズ」とのコラボ リノベマンション コスモスイニシア「大森山王」(2019/5/27)

呉越同舟効果 「5本の樹計画」の本領発揮 積水「品川シーサイド」1期207戸!(2017/3/24)

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「ドルチェ大森山王」

 コスモスイニシアがフラワーショップ「青山フラワーマーケット」を運営するパーク・コーポレーションの空間デザインブランド「parkERs(パーカーズ)」とコラボレーションしたリノベーションマンション「& plants life」第1弾「ドルチェ大森山王」を見学した。

 物件は、JR京浜東北線大森駅から徒歩7分、大田区山王2丁目に位置する1974年6月竣工の3階建て全17戸の3階住戸で、専有面積は67.95㎡、価格は4,780万円(坪単価232万円)。分譲会社は勧業不動産(現、日本土地建物)。

 リビング・ダイニングの天井にフックを施し、観葉植物を吊り下げることができるようにし、ダイニングテーブルにつけられるプランターを設え、ハーブなどをその場で料理に添えることができるよう演出している。

 玄関にはマンション中庭のシンボルツリーをイメージした植栽を設え、寝室には心地良い水音と一輪挿しを合わせ、五感で自然を感じられる空間としている。

 さらに、引き渡しから1年間、「青山フラワーマーケット」が選んだミニブーケを毎月届ける。

 同社は、周辺環境や間取り条件にふさわしいリノベ物件を対象に年間10戸程度の販売を目標にしている。

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玄関

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テラス(螺旋階段を上ると屋上専用テラス)

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6月に届けられるアジサイ

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 「parkERs(パーカーズ)」とコラボした同社のマンション・戸建ては結構見学しているが、リノベマンション初というこの物件もなかなかいい。

 建物は旧耐震だが、写真にあるように雰囲気のあるマンションだ。リノベに当たっては独自に調査を行い、設備仕様などを一新しており、二重床構造(サッシは共用部分なので単板ガラス)。専用のバルコニープランターボックスと、らせん階段上は約63㎡の屋上テラス付き。その他キッチンカウンター、収納、ピクチャーレール付き。

 玄関の観葉植物は中庭のシンボルツリー・ヤマモモをイメージしたシェフレラで、水遣りは2週間に一度でいいそうだ。

 ダイニングには1~3週間に一度の水遣りでいいコチョウラン、エスキナンサス、ペペロニアが、テラスにはハーブがそれぞれ植えられていた。寝室の水音の演出もいい。

 全て込みで4,780万円(坪単価232万円)というのは割安感があると思うがどうだろう。仮にこの土地に新たなマンションを建築したら、坪単価は400万円近くするのではないか。7年前に見学した駅から徒歩8分のモリモト「アールブラン大森山王」は坪294万円だった。

 こんなにいいのだから、年間10戸は少なすぎる。その倍は販売できるのではないか。

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「ドルチェ大森山王」

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中庭のヤマモモ(これは雄株か)

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植え込みに密生していたドクダミ

緑に囲まれた心地よい暮らし提案 リノベマンションで展開 コスモスイニシア(2019/5/25)

馬込文士村の一角 モリモト「アールブラン大森山王」(2012/10/31)

カテゴリ: 2019年度

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イメージ図

コスモスイニシアは524日、「& plants life」をコンセプトに、緑に囲まれた心地よい暮らしを提案するリノベーションマンションの展開を開始し、第一弾の「ドルチェ大森山王」の販売を開始したと発表した。

フラワーショップ「青山フラワーマーケット」を運営するパーク・コーポレーションの空間デザインブランド「parkERs(パーカーズ)」とコラボレーションし、植物を設えたインテリアデザインを施し、毎月花またはハーブを届けるサービスを提供する。

「ドルチェ大森山王」では、リビング天井に京都の伝統工芸である京金網「金網つじ」製のオリジナルプランターを吊り下げ、ダイニングにはテーブルにつけられるプランターを設え、ハーブなどをその場で収穫し、料理に添えることで食卓を豊かに彩る。玄関にはマンション中庭のシンボルツリーをイメージした植栽を設え、寝室には心地良い水音と一輪挿しを合わせ、五感で自然を感じられる空間としている。

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 パーク・コーポレーションについて触れよう。同社の売上高は2008年に48.1億円(店舗数71店)だったのが、2018年は84.2億円(同103店)へ75%も増加している。三井不動産の20193月期売上高は18,611億円で、20093月期の13,600億円と比べ37%の増加だ。

花き業界と不動産業界を単純に比較はできないが、リーマン・ショック後の景気の後退を受け、花き出荷額は漸減している現状を考えれば同社の伸張は注目すべきことだし、わが業界にも参考になるはずだ。

伸長の秘密は、同社の井上英明社長のブログにあるような気がする。以下、いくつか紹介する。

「常に常にお客様の立場から考える、花屋の立場からお客様のことを考えるのではなく、レジを出てお客様の横に立って同じ目線で考える。ただただお客様のことだけを考えて判断して欲しいと思います。店長の立場や社長の立場などは決して考える必要はありません」

「お客様は、モノとして花を求めていらっしゃる訳ではありません。ディズニーランドと同じ様に、素敵な時間空間が欲しくて、花を求めにいらっしゃるのだと思います」

「花の本質、それは時間であり空間、一言で言えば‘Time & Space’と言えると思います」

「お客様の喜びを自分の喜びと感じられるような価値観を持った人間の集まりでありたいと思います」

「利益だけを考えたら、1輪のバラを100名のお客様に提供するより100本のバラの花束を一人のお客様に提供した方が楽でいいに決まっています。350円の小さなブーケを100個作って100名のお客様に接客するより、35000円のラン1鉢を販売した方が楽に決まっています。しかしそれでは我々の存在意義がないと思います」

park corporationは基本理念を大切に、人間にとって当たり前の環境と考える花や緑に囲まれた心ゆたかな生活を『一人でも多くの方に』届けたいと真に願っており、日々各店にご来店いただいたお客様の数を把握するようにしています」

どうだろう。デベロッパーの分譲事業と同じではないか。モデルルームは〝モノ〟ではあるが、同時にこのマンションを購入すればどのような〝素敵な時間や空間〟を過ごせるか、プロとして提供するサービスでもある。

用地・建築費の上昇で基本性能・設備仕様はどんどん低下している。床も壁も建具・家具もみんなケミカル製品だ。だからこそ、モデルルームに飾る観葉植物は本物を使用してほしい。

本物の植物は高い、管理が大変、長持ちしないなどと考える人は多いが、そんなことはない。小生の自宅の専用庭にほったらかしにしているサボテンは50年くらい経つし、スパティフィラムはどんどん増殖を続けている。

 添付した写真は、オフィスの小生の机の上に置いているポトスだ。定期的に観葉植物を手入れしにくる業者さんが剪定して捨てるポトスの葉っぱを貰って、ペットボトルに入れて育てたものだ。水遣りは2週間に一度。これで2年くらいか。枯らしたことは一度もない。白い花はどこの道端にも咲いているドクダミを摘んできたもの。つまり全てただ。

 小生がマンションの販売担当だったら、雑草として見向きもされない草花を摘んできて、「ほら、これがイヌノフグリ(女性には気を付けたほうがいいが)」「ニワゼキショウってこんなにかわいい」「ドクダミはみんなに嫌われるが、お客さまみたいに(おばあちゃんに対しては逆効果)とても可憐でしょ」「この土筆は原爆にも負けなかったのですよ」などと会話を交わす。

 井上社長の「350円の小さなブーケを100個作って100名のお客様に接客するより、35000円のラン1鉢を販売した方が楽に決まっています」はヒントになる。モデルルーム来場者数の把握は、〝一人でも多くの方に豊かな暮らしを提案したい〟からと言い切れるかどうか考えたほうがいい。

 分譲価格にオンされる「商品券」のプレゼント(実質的に購入価格の先払い)などもやめたほうがいい。

 高くない歩留まり率を念頭に、できるだけたくさんの来場者を集め、掬い取ろうという底引き網漁法は根本的に改めるべきだ。疲弊するだけだ。

 コスモスイニシアの「parkERs」とのコラボが素晴らしかった戸建て「グランフォーラム練馬田柄」の記事を添付する。「ドルチェ大森山王」も見学してレポートする予定だ。

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記者のデスクに置いているポトス

 

パーク・コーポとコラボ 空間デザイン秀逸 コスモスイニシアの戸建て「練馬田柄」(2017/11/7

カテゴリ: 2019年度

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「シティタワー銀座東」(後ろが三井不動産レジデンシャルのマンション)

 住友不動産は5月23日、大規模免震タワーマンション「シティタワー銀座東」が完成したのに伴う記者見学会を開催。「DEUX TOURS(ドゥ・トゥール)」にも設けた「SOHO」タイプも公開した。5月下旬から入居を開始する。

 物件は、東京メトロ日比谷線八丁堀駅から徒歩5分、JR東京駅から徒歩20分、中央区湊二丁目に位置する22階建て全492戸(うちSOHOは88室)。専有面積は44.28~83.95㎡(SOHO34.54~44.99㎡)、坪単価は455万円。2019年1月29日に竣工済み。設計・施工は五洋建設。空地率を50%以上確保したゆとりある配棟計画が特徴。

 2017年8月に販売を開始してからこれまで約2,020組の来場者を集め、全体の6割が契約済み(SOHOは約3割)。

 マンションの契約者は30~40代(57.3%)のパワーカップルや60代以上(19.4%)のシニア層が中心。全体の5割強が2次取得者。用途は6割強が実需。従前の居住地は23区内が全体の6割強。

 SOHOは、専用のエントランス、エレベーター、メールボックスなどを設け、宅急便発送やタクシー手配などの業務を取り扱う「コンシェルジュ」や、会議や打ち合わせに利用できる「ミーティングルーム」も整備。価格は4,529.4万~5,941.6万円。

 契約者の年齢は30歳代(17.6%)、40歳代(29.4%)、50歳代(17.6%)、60歳代(35.4%)と幅広く、職業は会社役員・経営者(42.1%)、会社一般職(26.3%)、会社管理職(5.3%)、無職(26.3%)、現居住地は中央区(21.0%)、港区(15.8%)、23区他(15.8%)、その他(47.4%)。東京オフィスとして地方の人が利用するケースが多いという。

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 SOHOにもっとも関心があった。設備仕様はほとんど普通のマンションと変わらない。ゲストルームやスカイラウンジも利用できる。

 契約条件として、会社として登記する必要があり、不特定多数の人が出入りする職種や「居住のみ」は不可。契約者はSOHO利用として賃貸することも可能。賃料は17.5万円(坪1.6万円)/月。

 約3割が契約済みというのは多いのか少ないのかわからないが、今後普及するのではないか。

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植栽

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 見学会では、同社広報担当者が「新築マンション供給戸数の年次別推移(1973~2018年)」「首都圏マンション平均価格と借入限度額の推移」「平均価格と基準金利の推移」「メジャーセブンの供給戸数とシェアの推移」の表をもとに、現在のマンション市況は決して悪くないことなどをレクチャーした。

 「メジャーセブンの供給戸数とシェアの推移」では、メジャーセブンの供給シェアはリーマン・ショックまでは24~28%だったのが、2008年に29%に上昇、その後はどんどん比率を高め、この8年間は39~46%で推移している。供給会社は2001年が410社だったのが、2018年1~11月は112社になっているとしている。

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高層界からの東京駅方面の眺望(眼下に公園、小学校、由緒ある神社)

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 昨日も書いたのだが、同社の中期計画では、分譲事業は「量を追わず利益重視で販売ペースをコントロールしていく」「競争激化の用地取得環境が続く中、『好球必打』で着実に確保する方針は継続する」としているので、いったい「好球必打」とはどう意味か、西武ファンの記者はそれぞれロッテファン、阪神ファンの同社広報担当者に次のように質問した。

 「好球必打のプロ選手はロッテにも阪神にもいない(双方のファンは怒るか)。西武の山川は本塁打をよく打つが、三振も多い。秋山も打率はせいぜい3割5分。いったい誰に例えればいいか」

 返ってきた答えが面白い。「イチローさんは自分が好きなコースはボールでもヒットにする。それと同じ。うちが『好球』と判断した土地を『必打』するということ。三振? ありだと思います」

 なるほど。同社が今後どのような用地を仕入れるか注目することにしよう。同社も「競争激化の用地取得環境が続く」と見ているように、マンションデベロッパーはみんな仕入れに苦労している。ストライクだけ狙っていたら、まず買えない。

 それにしても、同社は今期計上予定戸数5,300戸に対し期首時点で約80%(前年約65%)が契約済というからすごい。三井不動産の75%を上回る。マンションデベロッパーの〝イチロー〟を目指すのか。

分譲事業は「好球必打」(住友不)「量から質(中身)」(三井不)の時代の流れ加速(2019/5/22)

三井不動産レジデンシャル「パークシティ中央湊ザ タワー」竣工見学会(2017/11/27)

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隣の公園(記者は「禁煙」は「禁止」にかかると、つまり吸っていいのかと理解したのだが…)

カテゴリ: 2019年度

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「プラウドシティ吉祥寺」完成予想図

 前回の「プラウド南阿佐ヶ谷」に続いて、売れ行き好調の野村不動産「プラウドシティ吉祥寺」を紹介する。吉祥寺駅からバス便の全678戸の大規模だが、約半年で330~340戸を成約するなど驚嘆すべき売れ行きだ。

 物件は、JR中央線吉祥寺駅から徒歩23分(バス約10分)、三鷹市下連雀五丁目に位置する敷地面積約26,405㎡、8階建て全678戸。専有面積は68.59~83.70㎡、坪単価は262万円。売主は同社のほか日清紡ホールディングス(土地売主)。竣工予定は2020年1月中旬。施工は長谷工コーポレーション。

 同社は昨年12月、第1期140戸を即日完売したと発表しているが、その後も順調に売れており、これまでに370戸を供給し、330~340戸を成約している。来場者は約3,600組。

 現地は、日本無線三鷹製作所の跡地。敷地内に商業施設、認可保育園、学童施設、バス停を設けるとともに、既存樹の樹高25mのヒマラヤスギ2本をエントランスに残し、緑地率を30%超に高め、「ABINC認証」を取得することなどが特徴。隣接地には同社のシニア向け住宅(サービス付き高齢者向け住宅)も建設する。

 主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2.45(3階以上)~2.5m(1・2階)、御影石キッチンカウンター、ディスポーザー、食洗機、Low-Eガラスなど。

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バス停とヒマラヤスギ

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 吉祥寺、または三鷹駅からバス便の三鷹市内のマンションの取材を20件くらいはしたはずだ。売れ行きがよく印象に残っているのは大成有楽不動産「オーベルグランディオⅠ」(177戸)、「オーベルグランディオ吉祥寺II」(284戸)だが、緑被率の高い住友不動産「シティテラス吉祥寺南」(268戸)もいい物件だった。

 価格上昇局面の数年前、同社は数百戸単位の完成在庫を出し利益率も落としたが、ここにきてまた勢いを取り戻しつつある印象を受ける。その原動力はやはり商品力であり販売力だ。

 「吉祥寺」の販売事務所は商品特性をよく表現できている。第一に「住みたい街ナンバーワンの吉祥寺」を前面に打ち出していることだ。バス便は苦にならないどころか、徒歩でも駅に着くことを訴え切れているのも奏功しているのかもしれない。資料には「井の頭公園」には徒歩5分とあり、バス便についても、「徒歩0分」に屋根付きのバス停を設けるとある。(デベロッパー各社は〝駅近〟を強調することは一方では自らを苦境に陥らせることを理解すべき)

 4×6mもある巨大な360分の1のジオラマ模型は立地特性を分かりやすく見せている。別のやはり同じくらいの大きさのマンションの模型、壁面展示では低木も含め2万本の植樹をおこない、緑被率を高め、充実した共用施設の〝見せる化〟も図っている。

 水回りを共用廊下側に配した排水竪管から最大14m離しても設置可能な排水システム「Mi-Liful(ミライフル)」を採用し、水回りをバルコニー側に設置した2つのモデルルームの出来もいい。

 競合すると思われる定期借地権付きの「三鷹」のマンションと比較し、所有権付きの優位性もしっかりと訴えている。

 さて、ひとつ提案だ。半年で半分売れたのだから、残りも半年で完売できればいいのだろうが、そう簡単ではないはずだ。わずか半年で992戸を完売した「富久クロス」では、ユーザーから募ったアイデアを1000個の「イゴゴチ」にまとめ、シアターには「第九」の音楽を流した。長いマンションの歴史で「第九」をシアターに流したのは後にも先にもこの物件しかないはずだ。

 「富久クロス」で「第九」を流したのだから、今度は記者の好きなヘンデル「水上の音楽」はどうか。井の頭公園の池、住宅地内の緑のテーマにぴったりではないか。バラの香りを館内に漂わせれば来場者は感動するはずだ。アルプスの爽やかな風も吹かせたらどうか。

 気になったことも一つ。建物の高さ25m規制だ。この物件に限ったことではないが、高さ規制を緩和して公開空地を増やしたほうがはるかにマンションも街もよくなるはずなのに…。

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木造ゲストハウス

野村不他「プラウドシティ吉祥寺」第1期140戸が即日完売(2018/12/4)

グロス価格はやや張るが坪単価は〝旧価格〟 大成有楽「吉祥寺Ⅱ」(2015/1/27)

カテゴリ: 2019年度

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「プラウド南阿佐ヶ谷」完成予想図

 販売好調の野村不動産「プラウド南阿佐ヶ谷」と「プラウドシティ吉祥寺」を見学した。高単価ながらプランが素晴らしい「南阿佐ヶ谷」から紹介する。

 物件は、東京メトロ丸ノ内線南阿佐ヶ谷駅から徒歩1分、JR中央線・総武線 阿佐ヶ谷駅から徒歩9分、杉並区成田東四丁目に位置する14階建て99戸。専有面積は36.21~75.48㎡、坪単価は440~450万円。竣工予定は2020年3月下旬。施工は矢作建設工業。売主は同社のほか矢作地所。デザイン監修は南條洋雄氏。

 今年初めからモデルルームをオープンし、3月に第1期80戸を分譲してからこれまで97戸を成約。残りは2戸と好調。来場者は約650件。

 現地は、三方道路で敷地北側は青梅街道、南側は第一種低層住居専用地域が広がる商業地域立地。

 建物は基壇部に光の演出を施すなど印象的なデザインとし、住戸は内廊下方式の1フロア8戸(2階は3戸)構成で、南向きはファミリータイプ、北向きはコンパクトタイプ。主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高約2,650〜2,750ミリ、天井カセットエアコン、食洗機、ディスポーザー、吊戸棚など。

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基壇部

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 読者の皆さんはどう思われるか分からないが、〝即日完売のプラウド〟のブランド力と、駅から徒歩1分、三方道路で敷地南側が1低層という立地と抜群のプランであることから判断して売れるのは当然と見た。

 70㎡台の南向きの間口は約6.8m・7.7m・7.9mで、南東向き、南西向きも約9.3m、9.8mあり、北向き36㎡のコンパクトも6.7mある。

 リビング天井高も最近ほとんど見なくなった2,650〜2,750ミリ確保しているのもいい。

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南向き71㎡(間口は7.9m)

 

カテゴリ: 2019年度
 

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