自然と共生するワークスペース「コモレビズ」実装した「ザ・パークレックス天王洲」
「ザ・パークレックス天王洲[the DOCK]」
パソナ・パナソニック ビジネスサービス(PBS)のファシリティマネジメント事業の一つ「COMORE BIZ(コモレビズ)」を実装した三菱地所レジデンスのワークプレース「ザ・パークレックス天王洲[the DOCK]」を取材した。
コモレビズは2017年から展開しているもので、ワークプレース[職場環境]を、科学的なエビデンスに基づきGREEN(緑化)、SOUND(音)、LIGHT(照明・灯り)、AROMA(香り・森林成分)など五感に訴えるバイオフィリックデザインを設計し、その効果を「見える化」するものだ。
「バイオフィリックデザイン」とは、1984年にアメリカの生物学者エドワード.O.ウィルソンによって提唱された「人間には“自然とつながりたい”という本能的欲求がある」という概念を具現化した、より自然な自然環境を取り込んだ空間デザイン手法のこと。
コモレビズは、このバイオフィリックデザインを採用。ストレス軽減につながる最適な「緑視率」10~15%という実証実験結果や独自の植物データベースに基づき、顧客企業のニーズに応じたオフィス空間を提供している。働く人と企業のウェルビーイングに貢献し、生産性の向上を促進するソリューションビジネスだ。
同社COMORE BIZ推進部部長兼事業企画チームマネージャー・和田えり子氏からレクチャーを受けた後、見学した。
これまで緑をふんだんに用いたオフィス・モデルルーム・ロジスティクスなどはたくさん見学している。優れたものを3つ挙げるとすれば、三菱地所ホームのボタニカルモデルハウス、積水ハウスの「SUMUFUMU TERRACE 新宿」、コスモスイニシアの総合マンションギャラリー「イニシアラウンジ三田」だ(三井デザインテック新本社が素晴らしいとは聞いているが見ていない)。
「ザ・パークレックス天王洲[the DOCK]」は、そのどれと比べても勝るとも劣らない。室内に入った途端、素晴らしい〝景観〟が目に飛び込んできた。執務用のデスクにはオリズルラン、アスパラガスナナス、エバーフレッシュが植えられており、水盤も配されていた。そして、スケルトン天井のどこかから小鳥のさえずり、足元からは虫の鳴き声が聞こえてきた。別のコワーキングスペースでは、白い壁に中木の枝が揺れ、チョウが舞う影が映し出された。雨だれの映像もあった。
これらを見学して、パナソニックの音響装置(Technics)・映像の技術が採用されていることがすぐわかった。
スピーカーは、天井部分ではなく床の造作の中にビルトインされており、そこから音をあちらこちらに反響させて、小鳥のさえずりは天井から、虫の音や川のせせらぎは床面から流れるように工夫されている。これは凄い。
◇ ◆ ◇
導入事例を十数か所紹介されたのだが、そのうち東京建物本社、ポラスグループ本社、ポラスグループ第一エネルギー設備、ミサワホーム高井戸展示場、大和ハウス工業総合技術研究所、総合地所「ルネ湘南茅ヶ崎」共用施設、総合地所「MID WARD CITY」共用施設、日鉄興和不動産「リビオシティ南砂町」共用施設など半数くらいがデベロッパー、ハウスメーカーだった。そして、コワーキングスペース「ザ・パークレックス 天王洲[the DOCK]」は三菱地所レジデンスだ。
これまでしつこいほどマンションモデルルームなどの観葉植物の〝フェイクを止めよ〟と書いてきた甲斐があったと思った。少しは記者の主張が受け入れられたと理解した。
東京建物本社
ENEOSホールディングス
Suita SST base
パナソニック(大阪本社総務)
ポラスグループ 第一エネルギー設備
ポラスグループ本社
ミサワホーム高井戸展示場
エム・シー・ファシリティーズ
オーク情報システム
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気になっていることもある。同社は全て本物の観葉植物を配置していたが、仮に①本物をフェイクだと思い込んでいた場合②偽物を本物と誤認していた場合③本物と偽物が混在していた場合④本物とフェイクの区別がつかなかった場合-これらのケースによってストレス軽減の効果はどう異なるのか、あるいは変わらないのかということだ。
記者の経験から言えば、明らかにフェイクと分かる植物と本物が混在していた時は、全てがフェイクに見え興ざめする。却ってストレスの種になるのではないか。
この問題については、三井デザインテックと職業能力開発総合大学校・橋本幸博教授によるオフィス空間における植物配置に関する共同研究があり、「人工植物や過剰な植物量、あるいは不具合な配置にすると、心理面以外に作業効率にも好ましくない影響を及ぼすことがある」と指摘している。詳細な研究を期待したい。
これに関連することだが、記者は2010年にサントリーミドリエを取材したことがある。同社はその2年後、中国資本と提携し、上海に合弁会社を設立した。いまホームページを確認したら社名は「トヨタサントリーミドリエ(上海)園芸有限会社」になっていた。トヨタ自動車も資本参加したようだ。
PBSはトヨタ自動車、パナソニックとエビデンスの深化に向けて共同研究を行っている。環境ビジネス市場は現在100兆円を突破しており、年率10%以上の伸びが予想されている。
ボタニカルが最高4つの商品・開発を発表 三菱地所ホーム(2018/5/30)
最高の〝働く場・接遇スペース〟 積水ハウス「SUMUFUMU TERRACE 新宿」(2022/2/17)
木漏れ日、渓流の音…イニシアの世界観を表現 総合ギャラリー「三田」(2021/7/30)
第一園芸 独自に考案したオフィス空間デザイン 三井デザインテック新本社に採用(2021/8/11)
わが意を得たり 人工植物は販売促進に逆効果 三井デザインテック調査研究(2018/9/25)
売上げ倍々増 これはヒットする サントリーミドリエ「パフカル」(2010/6/7)
記者の腕ではない「モデルがいい」 旭化成ホームズ 社内ベンチャーのイベント公開
「アトラス加賀」
旭化成ホームズは7月23日、旭化成グループの社内ベンチャーとして今年4月に設立したコネプラが展開している分譲マンション用の情報交換アプリ「GOKINJO(ゴキンジョ)」の入居者同士の交流イベントをメディアに公開した。
「GOKINJO」は、新会社設立に先駆けてクレヨンと共同開発し、「アトラス加賀」の入居者向けに2020年9月より実証実験として運用を開始しているもの。「GOKINJO」のプロジェクトリーダーであった中村磨樹央氏がコネプラの代表取締役に就任。デジタルとリアルを組み合わせ、コミュニティ形成などの課題解決取り組んでいく。
イベントが開催されたマンションは、2020年7月に竣工した都営地下鉄三田線新板橋駅から徒歩9分、板橋区加賀一丁目に位置する「アトラス加賀」(227戸)。旭化成不動産レジデンスが国有地の払い下げを受け、研究所としても利用されていた、三方が石神井公園・加賀公園・板谷公園という恵まれた立地で、坪単価は290万円だった。
未就学児と思われる子どもたちは、世界一生産・消費量が多いと言われるわが国の傘について説明を聞き、ビニール傘を組み立てる作業に夢中になって取り組んだ。
傘の組み立て作業(「アトラス加賀」の集会室で)
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交流イベントは、この種の入居者向けイベントとどこが違うのかよく分からなかった。参加者の写真撮影が許されたので、ならば徹底してきれいな美しい写真を撮ることに方針を切り替えた。冒頭と前段の写真がそれだ。参加者のお母さんに「いい写真でしょ。カメラは最悪ですが、私の視点はいいでしょ」と同意を求めたら、「モデルがいいわね」と一蹴された。それにしても、何と子どもたちの可愛いことか。お父さん、お母さん、そしてコネプラもこの子どもたちをまっすぐに育てて。
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取材を終え、帰ろうとしたら「牧田さん、何しているの? 鹿島の小林です」と声を掛けられた。RBA野球大会に参加している鹿島建設のエースでも主砲でもないが、フルマラソンを3時間19分で走破した大記録の持ち主で、チームには欠かせないキャラクターの小林選手だった。
「買ってから相当値上がりしている。野球? キャプテンの中原は異動。野球はちょっと難しいかも。エースの遠藤? 分からない。わたし? 子どもが2人。4歳と2歳。子育てに忙しいので…。甲子園を目指す」と、どこに行くのか、電動自転車に子どもを乗せて駅方面に向かっていった。
小林さんよ、いい選択だ。でも、あなたは自社分譲の「加賀レジテンス」を知らないだろうね。2007竣工だから15年前だ。まだ学生か。当時、坪単価250万円だった。
小林さん、業界関係者の皆さん、近く分譲される東急不動産・日鉄興和不動産の十条駅前再開発タワーマンション「ダ・タワー十条」(578戸)の価格をご存じか。記者は卒倒するほど驚いた。城東もそうだが、足立・北・板橋の城北3区はマンション市場をかき回すことになるかもしれない。
〝お父さん、暑いよ、変なおじさんと関わらない方がいいよ、早く行こうよ〟小林選手
鹿島・小林尚平選手 東京マラソン3時間19分の大記録! 日本記録・大迫抜く(2019/3/3)
多様な価値観生かせる多摩ニュータウン 多摩市市制50周年 コンセプトムービー
コンセプトムービー「らしさがうまれる。多摩ニュータウン」トップ
多摩市は7月23日、市制50周年イベントの一環として多摩ニュータウンのコンセプトムービー「らしさがうまれる。多摩ニュータウン」を公開した。
入居開始から50年が経過し、長く住み続けたいと考える人が多い街でありながら、高齢者が多い街というイメージが先行する課題に対応するもので、多様な価値観をもった若い世代が活動する街でもある多摩ニュータウンをアピールするのが狙い。
今後はUR都市機構をはじめ、多摩ニュータウンと関わりのある民間企業の協力を得て発信していくという。動画はYouTube(https://youtu.be/IcfdtyKzSBM)で閲覧できる。
市は、2020年10月に行ったアンケート調査(サンプル数1,300ss)によると、多摩ニュータウンへの関心がある、訪れたいと考える人は20代、30代がほかの世代に比べ高く、「豊富な自然や美しい公園がある」というイメージが全世代に共通して高い結果が出ているとしている。
多摩中央公園(駅から徒歩4~5分でこんな素晴らしい公園など他にない)
落合-鶴牧の富士見通り(歩車分離がよく分かる)
これはURの賃貸か
「プロムナード多摩中央」(1階は多目的に利用できるαルーム付きとして話題となった)
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遅きに失した感はあるが、結構な取り組みだと多摩市民の記者も思う。バブル崩壊後に〝オールドニュータウン〟などと揶揄されたのに対して、事実に基づく反論を怠ったのが今日の事態を招いたと思う。
ここでいくつか問題提起。アンケートの結果では、若い世代ほど多摩ニュータウンへの関心は高いというが、そもそも多摩ニュータウンを知らない若年層がどれくらいいるのか、これを調査しないといけない。かなりいるはずだ。
似たような街、例えば港北ニュータウン、千葉ニュータウン、つくば学園都市、流山おおたかの森、柏の葉キャンパスなどと比べてどうか。港北や千葉、つくばとは互角かもしれないが、流山や柏の葉には圧倒的に負けるのではないか。
流山市は、井崎義治氏が平成元年に市長に就任し、それまでの長老政治を劇的に変えた。平成22年度から発信した「母になるなら、流山市。」のキャッチコピーが話題になったように、子育て世代向けの政策を充実させた。今では人口増加率、地価上昇率などは全国トップクラスだ。
柏の葉も、三井不動産は東大や千葉大、市との官学連携に積極的に取り組み、が次々と新機軸を打ち出している。
多摩市はどうか。阿部裕行市政は、5年前から「健幸都市(スマートウェルネスシティ)」を前面に打ち出した。「健康」と「幸福」を掛け合わせたものだが、〝母になるなら、父になるなら〟のような具体性に欠ける。(この前の第4回目のワクチン接種で帰りのタクシーチケット1,000円を希望者に配るのには驚いたが)
都市間競争、街のポテンシャル低下について。この前、東急の「ドレッセタワー南町田グランベリーパーク」の記事でも書いたが、仮に多摩センター駅前でマンションが分譲されたら坪単価は300万円になるかどうか。聖蹟桜ヶ丘駅近でも坪270万円だから難しい。他の沿線と比べ京王線の地盤沈下は否めない。典型的な例が令和5年1月をもって営業停止する京王プラザホテル多摩だ。誕生してから約30年だ。企業寿命30年説に符合する。これは「健幸都市」にとって大きな打撃だ。今のところ存続を願う動きはないようだ。立派なホテルが撤退するような街に果たして若い人は移住したくなるか。
もう一つ。これは小生の個人的な考えだが、多摩センター駅前のパルテノン大通りには「あなたから受動喫煙から守ります」という大きな横断幕が掲げられている。厚労省の調査では、成人喫煙率は16.7%で、男女別では男性の27.1%、女性の7.6%が喫煙者だ。小生を含めこれらの喫煙者の神経を逆なでする、犯罪者扱いする市政はいかがなものか。タバコを吸う人も吸わない人も健康・幸福追求権は平等ではないか。
官民学連携もまったくといっていいほど行っていない。多摩ニュータウン周辺には5つも6つもの大学が集積しているのにその知的資源を活用していない。各企業の市民企業としての活動も寡聞にして知らない。
これはあまり書きたくないのだが、関連することだから書く。長谷工コーポレーションは今年6月末までに、2018年10月に開設した多摩センター駅近くの「長谷工マンションミュージアム」の来館者が1万人に達したと発表した。
開館当時、記者もこの施設を取材しているが、4年間で1万人ということは1か月間で約208人、1日当たり約7人だ。これはいかにも少ない。先に官学民連携について触れたが、駅周辺には大学のほか、東京海上日動システムズ、ベネッセ、サンリオピューロランド、JUKI、ミツミ電機などの企業・施設が集積する。
ところが、ミツミは2018年以降、CSR活動の報告を行っていない。東京海上日動も目立った活動は周辺のごみ拾い、ベネッセも夏祭りの協賛くらいで、地元でなにか活動した記憶など全くない。
大学もしかり。桜美林大学の多摩アカデミーヒルズ(多摩キャンパス)は、以前は宿泊、温泉、その他各種の市民講座・サークルなどなど市民に開放していたが、現在は市民との交流を完全に断った。
また、多摩センターには素晴らしい多摩市立グリーンライブセンターもあるのだが、ここでの喫煙・飲酒は禁止だ。宴会などする人はいないはずで、ゆっくり緑を鑑賞しながらタバコを吸いワインを飲むことのどこがいけないのか。緑・植物に関する書物はただで読めるのに、閲覧する人はどれだけいるか。
この施設運営には恵泉女学園も関わっているのだが、同学園は駅周辺の多摩市アダプト制度で大変な活躍をさている。いつも感謝している。端っこでいいから、グリーンライブセンターでたばこを吸わせて、ワインも飲ませて。砂糖漬けのジュースなどとどこが違うのか。
これまで何度も多摩市の緑環境や多摩ニュータウンの魅力について書いてきた(ざっと数えたら2013年以降で66件がヒットした)。その豊富な緑や人的資源を市は生かしていない。ここに根本的な問題がある。
日本財団「THE TOKYO TOILET」13か所目 後智仁氏のトイレは植栽にも注目
「THE TOKYO TOILET 広尾東公園トイレ」(撮影:永禮賢氏、提供:日本財団)
日本財団は7月22日(金)、誰もが快適に使用できる公共トイレを渋谷区内17か所に設置するプロジェクト「THE TOKYO TOILET」の13か所目のトイレをメディアに公開し、広告、ブランディング、ファッション、ディスプレイ、アートなど幅広い活動を行っている担当ディレクターの後智仁氏がインタビューに応じた。同日、トイレは共用開始された。
トイレは、日比谷線広尾駅から徒歩3分、渋谷区広尾4丁目の「広尾ガーデンヒルズ」に近接する「広尾東公園トイレ」。刻々と表情が変わるライティングボード付きの全面コンクリート打ち放しで、車椅子ブース・幼児連れ・オストメイトブース付きのだれでもトイレが2室の合計12.37㎡。タイトルは「Monumentum」。
コンセプトについて後氏は「今回のプロジェクトの元となった『人は、みんな違うという意味で、同じである』という思いを表現するトイレを作りたいと思いました。安全、安心、清潔はもちろん、全ての人に優しいトイレにしたい。…パブリックアートの様に生活の中にありながら、人に常に何か問いかけてくる様な存在。このプロジェクトの意義を人に問いかけ続けるモニュメントのようなトイレになったらいいなぁと思っています。世界人口と同じ79億通りのライティングパターンが、昼は木漏れ日の様に、夜は月明かりや漂う蛍のように変化し続け、二度と同じパターンを見ることはないでしょう」とコメントを寄せている。
残りの4か所のトイレは今後2022年末にかけて共用開始の予定。
以上3点は撮影:永禮賢氏、提供:日本財団
公園入口(左の建物が「広尾ガーデンヒルズ」)
◇ ◆ ◇
「無知は罪なり知は空虚なり」-最初に目に飛び込んできたのは、トイレを囲むようにはびこっていた〝雑草〟だった。何たることか。せっかくのトイレが台無しではないか、後氏に失礼ではないかと怒りすら覚えた。施工を担当した大和ハウス工業担当者に「どうしてこんなススキのような雑草がはびこるままにしているのだ」と苦情を申し立てた。
そうではなかった。後氏の「原風景を再現してほしいと、僕が指名した」もので、植栽を担当した「叢(くさむら)」の代表取締役・小田康平氏は「建物に対して主張しない、草原から切り取った、どこにでもある草をイメージし、厳しい環境でも育つ植物を選んだ」と話した。
小田氏から草花の名前を聞いた。ミニパンパス、マホニア、ローズマリー、ディアネラ、パニカム、ビバーナムティヌス、マツバギク、アカシアミモザ、ユーホールビア、ウエストリンギア、リコンドラ、グレビリア、パシフィック…。
皆さんはこれらの名前をご存じか。小生はローズマリーとリコンドラしか知らなかった。ほとんどが多年草だそうだ。眺めていると、これらの草花はそれぞれが他の草花の領域を犯さないように共存しているように見えた。「負ける建築」に通じるものがあると感じた。
後氏(左)と小田氏
植栽
「広尾ガーデンヒルズ」に向かう道路(右が公園トイレ)
OSI創立20周年 明治大学名誉教授・百瀬恵夫会長の米寿を祝う
OSI(沖縄観光産業研究会)創立20周年記念祝賀会後の記念写真(上野氏のカメラによる撮影)
特定非営利活動法人OSI(沖縄観光産業研究会)は7月16日、定時総会を開催し、令和4年度は創立20周年を迎えることから記念祝賀会を行った。
冒頭、同研究会・権代美重子理事長は、「今年は研究会20周年であるとともに、研究会立ち上げにご尽力された学識深く、見識高く、実績豊富な明治大学名誉教授・百瀬恵夫会長の米寿の年。先生、一言お願いいたします」と挨拶。
これを受けて百瀬氏は「(令和3年度の研究会の会計が赤字になったことについて)赤字を解消するのは簡単。泡盛を飲むことだ。沖縄県酒造協同組合の『ジャイアンツ応援泡盛』の販売に協力したが、『ジャイアンツは嫌いだが、百瀬先生は好き』という方がたくさんいらっしゃり、お陰様で完売した。今年度は酒造協同組合などと連携を強化し、若い方に会員になってもらうような活動をしていただきたい」と語った。
同研究会は2003年(平成15年)、百瀬氏らが中心となり設立。オニヒトデの異常発生により壊滅的な打撃を受けたサンゴの養殖・移植ツアーを実施するなど大きな成果を上げてきた。
令和3年度は、コロナ禍での活動の停滞、会員の高齢化による収入減と、経費増により純損失を計上。今年度は、勉強会を再開するとともに、「首里城」復元状況の把握、「ビオスの丘」視察、沖縄県酒造協同組合・組合員の蔵元視察などを行い、会員増を積極化し黒字に転換する。
法人会員には沖縄県酒蔵協同組合などのほか、第三企画も久米信廣代表が明治大学大学院政治経済学研究科博士後期課程を修了、経済学博士を取得した縁で加入している。
左から権代氏、百瀬氏(上野氏撮影)
前列左から権代氏、百瀬氏、加藤嘉彦氏(腕が悪いのかカメラのせいか記者撮影、加藤氏は百瀬ゼミの一期生だったか)
ジャイアンツ応援泡盛
◇ ◆ ◇
「ジャイアンツは嫌いだが、百瀬先生は好き」というのは小生もそうだ。10歳の時から西鉄(西武)ファン、アンチ巨人の小生も先生が好きだからこそ6本入りセットを購入した。
なぜ、〝百瀬教〟にはまるか。一言でいえば、中小企業や社会的に恵まれない人に対する「愛」だ。実践に裏打ちされた理論にみんなとりこになる。小生も20年くらい前か。先生が政経学部教授を退任された際の最終講義の聴講を特別に許可して頂いたのだが、先生が「中小企業はもちろん、あらゆる企業はCAT(Compliance Accountability Traceability)を守らないと生き残れない」と熱く語られたのを忘れない。これは取材される企業も取材するメディアも同じだ。生命線だ。
左から会員の玉川憲志氏と上野周雄氏
2022年 年頭挨拶 沖縄復帰50年OSI研究会・百瀬恵夫会長&権代美重子理事長(2022/1/5)
国内初の国営公園Park-PFI認定事業 タカラレーベン「アクアイグニス淡路島」開業
「アクアイグニス淡路島」
タカラレーベンとグループのタカラアセットマネジメントは7月15日、事業参画している複合型天然温泉リゾート「アクアイグニス淡路島」が7月13日にオープンしたと発表した。
施設は国内で初めて認定された国営公園Park-PFI事業で、淡路島の北端に位置する敷地面積約8,800㎡。関西方面からのアクセスに優れていることから、通過点となっていた淡路島を目的地とし、“食と健康”をテーマに淡路島の特産品を活用したレストランやBBQ施設、屋外温泉やスパ、レンタルサイクルのサービスを提供していく。
タカラレーベンは全国の地域活性化に貢献することを新たな目標として掲げており、アクアイグニス社が展開している三重県の「アクアイグニス」や「VISON」同様のポテンシャルを秘めていると判断し、出資を決定した。タカラアセットマネジメントが事業資金の運用管理を行っていく。
オープンセレモニーには斎藤元彦兵庫県知事を始め多くの来賓、関係者が参加して事業の成功を祈念した。地元からは「国生みの島淡路島から地域振興のモデルとなるような事業として発展してほしい」「地方の過疎化という日本の数多くの地域での課題解決に貢献するモデルとなってほしい」などの声が寄せられた。
オープンセレモニー
伊弉冉(いざなみ)の湯湯
ITALIAN ペスケリア・アンコラ
鮨 贈(ぞう)
公園が旅の目的になる わが国初のPFI事業 三菱地所他「光と風の広場」開業(2022/3/11)
国内最高層13階建て 木・鉄骨のハイブリッドビル 東急不「COERU SHIBUYA」竣工
東急不動産は7月14日、コンパクトビル「COERU(コエル)」シリーズの第一弾として、木・鉄骨のハイブリッド耐震システム「木鋼組子®(モッコウクミコ)」を国内で初めて採用したビル「COERU SHIBUYA(コエル シブヤ)」が6月30日に竣工したと発表した。
建物は、外部から視認性の高いファサード2面に、ラチス状(組格子)の木・鉄骨のハイブリッド耐震システム「木鋼組子®」を使用し、10階から13階の上層階の柱梁に木質ハイブリッド集成材を採用。エントランスホールにも一部天然木を使用することで、建物内外から木材のぬくもりを感じられるようにした。国土交通省「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択されており、グリーン電力の導入も決定している。
「木鋼組子®」は、前田建設工業とホルツストラが共同開発したもので、鋼板の芯材の外周を木で挟み一体化したものを、ラチス形状にユニット化したシステム。圧縮力に強い“木”と引張力に強い“鉄骨”を組み合わせることで、高層鉄骨造のビルなどに適用することを可能にした。階高13階建ては、鉄骨造・木造によるハイブリッド構造のオフィスとしては国内最高階数となる。木材にはフィンランド産の欧州アカマツを使用。
木質ハイブリット集成材は、鉄骨造でありながら集成材を耐火被覆として木質感ある仕上げにするのが特徴。見た目は木造でありながら、鉄骨造と同様の構造計算が可能な木質構造部材。木は長野県産材の信州カラマツが採用されている。
物件は、渋谷駅から徒歩6分、渋谷区道玄坂一丁目に位置する敷地面積約174㎡、鉄骨造、一部木造13階建て延べ床面積約1,408㎡。用途は事務所・店舗。設計・施工は前田建設工業。竣工は2022年6月30日。
「木鋼組子®(モッコウクミコ)」
木質ハイブリット集成材
イチョウ伐採に「精神的苦痛を受けた」 住民訴訟の第1回公判 原告が意見陳述
千代田区・神田警察通りのイチョウ並木の伐採の是非を問う住民監査請求中に千代田区が2本のイチョウを伐採したことに対し、伐採に反対する住民が「精神的苦痛を受けた」として22万円の損害賠償を求めた住民訴訟の第1回公判が7月12日東京地裁で行われ、原告側2人が意見陳述を行った。
裁判を提起した経緯は省略する。以下、原告の意見陳述を紹介する。
◇ ◆ ◇
1 私は、神田警察通りの沿道に親の代から住んでおります●●です。
自宅前にもイチョウの木が3本あり、親しみを持って世話をしてきました。
2 昨年12月に突然、神田警察通りⅡ期工事区間のイチョウの伐採告知があり、びっくりして、住民は皆、寝耳に水の状況でした。区の広報などにも書かれていませんでした。
そのため、住民がⅠ期工事と同様に既存のイチョウを生かして道路整備をするよう申し入れをしたにも関わらず、1月にはイチョウ一本一本に伐採のお知らせが貼られました。
3 その後、神田警察通り沿道の住民の多くが伐採反対であることがわかり、皆さんと「神田警察通りの街路樹を守る会」を作り、署名、陳情、要望などいたしました。
しかし、今日まで、区役所は「決まったことだ」「10年間話し合いをしてきた」「Ⅲ期からの工事をやるときは意見を聞く」というのを繰り返すだけです。
4 その後、住民にもイチョウ保存への賛同者が増え、ネット署名でも1万3千人ほどが賛同し、新聞やテレビにも取り上げられました。
本年4月21日には住民監査請求を提出しました。そして、その監査請求の審査中にもかかわらず、本年4月27日未明に区役所は、伐採を強行しました。区の要請で出動した警察は区側に対し、工事を中止して住民側と話し合いをするようにという提案をしました。しかしながら、区は話し合いを拒否して、工事を続行し、住民が抗議する中、無理やりに2本のイチョウを伐採しました。
そのことは今も、強いショックが残っています。
5 神田警察通りのイチョウは街路樹として、70年以上も地域とともに成長してきました。
春を告げる芽吹きから新緑、元気に茂った樹々は陽射しを防ぎ緑陰を提供し、雨の時には、雨宿りできる傘にもなります。そして、秋には見事なゴールデンリーフとなり、冬の訪れとともに落葉して暖かな陽射しが降り注ぎます。これらの利点は、車イス利用者、ベビーカー利用者をはじめ全ての通行する人々の役に立っています。
さらに、大気の浄化にも大きな役割を果たしています。
イチョウという樹は、病気や虫の害に強く、防災効果が高い利点もあります。
大木になり、管理には費用がかかりますが、区民の納める税金から捻出できる区役所だからこそ、維持管理が可能であり、いまあるイチョウを街路樹として活用する利点は充分あります。
6 千代田区が自転車整備道路計画を立てた当初の予定どおり、白山通りのプラタナスと神田警察通りのイチョウ並木の緑の十字は戦後の歴史とともに育った既存の街路樹を生かしての素晴らしい景観であり、神保町、一ツ橋、錦町と、他所にはない歴史学術ゾーンであり、訪れた人々に落ち着いた印象を与える都心の貴重な存在になると思います。
私たちは「歴史あるイチョウの街路樹を残して道路整備をしてください」とお願いしているだけなのです。
7 切られてしまった2本のイチョウの樹は、神田警察通りのⅡ期の工事区間のシンボルとなり、私たちに、住民自治の基本である情報公開、民主主義の基本であるそれぞれの意見を尊重して、違いがあれば充分な話し合いをして、決して一方の都合により打ち切ったりしない教訓の象徴として訴え続ける所存であります。
8 今回、私たちが、千代田区の監査委員に対して、監査請求をしたにもかかわらず、その審理が始まろうとしている段階で、2本のイチョウの樹が伐採されてしまいました。
この裁判は、それに対して、千代田区の責任を追及するための裁判であり、裁判所に置かれては、以上のような事情を十分にご理解いただいた上で審理をお願いしたいと思います。
◇ ◆ ◇
1 私は、正に、今回の第Ⅱ期工事区間に居住している者で、このたびイチョウの木を伐採するという寝耳に水の話に大変驚いております。
我が家には工事に関するアンケートが配られることもなく、千代田区や町会長からのアナウンスもまったくありませんでした。そこで千代田区や千代田区長に対して陳情や要望書を提出し、なお且つ、千代田区の担当者へ電話をしたり、千代田区長への面会を何度も依頼してきましたが、すべて無視され、我々の気持ちを伝えて、理解を求めることができませんでした。
2 それどころか、住民監査請求を提出中であるにもかかわらず、4月27日の深夜0時30分頃、イチョウを見守る私たちを騙し討ちにするべく、区から依頼を受けた業者が2本の元気なイチョウの木を切り刻みました。その悲しい有様はその場に居合わせた住民たちを大いにいたぶり、失望させ、心を深く傷つけました。
その光景は今も頭から離れることなく、大型車両の走行音で反応したり、工事作業車を見ては指先が震え、フェンスに囲まれている自分の夢を見たり、毎日があの日のトラウマとなって私たちを苦しめております。
3 私たちは神田警察通りに歩道拡張工事の計画があることは以前から知っておりました。共立学園前のイチョウが伐採されることなく、無事に立派な歩道と自転車道が完成したのは誰もが知る話です。ですから、その後の工事も引き続き同じ工法で進められていくものと信じて疑いませんでした。
しかし、昨年12月、千代田区がイチョウの伐採を始めようとしていること、そして、それを後押しする町会長たちを取りまとめているのが、我が町の町会長、副町会長であることを知り、この方々への説得は困難であることを承知している私たちは、錦町三丁目町会を脱会し、「伐採反対」を前面に出て訴える決意をいたしました。
これは娘共々、大好きな「神田祭」にも参加できなくなるという、私たちにとっては非常に大きな決断でもありました。
4 ところが、私たちは2本のイチョウを守り切ることができませんでした。あの日、4月26日の夜は風の強い日で深夜からは雨の予報も出ていました。おそらく今夜の工事は無しだろうということで、午前0時、4人の住人を残してほとんどの仲間が帰宅していきました。
そして、その30分後にとうとう区の騙し討ちが強行されたのです。私たちが見守っていた当初の工事区間ではなく、思いもよらぬ場所に作業車を止め、伐採の準備を始めていました。気づいた時には時すでに遅く、歩道にフェンスが置かれ私たちは一歩たりとも足を踏み入れることが許されませんでした。それでも、私の娘二人と駆けつけた仲間の1人がフェンス内に入り工事を止めさせるべく前進しようとすると、区の職員がフェンスを使って押し返すというようなやり取りが続きました。
この間にチェーンソーは轟音とともに1枝、2枝とイチョウを切り刻み始めたのです。いつの間にか警官たちも中の3人を取り囲み、フェンスの外からの「止めて!」「切らないで!」という叫びも虚しく、あっという間に2本の元気で立派なイチョウの木を切り落としてしまいました。
5 私は、もう二度とこのような悔しく悲しい思いはしたくありません。これはまさに住民や署名・陳情を出してきた人々を無視する騙し討ち行為であり、これを行った区や区の職員、またそれを指示した区長を訴えるに値するものと思います。
街のシンボルである2本のイチョウを伐採し、なおかつ住民を無視して苦しめる千代田区に対し、損害賠償を請求いたしますので、そり審理をお願いします。
◇ ◆ ◇
これまでも何度も書いてきた。記者は原告の側でも被告の側でもなく、ましてやそれを裁く清廉潔白・公平無私の裁判官でもない。この20年間〝街路樹が泣いている〟の見出し記事を書き続けてきた街路樹の味方だ。
だが、しかし、今回の問題は、街路樹の立場を抜きにしても、どう贔屓目にみても落ち度は千代田区にある。住民合意のイロハである地域住民の声を聞いていないことが明々白々だ。当然踏むべきプロセスを全く経ていない。第Ⅰ期工事で「説明不足」と認めイチョウを残しながら、その意趣返しのように第Ⅱ期では〝伐採ありき〟を貫いてきた。
専門家の声を「聞き置く」にとどめ、町会組織を下請け機関のように扱い、子供だましのような恣意的なアンケートを実施し、ひたすらアリバイ作りに狂奔してきた。SDGsやESGの視点は欠片もない。
裁判官がどのような決断を下すか。その行方は分からないが、原告側の今回の訴えは今後の街路樹のあり方に一石を投じる、エポックメーキングになるような気がする。街路樹をどうするかの問題は、マンション管理でいえば、全員合意か5分の4の賛成が必要な重要な事案ではないか。
ただ一つ、イチョウの立場からすれば、原告側が損害賠償額を2本で22万円としたのは理解できない。小生の1年間の酒代とたばこ代を合わせた額より少ない。損得を抜きにしたけなげな姿勢には涙が出るほど嬉しいが、どうしてそんな安値なのか。閉店間際のスーパーの食材と一緒にしていいのか。
神田警察通りのイチョウが東京オリンピックの1964年に植えられたとすれば、その後58年間、異議を唱えることも推進派と反対派を差別することなく、ひたすら役に立つことだけを考え立ち尽くしてきたことに対する評価は、1本当たり年間約1,900円、月額で158円、1日当たり5円だ。1日少なくとも1,000人に恩恵を施してきたとすれば、1人当たり0,005円だ。毛ほどの価値もないことになる。
損害賠償額は、皆さんの精神的苦痛を金額に換算した額ではあることは承知しているが、皆さんの苦痛はイチョウも同じだ。どう考えてもこれは間尺に合わない。それだけではない。イチョウはこの先、よほどのことがなければ日々成長し100年、200年生きられる。将来利益を考慮すれば、1本1,000万円、2,000万円の評価だってありうる。わが国も街路樹の価値を定量的に計る物差しをつくる必要がある。
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カフェ空間「Ground」
三菱地所ホームは7月7日、本社を国際赤坂ビルから新宿イーストサイドスクエアに移転したのに伴う、様々な機能を実装した新オフィス「TOKYO BASE」をメディアに公開した。
新オフィスは、三菱地所グループとしては初めてABW(Activity Based Working)を採用し、座席は固定席から自由に選択できるフリーアドレスに変更。全ての社員のパフォーマンスを最大化する「MJH10のワークポイント」を設けた。
また、カフェ空間や執務エリアに社員が休息するリチャージスペースを設け、構造材を産出する取引先から提供を受けたスギ、ヒノキ、カラマツの間伐材の原木を設置している。
社会課題への関心・具体的な取り組みを促進できる機能として、国産材、端材を活用したカフェ空間「Ground」、原木5本と人工芝を施し、自然音をハイレゾ音源で再生する音響効果による仮想の外部空間「Mori」、執務エリアと「Ground」を仕切る全面ガラスウォールを採用している。
さらに、オフィス内でカラマツの苗木を育てる「(仮称)苗木の循環プロジェクト構想」をスタートさせた。
新本社は、都営大江戸線・東京メトロ副都心線東新宿駅に直結する新宿イーストサイドスクエア7階の延べ床面積571坪(1,890㎡)。デザイン企画は三菱地所ホーム。設計監理はイトーキ。施工はイトーキ、三菱地所ホーム。
カフェ空間「Ground」受付カウンター
スギの原木
◇ ◆ ◇
この日(7月7日)、小生は糖尿病の定期検診があり、取材時間には間に合わなかったが、リリースをコピペしたくなかったので、少しは見せてくれるだろうと若松河田駅近くの病院から隣駅・東新宿駅にある同社新オフィスに電車で駆けつけた。
受付カウンターなどいたるところに木を活用した空間が演出されているのを眺めていたら、広報担当の女性から声を掛けられ、「皆さん、このように願いごとを書かれています。『糖尿が治りますように』とでも書いて下さい」と勧められた。
七夕といえば中学生のころだ。お金持ちの娘の彼女と貧乏百姓の息子の自分が結ばれるはずがないと思いながらも、満天に広がる天の川の星空を見上げながらはらはらと落涙したものだ。
そんな甘くて切ない遠い思い出を呼び覚ませてくれた彼女の勧めを無粋に断るわけにもいかず、治るはずもないのに「糖尿が治りますように」と短冊に書いた。
笹の葉には、「仮想通貨が値上がりしますように」「プードルを飼いたい」「楽しい旅行がしたい」「娘と仲良くしたい」などと、夢も希望も愛の欠片もない我欲に満ちた言葉が書き連ねられていた。書いたのはメディアの方か社員の方か知らないが、七夕はもはや死語だ。東京の空から星が消えてからどれくらい経つのか。
「Mori」
「Mori」に設置されているプロダクト
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彦星と織姫の続き。皆さんは西田佐知子さんの「アカシヤの雨がやむとき」をご存じか。60年安保と同じ1960年にリリースされた歌謡曲で、当時の世相を反映した曲として大ヒットした。70年安保の世代の小生ではあるが、この曲はよく歌った。
なぜ、こんなことを書くのかというと、先日、三菱地所が新国際ビルに設けた「有楽町SLIT PARK(スリット パーク)」を取材したとき、近くの道路の街路樹にアカシヤ(ニセアカシア)が植えられており、そこからこの曲と清岡卓行の1970年の芥川賞受賞作「アカシヤの大連」を思い出した。太平洋戦争前後の青春期に過ごした中国・大連を舞台に描いた私小説だ。その小説の一部を紹介する。
「五月の半ばを過ぎた頃、南山麓の歩道のあちこちに沢山植えられている並木のアカシヤは、一斉に花を開いた。すると、町全体に、あの悩ましく甘美な匂い、あの、純潔のうちに疼く欲望のような、あるいは、逸楽のうちに回想させる清らかな夢のような、どこかしら寂しげな匂いが、いっぱいに溢れたのであった。
夕ぐれどき、彼はいつものように独りで町を散歩しながら、その匂いを、ほとんど全身で吸った。時には、一握りのその花房を取って、一つ一つの小さな花を噛みしめながら、淡い蜜の喜びを味わった…そして彼は、この町こそやはり自分の本当のふるさとなのだと、思考を通じてではなく、肉体を通じてしみじみと感じたのであった」
「彼女の出現は、急激に、彼の心の奥底に眠っている何かを揺さぶり起こしたようであった…あの不定形な女のイメージが、しだいに輪郭をはっきりさせてきて、まさしく彼女の面影と一致するようになってきたのであった。…それは、彼にとって、生まれて何回目に経験する、大連のアカシヤの花盛りの時節であっただろう。彼は、アカシヤの花が、彼の予感の世界においてずっと以前から象徴してきたものは、彼女という存在であったのだと思うようになっていた」
「『彼女と一緒なら、生きて行ける』という思いが、彼の胸をふくらませ、それは、やがて、魅惑の死をときどきはまったく忘れさせるようになっていた」
清岡がこの小説を書いたのは、「アカシヤの雨がやむとき」から9年後の1969年、愛妻(小説に登場する「彼女」、とても美人だったとか)を亡くした47歳のときだった。そして、彼女との別れに踏ん切りがついたのか、その翌年に再婚した。
◇ ◆ ◇
アカシヤの並木と「彼女」を重ね合わせた何と美しい詩的な小説であることか。記者はいま、千代田区の神田警察通り道路整備事業で街路樹のイチョウが伐採されることに対する批判記事を書いているのだが、25歳の女性が住民監査請求を行い、その陳述を監査弁護士が絶賛した。その一部を紹介する。
「4月27日の深夜、大林道路の職員は私たちの目の前で無残にもイチョウを切り落としました。私たちはその間、区職員と警察に囲まれ、木に近づくことができませんでした。あの日の光景がトラウマとなり、一ヶ月以上が経った今でも工事車両を見ると手が震えます。伐採の瞬間の動画を見れば、胸が締め付けられ苦しくなります。工事をするはずのない日中でさえ、バイクの音がチェーンソーの音に聞こえ、現場に行って木の無事を確認せずにはいられません。もちろん仕事にも支障をきたしています。先ほど述べた、夏の暑さを感じやすい車椅子利用者の方の意見も然り、『イチョウを伐採しないことによる危険性』だけでなく、『イチョウを伐採することによる危険性』も考慮すべきです。
私は千代田区に生まれ育ち、これまで神田っ子として自分の故郷に誇りを持って生きてきました。神田祭は二年に一度の楽しみであり、生き甲斐でした。しかし、伐採に反対することは同時に、伐採を推進する町会長が治める町会を脱退しなくてはいけないことを意味していました。もちろん神田祭に出ることも許されません。神田っ子にとって神田祭は本当に大切な行事であり、それに出られない、自分の町会の神輿を担げないということを受け入れるには相当な覚悟が必要でした。そもそも町会云々、祭云々以前に、伐採推進派である町会長たちはご近所として私が生まれる何十年も前から家族ぐるみで付き合いのある方たちで、私のことはもちろん赤ん坊の時から知っているような方たちです。私も親のように慕っていたので、このような形で縁を切らざるを得なかったことを非常に残念に思います。これも千代田区が生んだ地域の分断です。千代田区環境まちづくり部は、環境とまちを壊しただけでなく、私たち住民の関係性も、心も全てを壊しました。これ以上大切な故郷を壊されるのは許せません。どうか私たちの声を聴いて頂けないでしょうか。私は一人になっても最後まで闘う覚悟です」
長々と引用したが、アカシヤもイチョウも同じだ。雨にも風にも負けず、車が撒き散らす排気ガスや騒音、高層ビルによる日陰などに屈せず、まっすぐに伸び、老若男女、金持ちも貧乏人も賢者も愚者も別け隔てなく樹陰を降り注いでいる。人間の数倍は生きられる。そんな伸び盛りの街路樹を「枯損木」などと勝手に決めつけ、死刑宣告をし、処分しようとしている。そんなことが許されていいのか。
七夕の今日、皆さんも考えていただきたい。同社が目指す「『TOKYO BASE』を起点に地域とつながり再造林や森林保全の大切さを社会に浸透させていく試み」に通じるものがあるのではないか。
素晴らしいの一語 市民に開放を ナイス 本社ビル木質化リノベ/対照的な歩道の雑草(2022/6/27)
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施設外観
三井不動産は7月4日、大阪府門真市のパナソニック工場跡地約164,000㎡で開発を進めているA街区の施設名称を「三井ショッピングパーク ららぽーと門真」(ららぽーと門真)と「三井アウトレットパーク 大阪門真」(MOP 大阪門真)と決定し、2023年春の開業を予定していると発表した。
ファッションや食などの日常的な買い物体験のほか、国内外のブランドショッピングに加え、様々な体験型エンターテインメントを提供し、ワンストップで満喫できる、従来の枠を超えた商業施設を目指すとしている。
「門真」の施設の開業に伴い、1995年3月に開業した「三井アウトレットパーク 大阪鶴見」は2023年3月に閉館する。
施設は、京阪本線・大阪モノレール線門真市駅から徒歩約8分、敷地面積は約116,700㎡(約35,300坪)、店舗棟は鉄骨造地上4階建て、立体駐車場棟は鉄骨造6層7段2棟。延床面積は約196,800㎡(約59,500坪)。店舗数は約250店舗。基本設計は石本建築事務所。実施設計・監理・施工は竹中工務店。
計画では、A街区のほかB街区の分譲マンション約5,600㎡(三井不動産レジデンシャル)、C街区の会員制倉庫型店舗約34,000㎡(コストコホールセールジャパン)、D街区の事業所約7,700㎡(東和薬品)も計画されている。