RBA OFFICIAL

IMG_3094.jpg
「SI(エス・アイ)事業」「浜松」モデルハウス

 積水ハウスと遠州鉄道は12月9日、積水ハウスの「SI(エス・アイ)事業」を採用したメディア向けモデルハウス見学会を行った。同事業のモデルハウス見学会は初めてで、東京から往復で約3時間、交通費約16,000円をかけて取材し、記事化する〝価値〟はあったと思う。この事業の利点も課題も見えたような気がする。

 「SI(エス・アイ)事業」は、建物の「S(=スケルトン)」部分の基礎、躯体、接合部、施工を積水ハウスグループが、「I(=インフィル)」部分の設計、外装や内装、設備はパートナー企業が担う仕組み。2023年9月から開始しており、これまでパートナー企業は12月9日に発表した遠州鉄道と埼玉県の大賀建設を加え10社となった。受注目標は2025年度までに年間300棟。

 〝目玉〟の「ダイレクトジョイント(DJ)構法」は、建物の基礎部分と柱を金物とアンカーボルトで直接つなぐことで、従来の木造工法の弱点を解消するもの。この構法を採用することにより、一般的な在来工法の幅約3600ミリ(2間)のLDK空間を幅4550ミリに広げることが可能になり、在来工法では4枚の耐力壁が必要なのに対し、2枚の耐力壁で同レベルの耐震性を確保できる。

 遠州鉄道取締役社長・丸山晃司氏は「当社は『遠鉄ホーム』のブランド名で、静岡県西部を中心に新築住宅事業を展開しており、5,500棟以上の建築実績があります。南海トラフ地震が懸念される今、SI 事業に参加し、DJ 構法の高い耐震性と、弊社が培ってきた設計力・提案力を融合させることで、より安全・快適な住まいづくりをお届けいたします」とコメント。

 見学会で積水ハウス経営戦略本部戸建事業戦略部SI戦略室エグゼクティブ・スペシャリストの樋口雅信氏は「在来工法は基礎と土台を接合する精度が欠ける課題があるが、ダイレクトジョイント構法は金物で直接接合して精度・強度を高めている。当社のシャーウッドと同じ施工方法。壁倍率は7.3倍で、耐震性を高めるとともに大開口を実現した」と語った。

 また、遠州鉄道遠鉄ホーム設計課課長代理・大瀬浩太氏は「当社は過去30年間で5,500棟、年間にして200棟の注文・分譲戸建てを供給している。コラボレーションモデルは高強度の構造を生かし、LDKは約21帖を確保するとともに窓面を大きくし内と外をつなぐ設計にした。アクセント壁などに天竜杉や遠州綿紬を採用した。価格は坪80万円台を予定している。価格はハウスメーカーよりは安く、地域の相場よりは高い」と話した。

 建物は、浜松駅から車で約20分の浜松市中央区上島4丁目、土地面積約183㎡、2階建て延床面積約117㎡。1階天井高は2500ミリ、2階は2400ミリ。

IMG_3143.jpg

IMG_3097.jpg
基礎と土台の部分

IMG_3101.jpg
「ダイレクトジョイント(DJ)構法」のプレートが基礎部分に埋め込まれている

IMG_3109.jpg _LO_7089.jpg
樋口氏(左)と大瀬氏

◇        ◆     ◇

 モデルハウス見学会の案内状が届いたとき、当然、交通費・時間のコストを計算し、それを上回る価値がある情報を提供できるかどうかを計算した。結果は〝取材すべき〟となった。百閒は一見にしかず。同社の「SI(エス・アイ)事業」に関するプレス・リリースでは分からなかったことが分かり、同時に課題も見えた。

 「S(=スケルトン)」はさすがというべきか。記者は、「耐力壁ジャパンカップ」というイベントを10回以上取材してきた。木造建築の耐震性を向上させるには接合部分がもっとも重要だということを知った。「ダイレクトジョイント構法」はその課題を解消したものだ。 樋口氏は、「基礎を観ていただければ、当社施工であることは見る人が見れば分かる」と話したが、これは分からない。基礎のコンクリに塗装が施されていることなど誰もチェックなどしないはずだ。〝見る人〟とは〝プロ〟だと思う。

 課題も分かったような気がした。全体の外観から受けた印象は、積水ハウスのこれまで見てきた『シャーウッド』とは違った。コストを抑制する企図があったのだろう。ほとんど総二階建てで、二階にバルコニーはなし(これはこれで需要者のニーズに応えるものだと思うが)。階段幅は尺モジュールだった。

 しかし、柱、梁型がほとんどなく、シンプルなLDK空間提案はとてもよく、GRAFTEKT(グラフテクト)を採用したグレーを基調としたシステムキッチンは素晴らしいと思った。

IMG_3136.jpg
、GRAFTEKT(グラフテクト)製キッチン&テーブル一体型システムキッチン

IMG_3140.jpg
、GRAFTEKT(グラフテクト)製キッチン

IMG_3135.jpg
天竜杉を採用した天井

◇        ◆     ◇

 取材の帰り。駅前の遠鉄デパート前で、一袋300円(3~5個)、重さ1キロ以上の富有(富裕)柿だか次郎柿だかを何のためらいもなく買った。多分、都内のスーパーの半値以下。何を買ってもいつもかみさんに〝こんなのを買ってきて〟と怒られるのに久々に褒められた。

 記者が大好きな絹谷幸二のネクタイもこの前、ネットで3本を通常価格の3分の1の値段で買った(うち1本は恥ずかしくて身につれられるものではないが)。素晴らしい。ただ、肝心の坪単価80万円のモデルハウスが高いのか安いのかは、さっぱりわからない。

_LO_7164.jpg
見学会後の記者発表会(左から遠州鉄道取締役 不動産事業本部長・鈴木憲之氏、同社住宅事業部長・渡邊一弘氏、積水ハウス常務執行役員 経営戦略担当・廣田耕平氏、同社経営戦略本部 戸建事業戦略部長・板倉浩二氏)

「S(スケルトン)」は積水ハウス、「I(インフィル)」はパートナー企業のSI事業(2023/8/28)

AQ Group 木造耐力壁の強さを競うカベワングランプリ 3年連続トーナメント優勝(20224/10/12)

カテゴリ: 2025年度

パースurayasu11_gaikan_1200_800用.jpg
「ヴィラージア舞浜 憧憬の邸宅」

 ポラスグループ中央住宅は12月4日、千葉県浦安市の分譲戸建て「ヴィラージア舞浜 憧憬の邸宅」(12戸)のメディア向け見学会を行った。周辺物件は土地面積70㎡前後、価格6,000~7,000万円が中心であるのに対し、土地面積を全戸100㎡とし、街並みを整備し、デザインにこだわり、本物の木など自然素材を多用して差別化を図ったのが奏功、価格は8,000万円前後に設定したにもかかわらず、第1期の販売対象5戸のうち4戸に販売当日に申し込みが入るなど好調なスタートを切った。

 物件は、JR京葉線舞浜駅から徒歩15分(東京メトロ東西線浦安駅からバス17分徒歩5分)、浦安市富士見5丁目の第一種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する全12戸。土地面積は100.55~136.57㎡、建物面積は90.94~99.73㎡、価格は7,490万~8,990万円(第1期6棟)。完成予定は2025年12月中旬。施工はグローバルホーム。構造・規模は木造2階建て(2×4工法)。

 8月から広告を開始し、これまでのエントリー数は187件。11月1日からモデルハウスを公開し、11月28日から第1期6戸のうち5戸の販売を開始。当日、4戸に申し込みが入った。

 エントリーの属性は、47%が市内居住者で、そのほか近隣の江戸川区、船橋市居住者など広域から集客できている。居住形態は57%が賃貸、マンションは18%、戸建ては9.5%。

 主な基本性能・設備仕様・デザインは、長期優良認定住宅認定、塗り壁調や石積・木調デザイン、有孔ブロック、リビング天井高2.7m、CPガラス、ソフトクローズ開き戸、挽き板フローリング、食洗機、床暖房など。

 見学会で登壇した同社マインドスクェア事業部東京東事業所部長・伊藤雄一氏、同部営業企画設計課2係係長・大島一麿氏は、「都心近郊のリゾートスタイル」をコンセプトに、市の景観条例に適合させるために1年くらい時間をかけ企画を練り、リゾートのような街並みをデザインし、塗り壁調、石積み調、有孔ブロック、寄棟、片流れ、シダーパネル、エコカラット、調光可能なLEDダウンライトなどを採用したことなどを話した。

また、同部東京東事業所営業課課長・佐野渉氏は、予想を上回る反響であり、他社にはないデザイン、天井高、自然素材を多用した商品企画が評価されたことなどを強調した。

パースurayasu11_PLAN11_1200_800用.jpg
モデルハウス

urayasu11_PLAN1_1200_800用.jpg
モデルハウス

IMG_2944.jpg
現地

カテゴリ: 2025年度

三井ホーム.png
「駒沢公園第三モデルハウス」完成予想図

 三井ホームは11月17日、同社の木造住宅の新工法「MOCX WALL(モクスウォール)」を初採用した「駒沢公園第三モデルハウス」構造見学会を行った。壁倍率30倍以上の耐力壁を確保しつつ、独自開発した釘を採用することで、これまではツーバイフォー工法では難しかった大空間・大開口を実現するもの。「MOCX WALL工法」は昨年10月から販売されている商品。商品特性をアピールするため、LDKを道路側の2階に配し、約6mのコーナーサッシ&約4.3mの天井高とし、リビングとバルコニーとの段差〝またぎ〟をなくしているのが特徴。

  見学会で同社技術研究所研究開発グループチーフマネージャー・上迫弘幸氏は、「『MOCX WALL』は『モクシオン稲城』をはじめとする木造マンションのために開発した当社の独自工法で、建物の強度を維持しつつ、設計・デザインの自由度を高めたもの。ねじと釘のいいとこ取りをしたのが重要なポイントで、壁倍率を確保するため、一般的な釘より太くし、スクリュー加工を施したオリジナルのNX釘を採用している。これにより、壁量を減らし、下がり壁をなくし大開口を実現した」と語った。

 また、同社注文住宅事業推進室開発グループマネージャー・大川洋平氏は、「メインターゲットはアッパーミドル・富裕層。土地価格の上昇・敷地条件などを考慮し、リビングは2階に設けたのが特徴の一つで、さらに、最近の富裕層向けモデルハウスは安全性・プライバシーの観点から外と内を閉じるのがトレンドとなっているが、今回のモデルハウスは逆に、道路に面した2階の角に大開口のコーナーサッシを設けることで視認性を高めかつ、バルコニーには植栽を施すことでプライバシーの確保も図っている」話した。

モデルハウスは、敷地面積約238.40㎡(約72坪)、1階床面積126.05㎡(約38坪)、2階床面積118.13㎡(約35坪)、合計延床面積244.18㎡(約73坪)。「MOCX WALL工法」は昨年10月から販売されているが、モデルハウスを建設するのは今回が初めて。「MOCX WALL」は今後の標準仕様としていく。

IMG_1519.jpg

IMG_1516.jpg IMG_1522.jpg
上迫氏(左)と大川氏

IMG_1524.jpg
従来の釘(左)とオリジナルのNX釘(抜くときは自力で抜けるのか聞くべきだったか)

IMG_1526.jpg

◇        ◆     ◇

 見学会では、初めて知ったことが2つあった。一つは〝またぎ〟解消。記者はもう20年以上も昔からリビングとバルコニーの段差〝またぎ〟を解消するフラットサッシを採用すべきと主張してきた。一時期、マンションでは流行したが、フラット化を実現するためには階高を上げないとできないためか、採用するところが最近は減っているように思う。大手ハウスメーカーはとっくの昔に標準化していると思っていたが、そうではないようだ。フルフラットを標準化しているハウスメーカーが伸長するのはよくわかる。

 もう一つ。記者団から「天井高4.3mは業界初か」という声があったことだ。2階建てだろうが3階建てだろうが、天井高をどれだけ確保しようと自由だ。最近の分譲戸建てはリビング天井高を高くするのが当たり前になっている。ハウスメーカー担当の記者の方はデベロッパーの分譲戸建てなど全く見学しないからこのような声が飛ぶのだろう。ここにコスモスイニシアの「田園調布」「井の頭公園」の記事も添付する。

 住宅着工の持家がどんどん減少しているのは、このような業界と記者のレベルと関係があるのかと疑いたくなるような見学会でもあった。

◇        ◆     ◇

 同社は、プロトタイプの価格については「決まっていない」と話した。記者はおおよその見当は付くが、マンションほど自信はないので書かないことにする。同業他社の最近の「駒沢ハウジングギャラリー」のモデルハウスの記事を添付する。参考にしていただきたい。

外観・内装とも黒・グレーが基調玄人の虜になるか旭化成ホームズ「FREX asgard」(2025/3/4)

「希」に見る設計依頼 1か月で来場100組超大和ハウス富裕層向け「MARE」(2021/6/2)

〝生活を紡ぐ(life knit)〟積水ハウスの新提案モデルハウス「HUE(ヒュー)」(2023/7/27)

「木」の中層マンション「MOCXION(モクシオン)」第一弾三井ホーム「稲城」見学会(2021/2/7)

三菱地所ホーム木造の常識を覆す新構法「FMT」富裕層・非住宅用途に照準(2020/9/4)

〝三菱地所を、見に行こう。地所ホームで家を建てよう〟赤坂に素晴らしい施設(2017/7/13)

井の頭公園に2分隣接地も公園リビング天井高4m超コスモスイニシアの戸建(2024/10/23)

一頭地を抜くコスモスイニシアの都市型戸建て「田園調布桜坂」「成城」(2018/4/20)

圧巻の1・2階の天井・サッシ2.72mだからこそ不満も 大和ハ「xevoΣ PREMIUM」(2018/9/29)

商品差別化の武器になるノンレールサッシ 大和ハウス工業(2005/8/19)

「ノンレールサッシ」の普及・促進を(2004/9/6)


 

 

カテゴリ: 2025年度

IMG_1311.jpg
「リーズン船堀アイ・ラウンジ(REASON FUNABORI I-LOUNGE)」

 ポラスグループ中央住宅は11月11日、江戸川区の分譲戸建て「リーズン船堀アイ・ラウンジ(REASON FUNABORI I-LOUNGE)」のメディア向け見学会を行った。埼玉・千葉を本拠にする同社としては珍しい狭小敷地の3階建て全10戸で、9月12日からの完成販売を行い、これまでに6戸を成約するなど、好調な売れ行きを見せている。厳しい斜線制限をクリアし、2階リビング天井高を2700ミリ確保下商品企画と、マンションとの価格的競争力もあることが人気の要因で、土地柄もあり外国人の関心も高いようだ。同社は今後、この種の3階建てを増やす意向だ。

 物件は、都営新宿線船堀駅から徒歩16分、江戸川区松江4丁目の準工業地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する全10戸。現在販売中の住戸(4戸)の土地面積は71.50~79.94㎡、建物面積は99.46~109.54㎡、価格は6,490万~7,790万円。建物は2025年7月完成済。構造は2×4工法3階建て。施工はグローバルホーム。

 建物の完成を待って9月12日から販売を開始し6戸を成約。反響数は192組。半数は地元で、約3割は外国人。

 現地は、船堀駅北口の遊歩道「船堀グリーンロード」を抜けた町工場、2~3階建て住宅が建ち並ぶエリアの一角。敷地は北西側の幅員5mの道路に接道。敷地中央に幅員4.5mの私道(コミュニティ道路)を設け、建物は道路を挟んでそれぞれ5戸ずつ配置(1棟は2階建て)。主な基本性能・設備仕様は、カースペース・セミビルトインガレージ、2階リビング天井高2700ミリ(1・3階は2400ミリ)、食洗機、挽板フローリング、床暖房、ソフトクローズ機能付きドアノブ、外水栓、バルコニー水栓など。

 同社戸建分譲設計本部設計二部参事・本堂洋一氏は、「23区で初めての3階建てで、高度地区、斜線制限を受けながら、設計には時間をかけ工夫を凝らした。外観や木を取り込むなど空間デザイン性も高めており、同業他社の3階建てと一線を画す建物に仕上げた。この種の3階建て供給エリアを都内で広げられるのではないか」と語った。

 また、物件の企画・販売を担当する同社戸建分譲千葉事業所市川営業所主任・松田英明氏は「営業所は昨年11月オープン。江戸川区での分譲は2か所目。駅に近いマンションか駅からはややあるが戸建てかを検討されているお客様が多い。土地柄、外国人の方も多く約3割。翻訳アプリ、アンケート、フリー見学などコミュニケーションを取るのに苦心しているが、年収は1,000万円以上の方が多く属性が高いのが特徴」と話した。

IMG_1314.jpg
本堂氏

◇        ◆     ◇

 記者はこれまで3階建ての分譲戸建てを見学・取材したことは数えるくらいしかない。同社の3階建てを見学するのは初めてではない気がしたので、検索したら2017年8月に見ていた。ただ、3階建ては圧倒的に少ないはずで、年間2,700~2,800戸のうち数%とのことだった。

 23区内の分譲戸建ては、低層住居専用地域などを除き3階建てが普通になっている。松田氏も話したように、23区内のマンションの坪単価は400万円を突破している。20坪で8,000万円以上だ。駅からの距離はともかく、価格的には十分競争力がありそうだ。

IMG_1308.jpg
「船堀グリーンロード」

周囲の街並みに配慮大和ハウス 3階建て分譲戸建て「セキュレア文京目白台」(2020/6/29)

ペンシル戸建てと一線画す都心ど真ん中に3階建て分譲大和ハウス「四谷三栄町」(2019/6/29)

ポラス学生コンペ実物件化モデルハウスを公開 ミニ開発の難点を解消(2017/8/12)

 

 


 

 

カテゴリ: 2025年度

Screenshot 2025-10-04 at 12-01-00 24dcefd4cc6c800d6fb63d85fe3b0f393cbc17aa.pdf.jpg
「フォレストレ大和田GXgrade」

 ポラスグループのポラスマイホームプラザは10月3日、ZEH水準を上回る「GX志向型住宅※」の要件を満たした分譲戸建て「フォレストレ大和田GXgrade」(全17戸)のメディア向け見学会を行った。「GX志向型住宅」の要件を満たしている分譲戸建てを見学するのは初めてだったが、ZEH水準の断熱仕様で、延床面積に対する開口・窓面積比率を一般的な住宅の約半分の12.4%にすることでGX志向型に対応しているのが特徴。また、同社初の床下に大容量の貯水用タンクを搭載しているのに驚いた。

 「GX grade」の特徴は、①ハイブリッド給湯器や太陽光パネルによって、ZEH水準の住宅と比較し、年間85,259円(うち太陽光発電分75,369円)の水道光熱費を削減②住宅の室内は、断熱等級5と比較して冬場で1.8~2.0度の差がある③高出力・高効率を実現させた太陽光モジュールを採用④ハイブリッド給湯器「ECO ONE X5」を採用⑤アルミ樹脂複合フレームとLow-E複層ガラスにより国内最高レベルの断熱性能を実現したアルゴンガス入り窓を採用-していることなど。

 また、レジリエンスの取り組みでは、①太陽光発電時でもスマートフォンの充電や家電の使用が可能②床下に大容量貯水タンク「マルチアクア」を搭載していることで常時36Lの水を貯蔵。水道水を普段使いしながら、災害時は4人家族3日分の飲用・調理用水が確保される③大型パントリーや保安灯を設置することで、多めの食材をストックでき、停電時も足元を照らすことができる。

 見学会で、同社営業企画設計課課長・内野貴通氏は、「昨年、子育てグリーン住宅支援制度が創設されたのをきっかけにGX住宅開発に取り組んでいる。GXは世界的課題でもあり、分譲戸建てで取り組むことで業界をリードしていく。注文住宅検討者や未来志向のお客様にアピールできており、補助金(160万円)も販売促進材料になっている」と話した。

IMG_8922.jpg
内野氏

 また、同社営業企画設計1課係長・髙橋健太郎氏は「コンセプトは〝街と人のかけがえのない出逢い〟。ハード面だけでなくソフト部分のレジリエンスの取り組みを重視しているのが特徴」とし、細かな点についても配慮していることを説明した。

IMG_8924.jpg
高橋氏

 ポラス暮し科学研究所住環境Gグループ長・野田将樹氏は「当社グループは年間供給している2,500~2,600戸の分譲戸建ては全てZEH水準だが、この物件は性能の高い樹脂サッシと2重天井断熱を採用し、ZEH水準の断熱材と、高性能のサッシを採用することでGX型に対応できているのが特徴。延床面積に対する開口・窓面積比率は通常20%前半だが、この物件は12.4%。窓面積を半分にしたことが正解かどうかは分からないが、私は違和感を覚えなかった。2027年に予定されている改正ZEH基準の先行チャレンジになる。また、床暖房も搭載していないが、搭載してもGX型住宅に対応できることが確認できている。ちなみに省エネ率基準は35%以上だが、ここは42%確保できている。現在、30棟を対象に実証実験を行っているが、ほぼ狙い通りの数値が得られている」と語った。

IMG_8927.jpg
野田氏

 続いて、同社・森田昌久部長は同社の歴史や今後の展開について「当社グループの中では歴史の浅い会社だが、埼玉県子育て応援住宅供給量ではトップの418戸を供給しており、GX型住宅の取り組みを行っているのは当社のみ。今後も子育て、GX、レジリエンスに力を入れていく。蓄電池搭載も考えている」などと話した。

IMG_8933.jpg
森田氏

 物件は、東武アーバンパークライン大和田駅から徒歩14~15分、さいたま市見沼区堀崎町の第一種中高層住居専用地域に位置する全17戸。土地面積は100.10~109.45㎡、建物面積は93.46㎡~95.93㎡、価格は4,490万~5,990万円。

 今年8月に第1期として10戸を分譲開始し、これまでに4戸が成約済み。反響数は61件。顧客の属性は年齢は30代後半、年収は900万円前後、注文住宅を検討している近隣居住者が中心。

 同社はこのほか、昨年から「北浦和」(12戸)「桶川」(2戸)などを含めGX志向型37戸を分譲しており17戸が成約済み。GX志向型にすることで、ZEH水準よりコストは100万円アップするが、補助金や光熱費の削減で吸収できるのがセールスポイントになっているようだ。

※「GX志向型住宅」は、①断熱等性能等級6以上②再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量削減率35%以上③再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量削減率100%④高度エネルギーマネジメントの導入の4つを満たすことが必要

IMG_8925.jpg
「マルチアクア」

◇        ◆     ◇

 各氏がプレスリリースや配布資料に基づいて説明したのを、ふむふむと頷きながら聞いていたのだが、野田氏が話の途中で、リリースにも配布資料にもない窓面積比率に言及したのにびっくりした。ちょうど、大腸ポリープを切除したことで腹痛から解放されたときのように、ずっと疑問に思っていたことがストンと腑に落ちた。

 なぜ腑に落ちたかについて、少し長くなるが説明する。記者は、2025年度の子育てグリーン住宅支援事業にGX志向型住宅と長期優良住宅とともに、ZEH水準住宅も対象になったのにはいささか驚いた。良質住宅の普及に誘導しようという意図は分からないでもないが、政府は2030年までにすべての新築住宅がZEH水準を満たすことを目標に掲げている。つまり、ZEH水準はあと5年で当たり前になる。当たり前になる住宅に対して国費を投入するのは如何なものかと思ったからだ。

 この事業に、全国分譲戸建てシェア約3割を占める飯田グループホールディングスが敏感に反応した。同社は一昨年の「飯田グループホールディングスTCFDレポート2023」で、「2025年の『ZEH水準比率100%』等の検討を始めております」と謳っており、今年6月、2025年4月以降に確認申請を取得した新築分譲戸建住宅全棟でZEH水準に対応し、達成率が100%となったと発表した。

 これはこれで結構なことだが、制度は全体的な住宅の質・快適性は問われないから、断熱等級を上げるには延床面積を小さくし、さらに熱の出入りが激しい窓面を少なくすればいいことになる。

 記者はここに注目している。住宅の開口・窓面積と質・快適性との相関関係はいまひとつ分からない。ただ、最近はめっきり減ったが、各デベロッパーはかつて〝ワイドスパン〟〝ワイドサッシ〟〝ハイサッシ〟を3点セットにしてマンション広告で謳っていた。その効果があるのだろう。しかし、窓面積を広くすることは断熱性能を低くすることにつながり、断熱性能を高めるには窓面積を小さくすればよいことになる。住宅の質・快適性と窓面積はトレード・オフの関係にあるといっても言い過ぎではないと思う。

 そうした疑問をずっと抱いていたので、今年7月に行われた中央住宅「ひととき 流山市松ヶ丘・南柏」見学会で、同社不動産ソリューション事業部不動産開発部企画設計課課長・村田嵩胤氏に質問したところ、村田氏は「様々な仕様を引き算すればZEH水準は可能。当社は居住性・快適性を犠牲にするようなことはしない。足し算で居住性を高めることが重要」と語った。

 この日の野田氏の話と村田氏の考えは矛盾するようだが、森田氏が「GXに取り組んでいるのはポラスグループの中で当社のみ」と語ったことで説明がつく。「窓面積を小さくすることが正解かどうかは分からないが、国土交通省が改正を考えているZEH基準の先行チャレンジプロジェクトになるのではないか」(野田氏)。同社にはぜひとも実証実験の結果を報告してほしい。

IMG_8935.jpg
モデルハウス(左の窓は幅1間、高さ2400ミリ)

IMG_8920.jpg
現地

仕様レベルの引き算でZEH水準は可能手放しで喜べないデベロッパーの対応(2025/8/2)

住宅性能評価の分譲戸建てシェア74% 飯田GHは「ZEH化50%」に舵切りを

カテゴリ: 2025年度

Screenshot 2025-09-19 at 11-54-25 50ce0bdcfb99a0a96830342df29e4dfb913d5273.pdf.jpg
分譲地街並み(左)と1号棟リビング

ポラスグループ中央住宅は918日、「ことのは 越ヶ谷~蔵のある街づくりプロジェクト~」の第2弾の分譲戸建て4棟のメディア向け見学会を行った。価格は8,000万円前後で、〝唯一無二〟の和テイスト・和モダンを演出したもので、隣には同社が耐震補強を施し、越谷市に寄付した江戸末期に建設されたという「蔵」が建っている。街づくり・和テイストで括ればポラスの最高傑作だと思う。

プロジェクトがスタートしたのは2013年。同社は蔵を含む土地・建物を地主から購入し、蔵は壊して全て分譲戸建てにかる予定だったが、「歴史的建造物の蔵を壊すのはあまりにも無神経。地域の方々と協議を重ね、蔵や古材、灯籠なども残してプロジェクトに賛同していただける人に分譲することに決めた」(品川典久社長=当時)。当初はコーポラティブ住宅として分譲する意向だったが、買い手が現れず、蔵は耐震補強を施し、曳家の手法で現在地に移し、第1弾として2017年に戸建て4戸を分譲した。

今回はその第2弾。分譲地の東側は幅員7.9mの旧日光街道に、北側は幅員6mの公道に接道。景観協定を締結し、12号棟と34号棟の間に設けた幅4m、長さ約20mの共有地(地役権設定)には、従前敷地内にあった敷石を再利用し、東屋風のスペースを設け、居住者同士のコミュニティの醸成を図っている。この他、各住戸には従前の古民家に使用されていた瓦、欄間、構造材、梁などをインテリアとして取り込んでいる。

物件は、東武スカイツリーライン越谷駅から徒歩6分、越谷市越ヶ谷3丁目の近隣商業地域に位置する全4戸。土地面積は109.77151.90㎡、建物面積は99.77145.94㎡、価格は7,780万~8,480万円。構造はツーバイフォー工法2階建て・3階建て。引き渡し予定は202511月中旬。

627日から広告を開始し、これまで37組の来場があり、うち市外居住者は18組。1棟は契約済み。街づくりや長期優良住宅認定が高い評価を受けているという。

1号棟は「坪庭のある家」、2号棟は「縁側のある家」、3号棟は「土間のある家」、4号棟は「掘り炬燵のある家」とし特徴を持たせるとともに、旧日光街道に面した3号棟と4号棟は3階建てにし、用途地域が近隣商業地域であることから、多目的に利用できるテラス・土間・フリースペースを1階の道路側に設けているのも特徴の一つ。

見学会で同社戸建分譲設計本部設計二部営業企画設計課課長・池ノ谷崇行氏は「2013年に用地を取得した段階では、敷地内にあった蔵は取り壊して全て分譲することにしていたが、地域文化の価値の創造を理念にのっとって保存することを決定した。蔵は2025年の登録有形文化財に登録される予定で、カフェなどのイベントや空き家相談にも当社も参加して運営していく」と語った。また、同課係長・玉越啓資氏は「当社グループは住まい価値創造企業として地域の価値を創造し、未来に継承することを主眼にしている。今回は宿場町として地域に残っていた和のテイストを取り入れ、和モダンで外も中もデザインした。屋根は瓦屋根とし、外壁もモルタル仕上げとし、古材を再利用して随所にちりばめた」と話した。

Screenshot 2025-09-19 at 11-54-58 50ce0bdcfb99a0a96830342df29e4dfb913d5273.pdf.jpg
区画割

Screenshot 2025-09-19 at 11-55-37 50ce0bdcfb99a0a96830342df29e4dfb913d5273.pdf.jpg
共有地

IMG_8431.jpg
分譲地に隣接する油長内蔵

IMG_8435.jpg
街並み

IMG_8447.jpg
共有地

IMG_8458.jpg
4号棟3階から共有地を望む

IMG_8450.jpg
共有地デザイン

IMG_8465.jpg
左から池ノ谷氏、玉越氏マインドスクェア事業部営業課主任・鈴木祐喜氏

        ◆     ◇

 冒頭に〝唯一無二〟〝ポラスの最高傑作〟と書いたが、心底からそう思った。「ことのは 越ヶ谷」については、これまで5本の記事を書いているので、それらも参照していただきたい。最初に取材したときは10年以上も続くプロジェクトだとは全然思わなかった。注文住宅を含めれば年間3,000戸以上も戸建てを供給する同社が、その0.3%にしか過ぎない宅地にこれだけの時間とコスト(蔵の耐震補強、曳家などには相当のお金がかかっているはず)を掛けて地域に貢献しようという姿勢は賞賛に値する。

同業の記者の方は、近隣物件との価格の差や完売までのめどについて質問したが、記者は〝唯一無二〟物件とごくありふれた〝価格ありき〟の物件(多分5,000万円台中心)と比較などできないし、注文住宅ならいざ知らず、このようなコミュニティ形成をテーマにした、徹底した和モダンの住宅で、桁違いの価格の分譲住宅を購入しようとする人はそう多くはないはずで、完売までにはそれなりの時間がかかると思った。

しかし、モデルハウスには市外からも18組が来場しているように、自然素材をふんだんに採用した商品企画に惚れ込む人は必ずいると思った。蔵を日常的に使える価値は高く、地域の歴史・文化の価値を継承しようという同社の姿勢に共感する人も少なくないはずだ。

 つい最近、自然素材をふんだんに採用した事例を取材した。コスモスイニシアの「イニシア京都御所南」だ。共用部は古材が再利用され、天然石や土壁、和紙クロスなどが至るところに採用されていた。モデルルームのリビングに小上がり障子が用いられているのにびっくりした。マンションのリビングに障子を用いた物件など見たことがない。しかし、これは京都だけでなく、外からの視線が気になるあらゆる地域のマンションにも戸建てにも採用できると思った。

 そして今回。確か3号棟の「土間のある家」だったと思うが、2階リビング窓などの開口部機は全て障子が採用されていた。和風住宅に障子はつきものだが、ここまで徹底しているのに驚いた。床や壁、建具・家具など本物にこだわっているのは「京都御所南」と同じだった。

 価格について。記者は現地に着いてすぐ値段は8,000万円くらいだろうと予想した。内装仕上げを見てむしろ割安だと思った。同社の分譲戸建てがよく売れる理由がよくわかる。これまでたくさん現場を取材してきたおかげだし、劣悪な物件をたくさん見学している検討者もまた学習しているのだと思う。

IMG_8445.jpg
欄間(一部)

IMG_8455.jpg
古代の梁を再利用した一例

IMG_8459.jpg
3号棟(3階から)

IMG_8463.jpg
メープル材の挽き板フローリング

IMG_8468.jpg
旧日光街道に面した3・4号棟

IMG_8470.jpg
3・4号棟外観

        ◆     ◇

 取材とは関係ないが、越谷駅西口の「カフェOB」が最高に素晴らしい。コーヒーは1280円と安く、タバコも吸える(越谷駅周辺にはタバコが吸える飲食店はほとんどない)。そして何より素晴らしいのは、内装は全て本物の木が採用されていることだ。了解を得たので写真を紹介する。本物だからこそ経年の変化が楽しめる。記者はこれが美しいと思う。

IMG_8482.jpg
カフェ OB

IMG_8472.jpg
カフェ OBの床

IMG_8480.jpg
カフェOBの内観

京都好きには堪らない 自然素材ふんだんに コスモスイニシア50周年「京都御所南」(2025/9/13

ポラス 越谷市の中心市街地活性化に一役 築120年の古民家でイベント(2017/2/16

ポラス「ことのは 越ケ谷」戸建て4棟も完成、分譲へ(2017/4/1

ポラス 蔵のある街づくりプロジェクト「ことのは 越ヶ谷」蔵の補修が完了(2015/8/6

ポラス 越ケ谷小3年生107人を対象に「蔵の曳家」体験イベント(2014/10/2

RC造に匹敵する江戸の蔵残す ポラス「蔵のある街」プロジェクト(2014/3/15)

 

カテゴリ: 2025年度

モクコン3.png
「ノキテラス」(山口県長門市)

 大成建設ハウジングは9月18日、建築家の隈研吾氏とのコラボレーションによるデザインシリーズ「モクコンの家」、1棟目となるデザインモデル「ノキテラス」の竣工式を2025年9月16日(火)に行ったと発表。竣工式には、発注者のヤマネ鉄工建設・山根正寛代表取締役をはじめ関係者が参列し、「モクコンの家」が地域のシンボルとなり地域社会に良い影響を与えることを祈念した。

 また、同日、新商品「モクコンの家CUSTOM」を発表した。従来の「モクコンの家」のコンセプトはそのままに、生活スタイルにあわせた間取り変更が可能。デザインの美しさはそのままに、暮らしに寄り添った間取りを提供する。

 新商品「モクコンの家CUSTOM」のプロトタイプは、「ノキノテラス」が1階は81.10㎡(51坪)、2階が89.28㎡(27坪)で、合計170.38㎡(約52坪)。参考価格は11,200万円(税抜き)。「ハコノテラス」は1階が77.13㎡(23坪)、2階が65.77㎡(19坪)、3階が65.21㎡(19坪)で、合計214.67㎡(約65坪)。参考価格は13,900万円(税抜き)。

もくこん1.png
「ノキノテラス」

モクコン2.png
「ハコノテラス」

カテゴリ: 2025年度

Screenshot 2025-09-17 at 18-38-12 メール - 第三企画㈱ 牧田司 - Outlook.png
「ブリスト大宮公園 共庭の景(ともにわのけい)」

 ポラスグループの中央グリーン開発は9月17日、風致地区に位置する分譲戸建て「ブリスト大宮公園 共庭の景(ともにわのけい)」(全2棟)を開発したと発表した。双方の敷地に地役権を設定し、アプローチ空間を共用することで、小規模分譲住宅の敷地延長の課題を解消するのが狙い。

 これまでの敷地延長を含む戸建て開発は、敷地延長部分は通路以外の用途に利用することが難しく、アプローチと車・庭の動線が重なり、プライバシーや安全の配慮に欠けることなどから、価格に差を設けるなどして対応せざるを得ない課題がある。

 この課題を解消するため、今回は2号棟の敷地延長部分と1号棟の風致地区の壁面後退部分に地役権設定し、アプローチ空間を共有することで、日常的に顔を合わせやすい街区計画とした。駐車スペースとアプローチを分けて歩車分離を実現し、安全性を確保している。

 また、地役権設定範囲を中心に、テラスやデッキ、家庭菜園スペースなどを設置し、プライベートな場所とつながりを育むことを自由に調整できる3つの庭を計画している。

 1号棟は主寝室や水回りを1階にまとめ、1階で生活が完結できる住まいとし、2号棟は水回りを2階に集中させるとともに、”半外・半内”の空間を演出しているのが特徴。

 物件は、東武アーバンパークライン大宮公園駅から徒歩10分、さいたま市大宮区寿能町2丁目に位置する全2棟。土地面積は196.32~199.93㎡、建物面積は107.44~118.00㎡、価格は8,180万円、8,480万円。

Screenshot 2025-09-17 at 18-05-49 メール - 第三企画㈱ 牧田司 - Outlook.png

Screenshot 2025-09-17 at 18-06-29 メール - 第三企画㈱ 牧田司 - Outlook.png

 

 

 

カテゴリ: 2025年度

 日本木造住宅産業協会(木住協)は8月28日、会員会社を対象にした「2024年度(令和6年度)木住協自主統計および着工統計の分析報告書」を公表した。調査対象は会員480社で、回収数は393社、回収率は81.9%だった。

 木住協会員会社の住宅着工戸数は79.472戸(前年比92.7%)で、木造戸建て住宅着工戸数に占める割合は18.5%(前年から▲2.0ポイント)となった。戸建て住宅は72,325戸(前年比91.0%)で、うち平屋住宅は12,853戸(構成比17.8%)、3階建て以上は6,921戸(同9.6%)、共同住宅は7,147戸(前年比114.2%)だった。

 長期優良住宅(戸建て)は35,491戸(前年比109.3%)で、住宅着工統計の長期優良住宅に占める割合は25.5%(前年から▲3.3ポイント)で、木住協戸建て住宅に占める割合は49.1%(前年から+8.2ポイント)だった。

 ZEH適合住宅(ニアリーZEHを含む)の着工戸数(戸建て)は23,179戸 (前年比110.7%)で、木住協戸建て住宅に占める割合は32.0%(前年から+5.6ポイント)。太陽光発電搭載住宅(戸建て)は26,286戸(前年度比97.0%)で、木住協戸建て住宅に占める割合は36.3%(前年から+2.2ポイント)となった。

◇        ◆     ◇

 木住協の自主統計に関する記者発表会が行われるたびに、木造ファンの記者が思うのは、調査対象会員が480社もあるのに、全国の木造戸建て住宅に占める木住協の割合は20%前後で推移したままで伸びないことだ。

 木住協は、木造軸組工法の普及と木造住宅産業の健全な発展に寄与することを目的に設立された業界団体だから、同じ木造でもツーバイフォー住宅の三井ホームや三菱地所ホームなどが会員でないのは分かるのだが、全国分譲戸建てシェア27.8%(2025年3月期)を誇る飯田グループホールディングスが加入していないのは分かるようで分からない。仮に、2025年3月期の飯田グループの戸建て販売棟数38,627戸と注文住宅引き渡し棟数2,341戸を木住協の数値に加えると、シェアは一挙に29.0%にアップする。

 ただ、飯田グループの数値を上乗せしたら、全ての数値が向上するかどうかは別問題だ。例えば「設計評価住宅戸数」と「建設評価住宅戸数」の数値だ。飯田グループは「住宅性能表示制度で最高等級の住宅」を前面に打ち出しているが、それは「設計」なのか「建設」なのかを明らかにしていない。仮に「設計」だとすると、全国の設計評価住宅に占める木住協シェア18.4%は49.4%へアップするが、「建設」ではないとすれば、木住協のシェアは23.5%のままだ。また、〝全棟ZEH水準〟を標榜する飯田グループが木住協に加わってもZEH適合住宅の着工戸数に占める木住協シェア32.0%には変化はない。

 住宅性能評価制度は任意だし、「ZEH」と「ZEH水準」は似て非なるもので、これらは住宅の質とは一部トレード・オフの関係にあるので何とも言えないが(記者は功罪があると思っている)、飯田グループも木住協に加入して、協会挙げて住宅の質向上に取り組んでほしい。木住協は門戸を開いているはずだが、会員であることが消費者から信頼を得られ、企業価値を向上させることにつながることをアピールすべきだ。

◇        ◆     ◇

 暇にあかせて自主統計データを読んだ。なかなか興味深い数値が見つかった。以下に紹介する。

【令和6年度木造戸建てにおける木住協シェアベスト3・ワースト3(全国平均18.5%)】

<ベスト3>    <ワースト3>

①愛知県26.1%  ①青森県5.1%

①徳島県26.1%  ②秋田県5.9%

③埼玉県25.6%  ③岩手県7.4%

【長期優良住宅における木住協シェアベスト3・ワースト3(全国平均25.5%)】

<ベスト3>    <ワースト3>

①富山県44.3%  ①沖縄県12.6%

②石川県39.8%  ②北海道15.3%

③宮崎県37.1%  ③青森県16.2%

【木住協戸建て住宅における長期優良住宅の割合ベスト3・ワースト3(全国平均49.1%)】

<ベスト3>    <ワースト3>

①奈良県80.7%  ①東京都31.1%

②岩手県78.4%  ②千葉県33.5%

③香川県77.1%  ③埼玉県36.2%

【令和6年度ツーバイフォー着工戸数ベスト3】

①愛知県  9,436戸

②東京都  7,307戸

③神奈川県6,992戸

【令和6年度ツーバイフォー着工戸数伸び率ベスト3(令和元年100、全国平均111】

①鳥取県 217

②香川県 204

③群馬県 175

消費者に分かりづらい長期優良住宅見直しへ住宅性能表示と一体化すべき(2021/7/5)

カテゴリ: 2025年度

大東建託は826日、都心部の狭小敷地の有効活用と単身世帯のニーズに応えるコンパクトワンルーム商品「Raffan(ラファン)」を91日から東京23区エリアを対象に10棟限定で販売開始すると発表。Raffanの販売状況や入居者の反応を踏まえ、さらなる商品展開の可能性を検討する。

1階は14.58㎡で、洗面一体型のサニタリーキッチンとシャワーユニットを採用、2階は20.15㎡に3.9帖のロフト付き。

新商品は、木造2×4工法2階建て。1階は14.58㎡、2階は20.15+ロフト。販売開始は202591日。販売エリアは東京23(山手線内および都区内の主要駅徒歩5分圏内。販売棟数は10棟。

 

カテゴリ: 2025年度
1 / 52
 

 

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン