三井不動産 三井デザインテックと三井不動産リフォーム統合
三井不動産は7月3日、同社グループの空間デザイン、リフォーム・リニューアル領域の中核を担う三井デザインテックと三井不動産リフォームの二社を2020年10月1 日付で会社統合し、「三井デザインテック」としてスタートすることを決定したと発表した。
時代の変化に対応するため、ビジネスライフにおける横断的な空間デザイン力の強化と既存の不動産ストック活用に向けた体制を強化するのが狙い。
統合の本社は東京都港区芝三丁目2 番18 号 NBF 芝公園ビル、取締役会長に井上徹氏、代表取締役社長 社長執行役員に檜木田敦氏が就任する予定。従業員数は 793名(2020 年4月1日現在)。売上高は547億円(2020年3月期実績、内訳:三井デザインテック402億円、三井不動産リフォーム145億円)。
横浜旧市庁舎街区の隣接地 再開発事業協力者に三菱地所など5社
関内駅前港町地区市街地再開発準備組合(理事長:田原仁・横浜関内駅前ビル社長)は7月1日、再開発事業を推進するための事業協力者として三菱地所を代表者とするケン・コーポレーション、スターツコーポレーション、東急不動産、フジタの5社で構成されるグループを優先交渉権者として決定したと発表した。
現地は旧市庁舎街区に隣接する約1.4haの規模で、施設は敷地面積約7.700㎡、高さ約150m、延床面積約88,500㎡(容積対象床面積約75,500㎡、容積率約980%)。今後、令和5年度に都市計画決定、同6年度に組合設立認可、同7年度に着工、同11年度に竣工する予定。
観光・集客ゾーンが約6,000㎡、国際的な産学連携施設が約52,500㎡、上層階の約13,000㎡が横浜初の最高級賃貸レジデンスとなる予定。
調整区域の市民農園付き200㎡邸宅 ポラス「ハナミズキ春日部・藤塚」企画秀逸
「ハナミズキ春日部・藤塚」平屋タイプ 価格は3,380万円
ポラスグループ中央住宅は7月3日、埼玉県春日部市の古利根川沿いの市民農園利用権付き、全戸敷地面積200㎡超の分譲住宅「ハナミズキ春日部・藤塚」(全22戸)の販売を開始した。その前日(2日)、モデルハウス3棟を報道陣に公開した。調整区域の特性を最大限に引き出した商品企画が優れている。
物件は、東武スカイツリーライン一ノ割駅から徒歩23分、春日部市藤塚に位置する敷地面積約5,830㎡(建ぺい率60%、容積率200%)。第1期(10戸)の土地面積は200.26~231.65㎡、建物面積は91.50~107.36㎡、価格は2,880万~3,580万円(税込)。
現地は、田畑が残る市街化調整区域の開発許可、農地転用許可を得て宅地造成・建設・分譲するもの。敷地近くには古利根川が流れている。
分譲地の隣地に約300㎡の市民農園を確保。当初5年間は同社が農家との農園利用契約を結び、利用料を負担する。引き渡し後2年間は農家の協力を得て「農のある暮らし」をサポートする。
敷地面積は全戸200㎡以上、隣棟間隔1m以上、開発道路幅員6mで、平屋住戸を5戸用意している。
コンセプトは「日本の暮らしを見直し、心豊かな暮らしを」。軒を出した外観スタイルや化粧梁・畳・障子などの室内素材は和を感じるデザインとし、住戸内は突板を使用したフローリング、化粧柱、木パネルなど自然素材を多用。各住戸の庭にはポタジェ(家庭菜園)も設置している。
住民同士のコミュニティ形成を図るため管理組合を結成し、ワークショップやイベントも開催していく。春日部市初の住民間の「景観協定」も締結予定。
同社取締役戸建分譲第一事業部 事業部長・成瀬進氏は、「農園利用権付きの分譲は当社初。在宅勤務、テレワークが今後増え、こうした〝田舎暮らし〟の雰囲気も楽しめるニーズはあるので販売に期待している」と話し、同社戸建分譲設計本部 設計二部 営業企画設計課課長・池ノ谷崇行氏は「牧歌的な雰囲気がある地域の特性・文化を取り込めた」と語った。販売担当の同社戸建分譲第一事業部 営業課課長・竹入正治氏によると、6月20日から案内会を実施しており、これまで14件の来場があり、2件が成約見込みという。
同社はまた、直近の分譲戸建ての成約状況についても説明。契約棟数は4月は前年比75.4%、5月は112.3%、6月は121.1%と伸びている。
平屋タイプのリビングダイニング
古利根川に面したモデルハウス
古利根川が眺められるリビングダイニング
2号棟モデルハウス(天井裏はシナ合板の挽板)
◇ ◆ ◇
小池都知事の〝都県跨ぎは自粛を〟との要請を忠実に守っていたので、この日(7月2日)、荒川を超えて春日部・一ノ割の同社の分譲戸建てを取材見学したのは、3月27日の同社グループの住宅品質保証の木造新築ビルを取材して以来、実に3か月ぶりの〝都県跨ぎ〟だった。
40年以上の記者生活で3カ月以上も都外に出なかったのは初めてだったが、実に楽しい取材ができた。一ノ割駅から車で案内してもらった現地のすぐそばを流れる「古利根川」は濁っており(流域にはオイカワが棲むと聞いたが、ここではないはず)、わが故郷・三重県の日本一綺麗な「宮川」とは比べようもなかったが、そのほかの田園風景はほぼ同じだった。
すぐ市街化調整区域だろうと見当をつけたらその通りだった。読者の皆さんもご存じだろうが、許可が必要ない農林漁業者の自宅などの例外を除き調整区域での開発行為、とくに住宅用途は厳しい規制がかけられている。
同社は都市計画法第29条に基づく開発許可、農地転用許可を受けて造成・建築するもので法的にはまったく問題ない。
ただ、埼玉県は昔から規制が緩く、都市計画法第34条1号で定める調整区域内に居住する者の日常生活のために必要な店舗(いわゆる1号店舗)が昭和50年代から60年代にかけて数百棟建設された。それらの本屋、八百屋、雑貨屋、呉服屋などの〝店舗〟がいまどうなっているのかとても興味がある。(調整区域内の住宅、店舗の売買は自由だが、再建築は基本的に不可)
それにしても、先日は練馬区の30坪の〝東京5LDK〟を分譲して人気になり、今度は春日部の調整区域で200㎡の平屋を供給するという同社の地域特性を生かした商品企画力に感服するほかない。
モデルハウス3棟はそれぞれ甲乙つけがたく、設備仕様など質の上でも水準以上であるのは間違いない。平屋のこう配屋根天井高は約4mあり、古利根川に面した住宅はまるで別荘だ。外構もしっかり造り込んでいる。
反響は地元から約半数で、広域からも少なくないというのも理解できる。〝田舎暮らし〟に惹かれる層は一定数いるはずで、間違いなく売れると読んだ。
老婆心ながら、コロナの影響で〝田舎暮らし〟もいいなと考えている人に一つ忠告したい。佐藤春夫ではないが、「都会」より「田園」のほうがはるかに「憂鬱」だ。
もはや田舎の里山はクマ、イノシシ、シカ、サルなどの獣に支配されており、主客が転倒した世界であることを認識すべきだ。怖いのは彼らが運んでくるヤマヒルだ。マダニ、スズメバチ、マムシなども里山を徘徊しており、山頂の風力発電は生態系を狂わせている。田舎暮らしは断じて楽園ではない。〝そんなはずはなかったと〟失楽園となるのは必至だ。
それでも田舎暮らしにあこがれ、東京を脱出し地方へ移住を希望するのであれば、決断する前に丸山健二「田舎暮らしに殺されない法」を読むことを勧める。読めばたちまち自らの甘い料簡に気が付くはずだ。
せいぜい春日部・一ノ割の疑似〝田舎暮らし〟で満足すべきだ。よしんば野菜ができたとしても、収穫する前にサルに盗られることはないだろうから。
平屋タイプ外構
賃借する農園ではない隣接地の畑(左)と古利根川(〝飛び込め〟と女性スタッフに声を掛けたが)
報道陣にプレゼントされた性別・年齢不詳のキャラクター「ポラ猫」より目立つ同社広報マン青柳氏
Afterコロナ先取り ポラス「東京5LDK@練馬光が丘」テレワーク想定した企画ヒット(2020/6/19)
なぜだ! 都心9区にないのに中央区と港区には市街化調整区域がある(2020/2/14)
業界に激震? 「マンション管理の常識を変えるサービス」 三菱地所が新会社設立
長谷川氏(ジャケットの下は地所の「赤」ではなく緑色のTシャツ)
三菱地所グループのマンション管理会社、三菱地所コミュニティは7月1日、管理コストの削減や修繕積立金不足、マンションの役員の担い手不足といった社会課題の解決を目指し、管理組合がマンション管理会社に業務を委託せずともマンション管理を簡単にできるアプリ「KURASEL(クラセル)」を開発、同日から申し込みを開始したと発表した。新しい商品・サービスは特許を出願中。
「KURASEL(クラセル)」は、三菱地所コミュニティの50年にわたり培ったマンション管理のノウハウを集約してマンション管理組合向けに開発したアプリ。マンション管理に関する知識や経験が少ない人や、忙しくて時間に余裕のない人でも、スマートフォンで簡単に自主管理ができる。具体的には、今までマンション管理会社が担ってきた所有者・居住者情報や契約・発注管理から理事会資料の保管・閲覧、収支状況・支払管理に至るまでの全てをスマートフォン及びWEB上のアプリで一元管理が可能になる。
アプリの利用料金は月々35,000円~(税別・1マンションにつき)。アプリの提供・運営は三菱地所コミュニティが6月1日付で設立した新会社・イノベリオスが行なう。
新会社は、平均的な1棟50~60戸くらいのマンションで年間200万円くらいのコスト削減が可能で、これまで「リプレイス」の選択肢しかなかった管理組合は同社が提供するアプリによる「自主管理」の選択肢が増えるとしており、2024年度末までに全国で3,000組合での導入を目標にしている。
会見に臨んだ社長執行役員・長谷川良裕氏は「これまでのマンション管理の常識を大きく変える革新的なサービス」であることを強調した。
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新型コロナの拡大が顕著になった3月以降、「自粛」に徹しニュース・リリース以外は一つも記者発表会・見学会を行ってこなかった三菱地所グループが4カ月ぶりに一矢を放ったのは主力のビルでもマンション分譲でもなく、どちらかといえばこれまで目立たない存在だったマンション管理についてだった。
メデイア向けの発表会参加呼びかけのフレーズもまた取材意欲をいたく刺激するものだった。「マンション管理組合が抱える、マンション管理コスト増、修繕積立金不足、役員のなり手不足といった様々なマンションの課題について真正面から向き合い、解決に向けて立ち上げる新しいサービスです。既存のビジネスモデルを大きく変える可能性のある革新的な新事業」とあった。発表会場も本社ビルだ。
会見に臨んだ長谷川社長と取締役常務執行役員の安藤康司氏をはじめ、10人以上の関係者はみんな地所のコーポレートカラーである「赤」ではなく、〝常識を変える(カエル)〟にふさわしい「緑」のTシャツを着ていた。意気込みはストレートに伝わってきた。
会見に参加した記者の数も常識を超えるものだった。毎月、マンション管理業協会が行なっている「記者懇親会」をはるかに超える40名くらいに達した。(三菱地所コミュニティが呼び掛けてきた団地の防災イベントを記者は何回か取材したが、他のメディアの方は数えるほどもなかった)
どうでもいいことはこれまで。本題に入ろう。このアプリは業界の常識を変える革新的なサービスになるかどうか。
最初に思ったのは「ノー」だった。記者は昭和50年に完成した多摩ニュータウンの戸数200戸近いマンションに住んでいる。管理組合の理事も務めたことがある。ボランティア組織の会員として団地内の樹木剪定やコミュニティ活動も行っている。樹木剪定は年間数百万円のコスト削減につながっているはずだ。
同社が国土交通省の資料から説明した一般的な50~60戸のマンションの管理費は1戸当たり約12,000円(70㎡で坪当たり約560円)だ。アプリ代35,000円というのは3戸分くらいだ。このお金をねん出できる組合は多くないと読んだ。もちろん、年間で200万円もコスト削減できれば話は別だが…。
そもそも、管理組合が自由に使える金などない。管理費のうち約半分は管理会社への業務委託費に消え、その他の光熱費、樹木剪定などの恒常的な維持管理・軽微な修繕経費などに支出すると、残された組合活動費は10%あるかどうかだ。
35,000円が高いと言っているのではない。アプリはそれくらいの価値があるはずだ。比較は難しいが、例えばマンション管理士など外部専門家を〝お助けマン〟として組合が依頼すればこれくらいの金額になるはずで、この金額に見合う仕事をこなしてくれると思う。マンション管理士の働き口がないのは、これまで専門家を起用(啓蒙)してこなかったことに問題がある。
確かに、自主管理は組合員の意識が高ければ不可能ではないと思う。樹木剪定などは素人でもできるし、自主管理で経費が抑えられる業務はたくさんあるはずだ。意識の高い組合はコスト削減を行っているはずだ。管理会社に丸投げなどしない。
しかし、そういった自主管理の意識が高い組合は少数派で、希薄だからこそ様々な問題が噴出している。そのような管理組合にアプリ提案の声は果たして届くのか。これにも疑問符を投げかけざるを得ない。35,000円を年間200万円のコスト削減にどのようにつなげるかの具体的な説明がこの日はなかったような気がする。
ただ〝200万円のコスト削減〟はマンション管理会社に対する警告でもある。アプリを活用すれば一般的なマンションでこれほどの経費が削減できるということは、いかに現在の管理会社が〝暴利〟(これは言い過ぎか)をむさぼっているかということを業界に発信することにならないか。
いま業界は、「リプレース(リプレイス)」の嵐にさらされている。業界各社がどのような反応を見せるか興味津々。
習志野市「奏の杜」防災訓練に過去最多1,000名 三菱地所グループ&管理組合(2018/3/11)
公開空地が6,500㎡の空調完備の屋内空間に一変 「新宿住友ビル・三角広場」改修完成
外観(左が小田急不動産の、右が三井不動産のビル)
住友不動産は6月30日、「三角ビル」の愛称で知られてきた「新宿住友ビル・三角広場」の大規模改修工事が完成したのに伴うメディア向け内覧会を行った。記者は〝新築ビル〟と見紛えたほどで、従前の「三角ビル」を知っている人は腰を抜かすほど驚くはずだ。関係者は「前例のない超高層ビルの大規模改修工事」と胸を張った。数十人の報道陣が駆け付けた。三角広場は7月1日に一般にオープンされる。
既存ビルは、新宿駅から徒歩数分の新宿区西新宿2丁目の敷地面積約14,446㎡、地下2階地上52階建て延床面積約165,898㎡。1974年3月に竣工。設計監理は日建設計。施工は鹿島建設、竹中工務店、住友建設。
改修後は、容積対象面積はほとんど変わっていないが延床面積は約180,195㎡(うちアトリウム約6,500㎡)へと約14,000㎡増床。基本構想・総合監修は住友不動産。設計・監理は日建設計。施工は大成建設。2017年9月に着工、2020年6月30日に竣工。改修に当たっては国家戦略特区の枠組みを活用している。
従前は赤いレンガ壁に囲まれた広い空間や新宿浄水場で使用された水道管のオブジェ、駐車場、喫煙所などだった青空空間は高さ25m、広さ約3,250㎡の晴雨寒暖に対応した空調完備の屋内空間に一変した。
屋内空間の正面には新宿アルタと同じ4K・564インチの大型ビジョンを設置、最大収容人数約2,000人の大規模イベントを可能にした。床は床暖房(一部除く)、壁は吸音処理を施した壁にレンガ壁を採用。災害時には2,850人の帰宅困難者の一時滞在施設としても利用される。公開空地であるため、朝は5時から夜は12時まで利用可能。
大改修と併せて制震補強、発電機能設備の増強、BCP性能の向上を図っている。
このほか、地下1階から地上2階に新たに導入した「ショップ&レストラン」は新規と高層階からの移転を合わせて全26店舗がオープンする。地下2階には従前の約3倍、1,000人収容可能な「新宿住友ホール」をリニューアルした。エントランスにはクスノキの巨木も残した。
内覧会で同社ビル事業本部新宿事業所長・宮川享之氏は、「屋根付きの屋内空間は西新宿の課題だった賑わいを取り戻す第一歩。活性化ももたらすはず」と挨拶。
同社ビル事業本部商品企画課チーフエンジニア・山田武仁氏は、「既存ビルであることを感じさせない近未来のビルを実現できたキーワードは2つ。一つは20年かけて理想形を完成させようという理念を曲げなかったこと。もう一つはリスペクト。フラット広場を原資として広さを倍増させた骨太の基本設計があったから。竣工はこれから50年、100年先の始まりの一歩」などと話した。
設計・監理を担当した日建設計の設計部門グループマネージャー・芦田智之氏は、「既存の規制・枠組みを踏襲していればまず不可能な工事。そもそも青空空地を屋内空地に変える概念などなかった。『無理だ』と住友さんにいったが、許してくれなかった。激論を交わしながら実現にこぎつけた」と語った。
三角広場 メイン
三角広場 西
左から宮川氏、山田氏、芦田氏
エントランス
パブリックビューイング(予想図)
◇ ◆ ◇
記者は、2011年の3.11のとき、三角ビルに隣接する小田急不動産「小田急第一生命ビル」の15階で勤務していた。瞬時に直下型でないと判断し、絶対(倒壊しない)大丈夫と思った。泣き出した女性社員もいたが、実際、揺れは想定内だった。当日は、徒歩で甲州街道を歩いて帰った。あとから三角ビルも三井新宿ビルも気持ちが悪くなるほど揺れたと聞いた。
周辺の既存ビルは大震災を前後して耐震化が進められていた。東京建物「新宿センタービル」は2009年(平成21年)に耐震化工事を完了している。そして2015年、三井不動産は「新宿三井ビル」の超大型制震装置を完成させた。それより遅れること2年、住友不動産は「新宿三角ビル」の大規模改修を行うと発表した。
同社も制振装置を設置して〝お茶を濁す〟程度の改修で済ませるのだろうとてっきり思っていた。
そして今日(30日)。三角広場を多少改修したくらいでこのコロナ禍で内覧会などやってどうするのか、しかも雨模様だ。まあほとんど取材はないし気晴らしになるだろうと出かけたが、冒頭に書いたように別の新築ビルかと仰天した。
熱弁をふるったのは、マンション見学会などで何回かお会いをしたことがある山田氏だったのにも驚いた。もっとしっかりメモを取るべきだった。感動的な名演説だった。どこかのメディアが細大漏らさずスピーチを再現しないか。
もう一つ、容積対象面積をそれほど変えず、どうして約14,000㎡も増床できたかについて。既存不適格建物を複数の工事に分けて段階的に改正後の建築基準法に適合させていく「全体計画認定制度」を採用したからというが、芦田氏は「かなり専門的なことで難しく、法律を読んだだけでは(素人の記者などは)理解できないのではないか。手順が難しい」と話した。これは謎のままだ。
ストリートピアノ(誰でも自由に弾ける)
屋内空間に使用されている壁(山田氏の説明によると「『住友』発祥の地、別子銅山で銅の精錬時にでる鉱鐸(スラグ)、これを焼成してできる『からみ煉瓦』の風合いを再現したレンガ壁に仕立てた」壁だそうだ)
改修前
改修前公開空地
三井不動産 「新宿三井ビル」の超大型制振装置が完成(2015/15)
西新宿の弊社事務所も大揺れ 女性がパニックに(2011/3/11)
住友不動産「シティテラス加賀」 山田氏が独演会 商品企画を熱く語る(2013/12/11)
「ティアラ」にふさわしい外観デザイン 住友不動産「スカイティアラ」(2014/2/27)
旭化成ホームズ 「ワーク・ワーク・バランス」を考えるオンライン記者勉強会
旭化成ホームズくらしノべーション研究所は6月29日、ZOOMによるオンライン記者勉強会「『ワーク・ワーク・バランス』を保つ新たな暮らし方を探る」を開催。ゲストに立命館大学産業社会学部教授・筒井淳也氏を迎え、同研究所顧問・松本吉彦氏とトークセッションを行った。
同勉強会は、旭化成ホームズと同研究所が4月上旬に行ったアンケート調査「在宅ワークスペースの現状とくらしの在り方を探る」結果を踏まえ、働くことによって対価を得られる有償の仕事と、家事など無償の仕事のバランスを意味するワーク・ワークバランスのあり方を探るのが目的。
トークセッションでは、アンケート調査の結果、在宅ワークによって家族と一緒に過ごす時間が増え、好きなタイミングで家事がこなせるなどのメリットがある反面、仕事とプライベートのON-OFFの切り替えが難しく、職場の人とのコミュニケーションが減少したなどの課題も明らかになったことを受け、筒井教授は通勤時間の削減により生まれた「自由な時間」をどう生かすかが求められると強調した。
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アンケート調査については、同社のニュース・リリースと記者の記事を参照していただきたい。
トークセッションは、同社のニュース・リリースを読んでいたのでとても分かりやすかった。システムの問題もあるのだろうが、一般の方にも呼び掛けて一緒に考える勉強会でもよかったのではないかと思う。
一つだけ引っ掛かったのは、雇用労働者の「有償労働」と、家事・育児(介護などもそうだが)の「無償労働」の関係についてだった。
「有償」と「無償」は賃金が支払われるかどうかで分かれるのだろうが(労働者は金だけで働かないのも事実だか)、「労働」の価値そのものは変わらないと記者は考えている。家事や育児が「無償労働」とされてきたのはわが国の家父長制の残滓でもある。「無償労働」の価値を正当に評価することが「新しい生活様式」につながるのではないか。〝専業主婦(または夫)〟(昔は婚期を迎えた娘さんや出戻り、後家さんは「家事手伝い」と呼ばれたが、今は死滅しているはず)などの言葉は死滅すべきだし、職と住の関係も問い直す必要があると思う。
コスモスイニシア 公共施設を活用したアウトドアリゾート「ETOWA(エトワ)」第一弾
コスモスイニシアは6月26日、国や地方自治体が所有する公共施設などを活用したアウトドアリゾート事業「ETOWA(エトワ)」を立ち上げ、第一弾の茨城県笠間市が所有する宿泊施設「旧あたご天狗の森スカイロッジ」を活用した「ETOWA KASAMA(エトワ笠間)」を2020年7月18日(土)に開業すると発表した。
「ETOWA(エトワ)」は、利用者減少や遊休化が課題となっている国や地方自治体が所有する公共施設をリノベーションし、アウトドアリゾート施設に生まれ変わらせることで公共施設の価値向上をめざす事業。
「ETOWA KASAMA」は、JR常磐線岩間駅からタクシーで約10分(常磐自動車道岩間ICより約20分)。客室はSKY CABIN(定員4名):4室、FOREST CABIN(定員6名):4室、SUITE CABIN(定員6名):2室、GRACE TENT(定員3名):6室の全16室。キャビンとグランピングテントを設けている。
ポラス 2020年3月期 4期連続売上げ増 利益も過去最高 今期も増収増益予想
ポラスグループは6月29日、2020年3月期決算を発表。売上高は2,256億円(前期比4.3%増)、経常利益は153億円(同11.9%増)、純利益は43億円(同12.9%増)となり、売上高、経常利益、純利益はいずれも過去最高を記録した。
主力の戸建売上棟数は前期比3.3%減の3,728棟。内訳は分譲戸建住宅が前期比1.4%減の2,529棟で、契約平均価格は前年度の4,106万円から33万円減の4,073万円。マンションは「ルピアグランデ浦和美園」(全340戸)が竣工完売するなど前期比84.3%増の468戸、注文は7.8%減の617棟、賃貸・集合住宅18棟114戸。ポラテックは売上高808億円、経常利益47億円、純利益29億円で減収増益。
今期業績予想は、売上高2,300億円(前期比1.9%増)、経常利益170億円(同10.4%増)、純利益47億円(同7.4%増)を見込んでいる。ポラス商圏内の2020年度の戸建分譲市場は、前年比95.6%の約21,000棟を予想する一方で、同社グループは前期比118%の2,980棟目標にしている。
ポラスグループ代表・中内晃次郎氏は、「2020年3月期は創業50周年を迎えた記念すべき年。消費税増税や新型コロナウイルスの影響がある中でも、テーマ性のある街づくりの充実やポラス初の大型マンション竣工、プレカット事業では名古屋工場の稼働、ヘルシンキ木材調達拠点の設立などによる販売、生産量が拡大した。4期連続で売上高を更新し、経常利益、純利益と併せて過去最高の業績となった。今期は時代の変化をチャンスと捉え、地域特性を活かした新しい街づくり提案、ポラス単独展示場の拡充、プレカット生産拡大など、創意工夫の観点で新しい時代に先駆けた『住まい・暮し』を提供し続け、シェアNo.1エリア、市場占有率の拡大を進めていく」とコメントした。
中央住宅代表取締役社長・品川典久氏は、「地域と一体となり『テーマ性の高い街づくり』に取組んできた結果、契約戸数は2,515棟と過去2番目の契約となった。今期は分譲住宅契約2,980 棟を実現する」とコメントしている。
ポラス2019年3月期 売上高2,163億円 分譲戸建て契約2,654棟 ともに過去最高(2020/6/29)
ヒューリックが特別協賛する将棋棋聖戦 藤井聡太七段が初タイトル獲得へ王手
昨日(6月28日)行われていた日本将棋連盟の8大タイトルの一つ第91期「ヒューリック杯棋聖戦」五番勝負の第2局のネット中継をずっと見た。ご存じのように、17歳の高校生の藤井聡太七段が現役最強とされる渡辺明棋聖(36)に快勝。史上最年少初タイトル獲得に王手をかけた。
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記者も昔はよく将棋を指した。日本将棋連盟が認定するアマ初段(3万円もするのでお金は払っていないような気がする)くらいの力だろうが、藤井さんは第1局も第2局も圧勝だったような気がする。
驚いたのは、タイトル名にもなっているようにわが業界のヒューリックが「特別協賛」していることだった。同社が協賛していることは全然知らなかった。
同社のホームページで確認したら、社会貢献活動の一環として2018年から「ヒューリック杯清麗戦」とともに特別協賛している。
将棋人口は1,200万人といわれる。その〝宣伝効果〟はいくらになるか同社広報に問い合わせたら、「役員などが将棋ファンであることも多少あるかもしれないが、業界他社があまに支援していない分野でもあるわが国の伝統的な芸術・文化活動を支援する目的で協賛したもの。協賛金? 公表していません。宣伝効果? 宣伝を目的にはしておりません」との回答があった。
都の新型コロナ感染者 拡大前期(before)から様相一変 解除後(after)の20代男性は6倍、20代女性は3倍増
東京都は6月27日、新型コロナ感染者が新たに57人判明したと発表した。うち71%に当たる41人が20~30代の若い人で、感染経路不明者も36人(63%)だった。感染者は5月25日に緊急事態宣言を解除してから最多で、5月5日の57人以来の数値となった。
また、年代・性別累計感染者数で617人となった20代女性が611人の40代男性を抜き、685人の20代男性、673人の30代男性に次いで3番目に〝浮上〟した。
この結果、新型コロナの感染状況を監視する「モニタリング指標」のうち新規陽性者数は44.1人/1週間平均(再要請基準50人/1週間平均)、感染経路不明率は48.2%/1週間平均(同50.0%)、週単位の増加率1.22(同2)。
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6月に入ってから連日のように〝夜の街〟〝歌舞伎町〟〝ホストクラブ〟などが報じられており、これに呼応するように20代男性の感染者数が増加している。
報道によれば、都は医療体制がひっ迫していた感染拡大期の3~4月とは状況が異なるとし、休業再要請は行わない模様だ。モニタリング指標も見直すという。
とすれば、われわれは現在のような状況がafter&withコロナの常態であることを容認しないといけないのだろうか。
医療体制はさておき、その心構えの参考にしていただくよう、3月末までの拡大前期(before)の感染者521人と宣言解除後(after)の感染者908人(6月27日現在)の属性の変化をみたのが別表・グラフだ。
beforeの男女比は男性347人(66.6%):女性181人(33.4%)となっており、年代・性別でもっとも多かったのが40代男性の77人(14.8)で、以下、30代男性の62人、70代男性の52人と続いていた。女性では41人の20代女性が最多だった。
afterはどうかというと、男女比は男性587人(64.6%):女性321人(35.4%)となっておりbeforeとそれほど変化はない。新型コロナは人種、性別、老若男女に関わらず平等に襲い掛かると仮定すれば、なぜ男女比で大きな差が出ているのか分析する必要がありそうだ。(記者はジェンダー性差が関係していると思う)
beforeと顕著な差は、20代男性が人数でも比率でも激増していることだ。20代男性の感染者はbefore 41人からafter262人へ6.4倍増。次位の30代男性の159人より100人以上も多く、全体に占める比率でも28.9%(beforeは4.8%)を占めている。
20代男性の増加の陰に隠れている形だが、30代男性もbefore62人からafter159人へと2倍以上に増加している。
一方で、beforeでは77人で最多だった40代男性はafterでは60人へと減少しているほか、50代以上の男性も全て減少、比率も低下している。
注視すべきなのは20代、30代の女性の数値だ。20代女性はbefore41人からafter131人へ3.2倍に増加。宣言解除前の5月15日から解除後の6月20日までは83人(1日平均2.2人)だったが、21日に11人と2ケタに乗ると、この1週間で60人(1日平均8.6人)と再び増加傾向を示している。30代女性もbefore33人からafter61人へ倍増している。
このように20代、30代の若い人の感染が目立つのは、この前も書いたように「死に至る病」ではなく〝絶望〟もしておらず、働かざるを得ない事情もあるからだろうか。これがafter&withコロナの常態となるのだろうか。
安倍首相は6月18日に行った記者会見で「今、感染予防と両立しながら社会経済活動を回復させていく。コロナの時代の新たな日常に向かって、一歩一歩、私たちは確実に前進しています」と述べた。この言葉を信じたい。
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