能登半島地震による1,111棟の被害はゼロ 持家に占めるシェアは過去最高 2×4協会
池田氏
日本ツーバイフォー建築協会(会長:池田明・三井ホーム代表取締役社長)は6月13日、定時総会後に記者会見を行い、能登半島地震では地盤崩壊、液状化を除く強震変形による2×4住宅の被害は全壊、半壊、一部損壊ともゼロであったことを報告し、厳しい状況が続く住宅着工でも健闘しており、持家におけるシェアは20年前の約2倍、12.9%となり過去最高を更新したと発表した。池田会長は次のように述べた。
先の能登半島地震では大きな被害が発生したが、一方で2×4住宅については、当協会会員の独自調査(6社1,120棟)によると、震度6弱以上の地域では地盤崩壊と液状化を除いた強震変形による被害は1,111棟のうち全壊、半壊、一部損壊ともゼロという結果になった。改めて2×4住宅の優れた耐震性を確信するとともに、今後とも2×4住宅の供給を通じて、安全・安心な住まいを広める責務を果たしていく。
2023年度の住宅着工戸数は約86万戸で前年度比7%減少となった。特に持家は4月までの集計で29か月連続して前年同月比マイナスとなっており、大変厳しい状況が続いている。
一方、2×4住宅の着工は91,647戸で、対前年度比横ばい、全住宅着工に占めるシェアは11.5%、前年度に比べ0.8ポイント増加した。また2×4住宅の持家シェアは年々増加しており、20年前の6%から昨年度は約2倍の12.9%となり過去最高を更新した。ユーザーの皆様に支持されていると考えている。
住宅用途以外の2×4設計、建築についても、当協会の調査によると着工件数は前年度比7%増加した。性能面の高さに加え、生産性、施工性の高さ、木の建築として環境にやさしいことなどが評価されている。引き続き2×4による中高層、大規模建築の建築を強く推進していく。
また、今年度は2×4工法オープン化50周年に当たる。本日の講演会やポスターの制作など周辺事業を順次進めていく。
カーボンニュートラルの実現を目指すわが国において、建設時や建物維持におけるCO2排出量が少ない木造建築である2×4建築の供給を通じて、脱炭素社会の実現に貢献することを重要な使命と考え、引き続き普及発展に努めていく。
◇ ◆ ◇
質疑応答では、持家着工戸数の減少が続いていることに対する質問が相次いだ。これに対して、池田会長、副会長の蓮井美津夫氏(イワクラホーム代表取締役社長)、倉田俊行氏(ウイング代表取締役社長)、細谷惣一郎氏(三菱地所ホーム代表取締役社長)は、土地、資材、物価高などによる一次取得層の取得環境の悪化、コロナ禍による価値観の変化、資産性、コストパフォーマンス(コスパ)を重視する最近の傾向などが背景にあると答えた。
この種の質疑応答は、意見を言う場ではないので記者は黙って聞いていた。持家の着工減は繰り返し質問が飛び、同じような答えが返ってくる。もう聞き飽きた。耳にたこができるくらいだ。
しかし、どことは言わないが、厳しい環境下でも業績を伸ばしている会社はある。持家はアッパーミドル、富裕層にターゲットを切り替えるとか、持家がだめなら貸家、分譲にシフトしたり、他の事業を伸ばしたりするなど対応策はあるはずだ。
もう一つ、これは2×4協会だけではなくプレハブ建築協会、日本木造住宅産業協会などの会合・記者会見でも感じるのだが、どこも基本性能やコスト、工期、環境性能などしか話題に上らない。木造でいえば、鉄やコンクリとの比較だ。性質、特徴が異なるのに比較してどうなる。
記者は違った見方をしている。それは何よりも「住宅」と不可分な外構=みどりだ。しつこいほど「みどり」について記事を書いてきた。高級住宅地やポテンシャルの高い街は間違いなく「みどり」が豊かだ。ぺんぺん草も生えない狭小で貧しい住宅が隠花植物のようにはびこっているのに、みどり環境について質問する記者などいないし、主催者側も話さない。資産性=駅からの距離に矮小化する論議に辟易している。
先月、三鷹市の任意団体・ミライアクションみたかが主催した講演会で、千葉大学名誉教授・藤井英二郎氏は「強剪定された街路樹は委縮した心と社会の表れです。だから、木とお互い様だよ、共認している生き物としての感覚でいえば、涼しくもなるし、心も豊かになる。そういう社会を目指そうじゃありませんか」と話した。講演後の拍手が鳴りやまなかった。アンコールを求めるコンサートのようだった。
これがヒントだ。荒んだ世の中に逆らうことも掉さすこともせず、病葉のように身をまかせる-このような意識が蔓延しているような気がしてならない。かくいう記者もそうだが…。
左から蓮井氏、倉田氏、細谷氏
伊勢崎線の№1戸建て住宅街 トヨタ&東武鉄道「WELL BIND CITY 獨協大学前」
「WELL BIND CITY 獨協大学前」
草加市、獨協大学、都市再生機構、東武鉄道、トヨタホームの産・官・学5者連携による街づくりが進められている草加市の「獨協大学前〈草加松原〉駅西側地域」の戸建て住宅地「WELL BIND CITY 獨協大学前」を見学した。分譲開始は6月22日。
現地は、かつて“東洋一のマンモス団地”と呼ばれた旧松原団地を中心とした総面積約54haの再開発エリアの一角。団地は老朽化と住民の高齢化などの課題を解決するため2003年から草加市、獨協大学、UR都市機構の3者が連携し、多様な世代の共生、グリーンインフラ、防災拠点の構築、教育の提供、団地の再生などを進めてきた。
今回の「WELL BIND(ウェルバインド)」は、新たに東武鉄道とトヨタホームが加わり、開発面積約6.5haの戸建て住宅地を整備するもの。ソフト・ハード両面から継続的なにぎわいと交流を創出し、地域の活性化に取り組んでいく。周辺には、公園、小・中学校のほか、草加市立松原児童青少年交流センター、獨協大学コミュニティスクエア、商業施設「トーブ イコート」などの施設が整っている。
開発街区はL字型で、Airy Zone(鳥)、Bright Zone(太陽)、Ripple Zone(蝶々)の3つに分け、テーマごとにデザインし、電線地中化、2棟の平屋建て約30坪のクラブハウス、3つの街区公園、敷地面積130㎡以上、太陽光発電・ZEHを搭載したスマートハウスなどが特徴。今後7~8年かけて分譲していく。
物件は、東武スカイツリーライン獨協大学前〈草加松原〉駅から徒歩13分~15分、草加市松原4丁目の第一種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する開発面積約65,357㎡、全373戸。第1期18戸(トヨタホーム10戸、パナソニックホームズ6戸、ミサワホーム2戸)の敷地面積は131.15~134.67㎡、建物面積は102.60~108.76㎡、価格は7,000万円台中心。建物は完成済み。土地売主はトヨタホーム、東武鉄道。
トヨタホーム、東武鉄道は東武日光線南栗橋駅圏でも久喜市、イオン、早稲田大学の5者連携による約16万㎡の「BRIGE LIFE Platform構想」を推進しており、全172区画の戸建て住宅地「BLP-MINAMIKURIHASHI SMART VILLA」の開発を行っている。
モデルハウス
植栽
クラブハウス
クラブハウス
雨水タンク
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皆さんは、この再開発エリアでの分譲マンション第一号で、東武鉄道の新マンションブランド〝ソライエ〟の第一号マンション「ソライエ草加松原」をご存じか。分譲開始は2012年で、駅から徒歩3分の全255戸。坪単価138万円、最多価格帯3,100万円台と圧倒的に安かったことから人気を呼んだ。
その後、駅名は草加松原から獨協大学前に変わり(草加松原は副駅名)、住友不動産、東部鉄道が継続的にマンションを分譲している。坪単価は250万円くらいのはずだ。都心への近さから言えば安いと思うが、戸数(平均面積74.3㎡)要件が付されており、20坪で5,000万円はする。
「WELL BIND CITY」は駅からややあるが、公園などを通れるからアクセスはとてもいい。そして何よりも土地面積が広く、30坪のスマートハウスが7,000万円台で買えるのだから、これまたものすごく安い。東武スカイツリーラインのナンバーワン戸建て住宅街だと思う。
ただ、同線は京王線と同様、利便性が高いのに不動産価格は他の沿線と比較して〝割負け〟している。足立区北千住のマンションは坪500万円を突破している。しかし、誰も同線だとは考えていない。千代田線北千住だ。縁あって書きたくはないのだが、草加市のイメージもまたいいとは言えない。鉄道会社と自治体はブランディング化にもっと力を入れるべきだ。
余談はこれくらいにして本題。トヨタホームのモデルハウスは約106㎡。基本性能が優れているのは言うまでもないが、リゾート(ストックフォルム)を想定したデザインが抜群。同社によると、6種のコンセプトと14か国のインテリア、つまり6×14=84種のコーディネートが選択できることになっているそうだ。
いつものように、あら捜しをした。1階の天井高2400ミリは高くない(ポラスは2700ミリが標準)ので、同社担当者にもその旨話した。階段幅も〝狭い、世界のトヨタともあろうものが〟と指摘しようと思ったら、そうではなかった。メーターモジュールを採用していた(パナソニックホームズとミサワホームは尺モジュール)。
この他、サッシ高2380ミリ、2ボウルの洗面、ユニバーサルデザインを考慮した引き戸多用、壁面角のR状仕上げなどが目を引いた。
外構では150~185リットル入る大型雨水タンク、ホースと蛇口が別々の水栓、5本を上回る中高木の植栽(角住戸は11本だった)もいい。
7~8年かけてゆっくり販売するという戦略も納得だ。さすがトヨタ、東武というべきか。販売担当は尻をたたかれなくて済む。全戸が完売するころには、草加駅よりいい街になっているかもしれない。急行停車も草加からこちらに変更されることにはならないか。
多摩市の次に好きな草加市だが…街並みは乱杭歯〝美しくない〟と感じる市民6割超(2023/11/23)
草加市初 景観協定&全棟ZEH 敷地分断・送電線…難点克服 ポラス「草加松原」(2023/11/23)
敷地100坪 建物30坪の平屋 ミラースHDの戸建て「南栗橋」企画ヒット(2022/11/13)
住友不動産 全6,000戸の「松原団地」建て替えエリアで538戸のマンション(2015/1/13)
約6000戸の松原団地 建て替え本格化 戸数(面積)制限はなぜ(2015/1/12)
東武鉄道の新ブランドマンション第一号 「ソライエ草加松原」は坪138万円(2012/8/30)
前東急Re・デザイン監督 大和ハウスウッドリフォーム執行役員・大滝氏とばったり
大滝氏(ガス室ではない、リーガロイヤルホテルグループの都市センターホテルの喫煙室で)
対面にどこかで会ったような男がいた。ワインを5~6杯、もっとか飲んでいたが、自らを失う量ではない。胡乱な頭をフル回転させた。ここはどこだ、俺は誰だ。ガス室と大差ないとは思ったが、このまま絞首台に送られるどこかの国の政治犯ではない。話せるのは日本語のみだ。政治には背を向けてきた。性犯罪者でもない。歌舞伎町の風俗街とはもう20数年前に縁を切った。仮にあったとしても時効は成立しているはずだ。
ここは6月13日、日本ツーバイフォー建築協会懇親会が行われた都市センターホテルに唯一ある喫煙ルームだ。何よりも安心・安全だ。それを確認して、恐る恐る声を掛けた。名刺を渡した。相手も名刺をくれた。えっ!名刺には「大和ハウスウッドリフォーム執行役員技術本部長 大滝信一」(大書きはされていなかったが)とあった。
知る人ぞ知る、知らない人は知らない、昨年までの〝出ると負け〟の東急Re・デザインの監督その人だった。そのとたん、あの禿のツルツルテンの稲本、不惑に近い田口、投げても投げても野手に足を引っ張られた佐藤投手が眼前に現れた。
なぜ、その大滝監督がここにいるか。プレス・リリースを読んでいただきたい。記者は知らなかった。東急Re・デザインは2023年10月24日付で、同社の新築事業および首都圏の戸建リフォーム事業を2024年4月1日付で大和ハウス工業に譲渡すると発表している。その結果、大滝氏とお会いできたということだ。大滝氏はRBA大会復帰にイエスともノーとも言わなかった。いえる立場にないのも理解した。
芳井社長、久米大会委員長、それと東急リバブル、大和ハウスのチームの皆さん、大滝さんや田口さん、佐藤さんがRBAに出られるようにしていただきたい。RBAは勝つことだけが目標ではないはずだ。
一条工務店 大量31点コールド勝ち 中野サイクル安打 東急Re・デザイン田口(悲)
ナイス横澤が満塁弾東急ホームズ53歳田口超遅球を駆使燦然と輝く稲木は落日(2018/7/6)
長寿命化促進と管理適正評価制度に力 高松理事長 マンション管理業協会懇親会
高松氏(提供:不動産流通研究所)
マンション管理業協会(理事長:高松茂・三井不動産レジデンシャルサービス会長)は6月11日、第一ホテル東京での定時総会後に懇親会を開き、副理事長に問田和宏氏(野村不動産パートナーズ代表取締役社長兼社長執行役員)と、世古洋介氏(三井不動産レジデンシャルサービス代表取締役社長兼社長執行役員)がそれぞれ新任したと報告した。高松理事長のあいさつは次の通り。
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マンション管理業協会理事長の高松でございます。本日は、公務お忙しい中、斉藤国土交通大臣はじめ、多くの国会議員の皆様、国土交通省の皆様、関係者の方々にご出席を賜り、心より厚く御礼を申し上げます。
最初に、本日開催されました第45回定時総会において、各議案が承認され、つつがなく終了いたしましたこと、ここに報告いたします。また、引き続き開催されました理事会におきまして、2名の副理事長が選任され、わたくし高松が理事長に再任されました。引き続きよろしくお願いいたします。副理事長につきましては、後ほどご紹介いたします。
本日は、ご挨拶として、マンション管理業協会の取組等についてご案内したいと思います。先ず、マンションを取り巻く現状です。
皆様もご承知の通り、マンションは国民の約1割が居住し、永住意識も高まっている重要な居住形態である一方、建物と居住者の「2つの老い」という問題が久しくクローズアップされています。
こういった課題に対応すべく、弊会は様々な施策を推進しております。本日は、そのうちの2点、マンション管理適正評価制度と政策提言・要望活動等について、少し詳しくご案内させていただきたいと思います。
先ずは、政策提言、要望活動等についてでございます。幣会では、毎年、国土交通大臣宛てに「マンション管理の現場に則した政策提言等」を行っておりますが、本年度もその一つとして「マンション長寿命化促進税制」の期間延長と適用要件の緩和を要望していこうと考えております。
令和5年度から適用されているこの制度は、マンションの長寿命化を促進していく上で、極めて重要な支援策でありますが、是非とも、より使い勝手の良い税制に緩和していただきたく要望するものです。
この税制における減税措置の概要は、対象マンションの築年数や管理計画認定取得の有無、過去に行った大規模修繕工事の実施時期等の様々な要件を満たすことが求められており、この適用期限が令和7年3月末までと限られております。
ところが、長寿命化を図るべきマンションは、まだまだあります。是非とも延長をお願いしたいと思います。
マンション管理適正評価制度についてご案内させていただきます。マンション管理適正評価制度は、弊会において令和4年度にスタートさせた制度です。
管理状態を5つのカテゴリーに分類してソフト面とハード面両面から、30項目について評価し、その結果をサイト上で公表する制度であるということについては、これまでも繰り返しご案内しているところです。
この制度のメリットですが、大きく5つの流れがあります。
評価制度に登録することで、管理の状態を把握して様々な課題等が明確になり、早期に対策・予防することで良好な管理状態を維持継続することにつながります。
そして、この制度に登録しますと、ご覧いただいているように協会ホームページの専用サイトに掲載されまして、マンション購入を検討されている方を始めとして誰でもが閲覧することができるものです。
更に、この制度は不動産仲介のポータルサイトと連携しておりますので、購入検討者への情報開示が行われ、また、一部金融機関における金利優遇等もあることで、マンションの市場価値向上に繋がることとなります。
横浜市立大学の齋藤広子先生の研究で、「管理水準の高いマンションは価格が高い」という分析結果が、公開シンポジウムで披露されておりますので、ご紹介させていただきます。
星3つ以上の場合は、評価を取得していない物件と比べて価格が高い、更に星5つのマンションですと11%の価格プレミアが生じていることが確認できたというものです。
この制度には、本日現在で4,535件の登録をいただいております。わたくしどもとしましては、次なる登録目標として、協会会員社が受託している管理組合数が約10万管理組合、その約1割である「1万件」を掲げております。 「マンションは管理を買え」、そのために弊会は「管理の見える化」に取り組んで参ります。
マンション管理を巡る課題は多岐に亘るものがあります。幣会では、これら様々な課題について各委員会で議論を進めて参ります。
幣会は、これからもマンション管理を巡る諸課題に精力的に取り組み、良好な社会資産としてのマンションストックの形成に寄与していきたいと考えております。
本日ご臨席の皆様からの引き続きの深いご理解、ご協力を心からお願い申し上げまして、本日のあいさつとさせていただきます。
準都心部も青天井相場へ 住友不「板橋大山」坪550万円 「池袋」坪800万円近く
「シティタワーズ板橋大山」
住友不動産は6月12日、「シティタワーズ板橋大山」と「グランドシティタワー池袋」のメディア向け内覧会を開催し、「板橋大山」は6月17日付プレス・リリースで同日から第1期販売を開始すると発表した。坪単価は平均で550万円、上層階は650万円になることも明かした。東池袋駅直結の「池袋」はすでに販売を開始しており、供給戸数は120戸、上層階の坪単価は700万円台の後半。「池袋」はともかく、記者はうわさでは聞いていたが、大山駅圏で坪550万円とは腰が抜けるほど驚いている。都心部だけでなく、準都心部も価格は〝青天井〟の様相を呈してきた。
「板橋大山」は、「大山町クロスポイント周辺地区第一種市街地再開発事業」として開発が進められているもので、同社は26階建て「シティタワーズ板橋大山ノースタワー」88戸(販売時期など未定)と、今回分譲する「シティタワーズ板橋大山サウスタワー」239戸を分譲する。街区全体で4,000㎡超の商業区域を整備する。
「サウスタワー」は、東武鉄道東上線大山駅から徒歩3分、板橋区大山町の商業地域/近隣商業地域/第二種住居地域(建ぺい率80%/80%/60%、容積率500%/300%/300%)に位置する26階建て全239戸(非分譲住戸54戸含む)。専有面積は53.27~72.01㎡、第1期は18階以上の27戸が対象で、坪単価は650万円。下層階を含む平均坪単価は550万円。竣工予定は2024年10月下旬。売主は同社のほかフージャースコーポレーション。設計は久米設計、施工は長谷工コーポレーション。管理は第三者管理者方式を採用する。
これまでのエントリー数は3,000件超、オンライン見学会への参加数は約500件、モデルルーム来場者は約300件。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2600ミリ、サッシ高2100ミリ、御影石キッチン天板、ディスポーザー、食洗機、ワイドスパン(69㎡のモデルは約10m)など。共用施設はパーティルーム、屋上テラス、テレワークスペースなど。
「グランドシティタワー池袋」は、東京メトロ有楽町線東池袋駅から徒歩1分、豊島区南池袋二丁目の商業地域/第1種住居地域(建ぺい率80%/60%、容積率600%/300%)に位置する52階建て全878戸(非分譲住戸105戸含む)。7月下旬販売予定の第3期(戸数未定)の専有面積は45.44~104.03㎡。坪単価は平均700万円台の後半。竣工予定は2026年11月中旬。売主は同社のほか三井住友信託銀行。設計はINA・清水・前田設計共同企業体、施工は清水・前田建設共同企業体。管理は第三者管理者方式。
これまでエントリー数は約5000件、モデルルーム来場者は約600件。
主な基本性能・設備仕様は、長期優良住宅、ZEH-M Oriented取得、二重床・二重天井、リビング天井高2600ミリ超、サッシ高2100ミリ、御影石キッチン天板、ディスポーザー、食洗機など。共用施設は2層吹抜のグランドエントランスホール、ラウンジ、フィットネスルーム、スタディルーム、キッズ&ペアレンツスペース、スカイラウンジ、ゲストルームなど。
昨年10月から販売を開始しており、これまで120戸を供給済み。
「板橋大山」モデルルーム
「板橋大山」屋上テラス
「板橋大山」ラウンジ
「グランドシティタワー池袋」
「池袋」モデルルーム
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記者は、マンションの坪単価を読み違えることはあまりない。四十余年間、ずっと訓練してきたからだ。市場を読めなくなったらマンション取材記者として失格だ。
例外はないわけではない。その筆頭は東京建物「目黒」だ。記者はマックス坪550万円と読んだ(同業の記者は420~430万円くらいと言ったが、それが当時の相場だった)。ところが、実際は坪600万円超となった。都心部のその後の市場を劇的に変えたのは皆さんご存じだ。
しかし、今回の「板橋大山」は大幅に予想を外した。東武東上線大山駅圏のマンションはこれまで十数件は見学している。三菱地所レジデンスの「ザ・パークハウス 板橋大山 楠ノ杜」(坪355万円)を2021年末に見学したとき、住友不動産の物件は坪400万円をはるかに突破すると読んだが、まさか坪550万円になるとは夢にも思わなかった。まあ、北千住も坪500万円をはるかに突破しているのだから、ありえない単価ではないと思うが…。
「板橋大山」の平均坪単価が550万円、上層階が650万円になる意味は大きい。城西・城南エリアもそうだが、城東・城北エリアの準都心部も青天井相場を形成するのではないか。城北エリアの相場観を見直す必要を感じる。
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実に楽しい取材だった。物件説明を行った「板橋大山」担当の同社住宅分譲事業本部現場リーター・渡邊健太郎氏、「池袋」担当の同部新規営業所長・中村貴彦氏、マンション市場などを説明した広報担当のS氏が完璧の受け答えをしたからだ。
記者は、いま話題になっている「富士山」について渡邊氏に「御社の物件の西側には某社のタワーマンションが計画されていますが、その影響で富士山は見えなくなる可能性はないのですか」と質問した。渡邊氏は「そのマンションは西側で、富士山が見えるのは南西側ですので、サウス棟は影響を受けません。ただし、富士山が見える方向に高層建築物が建設される可能性は否定できず、将来にわたって富士山の眺望を保証するものではありません。そもそも、富士山の眺望を売りにはしていません。ノースタワーは当社のサウスタワーの日影の影響を受けます」と答えた。
完璧だ。「池袋」担当の中村氏とは値付けなどについていろいろ話した。中村氏は明言を避けたが、プライスリーダーの座を売り渡す気はないことをほのめかした。わが多摩センターは「とてもいい街」と褒めてくれたし、「多摩川」の豊かな緑についても意見の一致を見た。
モデルルームは、「板橋大山」は専有圧縮しているが、ワイドスパンがとてもいい。どこと比較するかだが、1坪違えばグロスは数百万円にもなる。「池袋」はデザインがいい。
S氏もまた非の打ちどころのない説明を行った。問題があれば足を引っ張ってやろうと待ち構えていたのだが、市場の見方は小生と一致した。
同社はまた、地元の「大山問題を考える会」の〝アーケード解体に反対! 強制立ち退きに反対!タワマン再開発に反対! 26号都道延伸に反対!〟についても説明。手続きなどに瑕疵はなく、「都道延伸は都の計画であり、当社のマンションとは直接関係はない」と話した。(記者は再開発に反対する人たちの考えは理解できないわけではないが、取材していないので何とも言えない)
マンション購入検討者にも一言。皆さんは「タワー」で物件検索をするそうだが、「住環境」「みどり」を加えていただきたい。資産性を重視するのはわかるが、タワー同士のお見合い、複合日影などを考えると、住環境が担保されている1低層のマンションは最高にいいと思う。
物件について説明する渡邊氏(左)と中村氏
再開発進む大山駅圏で普通借地権付き 単身者・DINKSに照準 タカラレーベン(2024/5/14)
お茶の水女子大学 国際学生宿舎跡地 定借「大山」好調 首都圏事業強化へ 阪急阪神不(2024/3/21)
息をのむ自然共生・歴史継承の取り組み 三菱地所レジ「板橋大山 大楠ノ杜」完成(2023/11/13)
東池袋駅隣接 タワマン2棟1,498戸の再開発着工 住友不・野村不・UR都市機構(2022/9/10)
マンション管理適正評価 登録率トップは遠鉄アシスト 1割超達成は6社
左から高松氏、山内氏、同社勝又進氏
マンション管理業協会(理事長:高松茂・三井不動産レジデンシャルサービス会長)は6月11日、定時総会後に懇親会を開き、同協会が推進しているマンション管理適正評価制度の当日現在の登録件数は4,535件であることを公表し、もっとも登録率が高い静岡県浜松市の遠鉄アシストを表彰した。
遠鉄アシスト取締役ビルサービス事業部長・山内友博氏は「同制度はマンション管理の良否を明確に示すモノサシであり、当社が管理する40数棟の管理組合に登録を積極的に呼びかけており、現在登録率は2割ちょっと。今後も登録増に尽力していく」と語った。
また、同社に次いで登録率が高いのはグローブシップ(東京都港区)で、三井不動産レジデンシャルサービス(東京都江東区)、伊藤忠アーバンコミュニティ(東京都中央区)、穴吹コミュニティ(香川県高松市)、日本ハウズイング(東京都新宿区)が1割超であることが分かった。
昨年の懇親会で「会員354社の管理件数の1割で達成できます。ちょうど1割、たった1割」とあいさつして爆笑を買った、同協会副理事長で日本ハウズイング代表取締役社長CEOは「当社は1万棟を管理受託しているが、うち1,000棟が登録しているので、ちょうど1割」と語った。
★5つの登録件数が多い伊藤忠アーバンコミュニティの代表取締役社長で同協会理事の深城浩二氏は「わずか1年間で★2つから★5つを獲得した管理組合があるように、★が低くても登録するよう働きかけていくことが大事」と話した。
同協会は、会員が管理する約100万件の1%に当たる1万件登録を今年度末までに達成する目標を掲げている。
〝劣等生〟の管理組合&管理会社も積極登録目指せマンション適正管理評価制度(2024/3/16)
「知の結集。やればできる」齊藤審査委員長が激賞管理協バリューアップアワード(2024/2/29)
眺望価値はそれほど高いか 街路樹伐採のほうが問題ではないか 積水ハウス「国立」
マスコミ各社は、積水ハウスの分譲マンション「グランドメゾン国立富士見通り」が竣工を目前に控え、購入者との契約を解除し、建物も解体すると国立市に届け出たことを報じている。報道によれば、建築基準法などの法令に違反しているわけではなく、近隣住民などから〝富士山が見えなくなる〟との反対運動を考慮し、同社は「建物が周辺に与える影響についての検討に不十分な点があった。経営判断」(朝日新聞)として決断したという。
物件は、JR中央線国立駅から徒歩10分、国立市中2丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率41%、容積率288%)に位置する敷地面積約464㎡、10階建て19戸。専有面積は65.80~75.88㎡。竣工予定は2024年6月下旬。施工は川口土木建築工業。
今後は、建築基準法第39条(手付の額の制限等)の「宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の十分の二を超える額の手付を受領することができない」「宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手付を受領したときは…当該宅地建物取引業者はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる」規定により、手付金の倍返しを行い、契約を解除することになりそうだ。
◇ ◆ ◇
住民のマンション建設反対運動により、絶対高さを法令基準より低くした事例はたくさんあるだろうが、法令に違反していないのに竣工目前で契約を解除し、建物も解体するという事例を記者は聞いたことがない。おそらく初めてのことではないか。明和地所の「国立マンション」について10年くらい取材をしてきた記者も驚いた。
同社はその理由として「経営判断」としか示していないが、「人間愛」を理念に掲げ、「人間性豊かな住まいと環境の創造」を標榜する同社にとって、そのブランド価値を守るほうが得策だと考えたのだろう。建築費や手付金倍返しと解体費用を含めた損失額は数億から10億円程度にとどまるのではないか。
今回の事例とは異なるが、2011年に竣工した同社の記念碑的なマンション「グランドメゾン伊勢山」は、2007年に耐震偽装が発覚し工事を中止して建て替えたものだ。今回の「国立」は更地にして、改めて低く抑えてマンションを建設するか、あるいは売却することになりそうだ。
それにしても、景観価値、というよりは今回は〝富士山が見えない〟というだけのごく限られたエリアの人たちの〝利益〟を重視しただけに過ぎないが、〝富士山が見える〟価値はそれほど高いのか。ならば、どうして「国立」マンションのとき、地区計画で他のエリアも高さ規制をしなかったのか。記者などは道路整備によって「ケヤキ」「イチョウ」「ポプラ」「ユリノキ」「サクラ」などの街路樹が伐採され、それらの名を付した通りが失われるほうが問題だと思うが…。
〝市民の味方〟の国立市議さん 「国立の都市景観」を語ってほしい(2014/6/11)
住友不動産「グローブアベニュー国立」 高さ20mは自主規制の結果(2014/5/7)
「国立裁判」全て終結 明和地所が全面勝訴したが…(2008/3/13)
億ションの歴史を変える積水ハウス「グランドメゾン伊勢山」(2011/5/13)
ワーカーのウェルビーイング向上目指す食堂整備 東京建物「八重洲一丁目B地区」
東京建物は6月7日、再開発組合の一員として参画している「東京駅前八重洲一丁目東B地区第一種市街地再開発事業」にワーカーのウェルビーイング向上を支援する食堂等を整備することを決定したと発表した。
八重洲プロジェクト13階にオフィス入居者向けのウェルビーイングフロア「(仮称)Wab. (ワボ)」を設け、食を通じてワーカーの生き生きとした生活をサポートする食堂や、生産者を招き食材・レシピの紹介等を通じてワーカーと交流するイベントキッチンなど、ウェルビーイング向上に寄与する施設を導入する。
食堂では、キリンホールディングスと協業し、免疫ケアフードメニューを提供するほか、47都道府県各地の郷土料理やこだわりの調味料の提供を通してコミュニケーション機会の創出と地域の食文化の継承・発展を目指す。
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記者は、この種の取り組みについてはよくわからないのだが、今年3月、コリアーズ・インターナショナル・ジャパンの取材をしたとき、同社レポートで多くのオフィスワーカーが希望する設備として「食堂」「コンビニ」「リフレッシュルーム/カフェスペース」を求めていることを知った。
また、日本ビジネスシステムズ(JBS)は2024年4月に本社を虎ノ門ヒルズ ステーションタワーへ移転し、併設するカフェ&ダイニング「Lucy’s Tokyo」の利用とともに、集い行き交うコミュニケーションプレイス=“ Park ”(公園)を実現するというニュースもあった。
最近はせんべろの日高屋しか利用しないが、47都道府県の郷土料理が食べられるというのはとてもいい。わが故郷の「伊勢うどん」がお勧めだ。黒いおつゆ(昔はたまり醤油)に真っ白で柔らかいうどんが浮かび、それと歯ごたえのある赤白のかまぼこ、青々とした細ネギが載っているのみ。シンプルで美しい。600円くらいか。
オフィスワーカーの欲しい設備「食堂」/Z世代の働きたい場所「東京」コリアーズ(2024/3/18)
まるで武蔵野リゾート 断熱等級7を初めて体感 旭化成ホームズ 戸建て甲州街道モデル
「Asu-haus(アスハウス)」甲州街道モデル
旭化成ホームズは6月5日、木造戸建て住宅の新ブランド「Asu-haus(アスハウス)」甲州街道モデルハウスをメディア向けに公開した。外気温は30度を超えていたにもかかわらず、エアコン1台で建物内は25度前後に保たれる断熱等級7のすごさを初めて体験し、豊かな緑に圧倒された。〝武蔵野リゾート〟と名付けた。
〝Asu-haus(アスハウス)の未来につながる暮らしと空間〟がコンセプトで、「暮らし」については、エアコン1台で季節・時間・場所を問わず快適な生活ができる「経験価値」、断熱等級6のエアコンをつけたままの全館空調より消費電力は約40%削減できる「経済価値」、ZEHからLCCM(Life Cycle Carbon Minus)の「環境価値」をそれぞれ実現。「空間」については、断熱等級が国内最高クラスの断熱等級7の「温熱性能」、長期にわたって快適性を担保する「構造安全・耐久性能」、地域や自然とつながり多用途に使える「デザイン」としているのが特徴。
これにより、温度差は±1℃以内、温度は夏26~28℃、冬20~23度、湿度は夏60%以下、冬40~60%、壁・床・天井などの表面温度は室温±2℃以内の理想的な環境を目指す。
主なターゲットは、必要最小限の空間と環境を重視し、クリエイティブでファミリー志向の60代夫婦。間取りはシンプルな田の字型で、汎用性を重視している。
見学会に臨んだ同社GREENOVATION推進室室長・白石真二氏は「未来のあるべき姿を見据え、暮らしと空間のそれぞれ3つの価値を実現する。そのために、具体的な4つの温度・湿度の目標値を設定した」と語り、合わせて、ブランドコンセプトである「GREENOVATIONには、環境性と経済性の両立という概念を取り込み、さらに若々しく健康に生きようという意味も込めた」と語った。
また、同推進室企画グループ・高梨拓己氏は外観・外構などについて「5.5寸の切妻屋根を採用することでソーラーの設置、都下での北側斜線制限にも対応できるようにし、日射を遮断するパーゴラのほか、ベビーカー、車椅子にも対応できるスロープを設けた。エクステリアでは14本の中高木を植樹した」と話した。
モデルハウスは、多摩モノレール線甲州街道駅から徒歩4分、敷地面積は約50坪、建物は木造軸組工法(平屋~2階)の切妻屋根の延床面積約30坪。断熱等級7(Ua値0.26W/㎡・K以下)、耐震等級3、耐風等級2。坪単価は135万円から。家庭用エアコン1台で快適性が保たれる全館空調を採用。床はクリ材の突板、窓はトリプル樹脂サッシ。最大天井高はロフトを含めて約6m。販売棟数は2024年度16棟、2025年度25棟を上限とする限定販売。販売エリアは東京都城南・城西地区、都下の一部。6月1日から販売開始されている。
植栽(手前はじゃかご)
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〝武蔵野の別荘はかくやあらん〟-これが見学した率直な感想だ。これほどコンセプトが明確で、ターゲットも的確なモデルハウスは他にそうないはずだ。
建物外観と外構を見たとき、勾配屋根と左官調仕上げの飽きのこないヴァナキュラーデザインに惹かれ、〝5本の樹計画〟をはるかに上回る圧倒的な緑量に興奮すら覚えた。売上高1兆円を目指す同社にとって2024~2025年度の販売棟数41棟は微々たるものだろうが、〝堅牢だが価格が高い〟〝コンクリート住宅〟とは違った世界観、価値観を垣間見ることができた。
植栽計画について。玄関エントランスには樹肌・樹皮に横縞模様がある「武蔵野ヒノキ」が植えられていた。樹高は高くならないよう建物の高さ6mくらいにコントロールするとのことだった。(どうして「武蔵野」がついているのか、ネットで調べたがわからなかった)。この他はシラカシ、ヤマボウシ、ナナカマド、シャラ、ポプラ、オリーブ、ソヨゴなど。
住宅性能、特に断熱性について。あちらこちらの部屋の壁、サッシ枠、ガラスの温度などを確認した。熱伝導率が異なる木、鉄、コンクリ、ガラスなどが室温とほとんど同じ25℃前後で一定していた。普通はありえないことだ。ただ、断熱等級7は初めての体験だったので、断熱等級6や一般的な全館空調との差はいまひとつよくわからなかった。これは体験してみないとわからないことだ。真夏か真冬が一番いい。
玄関の温度計は外気温31.2℃、建物内は24.5℃を示していた
リビング
モデルハウス(2階から写す)
モデルハウス
武蔵野ケヤキ
外観
旭化成ホームズGr 今期売上高9,600億円へ木造戸建て参入トライアル(2024/5/13)
本物の緑に感動 無国籍・多国籍の店舗構成も納得 東急プラザ原宿「ハラカド」
「ハラカド」(左)と「オモカド」
表参道と明治通りが交差する神宮前交差点にある「東急プラザ原宿『ハラカド』」を見て回った。東急不動産と東京地下鉄が共同で開発を進めてきた75の物販・飲食店舗からなる施設で、2024年4月17日(水)にオープン。7階の屋上テラスをはじめ4階フロアの「みどり」はすべて本物で、その圧倒的な量に感動し、わが国と思えない無国籍・多国籍の人の集まりを想定した店舗構成になるほどと思った。小生のような日本人年寄りはほとんどいなかった。平日にも拘わらず多くの人で賑わっていた。
施設は、感度の高いヒト・モノ・コトと「出会う」「つながる」「体験する」「楽しむ」を掛け合わせることで、新たな原宿カルチャーの創造・体験の場を実現するのがテーマだそうで、対面にある「東急プラザ表参道『オモカド』」とともに原宿の名物になるのは間違いない。
訪れたのは6月3日の午後2時過ぎ。何か食べようと5階に上った。そのものずばりの「FAMiRES」や「居酒屋スタンド ジャンプ」「一風堂」「TOKYO MEAT 酒場」「紫金飯店」「原宿牡蠣屋 Tokyo Seafood」「da pai dang 105」「まぐろ問屋 恵み」「カンブチキン」「トーキングゴリラ」「PRETTY PORK FACTORY & KATSU プリポー」など、路地裏の屋台を1フロアに収めたような造りにしばし呆然。一番なじみやすい昭和レトロの居酒屋に入り、ビール2杯とアジフライを注文した。〆て2,000円少し。小生が最近ほれ込んでいる日高屋のメニューの倍の料金だ。〝ここは原宿〟と自分を納得させるほかなかった。
周囲を見渡した。小生のような日本人年寄りはほとんど皆無。アジア系と思われる外国人が多数派を占め、ファッションショーから抜け出してきたような長身でスタイル抜群の若い人には口をあんぐり。遮るものがない通路を眺めながら酒を飲めるのもまたいい。
7階の屋上テラスの豊富な樹木にも圧倒された。写真を撮ったり、ベンチで寝そべったり食事をしたりする人の姿が目立った。これまたあまり見ない光景だ。
4階の約312坪のフロア全体を「ハラッパ」に見立てた企画もまたいい。各方面のクリエイターが演出を担当しており、国籍・性別・年齢に関わらず皆がボーダレスに体験できるインスタレーション、コンテンツはもとより、配置されている観葉植物はすべて本物なのに、「フェイクをやめよ」と主張してきた記者はとてもうれしくなった。
これは不確実なので断定はできないが、東急不動産ホールディングスグループはもう10数年前から新卒採用基準を平均点主義から特技、長所などを重視する方針に変更しているはずだ。若い社員が「オモカド」や「ハラカド」の商品企画に加わっているからこそ、斬新なアイデアが生まれるのではないかと記者は考えている。
屋上テラス
屋上テラス
屋上テラス
4階「ハラッパ」