リノベマンションをZEH水準に改修・販売 阪急阪神不動産 初の取り組み

「ジオ阪急千里山田センターウィング」
阪急阪神不動産は9月13日、買取再販事業「Styles」で「ジオ阪急千里山田センターウィング」の一室にZEH水準を満たす省エネ改修を行い、8月24日から販売を開始したと発表した。中古マンションのリノベに際しZEH化を施したのは「当社では初、関西でもおそらく初かと思われますが裏付けは取れておりません」としている。
リノベに際し、外気に面する壁面に断熱材を付加し、全窓にLow-E複層ガラスの内窓を採用、特殊金属膜を室外側のガラスに施すことで、一般複層ガラスと比較し約1.5倍の断熱効果を実現。さらに省エネ効率の高い水栓、高断熱浴槽、エコシャワー、節水トイレ、LEⅮ照明を採用。断熱等性能等級(断熱等級)5、かつ一次エネルギー消費量等級6に関する基準をクリアした。
物件は、阪急電鉄千里線山田駅から徒歩 1分、販売住戸は71.16 ㎡で、価格は4,780万円。建築年月は2003年2月。
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とてもいい取り組みだ。記者はリフォーム・リノベマンションの市場はよくわからないのだが、矢野経済研究所の調査によると、中古住宅の2023年の買取再販市場規模は42,000戸だそうだ。 このうち、ZEH化を施した物件はどれくらいあるのか。
不動産情報サイト「SUUMO関東版」の中古マンションで「ZEH リノベ」を検索したら7件ヒットした。また、最近、日新ハウジングを取材したら、同社は4~5年前から買取再販物件ではサッシ交換を積極的に行っていると聞いた。
国土交通省も今年6月、マンション標準管理規約を改正し、「区分所有者は、管理組合が前項の工事(窓ガラス等の改良)を速やかに実施できない場合には、あらかじめ理事長に申請して書面による承認を受けることにより、当該工事を当該区分所有者の責任と負担において実施することができる」としている。
断熱窓も含めて中古住宅のZEH化が進んでほしい。
館内外の「みどり」最高 延床は法定容積の22.5%増し 三井不レジ「PWS藤沢SST」

「パークウェルステイト湘南藤沢SST」
三井不動産レジデンシャルは9月12日、自立型シニア向けマンション「パークウェルステイト湘南藤沢SST」のメディア向け内覧会を行い、10月1日に開業すると発表した。
「パークウェルステイト(PWS)」は、60歳以上を対象とした有料老人ホームで、外構、エントランス、中庭には、湘南をイメージした豊かな緑を配し、館内に入ると藤原大氏や山本愛子氏など湘南に縁のあるアーティストの作品や、海や貝殻など湘南をモチーフにしたアート作品など合計86点を展示。館内BGMは、江の島、茅ケ崎の海岸、湘南平の山岳などの自然の音を録音・編集したオリジナルBGMを作成。共用施設には、ミシュランで星を獲得した「銀座おのでら」などを有するONODERA グループのLEOC が運営するダイニングとカフェを備え、湘南の魅力を五感で満喫できるというのが〝売り〟。共用施設のフローリングはほとんど突板仕上げだ。
この他共用施設は、CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)が選書した1,200冊を揃えたライブラリー、修善寺温泉の運び湯・季節湯を楽しめる大浴場やスポーツ施設、ビリヤードルーム、麻雀ルーム、ピアノルーム、カラオケルームなどを併設。
契約は前払い方式と月額払いの選択制で、前払い方式を選択した場合、48㎡の居室は入居一時金が36,288,000円〜、月額利用料金は、共益費74,200円/1室、基本サービス料97,900円/一人入居、152,900円/2人入居、食事基本料35,200円/人。月払いを選択した場合は、月額利用料金のほかに家賃252,000円〜が加わる。居室は直床、リビング天井高2450~27500ミリ。
物件は、JR辻堂駅から徒歩24分、藤沢市辻堂元町六丁目の第一種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する14階建て全566室。専用面積は約43~約73㎡。竣工は2024年6月、開業は2024年10月。設計・施工は長谷工コーポレーション。外観デザインはUDS・長谷工コーポレーション。インテリアデザイン・外構デザインはUDS。介護・看護パートナーはALSOKグループ(らいふ)。医療連携は湘南藤沢徳洲会病院・医療法人社団MBS(湘南いしぐろクリニック)。償却期間は5年で、75歳の想定入居期間は15年。
これまでに約半数に申し込みが入っており、約4分の1は藤沢・鎌倉などの湘南居住者で3分の2は神奈川県内居住者。

外構

中庭
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今回の「藤沢」で、同社が行った「西麻布」「幕張」見学会に続き、すべて見学したことになる。この種のシニア向けは、有料老人ホーム、分譲型など数十件見学してきた。総じて共用施設は優れている。今回のようなタワー型大規模は業界で初めてのことなので、他社物件と比較はできないが、一言でいえば〝ラグュアリー リゾートホテル〟だ。
何が素晴らしいかといえば、ランドスケープデザインだ。分譲マンションを含めてこれほど豊かな植栽計画を施した物件はそうないはずだ。例えば、東京都「マンション環境性能表示」制度の「みどり」環境で★5つを獲得した物件はわずか160件しかないのだが、今回の3物件は★5つクラスではないか。
「みどり」が優れているのは施設内も同様だ。観葉植物はすべて本物。「みどり」と認知機能は相関関係があるはずで、同社にはぜひPWS施設入居者を対象にした研究調査を行っていただきたい。いい結果が得られるのではないか。

エントランス

エントランス

ダイニング

ダイニング

ライブラリ―

大浴場
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配布された資料をみておやっと思ったことがある。敷地面積約18,536㎡に対して延べ床面積は約45,340㎡とあるではないか。敷地面積に対する延べ床面積の割合は245%だ。用途地域は第1種住居地域で建ぺい率は70%、容積率は200%だから、法定容積率より22.5%も上回っている。
他の「パークウェルステイト」を調べた。「西麻布」は655%(容積率600%と同300%の第一種中高層専用地域の2つの用途にまたがる)で、法定容積率より約9.2%上回っている。「幕張」は202%(容積率200%の第二種住居地域)で、こちらは、「幕張ベイパーク」内に位置しており、住宅などとの連坦建築物設計制度の適用を受けている。
有料老人ホームも集合住宅と同様、エントランスホール、エレベータホール、階段室、共用廊下、メールボックスなどは容積不算入の対象となるが、それにしても法定容積率より22.5%も上回っているのは容積不算入の部分が多いということだろう。分譲マンションはほとんど10%以内だ。

アート

アート
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吉永小百合さんのCMについて。記者は吉永さんから「あなたはいつだって、今がいちばん好き」とささやかれたとき、〝愛しているわよ〟と言われたような気がしてドキッとしたのだが、冷静になって考えてみると、「今が」は副詞的な意味ではなく、目的語ではないかと。つまり、吉永さんは〝今のあなたが好き〟と言っているのではなく、〝(自分勝手な)あなたの今はもっともあなたらしいから、これからも勝手に生きなさい〟と突き放しているように受け止められるということだ。吉永さんが小生のような(皆さんについてはわからないが)馬鹿を好きになるはずがない。
まるでラグジュアリーホテル素晴らしい外構デザイン三井不レジ「PWS幕張」(2024/8/31)
吉永小百合さん「あなたはいつだって、今がいちばん好き」に胸キュン(2024/7/29)
他に比肩するものなし三井不レジシニア向け「パークウェルステイト西麻布」開業へ(2024/7/30)
「私もいつか住みたい」吉永小百合さん三井不レジシニア向け「PWS」CM発表会(2024/7/31)
猛烈な風と雪図らずも実感「Fujisawa SST」のガーデンパスの効果(2014/2/14)
神宮外苑地区まちづくり 樹木の更なる保全等に関する説明会 9/28開催
「神宮外苑地区まちづくり」の事業者は9月11日、計画エリアの新宿区と港区に在住・在所者を対象とした、緑化計画の見直し案に関する説明会を9月28日に開催すると発表した。
緑化計画見直し案は、2023年9月の東京都の要請を受け、伐採樹木本数を削減するとともに、新たな緑を創出することを取りまとめたもので、説明会では樹木の更なる保全と新たなみどりを創出する取り組みや9月9日に発表したリリース内容などについて説明する。
説明会の日時は、新宿区在住・在所者は2024年9月28日(土)10:00~12:00、港区在住・在所者は2024年9月28日(土)14:00~16:00、説明会場は日本青年館ホテル8階会議室。
事前の申し込みが必要で、2024年9月17日(火)13:00から事前予約フォームへアクセスが可能。先着順で定員に達した時点で受付を終了する。
プロジェクトサイト:https://www.jingugaienmachidukuri.jp/
神宮外苑再開発 樹木本数 当初計画の94本増から400本増の2,304本へ 都に報告(2024/9/9)
トイレドアにセンサー 異常時に迅速対応 大東建託 新たなセキュリティサービス

大東建託は9月11日、高齢者の独り暮らしや持病を持っている人、配偶者が単身赴任している家族の安心な暮らしを提供するため、新たな見守り機能を追加したホームセキュリティサービス「DK SELECTセキュリティプラス」を南首都圏・中京・京阪神エリアで10月から試行導入すると発表した。
2023年3月から導入している従来の「DK SELECTセキュリティプラス」には、外から守るホームセキュリティサービスと、中から見守るIoTインターホンという2つの機能があり、今回新たに追加される見守り機能は「ワイヤレスマグネットセンサーをトイレのドアに設置し、一定時間以上開閉がない場合に異常信号を警備会社に送信する仕組み。異常が発生した際は迅速な対応が可能となり、状況によって家族などに連絡する。サービスの利用を希望する入居者は追加費用なく無料でご利用できる。
2025年3月末までの試行期間中に得られたフィードバックと検討課題を確認し、2025年上半期中の全国運用と、導入率の低い地域の底上げを目指す。
「DK SELECTセキュリティ」サービス導入率は2024年3月末で50%となっている。
大阪一等地マンションは坪1,000万円 沖縄の「村」は坪250万円でも人気 大和ハウス
大和ハウス工業は9月11日、同社恒例の「記者レクチャー会<2024年基準地価>」を開催し、マンション事業本部事業統括部部長・角田卓也氏がマンション市況について、同社住宅事業本部マーケティング室上席主任・小林高英氏が分譲住宅について、同社流通店舗事業本部事業統括部開発事業部事業部長・和田康紀氏が流通店舗事業について、同社建築事業本部営業統括部Dプロジェクト推進室担当次長・廣渡政和氏が物流施設についてそれぞれ説明し、記者団の質問に対して一つひとつ丁寧に答えた。
沖縄県の村の坪単価250万円の多目的型129戸も早期完売へ

角田氏
マンション市況について角田氏は、地価、建築費の上昇により全国的に価格の上昇は継続しているが、首都圏、近畿圏、地方とも利便性が享受でき、資産性の高い再開発、タワーマンションなどがパワーカップル、富裕層、インバウンドなどに支持されており、市場をけん引していると話した。ただ、一部の商品力が弱い物件の売れ行きが鈍っているとし、地方も需給バランスが崩れているところも見られると語った。
同社の物件では、那覇空港から車で40分、中頭郡北中城村の多用途型「モンドミオ沖縄リゾートライカムヒルズ」129戸は坪250万円で、価格の安いタイプは地元の人にも売れており、もうすぐ完売だという。
全800戸の昭島プロジェクトの第一弾「プレミスト昭島」481戸は1年もかからずに完売し、駅から3分のひ第2弾「プレミスト昭島モリパークグラン」277戸は、第一弾の坪250万円から「多少高くして」販売するという。
小田急線梅ヶ丘駅から徒歩9分の「プレミスト世田谷梅丘」29戸は坪600万円弱で、代々木上原駅から徒歩8分の「プレミスト代々木上原」40戸は「相場並み」(坪900万円前後か)と語った。
市場弱含みもマーケットプライス重視で積極展開

小林氏
分譲住宅について小林氏は、分譲戸建ての着工戸数は2024年8月末で21か月連続して前年同月比でマイナスになっているように、建設費の高騰に加え、物価上昇による実質賃金の低下により、消費者の住宅購入マインドは高くないとしながらも、土地仕入れは6,000区画、建売住宅在庫は2,100棟(完成在庫1,500棟)確保しており、「いい物件は売れている」と販売に自信を見せた。
一方で、「マーケットプライスを重視する」と、きめ細かな商品企画に力を入れていくとした。木造化にも注力し、比率は今期計上予定の2,650戸の33~34%くらいになる見通しであることを明かした。
商業開発は老朽化CSの再興、オフィスは地方に注力

和田氏
流通店舗事業について和田氏は、商業開発は十分な商圏と一定規模の土地を確保し、新たに商業を開発していくことが困難になりつつあり、老朽化SCの再興が今後カギとなり、今後は「雇用」という観点からも開発エリアを検討していく必要があると語った。
オフィス分野については、同社は潜在的ニーズがある地方に注目しており、一定規模の人口がある地方において、利便性がありながら、新規オフィスの供給が数年間ないエリアなども注力していく予定とした。
ホテル分野については、国内旅行市場は、物価上昇による宿泊料金の高騰などの影響はあるが、旅行ニーズは高く今後も堅調に推移すると予想。また、インバウンド市場では、外資系ホテルブランドによるホテル開発を推進していくとした。
物流は需給バランスの調整局面 投資は引き続き積極化

廣渡氏
物流市場について廣渡氏は、新規需要が旺盛で、それにこたえる供給も増加していることから、空室率はここ1~2年は9%前後で推移しているが、今年度末から来年度にかけては需給調整が行われ、需給バランスは落ち着くのではないかと語った。
同社の「第7次中期経営計画(2022年4月~2027年3月)」目標である投資額1兆1,660億円に対する投資は堅調に行っており、売却も順調に推移していると話した。
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以下は、何の根拠もない記者のたわごと。予想が外れても責任は取らないことを承知の上で読んでいたただきたい。(これまでマンションの予想記事は意外と当たっているが…)
この先のマンション価格についてだ。高額マンションのメルクマールになるのは、積水ハウスが主幹事の「うめきた2期」の46階建てマンション「グラングリーン大阪」全484戸だ。
先に行われた同社の経営計画説明会で、同社・仲井嘉浩社長は、「坪1,000万円で、販売開始から1年もたたずに20倍の競争倍率で完売した」と語った。多分、募集対象外住戸248戸を含む戸数だと思う。記者も、販売開始前から坪単価は1,000万円だろうと予想したが、見事的中した。
20倍もの倍率に達したのは驚いたが、敷地南側の約4.5haの「うめきた公園」が眼下に臨め、将来にわたって緑環境が保障されるのだから、人気になるのは当然か。これから分譲される公園の南側の駅に近い第2弾は坪1,500万円くらいではないかと予想する。(「うめきた公園」の用途地域は、従前は日影規制が掛った準工業地域だったが、市は用途規制がない商業地域に変更した。第2弾はその恩恵を受けるはず)
大阪の一等地のマンションが坪1,500万円なら、首都・東京の一等地なら少なくとも倍の坪3,000万円はくだらないはずだ。「大・丸・有」エリアは坪5,000万円と記者は予想しているのだが、三菱地所レジデンス・宮島正治社長は「街づくりについて区分所有者から反対されるリスクを考えると難しい」と話した。ならば、ほかのデベロッパーが名乗りを上げても不思議でないと思う(森ビル「麻布台ヒルズ」ではいろいろなうわさが飛び交っているが…)。
都心3区(千代田、中央、港)ばかりか都心5区、6区の渋谷、新宿、文京、目黒なども坪2,000万円以上となり、都心ターミナルに近い準都心も坪1,000万円になるのではないか。
周辺の23区の利便性の高いエリアは500万円をはるかに突破する。都内で坪300万円以下は消えるかもしれない。
神奈川、埼玉、千葉も引きずられて上昇するのは間違いない。いま記者がもっとも注目している、浦和駅前の野村不動産が主幹事の「URAWA THE TOWER」525戸(非分譲234戸含む)は坪530万円くらいではないかと予想していたのだが、関係者などの話からすると、とんでもない価格になる可能性が高い。「十条」が坪470万円、「大山」が550万円だから、県都・浦和の一等地なら坪600万円を超えても驚かないが…。質は、野村不動産の「プラウドタワー亀戸クロス」と同レベルのはずだ。
心配なのは、郊外・地方だ。この日の記者レクチャー会で和田氏は、ホテルの用地は坪300万円以上と語ったのは当然だと思うが、物流担当の廣渡氏の「噂だが、相模原は坪180万円と聞いた」と語ったのにはびっくりした。容積率は300%だが、それでも1種60万円だ。
土地代がただでもマンションの分譲坪単価は200万円以下はありえないが、廣渡氏によると、物流用地も1種25~30万円だから、マンション用地はもっと高くなる。高額物件のメルクマールは坪1,000万円と冒頭に書いたが、今後は郊外も地方も最低ラインは坪250万円になるのではないか。坪250万円の新築マンションを買える第一次取得層はどれだけいるのか。記者は、新築より中古のリフォーム・リノベーションマンションのほうがレベルははるかに高いと思うが、消費者の方はどう考えるだろうか。
実勢は公示地価の3~5倍が日常化建築費も上昇物流は調整局面大和ハウス説明会(2024/3/20)
「昭島」1期は262戸/建築費5割アップへ 2024年問題からみ深刻化大和ハウス(2023/9/15)
. マンションは1,000戸「昭島」戸建ては〝3点セット〟注目大和ハウスレクチャー会(2023/3/17)
8月の中古マンション 成約件数は2か月連続減 単価は52か月連続上昇 東日本レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は9月10日、首都圏の2024 年8月の不動産流通市場動向をまとめ発表、中古マンション成約件数は2,299件(前年同月比2.9%減)、成約坪単価は246.7万円(同0.9%増)、成約価格は4,651万円(同1.1%減)、専有面積は62.21㎡(同2.0%減)となった。
成約件数は2か月連続して前年比を下回り、成約単価は52か月連続して前年同月比で上回った。成約価格は、20年5月以来51か月ぶりに前年同月を下回った。
中古戸建て住宅の成約件数は951件(同13.6%増)、成約価格は3,784万円(同1.6%増)、土地面積は148.75㎡(同7.5%増)、建物面積は103.87㎡(同1.2%増)となった。
リスト 三軒茶屋で投資家向け賃貸マンション竣工

「リテラス三軒茶屋ノース」
リストグループのリストデベロップメントは9月10日、世田谷区三宿の賃貸マンション「リテラス三軒茶屋ノース」が7月に竣工したと発表した。
商品化に当たって、同社は賃貸マンションについては1Rや1DKなどの単身者向けの供給はあるものの、2LDKや少し広めの1LDKの供給が少なく、ニーズも高く、世田谷区の収益不動産は、住環境の良さや利便性の高さから人気が高く、安定した賃料収入が見込めることから、投資家などからの購入需要が高いことが分かったため、分譲ではなく賃貸マンションにしたとしている。
設備仕様も、ハンズフリーキー、内廊下、エントランスの造りこみ、宅配BOXなど分譲マンションに見劣りしない仕様を建物の随所に採用している。
物件は、東急田園都市線三軒茶屋駅から徒歩8分、世田谷区三宿一丁目に位置する5階建て全66戸。専用面積は25.49~56.01㎡。

エントランスホール
「空き家」直接買取り 首都圏で年間6,000~7,000棟 オープンハウスグループ

須藤氏
オープンハウスグループは9月9日、「家じまいと空き家予備軍の最新事情」をテーマにした記者レクチャー会を開催。2025年には団塊世代が75歳以上になり、「大相続時代」が到来し、「空き家予備軍」が増加していることから、同社開発事業部営業推進部長・須藤光輝氏が同社の「空き家」直接買取りなどについて説明した。
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記者は時間を間違えたため、会場のGINZA6に着いたときにはレクチャー会は半分以上経過していた。空き家問題はテーマが大きすぎ、手に負えないので、これまで取材はほとんど行ってこなかったが、ある限りなく限界集落に近い街をレポートした時はアクセスが殺到した。数万件に達したはずだ。影響の大きさを考えて、街の名前を伏せたため、大マスコミからも「場所を教えて」と懇願されたが、すべて断った。
同社とLIFULLとの共同調査「家じまいに関する意識調査」結果を待つまでもなく、記者も団塊世代なので空き家問題は自分自身の問題でもある。
空き家売却経験者が苦労したこと-「思うような価格で売れなかった」(39%)、「依頼する不動産会社を複数しっかり比較しなかった」(27%)、「家の中にある残置物で売れそうなものがあったが、手間と時間で売ることができなかった」(21%)、「買い主が見つかるまで何度も内覧があり時間と手間がかかった」(19%)、「残置物の整理や取り壊し、修繕の発生など手間とお金がかかった」(16%)、「名義変更の手続きがよくわからず、手間取った」(16%)、「売却完了まで時間がかかり、無駄な支払いが発生した」(15%)、「相続人同士の意見が分かれ、なかなか売却できなかった」(6%)、「両親が病気や認知症になってしまい、売却が大変だった」(6%)-なんだか自分のことを言われているような気がした(絵画や書籍は高く売れそうなものを持っているが、身内でその価値をわかるものは皆無だろう)。
また、空き家売却を検討する人が一番心配なのは、「希望の値段で売れるか」(38%)、「売却に掛る手間」(16%)、何もわからないのが不安」(15%)、売却や相続に関する税金関連の知識がなく不安」(14%)、「売却にどれくらい時間がかかるか」(9%)というのもよくわかる(こういうときに欲の皮が突っ張るのは余の常、人の常で、貧すれば鈍するにもつながる)。
驚いたのは、そんなこんなの苦労、悩みを同社の直接買取は、24時間以内に査定し、仲介手数料なしで翌日買取も可能で、他社に断られた変形地(接道義務違反など既存不適格はかなりの数に達するはず)や取り壊しが必要な物件もOKで、残置物処理を含めて一気通貫・手間要らずのビジネスモデルを構築したというのだ。
さらに驚嘆したのは、何とその数は、自らも群馬県の限界集落出身という須藤氏によると「直接買取は6年前から開始しており、現在は首都圏で年間3,500~4,000件(棟数にして6,000~7,000棟)、全国で1万棟」に達するというのだ。
2023年9月期の同社グループの戸建て関連事業売上高は5,903億円(前期比114.3%)で、建売住宅販売棟数は10,096棟(仲介含む)だ。直接買取物件は解体して建売住宅として販売するそうだから、同社の戸建て関連事業が好調な要因の一つに直接買取が奏功しているともいえそうだ。記者は、土地を仲介会社から取得していたとずっと思っていた。〝時は金なり〟〝機を見るに敏〟-いかにも荒井正昭社長が考えそうなことだ。すこし古いが、荒井社長の人となりがわかる記事を添付する。
オープンハウス「これから家を買うなら…」新築戸建て一都三県駅圏ランキング(2024/8/2)
続・駅前の限界集落後期高齢者は4人に1人の割合〝死中に活〟光明見出す声も(2021/9/29)
オープンハウス荒井社長 今期経常利益50億円達成に自信(2010/1/26)
オープンハウス 9月期決算予想 過去最高の増収増益へ(2009/5/19)
神宮外苑再開発 樹木本数 当初計画の94本増から400本増の2,304本へ 都に報告

神宮外苑イチョウ並木(青山通りから昨年8月写す)
神宮外苑地区まちづくり事業者の三井不動産、日本スポーツ振興センター、明治神宮、伊藤忠商事の4者は9月9日、2023年9月12日付の東京都からの要請を受け、事業者間で協議した結果、当初計画では再開発前の3m以上の樹木1,904本から再開発後は94本増の1,998本としていたのを、再開発後は400本増の2,304本になると、東京都へ報告したと発表した。
増加する400本は、伐採本数減少124本、今回の新植本数増加261本、当初計画での樹木増加94本の合計から、枯損など79本を差し引いた本数。
新ラグビー場敷地及び聖徳記念絵画館前の既存樹木について、施設計画の工夫により伐採本数を66本削減し、2023年に実施した毎木調査の結果、樹木の樹勢回復などを踏まえ、16本を伐採から移植へ見直したほか、枯損などによる伐採予定樹木42本の減少を反映した結果、伐採本数は当初計画の743本から619本へ124本減少となる。新植樹木は当初計画の837本から261本増加し1,098 本となる。
4列イチョウ並木を保全するため、新野球場棟のセットバック幅を当初計画の約8mら約10.3m拡大し、約18.3mに設定する方針とする。方針は、複数の樹木医などの専門家の意見をもとに、調査方法の検討や結果分析を行い、第三者からのセカンドオピニオンを得たうえで決定したとしている。
都は2023年9月23日付の事業者宛て要請文で「神宮外苑地区のまちづくりの推進にあたっては、多くの都民の理解と共感を得ることが極めて重要であり、都は、既存樹木について、設計の工夫などにより極力保存又は移植するなど、一本一本を大切に扱い、神宮外苑の豊かな自然環境の質の保全に努めること…新ラグビー場敷地の既存樹木の伐採に着手する前までに、環境影響評価書で示された検討を行った結果として樹木の保全に関する具体的な見直し案をお示しください。併せて、その他の区域についても、施設の設計の工夫等による更なる樹木の保全策を検討し、お示しいただくよう要請します」としていた。

神宮外苑軟式野球場
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今回のリリースでは、どの樹種を伐採から保存に変更するかなどの詳細な報告はないが、記者は評価したい。特に、絵画館前事業で当初伐採が予定されていた57本が保存へ変更され、18本が枯損による伐採予定から外されたのを歓迎したい。軟式野球場をなくすのはやむを得ないとしても、テニスコートや駐車場を整備し、広場を確保するのに、どうして樹齢100年超の巨木を伐採しないといけないのかの説明はなかったし、巨木を避けて整備できるはずだとずっと思っていた。
一つ、事業者にお願いしたいのは、量の増加によって質はどうなるかについてだ。専門家などが指摘している樹冠被覆率は再開発前と再開発完了時点でどのように変わるのか。20年後、30年後にはどうなるのか、分かりやすく説明すべきだと思う。
神宮外苑問題は都知事選の争点になるのか 〝街路樹の味方〟の記者の独白(2024/7/2)
藤井氏の熱弁に拍手鳴りやまず会場100人+オンライン180人三鷹で講演会(2024/5/12)
神宮外苑再開発全エリア全樹木データ保存・移植・伐採と移植難易度の関係は不明(2024/1/15)
最多はカイヅカイブキ外来種のヒマラヤシダー、フウなど目立つ神宮外苑の既存樹木(2024/1/9)
秩父宮ラグビー場が「未供用」の謎「広場」は都市公園ではない神宮外苑再開発(2023/8/9)
野村不&JR東日本芝浦PJ「BLUE FRONT SHIBAURA」イメージは寄り添う夫婦(2024/5/31)
素晴らしい槇文彦氏、田村奈穂氏、片山正通氏日本財団渋谷公園トイレPJ(2020/9/21)
数少ない東建の〝ヴィンテージマンション〟コスモスイニシアのリノベ「学芸大学」

「ロワ・ヴェール学芸大学」
コスモスイニシアが分譲中のリノベションマンション「ロワ・ヴェール学芸大学」を見学した。専有面積200.92㎡(60坪)で価格は22,800万円(坪単価375万円)。東京建物がバブル期に分譲した数少ない〝億ション〟の「ロワ・ヴェール」シリーズの一つだ。リノベに際しても〝本物〟にこだわっており、坪単価は信じられないほど安い。
物件は、東急東横線学芸大学駅から徒歩14分、目黒区目黒本町2丁目の第一種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する4階建て全13戸の「ロワ・ヴェール学芸大学」の1階部分。専有面積は200.92㎡で価格は22,800万円(坪単価375万円)。分譲会社は東京建物、竣工は1989年5月。施工は西松建設。当時の価格は39,002万円(177㎡)~68,877万円(202㎡)。リフォーム・リノベーションは2024年7月。
現地は、中層マンションが建ち並んでいる住宅街の一角。物件は駅からはややあるが、近接する「清水池公園」のバス停からは目黒駅まで14分。バス利用だと、学芸大学駅まで歩くうちに目黒駅に着く。「清水池公園」へは徒歩1~2分。
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同社広報のMさんから見学のお誘いがあったとき、200㎡の広さで坪単価375万円の〝安さ〟もさることながら、「ロア・ヴェール」のブランドに興味が惹かれた。Mさんは「ロワ・ヴェール」を調べて知ったそうで、同じ広報担当のOさんも、物件を案内していただいたOさんも竣工した年は生まれる前のはずで、同業の記者Fさんも知らなかったそうだ。東建も野村均社長ら役員以外は「ロワ・ヴェール」を知らないだろうから、少し長くなるが説明しよう。
物件が竣工したのは平成元年(1989年)5月。バブルの絶頂期で、「『億ション』と呼ばれる超高級マンション分譲事業にも進出し、1989(平成元)年から『ロワ・ヴェール』シリーズとして展開しました」(東京建物ホームページ)とあるように、東建が〝億ション〟市場に参入した年だ。第一号が「学芸大学」だったか「表参道」だったかはわからないが、設備仕様レベルが最高に素晴らしかったのを覚えている。全戸に1台以上の駐車場を設けたのが人気になった。
なぜ、レベルが高かったか。東建が億ション市場に参入したのは後発だったので、レベルを上げて差別化を図ったのだろうと思う。当時、億ションブランドとして圧倒的な存在感を示していたのが大建ドムスや東高ハウスだった。1988年竣工の「ドムス南青山」の最高価格44億円は、2016年分譲の三井不動産レジデンシャル「パークマンション檜町公園」の55億円(坪単価3,129万円)に抜かれるまで28年間、最高値であり続けた。
平成2年(1990年)9月にバブルが突如崩壊し、その後、「ロア・ヴェール」は1物件も供給されておらず、トータルしても「荻窪北」「市ヶ谷佐内町」など数件しかないはずだ。その意味で、「学芸大学」は数少ない東建の〝ヴィンテージ〟マンションの一つだ。
何が素晴らしいか。写真を見ていただきたい。外観は本物の御影石ではない擬石だが、周辺のマンションと比べて突出して存在感を示している。
エントランスホールの壁はトラバーチン(当時はそんなに珍しくなかったが)。リノベ住戸内も出窓のカウンターなどはトラバーチンが採用されており、玄関収納は無垢材、61畳台のLDKの床は30cm幅のオーク材、2か所あるトイレはTOTOの最上級、建具・ドアの把手には真鍮、壁は砂壁調のクロス、ラグジュアリーホテル並みの洗面室、中庭付き…。難点といえば、天井高が2400ミリで、窓は単板ガラスであることくらいだ。
さて、冒頭に「坪単価は信じられないほど安い」と書いたが、念頭にあるのは、この仕様レベルでいま新築マンションを建てたらいくらになるかだ。坪1,000万円は無理だろうが、坪700万円はくだらないはずだ。つまり、坪375万円は新築の半値に近いと読んだからだ。ありえない価格だ。面積が広いのでグロスは張るが…本物の価値が分かる人にアピールできるかどうか。内覧には十数組が訪れているという。

清水池公園

