「背伸びせず身の丈経営に徹す」新田社長(75) タウングループ 創業45周年 感謝の会
新田氏(プリンスパークタワー東京で)
タウングループは7月11日、「タウングループ創業45周年記念 感謝の会」を開催した。二部構成で、一部では同社代表取締役社長・新田泉氏が45年間を振り返り、様々な思いについて語ったほか、外務省顧問で立命館大学特別招聘教授・薮中三十二氏が基調講演を行い、二部では懇親会を行った。会には関係者ら約740人が参加した。新田社長のあいさつは以下の通り。
「タウングループ創業45周年記念 感謝の会」
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創業45周年を迎え、感慨深いものがございます。中原中也の「頑是ない歌」の冒頭に「思えば遠くへ来たもんだ」という詩句がございます。この詩句が意味するところの、ややもすると企業が忘れがちな、当社のモットーである「ひとを、まちを、もっと豊かに。」と、社是の精神である仕事を通じて社会の発展、人々の幸せに貢献する、この思いを新たにしたところです。
この場をお借りいたしまして私どもの社是をご紹介させていただきます。1番目に「今日を語らずして明日を語るな、今日を語り、明日を語り、そして未来を語ろう。」
2番目に「仕事を通じて人格・人徳を磨き、社会の発展と人々の幸せの為に貢献しよう。」
3番目に「私利を追うな、社会の発展と人々の幸せの為の公利を求めよう。」
4番目に「他者との争いに勝つ事より、自己改革・自己成長を妨げる己の弱さに克ち、 社会の発展と人々の幸せに貢献できる真の勝者に成ろう。」というようなものでございます。
この社是は近江商人の三方良しに通じるものがあるのではないかと思います。
社業につきましては、今日に至るまで順風満帆に来たわけではありません。何回か存続の危機に遭遇しております。危機の要因は、外的要因は一つもございません。全て私どもに要因がございました。あるいは頑是ない、すなわち物事をよく理解してない、 まだ幼かったということかもしれません。この危機を救っていただいたのは皆様のご支援の賜物でございます。この場をお借りいたしまして深く感謝申し上げる次第でございます。
60年くらい前に読んだ源氏鶏太の小説「東京・丸の内」の中に、二流の人間が一流のふりをしたならば、せっかく持っている二流の良さをなくしてしまう場面がありました。私どもは背伸びをせず身の丈に見合った経営に徹し、存続危機ゼロを追求していく所存でございます。
私どもは今、オーナーや皆様からご紹介いただいた管理物件、賃貸住宅、オフィス物件など5万4,400戸を任せていただいております。
管理会社の優劣を決める稼働率はサブリース物件で98.7%、そして集金管理で98.4%でございます。今現在直営店146店舗でリーシング事業サービス業を展開しておりますが、もっと稼働率を高め皆様の満足度を高めるために、一層の多店舗化戦略として直営店300店舗体制を目指しております。
これからのタウングループでございますが、どのような社会の変化がございましても適者生存として百年企業を目指す所存でございます。
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5年前の同社グループ「創業40周年記念 感謝の会」に呼んでいただいたときも出席しており、とても有意義な時間を過ごさせてもらった。
今回は、新田社長が東京都足立区生まれの記者と同い年(75歳)ということもあり、どのような話をされるかとても興味があった。中原中也の詩「頑是ない歌」が紹介されたのは前回と同じだが、源氏鶏太の小説「東京・丸の内」が飛び出したのにはいささか驚いた。読まれたのは60年くらい前だから中学3年生のころか。当時の東京の中学生が源氏鶏太(新田氏が特別だったのか)を読んでいたとは。
記者は、貧しい境遇が似ていた石川啄木が好きで「一握の砂」を読んでは涙したものだ。啄木と同様、早世した中原中也はわれわれの世代に人気だったが、あまり読まなかった。
そして、45年前だから30歳のときに新田氏は創業した。小生のような根無し草そのものの記者とは異なり、会社を経営してきたのだから凄いの一言だ。新田氏だけでなく、同社の方々は企業理念の「ひとを、まちを、もっと豊かに。」を何度も反復した。この理念を愚直に守り続けてきたからこそ、今日があるのだろう。現在のグループ従業員数は1,593人(2023年現在)だ。新田氏はまだまだ意気軒昂、直営店を倍増させて、百年企業を目指すというから恐れ入った。
社長!一つお願いです。御社野球部はRBA野球大会に参加して10年目で、通算成績は11勝21敗、勝率は.344です。高坂忠司GM(アレップス取締役賃貸管理部・メンテナンス部部長兼名古屋支店支店長)はこの成績に満足はしていないようだが、全然意に介していないようにも受け止められる。リクルート対策として力があり、礼儀正しい野球選手を採用するのは社業発展に間違いなくつながります。野球が強いことは業績もいいことをRBAの36年の歴史が証明しています。3年計画で優勝できるチームにしてください。
懇親会場
鏡割り
高坂氏(左)と記者と同じ西部ファンの丘監督
参加者
参加者
45周年記念 枡酒
住宅と外構はセット 分譲戸建ての緑化に力を 大和ハウス 戸建住宅事業説明会
永瀬氏
大和ハウス工業は7月18日、メディア向け「戸建住宅事業 計画説明会」を行い、同社取締役常務執行役員・永瀬俊哉氏は次のように説明した。
2024年3月期の住宅事業は、売上高,510億(うち海外4,967億円)、営業利益351億円(うち海外315億円)、営業利益率3.7%に対して、2025年3月期売上高は11,120億円(うち海外6,190億円)、営業利益は580億円(うち海外470億円)、営業利益率は5.2%を見込む。請負住宅の棟数3,000棟(前期は3,424棟)を維持しつつ、分譲住宅を4,000棟(同1,760棟)に拡大し、注文住宅は高額商品の投入に加え、規格・セミオーダー住宅を強化することで、オーダー:規格・セミオーダーを30:70にする(現在は59:41)。2027年度目標は請負3,000棟、分譲住宅7,000棟の合計10,000棟とする。
改正労働基準法(建設業2024年問題)への対応では、各工程での改善施策を推進したことで従業員の残業時間を前期から約31%削減した。
ZEH率・太陽光発電搭載率は、2023年度の戸建住宅のZEH(ゼッチ)率:97%、太陽光発電搭載率:96%、分譲住宅はZEH率100% を達成した。
CS向上については、家づくりを楽しんでもらうことを目的に施工中の報告・連絡を毎日実施したことでお客さま満足度は飛躍的に向上し、今後も毎日報告を継続することで、顧客の紹介による受注増につなげていく。
分譲住宅7,000棟へ向けた体制づくりとしては、分譲設計に特化した「まちなみ設計」を各事業所に配置し、事業所毎でバラツキがある分譲物件を全体最適で効率的に対応。建設は、グループ会社の大和ランテックが担当することで、品質向上と生産性向上を図る。
注文住宅では、注文住宅のフラッグシップ商品として最新フルスペック仕様を搭載した最上位パッケージとして軽量鉄骨の「xevoΣ PREMIUM SMILE Edition」と木造の「PREMIUM GranWood SMILE Edition」を投入する。販売目標は前者が年間50棟、後者が20棟、販売価格は175万円から/坪。
国内の販売戦略として、規格商品とセミオーダー商品を「Smart Made Housing.」(スマートメイドハウジング)として新たに訴求し、分譲住宅の「Ready Made Housing.」と合わせて、住宅一次取得層へのアプローチを強化する。好調な海外事業(米国)は2026年度に10,000棟超を目指す。
カーボンニュートラルへの取り組みとしては、CO2排出量の多い鉄骨造から木造へのシフトを強化し、新たな戦略商品としてZEH・耐震等級3・構造と防水の初期保証30年にした分譲商品「Comfort Wood」の建設を推進。第1弾「セキュレア飾磨区城南町」を供給した。
リブネス事業(住宅ストック事業)を更に加速させるため、「自社物件」に限らず「他社戸建住宅」や「区分マンション」などの買取再販を拡大。1棟賃貸マンション仲介(オーナーチェンジ)も取り組む。
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記者はこの30年来、男女の性差がなくなる社会と同じように、住宅は分譲も賃貸も、マンションも戸建も、新築もと中古も、オーダーもレディメイドも関係なく、ライフスタイルによって自由に選択できる時代がやってくるのではないかとずっと考えてきた。各種の調査結果からもその傾向が強まっていることがうかがえる。住宅着工戸数で、持家が2021年12月以降29か月連続して前年同月比でマイナスになっているのもその一つだではないか。
この日の永瀬氏の話も時代の流れに沿ったもので、市場縮小が続く注文住宅は現状を維持し、規格・セミオーダー比率を高め、分譲戸建てを強化するというのも説得力がある。分譲を7,000棟に伸ばすというのは、地方のビルダーや不動産会社との連携は必要だろうが、圧倒的なブランド力を誇る同社が本気で取り組めば不可能な数字ではないはずだ。賃貸から注文、分譲への提案も可能だろうし、リブネス事業(住宅ストック事業)はまだまだ伸ばせる余地があると思う。
分譲を強化する意味で参考になるのは、記事にもした「セキュレア多摩聖蹟桜ヶ丘」だ。1棟現場だが、周辺の戸建て環境に負けない植栽計画が秀逸だし、リビング天井高を3.16m確保して差別化を図っているのもいい。
課題を指摘すれば、外構ではないか。説明会で記者団から「外構計画」について質問があったが、永瀬氏は「2~5棟現場ではコストがかからないよう華美にはしない」と答えた。
この「華美」はどのような意味か分からないが、昨年見学した「セキュレア西大宮V」でも、説明会で紹介された4棟現場の「セキュレア飾磨区城南町」の画像も樹木は貧弱だった。
いわゆるパワービルダーの分譲戸建てなどはぺんぺん草も生えないものばかりだが(敷地が30坪では植栽はほとんど無理だが)、住宅と外構=植栽はセットだ。しっかり緑化を図るべきだと思う。野村不動産やポラスグループは〝街をつくる〟を掲げ、小規模区画でも植栽には力を入れ、差別化を図っている。
「駐車スペースの緑化」で検索したら、同社グループ大和リースのホームページがヒットした。「景観が良くなる」「温度の上昇を抑えられる」「地域に貢献できる」などとあり、様々な提案がなされている。分譲もそうすべきではないか。同社に限ったことではないが、「5本の樹」計画の独走を許していいのか。
大和ハウス飯田グルーフ飯田産業と分譲戸建ての設計・施工契約トップの深謀遠慮か(2024/7/19)
大和ハウス分譲戸建て拡大へ見本となるか「聖蹟桜ヶ丘」植栽に力天井高3.16m(2024/7/18)
基本性能・設備仕様は素晴らしいが…課題も大和ハウス「セキュレア西大宮V」(2023/11/24)
【お詫び&訂正】大和ハウス分譲戸建て 発注先「飯田産業」⇒「飯田グループ」
永瀬氏
2024年7月19日付の当Web記事「大和ハウス 飯田グループ飯田産業と分譲戸建ての設計・施工契約 トップの深謀遠慮か」の記事中、「飯田産業」は誤りにつき「大和ハウス 飯田グループと分譲戸建ての設計・施工契約…」に変更します。ご迷惑をおかけした関係者にお詫びするとともに、記事を以下のとおり、訂正し再掲載します。
大和ハウス工業が飯田グループの飯田産業と設計・施工契約-大和ハウス工業は7月18日、メディア向け「戸建住宅事業 計画説明会」を行い、同社取締役常務執行役員・永瀬俊哉氏は、この8月に埼玉県で完成する分譲戸建て3戸の設計・施工を分譲戸建てのガリバー企業集団・飯田グループホールディングスの1社に発注し、同社が売主になると話した。同様の契約を分譲戸建て供給ナンバー2のオープンハウスとも結ぶ計画が進行しているとも語った。
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これには、記者は心臓が飛び出さんばかりの衝撃を受けた。同社が2021年9月に行った基準地価に関する記者レクチャー会で、同社住宅事業本部事業統括部分譲住宅グループ部長・本間生志氏が、「いわゆるパワービルダーの市場占有率が高い北関東などでは苦戦が続いている」と語ったのに対し、記者は「そもそも建築単価が倍くらい違う分譲戸建て御三家とは争わないで、大手デベロッパーのように都市型に絞り、経営資源もそこに集中したほうがいいのでは」と質問したところ、本間氏は「仰る通り。当社も含め大手ハウスメーカーは互角に戦えない。人的資源を都市部に移すよう着手している」と答えていたからだ。飯田グループへの設計・施工依頼は、戦わないで手を組むとも受け取れる。
だが、しかし、よくよく考えてみると、これもありかと思う。今回の飯田グループとの契約について永瀬氏は、同社・芳井敬一社長の決断であることを明らかにした。大和ハウス工業と大東建託は今年3月、「災害における連携及び支援協定」を締結したが、これも同社・芳井社長と大東建託・竹内啓社長のトップ同士の決断だった。そういえば、先の積水ハウスの「都市の生物多様性フォーラム2024」にはデベロッパーの東急不動産ホールディングスと三菱地所レジデンスも参加していた。企業トップの深謀遠慮が見え隠れする。三井不動産レジデンシャルは浦和美園の分譲戸建てに施工したポラスをパンフレットやチラシに大書きして宣伝したのも思い出す。
記者は飯田グループ6社が経営統合した2013年以降ほとんど見学・取材はしていないが、それまではグループ内の2社は結構取材している。レベルの高い大規模開発を両社は行っていた。
また、飯田グループも新しい動きがある。「飯田グループホールディングスTCFDレポート2023」(発行日:2023年7月11日)では「2023年3月時点の基準において、当社グループで供給する約80%の住宅は、ZEH(ゼッチ)水準である『断熱等性能等級5』かつ『一次エネルギー消費量等級6』を取得しています。この性能の住宅は一般的な住宅と比べて約20%の削減効果があります」と公表した。飯田グループの中核企業である一建設は長期優良住宅認定制度に対応した分譲戸建住宅の供給を2024年8月末より全国の営業エリアで順次開始するとし、その記者説明会を8月1日に行う。
全国の分譲戸建ての着工戸数は令和4年までは増え続けてきたが、令和5年からは減る一方で、令和6年6月現在、19か月連続して前年同月を下回っている。直近4か月は二ケタ台マイナスだ。
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以下は、記事掲載から今日までの経緯。問題になった記事について、飯田グループホールディングス広報から7月25日付で「飯田産業の築地社長に確認したところ、記載されているような事実は全くないことが確認されました。よって、本記事の削除をお願い申し上げます」とのメールが届いた。記者は「永瀬氏が明言しましたので、記事に誤りはないと思います」と記事削除の依頼を断った。
しかし、その後、「飯田産業」は「東栄住宅」の誤りではないかと思い、記事を非公開にするとともに、8月中旬に大和ハウス工業広報に事実確認のお願いをしていたところ、9月4日付で同社広報から「正しくは、飯田グループホールディングスの1社に発注となります」との連絡が入った。
大和ハウスがどうして間違ったか不明だが、永瀬氏の当時のトークをアーカイブ用視聴URLから再現する。以下の通りだ。
「あの…言っていいのか…大丈夫なの…他社…デベロッパー…大丈夫かい? あの…、えっと、実はいま埼玉で、飯田産業さんに…3棟かな、3棟発注させていただいて…これは、えーっと、当社の社長の芳井と飯田産業さんのトップの方が財界活動の中で案外親しくされているみたいなんですけど、そういう話の中で、ちょっと一緒にJVの形でやってみようかということになり…我々が買った土地で分譲住宅を計画していたんですけど、ちょっと計画していただけませんかとプランを出していただいて、設計・施工でやっていただいてます。それが8月くらいに竣工して、それを売主・大和ハウス工業、設計・施工は飯田グループさんの…飯田さん…なんちゅうところでしたか…あそこは何社かありますよね…そういう形で販売しようということでやってます。
実は、ほかのエリアでも、例えばオープンハウスさんとそういうチャレンジしてみたいとやってますので、自社施工の分、グループの大和ランテックに施工してもらう分と、他社に純粋に設計・施工をお願いして、我々としてはデベロッパーだけでやっていこうという分…いろいろやり方を試しているということです」
いかがか。永瀬氏は前半の部分で2度も「飯田産業」を口にした。後半の部分で言いよどんだのが引っ掛かるが、文脈からして「飯田産業」と受け取るのが自然だ。
しかし、記者にも責任がある。永瀬氏が後半の部分で言いよどんだ理由を聞くべきだった。なぜそうしなかったか。言い訳になるが、勉強会が終わったのは午後2時半ころ。個別質問の列に加わればよかったのだが、この日は午後4時に、同社の聖蹟桜ヶ丘駅圏の分譲戸建ての取材が入っており、時間的余裕はなかった。
これで一件落着となり、恥をかいたのは小生だけなのだが、新たな疑問も浮上してくる。先述したように、永瀬氏はリアルとオンライン合わせて40人くらい参加したと思われる説明会で、「飯田産業」に設計・施工を発注すると話した。
ところが、それを伝えたのはどうやら小生だけのようだ。これが解せない。売上高5兆2,029億円(2023年度)のわが国最大のハウスメーカー・デベロッパーの同社と、全国分譲戸建て市場の約3割、年間約40,000棟を販売するガリバー企業・飯田グループが手を組むという、人が犬を咬むようなビッグニュースを伝えないメディアはリテラシーが欠落していると言わざるを得ない。例えて言えば、歌を忘れたカナリア、盗人に尻尾を振る番犬、ネズミを追わなくなった飼い猫、1週間遅れのコピペ記事を書くのに何の痛痒を感じなくなったゆでガエル記者と一緒といったら失礼か。
大和ハウス分譲戸建て拡大へ 見本となるか 「聖蹟桜ヶ丘」 植栽に力 天井高3.16m(2024/7/18)
大和ハウス分譲戸建強化 4年後に4.5倍増の7000戸「木造」へ舵切り(2023/11/24)
住宅性能評価の分譲戸建てシェア74% 飯田GHは「ZEH化50%」に舵切りを(2023/8/28)
分譲戸建て「仕入れ強化。Nearly ZEH進める」本間部長大和ハウス恒例レクチャー会(2022/3/17)
分譲戸建て御三家とは戦わない都市部に人的資源移す大和ハウス(2021/9/15)
全120区画の1~3期64戸が即日完売 飯田産業「ハートフルタウン豊田」(2011/2/18)
大和ハウス分譲戸建て拡大へ 見本となるか 「聖蹟桜ヶ丘」 植栽に力 天井高3.16m
「セキュレア多摩聖蹟桜ヶ丘」
大和ハウス工業が分譲中の戸建て「セキュレア多摩聖蹟桜ヶ丘」を7月18日見学した。見学する前に同社のメディア向け「戸建住宅事業 計画説明会」が行われ、同社取締役常務執行役員・永瀬俊哉氏が2027年度に分譲戸建てを7,000戸に拡大するなどと語ったのだが(2023年度は1,760戸)、この「多摩聖蹟桜ヶ丘」は永瀬氏の話を補完・補強する見本でもあり、あるいは同社の戸建て分譲のあるべき姿を示唆する物件だ。
物件は、京王電鉄京王線聖蹟桜ヶ丘駅から徒歩8分、多摩市関戸二丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率80%)に位置する敷地面積121.94㎡、軽量鉄骨2階建て延床面積97.13㎡、価格は8,490万円。建物は6月に完成済み。
現地は、同駅圏の閑静な戸建て住宅街の一角。三方角地に位置しており、基本性能・設備仕様は、xevoΣ(ジーヴォシグマ)仕様で、ZEH対応、1階LDK天井高2.7mからリビング部分は床面を約40cm下げたロースタイル天井高3.16m(吹き抜け5.64m)、アルミ・樹脂複合サッシ、階段ステップ15段など。多摩川へは徒歩1~2分。
企画、販売担当の同社東京西支店住宅営業所南多摩住宅営業所分譲三課・塩谷心氏は「三方角地の立地特性を考え。日差しが日常的に入るよう窓面を多くし、1階は吹き抜けを含めてリビング天井高を3m以上確保して、外構も周辺の戸建て住宅街と調和するよう植栽にも力を入れました。ターゲットは地域の富裕層です」と話した。
リビング
吹き抜け
エントランス
◇ ◆ ◇
取材が実現した種明かしから。30年以上前から取材しているRBA野球大会の試合終了後だ。昔は強かった時期もあったが、この十数年間はほとんど〝出ると負け〟(くじ運に恵まれて1勝か2勝したときもあったが)を繰り返してきた、大和ハウス工業の主力メンバーの一人、足立英彦氏(同社東京西支店住宅営業所南多摩住宅営業所分譲一課上席主任)がチラシを持って現れた。「不動産会社向けに6現場の分譲住宅見学会を7月18,19日に行う。ぜひどうぞ」と記者に声を掛けた。
渡りに船だ。見学会が行われる7月18日は、同社の「戸建住宅事業 計画説明会」を取材することになっていたので、その後の取材・見学を申し込み実現した。足立氏と、見学に同行していただいた同社広報担当者に感謝申し上げる。
結果は大成功。駅からの現地までの道すがら〝劣悪な物件だったらどうしよう〟とずっと考えていたのだが、外構の植栽を見てこの不安は吹っ飛んだ。素晴らしい。1階のLDKや洗面・浴室、この洗面・浴室と一体利用できる北側のテラスの提案もいい。わが多摩市の分譲戸建ては20年くらい見ていないが、どこの物件と比較しても負けないはずだ。
足立氏は、「この『聖蹟桜ヶ丘』は塩谷が企画に力を入れた物件。18日、19日の見学会には100人くらいの見学を予定している。地域の不動産会社の方の声を聴き、情報を収集し、今後の事業展開に生かしていきたい」と話した。
冒頭に「永瀬氏の話を補完・補強する見本でもあり、あるいは同社の戸建て分譲のあるべき姿を示唆する」と書いたが、詳細については明日書く。
左から足立氏、塩谷氏、同社東京西支店建築営業所営業課・林太陽氏(足立氏は母校の攻玉社が17日行われた高校野球東東京大会3回戦の対板橋高戦で最終回、0-6から同点に追いつき、タイブレークでサヨナラ勝ちしたと話した)
「LEED-NDプラン認証」と「SITES予備認証」を同時取得 「グラングリーン大阪」
うめきた公園を含む開発エリア全体に植樹される1,600本以上の樹木の樹種・本数・胸高直径から年間のCO2固定量を算出すると、年間の総CO2固定量は35.9tという結果となり、これは出力370Wの太陽光パネルが発電する際のCO2削減量に換算すると約190枚分に相当する
三菱地所を代表企業とするグラングリーン大阪開発事業者JV9 社は7月17日、開発を進めている「グラングリーン大阪(GRAND GREEN OSAKA)」が米国のグリーンビルディング協会(USGBC®)による国際的な環境性能認証制度「LEED®」のまちづくり部門「ND(Neighborhood Development:近隣開発)」のプラン認証と、ランドスケープのサステナビリティを主に評価する「SITES® (The Sustainable SITES Initiative)」の予備認証でGOLD評価を同時取得したと発表した。「LEED-NDプラン認証」と「SITES予備認証」を同時取得するのは、都市公園を含む複合開発で日本初となる。
「LEED-NDプラン認証 (GOLD評価)」は、USGBC(U.S. Green Building Council)が開発したビルト・エンバイロメント(建物や都市の環境)を評価する認証制度で、審査はGBCI®(Green Business Certification Inc.)が行い、LEED NDは、建物単体ではなく、エリアの環境性能評価を目的としたLEED 認証システムで、ウォーカビリティ、職住近接、多様な用途、コンパクトシティ、自然資源保護などを評価するもの。
「SITES予備認証 (GOLD評価)」は、ランドスケープのサステナビリティを評価する米国の認証制度で、GBCIが審査を行い、計画・設計の内容だけでなく、敷地の選定や計画プロセス、施行時・施行後の運用維持管理段階も評価対象となり、生物多様性保全や水資源保全、省エネルギー、資源循環、ヒートアイランド現象緩和、健康増進、教育など多面的な要素を評価する。
「グラングリーン大阪」は、地区面積約91,000㎡のうち約45,000㎡を都市公園とし、地区面積の約3分の1となる約30,000㎡に約320種(在来種約270種を含む)、1,600本以上の樹木で多様な緑地を形成し、西日本最大のターミナル駅前に圧倒的なみどり空間を創出する。上記認証のほか、「DBJ Green Building 認証」、「ABINC ADVANCE認証」、「ZEB Oriented認証(事務所部分)」「CASBEE スマートウェルネスオフィス認証」の6つを取得している。
◇ ◆ ◇
記者は、この「LEED-NDプラン認証」「SITES予備認証」なるものの価値がさっぱりわからない。プレス・リリースをコピペしたに過ぎない。専門家ならいざ知らず、読者の方も同じように受け取られるのではないか。これまで何度も書いてきたが、わが国の「みどり」の価値を可視化する取り組みが圧倒的に遅れている証左だ。
事業者は、都市公園のオープンセレモニーを9月に行うはずで、しつかり見学してレポートしたい。今回のプロジェクトは、公園指定管理者制度に基づくものだが、「都市公園リノベーション協定制度」や都の「公園まちづくり制度」を活用した都市公園と民間施設を一体的に開発する事例は加速度的に増えるはずだ。
一つ、分かりやすく説明すると、都市公園面積約4.5haそのものはそれほど大きくはない。都内の駅に近い公園と比較すれば、77.8haの葛西臨海公園や60.7haの光が丘公園などとは比較にならず、わが多摩市の11.3haの多摩中央公園の4割だ。規模的には4.3haの芝離宮恩賜庭園に近い。
地区内約3.0haに1,600本以上の樹木を植えることについても何とも言えない。この3.0haは都市公園を含む面積だから、都市公園全体が樹木でおおわれるわけではない。今日も記事にしたが、東京都は「公園内で樹木などの緑で覆われていない面積の割合」も「みどり率」にカウントしている。このモノサシで測ると、「グラングリーン大阪」は相当のみどりが植えられることになる。
樹木の本数1,600本以上というのも比較するものがないが、例えば、いま話題になっている「神宮外苑再開発」はどうか。開発面積約28.4haに現在の1,904本(質は問わない)から1,998本(同)に増える計画だ。断っておくが、「神宮外苑再開発」は都市公園の整備ではないことだ。都市公園と都市計画公園は似て非なるものであることを我々は知る必要がある。
「グラングリーン大阪」9月6日まちびらきうめきたMMOが公園指定管理者に決定(2024/2/24)
「多摩中央公園改修」の疑問氷解樹木5000本うち伐採予定1125本の8割は実生木(2023/10/21)
バブルに乗り踊った故・長田高明氏(99) 東京カンテイが「お別れ会」
R.E.portは7月16日、「東京カンテイは16日、4月24日に99歳で死去した同社取締役会長・長田高明氏のお別れの会を、オークラ東京オークラプレステージタワー『オーチャード』」で開催。故・長田氏は1924年7月、山梨県北杜市生まれ。東京第三師範学校を卒業後、陸軍幹部候補生として兵籍に編入。陸軍特攻隊訓練中に終戦を迎えた。その後、小学校教員などを経て、63年に三共建物(現・朝日管理)を設立。79年に東京カンテイを設立した」と報じた。
見出しだけ読んだだけだが、不動産経済通信も同日、長田氏の「お別れの会」が「しめやかに行われた」と報じた。
◇ ◆ ◇
この記事を読んで、記者は複雑な気持ちになった。確かに長田氏は東京カンテイの創業者ではあるが、同氏が設立した旧朝日建物について触れないのはいかがなものかという思いだ。この記事を書いた記者の方は長田氏に会ったこともなく、朝日建物がどのような会社だったかを知らないはずだからやむを得ないのだろうが…せめて長田氏をよく知る参列者の声を載せてほしかった。(経済通信は載せたのか)
斯くいう記者も、長田氏とは2~3回くらい会っただけ、話し込んだことは一度もない。陸軍特攻隊員だったのを初めて知った。ただ、朝日建物のマンションは昭和50年代の後半から60年代の前半にかけてかなり見学した。準都心部で今でいう〝駅近〟マンションを供給していた。最後に見学したのは、1996年竣工の「朝日パリオ越谷」だった。
同社は質の高いマンションを供給したが、実兄の故・長田庄一氏(元東京相和銀行取締役会長)との関係も触れないわけにはいかない。中古マンション価格が新築マンション価格を上回った異常なバブル期に同社は中古マンションを買い漁り、いわゆる〝マンション転がし〟の急先鋒の役割を果たした。直接、同社に取材したわけではないが、年間にして数百億円、数百戸を売買していたはずで、その事業資金は東京相和銀行から流れていたというのは業界の周知の事実だった。
1999年、東京相和銀行の破綻により、朝日建物は東京地裁に和議を申請し、その後、セコムが営業権を譲り受け、ホリウチコーポレーション(堀内建設)と合併させてセコムホームライフとしてマンション分譲を継続してきた。セコムホームライフは2020年、穴吹興産グループ入りし、社名もあなぶきホームライフに変更された。そして昨年10月、穴吹興産は同社を吸収合併し、あなぶきホームライフは解散した。
東京カンテイと朝日管理の社長は、長田氏の実子の長田千江美氏のようだが、記者は東京カンテイが設立された時、目黒駅前の雑居ビルに取材に行ったのを覚えている。今のような大きな会社になるとは夢にも思わなかった。
余談だが、「お別れの会」は本当に「しめやかに」行われたのか。記者などはこの年(75歳)になって「しめやかに」葬られるのはまっぴらごめんだ。参列者(来てくれるかどうか)に失礼だ。葬儀には好きなヘンデルの「水上の音楽」を流すよう身内に頼んでいる。
坪単価300万円を切りそう この単価は近く枯渇する 大成有楽不動産他「葛西」
「オーベル葛西ガーラレジデンス]
大成有楽不動産(事業比率60%)、FJネクスト(同30%)、三信住建(同10%)の3社JV「オーベル葛西ガーラレジデンス]モデルルームを見学した。葛西臨海公園駅から徒歩15分(バス便だと徒歩時間を含めて10分以内)とややあるが、坪単価は300万円弱になる模様で、23区立地では希少のファミリーマンションだ。
物件は、JR葛西臨海公園駅から徒歩15分、江戸川区南葛西5丁目の第一種住居地域に位置する10階建て全155戸。専有面積は62.72~86.83㎡、予定価格は4,600万円台〜8,900万円台(最多価格帯5,900万円台・6,000万円台・6,300万円台=各13戸)、坪単価は300万円弱になる模様。竣工予定は2026年2月。施工は大京穴吹建設。販売代理はFJネクストレジデンシャル。
主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented認定、直床、標準階のリビング天井高2400ミリ、食洗機、スロップシンク、浴室タオル掛け、ブレーキ機能付き引き戸など。
これまでのモデルルーム来場者は170件強。今月末に第1期が分譲される予定。
モデルルーム
模型
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昨日は痛飲し、この日(7月12日)の朝方には酒は抜けていたようにも思ったが、そうでもなかったようだ。マンションを出るとき雨が降っていたのに、ままよと傘を取りにいかずそのまま出た。モデルルームに着いたのは9時。スーツはグレーで、文字通りぬれねずみになった。
基本性能、設備仕様レベルをモデルルームで確認しながら、胡乱な頭をフル回転させて坪単価を予想した。駅に近かったら坪400万円しても不思議でないが、徒歩15分だと坪300万円くらいかとはじいた。それでもちょっと高いか。
担当者に聞いたら「坪300万円弱」とのことだった。酒は飲んでも、マンションのこととなると正気に戻るらしい。23区内で坪300万円を切る物件は近く枯渇するはずだ。基本性能・設備仕様はこんなものだろう。強調材料は、大成有楽不動産の〝十八番〟「オレンジラボ」がフル装備されていることだ。
もう一つ、肝心なことだが、物件ホームページに「葛西臨海公園」へ徒歩16分のほか「江戸川区の公園総面積は23区NO.1の約776万㎡。本プロジェクトの徒歩10分以内にも8つの公園がある」と紹介されているように、江戸川区のみどりは他区より豊かであることだ。
東京都の調査による平成30年の江戸川区のみどり率は30.8%で、区部平均の24.2%を6.6ポイント上回っている。23区でみどり率が高い千代田区(皇居が多くの面積を占める)、練馬区などに住んでいる人はともかく、その他の区に住んでいる人が江戸川区内の街を歩くとその緑の量の多さに驚くはずだ。記者は、この「みどり」の価値を可視化することを願っている。
「みどり率」は、「緑被率」に「河川等の水面が占める割合」と「公園内で樹木などの緑で覆われていない面積の割合」を加えたもので、東京都はこの指標を用いており、今年度中には新しい2023年のデータを公表する予定だ。一方で、各区や他の道府県は「緑被率」や「緑視率」の数値を重視しているところが多い。当然のことだが、「みどり率」のほうが「緑被率」より高い数値を示す。このあたりを整理する必要がある。
今回の記事とは関係ないが、具体的な例を示す。いま話題となっている神宮外苑の再開発。日本イコモスが2023年5月に事業者宛てに「緊急要請」を行ったのだが、その「回答」として、事業者は「絵画館前の軟式野球場の緑については2018年の航空写真(google earth)を参照し、野球場の内野エリア等が土系舗装等であることを確認しております。『日本イコモス国内委員会』による算定では、土系舗装等の緑で被覆されていない部分も含んでいるため、現況の緑の割合に違いが生じておりますが、土系舗装等を含まない算定が正しいものと考えます」としている。
つまり、みんな都合のいいように数値を解釈しているということだ。ちなみに、生物多様性センターのデータによると、47都道府県で緑被率がもっとも高いのは京都府で、もっとも低いのは東京都でも大阪府でもなく埼玉県だ。滋賀県の緑被率は全国平均を少し上回っているくらいだが、県域面積の6分の1を占める琵琶湖を「みどり率」に加えると、間違いなくベスト10入りするはずだ。
レインズ新規登録 都心は異常な価格上昇 城北は単価、価格下落、面積縮小、築古増加
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は7月10日、首都圏の6月の中古マンション・戸建て市場動向をまとめ発表した。
中古マンションの成約件数は3,259件(前年同月比4.8%増)、坪単価は257万円(同7.9%増)、価格は4,956万円(同7.5%増)、専有面積は63.57㎡(同0.3%減)となり、成約件数は13か月連続、坪単価は50か月連続、成約価格は49か月連続でそれぞれ前年同月を上回った。
成約坪単価を都県別にみると、東京都は341万円(8.1%増)、神奈川県は196万円(同7.9%増)、埼玉県は139万円(同0.9%減)、千葉県は134万円(同7.5%増)。
中古戸建ての成約件数は1,302件(同14.4%増)、価格は4,016万円(同7.1%増)、土地面積は146.79㎡(同4.2%増)、建物面積は104.29㎡(同0.5%増)となった。成約価格は5か月連続で前年同月を上回った。
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レインズデータによると、都心3区(千代田・中央・港)の成約件数は237件(前年同月比2.2%増)、坪単価は604万円(同17.1%増)、価格は10,097万円(同11.8%増)、専有面積は55.14㎡(同4.5%減)、築年数は20.05年(同0.35年増)。一方で、新規登録件数は964件(同13.5%減)、坪単価は739万円(同25.0%増)、価格は12,331万円(同25.9%増)、専有面積は55.04㎡(同0.7%増)、築年数は23.54年(同0.4年減)となっている。
城東地区(台東・江東・江戸川・墨田・葛飾・足立・荒川)の成約件数は411件(同12.6%増)、坪単価は282万円(3.2%増)、価格は5,243万円(同0.7%増)、専有面積は61.32㎡(同2.4%減)、築年数は21.02年(同2.2年増)。新規登録件数は1,893件(同9.1%減)、坪単価は261万円(同5.3%増)、価格は4,283万円(同4.3%増)、専有面積は54.07㎡(同1.0%減)、築年数は26.06年(同0.44年増)となっている。
城南地区(品川・大田・目黒・世田谷)の成約件数は337件(同7.3%増)、坪単価は366万円(同6.4%増)、価格は6,657万円(同9.0%増)、専有面積は60.00㎡(同2.4%増)、築年数は24.39年(同0.75年増)。新規登録件数は1,695件(11.0%減)、坪単価は350万円(同6.3%増)、価格は5,318万円(同6.7%増)、専有面積は50.43㎡(同0.4%増)、築年数は32.40年(同1.85年増)となっている。
城西地区(新宿・渋谷・杉並・中野)の成約件数は262件(同4.0%増)、坪単価は448万円(同12.2%増)、価格7,175万円(同11.0%増)、専有面積は52.84㎡(同1.0%減)、築年数は25.68年(同0.61年増)。新規登録件数は1,321件(同13.4%減)、坪単価は444万円(同19.9%増)、価格は6,205万円(同22.6%増)、専有面積は46.10㎡(同2.3%増)、築年数は32.82年(同0.48年増)となっている。
城北地区(文京・豊島・北・板橋・練馬)の成約件数は281件(同7.7%増)、坪単価は294万円(同3.1%増)、価格は5,001万円(同3.6%増)、専有面積は56.20㎡(同0.5%増)、築年数は24.28年(同0.02年増)。新規登録件数は1,362件(同19.2%減)、坪単価は275万円(同1.1%増)、価格は3,964万円(同0.8%増)、専有面積は47.52㎡(同0.3%減)、築年数は30.52年(同0.92年増)となっている。
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このデータから何を読み取るかだが、記者はエリア分けが適切かどうかと思う。都心3区はわかるが、これを都心4区、又は5区として、渋谷と文京を加えたほうが正確なデータが得られるのではないか。渋谷と文京の坪単価は練馬・北・板橋などと100~200万円は高いはずだ。
この問題はさておき、成約件数が増えているのに登録件数が減少していることをどう読むか。これは先高観による売り惜しみも多少影響しているのではないかと思う。
坪単価は成約、新規登録とも上昇しているが、都心3区の新規登録が前年同月比25.0%上昇していることに注目したい。新規マンションも価格は著しく上昇していることから、中古も一層上昇するという読みが働いていると読める。
興味深いのは、城北エリアだ。新規登録単価は成約単価より坪19万円下落していることだ。これは、成約物件の築年数が24.28年に対して登録物件は30.52年となっており、その差が単価に表れていると読み取れるが、専有面積は成約物件の約56㎡から登録物件は約47㎡へと2.7坪も縮小している。これはなぜか。最近の城北エリアの新築マンションは坪400万円どころか、500万円をはるかに突破しつつあることや、成約件数の約5倍という登録件数の多さなどとの関連はあるのかないのか。
城北地区ほどではないが、城東地区、城西地区も成約単価より新規登録単価のほうが低い。今後どうなるか注視する必要がありそうだ。
価格について。都心3区の成約価格は他の地区より4割から2倍となっており、新規登録価格は他地区の2~3倍へと拡大している。都心への交通利便性を重視するからこのような数値になるのだろうが、住宅の基本的な性能としての住環境をもっと重視すれば結果は異なってくるはずだ。記者はこの〝モノサシ〟が理解できない。
専有面積圧縮は成約、新規登録とも続いているが、成約⇒新規登録は都心3区が55⇒55㎡、城東が61⇒54㎡、城南が60⇒50㎡、城西が53⇒46㎡、城北が56⇒48㎡へと縮小しているのはなぜか。これは築年数とも関連がありそうで、成約⇒新規登録は都心3区が20⇒24年、城東が21⇒26年、城南が24⇒32年、城西が26⇒33年、城北が24⇒31年となっており、築古物件が増加している。築古より築浅が選好されていることの表れか。専有面積と築年数は相関関係があるはずで、築古物件の価格調整がありそうだ。
築25~30年といえば、バブルが崩壊し、新たな市場が形成されだしたころだ。新築マンションは、都心部でも坪300万円超はほとんどなく、首都圏平均で180万円から250万円くらいだったはずだ。購入者はバブルの痛手を受けていない層が中心だった。
現在の新築マンション市場は、どんな郊外でも坪200万円以下はありえず、一定水準のところでは坪250万円以上、23区では300万円以上となっている。質は数年前より間違いなく退行している。都心部は異常だと思うが、中古市場が全体として活況を呈しているのは理解できる。
最近の新築マンションは坪300万円、400万円が当たり前になっているが、設備仕様レベルは10年前の坪単価180万円くらいの郊外マンションとほとんど同じか、それ以下だ。10数年前の新築のリビング天井高2400ミリなどありえない。普通で2500ミリ以上はあった。
リノベーションの提案次第だろうが、中古マンションが新築価格を上回っても全然不思議でないと思う。
外国人に人気№1は「今川焼(抹茶クリーム)」 「MIMARU」&ニチレイフーズ
コスモスイニシアのアパートメントホテル「MIMARU」とニチレイフーズは7月12日、外国人宿泊客に対する試食アンケート調査結果を発表。食後の評価ナンバーワンは「今川焼(抹茶クリーム)」で、2位は「本格炒め炒飯®」、3位は「朝にGood!パンケーキ(メープルクリーム)」だった。
ニチレイフーズが販売する冷凍食品の中から、「MIMARU」スタッフが「朝食におすすめ」「ランチ・夜食におすすめ」の6種類をセレクトし、ホテルに宿泊したゲストに、その中から食べたいものを1人1品ずつ選んで客室内で調理・試食してもらい、食べた結果を5段階評価してもらったもの。
食べた後の評価第1位は「今川焼(抹茶クリーム)」で、「驚くほどおいしい」「抹茶が大好き」というコメントのほか、抹茶のイメージを活かしたパッケージも魅力的と評価された。
第2位は「本格炒め炒飯®」で、最大の冷凍炒飯ブランド(最新年間売上:2023年)としてギネス世界記録に認定された実力を発揮。「風味豊かで本当に美味しく、また買いたいと思う」という声があがった。
第3位は「朝にGood!パンケーキ(メープルクリーム)」で、「子どもたちは朝食のパンケーキをとても気に入っていた!」と家族で楽しんでもらえたという。
また、自国に帰っても食べたい商品の第1位は「本格炒め炒飯®」、2位は「たいやき」、3位は「焼おにぎり」だった。
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記者は、かみさんが好きなので、取材に行ったときは人形町・柳屋、麻布十番・浪花家総本店の「たいやき」を数個必ず買うが、食べるのは半分くらい。「今川焼」はもう数十年も食べたことがない。この他は見たこともない。
それにしても、「今川焼(抹茶クリーム)」や「たいやき」は饅頭じゃないのか。外国人は朝食やランチで本当に食べるのか。記者のおすすめは固形のふかひれスープ。袋入りラーメンに入れるとふかひれラーメンになる。
この前、品川のカフェ&バー、スーパーでビールの値段を見たら、アメリカのクラフトビールが800~1,000円前後、わが国の缶ビールは200円強。どうなっているんだ。
「物流施設」=「嫌悪施設」=「倉庫」なのか 三井不 ロジスティクス記者説明会
篠塚氏
三井不動産は7月11日、ロジスティクス事業記者説明会を開催。2024年4月に公表した新グループ長期経営方針「& INNOVATION 2030」に基づく戦略について、同社執行役員ロジスティクス本部長・篠塚寛之氏は国内新規8物件の開発を決定し、国内外開発施設は75物件、延床面積約600万㎡、累計総投資額約1兆2,000億円に事業拡大すると発表した。が次の事業を強化すると説明した。主な重点事業は以下の通り。
①広場などの整備や、地域の防災拠点・交流の場の設置、ドローンの実証実験フィールドを併設するなど「街づくり型物流施設」の開発を推進
②DXを活用した物流の自動化や、物流ソリューションの提案・提供により荷主企業のサプライチェーン改革を支援
③冷凍・冷蔵倉庫の開発推進、データセンター事業の拡大、工場・インフラの設備など事業領域を拡大
④テナント向け「グリーン電力提供サービス」など物流業界における先駆的な環境配慮の取り組みを推進
「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」
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記者は、物流は素人だが、同社が行う事業説明会や施設見学会などは欠かさず見学している。強烈な印象として残っているのは2018年5月に行った事業記者説明会で、当時、同社常務執行役員ロジスティクス本部長・三木孝行氏(58)=現顧問=が「もはや、後発ではない。嫌悪施設ではない」などと約1時間40分にわたって熱弁をふるったことだ。
三木氏は「2012年4月に事業参入して7年目を迎えたが、当初10人足らずだったスタッフは60人体制になり、稼働施設は18棟、開発中は14棟、総施設数は32棟、総延べ床面積約270万㎡、累計総投資額は約4,800億円に達した」と語った。
あれから約6年。施設数、延べ床面積、投資額とも2倍以上に達した。篠塚氏も当時からロジスティクス事業に携わっていたはずなので、質問したいことが2つあった。
一つは、現在の物流業界で同社はどのような位置を占めるのか、アナログ業界と言われる業界にどのようなソリューションをもたらすかだ。この点について、篠塚氏はかなり詳細に説明し、「地域の誇りとなれるよう」「地域に愛される」などと語ったが、いま一つわからなかった。
もう一つは、物流施設が「嫌悪施設」でないのなら、業界全体として、われわれメディアもどう呼べばいいのかだ。「嫌悪施設」は法律用語ではなく、公益財団法人不動産流通促進センターが「物流施設」をそう呼んでいるに過ぎない。その一方で、建築基準法では「物流施設」は名称のいかんに問わず「倉庫」として定義されており、様々な建築規制が設けられている。住居系用途地域では小規模な施設を除き、倉庫の建築は不可だ。
しかし、同社の施設もそうだし、最近の物流施設には保育施設や事務所、レストラン、公共施設などが入居し、公園など広場も整備されている。(倉庫が多い準工エリアはほとんどなんでも可の地域)
そのような施設がどうして「嫌悪施設」としてひと括りにされるのか。記者が物流業界に身を置いていたら、不動産流通促進センターに削除を申し入れる。建基法の改正も必要だと思う。「物流施設」=「倉庫」ではない。マンションで人気の「駅近」だって、子育て環境としては最悪の「嫌悪施設」が林立しているではないか。
この点について篠塚氏は「我々がそう呼んでいるわけではないので…」と言葉を濁した。