全館空調超えるか AI型空調とスマートホームシステム搭載 ポラス「B/N戸田公園」
「B/N戸田公園」
ポラスグループのポラスマイホームプラザは1月26日、AI型空調とスマートホームシステムを搭載した分譲住宅「B/N戸田公園」(全10棟)を1月26日(金)から販売開始したと発表した。同日、メディア向け見学会を行った。国土交通省の先導的なIoT 住宅の実用化に向けたリーディングプロジェクト「次世代住宅プロジェクト2023」に採択されたもので、今後1年間かけて実証実験を行い、結果を公表する。
物件は、JR埼京線戸田公園駅から徒歩16分、戸田市新曽南4丁目の準工業地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する全10棟。土地面積は100.49~132.77㎡、建物面積は95.81~104.54㎡、価格は7,480万~8.980万円。完成予定は2024年1月末。
「B/N」の「B」は「BASIC(ベーシック)」、「N」は「NATURAL(ナチュラル)」と「NEUTRAL(ニュートラル)」の頭文字からとった同社の7つあるブランドの一つ。白を基調としたシンプルなデザイン、2380ミリのハイドア、15ミリのスマート窓枠・巾木などが特徴。
昨年9月からホームページを開設し、これまで160件の問い合わせがあり、モデルハウス事前案内会には50~60組の来場があるという。この日(26日)に1件の申し込みがあった。
プロジェクトは、ポラスグループのIoT・スマートホーム技術と、LIXILの「建材・住設」(スマートホームシステム用ホームゲートウェイ「ライフアシスト2」)を組み合わせたもの。起床・帰宅前に自動でエアコン、床暖房を起動させ、人がいる時間の室温を快適になるように制御し、室温度が規定値を超えた場合は自動で採風窓を開けたり閉めたりすることが可能。
太陽光発電システムと蓄電池を装備(標準搭載はモデル2棟のみ)、断熱等性能等級5、一次エネルギー消費量等級6をクリアし、「長期優良住宅」「ロングサポート60」を取得。一般的な「次世代省エネ住宅」基準より年間約14万円の電気・ガス・水道・光熱費の削減を実現する。このほか、戸田市初の「埼玉県子育て応援分譲住宅認定」(戸建て)を取得している。
また、ポラス暮し科学研究所が開発したポカリッチ(蓄熱式床暖房システム)の併用により、24時間冷暖房を行う全館空調の年間冷暖房費44,488円(試算)を35,400円(同)に抑えることが可能であることを実証する。
モデルハウス(10号棟)
モデルハウス(9号棟)
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「全館空調」は1995年、三菱地所ホームと三菱電機が共同開発した「エアロロック」が第一号で、現在ではハウスメーカーの数だけあり、定義も「家中を快適な湿温度に保つ」ということしかなく、統一的な基準はない。マンションでは、「エアロテック」が大手デベロッパーの物件に採用されており、野村不動産は独自に開発した「床快full(ゆかいふる)」を自社マンションに採用している。記者は「エアロテック」モデルハウスに一泊しているのでその素晴らしさはよく分かっている。
問題は価格だ。〝快適性〟を価格に換算したら安いとは思うが、イニシャルコストは100万円~300万円超で、ランニングコストも一般的な住宅の冷暖房費より年間にして3~4割高になる。
全館空調を装備した分譲戸建ては首都圏でどれほど供給されているか分からないが、今回のプロジェクトは、「全館空調よりも導入費用、冷暖房費を抑えながら温熱環境の満足度を得られる」(同社資料)というのがポイントで、この種の商品企画の物件は今回が初だと思われる。
ポラス暮し科学研究所の蓄熱式床暖房システム「ポカリッチ」を体験するのは2度目だったが、これまで体感したどこの床暖房より暖かかった。同研究所住環境G係長・福代昇一氏は「どこの全館空調にも負けない」と自信を見せた。
分譲価格だが、同社によると同駅圏の分譲戸建ての相場は土地が20坪で5,000万円台が中心というから、今回の物件はかなり高い。「AI型全館空調」のよさをアピールできるかどうかがポイントになる。仮に駅近のマンションを分譲したら坪単価は300万円を突破する。20坪で6,000万円だ。これもヒントにはなる。
現地は、容積率200%の準工地域で、中層も建つエリアだが、周囲には嫌悪施設(嫌な言葉だが)は目視した限りではなかった。
今回の物件に搭載されているスマートスピーカーは「Amazon Alexa(アレクサ)」だった。5歳くらいの女の子に設定している「OK Google」音声より年長には聞こえたが、「おはよう」と呼び掛けても「分かりました」としか答えない。これは改善の余地あり。
巾木(左)やドアノブにもこだわりがあるのが特徴
従来のHEMSと一線画す 世界に通用する「HOMETACT」体験施設開設 三菱地所(2023/12/8)
草加市初 景観協定&全棟ZEH 敷地分断・送電線…難点克服 ポラス「草加松原」(2023/11/23)
風呂好き68% なのに洗面・脱衣場は居心地のいい場所ではない 積水ハウスの調査結果
積水ハウス住生活研究所は1月25日、全国の20~60代の男女500人を対象にした「入浴に関する調査(2023)」をまとめ発表した。
調査の結果、冬に心身の不調を感じた人は「肌が乾燥する」44.5%、「身体が冷える」37.2%、「身体がだるい」33.2%、「眠気がとれない」31.0%、「下痢・便秘」31.0%などと続き、冬に心身の不調を感じる「冬バテ」という言葉を認知している人は23.4%しかいないことが分かった。
冬の体調管理で行っていることでは、「うがい・手洗いを徹底する」57.4%、、「マスクを着用する」51.6%などに続き、「入浴をする(湯船につかる)」が5位にランクされた。効果実感率は「入浴をする(湯船につかる)」が73.5%ともっとも高い結果になった。
季節を問わず風呂時間が好きな人は68.0%で、この層の人が毎回湯船に浸かる割合は冬場が49.2%、夏場が27.0%。
季節に関わらず風呂時間が「嫌い」の人は10.8%で、「どちらかというと嫌い」の人も含めたの理由は、「風呂に入るまでが面倒」「体や髪を洗うのが面倒」「風呂後のドライヤーが面倒」「浴室内が寒い」「脱衣場が寒い」など。
風呂時間を快適にするための工夫を男性は約5割、女性は約7割が行っていると回答。「入浴剤・バスボムを使う」49.8%、「好きなシャンプー・トリートメントなどをそろえておく」33.7%、「シャワーヘッドにこだわる」16.8%をはじめ、音楽や動画などの設備が目立った。
快適に過ごすために洗面室や脱衣所に工夫しているかの問いでは、半数以上が特に何もしていないと回答。工夫をしていることでもっとも多かったのは「こまめに掃除する」43.5%、「換気扇をつける」27.6%、「ものを減らす」27.2%、「収納を整理する」25.1%など。洗面室で4人家族のものを並べてみると約3畳分もあることが分かったと。
これらの結果から、同研究所は「調光・調色のできる照明を取り入れる」「バスルームに置ける観葉植物やバスライトを持ち込む」などの提案を行っており、同社フェローR&D本部・河﨑由美子氏は「私は、お湯にどっぷりと入浴すると疲れてしまうことが多く、冬でもシャワー派です。椅子に座って、少し熱めのお湯を2~3分ゆっくり浴びると、シャワーの音や刺激も心地良く、心身の疲れが解けていくのを感じます」とメッセージを寄せている。
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記者は、季節に関わらず風呂時間が「(大)嫌い」の10.8%に該当する一人だ。なぜ嫌いなのか。第一の理由は「重労働」だ。昔の民家はどこもトイレも浴室も別棟。毎日のように、井戸から10メートル近く離れた風呂場までバケツで水を運ばされた。五右衛門の浴槽を満たすのは相当の時間がかかった。風呂焚きもやらされた。薪炭の時代だ。火吹竹を吹くと煙が襲ってくる。むせ返り涙があふれる。家父長制は徹底されており、風呂に入る順番も決まっており、よく言えばルノワールの描く農婦、悪く言えば縄文の土偶のような母親と一緒に入ることはほとんどなかった。母親は風呂から上がってもタオルなどで身を隠すことなどしなかった。桃色に染まった全身から湯気が昇った。今でも忘れない。
結婚してからは、風呂場担当になったが、掃除が大変、いつも水浸しになった。いまのように自動ではなかったから水の量、温度に神経を使った。沸騰させたこともしばしばあった。
今も風呂嫌いは同じだ。かみさんに任せっぱなしなので掃除からは解放されたが、掃除の大変さが分かるから、寒くても「湯を張ってくれ」とはなかなか言えない。風呂好きな人は湯船に浸かり舟歌だか鼻歌を歌うのだろうが、記者は歌も大嫌いだし、たまに湯船に入ると寝込むのが常で〝死んじゃうわよ〟の罵声が飛んでくる。そのたびに、知人の子どもが湯船に転落して溺死した悲劇が思い出される。
なので、冬場でもシャワーで済ませる。浴室に入る前にシャワーを全開にし〝ぬるめの燗〟より高めの40度に設定するのだが、「糖尿の体に良くないわよ」と、またかみさんに怒られる。
時間も〝烏の行水〟だ。ほんの数分しか入らない。だから温まらない。出るとき、ドアを細目に開けて素早くバスタオルを取り込むのだが、洗面・脱衣場の寒気が一挙になだれ込む。あったまった分だけ寒くなる。
ここまで書けば小生がどうして風呂が嫌いか分かってもらえるはずだ。冬場でも飲むのはビールと焼酎。体は氷のように冷たくなるが、「肌が荒れる」症状は全くないのは幸いだ。
馬鹿馬鹿しいことを書いたが、同社に一つ提案だ。同社は戸建てもマンションもほとんどZEH仕様た。冬季でも洗面・脱衣場の温度は15~17度あるのではないか。アンケートはZEH仕様とそうでない住宅に分けて行ったら、ZEH住宅に住む人は冬季でも入浴が苦にならない人が絶対的多数を占めるのではないか。
洗面・脱衣室が必ずしも居心地のいい場所になっていないのは、供給サイドにも問題がある。注文住宅は分からないが、分譲住宅は総じて狭い。コストカットの対象にもなっている。タオルウォーマーを標準装備しろなどとは言わない。せめて浴室ドアにはタオル掛けを2つ付けてほしい。
どうなる今年の経済・景気、2024年問題、カーボンニュートラル ナイス講演会
ナイス「新春経済講演会」(グランドプリンスホテル新高輪で)
杉田氏
ナイスは1月17日、グランドプリンスホテル新高輪に約1,100人の聴衆を集め「新春経済講演会」を開催し、第三部では物流、弁護士、シンクタンク、木材、建設、住宅設備メーカーによるトークセッション「どうなる!?2024」を行った。
冒頭、コーディネーターを務めたナイス代表取締役社長・杉田理之氏は「昨今は不確実、不透明、非連続性の時代と言われ、見通しを立てるのが難しくなっている。そんな中で本日は3つのテーマで論議を進めていただきたい。一つ目(Ⅰ)は2024年の経済・景気の動向について、二つ目(Ⅱ)は法改正への対応とその課題について、三つ目(Ⅲ)はカーボンニュートラルの取り組みについてで、皆さんのご意見を伺いたい」と挨拶した。以下、社名・団体名五十音順に意見を紹介する。
ドル・円相場は130円 ゼロ金利政策は持続
シンクタンク 安藤範親近氏(農林中金総合研究所主任研究員)
安藤氏
Ⅰ 中国経済は不動産を中心に景気は減速する見込み。米国は労働市場とサプライの人不足、経済活動の正常化とインフレの鈍化が同時進行している。労働市場では直近の求人倍率が1.3倍になっており、景気は緩やかな回復傾向をたどるのではないか。欧州は景気減速が予想される。東南アジアは、中国や世界的な経済状況に左右されるが、2025年に向け緩やかに回復する。日本はコロナ後のサービス、インバウンド需要は一段落し、緩やかな成長率の中、為替は米国の利下げと日銀の利上げ要因からドル・円相場は円高に向かい130円くらいになると予測する。ゼロ金利政策は賃金・物価動向からして持続するのではないか。
Ⅲ 世界の景気変動、紛争、気候変動、環境規制などで需給がひっ迫し、ウッドショックはありうる。
悲観することない着工減 住宅の資産価値向上に取り組む
住宅設備メーカー 山田昌司氏(パナソニック ハウジングソリューションズ代表取締役 社長執行役員)
山田氏
Ⅰ 2023年の住宅着工は約83万戸で、前年比3.9%減。2024年もほぼ同じ水準ではないか。棟数は減少しているが、住宅投資額は17兆円レベルをキープしており、それほど悲観する必要はない。住宅の省エネ化、カーボンニュートラルへの取り組みなど住宅の資産の維持・向上への政策に向き合うことが必要。業界構造変化では、いわゆるパワービルダーへ需要がシフトし、地域の注文住宅を中心とするビルダーは苦しくなる。一方で、大手メーカーによる地域工務店への支援によって新しいビジネスモデルが生まれる。リフォーム、リニューアルは堅調に推移し、非住宅は改修期を迎えているものが多く、市場は拡大する。
Ⅱ 物流に関しては、必要な時に届けてもらえなくなってきている。運んでもらえないことも発生しており、深刻な問題。サプライチェーンはこれからの課題で、資材を運ぶことが住宅建設工程の計画の一部であるという考え方に転換しないと物流問題は解決しない。
Ⅲ パナソニックグループは2050年までに現在の世界のCO2総排出量の「約1%(3億トン)」の削減を目指しており、「Panasonic GREEN IMPACT」と称する3つ取り組みを行っている。一つは、自社工場など28の拠点でCO2排出量をゼロにする「OWN IMPACT」で、これはすでに達成済み。二つ目は、既存の水素、省エネ、再エネ技術、廃材利用などの「CONTRIBUTION IMPACT」、3つ目は新しい技術で進める「FUTURE IMPACT」。着実に進めていく。
2024年問題は織り込み済み 工期延長にはならない
建設 熊野聡氏(長谷工コーポレーション取締役専務執行役員)
熊野氏
Ⅰ 東京のマンション価格が1億円を突破したなどとショッキングな報道がなされたが、これは一部を切り取った情報。都心部で高級マンションが供給されたためで、23区の平均価格は8,424万円と前年比で30%上昇した。それ以外の平均は5,300万円で、そんなに大幅に上昇したという印象は持っていない。近畿圏の市場はほぼ横ばい。超高級マンションは経営者など富裕層、スタートアップなどの需要が旺盛で、実需も伴っておりバブルではない。今年は金利先高観による買い急ぎはあるかもしれないが、底堅い市場に支えられ、それほどぶれないと予想している。
Ⅱ 2024年問題は工期に大きな影響はない。ゼネコンでは4週8休は取り込み済み。運送コスト上昇による価格上昇への影響はある。現場技術者の残業を減らすDX、IT、職人の働きやすい環境をつくる、ロス少なくするなど生産性を高める取り組みを進めていく。
Ⅲ 当社も木造推進委員会を設けて研究している。すでに23件の共用部分の木質化を行っており、賃貸マンションの上層階の木造化も行っている。分譲でも生かせないか考えている。
残業規制は労働者の人権 脱法行為はありえない
法律 秋野卓生氏(弁護士 匠総合法律事務所 代表社員)
秋津氏
Ⅱ 最近は、人不足により残業時間制限720時間の上限を超えてしまうという相談が増えている。このような質問には、立法趣旨を説明する。月80時間以上残業すれば過労死する危険性があり、残業規制は労働者の人権を守ることで、法律を守らないということはありえないと。一方で、労基法は1日8時間、100%の力で働くことを経営者は労働者の要請していい法律。これを実践しているか、残業代が生活費の一部になっていないか、これをチェックする必要があると提案している。
Ⅱ DXで働き方改革が実現できるのであれば、建設業法、労働安全衛生法などの法律を改正すべき。デジタル臨調でもそのような論議がなされた。2027年度の全国展開を目指す国土交通省のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)確認申請にも注目している。現場三次元の取り組みも加速させる必要がある。
長距離輸送に理解を 再配達は有料に
物流 馬渡雅敏氏(全日本トラック協会副会長)
馬渡氏
Ⅱ 残業制限は建設業などは720時間となっているが、トラック業界は960時間。われわれの業界の長距離輸送は3~4割占める。法令を守れないから撤退する、あるいは長距離を受けないというところも出てきている。また、厚労省の法律も今年4月からより厳しくなる。住宅関連では、持ち帰り、転送などが多々ある。再配達でも1回分の配達料金しかいただけない。再配達は有料にするなど改善しないといけない。国土交通省の商習慣の見直しのガイドラインでもそのような方向性が示されるはずだ。
Ⅲ 国内のCO2排出量の2割が運輸部門。その中でわれわれのみどりナンバーの営業用はその2割、全体の4%がトラック業界。2030年までに2005年比で3割削減を目標に掲げているが、大型トラックはEVもハイブリッドもわが国では開発されていない。再配達とか物理的な無駄をなくしていくほかない。軽くて頑丈な国産材のパレットを開発していただきたい。プラパレばっかり。
用材自給率80%へ 熱を逃がす窓、ドアの木造化急げ
木材 鈴木信哉氏(ノースジャパン素材流通協同組合理事長)
鈴木氏
Ⅱ いま木材自給率は50%を超えつつある。今後は山の中から丸太をどのように下すのが最大のポイントとなるが、林道の整備が進んでいない。おろすまで3時間も4時間もかかる。林道整備とともに、中間ストックヤードを設けることも必要。納入するのに20台、30台も並ばなければならないようなことをなくさないと、残業時間を減らすことができない。受け入れ時間を長くし、かつての日本通運のような大型の事業体が出現することに期待したい。川下、川中、川上が連携して安定的な発注システムを構築しなければならない。
Ⅲ 10年後の用材自給率は80%まで伸びるのではないか。問題は梁桁。レッドウッド、ベイマツの集成材からどうやって奪い取るか。国産集成材に頑張ってもらう必要がある。木造のきれいな公共建築物を見ると、唯一木が見えないのがサッシとかドアの開口部。アルミと木材の熱伝導率は3600倍違う。寒いところで熱を逃すために造っているようなもの。これは10年間で木に変えないといけない。バス、トイレ、キッチンにどうやって木を使っていくか。クオーター契約の導入も必要。
マンションの廃食油や衣類・雑貨回収 東京建物 廃棄物削減の取り組み
廃食油回収
東京建物と東京建物アメニティサポートは1月24日、循環型社会推進に貢献するため、分譲マンションの廃食油回収や衣類・雑貨回収など廃棄物削減の取り組み「すてないくらしプロジェクト」を2024年1月から開始したと発表した。
東京建物が供給した、また今後供給する分譲マンションが対象で、親しみやすいゴミ置き場のデザインなどを採用することで、従来、物件ごとに管理組合主体で行われていた集団回収などの取り組みに加え、物件規模や特性を踏まえ、導入を推進していく。
「Brillia多摩センター」(530戸)で2023年に行ったトライアル廃油回収では、1か月間で約45㎏の廃食油を回収した。毎月同量の回収が見込めた場合、削減できるCO2は約1.5tに相当し、これは約100本分の樹木が1年間光合成することにより吸収するCO2量にあたる。今後、導入物件を増加させ、効率的な回収ルートを構築し、可燃ごみの削減、CO2排出量の削減に貢献していくとしている。
衣類・雑貨回収では、ECOMMIT(本社:鹿児島県薩摩川内市)が提供する不要品の回収・選別・再流通を一気通貫で行うサービス「PASSTO(パスト)」を導入。回収した不要品は国内外でリユース品として再流通させるほか、劣化などによりリユースが困難なものに関してはリサイクルパートナーを通じて再資源化を行う。
ゴミ置き場は、「ゴミ置き場が変われば、意識も変わるのではないか」と視点を変え、空間デザインでの課題解決にチャレンジし、2020年から通いたくなるゴミ置き場「GOMMY」の採用を進めている。照明を居室と同じ温かみのある色みにしているほか、ピクトグラムを多用し、英語も表記することで幅広い年齢、多様な背景を持つ人もゴミを出しやすくなる工夫をしているという。
衣類・雑貨回収
「GOMMY」
◇ ◆ ◇
いい取り組みだ。どこのマンション管理組合でも新聞、雑誌、ダンボールなどの定期的回収、分別ゴミ収集を行っているはずだが、廃食油の回収は聞いたことがない。衣類・雑貨回収もなるほどと思う。「通いたくなるゴミ置き場『GOMMY』」は信じられない。
業界全体で取り組めば大きなビジネスになるのではないか。
小田急不・ハウジング 都の既存住宅流通促進民間支援事業に選定
小田急不動産と小田急ハウジングは1月22日、東京都「令和5年度既存住宅流通促進民間支援事業」の事業者に、2023年12月27日付で選定されたと発表した。
同事業は、既存住宅を良質な住宅に改修して適正な評価の下で流通させる取り組みや、建物状況調査や既存住宅売買瑕疵保険制度等の普及に取り組む民間事業者等を支援するもので、令和5年度から開始された。補助率は3分の2で、仕組みの構築検討経費として上限500万円/1件、リフォーム工事費などに上限100万円/戸(1事業者あたり3戸まで)が補助される。
両社は、マンションの買取再販事業で断熱・省エネリフォームの実施を契機として、居住者・管理組合に対し、窓ガラスなどの改良に関する管理規約改定なと゜の合意形成支援や、リフォーム完成現場見学会を実施することで、マンション全体における断熱・省エネ性能向上の需要を喚起し、適切な維持管理計画の周知・啓発を進めていく。
「超競争時代 リーダーは人間らしくあれ」 元ソニー社長・平井一夫氏 ナイス講演会
平井氏(グランドプリンスホテル新高輪で)
1月17日に行われたナイス「新春経済講演会」で、元ソニー社長でソニーグループシニアアドバイザー、一般社団法人プロジェクト希望代表理事・平井一夫氏(63)が「変革のためのモチベーショナルリーダーシップ」と題する講演を質疑応答の30分間を含めて90分にわたって行った。
今更ソニーグループについて説明するまでもないが、売上高12兆4,000億円、営業利益1兆1,700億円、純利益8,800億円(2024年3月期決算予想)の、わが国上場企業売上高ランキング9位(日経新聞)のビッグカンパニーで、トヨタ、日産、パナソニックなどとともに世界に知られるグローバル企業だ。
記者は家電・電気機器業界のことはよく分からないのだが、上場企業は東証プライム市場だけで約130社にのぼる(Ullet)。業種別売上高ではトップの卸売業の約126.1兆円に次ぐ85.5兆円で、第3位の総合商社の66.2兆円を上回る。
主な企業は同社を筆頭にパナソニックホールディングス、日立製作所、リコー、東京エレクトン、三菱電機、キャノン、富士通、東芝、日本電気、シャープ、東京エレクトロン、リコー…わが国経済をけん引してきたメーカーが名を連ねる。
平井氏は講演会の冒頭、数分間費やしソニーの挑戦の歴史、変革の歴史について説明したが、平井氏より一世代上の記者は〝ガラパゴス〟そのもので、知っているのは「明るいナショナル ラジオ テレビ なんでもナショナル」であり「光る 光る 東芝」だ。ソニーといえば、カセットテープや商品名だけは知っている「ウォークマン」くらいだ。アップルのスマートフォンにソニーの技術が注がれているのも初めて聞いたし、ソニー・ホンダモビリティがどんなEV車を造ろうとしているのかも知らない。
事程左様に無知ではあるが、ソニーも総合商社などと同様、業績は2000年以降に落ち込み、最悪期の2012年には株価は801円(11月30日)の最安値を記録した。2000年3月1日に付けた上場来最高値33,900円から実に98%マイナスとなった。〝倒産危機〟までささやかれた。(現在の株価は14,800円=1月22日)
ところが、平井氏が社長に就任した2012年を底に業績はV字回復。競争が激しい家電事業からG&NS(ゲーム&ネットワークサービス)、音楽、映画のエンタテイメント3事業に事業をシフトしたのが奏功したといわれている。
平井氏が社長に就任して社内外にアピールしたのは「ソニーは感動を提供する会社」だった。ソニーグループは平井氏が会長を退任した2019年1月、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」というパーパス(Purpose)を発表した。
平井氏は「感動を提供する」というパーパスがとても大事と強調したのち、本題である「モチベーショナルリーダーシップ」について、「現代は常に変革が求められる超競争時代であり、既存の相手と争うペースが上がっているだけでなく、予想もしなかった異業種、新規参入も相次いでおり、長い期間かけて築いたビジネスモデルは一昼夜で通用しなくなる」と語った。
そして、このような超競争時代に求められるリーダーは、社員のモチベーションを120%引き出せる資質の持ち主でなければならないと説いた。上場企業が130社に達し、日進月歩の技術革新が進む今日、「超競争時代」というのもなるほどと納得した。
その条件として「わたしのこれまでの経験からいって一丁目一番地」と語ったのは①正しい人間であることだ。しかし、平井氏は「正しい人間」とはどのような人間であるかについて一言も話さなかった。詭弁を弄する哲学者か金満宗教家のように、手あかまみれの陳腐な人生訓を垂れ、抹香臭い御託を並べていたら、聴衆はしらけ切ったはずだ。実学・実践に基づいた言葉だから心魂に徹する。
「正しい人」について具体的言及を避けたが、聴衆にとって耳が痛いこともストレートに語った。エン・ジャパンが行った社員が上司に期待するアンケート調査で、「自分の意見や考えに耳を傾けてくれる」「公平・公正な評価」「明確な判断」「具体的なアドバイス」「気分に浮き沈みがない」「いつでも相談に乗ってくれる」「的確なゴール設定をしてくける」-などの項目を上げ、この真逆のことを上司・経営者は行っていると指摘し、「このようなことをしていたら、社員のモチベーションを120%引き上げられるわけがない」と苦言を呈した。
②は高いEQ(Emotional Intelligence Quotient)、③はパーパス・ミッション・ビジョン・バリューのPMVV(Purpose・Mission・Value・Vision)、④は戦略立案、⑤は現場訪問だった。
②のEQが高い人の周りにはIQ(Intelligence quotient)の高い人が自然と集まるものであり、③のPMVVは年頭の社長の訓示や名刺の裏だけでなく、社員一人ひとりに至るまで毎日の行動に落とし込むことが重要で、「社員は上司の一挙手一投足を見ている。言行一致を貫かなければならない」と語った。④については、①~③の土台がしっかりしていて初めて可能になると、自らの体験を交えながら話した。
⑤では、ソニー社長時代の6年間に70回、月に1回のペースで世界を駆けまわりミーティングを行ったと話し、「大事なのはハート、人間と人間の対話にしないといけない。人事や広報が事前に用意した想定質問や模範解答の原稿を棒読みするようなことをやってはならない」と述べた。
30分間の質疑応答では「Q&Aのルールはないというのがわたしのルール。何を聞いていただいても結構」と約1,100人の聴衆に呼びかけ、一つひとつ丁寧に答えた。
最後に「実は、私は話すのが苦手。インタラクションついてはそれなりに勉強した」と明かし、「一番いけないのは知ったかぶり。分からないことは『教えて欲しい』と、間違ったら『間違った』という勇気、決めたことは自らが責任を取る自信が必要。改革にはマイナスもつきもの。人事面では社員が不利益を被らないようしっかり対応することも重要。これらを実践するとネガティブなことはアドバンテージになる」と締めくくった。
平井氏はこの種の講演会を月に多いときで7~8回、少ないときは4回くらいこなし、講演料は「あらゆる子どもに、きっかけになる、感動体験をつくる」をMISSIONに掲げる「プロジェクト希望」に寄付しているという。
ナイス 新春経済講演会(グランドプリンスホテル新高輪で)
ナイス 4年ぶりに「新春経済講演会」1,100人が参加(2024/1/19)
テーマは「表と裏」 グループ初の「インテリア産業協会会長賞」受賞 ポラス
「フレーベスト秋津 奥庭」完成予想図
ポラスグループ住宅資材センターは1月22日、インテリア産業協会主催の「令和5年度住まいのインテリアコーディネーションコンテスト」事例分野で「インテリア産業協会会長賞」を受賞したモデルハウスのメディア向け見学会を行った。
受賞対象となったのは同社の分譲戸建て「フレーベスト秋津 奥庭」で、物件はJR武蔵野線新秋津駅から徒歩8分、東京都東村山市秋津町五丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%)に位置する全11戸。土地面積は125.26~128.36㎡、建物面積は92.95~99.36㎡、価格は5,790万~6,590万円(価格には家具、照明、その他造作材など含む)。構造は木造2階建(2×4工法)。全体引き渡し予定は2024年5月13日。昨年の9月から販売を開始しており、これまでに6戸が成約済み。長期優良住宅認定を取得している。
物件の特徴は、一般的な分譲戸建て開発では、戸別の敷地境界線にフェンスなどによって区切られ細分化されるのに対し、それぞれの敷地の一部に地役権を設定し、隣戸間のフェンスをなくし、2戸あるいは3戸を1セットとした〝奥庭〟と称する「広場」「木立」「テラス」や路地状空間を創出したこと。また、室内は段差や続き間による広さを活かした+αの空間づくりに国産素材を組み合わせ、居心地の良い空間を実現していることなど。
設計・商品企画を担当した中央住宅営業企画設計課係長・酒井かおり氏は「建ぺい率40%、容積率80%の建築規制と、斜線制限も厳しかったので、軒高が軸組み工法より約50cm抑えられる2×4工法を採用した。このような提案が他の物件でも採用できる可能性もある」と語った。
受賞したモデルハウスは、「『表と裏』のように、一体のリビングダイニングを、ダークカラーを基調として落ち着いて過ごせる場所と明るい場所に分けてプランニング。ナチュラルカラーとブラックでそれぞれまとめることで、シンプルでも温かみを感じられるよう全体の調和を意識してコーディネートしました。木綿糸や陶器のペンダントライトなどの自然素材を使用し、アクセントカラーにグリーンを配置することで癒しを感じられる空間に仕上げた」(リリース)のが特徴。床はオーク材の突板仕上げ、天井はシナ合板、壁は火山灰由来の「シラス」や国産材ヒノキなど自然素材を多用している。
受賞した同社インテリア部所属・須藤歩氏は「初挑戦でこのような賞をいただき大変嬉しい。関係していただいた方々のお陰。次は上(経済産業大臣賞)を目指したい」と喜びを語った。
同賞は1983年設立。200社超の会員を擁し、インテリアに関する情報発信や啓蒙活動を通して業界内で圧倒的な評価を受けている賞。施工事例、スタイリング事例を対象とする「事例分野」と、自由な発想の広がりを期待する「課題分野」の2分野で表彰する。事例分野の最高賞は経済産業大臣賞。インテリア産業協会会長賞はそれに次ぐもの。
同社グループの受賞は2年連続で、会長賞受賞は初。住宅資材センターには約40人のインテリアコーディネーターが在籍し、工事部門を持つことからワンストップで顧客対応ができるのが特徴。
モデルハウス
「表と裏」モデルハウス 白、黒、グレーの対比も随所にみられる
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記者がもっとも嫌う表と裏を使い分けるのが常識の醜い人間社会を是認するかのような「表と裏」には正直驚いた。
しかし、物件のコンセプト、モデルハウスにはそのような悪意は込められておらず、逆に表と裏を一体的にとらえ、全体敷地約1,300㎡の敷地のうち60%の約830㎡(敷地面積と建ぺい率から計算)の〝公開空地〟を生み出したことを評価すべきだと思った。いわば〝表裏一体〟のプランだ。
このうちコンクリ敷の駐車スぺ-スがどれくらいを占めるか分からないが、少なくとも3戸分の378㎡(1戸126㎡として換算)は〝表も裏もないみんなの広場〟になるのではないか。透水性の高い網代・レンガ調舗装材、植生ブロックなどを多用し、モミジ、シマトネリコ、ヤマボウシ、ブルーベリー、オリーブ、ハーブ類などで緑化を図っているのがいい。同社の〝十八番〟である地役権設定が今回も生かされた。
全体敷地「表」側と敷延部分の「裏」の住戸間に500~600万円の価格差があることについて質問が飛んだが、成約済みの6戸の内訳は表と裏が3戸ずつであることを同社は明かした。価格差は妥当だと思う。敷延部分の住戸と表の住宅の価格差が1,000万円もあるのに、敷延部分住戸がいつまでたっても売れなかった事例をたくさん見てきた。
酒井氏と須藤氏に提案だ。「表と裏」で経産大臣賞(そんなに価値が高いのか)を逸したのなら、次回は「天と地」、「赤と黒」、「白と黒」、「右と左」、「善と悪」、「罪と罰」、「月とすっぽん」でもいいし、「円環」「四季」あるいは御社の「本川越」のマンションのテーマである「守・破・離」か「序・破・急」で挑戦したらどうか。それとも世相を反映する「支離滅裂」「諸行無常」「牽強付会」はどうか。「融通無碍」もいい。
敷延部分(一部は共用路地)
植栽帯
典型的な「町家造り」の一角 コンパクト中心のプラン的中 ポラス「本川越」
「ルピアコート本川越ステーションビュー」模型
ポラスグループ中央住宅が分譲中のマンション「ルピアコート本川越ステーションビュー」を見学した。駅前の商業地域に立地するコンパクトタイプ中心の全113戸で、昨年8月から分譲されており、これまで約50戸が成約済み。多様な需要層のニーズを取り込んでいる。
物件は、西武新宿線本川越駅から徒歩2分(東武東上線川越市駅から徒歩7分)、川越市新富町2丁目の商業地域(建ぺい率80%、容積率400%)に位置する12階建て全113戸。専有面積は33.86㎡~59.49㎡、価格は2,600万円台~6,100万円台(最多価格帯4,500万円台)、坪単価は330万円弱。施工は川村工営。竣工予定は2025年2月中旬。売主は同社(事業比率95%)のほか三信住建(同5%)。販売代理は東京中央建物。
昨年8月から分譲されており、これまで来場者は約200組、約50戸が成約済み。約4割が地元需要で、都内23区からの反響も15%。単身者、DINKS、シニア、セカンド・投資需要など多様なニーズを取り込んでいるのが特徴。
現地は、駅前の金融機関所有地跡地。約260の店舗が立ち並ぶ「蔵造りの町並み」へ続くクレアモールに面しており、丸広百貨店、西武本川越ぺぺ、イトーヨーカ堂などに近接。
敷地は、東西軸が約100m、南北実が約5.6mの細長い形状で、住戸は全て南向き。南側敷地は丸広百貨店の4階建て駐車場。住戸プランは1スパンの33.86㎡の1LDK以外は40㎡台以上のワイドスパンの2LDKが中心。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ、床暖房、ハックカウンター・食器棚、Low-Eガラス、ガス衣類乾燥機「乾太くん」、物干しポール、タオル掛け2か所、オリジナル抗ウイルス・抗菌床材など。
モデルルーム
物干しポール(左)と「乾太くん」
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城下町によくある「町家造り」の立地・敷地形状の特性を考慮したプランであるのが味噌だ。駅に近く、生活利便施設に事欠かないのでファミリー層の需要もありそうだが、敷地は〝ウナギの寝床〟のような形状で、南側には4階建ての駐車場が迫っている。商業地立地なので、同等の建物が建てば日照・採光は遮られるリスクもある。購入に二の足を踏む人もいそうだ。 そのため、住環境より利便性を重視する単身者やDINKS、シニアなどにターゲットを絞り込み、南側に高い建物が建っても賃貸に回せそうなプランにしたのだろうと思う。
設備仕様レベルが高いのも特徴だ。歩留まり率の高さ(44.2%)にそれが現れている。同社マインドスクエア事業部マンションディビジョンDv営業企画課課長・湯村元昭氏は「他の物件と比較されるお客さまが『ここが一番いい』と戻ってこられる」と話した通りだ。細かいことだが、「乾太くん」や食器棚、物干しポールを標準装備とし、タオル掛けをきちんと2か所設けている郊外マンションなどないはずだ。
クレアモールに面した現地東側(左)と西側
東上線初のZEH-M「本川越コエドテラス」など3物件181戸販売順調日本エスコン(2022/10/18)
ナイス 4年ぶりに「新春経済講演会」1,100人が参加
ナイス「新春経済講演会」(グランドプリンスホテル新高輪で)
杉田氏
ナイスは1月17日、ナイスパートナー会連合会と共に「新春経済講演会」を都内のホテルで開催、約1,100人が参加した。講演会は三部構成で、第一部はナイス代表取締役社長・杉田理之氏が同社グループの概況と取り組みについて説明し、第二部は元ソニーの社長でソニーグループシニアアドバイザー、一般社団法人プロジェクト希望代表理事の平井一夫氏が「変革のためのモチベーショナルリーダーシップ」と題する講演会を、第三部は、物流、弁護士、シンクタンク、木材、建設、住宅設備メーカーによる新春トークセッション「どうなる!?2024」を、講演会後は新春賀詞交歓会をそれぞれ行った。講演会(前回は経営方針発表会)は4年ぶりの開催。
杉田氏は4月1日付で取締役会長に、新しい代表取締役社長には津戸裕徳取締役管理本部長(50)が就任する。
津戸氏は1973年3月27日生まれ。1998年4月、同社入社。2017年7月、同社執行役員資材事業本部首都圏第一ブロック長、2018年6月、同社取締役執行役員資材事業本部副本部長兼首都圏第一ブロック長、2020年3月、同社上席執行役員資材事業本部副本部長、2023年7月、同社取締役管理本部長に就任。
(平井氏の講演会、トークセッションについては稿を改めて紹介します)
積水ハウス 米国11位の戸建て供給会社 約6,879億円(1米ドル140円換算)で買収
Creekside Vilage CO (Seasons)
積水ハウスは1月18日、アメリカの大手戸建て住宅会社M.D.C. Holdings, Inc.(MDC社)の株式の全てを取得することを決定し、MDC社との間で同日(米国デンバー時間2024年1月17日)付で合併契約を締結したと発表した。買収価格はMDC社株式1株63米ドルで総額約4,914百万米ドル(1米ドル140円換算で総額約6,879億円)。MDC社はコロラド州デンバーに本社を置き、16州34都市で事業展開する上場ホームビルダー。50年以上にわたり合計240,000戸以上の住宅を供給している。2022年度の引渡戸数ベースで全米第11位(9,710 戸)。
積水ハウスは、「当社グループの企業姿勢及び経営戦略との親和性が高い企業文化を有します」とし、買収によって2022年度の引渡戸数ベースで全米5位(年間約15,000戸)の規模を誇るホームビルダーグループを形成することになり、2025年度の海外市場において年間10,000戸の戸建住宅を供給するという同社グループの目標に達するとしている。
同社代表取締役社長執行役員兼CEO・仲井嘉浩氏は会見で「非常に重要な事業で、非常に楽しみにしている。MDC社はソリッドなプラットホームを構築しており、ESG、とくに環境に配慮した取り組みを行っているのが買収の大きなポイント。当社とのシンパシー、親和性が高い。当社の技術力を移植することによって唯一無二のビルダーになる」と語った。
工法については、MDC社の2×4工法と同社の軸組工法の「シャーウッド」の2ブランドで展開していく。
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仲井社長らが出席してオンライン会見が行われたのは18日の午後8時15分から。事前に案内は届いていたが、記者はかなり酒も入っており失念した。上段はほとんどリリ-スのコピペで、仲井社長のコメントは夜中に起きて動画配信を視聴して追加したものだ。
最初にこのニュースが飛び込んできたときは、ものすごくびっくりしたが、大リーグ・エンゼルスからFAでドジャースに移籍した大谷翔平選手の契約額が10年7億ドル(約1,014億円)なので、さもありなんと納得もした。
それにしても、大和ハウス工業の2022年の米国での販売戸数6,010戸、住友林業の米国での販売戸数10,500戸(2023年12月期予想)を一挙に抜き去ることになるのに驚いた。3社で3万戸超だ(大和ハウス工業も2026年には供給戸数1万戸まで引き上げることを計画している)。メディアから3社の米国での競合関係について質問が飛んだが、仲井社長は「(2社について)特に意識していない。当社の高い技術力は米国でも評価されるはず」と自信を見せた。
もう一つは、シャーウッドの展開だ。記者は海外の住宅事情は全く分からないが、シャーウッドの素晴らしいのはよく分かっている。耐火・防火基準がどうなっているかだが、デザインは2×4と似ているようで、また異なる。同社は、シャーウッドによる住宅300戸をカルフォルニアで供給を開始したようだが、米国の2×4住宅と異なるのか同じなのか、機会があったら聞いてみたい。