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「クレヴィア新川崎」

 伊藤忠都市開発が近く分譲開始する定期借地権付きマンション「クレヴィア新川崎」を見学した。伊藤忠商事グループ大建工業の調湿・消臭・吸音効果のある天井材を全戸のLDKに採用したほか、ZEH-M Oriented、ワイドスパン、ウォールドアと可動収納を組み合わせることで好みの間取りを選べる「間取りのない家」(一部)プランが特徴。

 物件は、JR横須賀線/湘南新宿ライン新川崎駅から徒歩9分(JR南武線鹿島田駅から徒歩4分)、川崎市幸区下平間字宮前耕地の商業地域、第一種住居地域に位置する期間72年の定期借地権付き6階建て全74戸。専有面積は53.30~78.54㎡、価格は未定だが、坪単価は300万円台の後半になる模様。竣工予定は2026年2月下旬。施工は大末建設。設計・監理はデベロップデザイン一級建築士事務所、デザイン監修は未来アーキテクツstudio。

 現地は、新川崎駅から徒歩9分の表示だが、そのうち5分くらいは雨に濡れないペディストリアンデッキで駅と結ばれている。住戸プランは東向き、南向き、西向きがそれぞれ5スパン。主な基本性能・設備仕様は、内廊下方式、ZEH-M Oriented、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ、フィオレストーンキッチン天板、ディスポーザー、食洗機、シェアリングサービス、GOKINJOサービス、IoT設備など。

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モデルルームプラン

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 71㎡の東向き吹抜け付き(ボイド)モデルルームがよくできている。12.0帖のリビングに隣接して多目的に利用できる4.3帖と4.3帖の洋室を提案。洋室には収納を設けず、居室の外に大型のファミリークローゼットを設けている。玄関と玄関を入ったの6.0帖の洋室はそれぞれ外部に面していない吹抜け(ボイド)が設置されており、通風・採光が取れるようになっている。この吹抜け(ボイド)付きは4スパン。

 この吹抜け(ボイド)で思い出したのだが、光ファイバーケーブを使って好きなところに自然光を照射することができる太陽光自動集光・伝送装置をどこか採用しないかずっと考えている。工夫によって影が発生しないようにすることができるスグレモノだ。かつて三井不動産レジデンシャルが「目黒」のマンションに採用したことがある。

 光は溜めることができないので、雨天や夜間は無理だが、理論的には地球の裏側で集光し、ケーブルで運べば24時間太陽光の恩恵を受けられる。マンションなら北向きでも南向きと同じ価格設定が可能になる。伊藤忠都市開発はやらないか。

 調湿・消臭・吸音効果のある天井材も体験した。音がとてもクリアになる。音楽を聴くのにいいかもしれない。

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現地

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杉本氏

 既報の通り、シーラテクノロジーズ(以下、シーラ)とクミカ(旧リベレステ)は2025年2025年6月1日付で経営統合すると発表した。シーラ取締役会長・杉本宏之氏は発表会でシーラのMISSION「世界中の不動産投資を民主化する」、VISION「愛とテクノロジーで世紀を超えて永続する」、TARGET「不動産資産運用プラットフォームを通じ社会問題解決に挑む」を紹介し、「民主化(非民主的)とは何か」「不動産への愛」とは何かについて、〝記事はラブレター〟〝人生は愛〟がモットーの記者の質問に次のように答えた。

 「非民主的というのは、わが国は島国という地政学的な要因と、太平洋戦争以前のABCD包囲網下でなにもかも自分たちで調達しなければならなかったという歴史的な背景による国民性の問題だと思っています。さすがに(個人の金融資産は約2,141兆円)のうち55%が0.01%の金利で貯金を続けているのは、私の個人的な見解では正気の沙汰ではないと。パブル崩壊とリーマン・ショックを経験しているので、不動産に対するアレルギーがあると思うんですが、これは是正しないといけないという使命感を持っています。不動産投資について、一つひとつ丁寧に説明し、理解を求めていくしかないと思っています。非民主的というのは国民性に起因するというのが私の考えです」

 (杉本氏のいう通りだと思う。ただ、これは不動産業に限ったことではないが、消費者保護を宅建業法でうたわなければならないのは、かつて消費者を欺く商法があったからだ。さらにまた、おとり広告が後を絶たない現状がある。業界全体がしっかり取り組まないといけない)

 「不動産への愛」については、「前回の失敗から学んだのは、自分たちがしっかり手掛けたプロジェクトは一つも失敗事例がなかった一方で、利益を出そう、業績のためにやめにやろうとした仕事はことごとく失敗したということです。その反省点に立って考えたのは、モノのづくりへの愛です。まず、創業者が情熱をもって命をかけて全力で事業に取り組まないとベンチャー企業の成長はない。『利回りくん』などのサービスもそうですが、面白い、楽しいとお客様に触れていただいていると実感している。自信を持って言える。お客様に対してやらなければならないことと、自分たちがやりたいことがようやく一致するようになってきた。ワンルーム事業としてありえない共用部分の充実を図ってきたことが結果につながってきた。創業者と社員のモノづくりへの情熱と愛、これが全てです」

シーラとクミカが経営統合統合後クミカはシーラHDに社名変更/億ション即完(2025/12/2)

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会見場(シーラテクノロジーズで)

 

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クミカ代表取締役社長・飯島弘徳氏(左)とシーラテクノロジーズ取締役会長・杉本宏之氏(シーラテクノロジーズで)

 シーラテクノロジーズ(以下、シーラ)とクミカ(旧リベレステ)は12月2日、合同経営戦略発表会を開催し、クミカを完全親会社、シーラを完全子会社化とする株式交換による経営統合を行う予定と発表した。

 株式交換により、クミカはシーラの株主に対してシーラの普通株式1株につきクミカ普通株式110株式会社(時価総額ベースではクミカ1:シーラ2.85)を割り当てる。

 統合スケジュールは2025年2月14日の臨時株主総会で双方が議決し、2025年5月29日にシーラはNASDAQ市場での上場が廃止となり、株式交換の効力発生日は2025年6月1日。

 経営統合後は、クミカは社名をシーラホールディングスに変更し、シーラ取締役会長・杉本宏之氏が代表取締役会長に、シーラ代表取締役社長グループ執行役員COO・湯藤善行氏が代表取締役社長に就任する予定。

 経営統合が発表された午前11時すぎ、東証スタンダード市場のクミカの株価が暴騰。午後3時時点で始値340円に対してストップ高の410円(値上がり率20.6%)、NASDAQ市場のシーラは前日比0.060USD高の1.75USD(3.55%高)となっている。

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発表会でシーラ取締役会長・杉本宏之氏は、「不動産投資を取り巻く外部環境は厳しいが、当社は岩盤収益源である賃貸約4,000戸を管理しており、また、当社は売上原価の多くを占めるゼネコン機能を有しており、全物件を自社施工できる体制を構築する。設計、デザイン料などは内製化できている強みがある。20305月期には売上高700億円、総資産1,000億円をめざすが、双方の資産は300億円にのぼり、600億円を家賃収入、400億円をデベロップ部門をベースにする。在庫は(賃貸収入を生む)資産。MAを強化して大手デベロッパーが手薄な分野で各個撃破する」と語った。

杉本氏は1977年(昭和52年)生まれ。不動産業を営んでいた父親はバブル崩壊(1990年)をきっかけに事業に失敗、同年に母親を亡くす。その後、生活保護を受けながら、風呂がない四畳半のアパートでの生活を余儀なくされなくなったこと、父親との確執、大学進学をあきらめ高校卒業後、専門学校に通い宅建士の資格を得て不動産会社に就職、営業成績はトップクラスだったことなど、少青年期の波乱万丈の人生を赤裸々に明かしている。勤務先の不動産会社では商品企画に疑問を抱き、24歳の200112月、投資用ワンルーム事業を中心としたエスグラントコーポレーションを仲間らと設立し、初代社長に就任。同社はリーマン・ショック後の2009年、民事再生法の適用を申請し破綻。

その翌年の201011月、シーラテクノロジーズ(旧シーラホールディングス)を創業。不動産投資に特化した自社ブランドマンション「SYFORME」の開発・売買・管理・仲介を展開。20216月、不動産クラウドファンディング「利回りくん」のサービスを開始。20233月、国内不動産業界としては初となる米国ナスダック市場に上場。

シーラの202412月期決算予想は、売上高29,000百万円(前期比27.5%増)、営業利益は1,800百万円(同24.9%増)。

クミカ代表取締役社長・飯島弘徳氏は、「シーラさんとは今後供給する『大宮』『川崎(八丁畷)』での協業は進んでいるが、当社の創業社長が出資法違反で逮捕されて以降は経営基盤が不安定で、経営統合は企業価値を向上させるためには不可欠と判断した」と語った。

クミカの旧社名は1970年創業の河合工務店で、創業地の埼玉県越谷市を中心にマンション事業を展開、温泉付き「ベルドゥムール」で業容を拡大し、1999年には社名を「リベレステ」に変更、2000年には株式を店頭公開した。しかし、2023年、創業社長の河合純二氏が出資法違反の「抱き合わせ融資」で逮捕されるなど厳しい経営環境にあり、20246月、「リベレステ」から社名を「クミカ」へ変更、20248月、第三者割当増資6億円をシーラテクノロジーズが引き受け、シーラテクノロジーズは同社の30.58%の株式を取得した。

クミカの2024年5月期の売上高は4,765百万円(前期比36.0%減)、営業利益は295百万円(同72.7%減)、経常利益は302百万円(同72.0%減)、純利益は212百万円(同72.2%減)。

経営統合後の単純合算で売上高は337億円、営業利益は19.4億円となり、2026年度は売上高450億円、営業利益23億円を目指す。

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代理店から発表会の案内が届いたとき、気は進まなかった。シーラは投資用マンションやコンパクトマンションを展開している会社のようだが、記者の取材経験からして玉石混交というより〝石〟だらけの市場だと思っているからだ。しかし、クミカは河合工務店時代だから20数年前から温泉付きマンションを何度か取材しており、記者と同い年(確か75歳)の創業社長の河合純二氏が「井戸を2か所も掘ったんだ。温泉付きではない他のマンションにも特別車両で源泉を運ぶ」と得意げに話したのを覚えているので、参加することに決めた。それでも資本・業務提携だけでは前途は多難だろうと思い、記事にもそう書く予定だった。

記者が会場に着いたのは発表会の予定時間11:3015分くらい前だった。いきなり、司会者から「有益な情報を伝えるため」と11:45分に延期すると知らされた。双方ともいい加減な会社だと正直思った。これでは先が思いやられると。ところが、会見の冒頭、司会者から経営統合発表会と知らされて、その理由がよく分かった。東証などへの報告事務があったからだと判断した。この時点で、前途に光が見えたように思った。経営統合は正解だろうと。

発表会の事前にシーラのホームページを調べた。同社初の富裕層向けマンション「THE SYLA SHIBUYA-TOMIGAYA(ザ・シーラ 渋谷富ヶ谷)」が紹介されていた。住所は代々木公園駅から徒歩5分の渋谷区富ヶ谷一丁目で敷地は188㎡(56坪)しかないが、1フロア1戸で専有面積は90.99㎡、間取り1LDKとあるではないか。物件概要を読んで、坪単価は1,000万円だと予想した。グロスで27,572万円だ。これまで低層で1フロア1戸という事例はあったが、高層マンションで1フロア1戸、しかも99㎡のマンションの供給事例はほとんどないはずだ。平屋を積み上げたプランは、ひょっとしたら売れるかもしれないと考えた。

会見後にこれだけは聞こうと杉本氏に尋ねたら「決済は済んでいませんが、8月に分譲開始し、即日完売しましたよ。坪単価平均は900万円」と話した。

また、「投資用・コンパクトマンション市場は厳しい。差別化を図らないと」聞いたら、「当社はこれまでも差別化を図っている。現段階でプランは公表できませんが、クミカさんと共創する『大宮』も『八丁畷』もジムやレストラン、コワーキングスペースなどを予定している」と杉本氏は話した。

シーラはこれまでの投資用・コンパクトマンションデベロッパーと全く違うと確信した。取材前にイメージした杉本氏の〝虚像〟は音を立てて崩れた。杉本氏は〝投資市場の自由化〟〝愛〟についても熱っぽく語った。前途洋々とは言い切れないが、発表会での話を聞きながら、こういう会社を応援したくなった。

THE SYLA SHIBUYA-TOMIGAYA(ザ・シーラ 渋谷富ヶ谷)」は、東京メトロ千代田線代々木公園駅から徒歩5分、渋谷区富ヶ谷一丁目の近隣商業地域、第1種低層住居専用地域(建ぺい率100%・70%、容積率400%・150%)に位置する敷地面積約188㎡、延床面積約764㎡、8階建て全8戸(販売戸数7戸)。専有面積は90.99㎡。坪単価は900万円。間取り1LDK。設計・監理はエム・エスデザイン、デザイン監修はSTUMP、施工はシーラ。竣工予定は202412月下旬。

「金利0.01%で55%が預貯金は正気の沙汰じゃない」「不動産は愛」シーラ杉本氏

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「阿蘇くまもと空港 新旅客ターミナルビル」

 日本ウッドデザイン協会(会長:隈研吾氏)の「ウッドデザイン賞2024」の上位賞が発表された。応募総数366点のなかから入賞作226点が先に発表され、最終審査を経て「社会課題の複合的な解決をもたらし、イノベーション・新産業創出に寄与する作品」 として「最優秀賞」4点、「特別賞」3点、「優秀賞」9点、「奨励賞」15点の計31点が選出された。12月4日~6日、「エコプロ2024」(東京ビッグサイト)の特設ステージで「受賞作品展示」が行われる。

 ウッドデザイン賞2024審査委員長・赤池学氏は「今年で栄えある10回目の開催となったウッドデザイン賞だが…年々、応募作品のクオリティがあがり、今年も非常に高いレベルでの審査となった。上位賞作品はいずれも、生活者や街づくりの視点とウッドデザインが見事に調和したものであり、『木材を使った先にあるもの』を明確に示してくれている点が特徴的である」と講評している。

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 記者に受賞のメールが届いたのは、三菱地所グループの「江北小路」「丸の内北口ビルディング 丸北ラウンジ」「Marunouchi Bloomway」と、三井ホームの「阿蘇くまもと空港 新旅客ターミナルビル」「パークアクシス北千束MOCXION」「学校法人Rugby School Japan」「キャンパスヴィレッジ生田」「KNOCKS ゆめが丘」「在来軸組構法用の構造製材を使用した国産杉ネイルプレートトラスの開発」「『木の空間は身体に良い』を科学的に証明する~木材を用いた空間が睡眠に与える影響について~」、野村不動産の「『森を、つなぐ』東京プロジェクト」「オウカス 世田谷仙川」「野村不動産溜池山王ビル」、AQ Groupの「純木造本社ビル」だった。

 このうち、見学した作品は「江北小路」「丸北ラウンジ」「北千束」「生田」「ゆめが丘」「溜池山王」「本社ビル」の7作品で、みんな素晴らしかった。残念ながら上位賞には一つも選ばれなかったが、それだけ上位賞(一つも見ていない)は優れていたのだろう。

 お金と時間があったら、この31点のうちいくつかを見学したいのだが、多分無理だろう。都内の作品は「meet tree GINZA」のみだ。ネットで調べたら化粧品とスイーツの店だった。縁がないのであきらめた。

 まあ、しかし、地方発の取り組みが上位を独占するというのも面白い。記者は国土強靭化のカギは森林・林業が握っていると思うし、日本再生の、無限の可能性を秘めているような気もする。AQ Group宮沢俊哉社長の「木は熟した」の言葉を借りよう。

相鉄グループ初の木造賃貸三井ホーム最大級の「モクシオン」「ゆめが丘」に完成(2024/5/23)

「木は熟した」街並みを木造化するビルダー組織化へAQ Group新社屋は坪145万円(2024/4/22)

RCと木造の住み心地比較を東急不&三井ホーム混構造学生マンション「生田」(2024/3/27)

〝美は現しにあり〟木と鉄骨のハイブリッド実現野村不&清水建設「溜池山王ビル」(2023/11/21)

素晴らしい!親子&木製シースルー玄関ドア三菱地所ホーム「江北小路」完成(2023/9/28)

三井不動産グループ初木造4階建てカーボンゼロの賃貸「北千束MOCXION」完成(2023/9/6)

 

 

 


 

 

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「レーベン和光THE GRANDE」

 タカラレーベン(事業比率45%)、東京建物(同30%)、日鉄興和不動産(同25%)が分譲中の「レーベン和光THE GRANDE」のモデルルームを見学した。物件所在地は埼玉県和光市だが、最寄り駅は板橋区内の地下鉄成増駅。坪単価が300万円を切っているのは安いと思った。

 物件は、東京メトロ地下鉄成増駅から徒歩10分(東武東上線成増駅から徒歩13分)、和光市白子二丁目の準住居地域・第一種住居地域(建ぺい率70%、容積率200%)に位置する敷地面積約11,562㎡、9階建て全304戸。2025年1月に分譲予定の第2期(戸数未定)の予定価格は4,600万円台~9,400万円台(最多価格帯5,900万円台)、専有面積は57.27~96.55㎡。竣工予定は2025年11月上旬。施工はライト工業・小野良組建設共同企業体。デザイン監修は株式会社ウイ・アンド・エフ・ヴィジョン。

 現地は川越街道のほか四方道路に接道。従前はゴルフ練習場。敷地規模は和光市最大級。光が丘公園まで徒歩13分。道路を挟んだ対面は「イニシア和光」。敷地は南東下がりの傾斜地で、建物はA~Eまで5棟構成。

 主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ、ディスポーザー、食洗機、タカラの水、Low-Eガラス、各階専用の宅配ボックス「Pabbitシステム」など。主な共用施設はパーティルーム、キッズルーム、ゲストルーム、ゴルフシュミレーターなど。

 6月末にオープンしたモデルルーム来場者は494件。9月7日から第1期1・2次として80戸を供給。その後30戸を追加供給した。来場者は板橋区、練馬区、和光市居住者が多く、その他広域から集客できているのが特徴。

 販売担当のタカラレーベン・赤池圭介氏によると、平均専有面積が70㎡超なのが人気の要因の一つと語った。

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モデルルーム

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 坪単価は記者予想をかなり下回った。物件所在地は埼玉県だが、他の沿線、例えば西武線、埼京線、京浜東北線、東武伊勢崎線、常磐線、総武線などの東京都に隣接する埼玉・千葉県側の坪単価はほとんど全て300万円を突破している。都内側は一部を除き、坪400万円だから、畳2畳で100万円の差もある。

 男と女の間もそうだが、何の根拠もないのに上位の側だと思い込んでいる住民は大きな川を渡るのは、なんだか都落ちするような気分にさせられるので、抵抗感を覚える。これが単価差に表れている。ここも、マンションと地下鉄成増間を流れる白子川が都県境になっているが、大きな川ではなくほとんど陸続きだ。単価は割負けしていると思う。成増には日高屋、ドトールコーヒー、マクドナルドもあるではないか。

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模型

ピアキッチンだけでないポラスのマンションはなぜ売れるのか中央住宅「和光本町」(2023/4/1)

坪240万円で5000万円台の3LDK(70㎡台)城東とも競合コスモスイニシア「和光」(2022/3/20)

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「ネベル鶴瀬」

 タカラレーベンが分譲中の「レーベン和光THE GRANE」と「ネベル鶴瀬」を見学した。双方とも売れ行きは好調なのだが、〝瓢箪から駒〟〝目からうろこ〟のコンパクトマンション「鶴瀬」から紹介する。

 物件は、東武東上線鶴瀬駅から徒歩3分、富士見市鶴瀬東1丁目の第一種住居地域(建ぺい率70%、容積率200%)に位置する敷地面積約1,193㎡、14階建て49戸。11月23日から販売を開始した第2期(11戸)の価格は2,462万~4,788万円(最多価格帯3,800万円台)、専有面積は30.35㎡~50.40㎡。坪単価は270万円くらいの模様。竣工予定は2025年2月下旬。施工は吉原組。

 現地は、駅東口から徒歩3分、全戸南向き。住戸プランは12階までは南東角住戸が50㎡、中住戸が33㎡、南西角住戸か45㎡の3スパンで、上層階2層は63㎡(4戸)。主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、床暖房、食洗機(33㎡除く)、バルコニー奥行き1800ミリ、タカラの水など。

 資料請求は1900件前後、モデルルーム来場者は100件弱。10月18日から30戸を供給し、第2期として11戸を先週末の11月23日に供給した。

 同社・タカラレーベン 坪龍平氏によると、同沿線のコンパクトマンションは志木駅から川越駅圏までは供給がなく、川越駅圏でも坪単価は350万円前後と高いことから、価格の安さ(賃貸アパートと同レベル)、駅からの近さ、設備仕様レベルの高さなどが評価されているという。コンパクトは20~30代の単身女性が約8割で、他のタイプは共働きや戸建てからの住み替えなどまちまちだという。勤務先は周辺エリアと都内が半々。

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エントランス

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リビング

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キッチン

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バルコニー

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 冒頭に〝瓢箪から駒〟〝目からうろこ〟と書いたのは、予想だにしなかった事態に遭遇したからだ。

 取材前だ。同業の記者Fさんが教えてくれたのだが、小生がよく利用するドトールと日高屋(タバコが吸える)、それとマクドナルド(ハンバーガーは食べないので利用したことはあまりない)の3店舗は、街の賑わい(民力)を測る物差しとして不動産会社は〝御三家〟と呼ぶのだそうだ。

 なるほど。ドトール、日高屋、マクドナルドがある街は水準以上の街だと思う。わが多摩センターもすべて揃っている。

 さて、鶴瀬はどうか。ネットで調べたらマクドナルドと日高屋はヒットしたが、ドトールはないようだ。物件が所在する駅東口は、昨年、マンションを取材したあとタバコが吸える店舗がないか探したがなく、仕方なく駅前の中華店に入った。日高屋とほとんど同じ料金だった(当時、小生は日高屋を利用する習慣はなく、その店がきっかけとなった)。

 どこを基準に考えるかだが、鶴瀬駅圏は都心部の街を見慣れている人にとっては寂れた田舎街に映るだろうし、郊外に住む人は日常の街だと考えるのではないか。東武東上線のマンションは、他沿線と比べ相対的に価格が安く、都心に近いことから最近人気になり、供給も増えているが、鶴瀬駅圏は極端に少ない。デベロッパーも二の足をふむのはよくわかる。駅力は弱い。

 なので、タカラレーベンがコンパクトマンションを分譲するというのは信じられなかった。正直、売れるとは思っていなかった。ところがどうだ。上段で紹介したように驚異的な売れ行きを見せているではないか。

 考えてみれば、その理由はよくわかる。10年くらい前までは都内23区で坪単価300万円台のコンパクトマンションが供給されていた。10坪(33㎡)で3,000万円台だ。その後、価格は急騰。今では坪500万円はありえない。安くても坪600~700万円台だろう。デベロッパーは価格を抑えるため6坪(18㎡)に抑えているのではないか。それでもグロスは10坪で6,000万円以上、6坪でも4,000万円前後だ。

 「鶴瀬」は10坪で2,500万円台だ。エントランスオートロック、ホーローキッチンパネル、床暖房、食洗機付き(一部除く)、タカラの水…賃貸居住者は驚嘆するはずだ。販売担当は疑心暗鬼だったのだろうが、「ネベル」の仕入れ担当は〝売れる〟と確信していたのではないか。この記事を読まれたマンション開発担当者は柳の下を狙って〝穴場〟探しに狂奔するのではないか。

典型的な「町家造り」の一角コンパクト中心のプラン的中ポラス「本川越」(2024/1/20)

公園隣接・近接天井高2650ミリ、ワイドスパン…大激戦制すかアンビシャス「鶴瀬」(2023/2/14)

 大和地所レジデンスは11月29日、2022年11月に設立した「受託流通推進部」の今期(2025年3月期)販売受託戸数1,000戸を達成したと発表した。

 「受託流通推進部」は、年間受託戸数500戸を目標に設立。約100名の販売スタッフが、販売のみならず市場調査・商品提案・広告提案・住宅ローン業務・引き渡し業務まで幅広く対応している。今期は9物件を受託している。

 同社は今後、この販売代理業務を新築自社分譲に次ぐ事業の柱へと成長させていくとしている。

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 同社を中堅デベロッパーと呼んだら叱られるかもしれないが(記者は企業の大小で大手、中堅と区別はしないし、ブランド力で他社と互角以上に戦えるデベロッパーは数社しかないと見ている)、同社の優れた商品企画力を背景とした自社マンションの販売力は突出していると思う。今期はどうなるかわからないが、完成在庫がないのも同社の強みの一つだ。

 業績をけん引しているのは実用新案を取得している「オープン エア リビング」「オープン エア リビングバルコニー」などだが、設備仕様レベルも高く差別化が図られている。

 他社物件の販売を受託し、「オープン エア リビング」「オープン エア リビングバルコニー」を採用する場合は、別途契約になるのだろうが、これは大きな武器になるし、デベロッパーとしても三顧の礼を尽くして同社に販売を委託すべきだと思う。

 これは、販売受託ではなく、共同分譲の事例だが、販売開始から4か月で完売したJR西日本プロパティーズ(事業比率70%)と同社(同30%)の「プレディア横濱山手パークヴィラ」(全75戸)の記事を添付する。

販売開始から4か月で完売 JR西日本プロ・大和地所レジ「横濱山手」全75戸(2022/11/16)

 

 

 

 国土交通省は1129日、令和610月の新設住宅着工統計をまとめ発表。総戸数は69,669戸で、前年同月比2.9%減、6か月連続して減少した。利用関係別の内訳は、持家は19,705戸(前年同月比9.0%増、35か月ぶりの増加)、貸家は29,541戸(同6.7%減、先月の増加から再びの減少)、分譲住宅は19,577戸(同9.3%減、6か月連続の減少)。分譲住宅の内訳はマンション8,837戸(同 13.1%減、3か月連続の減少)、一戸建住宅10,511戸(同7.5%減、24か月連続の減少)。

建築工法別では、プレハブは7,323戸(同13.4%減、17か月連続の減少)、ツーバイフォーは9,007戸(同0.7%増、5か月連続の増加)。

建築用途別では、宿泊業、飲食サービス業用が434棟で、延べ床面積は380千㎡(同64.3%増)となった。

首都圏マンションは4,863戸(同4.0%減)で、都県別内訳は東京都2,569戸(同33.4%増)、神奈川県1,512戸(同4.1%減)、埼玉県666戸(同26.2%減)、千葉県116戸(同82.4%減)。

首都圏一戸建ては4,719戸(同8.2%減)で、都県別内訳は東京都1,453戸(同4.0%増)、神奈川県1,278戸(同6.4%減)、埼玉県1,104戸(同17.7%減)、千葉県689戸(同32.0%減)。

 

 

 

 さきほど記事を書いたが、記者は住宅窓のCPガラス普及が進んでいないのにショックを受けた。積水ハウスが全ての全ての戸建住宅で「遮熱断熱・防犯合わせ複層ガラス」を標準採用すると発表したのは2004年6月。20年も昔だ。その後、各社も追随したのだろうと思っていた。

 そうではなかった。「当たり前のはず」の戸建てへのCPガラス採用率が極めて低いことを裏付けるデータもあった。

 日本サッシ協会が2024年5月に発表した「2024年3月版『住宅用建材使用状況調査』の概要」によると、2022年8月以降から2023調査時点までに建てられた全国都道府県(沖縄を除く)の居住専用の木造並びにプレハブ住宅の防犯(CP)ガラス取り付け率は「戸数比」4.3%、「窓数比」2.1%とある。

 一方、玄関ドア(開戸)の電気錠システムの取り付け率は「戸数比」60.6%で、複層ガラスの取り付け率は、全国平均では「窓数比」99.9%となり戸建住宅で複層ガラスが標準的に使用されている。内訳は、複層ガラス1.0%、Low-Eガス無35.5%、Low-Eガス入54.3%、三層複層ガラス9.1%となっている。

 分譲戸建てを手掛けるすべてのデベロッパーは、CPガラスを標準装備とすべきだ。コストは一般的な複層ガラスと比べ1.5~1.6倍だそうだが、CPガラスを設置することの安心感、快適性を考慮すれば、お金には代えられない価値がある。住宅購入検討者もCPガラスの採用や、Low-Eガラスの有無を物件選好の一つにしてほしい。マンション用の樹脂サッシ開発も進んでいる。今後はすべてがそうなるはずだ。

全戸にCPガラス IoT駆使し快適性も県初のリスト「防犯セキュリティ・ホーム認定」

行動習慣を可視化駆けつけ防犯サービス開始月額4600~5600円積水ハウス


 

 

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「リストガーデン武蔵新城セキュリティ・タウン」

 神奈川県防犯セキュリティ協会とリストグループの分譲戸建てを担当するリストホームズは11月28日、防犯に強い住宅をテーマにしたセミナーと、同協会「神奈川県防犯セキュリティ・ホーム認定」制度に分譲戸建てとして初めて認定された同社の「リストガーデン武蔵新城セキュリティ・タウン」現地見学会を行った。イベントには県警関係者やメディア4社など 30~40人が参加した。

 セミナーで同協会理事長・齊藤賞一氏は「闇バイト強盗が激増しているが、住宅侵入を未然に防ぐのが大切で、侵入経路のほとんどを占める窓や玄関ドアからの侵入をどう防ぐかがポイント。防犯3原則である①領域性(入りやすい・入りにくい)②監視性(見えにくい・見えやすい)③抵抗性(やりやすい・やりにくい)を皆さんと共有したい」とあいさつした。同協会は、県行政が推進する「安全・安心まちづくり」に関わる分野で自治体や関連団体と連携して地域防犯活動を支援している団体。

 リストホームズの住宅事業部、販売推進部、建設事業部の部長を兼任する伊藤駿氏は、「当社はデザイン性にこだわり付加価値の高い建売住宅を供給している。企画検討を開始したのは今年2月。今回は立地条件からして武蔵小杉などのマンションとの競合は避けられないと判断し、高額住宅の購入を検討される方はセキュリティに関する意識が高いことから、YKKAPさんとACCEL LABさんと連携し、ハード・ソフト両面で防犯対策を施し、かつ窓面をたくさんとり明るくし、デザイン性にもこだわった。協会認定と県警公認というのも大きなポイント。価格は相場より1,000~2,000万円超と突出しているが、販売を開始した今年5月からこれまで全10棟のうち9戸が契約・申し込み済み。9件のうち2件は認定を受けてからの申し込み。とくに『セキュリティ・ホーム認定』を受けたあたりから来場者が激増しており、10月までは4~6件/月だった来場者は11月以降30件と6.5倍に増加した。ありえない反響。皆さんがセキュリティに危機感を抱いていらっしゃるのに驚いている」と興奮ぎみに語った。

 伊藤氏は来場者の声をいくつか紹介した。再現する。

・戸建ては絶対嫌。マンションは安全。でも、ここまで防犯対策を施しているのなら購入する(予算は5,000万円だったのをリセールバリューも考慮して7,000万円に引き上げたとか)

・セキュリティの高い戸建てを都内で探していたが、なかった。横浜の不動産会社から、川崎にはセキュリティの高い戸建てがある(この物件)と紹介されて、地縁は全くないが購入を決めた

 「リストガーデン武蔵新城セキュリティ・タウン」は、JR南武線武蔵新城駅から徒歩14分、川崎市高津区千年字北浦に位置する全10棟。土地面積は70.05~70.73㎡、建物面積は108.46~129.99㎡、価格は6,490万~7,490万円。構造は木造3階建て。竣工は2024年10月。

 防犯対策として、全戸の1・2階の開口部にYKK AP製の安全合わせ複層ガラス(CPガラス)を採用しているほか、外部からの侵入の可能性がある3階部分の窓にはCPガラスと防犯フィルムで対応している。

 バルコニーの手すりは透明ガラスを採用し、侵入者が近づきがたく、かつベランダからの侵入がしづらい構造になっている。また、一部の雨樋には忍び返しも付けている。

 IoT技術を導入し、自宅前に設置したインターホンの映像は24時間常時録画されるだけでなく、スマートフォンなどを通じてリアルタイム映像や録画を確認することができ、来客時はスマートフォンのみで対応することで、子どもによる誤操作を防ぐ。

 入居者同士で協力し合い、安心安全で快適な生活を目指すため、自主協定「セキュリティ・タウン協定」を結ぶことも購入の条件としている。

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伊藤氏

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齊藤氏

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アクセルラボ セールスグループ 太田圭介氏
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現地

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室内

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3階防犯フィルム

◇        ◆     ◇

 リストから取材の案内が届いたとき、セミナーだけなら辞退しようと思った。「闇バイト強盗」が激増しているとはいえ、戸建ての防犯対策は一にも二にも窓・玄関・勝手口からの侵入を防ぐことで、すっかり定着していると考えたからだ。

 ただ、分譲戸建ての見学会も同時に行うというので、現場取材に「NO」を出さないのが記者の基本なので参加した。

 書かなければならないことは、上段ですべて書いた。驚いたのは、当たり前のはずの防犯対策は分譲戸建てでは進んでいないことだった。CPガラスは30年も昔から販売されているはずなのに、YKKAP神奈川支社開発営業部長・内田文也氏は「注文住宅ではCPガラスを採用されるケースは多いのですが、当社が担当する神奈川県の分譲戸建てへの浸透はいま一つです」と語った。また、リストホームズもCPガラスを採用したのは今回が初めてという。

 これは、デベロッパーもメーカーも、そしてわれわれメディアも反省しなければならない。防犯対策も同様だが、とくに窓は断熱・遮熱・防音面で大きな役割を果たす。それが疎かにされてきたとは…。この前の積水ハウスの「駆けつけ防犯サービス」に関する発表会はリアル会場に40人くらいのメディアが参加していた。今回はその10分の1。テーマの重要性ではなく、主催者の規模を重視する姿勢(大企業偏重)は如何なものか。

◇        ◆     ◇

 驚いたのは他にもある。プロの泥棒は電柱や雨樋から易々と侵入するということだった。そのため、今回の物件は〝万が一〟のケースも想定してその対応策を施していた。

 プロといえば、皆さんは吉村昭「破獄」(新潮文庫)をご存じか。独房の角の壁に背を向け両手両足を壁に押しつけ、天井まで上り、破獄した実在の投獄者を描いた小説だ。

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雨樋の忍び返し

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電柱に近いこの住戸の3階もCPガラス

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