越年しても発表されないSBIアルヒ「本当に住みやすい街大賞」なぜか
毎年年末になると発表されていたSBIアルヒの「本当に住みやすい街大賞」が年を越した現時点で2024年版が発表されていない。記者は、どうして発表しないのか昨年末にメールで質問しているのだが、いまだに回答がないので記事化することにした。
どこが何を企画しようが勝手だが、れっきとしたプライム市場上場会社の、しかも国民生活の基本である住宅ローンを扱う金融会社が、ローン利用者のビッグデータの存在を匂わせ、著名な住宅評論家やタレントを起用し、メディアを招いて大々的な発表会まで開いてきたのに、だんまりを決めているのはいかがなものか。釈然としない。客観的な裏付けなどないのに、面白半分に取り上げてきたメディアの責任も問いたい。
「大賞」を発表しないのは、同社は一昨年末にSBIホールディングスの子会社になり、親会社の意向もあるからだと思うが、それならそれできちんと説明すべきだ。〝価格の暴騰でどこも住みにくい〟とでも発表したら圧倒的な反響を呼ぶが、そんなはずはない。
記者は、マンション購入検討者をミスリードするものだと、この「大賞」をこれまで何度も批判してきた。「本当に住みやすい街」などどこにもないし〝住めば都〟だ。マンション購入検討者が〝ここが一番〟と決めたことが正解となることを祈りたい。
固定金利のフラット35の市場占有率がトップクラスの同社は、固定金利と変動金利の金利差拡大の影響を受け厳しい経営環境が続いており、今年1月には社名をアルヒから現社名のSBIアルヒに変更した。今後はSBI傘下の新生銀行グループや住信SBIネット銀行などと連携を強化し、変動金利商品の拡大を目指している。
同社の2024年3月期の通期予想は営業収益210億円(前期比7.1%減)、当期利益20.5億円(同26.8%減)。
住宅取得環境の厳しさ反映 アルヒ「本当に住みやすい街大賞」(2022/12/21)
三井不「MAG!C」発〝孤育て〟支援 ママ・パパ休憩室付き一時預かり保育施設開設
「YASMO武蔵小杉」のFureaoスペース(約40㎡)
三井不動産は1月12日、都市部での孤独な子育て(孤育て)を支援する、民間初のママ・パパ用休憩室を併設した一時預かり保育施設の第一号「YASMO武蔵小杉」を1月15日(月)にオープンすると発表した。同社グループの事業提案制度「MAG!C」に採択されたもので、子育てしやすい街づくりを通じてわが国の少子化対策やD&Iの推進に寄与するのが目的。同日、施設のメディア向け内覧会を行った。
保育対象は、生後3か月から未就学児で、製作遊びやこだわりの遊具を通じて楽しい時間を提供するとともに、ママ・パパ用休憩室は「Nemuro(ねむろ)」「Komoro(こもろ)」「Hoguso(ほぐそ)」の3種類を用意。部屋数は12部屋。3年間で10店舗の開設が目標という。
同社グループの事業提案制度「MAG!C」に採択されたもので、提案者は大阪出身の同社ビジネスイノベーション推進部事業グループ・吉田裕太氏(28)と、鹿児島出身の同社ビジネスイノベーション推進部事業グループ・増井友加里氏(38)の二人。
吉田氏は施設のポイントについて、「都市部では核家族化の進行により、実家の支援を受けられない子育て世帯が増えており、『孤独な子育て(孤育て)』が日本の深刻化する少子化の課題の一つになっている。一方で、乳児を預けることや子供と離れることに抵抗を感じ、一時預かり保育を利用しない人も多い」ことに着目し、「一時預かり保育サービスと休息するための個室を同一店舗内で提供し、子どものすぐそばで安心して自分時間を過ごせること。私自身も子どもが二人おり、コロナの真っ最中には体調を崩したことがある」と語った。
また、増井氏は「わたしも3人の子どもがおり、同じマンションに住む人たちも子育てと仕事の両立を希望する人が多いのが、事業提案するきっかけとなった」と話した。
取材に訪れていた女性記者は「わたしも3人子どもを育てた。このようなサービスは理解できる。ありがたい施設」と納得していた。
施設は、JR・東急線武蔵小杉駅から徒歩1分、川崎市中原区小杉町一丁目に位置。面積は約118㎡。営業時間は9時~17時(不定休)。料金は1,650円/30分。最短30分から最長4時間の利用が可能。公式LINEで予約を受け付け、空きがあれば予約なしでも利用可能。最多で18人の受け入れが可能。2021年に設立された同社が主要株主であるShareTomorrowとともに運営する。
「MAG!C」は2018年に設けられた制度で、毎年50件くらいの応募があり、吉田氏と増井氏の共同提案は2023年に採択された4件のうちの1件。
左から「Nemuro(ねむろ)」「Komoro(こもろ)」「Hoguso(ほぐそ)」
◇ ◆ ◇
記者も二人の子どもがいて、共働きだったので保育園に預けた経験がある。また、女房を若いときに亡くしたので約10年間〝主夫〟をやった。食事は和食も中華もイタリアンもマスターしたが、子育ては失敗した。ハグすることができなかったのがその理由だと気がついたときは遅かった。
施設を見学して驚いたのは利用料金だった。30分で1,650円、1時間だと3,300円。酒もたばこも不可という。この種のサービスの相場は1時間2,000~3,000円だそうだが、厚労省の最低賃金(東京都)の約3倍だし、蔦屋のシェアラウンジや、最近覚えた〝せんべろ〟の2倍だ。
記者も自らの家事労働・育児時間を賃金に換算したら月額30万円とはじいたことがある。住宅価格の高騰はさておき、人の命を預かるのだから分からないわけではないが、もっと安価で利用できるよう自治体がサポートし、社会全体で子どもを育てる環境を整備することが必要だ。「孤育て」なる言葉を初めて聞いた。
もう一つ気になったのは、この施設は「認可保育施設」ではなく、「認可外保育施設」であることだ。全国で約20万人が利用しているという。
「認可(認定)」があるのだから「認可外」(無認可)もあるのは当然かもしれないが、「有料老人ホーム」「特別養護老人ホーム」「後期高齢者」(記者は自ら〝光輝〟高齢者と呼ぶことにした)と同じだ。どうして法律用語は貧困なのか。無認可保育園よりはましかもしれないが、もっと気の利いた言葉はないのか。
ともあれ、吉田氏と増井氏には無理しないで頑張っていただきたい。多様な保育ニーズに応えられるようにしないといけないことを学んだ。
「MAG!C」も応援したい。同社の植田俊社長のモットーである「産業デベロッパー目指し、日々妄想」はとてつもないことをしでかすかもしれない。
休憩室スペース
休憩室
いまどきの30代夫 完璧に家事こなすのは3割 旭化成ホームズが調査(2014/7/12)
時代の要請の変化にスピード感を持って対応 プレ協・堀内容介会長 新年賀詞交歓会
堀内氏(アルカディア市ヶ谷で)
プレハブ建築協会は1月12日、新年賀詞交換会を行い、冒頭、参加者全員が先の能登半島地震で亡くなられた方々にご冥福を祈る黙とうをささげたのち、同協会会長・堀内容介氏(積水ハウス副会長)が次のように挨拶した。賀詞交歓会には400人超が参加した。
初めに、元日の能登半島地震でお亡くなりになられました皆様、並びに翌2日航空機事故で亡くなられた海上保安庁職員の皆様へ心よりご冥福をお祈り申し上げます。そして、被災されました全ての皆様には、心よりお見舞いを申し上げます。
当協会は1月2日、応急仮設住宅建設本部を設置して、被災県担当者とコンタクトをとり、甚大な被害を受けられた石川県には4 日より担当者を派遣しました。
そして、自治体からの応急仮設住宅への要望に対して、速やかに対応できるように、災害対策本部並びに現地建設本部を立ち上げました。
本日12日に輪島市と珠洲市において計55戸分の建設工事を開始し、今後、建設箇所を拡げ、1 日でも早く多くの被災者の方々に入居していただき、安心・安全な生活ができますように迅速に進めてまいります。
さて、皆様、新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。日頃よりお世話になっています行政・友好団体・研究機関、及び会員会社の皆様に多数ご出席をいただき、誠に有難うございます。厚く御礼を申し上げます。
昨年11月には「デフレ完全脱却のための総合経済対策」が打ち出され、その裏付けとなる補正予算には、①「こどもエコすまい支援事業」の後継事業として、「子育てエコホーム支援事業」の創設と大幅な予算額増の計上、(令和6年度当初予算と併せて2,500億円)②断熱窓への改修促進、高効率給湯器導入促進のための「住宅の省エネリフォームへの支援」の強化などが盛り込まれました。
また、昨年末の税制改正大綱では、住宅ローン減税制度において、子育て・若年夫婦世帯が、高い環境性能を有する住宅を購入する場合には、借入限度額の上限が1 年間延長して、維持されることとなりました。
これらの施策の実現にご尽力と、切れ目が実質的に生じないよう特段のご配慮を賜りました関係者の皆さまに、心より感謝申し上げます。
コロナ禍の3年間を乗り越え、わが国の経済は改善しつつありますが、住宅市場の足元の環境は、資材の高騰や地価の上昇に伴い、新設住宅着工動向を始め、大変厳しい状況が続いております。
また、住宅ストックにおきましては、十分な耐震性能や省エネ性能を満たさない住宅が数多くあり、課題は山積しております。
本協会といたしましては、関係の皆様との連携を強化しつつ、新たに措置された施策を有効に活用し、将来世代に継承できる、良質な住宅ストックの形成と円滑な流通に全力で取り組んで、市場の回復に繋げていきたいと考えております。
特に、今回の国の施策におきまして、一層鮮明化されましたZEH等の低炭素住宅や、長期優良住宅の普及の加速化、既存住宅の省エネリフォーム促進等の政策テーマについて、当協会としては、積極的に先導役を担ってきたところであり、辰年の今年は、戸建住宅はもちろんのこと、低層集合住宅においても目標値を掲げて、弾みをつけて大きく発展させていきたいと考えております。
近年、豪雨・台風災害は激甚化、頻発化しており、石川県能登地方で大きな地震が昨年に続き発生する中で、首都直下地震や南海トラフ地震も想定されています。
本協会の大きな使命として、自然災害発生時における、応急仮設住宅の供給や災害公営住宅の建設で役割を果たしていかなければなりません。
引き続き、平常時からの地方公共団体との連携の一層の強化、デジタル・トランスフォーメーションなど新たな技術の導入を図りながら、災害発生時に迅速に対応できるよう体制を充実してまいります。
本協会は、昨年1月に創立60周年の節目を迎え、これから先、カーボンニュートラルの実現や豊かで暮らしやすい持続可能な社会を創っていくためにも、住宅業界が果たすべき役割は、以前にも増して大きくなっていると考えております。
今年も時代の要請の変化に、スピード感をもって対応し、活発な協会活動を展開していく所存です。
引き続きご支援・ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
結びになりますが、被災地の復旧・復興、そして本日ご参加の皆様のご健勝を心より祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせて頂きます。ありがとうございました。
代々木上原の一等地〝徳川山〟大京の最上位ブランド「リジェ」全12戸が人気
「リジェ代々木上原テラス」
大京は1月11日、最上位ブランド「リジェ」を冠した首都圏では21年ぶりのマンション「リジェ代々木上原テラス」のエントリーの受付を開始した。同日、メディア向けモデルルーム見学会を行った。
物件は、小田急小田原線・東京メトロ千代田線代々木上原駅から徒歩5分、渋谷区西原3丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率150%)に位置する敷地面積約1,126㎡、地上3階、地下2階建て全12戸。専有面積は85.85~214.37㎡(平均141㎡)。価格は非公表。竣工予定は2025年3月27日。設計はアーキサイトメビウス(長島芳弘氏)。施工は佐藤工業。
昨年9月から非公開で分譲を開始しており、価格は北向き住戸が2億円台(85㎡、坪単価776万円~)で、全12戸のうち10戸が販売済み。一般分譲対象は専有面積177.80㎡と214.37㎡の2戸で、2月に分譲する予定。首都圏〝リジェ〟シリーズとしては「リジェ御殿山」30戸(2003年竣工)以来21年ぶり。
現地は、代々木上原駅から比高差約10mの標高約40mのヒルトップに位置。明治時代の初期に木戸孝允が開発し、その後、徳川家が所有していたことから一帯は「徳川山」と呼ばれ、戦後の1931年、西武グループの創業者・堤康次郎によって「徳川山分譲地」として分譲された低層住宅街の一角。区の土地利用調整条例により最低敷地面積は200㎡、建物の絶対高さは10mと定められている。
敷地は、幅員約5.4mの東側道路に接道。形状は東西軸が長いL字型で、東側から西側にかけて約1層分下る傾斜地。西側隣地とは8~9m高く、敷地南側はマンション、北側は邸宅地。
主な基本性能・設備仕様は、「ZEH-M Oriented」、「BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)」認証取得、リビングなど居室天井高2.65m超、サッシ高約2.18m、廊下幅約1.1m、駐車場設置率150%(18台)、フローリングはホワイトアッシュ突板&600×1200ミリタイル、アッシュ柾目ドア、Miele製食洗機など。
模型(写真提供 撮影・ジャーナリスト長谷田一平氏)
モデルルーム(写真提供 撮影・ジャーナリスト長谷田一平氏)
モデルルーム(写真提供 撮影・ジャーナリスト長谷田一平氏)
◇ ◆ ◇
代々木上原駅圏のマンションは、駅前の「ペアシティ代々木上原」をはじめ10物件は見学している。これらの物件と比較して、今回の物件の立地は互角以上であるのは間違いない(規模などを総合評価すると「プラウド上原」がトップか)。
モデルルーム(130㎡)もよくできている。ソファや椅子が80万円とか40万円とかで、冷蔵庫はドイツLIEBHERR(リープヘル)社製、ソープはフランスFER A CHEVAL(フェール シュヴァル)製。ワイングラスは小生の顔くらい大きかった(ちょっと大げさか)。その他の備品も一見して高価そうなものばかりだったが、奇を衒ったものは一つもない正統的な億ションだ。人気になるのもよく分かる。同社は価格を公表していないが、最低価格とモデルルームの設備仕様レベルから判断して安いと思う。現時点で同駅圏の最高単価かどうかは微妙。
同社のこれまでの物件との価格、単価比較について。記者は「リジェ」シリーズを知らないし、2003年竣工の「リジェ御殿山」はいくらだったのかも分からないので何とも言えないが、単独事業としては今回の物件が単価、販売価格とも同社のバブル後の最高値になるのではないか。
共同事業では、2017年分譲の同社(事業比率30%)とオリックス不動産(同30%)・東急不動産(同40%)の3社JV「ブランズ六本木 ザ・レジデンス」は坪単価950万円だった。これとどうかではないか。
◇ ◆ ◇
昨年末にお会いし、今回の写真の提供を提供していただいたジャーナリスト・長谷田一平氏の記事も添付する。最高に面白い。URLは以下。
http://kamakura-photo-press.cocolog-nifty.com/blog/
記者とは無縁の「融通無碍」ブログ発信者 長谷田一平氏(76)とバッタリ(2023/12/26)
現地(北東側から写す)
現地(南東側から写す)
これぞ本物の億ション 坪950万円はむしろ安い 東急不動産ほか「六本木」(2017/12/11)
坪800万円をはるかに突破? 三菱地所レジ フラッグシップの「代々木大山」(2023/9/9)
代々木上原の1低層 デザイン性高く借景見事 小田急不・大和ハ・地所レジ「上原」(2021/3/11)
駅4分の1低層 息をのむほど美しいサペリの建具 三菱地所レジ「代々木上原」(2018/12/14)
三井レジ他「パークコート渋谷大山町」 低層住宅街の大規模 単価は470万円(2014/12/3)
環境・都市・住宅政策の取り組み強化 不動産協会・吉田理事長 新年賀詞交歓会
吉田氏(オークラ東京で)
不動産協会と不動産流通経営協会は1月10日、新年合同賀詞交歓会を都内のホテルで開催した。会の冒頭、参加者全員が能登半島地震で亡くなられた方々のご冥福を祈る黙とうをささげたのち、不動産協会理事長・吉田淳一氏が以下の通り挨拶した。参加者は1,050人。
皆様、それぞれお健やかに新しい年をお迎えのことと存じます。不動産協会理事長の吉田でございます。
本日は不動産協会、不動産流通経営協会合同の新年賀詞交換会に、堂故(どうこ)国土交通副大臣をはじめ、日頃よりご指導いただいております国会議員の先生方、関係諸官庁・友好団体や報道関係の皆様など、多数ご出席いただき、まことにありがとうございます。主催者を代表いたしまして、ひとこと年頭のご挨拶を申し上げます。
まずは、今般の能登半島地震で亡くなられた方へご冥福をお祈りするとともに、被災された方々へ心よりお見舞いを申し上げます。被災地の一刻も早い復旧・復興を心から願っております。
さて、今年の新年賀詞交換会は人数制限なく通常にお食事を提供して開催しております。活気ある会にしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
昨年を振り返ってみますと、コロナの5類移行により完全にコロナ禍からの脱却が図られ、社会経済活動の正常化が進められてきました。インバウンド観光客もコロナ前を上回る勢いで増加しており、経済の活性化に貢献しています。
スポーツにおける明るい話題もありました。WBCでの侍ジャパンの優勝をはじめ、バスケットボールやラグビーのワールドカップでの日本チームの健闘には、大きな感動を覚えました。スポーツの力の大きさを改めて実感した次第です。スポーツやエンターテイメントへの取り組みを魅力的なまちづくりにも活かしていきたいと考えています。
一方、ロシアによるウクライナ侵攻は、いまだ終結の兆しがなく長期化しており、さらにはパレスチナでの紛争が勃発し、こちらも停戦の兆しが見えません。国際秩序の維持に向けて、各国が連携を深めていくことが期待されます。
そうした中で、我が国の経済は緩やかな回復基調にありますが、物価上昇や世界経済の下振れリスク等の不透明な状況により、先行きについては予断を許しません。また、少子化・人口減少をはじめとした構造的な課題にも直面しています。
こうした中、GXやDXを加速させ、経済社会の変革を進め、持続的な成長を実現するためには、様々な社会課題の解決を経済成長のエンジンに変え、民間投資を拡大、我が国の競争力を一層強化するとともに、分厚い中間層を形成していくことが不可欠です。
当協会では、そうした観点から、税制について、要望活動を積極的に進めてきました。先日決定された令和6年度与党税制改正大綱では、最重点要望であった住宅ローン減税の借入限度額の維持について、1年間、子育て世代に対して認められたのをはじめ、土地固定資産税の負担調整措置や国家戦略特区の特例の延長など、当協会の主要な要望は概ね認めていただいています。経済の力強い成長に寄与する措置として大いに歓迎したいと思います。ご尽力いただいた先生方、関係の皆様方に、厚く御礼申し上げます。
さて、今後の協会の活動について簡潔にお話しいたします。
2050年カーボンニュートラルの実現に向け、官民連携してGXを促進する取り組みが進んでおります。環境政策につきましては、持続的成長と経済合理性、社会課題解決、顧客共感という三要素の共通理解・同時実現が不可欠です。当協会としても不動産業界におけるGXを加速させるための環境整備に引き続き取り組んでいきます。
そうした中で、普及促進の途上にあるZEH、ZEB水準への取り組み加速や、中高層建築物の木造化促進、SCOPE(スコープ)3への取り組みについてもしっかりと行っていくことが重要です。
都市政策につきましては、都市の国際競争力の強化が引き続き重要です。世界中から多様な人を呼び込むビジネス・生活環境の整備として、都市の魅力を高める機能集積を図り、質の高い賑わい空間を創出すべく、まちづくりGXの推進、ウォーカブルな空間形成、エリアマネジメントの着実な進展に取り組みます。
住宅政策につきましては、豊かな住生活の基盤となる安心・安全で良質な住宅ストックの形成・循環に向け、質の高い住宅の供給、こども・子育て世代等、多様なニーズへの対応を進めてまいります。
とりわけ、マンションにおいては建物と居住者の両方における高齢化の「2つの老い」が進行し、課題となっています。今後、高経年マンションストックの急増が見込まれる中、区分所有法の改正が議論されており、マンション建替え決議の多数決要件引下げなど合意形成の円滑化、適正な管理の推進に向けて取り組んでいきます。また、子育て世帯等を支える住まいと環境づくりについては、今般、政策支援をいただいておりますが、継続・充実化に努めてまいります。
その他、国際化への対応を進めるほか、事業環境の整備について、2024年問題への対応も踏まえ ますます重要性を増す物流不動産、インバウンドの回復により事業機会が拡がるリゾートの開発なども対象として、幅広く取り組んでまいります。
当協会としては、国民の暮らしを豊かにするまちづくりや住環境の整備を通じ、我が国の経済・社会の発展に向けて、貢献していきたいと考えておりますので、引き続きご理解、ご支援賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
結びにあたりまして、皆様の一層のご活躍とご健勝をお祈りし、また今年一年が皆様や国民にとって明るく良い年となることを祈念申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。
ありがとうございました。
左から三菱地所元社長・杉山博孝氏、三井不動産会長・菰田正信氏、吉田氏
吉田氏(左)と鹿島建設・押味会長
「元大京の林」「地域社会のタカラ」「鹿島自社ブランド・戸塚」不動協 賀詞交歓会
〝地域社会のタカラになるぞ〟右から島田氏、手島氏、秋澤氏、岩本氏
本日(1月10日)行われた不動産協会・不動産流通経営協会(FRK)の合同新年賀詞交歓会は、不動産協会理事長・吉田淳一氏(三菱地所会長)の挨拶を聞いたらすぐに帰ろうと思っていた。元旦の能登半島地震に始まり、2日は羽田衝突事故、5日には写真家・篠山紀信さんの死亡が伝えられ、昨日は〝お酒はぬるめの 燗がいい肴はあぶった イカでいい〟の歌手・八代亜紀さんの死去報道にとどめを刺された。新年を祝う気分にはなれない。
帰ろうと思ったときだ。だしぬけに「元大京の林です」と声を掛けられた。名刺にはワールドレジデンシャル取締役営業本部長とあった。年齢は68歳。一挙に30年前、40年前の記憶が蘇った。林氏が大京横浜支店に勤務していたとき、マンションの商品企画や販売状況なとについて定期的に話を聞いていた。生の情報を得られるのはとても貴重だった。
ワールドレジデンシャルは現在、仙台で大手デベロッパーとの共同事業マンションを手掛けているそうで、首都圏では「王子神谷」で分譲中と聞いた。取材を申し込もう。
林氏
◇ ◆ ◇
林氏とお会いし、もう帰ろうとしたときだ。今度はMIRARTHホールディングス(ミラースHD)の島田和一社長をはじめ、タカラレーベン・秋澤昭一副社長、同社・手島芳貴専務、同社執行役員・岩本大志氏の〝タカラのカルテット〟とバッタリ出くわした。
こちらから聞きもしないのに、4氏は異口同音に「今年は進化(メモにそう書いたら)、そうではなく深化。長期ビジョンに『地域社会のタカラであれ』を掲げた」と語った。手島氏は「今年は(RBA野球大会で)優勝するぞ」とほらを吹いた。
法螺は聞き流したが、打ちひしがれていたときだったので、「地域社会のタカラであれ」には感動した。首都圏マンションは激減しているが、東北をはじめ地方都市で供給を伸ばしているのは分かっている。今年は地方のマンションを取材しよう。地震にびくともしないマンションを造ってほしい。「甲府」がそろそろ始まるのではないか。
島田社長!お願いだ。来年は常務執行役員マンション事業本部東日本支社長・原忠行氏と〝業界のレディー・ガガ〟取締役兼執行役員事業開発推進室長兼事業開発推進部長・髙荒美香氏も連れてきてください。
◇ ◆ ◇
このあたりからいつもの調子に戻っていた。ワイングラス片手に鹿島建設会長・押味至一氏に突撃取材した。「会長、わたしは鹿島のファン。マンションを造らせたら右に出るものはいない。しかし、鹿島の社員も買える大衆マンションを供給していただきたい」と。(大手ゼネコンで自社開発マンション事業を手掛けているのは同社のみ)
押味会長は微笑を浮かべながら「今年は大変な年になる。お客さんとよく話し合って事業を進めたい」と語り、大衆マンションの供給については〝ウン〟とは言わなかったが、代わりに同社開発事業本部本部次長事業部長・梅田慎介氏が「戸塚がある」と話した(「戸塚」は知っているが、「鹿島」ブランドにふさわしいか…見学を検討しよう)。
押味氏
「経済・社会の発展に貢献」不動協・菰田理事長/日本を「菅」変える 新年賀詞交歓会(2023/1/7)
三井不の岩沙氏・菰田氏・植田氏、野村不HDの沓掛氏の今年に託す漢字(2023/1/7)
最多はカイヅカイブキ 外来種のヒマラヤシダー、フウなど目立つ 神宮外苑の既存樹木
神宮外苑イチョウ並木(青山通りから写す)
全樹木の樹種分布
年末年始は神宮外苑再開発の既存樹調査に没頭した。昨年末に行われた千葉商大主催のシンポジウム「神宮外苑の歴史的文化的資産の価値を守る-イチョウ並木と100年の森-」で、基調講演を行った中央大学研究開発機構教授・石川幹子氏(イコモス日本国内委員会理事/東京大学名誉教授)が「なぜマスコミは事実を報道しないのか」の一語に触発されたからだ。
小生もメディアの端くれだ。「事実」とは何かという問題はあるが、どのような樹木がどこにどれだけ植えられているかを伝えるべきと判断して調べることにした。誤解を招かないように改めて旗幟を鮮明にする。記者は再開発に反対ではない。秩父宮ラグビー場には一度も行ったことがないが、神宮球場は老朽化か進んでいる。西武球場や東京ドームもいいが、エスコンフィールドのようないい環境でヤクルト(対戦相手も同様)、六大学、東都大学の野球選手が活躍できるようにしてほしい。
問題なのは、再開発の根拠になっている東京都の公園街づくり制度であり、神宮外苑を都市公園と考えている人たちへの説明が不足しており、歴史的、文化的に貴重な巨木を大量に伐採する計画であることだ。これらについては何回も記事にしてきた。再開発を主導している三井不動産は「parkシティ浜田山」や「HARUMI FLAG」などで素晴らしい街づくりを行っている。どうして今回は分かりやすい説明をしないのか、不思議でならない。
まあ、こんな繰り言はともかく、既存樹木のデータは揃っている。事業者は2022年8月、ホームページに85ページにわたる膨大な「既存樹木調査データ」(PDF)を公表した。3m以上の樹木が対象で、本数は2,470本。秩父宮ラグビー場、イチヨウ並木、野球場、建国記念文庫、軟式野球場などエリア別に樹種名、樹高、幹周りなどの規格、活力度評価、保存の必要性、移植の難易度、現況などの関連事項、保存・移植・伐採などについて1樹木につき43列の詳細な調査結果がまとめられている。
しかし、データはPDFであるため1本1本の樹木の現況は把握できるが、全体として神宮外苑の森がどうなっているのかを把握するのは難しい。
そこで、弊社のスタッフに全データをエクセルに変換してもらい集計した。別表がそれだ。確認できたのは1,931本。内訳は保存が901本、移植が253本、伐採が777本(うち秩父宮ラグビー場のイチョウ18本は移植検討)となった。公表データより539本少ない。(事業者は「既存樹木については、一本一本を大切に扱い、様々な工夫により、極力、保存又は移植し、四列のいちょう並木は保存するとともに、新たなみどりも創出することとして、みどりの割合は約25%から約30%に、樹木の本数は1,904本から1,998本に増加させる」「3m以上の樹木の伐採本数は743本」としている)
集計ミスだろうと何度もやり直した。結果は変わらなかった。理由は分かった。PDFデータには連番が付されているが、ほとんどのエリアで番号が飛んでいる。例えば軟式野球場西側は445本のはずが330本しか表示されない。軟式野球場東側も277本のうち207本しかない。
なぜか。考えられるのは、調査を行ったのは2018年12月25日~2019年1月28日で、2022年5月12日に436本を対象に追加調査した結果をデータとして公表しているので、この間に枯損木として処分された樹木に敬意を払い、永久欠番にしたではないかということだ。
それにしても539本の差は大きい。消えた樹木はどうなったのか、3m未満なので切り捨てたのか、通し番号通りになっていない理由を聞きたいものだ。(小生の集計ミスか)
しかし、そんなことを考えていてもらちが明かないので全樹木のリストを紹介した。一般的な寺社仏閣とは全然異なることが分かる。わが故郷・伊勢神宮の象徴であるスギ(学名:Cryptomeria japonica=日本の隠れた財産)(は2本のみで、〝松竹梅〟のうち松はクロマツとアカマツ合わせて33本、梅は2本、竹は1本もない。その逆に、樹高が20mを超えるヒマラヤシダー73本、フウ18本、ユリノキ9本、プラタナス9本、メタセコイア7本、タイサンボク5本など明治時代以降に輸入された外来種が存在感を示していることが分かる。
伐採樹木でもっとも多い204本のカイヅカイブキも同じだ。コニファーに似ていることから昭和の時代に洋風生垣として多用されたようだが、小生の田舎で生垣といばマキノキが主流だった。創建の目的が明治天皇を奉ることであり、デザインもそうだが欧米の文化を積極的に取り込んでいた当時の社会状況を反映しているのは明らかだ。
カイヅカイブキはこのうち164本が伐採されることになっており、全伐採樹木777本の21%を占める。樹高はほとんど5m以下なので代替えもきく。みどり環境に及ぼす影響は少ないのではないか。同様に樹高が5m以下の樹木は49本のサンゴジュ、25本のモクセイ、13本のツバキ、9本のサザンカなどもそうだ。
これらのことを考慮すると、事業者が現在のみどり率25%を30%に引き上げる計画としているのはそれなりに説得力がある。再開発に反対する人たちは屋上緑化も「みどり」に含めると批判しているが、足元のみどりを増やすことは可能だと思う。
2番目に多い166本のマテバシイはどこにでもよくある常緑広葉樹で、3番目の158本のイチョウはほとんど樹高が20mを超えている神宮外苑のシンボルだ。
鈴木敏・澤田晴智郎氏著「公園の話」(技報堂出版)によると、このイチョウ並木は「1923年(大正12年)から4年がかりで、新宿御苑の一本のイチョウから取れた実を育て、その苗を植えたものだそうです」とあるから凄いではないか。みんな兄弟姉妹だ。地下では根を絡ませて仲良くしているのか、分捕合戦を演じているのか。「母」の枕詞として知られる垂乳根は雄株にも生えるというのも面白い。施設に近接している西側より東側のイチョウのほうが樹高が2mくらい高いのは、その東側に植樹帯があるためだ。
このほか、総じて常緑樹が多いのも特徴で、〝なんじゃもんじゃ〟の愛称で知られるヒトツバダコは59本。
細かいことだが、気になった樹種名もある。シダレザク48本、ヤエザクラ33本、ヤマザクラ18本、ソメイヨシノ29本、カンヒザクラ」4本、カワヅザクラ1本と品種で表示されているのに、「サクラ」も39本ある。このほか、43本のモクセイと9本のキンモクセイは異なるのか、24本のイロハモミジと6本のノムラモミジ、7本のモミジはどうなっているのか。
以下は小生にもなじみが深い樹木について。カキやビワ、イチョウ(銀杏)はもちろんだが、ヤマモモが最高に美味しかった。裏山の至るところに自生しており、初夏のころになると、父親と木に登ってかごいっぱいに収穫し、砂糖をふりかけて食べた。クワの実もなかなか美味しい。カヤノキの実は、形はアーモンドに似ており、拾っては家に持って帰り、炒ってもらってよく食べた。それほど美味しいものではない。シイノキの実も美味しくはないが、よく食べた。モチノキは、実を擦ってメジロ獲りに使った。これも美味しくはない。カクスノキはもっとも好きな木の一つで、いつも葉っぱをちぎっては匂いをかぐことにしている。ドクダミの葉っぱと同じで、記者にとって鎮静剤だ。
各エリアの樹木については稿を改めて紹介する。活力度と保存・移植・伐採の関連性も探ってみたい。
カイヅカイブキ
日本イコモスなどは左側の「ロイヤルガーデン カフェ青山」に面するイチョウが弱っていると警告している
秩父宮ラグビー場のイチョウ(立派な垂乳根もある。雄株か雌株か)
,メタセコイアの葉っぱ
ヒトツバダコ(絵画館前広場)
日本一の木造建築会社へ AQ Group・宮沢俊哉社長 年頭所感
宮沢氏
まずは令和6年能登半島地震に被災された皆さまならびにそのご家族の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
昨今のコロナ禍による分断、各地で相次ぐ戦争、気候変動による記録的猛暑など、わずか数年で私たちを取り巻く環境は激変しました。環境と社会が変わることで、企業活動の在り方も大きく変わってきています。そこで、私たちは社会から求められるニーズに応えるため、住に関するサービスを全て提供できる体制を構築。アキュラホームからAQ Groupとして新たな一歩を踏み出しました。
組織体制を見直すなかで、社員の強みを活かす「達人チーム」が成長。ローン等を扱う専門部隊が株式会社AQファイナンスとして独立しました。さらに新設事業として「AQスマートな家 事業部」が誕生。「スマート」「アキュラホーム」「レジデンス」と手頃な価格から高級邸宅まで、フルラインナップの提案ができる体制を構築することができました。組織の総合力を活かし成長を続けたことで、今期の業績は3年連続で過去最高売上を更新する見込みで推移しています。
今後も住宅価格高騰や住宅ローンの金利上昇など、お客様の住宅取得はさらに困難な状況になることが予測されます。創業から45周年を迎えた2024年。AQ Groupは過去最大規模のお正月フェアで新春をスタートします。お客様の住宅取得の不安を解消する商品、サービスを展開し、豊かな暮らし実現に寄り添ってまいります。
本年4月には新社屋となる日本初の「8階建て純木造ビル」(埼玉県さいたま市)と木造技術研究所(埼玉県上尾市)が完成します。「8階建て純木造ビル」はショールームとしても活用する予定です。多くのお客様にご覧いただき、木の良さを体感してもらいたいと思います。木造技術研究所には、木造建築技術に特化した研究員を配置し、これまで以上に技術開発を推進していきます。
中大規模木造建築は、森林資源の循環やCO2排出量削減など世界的な課題であるカーボンニュートラル実現に大きく寄与することから、世界中から注目されています。しかし、日本国内における1年間の着工建築物全体の木造率は45.5%に留まっており、非住宅建築物や中高層建築物のほとんどは木造以外の構造で建築されている状況です。
そこで私たちは「普及型純木造ビル」を開発し、日本の街並みに木造建築物を復興する「Re:Treeプロジェクト」を推進しています。国内で最も普及する材と構法を活用し、5階建て以下の領域で木造ビル、木造マンション、木造商業建築を展開していきます。現在、5階建て以下の非木造建築物の床面積は合計で3千9百万㎡とされており、㎡単価を40万円とすると約15.7兆円の市場規模となります。本年は、その大きな市場を木造化していく船出の年となります。
昨年採択された国と連携する「中大木造建築普及加速化プロジェクト事業」を活用し、4階建ての木造マンションをはじめとする中規模木造建築が地域の設計者・施工者の間で広く展開できるよう一般化を目指していきます。そして、「Re:Treeプロジェクト」を加速させ、地域の工務店やゼネコンの皆さまと新たな企業価値の創造に挑戦するとともに、都市の木質化を進めてまいります。
純木造ビルを実現する技術は注文住宅のオリジナル構法「剛木造」に活用しています。「平屋から5階建てまで」を完全自由設計・適正価格で実現し、コストパフォーマンスの高い住宅を提供していきます。そして昨年に引き続き、新たなエリアに進出するとともに多くの出展を継続してまいります。フランチャイズ加盟希望も100件を超え、さらなる拡大を実施する予定です。AQ Groupの技術力とブランド力を地元愛溢れるビルダー・工務店とともに全国へ展開してまいります。分譲事業も各エリアでさらなる出店を行うとともに新規エリアへ進出し、分譲No.1を目指して成長を続けてまいります。
AQ ファイナンスは貸金業の免許を取得し、独自の金融商品の開発を目指していきます。また、資産活用事業やランドサーチ事業も既存の事業とシナジーを発揮することで大きく成長しており、グループの総合力を強みに展開してまいります。
これらの事業の拡大には人財の確保と成長が必要不可欠です。「多様性」をキーワードに国籍・性別・学歴に拘らない採用を一層強化するとともに、若手社員の管理職登用を加速し、大きく成長してもらいたいと思います。
社会が大きく変化する現代だからこそ、企業はいま、時代の流れにあわせ変化しなければなりません。新たに策定した中期経営計画を新たな指針としてさらなる飛躍を目指してまいります。日本一の木造建築会社へ。今年も成長と進化を続けてまいります。
「時を経るほどに美しい住まいと暮らし」提供 三井ホーム・池田明社長 年頭所感
令和6年の年頭にあたり、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。
まず初めに、この度の「令和6年能登半島地震」により被災された方々、亡くなられた方々に、心よりお見舞いとお悔やみを申し上げます。被災地域の被害状況については、現在も確認中でございますが、点検および補修対応には安全を最優先にしながら取り組み、一日も早い復旧を心からお祈りいたします。
昨年は、新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、社会経済活動は回復基調にありますが、戸建ての注文住宅市場については、部資材価格の高騰、円安や物価上昇等の外部環境の激変に加え、将来のインフレ懸念による消費マインドの低下等により、厳しい事業環境が続いております。しかしながら、12 月に補正予算が成立した「子育てエコホーム支援事業」の創設や、若年層・子育て世帯に配慮した「住宅ローン減税の継続やリフォーム減税の拡充」の公表等を追い風に、今年は脱炭素を見据えた住宅や木造施設系建築への新たな需要の活性化が期待されます。
当社は、昨年7月に木造による「脱炭素の可視化」「中大規模建築物の木造化」および「使用木材の国産化」を更に推進すべく、木造SDGsプロジェクト「MOCX GREEN PROJECT(モクス・グリーン・プロジェクト)」をスタートいたしました。
「脱炭素の可視化」においては、当社が創業以来供給した木造建築の炭素固定量が昨年3月末の時点で約383万トンに達したことを発表し、昨年4月以降に新築された木造建築においても、出荷ベースでの木材使用量に基づいた正確な炭素固定量を算出し、累計炭素固定量を特設ウェブサイトにて随時発信しております。
「中大規模建築物の木造化」については、木造マンション「MOCXION(モクシオン)」の訴求を強化し、「ウッドデザイン賞2023」を受賞した木造4階建て賃貸マンション「MOCXION 四谷三丁目」や、三井不動産レジデンシャルと協業で国際的環境認証「LEED 認証」ゴールドランクの予備認証を取得した木造4階建て賃貸マンション「パークアクシス北千束MOCXION」など環境性能・事業性能に優れた実例が続々と完成しています。その他の分野においても、「Rugby School Japan」の食堂棟や阿蘇くまもと空港の屋根工事など大架構の「MOCX roof(モクス・ルーフ)」を用いた混構造建築が完成しており、木造化・木質化を推進しております。
「使用木材の国産化」については、「ツーバイフォー建築における国産木材活用協議会」や北海道における「建築物木材利用促進協定」等に基づく活動を通じて、木材産業の成長産業化および地方創生への貢献に努めてまいります。
三井不動産グループは、&マークに象徴される「共生・共存」「多様な価値観の連携」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、社会・経済の発展と地球環境の保全に取り組んでおります。
同グループの当社は、「高品質な木造建築の提供を通して、時を経るほどに美しい、持続可能なすまいとくらしを世界に広げていく」ことを使命と考えており、今後もその取り組みを強化することで、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。また、当社は今年で創立50周年を迎えますので、節目の年にこれまで以上に専用住宅や「MOCXION」をはじめとした賃貸住宅、木造施設系建築の普及・拡大に努め、また、リフォーム・賃貸管理などのストックビジネス、北米圏における海外事業の業容拡大を通じて、より一層の飛躍を目指してまいります。
本年も心新たに、持続的な成長に向け真摯に課題解決に取り組んでまいりますので、今後とも変わらぬご愛顧、ご支援賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
「まだ見ぬ、Life & Time Developer へ」 野村不動産HD・新井聡社長 年頭の辞
新井氏
まず、このたびの能登半島地震でお亡くなりになった方々のご冥福をお祈りします。また、被害のあった地域の一日も早い復興を心から願っています。
世の中の変化が加速し、お客様のニーズがますます深化・多様化する中で、私たちも考え方を変えてゆく必要があります。ベースである不動産開発で強みを発揮しながら、新たなステージへ進化して、今までとは違う商品やサービスもお客様に提供していかなければなりません。
その意思を示すのが、野村不動産グループ2030年ビジョン「まだ見ぬ、Life & Time Developerへ」であり、お客様を豊かにする新たなLifeとTimeを創り、それを提供できるグループになることが私たちの目指す方向だと考えます。
大切なのは、私たち一人ひとりが日々努力して進化していくこと。
今年は全員で「まだ見ぬ、Life & Time Developer へ」進化を加速させる年にしてゆきましょう。