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 経済産業省と東京証券取引所が共同で選定、公表している「健康経営銘柄」「なでしこ銘柄」「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」「健康経営優良法人(ホワイト500)」に選ばれた主な住宅・不動産会社は次の通り。

 「健康経営銘柄」は、長期的な視点から企業価値の向上を重視する投資家にとって魅力ある企業として紹介することを通じ、企業による「健康経営」の取組を促進することを目指すもの。第10回目の今回は27業種から53社を選定した。

 「なでしこ銘柄」は、女性活躍推進に優れた上場企業を選定し、「中長期の企業価値向上」を重視する投資家に魅力ある銘柄として紹介するもので、今回は27社を選定した。

 「健康経営優良法人(ホワイト500)」は、優良な健康経営に取り組む法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業」として社会的に評価を受けることができる環境を整備するもので、大規模法人部門の上位層には「ホワイト500」を冠する。

「健康経営銘柄2024」

野村不動産ホールディングス 初選定。同社はグループ5社(同社、野村不動産​ソリューションズ、野村不動産​、野村不動産投資顧問、野村不動産ライフ&スポーツが初めて「ホワイト」に選出されたと発表。

令和5年度「なでしこ銘柄」

LIXIL 2年連続、8回目の選定。同社取締役 代表執行役社長兼CEO・瀬戸欣哉氏は「この度、通算で8回目のなでしこ銘柄に選ばれたことを大変うれしく思います。世界がかつてないほどのスピードで変化する中、当社は環境や社会の課題と真摯に向き合い、それに対応する革新的な製品やサービスを通じて、LIXILのPurpose(存在意義)である『世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現』を追及しています」とコメント。

三井不動産 3年連続の選定。同社は「ダイバーシティの一層の推進および女性の活躍推進は、グループ長期経営方針『VISION 2025』に掲げている取り組みを支えるインフラであり、当社の変わらぬ基本ストラテジーである『顧客志向の経営』を推進し、多様な顧客に満足いただく商品やサービスを提供するための経営戦略として位置付けています」と発表。

「健康経営優良法人2024(ホワイト500)」

東京建物 4年連続7回目の認定。同社は「2023年度は、適正飲酒を啓発するセミナーや運動習慣促進を目的としたプログラムのほか、対面歯科検診や約1,700名が参加した過去最大規模のウォークラリーイベントを実施し、役職員が健康に働き続けられる環境づくりを推進してまいりました。今後も「東京建物グループ健康経営宣言」のもと、グループを挙げて健康経営を推進し、役職員のウェルビーイング向上に努めてまいります」と発表。

平和不動産  同社は「中期経営計画において、有給休暇取得率:70%以上、がん検診(2年毎)実施率:35歳以上100%、健康診断実施率:毎年100%をKPIとして公表。がん検診費用の全額会社負担、インフルエンザ予防接種費用の全額会社負担。役職員および家族も視聴できる健康や運動、食事に関するWEBセミナーを開催している」と発表。

大東建託 4回目選定。同社は「本年は、大規模法人部門で2,988法人、中小規模法人部門2で16,733法人が認定されるなか、大規模法人部門の上位500法人が認定を受けることができる『ホワイト500』に大東建託を含むグループ5社が選出されました」と発表。

大東建託パートナーズ 初選出

大東建託リーシング 5回目・4年連続選出

日鉄興和不動産 5 回目の認定。同社は「2023 年は社員の『健康意識の向上』『風土醸成』を目的とした【健康増進月間】を年2回に分けて設定し、社員の自律的な健康づくりのサポートを実施した他、グループ企業と一体となったウォーキングイベントも展開し、従業員同士のコミュニケーション活性化にも取り組んできた」と発表。

長谷工コーポレーション 今回で6回目選定。社内診療所「HASEKO CLINIC」が実施する定期健康診断の他に、PET-CT検査(対象:一定年齢以上の社員)の検査費を全額会社負担しており、病気の早期発見による重症化予防対策に取り組んでおり、特定保健指導「長谷工ヘルスチャレンジ」や30代を対象とした健康教育、禁煙施策を実施していると発表した。

森ビル 3年連続認定、業種(不動産業)トップのスコア獲得。「社員一人ひとりが健康で意欲的に仕事に取り組み、ヒルズの先進的な働き方のモデルとなること」を目標に掲げた「戦略マップ」の開示、社員参加型企画「森ビルウェルネスプログラム」の実施、運動器具等の設置、社員およびグループ会社、取引先の社員を対象とした介護セミナーの実施などが評価されたとしている。

野村不動産ホールディングス 

ミサワホーム 認定は6年連続。同社は、社員の健康増進の一環として2018年から毎年開催しているウォーキングイベントでは、対象企業を昨年から拡大し4,600名以上が参加。新たな取り組みとして、ウォーキングイベントへのポイントを加算し卒煙を促す施策や、女性社員向けの健康セミナーなども実施したと発表した。

三井不動産レジデンシャルリース 初認定。同社は、「多様な人材(=社員)が持てる力を最大限発揮するためには、社員一人ひとりが心身ともに健康であることが欠かせない重要事項と捉え、社員が生き生きと働ける職場環境を目指して、健康維持・増進に取り組んでまいりました」と発表した。

パーク24 初認定。同社は、従業員一人ひとりの経験値やノウハウを高め、その能力を存分に発揮できる環境構築の一環として、従業員とその家族に対し、健康を保持増進できる環境づくりを重要視していると発表した。

東急リバブル、イーウェル 東急不動産ホールディングスは、同社とグループ企業6社(東急不動産、東急コミュニティー、東急リバブル、東急住宅リース、東急スポーツオアシス、イーウェル)が「健康経営優良法人2024」に認定され、東急不動産、東急スポーツオアシスの3社は2017年度の認定制度開始より8年連続で認定され、東急リバブルとイーウェルは「ホワイト500」に認定されたと発表した。

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「プロミライズ青葉台」

 横浜市住宅供給公社とURリンケージが参加組合員として事業参画・分譲している築50年の「桜台団地」建て替えマンション「プロミライズ青葉台」を見学した。ランドスケープデザイン、基本性能、価格設定が素晴らしい。これまで見学した建て替えマンションでは最高レベルだと思う。販売総戸数556 戸のうち半数を超える343戸が成約済みというのも納得できる。第3期販売は今夏を予定している。

 物件は、東急田園都市線青葉台駅から徒歩10~14分、横浜市青葉区桜台の第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域に位置する総開発面積約44,635㎡、5~6階建て6棟全761戸(地権者住戸205戸含む)。竣工予定は2025年9月〜2026年5月。設計・監理は松田平田設計。施工は五洋建設。管理は横浜市住宅供給公社。販売代理は長谷工アーベスト、東急リバブル。

 現地は、1967年竣工の「桜台団地」(4階建て全18棟456戸)の建て替え事業で、両社は参加組合員として事業参画。市内の建て替えマンションとしては最大級。昨年4月下旬に物件ホームページを開設し、同7月下旬にモデルルームをオープン後、9月下旬から第1期横浜市民優先枠の登録を開始。これまで2月末現在、問い合わせは4,000件超、モデルルーム来場数は延べ1,180件超。

 供給戸数は385戸(横浜市民優先枠93戸含む)で、2月末で343戸を成約。専有面積は31.50~91.76㎡、販売価格は3,298万~9,298万円。坪単価は290万円。契約者は地元青葉区を中心に横浜市内在住の30代プレファミリー、ファミリー層や東急田園都市線沿居住者、60歳以上のシニアなど。幅広い層から支持されている。都内居住者も2割弱。

 評価ポイントは、①東急田園都市線急行停車駅青葉台駅という都心へのアクセスの良さ②大規模敷地を活用した“自然との一体感”と“充実した共用施設”③将来を見据えたユニバーサルデザインや利便性を叶えた設計や設備④横浜市住宅供給公社とUR リンケージが手掛ける建替え事業という“安心感”-など。

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◇        ◆     ◇

 上段は、物件ホームページと3月8日に公表されたリリースをほぼそのままコピペしたものだ。記者は、単にコピペするだけでは〝か・ち・も・な・い〟と判断し取材を申し込んで実現した。これまで見学した横浜市公社のマンションの質が保たれているのかどうかを確認するのがその目的だ。

 最初に約9分のシアターをみたのだが、記者はシアターを聞き流すことにしている。販促に結びつきそうもない、こけおどしの技巧を凝らしてどうするのだと辟易している(例外は野村不動産他「Tomihisa Cross」だ。「第九」が流れたのには感動したし、商品企画も素晴らしかった)。

 今回はどうかというと、だしぬけに在原業平の「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」の歌が流れた。なかなかの導入だ。テーマは「愛」だった。地域への、建物への、自然への、人々への「愛」を分かりやすく説明されていた。この時点で、どうして人気になっているのかを理解した。質は落ちていないと。「人生は愛」-これが小生のモットーだ。

 ここで「愛」の一つひとつを紹介しないが、比高差20mの高低差を生かしたランドスケープデザインが素晴らしい。敷地の東西軸ほぼ中央に幅24.5m(一部は公道)の「センターウォーク」「シーズンズウォーク」「セントラルガーデン」や共用施設などを配置し、隣接する桜台公園とマンション入り口のバス停を結んでいる。敷地が広いから可能になったのだろうが、設計した松田平田設計はさすがというべきか(同社は東建の諏訪団地の建て替え「Brillia 多摩ニュータウン」も担当している)。

 基本性能・設備仕様では平均72㎡、二重床・二重天井、ディスポーザー、食洗機、Low-Eガラス(廊下側のみ)、浴室タオル掛け2か所、スロップシンク、奥行き2mバルコニーなど。

 これは、他の優れたマンションと変わりはないのだが、嬉しいのは単価設定だ。記者は見学する前、坪単価は300万円を超えても不思議ではないと思いつつ、ひょっとしたら300万円を切るかもしれないと考えていたのだが、290万円と聞いて公社、URの〝良心〟を見た。(敷地に隣接している、駅に近い野村不動産「プラウド青葉台」は坪単価320万円で早期完売したようだが、これはこれで納得)。

 全国の住宅供給公社について。ネットで調べたら全国住宅供給公社等連合会の会員は公社が37団体(他に4法人)とあった。この中で分譲事業を継続して行っているのは横浜公社のみではないか。今後の事業展開について、案内していただいた同公社街づくり事業部街づくり事業課事業推進担当係長・石井浩基氏と同課主事・都出祐司氏に聞いたら「未定」とのことだった。ただ「他の公社と異なり、当公社は賃貸は約700戸しかなく、今後も建て替えを中心に分譲事業を継続して行っていく」とのことだった。

 横浜の建て替えマンションでは、新日鉄都市開発・三菱地所「横濱紅葉坂レジデンス」がいい物件だった。設計は日建ハウジングシステム。

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現地

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桜台公園

今度は横浜のど真ん中人気必至の横浜公社「横浜MIDベースタワー」(2016/1/28)

横浜市住宅供給公社定借戸建て「十日市場」全11戸即日完売へ(2011/2/2)

「横浜ポートサイド」の再現なるか横浜市住宅供給公社「マークワンタワー長津田」(2011/7/22)

横浜市住宅公社&伊藤忠都市開発「アイマークス横浜桜木町」(2009/2/9)

横浜公社が全国初の億ション その英断に拍手喝采(2007/11/2)

東京建物「Brillia 多摩ニュータウン」1期から3期2次まで617戸が即日完売(2012/10/22)

花咲団地建替えマンション 人気必至 新日鉄都市・三菱地所「横濱紅葉坂レジデンス」(2010/5/24)

 


 

 

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「ジオ板橋大山」 

 阪急阪神不動産が分譲中のマンション「ジオ板橋大山」を見学した。ハッピーロード大山商店街から一歩入った、お茶の水女子大学国際学生宿舎跡地の事業期間(居住期間)70年の定期借地権付き分譲マンション(総戸数285戸)。昨年12月から販売を開始しており、年明けからも勢いは変わらず成約数は100戸を突破している。

 物件は、東武東上線大山駅から徒歩6分、板橋区仲町の第1種住居地域(許容建ぺい率60%、許容容積率254.52%)に位置する敷地面積8,000㎡超、10階建て総戸数285戸。専有面積は55.85~88.65㎡。3月10日現在の先着順で分譲中の住戸(9戸)の専有面積は68.42~72.16㎡、価格は6,190万~7,430万円(最多価格帯6,300万円台)。平均価格は6,900万円台。借地期間は2098年7月31日まで(建物解体期間を含む)。月額地代は13,350円~14,080円、月額解体準備金は11,640円~12,270円。竣工予定は2025年2月。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。販売代理は伊藤忠ハウジング。

 昨年6月からのエントリー数は約1,700件、9月からオープンしたモデルルーム来場者は約500件、12月から第1期(1・2次)を供給。追加供給も含めて約100戸を成約済み。

 現地は、お茶の水女子大学国際学生宿舎跡地で、事業期間(居住期間)は70年。敷地南側と西側に接道。隣地との間隔は東側が約14m、西側が約16m。建物はコの字型で、標準階の住戸プランは南向きが8戸、東向きが13戸、西向きが12戸。

 主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ、ディスポーザー、食洗機、御影石キッチン天板、Low-E複層ガラス、廊下960ミリ(一部除く)、防犯ガラス(一部)、浴室タオル掛け2か所など。共用施設はブックラウンジ、ワークラウンジ、パーティラウンジ、ゲストルームなど。他に棟内児童福祉施設の開設が予定されている。

 販売担当の同社住宅事業本部首都圏マンション事業部販売グループ・生方遼氏は、「フラッグシップの位置づけ。販売は順調で想定内。御影石キッチン天板は当物件の標準仕様。販売は伊藤忠ハウジング様に委託していますが、今後供給予定の物件については自社での販売体制を強化していきたい」と語った。

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緑道

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エントランスホール

 

 

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 同社単独のマンション見学は2017年の隈研吾氏がデザイン監修した「ジオグランデ元麻布」(19戸)、2018年分譲の「ジオ元赤坂」(22戸)以来久々だった。

 坪単価はこれくらいだろうと予想していたのでぴったりだった。少し気になったのは、同社に限ったことではないが、モデルルームを約68㎡にしているように、全体として専有圧縮型が中心だったことだ。

 これは、坪500万円をはるかに突破している池袋駅圏や東武東上線のマーケット、大山の地域特性を考慮した結果だと思う。ストライクゾーンを外さない戦略と見た(冒険もしてほしかったが…100㎡超でも何戸かは売れるはず)。商品企画では御影石キッチン天板、浴室タオル掛け2か所、タンクレストイレなどに同社のこだわりがみられる。

 定期借地権付きはネックにならないはずだ。平成3年(1991年)に借地法と借家法が改正され、定期借地権制度が創設されてから30年が経過した。すっかり市民権を得ている。最近の首都圏マンションでは東京建物の「西早稲田」(454戸)や三菱地所レジデンス「市谷加賀町」(228戸)が人気になっている。

 平成6年に分譲された首都圏初のサミュエル「グランビューあざみ野」(34戸)は定借期間は確か40年のはず。カウントダウンが始まった。中古市場でどのように評価されているか分からないが、残存期間の賃料に換算した価格で取り引きされているのではないか。

販売部隊を拡大というのは正解だと思う。販売部隊を持たない大手(系)マンションをたくさん取材してきたが、貴重な顧客情報が蓄積されず、物件によって商品企画が異なり、売れ行きにばらつきがみられる。

 マンションだけでなく、同社はビル事業なども首都圏で強化するというから見ものだ。

坪単価399万円 圧倒的な割安感あり 野村不・阪急阪神不「平井」最終分譲へ(2024/2/10)

息をのむ自然共生・歴史継承の取り組み 三菱地所レジ「板橋大山 大楠ノ杜」完成(2023/11/13)


 

 

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「CASSA」

 ポラスグループのグローバルホームは3月19日、同社の注文住宅商品「CASSA」が一般財団法人日本地域開発センター「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー2023」の特別優秀賞と同時に4年連続で省エネ住宅特別優良企業賞を受賞したと発表した。

 「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー」は、建物躯体と設備機器をセットとして捉え、トータルとして省エネルギーやCO2削減などへ貢献する優れた住宅を表彰する制度。省エネ住宅特別優良企業賞は、大賞/特別優秀賞/優秀賞のいずれかを5年以上連続で受賞している企業に贈られる賞。

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 同社グループの中央グリーン開発は、国土交通省の第2回「地域価値を共創する不動産業アワード」の特別賞を受賞し、表彰式が3月12日に行われた。

 アワードは、不動産業者などが地方公共団体や住民、他業種などの関係者と共に地域づくり やコミュニティづくりに取り組み、新たな地域価値を共創する活動を顕彰するもの。

 同社の「みずべのアトリエ」(南荻島出津自治会館Ⅱ)は、戸建分譲の開発要件に沿って新設された自治会館。オープンから5年が経過し、今日では年間延べ2,000名以上が来訪し、様々な集いやイベントが開かれる「予約の取れない自治会館」となっている。

ポラス3か所目の単独住宅展示場「体感すまいパーク東浦和」 開設2か月で550組来場(2019/3/19)

生物多様性保護などグリーン・インフラ取り組み ポラス「北越谷」分譲地でイベント(2018/5/14)

 

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角田氏(同社東京本社で)

 大和ハウス工業は3月19日、記者レクチャー会<2024年公示地価>を開催。分譲マンション、分譲戸建て、ホテル・オフィス、物流施設市場の現状と同社の取り組みなどについて説明した。レクチャー会は、近く発表される公示地価の記事を書く際に参考になるよう同社がセットしているもの。

 分譲マンションについては、同社マンション事業本部事業統括部部長・角田卓也氏は、全国的に地価、建築費、仕入れ価格が上昇しているとし、首都圏では坪単価1,000万円超の物件でも富裕層の投資、セカンド、相続対策や円安によるインバウンド需要が引き続き旺盛と語った。しかし、入札物件は高値落札が目立ち、応札者は少なくなっているとした。郊外部も堅調な市場が続いているものの、ファミリー層が簡単に取得できる価格を越えてきており、今後は23区の状況に左右されるため注視が必要としている。

 近畿圏は、東京建物「堂島」をきっかけに坪単価400万円の壁が取り払われ、坪500~600万円が供給されるようになり、都心部は首都圏と同様に販売進捗は安定。建築費上昇を吸収できる可能性があり、用地取得環境はさらに厳しくなるとみている。京都は供給過多で、立地のいいものとそうでない物件との格差が拡大すると推測している。

 地方圏は、一部エリア(札幌、仙台、福岡、沖縄)は、本州からの富裕層やシニア層のセカンド、投資・移住ニーズの高まりから用地価格の上昇が続いているとした。名古屋、金沢は価格の高騰、在庫物件が増加していると説明した。

 投資需要は、金利の先高観、リート指数の低下などを受け、投資家の買収意欲は中立的とし、エリアや築年数による案件の選別化が進んでいるとした。

 同社の物件では、東武鉄道とのJV「ソライエ新柏プレミスト」(114戸)は坪250万円で、第1期1次60戸は完売のめどが立ち、昨年7月から販売開始した同社初の沖縄で400万円超の「プレミスト那覇新都心」(16戸)も残り3戸と好調。

「販売のネックになるものがない」全241戸竣工完売へ大和ハウス他「大倉山」(2024/3/16)

〝どう見ても美しい〟大阪の市場を変える東京建物「堂島」は坪単価650万円(2021/11/25)

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中岡氏

 分譲戸建てについては、同社住宅事業本部事業統括分譲住宅グループ次長・中岡敬典氏は、注文住宅の着工戸数は26か月、分譲戸建ては15カ月(2024年1月現在)連続でそれぞれ減少しており、建築費の高騰、消費者の実質賃金の低下などにより、市場を取り巻く環境は厳しいと語った。

 一方で、同社の事業は堅調で、2023年10月~2024年2月累計では金額比で前年比25%増で、東京、埼玉などで大幅に増加しているとしている。

 戸建て7,000戸体制については、注文住宅と分譲住宅の「ちょうといいとこどり」を全国に展開し、「ReadyMade Housing」を掲げ、「設計力+基本性能+アフター&長期保証により〝価格以上の価値〟を提供していくと語った。用地取得については、10戸以上の入札案件よりも数戸~10戸未満の用地取得に力を入れ、大型案件ではグループ内での複合開発も検討していく。来期販売目標2,650戸のうち木造は3割で、差来期の木造化を50%に引き上げたいとした。「ZZEHは100%、既存の戸建てビルダーとは一線を画す」と明言した。

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和田氏

 ホテル・オフィス事業については、同社流通店舗事業本部事業統括部開発事業部グループ長・和田康紀市は、商業分野は、コロナ禍に伴う自粛モードが解除され、パンデミック以前の社会に戻りつつあるとしながらも、既存の商業施設の建て替えや再生がポイントとなり、もの消費からコト消費に変わり、新しいアイデアが求められていると話した。オフィス分野は、引き続き潜在的なニーズが高い地方に注力していく。

 ホテル分野は、インバウンド需要が回復しているとはいえ、観光需要の高いエリアでは競争が激化、宿泊単価の上昇は見られるものの稼働率の上昇につながっているとはいいがたく、従業員の雇用問題が深刻化していると話した。

 地価公示については、取引価格との乖離が目立っており、都心部(東京、大阪、名古屋)では公示地価の3倍から5倍の取引価格が日常化しており、地方でも人気の高いエリアは同じ傾向がみられるとしている。

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廣渡氏

 物流施設については、同社建築事業本部 営業統括部Dプロジェクト推進室担当次長・廣渡政和氏は、テナント入居地域の傾向として都心好立地案件と地方メーカー向け立地に大きく二分化され、リーシングに時間がかかる状況から調整局面に突入しつつあると指摘した。

 首都圏の需給バランスでは、2024年4Qの新規供給は前年同期比半減し、空室率は2023年4Qの9.3%からやや改善はされているもの8%台の半ばに達しており、2%台で推移していると思われる築1年以上の施設との差が目立っている。廣瀬氏は「物流施設は建築費のウエイトが高く、ゼネコンが見つからない例や賃料に転嫁できない環境が続いている」と語った。

「昭島」1期は262戸/建築費5割アップへ2024年問題からみ深刻化 大和ハウス(2023/9/15)

 

 

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「三井みらいチャレンジャーズオーディション」(日本橋三井ホールで)

三井グループ350周年記念事業実行委員会(委員長:菰田正信・三井不動産会長)は319日、三井グループ350周年記念事業の最大イベントである「三井みらいチャレンジャーズオーディション」最終通過者30人を発表した。イベントには130人が参加した。

プロジェクトは、三井グループの元祖「三井高利」が日本橋に越後屋を出店した1673年から350年の節目の年に当たり、様々な社会課題を解決し、未来を切り開く若者を発掘・支援するもの。「事業・社会活動」「研究・留学」「カルチャー創造」の 3分野722人の応募者の中から各分野10人が選ばれた。

応募条件は2024331日時点で16歳以上31歳未満の個人で、昨年8月から10月まで募集された。募集部門は①研究・留学部門(応募:241人)事業・社会活動部門(応募:319人)カルチャー創造部門(応募:162人)。総勢10名の審査員による「みらい履歴書・計画書の審査」「動画審査」「対面審査」の3段階の審査を経て決定された。最終通過者30人は 2027年度まで三井グループ25社が継続的に支援していく。支援金として一律500万円のほか、追加の支援金(2年目からの最長3 年間)が提供される。

菰田氏はイベントの冒頭、「オーディションは、三井高利のイノベーション精神を継承し、夢や目標を持ちチャレンジをする次の時代を担う若者を発掘・応援しようというプロジェクトです。昨年8月に応募受付を開始しましたが、締め切りまでの3か月間に722名のチャレンジャーが名乗りを上げてくださいました。『熱い想い』と『高い志』で『これからの世の中に大きな影響を与えたい』という強い決意を感じる方ばかりでした。自らの意思で一歩を踏み出し、このオーディションに参加をしてくれた若いチャレンジャ―たちは、みな未来を担う有望な人材です。応募をしてくださった全てのチャレンジャ―に敬意を表します。そして最終通過者を含めたチャレンジャ―達全員のこれからの飛躍・活躍を、心より祈念いたします」と述べ、閉会の挨拶では「1昨年やろうと考えたときは不安でいっぱいだったが、本当に素晴らしい結果となった。大激戦の末30人が選ばれたのもよく分かる。委員長としてもほっとしている。ただ、このプロジェクトの成功は、選ばれた皆さんの夢が実現し、日本を世界を変えること。そのために三井グループはしっかり支えていきます」と締めくくった。

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菰田氏

           

 記者は昨年10月、スタートアップ企業と大企業をマッチングさせるイベント「住友不動産ベンチャーサミット」を見学・取材した。「新宿住友ビル」三角広場に約2,100人が集まったのにびっくりした。

 今回、「日本橋三井ホール」に集まったのは約130人だが、内容は全然負けていないと思った。グランプリやら大賞やら○○賞を設けていないのもとてもいい。菰田氏をはじめ審査員の方々も〝素晴らしい〟を連発した。プレゼンターを務めた三井物産社長CEO・堀健一氏は「全員をわが社に迎えたいくらい」とまで述べた。

 記者も、最初の受賞者・王方成さんの「宇宙に住む」に圧倒され、最後の方まで必死にメモを取った。約1時間30分。くたくたに疲れたが、これほど楽しい取材を行ったのは久々だ。

 一つひとつ紹介したいのだが、そんな余裕はない。事業・社会活動部門で選ばれた小樽商科大3年生の大砂百恵さん一人だけ紹介する。事業タイトルは「ekombu」-廃棄される昆布を牛に食べさせ、げっぷを減らしてCO2削減に貢献するというものだ。

大砂さんは「2年前、大学1年生のときです。ひいおじいちゃんがコンブ漁をやっていて、大量に捨てられる昆布がめっちゃくちゃもったいない、何とかできないかと。牛に食べさせることを思いつきました。賞金? 牛の購入費に充てたいです」と語った。(小生は牛肉をほとんど食べない。牛の体重は人間の10倍近くあり、大量のCO2を吐き出すし、輸入飼料によって大量の水(バーチャルウォーター)を消費する。そもそも牛は昆布を食べるのか。ネットで調べたら、昆布を飼料にしたブランド牛もあるそうだ。本当にげっぷは減るのか)

審査委員の講評も一人紹介する。カルチャー創造部門審査員で、プロダクトデザイナー・グラフィックデザイナー・建築家の肩書を持つ太刀川英輔氏だ。太刀川氏は次のように話した。

「おめでとうございます。何か…なんていうかなあ、すごくね…胸がいっぱいで、不思議な気分なんですよね…今。こういう皆さんを応援できる時間をいただいた委員会の皆さんにお礼を言いたい。みなさんになにを伝えようかと考えたとき、真っ先に出てきたのは、まず、すぐにヒーローになろうとするなって思ったんです。馬鹿に発見されると大変なんで、まずは没頭したほうがいいと。徹底的にいま目の前にある道を、皆さんはその先に何かの光が見えているはずですが、だけどその道はジャングルだけだと思う。進んでいると痛いこともあるし、出る杭を打つ人もいる。(そんなことを気にしないで)没頭することが大事。僕はね没頭することは幸せだと思う。それ以外にない。僕もデザインしているが、没頭することを心掛けている。結果出そうと考えないこと。結果はね、うしろについてくるもの。

そう思うと、今日貰った500万円、凄いね。だけど、お金だと思うと大した額じゃないんですよ。僕らおじさんにとってはね。ただ、こう考えてほしいんです。皆さん、3,000時間あったら何ができますか。3,000時間、これは皆さんが時給2,000円の高収入バイトをし、積み上げてできる…それが500万円なんです。大事なのは額じゃない。時間とつながりなんです。これは得難い。4年後、この3,000時間のあとに、皆さんが成し遂げてくれる景色を、ちょっと痛かったなどといいながら一緒に振り返られたらいいなと思います」

実をいうと、記者は最初から最後まで金の計算をしていた。30人のうち4年後に花を咲かせる人は何人いるか、三井グループはいくら投資するのかと。初年度500万円はともかく、成否のかぎを握るのは徹底して支援できるかどうかだと考えた。額は一人(1プロジェクト)1億円いや10億円はどうかと。10×30300億円だ。

そして、三井グループ25社の総売上高を計算した。トヨタ自動車も入っているから100兆円くらいではないかと見当をつけた。300億円は巨額だが、比率にしたら0.03%だ。うちに帰って三井グループの直近の総売上高を調べた。売上高は878,615億円、連結従業員数は817,123人だった。売上高はわが国のGDP591兆円の14.9%を占める。一人当たり売上高は約1億円。国民1人当たりDGPの約2倍だ。

 大企業のこの種の支援事業が増えるのに期待したい。

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太刀川氏

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スタートアップと大企業を結ぶイベントに2,100名 「住友不動産ベンチャーサミット」(2024/10/25

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「ノブレス横濱鶴見ミッドパーク」

 ナイスが分譲中の「ノブレス横濱鶴見ミッドパーク」を見学した。同社が基本性能として標準化している免震工法のほか、嫌悪施設がない住環境などが評価され、販売は極めて順調に推移している。

 物件は、JR鶴見駅から徒歩9分、京浜急行本線京急鶴見駅から徒歩7分、横浜市鶴見区本町通一丁目の商業地域(建ぺい率80%、容積率400%)・準工業地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する敷地面積約1,308㎡、10階建て全59戸。専有面積は45.67~71.68㎡。3月20日から販売する住戸(2戸)の専有面積は66.25・66.55㎡、価格は7,090万円・7,290万円。坪単価は300万円から350万円の間。竣工予定は2025年3月。設計・監理はクレイズプラン。施工はファーストコーポレーション。

現地は、京急・鶴見駅東口から商店街を抜け、鶴見川を渡った三方道路の角地。建物は全戸南西向き。主な基本性能・設備仕様は、免震、直床、リビング天井高2400ミリ、食洗機、フィオレストーンキッチン天板(一部)、浴室タオル掛け、奥行き2mバルコニーなど。住戸プランは標準階1フロア8戸構成で、南向きが3戸、東向きが2戸、西向きが2戸、北向きが1戸。

昨年9月から販売を開始しており、全59戸のうち残りは4戸のみ。購入者はプレファミリーが多数派を占めている。モデルルーム来場者は200件弱。地元居住者を中心に広域から集客もできている。

 販売担当の同社・渕辺努氏は、「販売は極めて順調。駅に近い割に騒音などの嫌悪施設がなく、免震も高い評価を得ています」と語った。

 昨年10月から分譲開始した京浜急行線花月総持寺駅から徒歩5分の11階建て「ノブレス鶴見花月総持寺」(43戸)は坪単価300万円を切っており、約半数が販売済みとのことだった。(現地は見ていないが、横浜の半値以下だ)

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モデルルーム キッチン

◇      ◆     ◇

 先月、明和地所「クリオ横濱鶴見セントラルマークス」を見学しており、駅から徒歩5分で坪単価は350~360万円だったので、今回の物件はそれよりは低いだろうと予想したが、その通りだった。

 都内はもちろん川崎、横浜はとんでもない価格に上昇しており、その周辺駅圏でも駅に近い物件なら間違いなく坪単価は400万円を超える。購入検討者の取得能力を考えたら、20坪で7,000万円が取得限界だろう。ぴったりの値付けだ。

 同社が、分譲するすべてのマンションに免震工法を採用すると発表したのは2015年10月だ。それ以前の免震物件を含め2023年3月現在、首都圏・仙台市を中心に83物件・8,128戸供給しているという。

 免震工事費はいくらか同社は公表しないだろうが、倒れないだけでなく揺れない、家具などの飛散もない安心・安全を価格に換算したらいくらになるのだろう。一定規模でないと戸当たり単価は上昇するだろうが、かといって工事費上昇分をそのまま価格に転化するのは難しい市場が続いている。こういう会社を応援したい。

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販売事務所(免震構造、体験コーナーもある)

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現地(南側から撮影)

ナイス 分譲するマンション全てに免震構造を採用(2015/10/30)

JRと京急駅まで5分リーズナブルな単価設定ZEH-M対応の明和地所「鶴見」(2024/2/27)


 

 

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左から横山氏、毛利氏、小笠原氏、川井氏(同社本社:丸の内二重橋ビル18階で)

コリアーズ・インターナショナル・ジャパンは314日、「コロナ禍前後のオフィス・職場環境の変化」のアンケート調査発表会&記者懇親会を実施。テレワーク(リモートワーク)は確実に定着している一方で、企業側はオフィス回帰に舵を切っており、テレワークを全くしないオフィスワーカーが過半を占めたと発表した。

 調査は、首都圏、関西圏に勤務する事務系・技術系のデスクワーク中心のオフィスワーカー448人に焦点をあて実施した。

調査の結果、首都圏では40代以下の年代のフル出社割合は50%を切っているが、年齢の高い層ほどフル出社の割合が高く、関西圏はすべての年代でフル出社が過半を占めている。

 現在のテレワーク日数と理想では、首都圏では現状維持派が大多数を占め、現状フル出社の継続を望む層と、現状フルリモートでフルリモートの継続を望む層が目立ち、二極化傾向がうかがえるとしている。

コロナ禍前後で職場環境はどんなところが変わったかの問いでは、テレワークが導入された、出社頻度が下がった、最小限のコミュニケーションになった、ペーパーレスになった、フレキシブルな働き方になったなどの回答が寄せられた。

変わらない点では、オフィスに出社することを求められる、ペーパーレスが進まない、テレワークができていないなどの回答が目立っている。

これからのオフィスのあり方については、オフィスに欲しい設備として首都圏ではほとんどの年代で「食堂」「コンビニ」「仮眠室」「WEB会議のための個室」「リフレッシュルーム/カフェスペース」などを望んでいることが分かった。

発表会では、住友不動産に約25年間勤務していたマネージングディレクター兼会長・小笠原行洋氏が挨拶したあと、ディレクター&ヘッド・川井康平氏がプレゼンを行い、川井氏とシニアディレクター&ヘッド・毛利郁氏、シニアディレクター・横山貴明氏によるパネルディスカッションが行われた。

コリアーズは、ナスダックおよびトロント証券取引所に上場する大手総合不動産プロフェッショナルサービス・投資運用会社。世界66か国で事業を展開し、従業員は約19,000人。年間売上高は45億ドル、運用資産は980億ドル。

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左から小笠原氏、川井氏、毛利氏、横山氏

        ◆     ◇

 調査結果はある程度予想された内容だった。テレワークが浸透するかどうかは、職種にもよるだろうが、会社の方針が左右することをうかがわせた。ペーパーレスが遅れているのは問題だ。

興味深かったのは希望するオフィス設備で、多くの人が「食堂」「コンビニ」「リフレッシュルーム/カフェスペース」を求めていることだ。「食堂」とはどのような食堂かよく分からないが、一般的な社員食堂・職員食堂や施設食堂とは異なるような気もする。これらは基本的には食事が目的のはずだが、コンビニやカフェを希望する人も多いことから、単なる食堂ではなく多目的でいつでも利用できる自宅のリビングのような空間を望んでいるのではないか。

そのような機能を備えていた施設では、三菱地所本社を2度見学したが、酒も飲めた。TSUTAYASHARE LOUNGEはいい。もちろん仕事ができるのがいいのだが、本も読めるし酒も飲め、喫煙室もある。多目的に利用できるコンビニは増えているようだが、独立店舗は平屋建てが多いのはなぜか。借地が多いのだろうが、容積率の半分も消化していないはずだ。

        ◆     ◇

同社は202310月、「東京23区内に正社員として勤務するZ世代(18歳〜27歳)」の男女825名を対象に、働き方に関する意識調査を実施している。この結果が面白い。

テレワークをしている人は49.8%、していない人は50.2%で、テレワークをしている人にその理由を聞いたところ「通勤時間がもったいないから」が56.0%、「会社の方針」が28.5%となった。テレワークをしない理由の1位は「会社の方針」で66.9%2位は「コミュニケーションが取りやすいから」が10.6%となった。

現在勤務するオフィスの立地に「満足している」人は25.0%、「どちらかというと満足している」人は43.6%と双方で約7割。満足している人、していない人にそれぞれその理由を聞いたところ、交通利便性、街の雰囲気、静か(満足)、騒がしい(不満)、飲食店、ブランド力などが上位にあがっている。

理想的な通勤時間を聞いたところ、「16分以上30分以下」が37.2%でもっともも多く、次いで「31分以上45分以下」が24.7%、「15分以下」が18.7%となっている。

理想通勤時間の選択理由を自由回答で聞いたところ、「時間がもったいない」「通勤でストレスを感じたくない」という声が多く寄せられた一方で、「家から近すぎるとプライバシーが怖い」「30分以内だと家賃が高い」「近すぎると仕事とのスイッチが切り替えにくい」などの声もあった。

働きたいと思うオフィス街の駅を聞いたところ、「東京」25.0%、「大手町」19.3%、「有楽町」11.6%、「新宿」8.8%、「日比谷」7.0%、「池袋」5.0%、「銀座」4.8%、「品川」4.6%、「日本橋」4.2%、「表参道」3.9%、「渋谷」3.4%の順でベスト11

これらの結果からでは、どこに住んでおり、どこに勤務先があり、どのような職種かなどは不明だが、テレワークは会社の方針が左右していると考えられる。

望ましいオフィス立地、通勤時間、働きたい勤務地(駅)から読み取れるのは、一言でいえば理想と現実の大きな隔たりだ。勤務地を東京駅とし、静かで、通勤時間が30分以下の駅は山手線・山手線内、北は川口、北千住、東は船橋、南は川崎あたりか。徒歩時間を含んだドア・ツー・ドアで30分だと、マンションなら坪単価500万円以下は皆無、10坪でも5,000万円以上だ。買える人はほんの一握りだろう。前段でも書いた三菱地所の社員もどれだけいるか。

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高松氏

 マンション管理業協会(理事長:高松茂・三井不動産レジデンシャルサービス会長)は3月14日、恒例の記者懇親会を開催。マンション適正管理評価制度の登録件数は2024年2月末で3,336件と発表した。

 ★の数の内訳は、★5つが808件(24%)、★4つが1,358件(41%)、★3つが896件(27%)、★2つが274件(85)、★1つが0件(0%)。都道府県別では東京都の物件が最多で1,001件(30%)。戸数別では50戸未満が全体の52%を占めている。竣工別では1991年~2000年が全体の29%。管理組合の形態は単棟型が87%。★5つの割合がもっとも多いのは2021年竣工で50%を占めている。

◇      ◆     ◇

 記者懇では国か推進する「管理計画認定制度」も紹介された。同制度は、管理協の適正管理評価制度と同時期の2022年4月にスタートした制度だが、2023年12月末現在、全国の認定実績は378件しかない。ほとんどといっていいほど普及していない。

 一方で、前段で紹介したように管理協は、3,300件超の登録があり、協会会員が管理している全国約10万件の1割に該当する1万件登録を2024年度末まで達成する目標を掲げている。

 この1万件が多いのか少ないのか分からないのだが、同協会副理事長・小佐野台氏(日本ハウズイング代表取締役社長CEO)が昨年の同協会総会後の懇親会で「会員354社の管理件数の1割で達成できます。ちょうど1割、たった1割」と発言したのを記者は忘れない。残り1年で約6,700件。高松理事長は明言を避けたが、目標を達成するのではないか。

 しかし、大事なのはそんな数字ではない。肝心なのは認可・登録マンションが市場で適正に評価されることだ。

 そのためには、やはり管理協が主導して、★5つや4つのマンションは相場と比べて高く売れるとか、売り出しから成約時までの期間が短いとかなどのデータを示すべきだと思う。そうすれば登録件数は飛躍的に伸びるはずだ。

 この点について同協会は、シンクタンクや学識経験者の協力を得てデータ収集を行っているようだが、1日も早く公表して欲しい。

 もう一つ、知りたいのは登録物件を管理会社別にみたらどうなるのかのデータだ。管理会社は〝劣等生〟の烙印を押されたくないだろうからデータ公表に難色を示すだろうが、みんながみんな〝優等生〟だけを求めているわけではない。そうだったら、中古マンション市場など成り立たない。正直に〝私は劣等生〟と表明する管理組合&管理会社を応援したくなるし、仲介会社はきちんと評価するはずだ。高松理事長も「検討する」と答えた。期待したい。

 第三者管理者方式の採用についても質問した。新築の富裕層向けや商住の複合開発、投資家向けは今後激増するはずだが、一般的な中小規模マンションは契約金をねん出する余裕はないはずだ。高松理事長は「現段階で委員会も設けていない。これからの課題」と話した。

「知の結集。やればできる」齊藤審査委員長が激賞管理協バリューアップアワード(2024/2/29)

マンション管理計画認定制度の普及、基準見直し論議国交省ワーキンググループ(2024/2/27)

反社への譲渡禁止をマンションの実態把握していない自治体が圧倒的多数国交省会合(2024/2/1)

登録件数1000件突破 ★5つ最多は伊藤忠アーバンマンション管理適正評価(2023/4/2)

 

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「プレミスト大倉山」 

 大和ハウス工業(事業比率40%)・東京建物(同30%)・中央日本土地建物(同25%)・三信住建(同4%)・ナイス(同1%)の5社JVマンション「プレミスト大倉山」を見学した。販売責任者が「販売のネックになるものがない、ないものがない」と話したように、商品企画が奏功した好例ではないか。

 物件は、東急東横線大倉山駅から徒歩9分、横浜市港北区大豆戸町の近隣商業地域、第一種住居地域に位置する敷地面積約8,276㎡、7階建て241戸。3月16日現在、先着順で分譲中の住戸(9戸)の専有面積は69.03~75.61㎡、価格は6,980万~8,980万円(最多価格帯7,800万円台)。坪単価は約360万円。機械式駐車場は90台(ほかに身障者用、来客用、カーシェア用)。竣工予定は2024年8月。施工はファーストコーポレーション。全体デザイン監修は入江三宅設計事務所、外構空間・ランドスケープ監修はタウンスケープ研究所。

 現地は、敷地北側の市道に接道。従前はナイスが所有していた土地。オリンピック大倉山店に隣接するほか、徒歩10分圏内に大型スーパーが3店、大小9つの公園やいくつもの保育園・幼稚園が集積。港北区役所は徒歩4分。

 建物は6棟構成で、ABINC認証、「BELS」最高等級、「ZEH-M Oriented」と住戸ごとの「ZEH Oriented」をダブル採用。南向き2棟が139戸(57.6%)、東向き2棟が55戸(22.8%)、西向き2棟が47戸(19.52%)。平均専有面積は72.57㎡。

 主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2400ミリ、食洗機、ディスポーザー、吊戸棚、リビング&主寝室床暖房、Low-E複層ガラス、浴室タオル掛け1か所、スロップシンク、全住戸収納率10%以上など。共用施設はパーティ&キッズスペース、ワーキングスペース、オーナーズスイート、リンクラウンジなど。

 エントリー数は4,000件を突破しており、モデルルーム来場者は週に約15件。東横線、田園都市線居住者中心だが、都内も約3割。販売開始は2023年5月。これまで約190戸を成約済み。

 販売事務所長の大和ハウス工業・島田隆弘氏は、「大倉山駅圏で200戸超は20年ぶりの供給。新横浜までバスで6~7分で行けるのも特徴で、競合する物件はほとんどありません。専有面積は平均72㎡、収納率を全戸10%以上確保しているのが評価されています。また、管理費は218円/㎡で、修繕積立金も100円台の前半/㎡程度。長期修繕費を抑えるための工夫もしています。単価はもっと高く設定できたかもしれませんが、これくらいがちょうどいい。販売のネックになるものがない、ないものはないといえる物件。残りは月に10件くらい成約すれば竣工までに完売できると考えています」と話した。

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リンクラウンジ

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センターフォレスト

◇        ◆     ◇

 大倉山のマンション見学は2020年の日本エスコン「レ・ジェイド大倉山」(25戸)以来だった。駅から徒歩12分の準工エリアだったが、坪単価320万円くらいで早期完売したはずだ。

 今回の物件は、最低でも坪350万円で、高値挑戦すれば400万円近くもあるかと考えていたが、360万円と聞いて納得した。記者は富裕層向けはどんどん高値挑戦すべきだと思っているが、そうでない物件は〝腹八分目〟にして、残りは購入者が得をするようにすべきだというのが持論だ。

 単価を低めに抑え、一方で専有面積を72㎡確保し、収納率全戸10%以上、ZEH、管理費・修繕積立金の低減(第三者管理者方式を採用)のほか、各住戸の玄関を外階段からセットバックさせて設けているのにも好感が持てた。

 天井高が2400ミリなのは気になったが、高度地区規制で絶対高さが20mと定められているからではないか。

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現地

高層ZEH-M プラン秀逸日本エスコン「レ・ジェイド大倉山」(2020/2/1)

 

 

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