質疑応答で40回 鼻につく菅総理の「そうした」「思います」/訓練で直せる話し方
今日(2月5日)は、どこからもニュース・リリースも届かない。なので、このところずっと気になっているわが団塊世代の菅義偉総理の演説、記者会見での話法・癖について書く。
菅総理は秋田県出身なので、東北弁が混じるのは何とも思わない。むしろ歓迎したいくらいだ。気になるのは、たいした意味のない「そうした」などの連体詞を頻繁に使い、そしてまたメディアなどにも〝自信のなさの表れ〟などと指摘されている「思います」もたくさん話される。
例えば、2月2日の新型コロナ緊急事態宣言延長を表明したときの演説・質疑応答。前半の演説の中では「そうした」「思います」はそれぞれ1、2度くらいしか使用しなかったのに、後半の質疑応答では連体詞の「そうした」を13回と「こうした」を7回、接続詞の「そして」を5回、「思います」を15回使った。次の場面だ。
「緊急事態宣言を発出することによって、多くの国民の皆さんに絶大なるこの大きな制約というのですか、そうしたことをお願いするようになるわけですから、できれば限られた中で感染拡大を阻止する、そうしたことも、できればそうした可能性というものを、やはり追求に追求をしました」
「今回、こうした支援の手が届いていない、そうした声もある中で、緊急小口資金の拡充を行いたいと思います。さらに、大企業の非正規の方々への対応、こうした方々にもきめ細かな支援を行っていきたいと思って、今、検討させていただいています」
「このワクチンの確保は、日本は早かったと思います。全量を確保することについては早かったと思います。ただ、接種までの時間が海外に遅れていることは事実であります。それは日本の手続という問題も一つあると思います。慎重に慎重に、いろいろな治験なりを行った上で日本が踏み切るわけでありますから、そういう意味で、遅れていることは現実であるというふうに思います」
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「そうした」の発音の「し」は「す」にも聞こえるのは、いわゆる「ズーズー弁」なので微笑ましいのだが、これほど頻々と登場すると鼻についてくる。
「まぁ、そのぉ~」(田中角栄)「あ~う~」(大平正芳)もひどかったが国民から支持された。小泉純一郎氏も安倍晋三氏も意味は不明でも言語は明瞭だった。
参考になるかどうか。第三企画では、人前で話すときの「思います」は禁句になっている。内心で「思う」のはそれぞれ勝手だが、あいさつなど他人に対して意思表示するときははっきり話そうという約束事だ。「思います」と話したらすぐ周りの人が指摘する習慣にもなっている。そうすると不思議なことにみんな「思います」と話さなくなる。訓練を積めばできるようになる。
菅総理に上申する人はいないのだろうか。
帝国ホテル 激安のサービスアパートメント 業態変革を促すきっかけとなるのは必至
帝国ホテルプレス・リリースから
帝国ホテルは2月1日、「帝国ホテル サービスアパートメント」を開始すると発表した。当面は期間限定で、入居開始は3月15日から7月15日まで、タワー館の客室3フロアの一部を改修し、99室をサービスアパートメント利用とするもの。受付開始の2月1日から申し込みが殺到し、すべて満室となっている。
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同社がサービスアパートメントを始めると聞いたとき、サービスアパートメントは珍しくもなんともないから、そのままスルーした。どこか新たに施設を建設するのだろうと思った。稼働するのは1、2年先だろうと。
ところが、そうではなかった。日比谷(内幸町)のホテル内99室をサービスアパートメント方式に切り替えるというものだった。
驚いたのはその料金だ。スタジオ/STUDIOタイプ(約30㎡)で月額(30泊)36万円(1日12,000円、坪3.6万円/月)というではないか。
これはもう破格の安さだ。新型コロナの第一波で緊急事態宣言が発出されたとき、アパグループが1泊2,500円(客室面積は15㎡以下のはず)のキャンペーンを張ったときも驚いたが、今回はそれ以上の衝撃を受けた。
新型コロナの蔓延で何が正か邪か善か悪か判然としない世の中にあって、記者の行動範囲は部屋の中だけで思考力も退化の一途をたどっているが、この料金は激安だとほとんど瞬時にはじき出すことができた。(小生の頭は全てをマンション価格に置き換え、利回りを計算できるように進化している)
どれだけ安いか。まず一般論からいって、仮にここがオフィスだったら坪賃料は5万円/月以下はありえない。30㎡でざっと50万円だ。マンションを建てるなら坪2,000万円くらいだろうから2億円だ。これでも利回りを3%として賃料は月額50万円だ。
これだけでもかなり安いことがわかるが、料金にはシャンプー類、歯磨き・シェービングセット、くしなど各種アメニティ類、室内清掃ならびにリネン、タオル、寝間着類交換(一週間に3回)、コーヒーメーカー、共同利用スペース「コミュニティルーム」での朝食用のパンの提供のほか洗濯乾燥機、電子レンジ、オーブントースター、アイロン利用ができ、ホテルラウンジでのコーヒーまたは紅茶が飲み放題で、ホテル駐車場、フィットネスセンター、プール、サウナも無料だ。このほか、ランドリー料金月額30,000円、ルームサービス月額60,000円は定額制だ。
他のサービスアパートメントとも比較してみよう。記者が初めてサービスアパートメントを取材したのは2002年、三井不動産のオークウッドジャパンの第1号物件だった「オークウッドレジデンス麻布十番」だったが、43㎡の月額料金は49万円(坪3.8万円)だった。同じころ、サービスアパートメント事業を積極的に展開していたスペースデザインを取材したが、「ビュロー高輪」の賃料の高さに驚愕したことがある。料金は忘れたが、現在は25㎡で30万円(坪4万円)だ。
いかがか。さらに、いつもの貧乏人根性を丸出しにして、損得を勘定した。コーヒーは1,500円(税別)だし、ルームサービスに名物カレーライスを注文したら2,500円(同)はする。1日コーヒーを2杯、カレーライスを1回食べれば、月額にして10万円得することにな。その他の割安サービスを含めれば数十万円の割安感がある。申し込みが殺到し、ほぼ当日で満室となったのは当然だ。
だが、しかし帝国ホテルだってちゃんと計算しているはずだ。毎日コンビニで弁当と水の値段以下のまがい物の発泡酒を買って客室内で飲食するような人は皆無で、1杯1.200円のビールを注文するだろうし、備え付けの数千円もする酒を飲むだろうし、コースで3万円くらいする食事もするだろうから…きっと2人利用で1泊10万円くらいになるだろうと読んでいるはずだ。
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同社は1月29日、2021年3月期第3四半期決算を発表。新型コロナの打撃は大きく、売上高166億円(前年同期比61.6%減)、営業損失84億円(前年同期は42億円の利益)、経常損失44億円(同44億円の利益)、純損失86億円(同30億円の利益)となった。
サービスアパートメントを開始したからといって赤字幅を大幅に縮小できるはずはなく、オリンピック開催もどうなるか不明なので予測は難しいが、同社はその先を読んでいるのは間違いない。業態の変革に一石を投じる覚悟で今回の発表となったのではないか。その意思を広く伝えるための破格の料金設定だと理解した。他のサービスアパートメント事業会社とは一味も二味も異なった事業展開を指向しているはずだ。同業他社も追随するのは必至と見た。
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昨日(2月3日)は、午後2時過ぎに取材を終えてから一服を兼ねてビールかワインでも飲もうと都心のあるホテルに立ち寄ったのだが、レストランは朝食サービスしか行っていないと伝えられた。営業しているのはどこにでもあるチェーン店の飲食店のみだった。これではコロナを避ける意味がないと、たばこを1本吸ってそのまま帰った。
これまでも何度も書いた。一律の飲食店の時短要請などやるべきではない。コロナ自警団のほうが怖い。ゼロリスクはありえない。いま一番安全なのはホテルだ。多少料金は高いが安心料と考えれば割安だ。喫煙室だってどこも備えている。
驚愕したマンダリンホテルのホスピタリティ(2007/2/21)
比類なきホスピタリティの高さリッツカールトン 記者も初体験(2007/4/2)
外資系ホテルの東京進出 14年間で9施設約2600室(2007/9/30)
東京都の新型コロナ 感染者10万人突破 男女比は男性56:44%
2月1日の東京都の新型コロナ感染者は363人となり、累計で100,234人と10万人を突破した。男女別では、男性が56,179人、女性が44,039人で、比率は56.1:43.9。感染経路不明者は58,799人で、経路不明率は58.7%となっている。
年代別・男女別感染者の数値を別表・グラフに示した。年代、男女別ではかなり差があることがわかる。平等に襲いかかっているはずのコロナだが、行動範囲の違いだけでは説明できない、ジェンダー性差、就業形態の違いが表れていそうだ。
〝厳しく規制して早く収束させよう〟政策研究院・土谷教授が心揺さぶるメッセージ
この日(2月1日)、つけっ放しにしているテレビからあのよくしゃべる宮根誠司氏の声が飛び込んできた。同氏が司会を務める日本テレビの情報番組「情報ライブ ミヤネ屋」だ。いつもなら〝またか〟と聞き流すのだが、番組に出演されていた政策研究大学院大学政策研究科教授・土谷隆氏がわが耳を疑う凄いことを話された。
聴くために観ていたわけではないので正確に話されたことを再現はできないが、土谷氏は宮根氏の問いに「1億人感染しても、(しっかり対応すれば)コロナは収束するんです。厳しく規制して早く終わらせることが大事。感染を減らすスピードを上げることはできる」というような主旨のコメントをされたはずだ。
小生は、日本テレビは読売=巨人で、宮根氏もジャイアンツファンだろうから好きになれないし、一部のスポーツ紙がテレビに出演しているタレントなど著名人の発言をそのまま記事に垂れ流しているのと同じ穴の狢にはなりたくはないのだが、土谷氏のこのメッセージほどわれわれ国民に勇気と希望を与えるものはないと思うので、ご本人の了解は得ずに(これから事後承諾を得る予定)、紹介することにした。この種の報道目的の記事は著作権に触れることはないはずだ。
土谷氏は自らのホームページで、1月26日時点で東京都の新型コロナウイルス感染症新規陽性者数予測をされており、AとBのケースを想定し次のように予測している。みなさん、Aを実践しようではないか。
A:2月7日まで我々が緊張感を持って緩まずに現状の減少ペースを続けることができた場合(2月7日で154人)これを目指すんだという政府のしっかりした目標設定とリーダーシップが必要
B:途中で緩んでしまった場合(2月7日で509人でその後上昇する)
70歳以上が全体の25.8%の163人 100歳以上は1月だけで36人 都の新型コロナ感染者
1月31日の東京都の新型コロナ感染者は633人となり、日曜日としては6週前の556人、5週前の708人の水準まで減少した。また、経路不明者は291人で経路不明率は46.0%と50%を下回った。
気がかりなのは70歳以上の感染者は163人で、全体に占める割合が25.8%に達していることだ。100歳以上も1月28日までに32人(累計48人)に上っていることを紹介したが、その後、29日は女性1人、30日は女性2人、31日には男女各1人の感染が判明し、1月のみで感染者は36人(累計53人)となった。
令和2年の住宅着工は81.5万戸 持家、貸家、分譲住宅とも前年比ほぼ10%減少
国土交通省は1月29日、令和2年の住宅着工戸数をまとめ発表。総戸数は前年比9.9%減の815,340戸で、4年連続の減少となった。床面積は前年比11.2%減の66,454千㎡で、4年連続の減少となった。
利用関係別の戸数では、持家は前年比9.6%減の261,088戸で前年の増加から再びの減少、貸家は前年比10.4%減の306,753戸で3年連続の減少、分譲住宅は前年比10.2%減の240,268戸で6年ぶりの減少となった。
分譲住宅の内訳は、マンションが107,884戸(前年比8.4%減)、一戸建てが130,753戸(同11.4%減)となった。
首都圏は総戸数288,460戸(同8.2%減)で、内訳は持家54,629戸(同6.4%減)、貸家117,873戸(同5.2%減)、分譲住宅109,240戸(同12.1%減)となった。分譲住宅の内訳はマンションが53,913戸(同9.2%減)、戸建てが54,340戸(同14.2%減)。
首都圏マンションは32,895戸(同9.2%減)で、内訳は東京都32.895戸(同12.7%減)、神奈川県9,707戸(同21.9%減)、埼玉県5,991戸(同46.2%増)、千葉県5,320戸(同2.1%増)。
特措法・感染症法の是非を考える 早くも抑止効果? 〝悪法もまた法なり〟なのか
「新型インフルエンザ対策特別措置法(特措法)」「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」の改正案が成立する見込みだ。当初予定されていた事業者や感染者に対する刑事罰は科されず、都道府県知事からの営業時間の短縮の命令に応じない場合や、入院拒否や疫学調査拒否に対しては過料を科すことで与野党が合意したと報じられた。
記者は、事業者などを一律にしかも事前に規制するのはどうかと思うが、感染者に対しては事後的にきちんと追跡調査を行うべきで、感染者もまた保健所などの調査に協力すべきだという立場だ。これは昨年からずっと主張してきた。以下、罰則の成否・是非などを書き連ねることにする。
まず、積極的疫学調査について。国立感染症研究所感染症疫学センター(NIID)の「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領」は次のようにある。
「クラスター対策としての積極的疫学調査により、直接的には陽性者周囲の濃厚接触者の把握と適切な管理(健康観察と検査の実施)、間接的には当該陽性者に関連して感染伝播のリスクが高いと考えられた施設の休業や個人の活動の自粛の要請等の対応を実施することにより、次なるクラスターの連鎖は防がれ、感染を収束させることが出来る可能性が高まる。推定された感染源については、そこから把握できていないクラスターの存在の有無について確認し、新たなクラスターの探査を行うことで、感染拡大の兆しに早期に対応できることが期待される」
これはこの通りだろう。だからこそ専門家は経路不明率を50%以下に抑えることを呼び掛けている。
しかし、NIIDの調査には問題がありそうな気もする。調査票は4ページ41項目にも及び、保健所、病院の基本情報は当然ながら、患者の国籍、住所、氏名、年齢、連絡先、職業、勤務先、既往症(喫煙の有無も含む)、臨床経過などを記載することになっている。臨床経過では咳や熱、のどの痛み、鼻汁、倦怠感、頭痛、意識障害、けいれんの有無などだ。
これらの質問項目に従って電話を通じて一つひとつ聞き出し、調査結果を電子データに落とし込む作業は大変なのは容易に想像できる。
徒労感だけが募るこのような調査に加え、罰則規定が加わる。入院拒否や疫学調査に虚偽の報告をした人の罪を立証するために、調査するときに「虚偽の報告をすると、罰せられることがありますよ」などと告知し、応答を記録でもするのだろうか。そうでもしないと、裁判にでもなったら「虚偽報告」を立証できないだろう。国会議員の常套句「そのときは意識が朦朧としており記憶にございません」と答えられたらどうするのだろう。
患者も大変だ。検査を受けようにも受けられず、入院もままならず、高熱にうなされ気が動転し、意識が薄れてでもいたら、保健所の聞き取り調査にどれだけの人が正確に答えられるだろうか。〝もうどうにでもしてくれ〟と言いたくなるのではないか。
それにしても、感染源と思われる行動、場所などについての調査項目がないのはなぜか。職業・業種・学校名を記載する項目は1行のみなのはどうしてか。東京都の感染経路不明が50%を超え、感染者の40%の人が職業不明で、職業が判明している人は「医療関係者」「介護関係者」「医師」「タクシー運転手」「接客業」などと具体的に書かれている一方で、「会社員」「その他」「無職」などが圧倒的に多いのもこのためだ。
いずれにしろ、法改正に伴うプレッシャーは感染者、保健師とも相当なものだろう。
ただ、特措法・感染症法の改正の効果と断定はできないが、東京都の感染経路不明率は、一昨日(1月28日)は48.8%で、昨日(1月29日)は49.7%と2日連続して50%を切った。経路不明率が50%を割ったのは12月4日の49.2%以来実に1か月23日ぶりだ。今回の第三波では60%を超え、1月6日には71.7%と70%を超える日もあったことを考えるといい兆候だ。感染者も保健師も同じ方向を向いているからだと理解したい。
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特措法・感染症法の改正については反対意見も多い。日本弁護士連合会は1月22日付で「感染症法・特措法の改正法案に反対する会長声明」を出した。
声明は「今回の改正案は、感染拡大の予防のために都道府県知事に広範な権限を与えた上、本来保護の対象となるべき感染者や事業者に対し、罰則の威嚇をもってその権利を制約し、義務を課すにもかかわらず、その前提となる基本的人権の擁護や適正手続の保障に欠け、良質で適切な医療の提供及び十分な補償がなされるとは言えない」と断じている。
反対理由の一つとして「刑罰(※)は、その適用される行為類型(構成要件)が明確でなければならない。この点、新型コロナウイルス感染症は、その実態が十分解明されているとは言い難く、医学的知見・流行状況の変化によって入院措置や調査の範囲・内容は変化するし、各保健所や医療提供の体制には地域差も存在する。そのため、改正案の罰則の対象者の範囲は不明確かつ流動的であり、不公正・不公平な刑罰の適用のおそれも大きい」と指摘する。
そして、「単に入院や調査を拒否したり、隠したりするだけで『犯罪者』扱いされるおそれがあるとなれば、感染者は感染した事実や感染した疑いのあることを隠し、かえって感染拡大を招くおそれさえ懸念される」「安易に感染者等に対して刑罰を導入するとなれば、感染者等に対する差別偏見が一層助長され、極めて深刻な人権侵害を招来するおそれがある」と主張する。
事業者に対する罰則については、「飲食の場に感染リスクがあるというだけで、死活問題となる営業時間の変更等を求められるのは、あまりにも酷である。かかる要請・命令を出す場合には、憲法の求める『正当な補償』となる対象事業者への必要かつ十分な補償がなされなければならず、その内容も改正案成立と同時に明らかにされなければならない。
また、不用意な要請・命令及び公表は、感染症法改正案と同様、いたずらに風評被害や偏見差別を生み、事業者の名誉やプライバシー権や営業の自由などを侵害するおそれがある。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するためには、政府・自治体と市民との間の理解と信頼に基づいて、感染者が安心して必要な入院治療や疫学調査を受けることができるような検査体制・医療提供体制を構築すること及び事業者への正当な補償こそが必要不可欠であって、安易な罰則の導入は必要ないと言うべきである」としている。
(※)日弁連が声明を発表したときの改正法は刑事罰となっていたが、与野党合意によって刑事罰ではなく行政罰になる。
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記者は、この日弁連声明に対して賛否のコメントは差し控えたい。わからないからだ。ただ、「罰則の対象者の範囲は不明確かつ流動的であり、不公正・不公平な刑罰の適用のおそれも大きい」という指摘はもっともだと思う。
そして危惧するのは、日弁連も指摘する「政府・自治体と市民との間の理解と信頼」が構築されているのかどうかという点だ。われわれ国民と政府、専門家などとの「リスクコミュニケーション」は決定的に欠けていると言わざるを得ない。感染者は過料を科されることの負担と、言い逃れすることの利益を天秤にかけるはずだ。人の命より目先の利益が勝ったら、みんな過料を選ぶ…そんな世の中になるのか。
だが、しかし、感染拡大を防止するため奮闘している保健所関係者、劣悪な環境で歯を食いしばって感染者の治療に当たっている医師や看護師、行政や地域からも見放された高齢者施設で働く介護事業関係者、さらには相対的に低賃金に抑えられているエッセンシャルワーカー(職業に貴賎なし。小生はあらゆる職業の人がそうだと思うが)などのことを考えると、みんなの命と生活を守るためにはある程度の忍従に甘んじ、行政の呼びかけに積極的に応えるべきだと思う。〝悪法もまた法なり〟というではないか。
新型コロナ 爆発的に増加 感染者の〝職業不明〟割合 都は40%超(2021/1/10)
新型コロナ 緊急事態宣言へ 飲食店の時短だけで効果あるか/どうなる特措法の罰則(2021/1/5)
16日の都のコロナ感染者 過去最多の678人/感染経路調査に強制力持たすべき(2020/12/17)
新型コロナ感染者 職業の最多は「不明」35% 退院後の心のケア必要 都のデータ(2020/11/16)
70歳以上の感染者 従来の4~5倍 全体に占める割合も倍増の2割へ 都の新型コロナ
一都三県を対象とした新型コロナ緊急実意宣言が1月7日に発出されてから3週間が経過した。感染者は減少傾向にあるが、小池百合子都知事は1月29日の定例記者会見でも高齢者の感染者が増加し、医療態勢は引き続きひっ迫していることなどから、より一層の行動抑制を訴えた。事業者に対してはテレワークとローテーション勤務を組み合わせた「テレハーフ」の実施を呼び掛けた。
また、実効再生産数が現在の0.7以下の0.5以下に抑制しないと感染者は減らないことから、宣言延長の可能性も示唆した。
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小池都知事も話したように、高齢者の感染者が増加し、感染者全体に占める感染比率も拡大傾向にある。
別表は、東京都のオープンデータから最近の70歳以上の性別、年代別感染者と感染比率を表とグラフで示したものだ。
70歳以上の感染者の数は、第2波までは数十人くらいに収まっていたが、11月に入り増加傾向をたどっていた。
それでも別表にあるように、12月31日に132人となるまでは毎日概ね100人以下で推移していた。
ところが、年明けの1月5日に131人を記録するとその後、1月28日までは100人を割ることはなく、1月15日には過去最多の263人になるなど200人前後で推移している。
全体の感染者に占める割合も、10%以下で推移していたのが1月15日には13.1%となると、1月24日は21.7%と初めて20%台にのぼった。
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どうして高齢者の感染者が増加しているのか。その理由はどこも明らかにしていないと思う。高齢者の重症化率が高いことは当初から指摘されており、小生なども徹底して〝三密〟を避けてきた。どうしてこの1~2カ月の間に4~5倍に増加するのか。果たして「飲食」が拡大の主な理由なのかという疑問はぬぐえない。
この点について、菅義偉首相は1月7日、一都三県を対象とした新型コロナ緊急事態宣言を再発出するにあたって記者会見で次のように述べた。
「専門家も、東京で6割を占める経路不明の感染の原因の多くは飲食が原因であると指摘されています。今回の宣言に当たり、飲食店については20時までの時間短縮を徹底します」
「私たちは、この1年間の経験で多くのことを学んできました。大事なのは、会話をするときは必ずマスクをお願いする。さらに外食を控えて、テレワーク7割、夜8以降の不要不急の外出の自粛、特にこの3点を徹底していただければ、必ず感染を抑えることはできると考えております」
記者は、「東京で6割を占める経路不明の感染の原因の多くは飲食が原因であると指摘されています」と述べられたことに注目した。専門家が指摘しているのだからこれは事実なのだろうが、そもそも感染経路が不明の人の原因の多く(別の会見では「大半」と話された)は飲食が原因とどうしていえるのだろうかと感じた。一方で、飲食が原因でない残りの感染者は職場や家庭だろうから、ここでの感染を防ぐにはどうしたらいいのだろうかと考えた。菅総理もだからこそテレワーク7割、夜8時以降の不要不急の外出自粛を呼びかけたのだろうと思った。
しかし、電車やバスなどの交通機関による移動、単なる外出だけでは感染はそれほどないはずだ。やはり勤務する人の行動をどう抑制するかが課題ではないか。「飲食」についても、記者はきちんと対策を練ればリスクは抑えられるような気がしてならない。
本日(29日)は、100歳以上の方の感染も激増していると書いた。〝気のゆるみ〟では絶対ないはずだ。どなたか究明してほしい。
100歳以上は1月だけで32人 昨年1年間の16人の2倍 東京都の新型コロナ感染者
先週1月24日にも書いたのだが、東京都の100歳超の新型コロナ感染者が急増している。1月23日時点では21人(累計37人)だったのが、その後、24日が女性3人、26日が男女各1人、27日が女性4人、28日が女性2人の感染が判明し、1月だけで32人、昨年1年間の感染者16人の2倍に達した。累計では48人になった。
28日行われた都の新型コロナ感染症対策本部でのモニタリング会議では、入院患者の年代別割合は60 代以上が11月中旬以降、高い割合で推移しており、全体の約2/3を占めていことから、「家庭、施設をはじめ重症化リスクの高い高齢者への感染の機会をあらゆる場面で減らすとともに、基本的な感染予防策、環境の清拭・消毒を徹底する必要がある」とのコメントが寄せられている。
100歳以上の感染者の感染源はほとんどが同居者と施設だと思われる。
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心配な数字だ。100歳以上だからご本人が外で飛び回るようなことはなく、感染源は同居家族か、施設であれば外からウイルスが持ち込まれたのは間違いない。ご本人はもちろんだが、ご家族や介護関係者の心労はいかばかりか。
素人の記者が言うべきことではないかもしれないが、昨年10月、三菱地所ホームの新商品発表会で披露された日機装の空間除菌消臭装置「Aeropure」はスグレモノだと思った。8畳用で6.4万円だからそれほど高価でもない。
東急リバブル 新築値下げ物件など紹介サイト「アウトレット不動産モール」開設
東急リバブルは1月28日、自社ホームページ上に特典サービス付で購入できる新築未入居物件を取り揃えた特設サイト「リバブル アウトレット不動産モール」を同日に開設したと発表した。
新築と中古を並行して検討する人が増え、その垣根は年々低くなっていることに着目し、新築未入居で、何らかの購入特典が付いている物件のみを集約して掲載するもの。
価格改定(値下げ)された物件やモデルルームなどの家具付き物件、オプションサービスなどの特典が付いた物件に限定した住まい探しが可能になる。
物件掲載料はマンションが10万円/月、戸建てが2万円/月、サイトにより成約した場合の紹介料はマンションが100万円、戸建てが50万円。サイトに掲載する物件目標は常時100~170物件(開設時は約40件)。
「リバブル アウトレット不動産モール」サイトはhttps://www.livable.co.jp/kounyu/tokushu/outlet/
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いまマンション市場では、割安と思われる物件を市場でバルク買いし、それに価格をオンして売るデベロッパーもいるが、さすがリバブル。これはいい。いいところに着目したものだ。物件の価格にもよるが、掲載料と紹介料を合わせても法定仲介手数料より安くて済むので、在庫を抱えるデベロッパーは〝渡りに船〟ではないか。
記者もリバブルのサイトを「お気に入り」に入れて時々チェックすることに決めた。
一つだけ気になるのは、このサイトに掲載されれば〝売れないデベロッパー〟の見本として世間に知れ渡らないかという点だ。それが常態化すれば、〝アウトレット入り〟するまで購入を待つ人を増やすことにならないかという点も心配だ。
さらにまた、そもそも値下げをしなければ売れない物件を供給するというのは、市場を読み違えたということでもあり、プロとしての鼎の軽重を問われかねない…〝背に腹〟は変えられないか。
そうしたマイナスイメージを払拭させるために、〝みんなで渡れば怖くない〟-とにかくリバブルはたくさん物件を集めることだ。デベロッパー各社も〝明日は我が身〟だ。〝優良〟物件をどんどん掲載依頼して、バーゲンセールサイトにしないように協力すべきだ。