まるでアート 圧倒的な空間提案と日本の匠の技多用 アキュラホーム 新宿展示場
「AQレジデンス新宿展示場」
アキュラホームの「AQレジデンス新宿展示場」を見学した。新宿区のハウジングステージ新宿に6月12日オープンしたもので、同社の高価格帯ブランド「AQレジデンス」の瀬田、馬込展示場に続く第三弾。
素材には自然石、無垢材、漆喰など内外の自然素材を採用し、日本を代表する匠職人とのコラボレーションにより、土壁や和紙光壁、漆塗りを多用。天空光を巧みに取り込む5層住宅となっている。
エントランスの外部ポーチには、一枚岩の花崗岩や火成岩を採用。吹き抜けには和紙作家堀木エリ子氏が手掛けた高さ5.4mの手漉きの和紙光壁が本磨きの御影石に映り込むように演出。
リビングダイニングには、自然塗料で仕上げた幅29cm長さ2.4mもある一枚もののホワイトオークを使用。アクセントウォールには重厚感のあるフランス産の粘板岩を水の流れをイメージして配置。
ホビールームには、ホワイトオークを燻製しオイル仕上げでフィニッシュしたフロア、ヴィンテージチーク材をダイス状にしたアクセントウォール、昔ながらの藁を使った釜焼き製法のレンガ壁を配し、3.8帖と小さな空間ながらも5.4mの天井高さを確保した空間を演出している。
打合せルームには、天井高3.4mに広がる漆喰壁は石灰と川砂と薄い顔料を絶妙に配合して微妙なグラテーションを演出。フロアは楡(ニレ)の古材を使用。
3階は、外部と内部を一体的なリゾート感に溢れた空間を演出。天井と軒裏には3か月の天日干しにより銀色に変化をさせた南洋材の「メルパウ」を内外の天井に採用。また、壁には石灰岩をアクセントとし、リゾート感を演出。輪島塗り職人・一松春男氏の洗面ボウルを採用。屋上テラスにはジャクソン製の浴槽を設置している。
モデルハウスは木造軸組み工法3階建て延べ面積220.66㎡(66.74坪)。坪単価150万円くらいを想定している。
3階屋上テラス(ジャクソンの浴槽は250万円とか、庇裏は3カ月天日干ししたメルパウ材)
久住氏による土壁
堀木氏による光壁
洗面室(ボウルは一松氏による漆塗り)
◇ ◆ ◇
ハウジングステージ新宿にもう一つの富裕層向けモデルハウスが誕生した。坪単価では254万円の三菱地所ホーム、広さでは120坪の旭化成ホームズだが、アキュラホームは自然素材を多用し、わが国の伝統的な匠の技を惜しげもなく注ぎ込んだアート作品ともいうべきモデルハウスだ。
堀木氏、久住氏、一松氏のそれぞれの作品は見事というほかない。小生はいつもの貧乏人根性を丸出しにし買ったらいくらかを聞いたが、担当者は「値はつけられない」というのですごすごと退却した。久住氏の微妙な土壁は淡路島の砂を用いたものだそうで、高級料亭でも見られるかどうか。しばし見とれた。
キッチン(天空光を巧みに取り込んでいる)
リビング(正面のオブジェはフランス産の粘板岩を採用)
◇ ◆ ◇
同社は〝カンナ社長〟宮沢俊哉氏が広告塔として獅子奮迅の活躍をされており、どちらかといえば一般庶民向けのハウスメーカーというイメージが強い。しかし、富裕層向けとしても市民権を得るような気がする。大手と互角以上に戦えると確信した。
ただ一つ、惜しいと思ったのは外壁だ。大きさにして幅10m×高さ8mの白いフランスの石灰石を素材にした壁はこのままではもったいなさすぎる。映画のスクリーンにもなるので、レプリカでいいから絹谷幸二氏のアフレスコ、ピカソのゲルニカ、ルノワールの裸婦…などを時間ごと日替わりで映し出したら近隣住民からも圧倒的な支持を得られるのではないか。
さらにまた、モデルハウスは総合展示場だけでなく、自社単独で同じものをどこかに建て、1日1組限定で宿泊体験もできるようにしたら成約棟数も激増するのではないか。料理人を呼んで食事付きにでもすれば1泊10万円でも安い。
打ち合わせスペース(床はニレの古材)
アーチ型天井と列柱の無柱空間に驚嘆 旭化成ホームズ 「新宿」に富裕層向けモデル(2020/6/16)
「Doma(土間)」とLDK一体化 コスモスイニシア「日暮里テラス」企画秀逸
「イニシア日暮里テラス」
コスモスイニシアが8月に分譲する「イニシア日暮里テラス」(54戸)と「イニシア日暮里アベニュー」(45戸)のモデルルームを見学した。「Doma(土間)」とLDKを一体利用できるよう提案した、同社が「より良い住まいのカタチを、過ごし方から考えたネクスト・スタンダードの空間品質『すごしかたファースト』」と呼ぶ「テラス」のモデルルーム(56㎡)が秀逸。マンションの商品企画を一変させるかもしれない。
間取り図をご覧いただきたい。妻側住戸プランで、エントランスを入るとすぐ約2.9畳大の窓付きタイル張りの「Doma(土間)」があり、小上がりにして数センチの段差を設けた13.5畳大のLDKと一体利用できるようにしている。双方を合わせると約16.4畳大の広さになる。LDKの奥の居室・ベッドルームはスライドウォールで区切ればそれぞれ5.5畳大の2室に、開け放てば11.0畳大の1室になる。
物件は、JR日暮里駅から徒歩11分(三河島駅から徒歩5分)、荒川区東日暮里三丁目の商業地域・準工地域に位置する10階建て54戸。専有面積は34.21~66.44㎡、価格は未定だが、予定坪単価は324万円。竣工予定は2021年2月上旬。施工はライト工業。
当初はゴールデンウィークに分譲する予定だったが、新型コロナの影響で6月13日にモデルルームをオープン。新規顧客は1日6組に限定して対応している。「イニシア日暮里アベニュー」は、日暮里駅から徒歩12分の11階建て45戸。「テラス」を先行して販売する予定。
モデルルームプラン
「Doma(土間)」(手前)
◇ ◆ ◇
「土間」の提案は戸建てでは常識で、各社がそれぞれ競い合っている。マンションでも各社がこれまでたくさんトライしてきた。いま思い出すのは2010年に分譲された野村不動産・三井不動産レジデンシャル「中野ツインマークタワー」だ。「60㎡でも90㎡と同等の価値」を具現化したものの一つとして、玄関に約1畳大の「ライフガレージスペース」を提案したものだった。
しかし、今回のコスモスイニシアは「土間」と「LDK」の境を数センチの小上がりで区切るだけでほとんど一体利用が可能なスペースに変えた。恐らくこのような大胆な提案を行ったのは同社が初めてだ。
これと、同程度の面積の一般的な田の字型2LDKプランと比較していただきたい。一般的なプランだと、キッチンは3.3畳大、LDはせいぜい11畳大、居室は廊下を挟んで6畳大と4.5畳大くらいだろう。
コスモスイニシアの今回のプランは中住戸で採用するのは難しいだろうが、角住戸に採用すれば付加価値が高いので強気な値付けが可能になる。
共用部分
モデルルーム(左手前が「土間」)
旭化成ホームズ 「のきのま」モデル棟 土間・LDKと一体利用すれば30畳大の空間(2018/5/22)
活況市場反映 記録的な一挙販売 三井・野村「月島」(2013/6/25)
感動的なマンションを見た 野村不・三井不レジ「中野ツインマークタワー」(2010/11/26)
東京都 新型コロナ累計感染者 年代・性別では20代男性が30代男性抜き最多に
東京都は6月25日、新型コロナウイルス感染者が新たに48人判明し、うち19人が感染経路不明・調査中と発表した。この結果、累計の感染者数は5,948人で、年代・性別では20代男性が前日(24日)から11人増加し657人となり、前日(24日)から5人増の30代男性の655人を抜き、初めて最多となった。また、20代女性は592人となっており、40代男性の601人にあと9人に迫っている。
新型コロナは「死に至る病」でなく〝絶望〟とも無縁 若い人の感染者が多い理由(2020/6/24)
東京都 新型コロナ 感染者は20代男性・30代男性・20代女性の〝三強〟の争い(2020/6/22)
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〝闇社会〟〝二重就業〟の記事アクセス1万件突破/北九州「第2波」 どこでも(2020/6/1)
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北区初のZEH 近鉄不「赤羽」/涙が出るほど嬉しかった「お父さん、頑張ってね」
「ローレルコート赤羽」
近鉄不動産が8月に分譲する「ローレルコート赤羽」を見学した。同社初、北区初の「ZEH-M Oriented(ゼッチマンションオリエンテッド)」認定マンション。共働きにターゲットを絞り、全81戸のほとんどを専有面積50~70㎡台の2・3LDKとしているのが特徴。資料請求はこれまでに850件に達している。
物件は、JR赤羽駅から徒歩8分、北区赤羽南二丁目の準工業地域に位置する敷地面積約2,658㎡の8階建て全81戸。専有面積は53.86~72.44㎡、価格は未定。竣工予定は2021年1月下旬。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。デザイン監修は南條設計室。
現地は、大日本印刷の印刷工場跡地。用途地域は準工地域だが、周辺には嫌悪施設はほとんどない。近接して、やはり大日本印刷の敷地跡地で長谷工コーポレーションのサ高住と三井不動産レジデンシャルの老人ホームがそれぞれ建設中。敷地東側は道路を挟んで小学校。病院も近い。敷地は三方道路に囲まれており、建物は南南東向き。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、食洗機、ディスポーザ、キッチン・リビング天井高2400ミリ(内蔵梁採用)、Low-Eガラス・樹脂サッシ、キッチン床暖房など。
これまで資料請求は850件あり、6月13日からモデルルームを完全予約制でオープン。すでに50件の来場がある。
◇ ◆ ◇
もちろん最大の〝売り〟はZEHマンションだ。記者は首都圏のZEHマンションを3件しか見学していないが、トータルでも数えるほどしかないはずだ。今回の物件は樹脂サッシを採用しており、リビングダイニングだけでなくキッチンにも床暖房を採用しており、内蔵梁を採用することでリビングダイニングと同様、キッチンの天井高も2400ミリ確保しているのがいい。
問題の価格はいくらになるか。同社は「未定」としているが、記者は坪330万円と読んだ。嫌悪施設はないが、倉庫街というイメージがぬぐえず、生活利便施設も少ないからだ。同社には〝そんなに安くないぞ!〟と怒られるか。
赤羽駅圏の最近のマンションでは、赤羽駅から徒歩8分で伊藤忠都市開発「クレヴィア赤羽ステーションテラス」(88戸)が分譲中だ。こちらは坪単価340万円。販売は好調で大きい間取りタイプが完売。これから狭いタイプの分譲が始まる。さらに、同社は駅から徒歩6分の「クレヴィア赤羽レジデンス」(68戸)を近く分譲する。記者は坪360~370万円と予想する。
赤羽駅前(30人くらいがタバコを吸っていた)
◇ ◆ ◇
赤羽は昔住んでいたのでよく知っている。取材を終えたのがちょうど昼頃。おなかが空いてきた。2月末からテレワークに突入してから、近所の行きつけの飲食店を利用したことはあるが、他のエリアで食事をしたことは一度もない。コロナ前は1日3回くらい利用していたタバコが吸えるカフェもこの間、入ったのは1度きり。
withコロナだ。勇気を奮い立たせてどこかに入ろうと考えたが、チェーン店の店は結構客が入っており、なかなか入る勇気がない。
取材はもう1件入っており、食事は我慢しようかとも思ったが、昔よく利用した赤羽一番街に向かった。屋台形式でひょっとしたら食事ができタバコも吸えるかもと考えたからだ。
あった!アットホームであった、アットホームであった、逢ったらぴったんと…。入れ、入るな、入れ、入るな、入れば、入れ、入る…お世辞にもきれいな店とは言い難いが、昔利用した店よりははるかに美しかった。早速ビールとシラスおろしを注文。嬉しくなってビールをもう一杯頼んだ。断っておくが生ビールを2杯飲んだくらいで小生は取材に全然影響ない。口がより滑らかになるほどだ。
勘定を済ますとき、店の若い女性とコロナ話をしたら、「お父さん、頑張ってね」と励まされた。涙が出るほど嬉しかった。「コロナに負けずに生きていたらまた来るからね」と返事した。
駅に帰り着いたときだ。値段がずいぶん安いと思い、貰ったレシートをみたら、お通し390円、シラスおろし390円、ビール490円、合計1,397円とあるではないか。間違いなくビールを2杯飲んだので、1杯分をつけ忘れたことが分かった。また戻る時間はなかったので、次の取材先に向かった。店の名前は分からないが、小生はこの恩は忘れないし、絶対にもう一度行ってきちんとビール代を払います。
〝住めば、北区東京。〟効果か、この漫画を描いた方と壇蜜さんが結婚したことも拍車をかけているのか、最近「赤羽」が人気だそうだ。確かにいい街だ。駅前で自由にタバコを吸える街はそうない。
記者が利用した飲食店(外のテーブルがそう)
赤羽一番街
「ザ・ガーデンズ東京王子」 販売好調/北区がPRポスター「住めば、北区東京。」(2016/9/18)
「青山ベルコモンズ」跡地 三菱地所 複合ビル「the ARGYLE aoyama」竣工
「the ARGYLE aoyama(ザ・アーガイル アオヤマ)」
三菱地所は6月24日、港区北青山二丁目で開発を進めてきたオフィス・ホテル・商業の複合ビル「the ARGYLE aoyama(ザ・アーガイル アオヤマ)」が2020年6月19日(金)に竣工したと発表した。
80年代のファッション業界の象徴的な建物として知られた「青山ベルコモンズ」跡地に建設されたもので、建物は地上20 階建て延床面積23,122.57㎡。5~15階のオフィスフロアは満室稼働。1~2階の商業ゾーンは7月1日(水)から順次オープン予定。19~20階の東京初出店となるPlan・Do・See 運営の「THE AOYAMA GRAND HOTEL」は8月に開業する予定。
ホテルは、「青山ベルコモンズ」が一世を風靡した80年代を意識したライフスタイル型ホテル。客室数は全42室、客室サイズは約30~60㎡。
ホテルエントランス
ホテル客室
レストラン
新型コロナは「死に至る病」でなく〝絶望〟とも無縁 若い人の感染者が多い理由
前回(6月22日)、緊急事態宣言解除後の東京都の新型コロナ感染者は20代男性・30代男性・20代女性の〝三強〟(〝三つ巴〟か)と書いた。
記者は専門家でも何でもないが、この〝三強〟が来るべき第二波、第三波でも主導権を握るのではないかと思う。
厚労省のデータでは、感染者のうち「死に至った」人は国民的なタレントの志村けんさん(70)や岡江久美子さん(63)、力士の勝武士さん(28)のように高齢者や基礎疾患の持ち主で、若い人は数%にとどまっている。プロ野球選手の藤浪晋太郎さん(26)、坂本勇人さん(31)、大城卓三さん(27)などはいつの間にか完治し、現場に復帰した。
われら高齢者で基礎疾患の持ち主にとって新型コロナは間違いなく「死に至る病」だと思うが、若い人はこの数カ月の間にそうではないことを学んだ結果、〝夜の街〟に繰り出し、あるいは生きるために働きだしたのではないか。〝withコロナ〟を若い人は実践していると考えれば、第二波、第三波の対応策も見えてくるし、希望も湧いてくる。
6月23日現在、東京都の新型コロナ感染者を年代別・性別で見ると、もっとも多いのが30代男性の641人で、以下、20代男性の621人、40代男性の592人、20代女性の576人の順。最近の動向からすれば、20代男性が最多になるのは時間の問題で、20代女性も40代男性を抜きそうだ。
◇ ◆ ◇
19世紀の哲学者キェルケゴールはその著「死に至る病」(岩波文庫・斎藤信治訳)の緒論で次のように述べている。
「キリスト教的な意味では死は決してすべてのものの終わりではない。それは一切であるものの内部におけるすなわち永遠の生命の内部における小さな一つの事件にすぎない。キリスト教的な意味では、単なる人間的な意味での生命におけるよりも無限に多くの希望が、死のうちに存在するのである、――この生命がその充実せる健康と活力のさなかにある場合に比してもそうである。
それ故にキリスト教的な意味では、死でさえも『死に至る病』ではない。いわんや地上的なこの世的な苦悩すなわち困窮・病気・悲惨・艱難・災厄・苦痛・煩悩・悲哀・痛恨と呼ばれるもののどれもそれではない」
そして、「死に至る病」とは「絶望」のことであると本論で説く。
◇ ◆ ◇
キェルケゴールがこの著を公にしたのは36歳のときだ。そして、「祖国の困窮時代が漸くその終わりに近づき、この年を前後して国内に政治的・経済的改革が相次ぎ、彼の祖国が新興デンマークとしての輝かしいスタートを切るほぼその年に当たる」(斎藤氏)1855年の42歳で死亡した。
いまキェルケゴールが生きていたら新型コロナも「死に至る病」ではないというかどうかは分からないが、いまの若い人たちは「死に至る病」でないことを確信しているからこそ〝夜の街〟に繰り出しているのであって、〝絶望〟とは無縁ではないか。
東京都 新型コロナ 感染者は20代男性・30代男性・20代女性の〝三強〟の争い(2020/6/22)
新型コロナ感染者 宣言解除後は20代男性が最多〝夜の街〟自粛呼びかけ 効果あるか(2020/6/7)
新型コロナ「東京アラート」発動 都知事〝夜の街〟強調/大阪府は20代の女性が最多(2020/6/3)
〝闇社会〟〝二重就業〟の記事アクセス1万件突破/北九州「第2波」 どこでも(2020/6/1)
新型コロナ 都の感染者5月は20代女性が突出 全体の14% 同世代男性の倍以上(2020/5/29)
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社会的弱者に襲い掛かり、ジェンダー性差をあぶりだす 新型コロナの本性(2020/5/25)
〝不平等社会〟あぶりだす新型コロナ5月の感染者 年代・性別で最多は20代女性(2020/5/18)
新型コロナ 感染経路不明者が減らない理由 〝闇社会〟〝二重就業〟も一因(2020/5/11)
「HARUMI FLUG」引き渡し時期延期 販売再開も「未定」
昨日夜、NHKが「HARUMI FLUG」の「入居時期が1年程度遅れ」、すでに販売された940戸の既契約者は「デベロッパーの説明では、1年遅れの入居を受け入れるか、解約して手付金の返還を受けるか年末までに判断するように言われた」と報じた。その後、各メディアも一斉に記事を発信した。
この件について、事業主の幹事会社・三井不動産広報は「私たちから新たな引き渡し時期について話していない。いまゼネコンさんと折衝中」としており、「引き渡し時期が決まらないので、販売再開も現段階では未定」としている。
◇ ◆ ◇
引き渡し時期が当初予定の2023年3月より後にずれ込むことがほぼ確定した。
既契約者もショックだろう。マンションの購入者は引き渡し時期に応じて賃貸借契約の解除、子どもの転校、公共料金の手続きを行う。多くのマンション引き渡しが3月になっているのは、子どもの転校にそれほど抵抗感がないからだ(小生は、引き渡し直前になって子どもから「お父さん、引っ越しいやだ。友だちと別れたくない」などと泣きつかれ、手付流しで解約したことがある)。
しかし、報道にあるように、契約者が手付金の倍返しや違約金を請求することはまず認められないだろう。売買契約書に「引き渡し前の滅失・毀損」条項があり、天災地変その他売主または買主のいずれの責めにも帰すことのできない事由によって物件が毀損した場合は、売主は物件を修復して買主に引き渡すものとし、引き渡し期日については双方が協議するとなっている。協議がまとまらなければ、双方とも契約を解除できる、つまり契約は白紙、なかったことにし、その際の違約金支払いの責は双方ともないと明記されているはずだ。
「元町通り」に面した明和地所「クリオ横濱元町通り」 第1期9戸ほぼ完売
「クリオ横濱元町通り」
明和地所が分譲中の横浜「元町通り」に面した「クリオ横濱元町通り」を見学した。6月12日(金)から第1期9戸が販売開始され、ほぼ全戸に申し込みが入ったことから、近く第1期2次6戸の販売を開始する。坪単価は400万円前後になる模様。
物件は、みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩6分、またはJR京浜東北線・根岸線・横浜線石川町駅から徒歩6分、横浜市中区元町4丁目の商業地域に位置する敷地面積511.26㎡、8階建て全43戸(住戸40戸、事業協力者店舗1戸、管理事務室2戸)。専有面積は31.72~110.23㎡、価格は4,000万円台前半から。坪単価は100㎡以上のタイプは坪400万円を切る模様で、全体的には400万円くらいになる模様。竣工予定は2021年10月下旬。設計はスタイレックス。施工は大勝。
住戸プランは、2~6階までは1フロア6戸で、南向きが70・65・75㎡、北向きが31・36・54㎡。7・8階は1フロア5戸で、南向きは100・110㎡。リビング天井高は4.25m。
「アタラシイ住まいのカタチ」を具現化した「atarashie(アタラシエ)」を初採用。共用部はエントランスホールにWi-Fi環境を整備するほか、建物内の動線は「非接触」仕様とし、エントランスの解錠からエレベーターの呼び出し、エレベーター内の操作をノンタッチキーで対応、自宅階に自動着床する。専有部は在宅勤務の増加に備え、快適なインターネット環境を整備、最大1Gbps回線を採用する。
販売を担当する同社クリオライフスタイルサロン横浜の課長・前田崇裕氏は、「5月に販売を予定していたのですが、新型コロナの影響で延期していました。問い合わせは全国区。現地の看板を見て問い合わせされる方も結構いらっしゃる。接客ブースは10席あるのですが、間隔を空けて対応させていただいています。それでも土曜、日曜は1日当たり10件くらいの来場者があります。第1期は完売のめどが立ち、7月下旬に第一期2次として6戸を販売する予定です。高額住戸は価格を非開示としていますが、均すと坪単価は400万円くらい。竣工まで完売するのは間違いありません」と販売に自信を見せている。
◇ ◆ ◇
同社がニュース・リリースを発信したのが6月19日。「元町通り」に面していると知って、これは見学しないといけないと考え、すぐ取材の申し込みをした。急な取材申し込みに快く受けていただいた同社に感謝したい。
新型コロナがなければ現地も見て、横浜中華街あたりで食事をしようと思ったが、前田氏も「当社を代表する物件。責任がある。お客さまの安全・安心を確保するため、自宅と会社・サロンを往復する以外、寄り道して飲むようなことはしていません。タバコ? 止めました」というので、小生もぐっとこらえて横浜駅前の喫煙所でタバコを1本喫ったのみで帰ってきた。
現地はおおよその見当がつく。インテリックスが2115年に分譲して人気になった坪単価330万円の「リシャール横濱元町」(23戸)のほぼ対面だそうだ。
売れ行きがいいのも納得する。神奈川県のマンションでは、先日、三菱地所レジデンスが「鎌倉」を分譲すると発表したが、この「元町」もいい勝負だ。同じ富裕層でも客層が少し違うような気がする。これは好き嫌いの問題だ。両方買う人がいても驚かない。小生は「元町」を選ぶ。
現地完成予想図(「リシャ―ル横濱元町」は左側)
東京都 新型コロナ 感染者は20代男性・30代男性・20代女性の〝三強〟の争い
東京都の新型コロナ感染者数は〝三強〟の争い-先月25日に新型コロナの緊急事態宣言が解除されてからほぼ1か月近くが経過する。解除後の都の感染者は633人(1日平均23.4人)で、感染経路不明者は285人(単純平均不明率45.0%)となっており、予断を許さない状況が続いているが、年代別・性別感染者では20代男性が179人(28.3%)と他を圧倒し、30代男性と20代女性の免疫力・再生力が勝る〝三強〟が全体の59.9%を占めている。
別表は、都のデータから緊急事態宣言解除後の感染者を年代別・性別に振り分けたものだ。
男女別では男性407人(64.3%):女性226人(35.7%)となり、宣言解除前の比率とそれほど変化はない。
宣言解除前と著しく変わっているのは、20代男性の感染者が断トツであることだ。宣言解除前の感染者と合わせると602人となり、最多の30代男性の632人に迫る勢いだ。勢いからすれば、30代男性を抜くのは時間の問題だ。
20代女性は82人で、女性の中では二番目に多い30代の43人のほぼ2倍に達している。
◇ ◆ ◇
6月に入って、小池都知事の一連の〝夜の街〟〝歌舞伎町〟〝ホストクラブ〟発言に乗りメディアも連日のように〝夜の街関連〟を報じている。
記者が懸念するのは、20代と30代の男性と対をなす層があるはずで、その層の人が爆発的に増えないかということだ。
〝君子危うきに近寄らず〟というが、記者のような馬鹿で高齢者、しかも基礎疾患の持ち主、さらには喫煙者、飲酒常習者(これはコロナ感染と因果関係はなさそうだが)はどうすればいいのだ。
唯一一つだけ新型コロナに感謝するとすれば、街行く女性が素晴らしく美人に見えることだ。桃色マスクに悩殺される。
前代未聞 価格「未定(新報)・非開示(週刊住宅)」で販売好調 トーセイの戸建て
小生もそうだが、わが住宅新報と週刊住宅の業界紙の記者の皆さんも大変なようだ。デベロッパーもハウスメーカーも新型コロナの影響を受け、取材も含めほとんど「自粛」している。紙面の大半は各社のニュース・リリースのコピペ記事だ。
読者にしてみれば、毎週毎週、三日遅れどころか一週間、二週間も過去の賞味期限切れの記事を読まされるのはたまったものではないが、購読料金(ほとんどは勤務先の会社が負担)を考えたらまあ許容範囲か。(WEBを軽視しているのは両紙の致命的欠陥だが)
ところが、両紙の先週号には現場取材をしたのではないかと思われる貴重な記事が掲載されていた。トーセイ「THEパームスコートひばりが丘」だ。まずは両紙を読んで頂きたい。太字は小生。
◇ ◆ ◇
【住宅新報(6月16日号)】
「トーセイはこのほど、東京都西東京市で、全30戸の戸建て分譲『THEパームスコートひばりが丘』の販売を始めた。国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)を取り入れた同社初のプロジェクトとなる。現地は西武池袋線のひばりヶ丘駅からバスで5分、バス停から徒歩5分で、分譲地の2方向が、西東京いこいの森公園と東京大学の演習林に接しており、緑豊かな立地が特徴だ。第1期として現在4棟を販売中。建物は木造2階建てで、敷地面積は115~123m2。価格は現時点で未定。
新型コロナウイルスの影響で当初予定よりも販売時期が1カ月ほど後ずれし、広告も近隣へのチラシ配布とウェブのみだったが、『予想以上の反響』(同社)だという。隣接市に暮らす子育て世帯からの評価を得た」
【週刊住宅(6月15日号)】
「トーセイが東京都西東京市で開発している新築戸建分譲住宅地『THEパームスコートひばりが丘』(全30棟)の第1期販売(4棟)の滑り出しが好調だ。SDGs(国連が採択した「持続可能な開発目標」)をコンセプトに盛り込んだ同物件は、緊急事態宣言に伴い、販売開始を約1カ月先の6月6日に延期した。宣言解除後の現在も、モデル棟の見学を1クール2組までの完全予約制に限るなど、営業ペースは抑制しているものの、再来場率は約6割に上っている。
第1期販売分は115~124平方メートルの区画に90~95平方メートルの4LDK(現時点で販売価格は非開示)。20代後半から50代の幅広い年代の子育て層から反響があった」
◇ ◆ ◇
読者の皆さんは、この記事を読んでどう思われるか。トーセイがSDGsをテーマにしていることはわかる。これはこれで結構だし、いまSDGsに取り組まないデベロッパーはアウトだ。ただ、これがマンションや分譲戸建ての購入検討者に響くかどうかは別問題だ。記事はSDGsをテーマにしたのが効果的だったような印象を与えめる。しかし、果たしてそうか。小生は両方の記事を読んでさっぱり分からなかった。
こんなことは書きたくないが、書かざるを得ない。あまりにもひどいからだ。具体的にそのひどさを示そう。
新報はいつもそうだが、「このほど」(同紙は半月前でも「このほど」と書いた前例がある)「4戸を販売開始」し、「価格は現時点(いつのことか不明)で未定」と書く。それでも「予想以上の反響」と同社のコメントを紹介している。
「価格が未定」の戸建てを4戸販売開始したのが事実なら、これは間違いなく業界初、前代未聞の〝快挙〟だ。不動産公取協の規約はどうなっているのか。「価格未定」のまま販売していいかどうかの規制はないはずだ。あり得ないからだ。売る側も買う側も、そしてそれを報じる業界紙も狂っているとしか言いようがない。
さらに、「予想以上の反響」「隣接市に暮らす子育て世帯からの評価」もよく分からない。予想した数値を示さないと、「反響」の大きさは分からないし、「隣接市の子育て」ということは、練馬区は市ではないから武蔵野市、東久留米市、小平市、新座市からの反響が多いということか。地元ではないのか。これが事実だとすれば、これまた凄いことだ。
一方の週刊住宅は、販売開始時期を6月6日と明示している。当然だ。いつ生まれたのか死んだのか、いつ書いたのか、「いつ」が全てを優先する。ただ、同紙が新聞を印刷したのは6月12日のはずで、12日の時点で4戸の売れ行きを示さないと、何をもって「好調」というのか読者には全然伝わらない。「価格は非開示」といわれたら、小生は記事を書かない。分譲開始した物件の価格を(業界紙に)開示しないデベロッパーとは縁を切る。読者に失礼だ。記者にとって読者が全てだ。
結局、両紙の記事はいったい誰に何のために伝えたかったのか、さっぱりわからない。読者を馬鹿にするのもいい加減にしろといいたい。
コラムニストの小田島隆氏は「ザ・コラム 小田島隆 2006-2014」(晶文社 2016年発行)で次のように書いている。耳が痛いが、本質を衝いている。
「記事を配信するならするで、最低限の取材はするべきだ。逆に、独自の取材ができない事情があるとか、取材する気持ちになれないということなら、配信を断念すべきだ。取材せずにニュースを作成することは、メディアの自殺だ。先方が発表したリーク情報をそのまま垂れ流すだけでは、サツ番の犬小屋記者と何も変わらない。キャンキャン。イエス・ゼイ・キャン。吠えているだけ。何もできない」
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さて、トーセイの「THEパームスコートひばりが丘」。ネットで調べた。バス便ではあるがなかなか住環境はよさそうだ。4棟の価格は「4,920万円~5,860万円」とあった。物件を見ていないので何とも言えないが、価格的にはストライクゾーンだと思う。
都内に比肩するものなし 野村不の戸建て「プラウドシーズンひばりが丘」(2012/9/25)
慣用句か枕詞か なぜか頻繁に登場する「このほど」 不動産業界紙の記事(2017/5/3)