マンション管理協 バーチャル総会検討へ/情報の非対称性解消するIT開発も急務
マンション管理業協会(管理協)は6月10日、ITを活用して総会に遠隔(地)から参加・出席することを可能にする「新しいマンション管理様式」の実証実験を開始したと発表した。
現在、マンション管理組合が開催する総会は、区分所有者が一堂に会する形態(リアル総会)で行われているが、今回の新型コロナの影響で実施が困難なケースが今後も想定されるため、リアル総会の開催に加え、インターネットの手段を用いて参加・出席できるハイブリッド参加・出席型バーチャル総会の可能性を探る。
ITリテラシーを充実させ、情報の非対称性をどう克服するかが課題と見られる。
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結構なことだ。規約改正や建て替えなどを議決することなど除く通常の総会は、議決権総数の半数以上(委任状含む)の組合員が出席すれば成立するので、現行でも不都合は生じないと思うが、ハイブリッド総会が可能になったら参加する人も大幅に増え、活発な論議が期待できると思う。
問題は、組合員が積極的に総会に出席できる環境づくりだ。管理協が指摘しているようにITリテラシーをどう整備するか、大きな課題だろうと思う。
一般的なマンションは、主体者である区分所有者が管理会社を選択する仕組みにはなっておらず、デベロッパーがあらかじめ用意した系列子会社の管理会社が担当することになっている。管理の良否を判断する情報は管理会社に握られている。
マンション居住者の記者は理事を担当したとき、同じような規模・経年マンションの管理の実態を調べようと思ったが、管理会社や近隣の管理組合は「守秘義務」を盾に情報を開示しない。大きな壁が立ちはだかっていることが分かった。
ところが、親会社からの〝供給〟に頼らず、独自路線で管理戸数を増やしつつある日本ハウズイングの存在は、この仕組み・ビジネスモデルが〝ほころび〟を見せていることを示している。
同社の現在の管理戸数は約45万戸で、〝マンションの王者〟として君臨してきた大京グループの約54万戸にはかなり差はあるが、大手デベロッパー系を追い抜き、業界2位にランクされている。
どうして伸ばしてきたか。一つにはM&Aもあるが、「2019年度に受託したマンションの85%がリプレースです」と同社ホームページにあるように、管理会社の交代(リプレース、またはリプレイス)にあることを明らかにしている。
いま、高経年マンションの増加で管理組合の財政はひっ迫しており、管理費の値上げも難しくなってきている。一方で、マンション着工戸数はこの20年間で半減した。今後も減少するのは間違いない。親会社からの新規〝供給〟が期待できないとすれば、管理会社は他社物件から管理受託を〝奪う〟(リプレース)以外成長は見込めない。
リプレースを巡って競争が激化するのは必至だが、管理の良否を判断する公平な情報の開示が置き去りにされはしないか心配だ。
モリモト 荒川区初の「ピアース東京尾久」 高値更新の坪330万円でも人気か
「ピアース東京尾久」
現地もモデルルームも観ていないので〝話半分〟で聞いていただきたいが、モリモトが荒川区で分譲するマンションとしては初めての「ピアース東京尾久」(28戸)に人気が集まっているようだ。コンパクトマンションでワイドスパンが特徴。販売開始は7月下旬。
物件は、JR上野東京ライン尾久駅から徒歩3分、荒川区西尾久7丁目の準工業地域に位置する9階建て全28戸(会員分譲10戸含む)。専有面積は30.36~64.17㎡、予定価格は2,900万円台~5,700万円台(最多価格帯4,000万円台)。坪単価は320~330万円になる模様。竣工予定は2021年5月下旬。設計・監理はエフ・アイ・オウ アソシエイツ。デザイン監修は南條設計室。施工は風越建設。
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尾久駅圏のマンションは、3年前、トヨタホームとミサワホームの「アネシア東京尾久」を取材している。取材した時点で単価は「未定」だったが、最終的には坪300万円にはならず260万円くらいに落ち着いたはずだ。東京駅まで12分という至近距離ではあるが、マイナーイメージが災いし強気な価格設定ができなかったと思われる。
さて、モリモトのマンション。現地はおおよそ想像できる。いかにも「尾久」らしい(「尾久」を知らない人にとっては何のことか分からないだろうが)街並みを形成しているはずだ。
予定価格については驚いた。モリモトの城東、城北エリアでの分譲実績と言えば、10年以上前の江戸川区「船堀」、北区「赤羽」、台東区「浅草」くらいしかないはずだ。荒川区では初の物件だ。
強気な価格設定はないと踏んだが、何と坪300万円を軽々と突破する同駅圏での〝最高値〟となる坪330万円くらいになるという。それでも反響は上々のようだ。
デザイン監修に南條氏を起用しているのはいつものモリモトだ。
わが多摩センターに咲いているホタルブクロ
〝世界のトヨタ〟〝世界のTOKYO〟へ2駅12分の「アネシア東京尾久」(2017/5/1)
大京穴吹不 リースバック事業 名称変更/韓国の保証金方式(チョンセ)採用はどうか
大京穴吹不動産は6月9日、2017年3月から始めたリースバック事業「買い取り賃貸居住サービス」の名称を「大京穴吹不動産のリースバック“売っても住まいる”」に変更するとともに、サービス専用サイトを開設したと発表した。
査定額は、年間1,500件以上の叱責がある通常買い取り査定額と同等で、賃貸借契約は1年、2年、5年から選択 可能(延長、更新、再契約不可)。賃借料は同社独自の基準で算出する。敷金は3カ月、礼金、原状回復なし。2020年6月からは定期的に「リースバック」関連のセミナーを開催する予定。
同社はサービス開始から約3年で340件以上のリースバックの実績がある。
リースバック事業へは、4月に一建設、5月にケイアイスター不動産、6月にポラスグループの中央住宅がそれぞれ参入を発表。〝全員参加型〟の様相を呈してきた。
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各社のサービス内容がよく分からないので何とも言えないのだが、記者は韓国の賃貸借契約を参考にしたらどうかと考えている。韓国には、わが国と同じような賃料の月払い方式(ウォルセ)のほかに、住宅価格の30~60%を賃貸借契約時に保証金として預け、退去時に全額払い戻される保証金方式(チョンセ)があるという。
この保証金方式(チョンセ)に倣えば、リースバック契約時に買い取り価格を約定し、賃貸借期間中の賃料を無料にしたらどうかという提案だ。買い取り価格は業者の目利き力(顧客も同じだが)が試されるが、契約の透明性を高めることは双方にメリットがあるのではないか。
全員参加型へ ポラス中央住宅 自社契約者対象にリースバック事業開始(2020/6/1)
新型コロナ収束後 リースバックが激増の予感 利用者は足元見られないか(2020/4/23)
新型コロナ感染者 宣言解除後は20代男性が最多〝夜の街〟自粛呼びかけ 効果あるか
「東京アラート」が発令されてもなかなか新型コロナ感染者が減らない。それどころか、小池百合子都知事の発言をきっかけに俄然〝夜の街〟がクローズアップされ、夜の黒(闇)と強烈な赤のせめぎあいが不気味さを増している。
記者の記憶に間違いがなければ、それまでの「接客を伴う飲食業」というオブラートに包まれた言葉から〝夜の街〟へと一歩踏み込み、さらに「新宿」(歌舞伎町)を結び付けたのは東京アラートを発令した6月2日の発言ではなかったか。
小池都知事は、この日開かれた新型コロナウイルス感染症対策本部会議で「新規感染者34人のうち、一定の割合の方がいわゆる夜の街関連と見られており、うち約半数が新宿エリアの飲食・接客関係者という報告を受けている」と言及。初めて〝夜の街〟と新宿を結び付けた。同日夜の会見でも「かねてより申し上げている夜の街の関連。新宿エリアの飲食・接客業関係者が多い」と述べた。
そして6月4日、自らのface bookで「このところ若い世代の新規感染が増加傾向で、特にホストクラブなど夜の街での感染が一定数確認されています」と綴った。
翌日の6月5日には「都民の皆さんに対して街頭での注意喚起、それから周辺区域での呼び掛けをいたします」とし、同日19時から歌舞伎町周辺で多羅尾 光睦副知事を先頭に都民に自粛を呼びかけた。
メディアの〝夜の街〟についての質問には「なかなかこの辺の表現が難しゅうございます。夜の街といっても、もう本当にしっかり対応していただいているところも、老舗のお店などがあったりもしますし、片や、あまり頓着していないようなところもあることも聞いております。いわゆる夜の街ですけれども、過去にクラスターが発生されたとされます接待を伴う飲食店、分かりやすく表現したものであります」とし、「それを利用する側に気を付けていただくのが一番効果的ではないかというふうに思っており」と説明した。
都の発表によれば、5月31日~6月6日の1週間の感染者138人のうち〝夜の街〟関連の感染者は56人で4割を占めるという。
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記者は、「新宿二丁目」のバーには何度か入ったことがあるが、さすがにホストクラブは一度も利用したことがない。「利用者」とはどのような人か小池都知事がご存じかどうか分からないが、圧倒的に多いのは〝稼ぎ〟がいい若い女性の風俗関係者だと言われている。
そこで調べてみた。別表は緊急事態宣言が解除された5月25日から6月6日までと、宣言解除前のそれぞれ13日間の感染者属性を見たものだ。
驚くべき結果が出た。宣言解除後の若者、とくに20代の男性が激増しているのだ。解除前は11人だったのが、解除後は48人へ約4.4倍に増加し、年代別・性別で最多となり、全体に占める割合も7.5%から22.0%へと増えている。30代の男性もほぼ同様に11人から40人に激増している。
解除前の13日間で27人と他の年代・性別で最多だった20代女性はどうかというと、24人へと若干減少はしたが、20代男性、30代男性に次ぐ多さだ。
この数値は小池都知事が危惧する〝夜の街〟関連と符合するかどうか断定はできないが、無関係でないことは明らかだ。名指しされたホストクラブ従事者(多分若い男性)がやはり利用者の若い女性に感染しないかどうか心配だ。
なぜ若い男女の感染者が多いかはこれ以上書かない。一つだけ言えるのは、〝夜の街〟関係者も働かなければ生きていけないということであり、生活に余裕がない人が多いからではないか。〝夜の街〟自粛の呼びかけだけで減るかどうか疑問だ。
若い男女に小池都知事の声は届いているのか、みんなで考えるべきだ。
新型コロナ「東京アラート」発動 都知事〝夜の街〟強調/大阪府は20代の女性が最多(2020/6/3)
〝闇社会〟〝二重就業〟の記事アクセス 1万件突破/北九州「第2波」 どこでも(2020/6/1)
新型コロナ 都の感染者 5月は20代女性が突出 全体の14% 同世代男性の倍以上(2020/5/29)
〝闇社会〟〝二重就業〟の記事にアクセス殺到/目から鱗 「風テラス」坂爪氏の著作(2020/5/28)
社会的弱者に襲い掛かり、ジェンダー性差をあぶりだす 新型コロナの本性(2020/5/25)
〝不平等社会〟あぶりだす新型コロナ 5月の感染者 年代・性別で最多は20代女性(2020/5/18)
新型コロナ 感染経路不明者が減らない理由 〝闇社会〟〝二重就業〟も一因(2020/5/11)
45分も時間超過 Zoomオンライン「郊外住宅地フォーラム」に参加者400人
本日(6月6日)行われた、大和ハウス工業、ミサワホーム、東急不動産R&Dセンター、東京大学先端科学技術研究センターの4者によるZoomオンライン「郊外住宅地再生フォーラム2020」を視聴した。報告者・パネラーは異口同音にwith&Afterコロナの郊外住宅地の持続可能性を語った。参加者は400名で、予定の2時間を45分も超過した。
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事例で紹介された大和ハウス工業「上郷ネオポリス」(横浜市栄区)、ミサワホーム「オナーズヒルズ新百合ヶ丘」(川崎市麻生区)、東急不動産「高麗武蔵台」(埼玉県日高市)は全て見学・取材しており、登場された先生、各社の担当者も存じ上げている人が少なくなく、とても分かりやすかった。
テーマは「郊外住宅地の再生」だから当然だろう。報告者、パネラーはほとんど郊外住宅地の特徴である低層低密、緑のネットワーク、人材の宝庫などを武器にwith&Afterコロナでの価値観の変化、テレワークの進展、IoTの活用などにより持続可能性に期待を寄せた。
「上郷ネオポリス」では、大和ハウスから公園を利用した移動販売、住宅をリノベした〝旬のレストラン〟化、シェアハウス、食品ロスの取り組みなどが紹介された。第一種低層住居専用地域では用途規制が厳しいが、どのようにして店舗化するのか聞きたかった。
「オナーズヒルズ新百合ヶ丘」では小田急バスと連携してオンデマンド交通の研究を行っていると報告された。こちらもどうしたらコストをかけずに効率的な移動システムを築くことができるのかものすごく興味がある。
「高麗武蔵台」では、リノベ住宅や空き店舗をコワーキングプレイスにする事例が報告された。コワーキングプレイスは完成したら取材したい。
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いつもそうだが、とても面白かったのは明治大学・園田眞理子教授の話だった。園田教授は「(劣勢の郊外住宅地は)逆転満塁ホームランを打つ可能性がある」とし、地域住民が株主になって地域事業会社を立ち上げるべしと語った。
このときちょうど、オンラインだから可能なのだが、わが西武ライオンズと中日の練習試合が中継されていた。西武が劣勢で、誰かが逆転サヨナラホームランを打つのではないかと期待していたのだが、そうはならなかった。
園田教授には具体的にどうしたら起死回生の逆転サヨナラ満塁弾を打てるかもう少し聞きたかった。添付した「さくら茶屋」は稀有な成功事例だ。
面白い話をもう一つ。どなただったか、郊外住宅地は「人材が豊富だが、(われら団塊世代のことを指したのか)仲が悪い」と語り、園田教授は「金もある」と混ぜっ返した。この金はあるが仲が悪い人材をどう結び付けるのか。旗振り・コーディネーターが不足しているように思う。
率直な感想を言えば、「上郷」「新百合ヶ丘」「高麗武蔵台」はどこも大手デベロッパー・ハウスメーカーが開発したレベルの高い住宅地だ。東京大学 教授・大月敏雄氏が紹介した京王不動産「めじろ台」も、飛び入りで参加された東京藝術大学准教授・藤村龍至氏が先頭に立って再生に取り組んでいる「鳩山ニュータウン」もしかり。インフラが整備されているから取り組みやすいのではないか。
記者は、行政からも大学からも見放された郊外住宅地を見ている。〝死に体〟になりつつある〝限界集落〟をどう救うのか、考えただけで絶望的になる。
さらに言えば、参加者約500人の中から質問は70人を超えた。凄い数字だ。しかし、質問に対する報告者・パネラーの回答は少なかった。せっかくのオンラインセミナーなのだから、参加者と一緒に考えるようにしてもよかったのではないか。次回以降に生かしてほしい。
Zoomによる郊外住宅再生フォーラム(6/6) 大和ハウス・ミサワ・東急不・東大(2020/6/2)
郊外住宅団地の再生モデルへ 大和ハウス「上郷ネオポリス」コミュニティ施設完成(2019/10/30)
課題山積のマンション・戸建て 再生・活性化の道示す 国交省 住宅団地の再生検討会(2019/4/1)
鳩山NT活性化を「私自身がアート」藝大卒・菅沼朋香氏「ニュー喫茶 幻」開業(2019/3/23)
〝生きた実験場〟〝やるしかない〟 多摩NT再生 第6回シンポ 藤村氏もエール(2019/2/8)
〝羽ばたけないかごの鳥〟国交省 団地再生検討会 エアコンなし 議論白熱 30度超に(2018/6/8)
住民主導のもう一つの「奇跡の街」 横浜・金沢文庫 西柴団地「さくら茶屋」見学(2018/2/14)
「里山資本主義」の次は園田眞理子・明大教授「ご当地資本・主義」 3住研究会(2017/4/3)
限りなく限界集落に近い首都圏の郊外団地 人口4割減 55歳以上の人口比率は48.7%(2012/7/27)
居住形態・家族構成で異なる在宅ワーク場所 旭化成ホームズ調査
旭化成ホームズのくらしノベーション研究所は6月5日、在宅ワークにおけるくらしの現状についての調査結果をまとめ発表した。調査の結果は次の通り。
・在宅ワークで増えたのは「子供や家族とのコミュニケーション時間」「自分の自由な時間」「睡眠」
・在宅ワークによる生活時間の変化は、夕食時間が1時間近く早まる。一方で就寝時間に大きな差はなし
・在宅ワークを行う場所は、戸建では個室派5割強、賃貸および戸建で子がいる女性はLD派7割強
・在宅ワークで行う行為は「PC」「電話」「手書き」が上位3位。次いで「資料を広げる」「WEB会議」
→在宅ワークでも仕事内容により「個人作業」「(人と関わる)会議・電話」に分かれる
・在宅ワークに求めるのは「集中できる環境」「静かな環境」「机周りの広さ」。個室派よりもLD派で多い項目は「家族の気配が分かる」「見守りながら仕事ができる環境」
・在宅ワークの困りごとは「日常生活との切り替えがしにくい」。特に女性では7割にのぼる
調査時期は4月10日~4月13日(左記に加え4月22日~27日一部設問追加)で、対象は週7時間以上働いている20~69歳の男女約3,800名。持家と賃貸居住者の割合はほぼ同数。
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調査結果は、他社・他団体のテレワーク・リモートワーク調査結果と同じような傾向がみられるが、興味深いのはテレワークを行う場所で、持家派の54%は個室なのに対し、持家と賃貸及び子育てファミリーの72%はLDであることだ。
フリーアンサーでは、個室派では生活空間と切り分けた静かな環境やこもり感など就業環境の充実を満足点とする一方、仕事空間としての整備が不十分な点を不満点とし、LD派は家族とのコミュニケーションや家事育児との両立、開放的な空間に対して満足を感じている一方、家族に対する影響への心配やWeb会議が制限されることを不満点として挙げているという。
記者はもう30年以上テレワーク(以前は1週間に1日)を行っており、記事が書ければどんな環境でも構わない。集中しているときは周囲の雑音など全然気にならない。1時間くらい記事を書き、息継ぎのタバコを吸うのがいつものパターンだ。今年はまだだが、プロ野球中継が始まると仕事にならない。
各社のテレワークスペースの提案では、コスモスイニシアがリノベーションマンション「エド・コモン西早稲田」に採用した「ドマワーク」が素晴らしいと思った。
コスモスイニシアとリコー共創 住空間×働き方テーマに新提案 リノベに採用(2020/4/3)
旭化成ホームズも参戦 「ハウジングステージ新宿」に富裕層向け第2弾モデルハウス
「RAUMFREX(ラウムフレックス)」
旭化成ホームズは6月5日、「へーベルハウス フレックス」シリーズ(重鉄システムラーメン構造)の富裕層向け邸宅フラッグシップモデル「RAUMFREX(ラウムフレックス)」の販売を開始したと発表した。
同社は2013年、富裕層向け「へーベルハウス FREX RESIDENCE(フレックスレジデンス)」を発売し、年間50棟程度の販売で推移している。今回の第2弾はさらに進化させた最高級の邸宅として位置づけられるもの。
「RAUMFREX」の空間デザインは、「ボールト&コラム様式」と呼ぶアーチ型天井と列柱を配した美しく普遍的な建築空間を採用し、天井高は標準で2.72m、最大3.36mとした。
外観デザインは「モジュラーシェル様式」と呼ぶ100㎜厚と75㎜厚の外壁並置と規則的配列による新たな意匠様式を開発。設計手法では、架構体を設計したあとに間取りと設備を組み込む「ハウジングプログラム」と呼ぶコンセプトによって、住宅の長寿命化と構造美・意匠美を叶えた。
JR新大久保駅から徒歩2分の「ハウジングステージ新宿 ラウムフレックス」に設けたモデルハウスは2階建て延べ床面積397.00㎡。坪単価は150万円程度が目安。
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ニュース・リリースをコピペするほかないのが残念。「FREX RESIDENCE(フレックスレジデンス)」は最高に美しかった。他社と比べてもトップクラスだと評価した。今回の新商品はそれより単価はかなり低くなるが、見ていないので何とも言えない。
「ハウジングステージ新宿」の他社のモデルハウスは三菱地所ホーム、三井ホーム、積水ハウス、住友林業などのレベルが高い単価がもっとも高いのは地所ホームの254万円か。
地所ホーム、積水ハウスと富裕層向け三重奏・三つ巴 三井ホームの新大久保モデル(2019/6/27)
旭化成ホームズ 成城に富裕層向けモデルハウス(2013/5/22)
テイクアウト、テラス営業のための路上占用許可を緩和 飲食店などを支援 国交省
国土交通省は6月5日、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける飲食店などを支援するための緊急措置として路上利用の占用許可基準を緩和すると発表した。
地方公共団体と地域住民・団体などが一体となって取り組む場合、①新型コロナウイルス感染症対策のための暫定的な営業であること②「3密」の回避や「新しい生活様式」の定着に対応すること③テイクアウト、テラス営業などのための仮設施設の設置であること④施設付近の清掃などに協力いただけること条件に、歩道空間の確保など一定の条件を満たせば占用料を無料にする。占用期限は令和2年11月30日まで。
三菱地所レジ 間伐材利用の有償「箱の間」と無償「“work” in closet」導入開始
PLAN-α
三菱地所レジデンスは6月5日、現在販売中、今後販売するマンション7物件に木の小部屋「箱の間」有償オプション提案と、収納スペースをテレワークスペースに変更可能な無償メニュープラン「“work” in closet」を導入したと発表した。
「箱の間」は同社グループが2016年に開発し、「ザ・パークハウス 東戸塚レジデンス」などで提案してきたもの。ケミカル製品でなく、間伐材を利用したスギの無垢材・集成材などで出来ているのが特徴。移動が容易で、目的に応じてテーブル、デスク、棚、小窓などが取り付けられる。基本タイプはw777×h1,620×d755。価格はPLAN-αが60万円(税抜き)、PLAN-βが55万円(同)。
「“work” in closet」は、収納スペースを無償で働く空間にするもので、有償の「妻ラボ・夫ラボ」にすることも可能。
導入されるのは、「箱の間」が〝ザ・パークハウス〟シリーズの「三田」「市谷加賀町」「川口本町」「さいたま新都心」「鎌倉」「市川二丁目」、「“work”in closet」が「武蔵野境南町」。
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この「箱の間」は実際に何度か見ている。価格がやや高いような気がしないではないが、本物のスギノキ(学名: Cryptomeria japonica=隠れた日本の財産)が使われているので美しい。
使用例
大和ハウス工業 テレワークを想定した空間 戸建て用に提案開始(2020/6/1)
「30×4=120年ターム」説生かす好機 前青木茂建築工房の奥村誠一氏が独立
奥村氏(奥村建築再生設計事務所ホームページから)
本日(6月5日)、奥村建築再生設計事務所代表・奥村誠一氏から次のようなメールを頂いた。ご本人の了解を頂いたので紹介する。
奥村氏は今年3月31日付で、20年間所属していた前職である青木茂建築工房を退職し、4月1日に奥村誠一建築再生設計事務所を創業した。
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私が何かことを始めようとすると、いつも壁が立ちはだかります。
私が建築家になることを夢見て大学に入学した1994年の直前にバブルが弾け、2000年に社会人になった時から日本は失われた20年が始まり、東京に来た2011年に東日本大震災が起こったために引越しが遅れ、2020年に起業するとコロナ禍により未曽有の状況で非常事態宣言が発出されました。
これまでも、これらの壁にぶつかりながら、もがきながらも一つ一つクリアしてきたと思っています。難しい局面はチャンスでもあるとも思っています。
今回の非常事態宣言の解除に基づき東京都はステップ2を発表し、当社もいよいよ本格始動となります。
私の人生の大きなターニングポイントは建築家である青木茂先生の門戸を叩いたところにあり、建築の再生を設計する魅力に気づかされました。
建築の再生を設計することで少しでも社会の役に立つことが魅力であり、楽しさであり、その社会的意義は大きいと考えます。
このような思いを込めて、建築の再生を設計する事務所として、社名を奥村誠一建築再生設計事務所と命名いたしました。
これまでたくさんの人に出会い、多くの人の助けを受け、今の私があります。
みなさまとの出会いがなければ、今の私はないと考えています。
今後も、微力ながら、環境循環型社会に向けて、社会貢献ができればと考えています。
また、今年度は,東京大学で教鞭をとる機会を与えていただいており、建築の再生を設計することについての魅力について、学生さんにも伝えることができればと考えております。
これらの学術的な活動や社会活動を通じて、建築再生の一般化を目指していく所存です。
◇ ◆ ◇
奥村氏が退職し、事務所を設立することは青木茂先生ご自身からメールで知らされていた。
青木先生は「2000年に我が社に入社しました奥村誠一君が、3月31日をもって退職し独立することになりました。
20年間心身ともに私を助けてくれ、事務所の運営や作品造と献身的な仕事をしていただきました。
私の初期、つまりリファイニング建築の初期から今日まで、技術確立の柱として支えていただきました。
リファイニング建築の作品では八女多世代交流館の設計アシスタントから、彼が最後に担当した、協働会館まで一貫してリファイニング建築の顔となる仕事を担当してくれました。
その間に一級建築士を取得、そしてアトリエ事務所としてはなかなか取得が難しいと思いましたが、首都大学東京に社会人で博士課程に進学して、角田誠教授の指導をいただきながら博士の学位も取得いたしました。
彼の努力への敬意をするとともに、独立後は、もちろん私の事務所の手伝いもしてもらいますが、リファニング建築の技術は今後社会に必要とされていると思いますので、ウィングを広げなければなりません。
そのような意味でも彼の独立は大変良い機会ではないかと思います。
ただ新型コロナの真っ最中ですし、建築界も油断のできない時期に入っております。皆様方のご協力が必要と考えています。
是非応援とご支援の方よろしくお願いいたします」と綴っている。
◇ ◆ ◇
奥村氏に初めてお会いしたのはいつだったか思い出せないのだが、おそらく記者が驚愕した7年前の「千駄ヶ谷のリファイニング建築」現場見学会あたりからではないかと思う。「リファイニング建築」の魅力に取りつかれた記者はその後現在まで約20回記事にしている。(「RBAタイムズ」にアクセスし、「青木茂」で検索していただくと全ての記事が読めるはずなので、興味のある方はそちらも参照していただきたい)
この間、ずっと考えていたのは青木先生の後継者のことだった。
青木先生は2014年に都庁で行われた「首都大学東京 リーディングプロジェクト最終成果報告会」で、リファイニング技術の伝承、雇用の促進、耐震診断のデータベース化、現行法との矛盾の解消、教育の重視性などを強調された。そして2018年3月に首都大学東京特任教授を退官されたときも「リファイニング建築はマニュアルや指針はまだ日本にはない。調査・企画・再生設計・工事監理の一連の流れと、金融機関との資金調達の枠組みは構築できた。優秀なスタッフも育っており次の世代へつなげたい」と語った。
今年72歳の青木先生はまだまだお元気そうで、いまネットで調べたら椙山女学園大学客員教授、大連理工大学客員教授、日本文理大学客員教授、韓国モグォン大学特任教授などを務められているので、リファイニング建築は若い建築家に引き継がれるのだろうが、奥村氏の独立はその第一歩になるのだろう。
厳しい船出だが、青木先生の持論は、「意匠も外観は30年で見直し、内観も5~10年ごとに手を入れるべき」という「30×4=120年ターム」説だ。今年は戦後の復興期からほぼ60年、バブル崩壊からちょうど30年目だ。新型コロナはこれまでの社会経済のあり方を根底的に覆し、新しい体制に移行することを促している。いわば第三段階の入り口だ。「建築の再生を設計する事務所」としてまたとない機会ではないか。新しい風を吹かせていただきたい。
奥村建築再生設計事務所のホームページは次の通り。www.kenchikusaisei.com
リファイニング建築の考案者 首都大学東京特任教授・青木茂氏が退官へ 記念講演会(2018/2/13)
全てが腑に落ちる 首都大学東京「リーディングプロジェクト最終成果報告会」(2014/3/19)
千駄ヶ谷のリファイニング建築に見学者300人(2013/11/12)