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施工イメージ

 ナイスグループの菊池建設は8月19日、一次取得者層をメインターゲットにした坪単価50万円からの新商品「もくぴっと」の受注・設計・施工を8月から開始したと発表した。

 1955年(昭和30年)の創業以来手がけてきた「檜造り・檜の家」を代表とする木造軸組み注文住宅の顧客拡大を狙ったもので、建物面積(施工面積)×坪単価=建物価格と分かりやすくし、これまではオプションだったリビングの「構造梁現し」と「無垢の床板(杉または檜)」 を標準仕様とする。

 販売エリアは東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・静岡県の1都4県。価格は28坪で57万円、30坪で56万円、32坪で54万円、37坪で50万円。「土間ピット」「リビングセット」「リモートピット」など大工が作るオリジナル家具「木のピット」が選べる。

 


 

カテゴリ: 2020年度

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1階の大空間

積水ハウスは8月4日、アフターコロナに対応したライフスタイル提案を盛り込んだ戸建住宅の新コンセプトモデル「ファミリースイートおうちプレミアム」を発売したと発表した。同日、オンライン記者発表会で発表した。同社の鉄骨戸建住宅、木造戸建住宅「シャーウッド」の全商品で展開する。

「ファミリースイートおうちプレミアム」は、「自分たちらしい暮らし」を望むミレニアル世代を主なターゲットに置いた商品で、仕切りのない大空間リビング「ファミリースイート」に、「在宅ワーク」「おうちでフィットネス」「うちdeバル」などを提案している。

高い耐震性と設計自由度、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)にも対応可能な優れた断熱性などの先進技術を採用することで、1階は最大幅5m、2.7mの天井高まで達する大開口と最大スパン7m2階は最大スパン10mの柱や壁のない大空間「ファミリースイート」を実現した。

また、お客さま自身で「ファミリースイート」のプランを作成し、SNSで発信をしたり、360度ビューのVR作成を依頼したりするこができるWEBツール「おうちで幸せプランニング」を提供する。

「ファミリースイート」は201810月に販売開始し、これまで戸建て採用率が59%202027月)に達しているヒット商品。

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2階大空間

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この種のafterコロナの「新しい生活様式」を提案する各社の商品が出そろったような気がする。同社の「うちdeバル」と「おうちで幸せプランニング」が他社にはない提案ではないか。

オンライン記者発表会で最初に登壇し、商品開発の背景などについて説明した同社住生活研究所長・河崎由美子氏にはまた〝目も彩〟な赤のスーツを期待したのだが、この日は濃紺たった。なるほど〝目も愛(藍)〟か。そんな質問をしたら顰蹙ものだろうと、沈黙を守った。

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「うちdeバル」

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「在宅ワーク」

積水ハウスが新商品 「LDK発想」から脱却 約30畳大の〝ファミリースイート〟提案(2018/10/4

〝幸せ(人間愛)〟のさらなる追求に期待 積水ハウスがわが国初の「幸せ」研究所(2018/7/27

 

 

カテゴリ: 2020年度

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「chou chou COOL(シュシュ クール)」

 三井ホームは7月16日、2010年に発売して以来、累計で3,000棟を超えるロングセラー商品「chou chou CHARM(シュシュ チャーム)」に、最近のトレンドや共働き世帯のニーズを取り込んだ新モデル「chou chou COOL(シュシュ クール)」を7月18日から販売開始すると発表した。

 〝あったらいいな〟を叶える家がコンセプトで、新型コロナ禍でニーズが高まっている夫婦がそれぞれ目的に応じて利用できる複数のテレワークスペース「TPOワークスペース」のほか、ちょっとした作業に適した「プチ・リュクス」や、家事ラクを実現する空間構成、無垢材などを多用したボタニカルな空間デザインを提案。ZEH、全館空調などにも対応する。

 〝シュシュ〟は「お気に入り」を〝プチ・リュクス〟は「小さな贅沢」をそれぞれ意味するフランス語。

 販売対象は沖縄を除く全国で、プロトプランの本体工事価格(施工床面積39.56坪)は31,094,000円(坪単価78.6万円)。

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「TPOワークスペース」(左がクローズタイプ、右がセミクローズタイプ)

三井ホーム 環境にも家族にもうれしい新商品「chou chou with ECO(シュシュ ウィズ エコ)」(2011/12/22)

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同社のマイホーム応援キャンペーン

 アキュラホームは7月12日、ZOOMによるWebセミナー「得するマイホーム勉強会」を開催。視聴者は8,571組に達した。

 お笑いコンビクワバタオハラのボケ担当のくわばたりえさんをゲストに迎え、ウィズコロナ時代の新生活様式に対応した「新生活様式の家」のトータル提案を行っているアキュラホームモラージュ菖蒲展示場(埼玉県久喜市)から生中継でその内容を伝え、総額1億円、最大800万円の建築資金プレゼントキャンペーンへの応募を呼び掛けた。

 最後に登場した同社宮沢俊哉社長は「(この種のイベントが)これからの新しいビジネスモデルになるかもしれない」と手応えを感じていた。

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 同社のZOOMによるイベントの視聴は今回で4回目だ。最初と3回目で〝お笑いタレント〟〝吉本芸人〟が登場したのにも驚いたが、今回もお笑い芸人のくわばたりえさんがゲストとして出演。〝ボケ〟に徹しきり、三半規管をかき乱すトーンの高い歓声を発し続けたのに、初めて見る小生は面食らってしまった。かみさんに言わせると「知らないのはあなただけ」の有名人らしい。

 対応したのは前回と同じ商品企画担当者だった。これで2回目ということもあり学習されたのか、語りは堂にいっていた。

 2,100万円の「新生活様式の家」を35年ローンで購入すると〝何と家賃並みの月額56,500円で提供します〟〝さらに太陽光売電システムを利用すれば月々39,800円の返済になります〟〝キャンペーンは宝くじより当選確率は高いですよ。今日視聴された方は当選確率2倍で案内させていただきます〟〝さらにですね、7月に契約された方全てにウイルスをシャットアウトするオゾンシステムをプレゼントします〟などと畳みかけた。

 この提案に対して、くわばたさんは〝うあっ、東京の駐車場料金並みじゃないですか〟などと感嘆の声を上げて応えていた。

 このイベントを8,571組の方が視聴したという。このうち何組がキャンペーンに応募するのだろうか。テレビショッピングのように家をうる時代が来るのか。

吉本筋肉芸人100人もアキュラホームの最強壁に完敗ZOOM中継に7,500人視聴(2020/6/27)

アキュラホーム 「今期売上高は過去最高で、利益も前期上回る見込み」宮沢社長(2020/6/17)

業界最強 アキュラホーム 壁倍率15倍の強さ証明ZOOM中継に視聴5,700名(2020/5/30)

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「ハナミズキ春日部・藤塚」平屋タイプ 価格は3,380万円

 ポラスグループ中央住宅は7月3日、埼玉県春日部市の古利根川沿いの市民農園利用権付き、全戸敷地面積200㎡超の分譲住宅「ハナミズキ春日部・藤塚」(全22戸)の販売を開始した。その前日(2日)、モデルハウス3棟を報道陣に公開した。調整区域の特性を最大限に引き出した商品企画が優れている。

 物件は、東武スカイツリーライン一ノ割駅から徒歩23分、春日部市藤塚に位置する敷地面積約5,830㎡(建ぺい率60%、容積率200%)。第1期(10戸)の土地面積は200.26~231.65㎡、建物面積は91.50~107.36㎡、価格は2,880万~3,580万円(税込)。

 現地は、田畑が残る市街化調整区域の開発許可、農地転用許可を得て宅地造成・建設・分譲するもの。敷地近くには古利根川が流れている。

 分譲地の隣地に約300㎡の市民農園を確保。当初5年間は同社が農家との農園利用契約を結び、利用料を負担する。引き渡し後2年間は農家の協力を得て「農のある暮らし」をサポートする。

 敷地面積は全戸200㎡以上、隣棟間隔1m以上、開発道路幅員6mで、平屋住戸を5戸用意している。

 コンセプトは「日本の暮らしを見直し、心豊かな暮らしを」。軒を出した外観スタイルや化粧梁・畳・障子などの室内素材は和を感じるデザインとし、住戸内は突板を使用したフローリング、化粧柱、木パネルなど自然素材を多用。各住戸の庭にはポタジェ(家庭菜園)も設置している。

 住民同士のコミュニティ形成を図るため管理組合を結成し、ワークショップやイベントも開催していく。春日部市初の住民間の「景観協定」も締結予定。

 同社取締役戸建分譲第一事業部 事業部長・成瀬進氏は、「農園利用権付きの分譲は当社初。在宅勤務、テレワークが今後増え、こうした〝田舎暮らし〟の雰囲気も楽しめるニーズはあるので販売に期待している」と話し、同社戸建分譲設計本部 設計二部 営業企画設計課課長・池ノ谷崇行氏は「牧歌的な雰囲気がある地域の特性・文化を取り込めた」と語った。販売担当の同社戸建分譲第一事業部 営業課課長・竹入正治氏によると、6月20日から案内会を実施しており、これまで14件の来場があり、2件が成約見込みという。

 同社はまた、直近の分譲戸建ての成約状況についても説明。契約棟数は4月は前年比75.4%、5月は112.3%、6月は121.1%と伸びている。

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平屋タイプのリビングダイニング

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古利根川に面したモデルハウス

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古利根川が眺められるリビングダイニング

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2号棟モデルハウス(天井裏はシナ合板の挽板)

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 小池都知事の〝都県跨ぎは自粛を〟との要請を忠実に守っていたので、この日(7月2日)、荒川を超えて春日部・一ノ割の同社の分譲戸建てを取材見学したのは、3月27日の同社グループの住宅品質保証の木造新築ビルを取材して以来、実に3か月ぶりの〝都県跨ぎ〟だった。

 40年以上の記者生活で3カ月以上も都外に出なかったのは初めてだったが、実に楽しい取材ができた。一ノ割駅から車で案内してもらった現地のすぐそばを流れる「古利根川」は濁っており(流域にはオイカワが棲むと聞いたが、ここではないはず)、わが故郷・三重県の日本一綺麗な「宮川」とは比べようもなかったが、そのほかの田園風景はほぼ同じだった。

 すぐ市街化調整区域だろうと見当をつけたらその通りだった。読者の皆さんもご存じだろうが、許可が必要ない農林漁業者の自宅などの例外を除き調整区域での開発行為、とくに住宅用途は厳しい規制がかけられている。

 同社は都市計画法第29条に基づく開発許可、農地転用許可を受けて造成・建築するもので法的にはまったく問題ない。

 ただ、埼玉県は昔から規制が緩く、都市計画法第34条1号で定める調整区域内に居住する者の日常生活のために必要な店舗(いわゆる1号店舗)が昭和50年代から60年代にかけて数百棟建設された。それらの本屋、八百屋、雑貨屋、呉服屋などの〝店舗〟がいまどうなっているのかとても興味がある。(調整区域内の住宅、店舗の売買は自由だが、再建築は基本的に不可)

 それにしても、先日は練馬区の30坪の〝東京5LDK〟を分譲して人気になり、今度は春日部の調整区域で200㎡の平屋を供給するという同社の地域特性を生かした商品企画力に感服するほかない。

 モデルハウス3棟はそれぞれ甲乙つけがたく、設備仕様など質の上でも水準以上であるのは間違いない。平屋のこう配屋根天井高は約4mあり、古利根川に面した住宅はまるで別荘だ。外構もしっかり造り込んでいる。

 反響は地元から約半数で、広域からも少なくないというのも理解できる。〝田舎暮らし〟に惹かれる層は一定数いるはずで、間違いなく売れると読んだ。

 老婆心ながら、コロナの影響で〝田舎暮らし〟もいいなと考えている人に一つ忠告したい。佐藤春夫ではないが、「都会」より「田園」のほうがはるかに「憂鬱」だ。

 もはや田舎の里山はクマ、イノシシ、シカ、サルなどの獣に支配されており、主客が転倒した世界であることを認識すべきだ。怖いのは彼らが運んでくるヤマヒルだ。マダニ、スズメバチ、マムシなども里山を徘徊しており、山頂の風力発電は生態系を狂わせている。田舎暮らしは断じて楽園ではない。〝そんなはずはなかったと〟失楽園となるのは必至だ。

 それでも田舎暮らしにあこがれ、東京を脱出し地方へ移住を希望するのであれば、決断する前に丸山健二「田舎暮らしに殺されない法」を読むことを勧める。読めばたちまち自らの甘い料簡に気が付くはずだ。

 せいぜい春日部・一ノ割の疑似〝田舎暮らし〟で満足すべきだ。よしんば野菜ができたとしても、収穫する前にサルに盗られることはないだろうから。

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平屋タイプ外構

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賃借する農園ではない隣接地の畑(左)と古利根川(〝飛び込め〟と女性スタッフに声を掛けたが)

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報道陣にプレゼントされた性別・年齢不詳のキャラクター「ポラ猫」より目立つ同社広報マン青柳氏

Afterコロナ先取り ポラス「東京5LDK@練馬光が丘」テレワーク想定した企画ヒット(2020/6/19)

なぜだ! 都心9区にないのに中央区と港区には市街化調整区域がある(2020/2/14)

 

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AQレジデンス新宿展示場」

アキュラホームの「AQレジデンス新宿展示場」を見学した。新宿区のハウジングステージ新宿に612日オープンしたもので、同社の高価格帯ブランド「AQレジデンス」の瀬田、馬込展示場に続く第三弾。

素材には自然石、無垢材、漆喰など内外の自然素材を採用し、日本を代表する匠職人とのコラボレーションにより、土壁や和紙光壁、漆塗りを多用。天空光を巧みに取り込む5層住宅となっている。

エントランスの外部ポーチには、一枚岩の花崗岩や火成岩を採用。吹き抜けには和紙作家堀木エリ子氏が手掛けた高さ5.4mの手漉きの和紙光壁が本磨きの御影石に映り込むように演出。

リビングダイニングには、自然塗料で仕上げた幅29cm長さ2.4mもある一枚もののホワイトオークを使用。アクセントウォールには重厚感のあるフランス産の粘板岩を水の流れをイメージして配置。

ホビールームには、ホワイトオークを燻製しオイル仕上げでフィニッシュしたフロア、ヴィンテージチーク材をダイス状にしたアクセントウォール、昔ながらの藁を使った釜焼き製法のレンガ壁を配し、3.8帖と小さな空間ながらも5.4mの天井高さを確保した空間を演出している。

打合せルームには、天井高3.4mに広がる漆喰壁は石灰と川砂と薄い顔料を絶妙に配合して微妙なグラテーションを演出。フロアは楡(ニレ)の古材を使用。

3階は、外部と内部を一体的なリゾート感に溢れた空間を演出。天井と軒裏には3か月の天日干しにより銀色に変化をさせた南洋材の「メルパウ」を内外の天井に採用。また、壁には石灰岩をアクセントとし、リゾート感を演出。輪島塗り職人・一松春男氏の洗面ボウルを採用。屋上テラスにはジャクソン製の浴槽を設置している。

モデルハウスは木造軸組み工法3階建て延べ面積220.66㎡(66.74坪)。坪単価150万円くらいを想定している。

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3階屋上テラス(ジャクソンの浴槽は250万円とか、庇裏は3カ月天日干ししたメルパウ材)

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久住氏による土壁

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堀木氏による光壁

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洗面室(ボウルは一松氏による漆塗り)

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 ハウジングステージ新宿にもう一つの富裕層向けモデルハウスが誕生した。坪単価では254万円の三菱地所ホーム、広さでは120坪の旭化成ホームズだが、アキュラホームは自然素材を多用し、わが国の伝統的な匠の技を惜しげもなく注ぎ込んだアート作品ともいうべきモデルハウスだ。

 堀木氏、久住氏、一松氏のそれぞれの作品は見事というほかない。小生はいつもの貧乏人根性を丸出しにし買ったらいくらかを聞いたが、担当者は「値はつけられない」というのですごすごと退却した。久住氏の微妙な土壁は淡路島の砂を用いたものだそうで、高級料亭でも見られるかどうか。しばし見とれた。

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キッチン(天空光を巧みに取り込んでいる)

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リビング(正面のオブジェはフランス産の粘板岩を採用)

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 同社は〝カンナ社長〟宮沢俊哉氏が広告塔として獅子奮迅の活躍をされており、どちらかといえば一般庶民向けのハウスメーカーというイメージが強い。しかし、富裕層向けとしても市民権を得るような気がする。大手と互角以上に戦えると確信した。

 ただ一つ、惜しいと思ったのは外壁だ。大きさにして幅10m×高さ8mの白いフランスの石灰石を素材にした壁はこのままではもったいなさすぎる。映画のスクリーンにもなるので、レプリカでいいから絹谷幸二氏のアフレスコ、ピカソのゲルニカ、ルノワールの裸婦…などを時間ごと日替わりで映し出したら近隣住民からも圧倒的な支持を得られるのではないか。

 さらにまた、モデルハウスは総合展示場だけでなく、自社単独で同じものをどこかに建て、11組限定で宿泊体験もできるようにしたら成約棟数も激増するのではないか。料理人を呼んで食事付きにでもすれば110万円でも安い。

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打ち合わせスペース(床はニレの古材)

アーチ型天井と列柱の無柱空間に驚嘆 旭化成ホームズ 「新宿」に富裕層向けモデル(2020/6/16

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 小生もそうだが、わが住宅新報と週刊住宅の業界紙の記者の皆さんも大変なようだ。デベロッパーもハウスメーカーも新型コロナの影響を受け、取材も含めほとんど「自粛」している。紙面の大半は各社のニュース・リリースのコピペ記事だ。

読者にしてみれば、毎週毎週、三日遅れどころか一週間、二週間も過去の賞味期限切れの記事を読まされるのはたまったものではないが、購読料金(ほとんどは勤務先の会社が負担)を考えたらまあ許容範囲か。(WEBを軽視しているのは両紙の致命的欠陥だが)

ところが、両紙の先週号には現場取材をしたのではないかと思われる貴重な記事が掲載されていた。トーセイ「THEパームスコートひばりが丘」だ。まずは両紙を読んで頂きたい。太字は小生。

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【住宅新報(616日号)】

「トーセイはこのほど、東京都西東京市で、全30戸の戸建て分譲『THEパームスコートひばりが丘』の販売を始めた。国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)を取り入れた同社初のプロジェクトとなる。現地は西武池袋線のひばりヶ丘駅からバスで5分、バス停から徒歩5分で、分譲地の2方向が、西東京いこいの森公園と東京大学の演習林に接しており、緑豊かな立地が特徴だ。第1期として現在4棟を販売中。建物は木造2階建てで、敷地面積は115123m2価格は現時点で未定

新型コロナウイルスの影響で当初予定よりも販売時期が1カ月ほど後ずれし、広告も近隣へのチラシ配布とウェブのみだったが、『予想以上の反響』(同社)だという。隣接市に暮らす子育て世帯からの評価を得た」

【週刊住宅(615日号)】

「トーセイが東京都西東京市で開発している新築戸建分譲住宅地『THEパームスコートひばりが丘』(全30棟)の第1期販売(4棟)の滑り出しが好調だSDGs(国連が採択した「持続可能な開発目標」)をコンセプトに盛り込んだ同物件は、緊急事態宣言に伴い、販売開始を約1カ月先の6月6日に延期した。宣言解除後の現在も、モデル棟の見学を1クール2組までの完全予約制に限るなど、営業ペースは抑制しているものの、再来場率は約6割に上っている。

第1期販売分は115124平方メートルの区画に9095平方メートルの4LDK(現時点で販売価格は非開示)20代後半から50代の幅広い年代の子育て層から反響があった」

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 読者の皆さんは、この記事を読んでどう思われるか。トーセイがSDGsをテーマにしていることはわかる。これはこれで結構だし、いまSDGsに取り組まないデベロッパーはアウトだ。ただ、これがマンションや分譲戸建ての購入検討者に響くかどうかは別問題だ。記事はSDGsをテーマにしたのが効果的だったような印象を与えめる。しかし、果たしてそうか。小生は両方の記事を読んでさっぱり分からなかった。

 こんなことは書きたくないが、書かざるを得ない。あまりにもひどいからだ。具体的にそのひどさを示そう。

 新報はいつもそうだが、「このほど」(同紙は半月前でも「このほど」と書いた前例がある)「4戸を販売開始」し、「価格は現時点(いつのことか不明)で未定」と書く。それでも「予想以上の反響」と同社のコメントを紹介している。

 「価格が未定」の戸建てを4戸販売開始したのが事実なら、これは間違いなく業界初、前代未聞の〝快挙〟だ。不動産公取協の規約はどうなっているのか。「価格未定」のまま販売していいかどうかの規制はないはずだ。あり得ないからだ。売る側も買う側も、そしてそれを報じる業界紙も狂っているとしか言いようがない。

 さらに、「予想以上の反響」「隣接市に暮らす子育て世帯からの評価」もよく分からない。予想した数値を示さないと、「反響」の大きさは分からないし、「隣接市の子育て」ということは、練馬区は市ではないから武蔵野市、東久留米市、小平市、新座市からの反響が多いということか。地元ではないのか。これが事実だとすれば、これまた凄いことだ。

 一方の週刊住宅は、販売開始時期を66日と明示している。当然だ。いつ生まれたのか死んだのか、いつ書いたのか、「いつ」が全てを優先する。ただ、同紙が新聞を印刷したのは612日のはずで、12日の時点で4戸の売れ行きを示さないと、何をもって「好調」というのか読者には全然伝わらない。「価格は非開示」といわれたら、小生は記事を書かない。分譲開始した物件の価格を(業界紙に)開示しないデベロッパーとは縁を切る。読者に失礼だ。記者にとって読者が全てだ。

 結局、両紙の記事はいったい誰に何のために伝えたかったのか、さっぱりわからない。読者を馬鹿にするのもいい加減にしろといいたい。

 コラムニストの小田島隆氏は「ザ・コラム 小田島隆 2006-2014」(晶文社 2016年発行)で次のように書いている。耳が痛いが、本質を衝いている。

 「記事を配信するならするで、最低限の取材はするべきだ。逆に、独自の取材ができない事情があるとか、取材する気持ちになれないということなら、配信を断念すべきだ。取材せずにニュースを作成することは、メディアの自殺だ。先方が発表したリーク情報をそのまま垂れ流すだけでは、サツ番の犬小屋記者と何も変わらない。キャンキャン。イエス・ゼイ・キャン。吠えているだけ。何もできない」 

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 さて、トーセイの「THEパームスコートひばりが丘」。ネットで調べた。バス便ではあるがなかなか住環境はよさそうだ。4棟の価格は「4,920万円~5,860万円」とあった。物件を見ていないので何とも言えないが、価格的にはストライクゾーンだと思う。

都内に比肩するものなし 野村不の戸建て「プラウドシーズンひばりが丘」(2012/9/25

 

慣用句か枕詞か なぜか頻繁に登場する「このほど」 不動産業界紙の記事(2017/5/3

 

 

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「東京5LDK@練馬光が丘」

 ポラスグループの中央グリーン開発は6月19日、練馬区光が丘の分譲戸建て「東京5LDK@練馬光が丘」を報道陣に公開した。都営大江戸線光が丘駅から徒歩23分の立地と、新型コロナの拡大という大きなハンディを抱えながら、昨年末の分譲開始から現在までに全23戸のうち17戸が成約済みで、今年末の竣工までに完売する見通しだ。「afterコロナ」を先取りした商品企画がヒットした。

 物件は、都営大江戸線光が丘駅からバス8分徒歩4分(徒歩24分)の建ぺい率50% 容積率100%の第一種低層住居専用地域に位置する全23戸。敷地面積は100.00~119.99㎡、建物面積は91.22~105.81㎡、価格は4,980万 〜 6,250万円。構造・工法は木造2階建(在来工法)。施工はポラテック。全棟完成は今年末の予定で、約半数が竣工済み。

 昨年12月14日にモデルハウスをオープン。成約状況は12月が3棟、1月が1棟、2月が2棟、3月が5棟、4月が2棟、5~6月が各2棟。成約者は20歳代からの共働き夫婦が中心。物件ホームページへのアクセス数は同社グループでベスト3にランクされているという。広域からの問い合わせが多いのも特徴。

 土地面積110.00㎡、建物面積100.19㎡、価格6,250万円のモデルハウスは17畳大のLDKとキッチンから見通せる位置に3.5畳大の書斎コーナーを設置し、2階には6畳大の主寝室(隣接する5.2畳大の居室と一体利用できるよう提案)、4.7畳大、4.5畳大の居室を設置。居室は夫と妻がそれぞれ自分の居場所として利用できるよう家具などを配置。価格は家具付き。

 同社ブランディング課マネージャー・杉山秀明氏は、「用地を取得した1年半前から企画を練った。社内からいろいろ声を集めた結果〝部屋は子どもに取られ、テレビの主導権も奪われる。自分の居場所がない〟ことがヒントになった。ならば、自分の居場所をつくろうではないかと。5LDKは多くの社員の共感を呼んだ。間取り変更は可動間仕切りで十分対応できる。テレワークも想定したスペースを盛り込んだモデルハウスは、コロナ禍が結果的に追い風になった」と話した。

 設計を担当した同社設計部企画設計課参事・諸橋健二氏は、「一低層の建ぺい率、斜線制限のほか緑化基準など厳しい条件があったが、多様なニーズに応えられるよう全棟バリエーションを変えた」と語った。

 販売を担当する同社和光事業所営業課課長・三瓶良樹氏は、「当社の光が丘駅圏の物件供給は10件目で、駅から遠いのは最初に説明するが、コンセプトを説明し、納得してもらっている。全世帯の方から〝間取りがいい〟という評価を得ている。都内の物件は月に1棟の成約スピードだが、この物件は月に3棟ペース。残りも順調に推移するはず」と販売に自信を見せている。(三瓶氏はRBA野球に参加しているポラスグループの6番打者で3塁手。

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左から三瓶氏、杉山氏、諸橋氏

ポラス延長制す 三瓶が決勝打 岩瀬3度の満塁しのぐ エイブル11残塁(2016/7/14

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 モデルハウスを見学する前、一服を兼ね、いつものように価格予想をした。工事中の職人さんと「皆さんは夜の街行きます? 」「全然行かない」などと談笑しながら、「これ、いくらですかね。わたしは5,000万円くらいなら売れると思いますが…」と話したら、ほぼその通りだった。

 驚いたのは、やはり「東京5LDK」だった。言うまでもないことだが、首都圏の分譲戸建ては、たまに3LDKもあるがほとんどが4LDKだ。5LDKなど聞いたことがない。ファミリーマンションは3LDKが主力だが、居住面積が確保できないので2LDKタイプがかなり増えている。

 なので、建物面積約30坪で「5LDK」というのにはさすがにびっくりした。が、同時に納得もした。完全に盲点を突かれたと思った。本来考えないといけないことをズバリ指摘されたという意味だ。

 富裕層には「東京5LDK」などは全然響かない。いわば当たり前だし、部屋数など問題ではない。しかし、このところの地価・建築費の上昇で、23区内のマンションは軒並み坪300万円となり、デベロッパーも売れないのが分かっているから、苦肉の策としてお蔵入りしていたはずの昭和の時代の3LDK=18坪をこっそりと引き出してきた。

 庶民にとって「東京5LDK」は夢のまた夢だ。それぞれの居室は狭いが、ポラスは夢のまた夢を実現した。家を売る商売は〝夢を売る〟商売でもある。

 「東京」もヒントだ。先にも書いたが、東京(23区)で普通のファミリーがゆとりある住宅を取得するのは絶望的になってきた。「東京」ではなく、〝越谷の5LDK〟だったら、果たしてここまで注目されるか。若年層に響くキャッチフレーズ、ネーミングも重要ということをこの物件は示している。

 〝自分の居場所〟づくりというコンセプトはよく分かる。ミレニアル世代が何を考えているかはよく分からないが、夫も妻も(子どももそうか)一人になれる空間を求めている。ましてや新型コロナは否応なくテレワークを強いる。 

 モデルハウスは新型コロナを想定して作ったのではないというが、1階の書斎スペース(家具は約20万円相当)も2階の個室もafterコロナにぴったりだと思う。成約者全員が「間取りがいい」と評価したのもうなずける。

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モデルハウス(右側が書斎コーナー)

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書斎コーナー

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モデルハウスプラン

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「夫の部屋」(左)と「妻の部屋」

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モデルハウス

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外構

カテゴリ: 2020年度

 日本住宅情報交流センターは6月18日、新型コロナウイルスの影響により一時中断していた業界初の「名前の記入が不要な、モデルハウス見学ツアー」を「ハウスクエア横浜」(横浜市都筑区)で6月から再開したと発表した。

 同ツアーは、多くの顧客アンケートから「モデルハウスの見学で、もっとも困惑するのは、見学後の営業連絡である」という声が寄せられていることに対応するもので、モデルハウスの見学の際に名前や世帯構成、年収などの個人情報の記入を求めていた業界の慣例をなくした。実現するまで9カ月かけ検討し、ハウスメーカー各社の協力を得て今年3月に開始した。

 来場者はコンシェルジュによる案内、説明が受けられる。

 日本住情報交流センターは横浜市が出資する、中立的な立場で住宅展示場の賃貸及び管理運営、住まいに関するイベント、シンポジウムなどを主な事業とする。

 ハウスクエア横浜は、横浜市営地下鉄ブルーライン中川駅から徒歩2分、モデルハウス22区画のほか4階建て「住まいの情報館」、リフォーム、リノベーションのショップ・ショールーム、カーテンや壁紙の実物サンプルに触れることができるライブラリーが備わっている。

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 こんないいサービスが行われていることを全然知らなかった。不動産流通研究所の記者の方からニュース・リリースを紹介してもらった。

 記者はもう30年も昔から、きれいな女性による対応は実に慇懃ではあるが、実際は住所、名前、家族構成、連絡先、勤務先、年収、購読紙誌、希望の間取り、予算、資金計画などありとあらゆる個人情報を記入しないと〝見せないぞ〟と迫る、無礼極まりない顧客を丸裸にする〝アンケート調査〟はやめるべきと主張してきた。

 主張するきっかけは、マンションの現場営業マンの接客・接遇の実態を探るため〝客のふり〟をして取材したときだった。断っておくが、小生は取材する際〝客のふり〟など全くしない。営業マンは同じ業界に身を置く〝仲間〟だ。そんな失礼なことはしない。

 なぜ、このときは〝客のふり〟をしたのか。そうしないと現実の接客・接遇を知ることができなかったからだ。今でもあのとき対応してもらった営業マンとデベロッパーには失礼なことをしたと思っている。

 当時、記者は女房を亡くした直後で、家族関係・構成の欄に〝独身〟〝未婚〟〝既婚〟〝死別〟のどれを書けばいいのか戸惑った。同時に、こんな無神経なことを堂々と行うのかと怒りがこみ上げたのをいまでも思い出す。様々な事情で本当のことを書けない人はたくさんいるはずだ。

 腹が立ったのはまだある。お客さんを〝丸裸〟にしながら、パンフレットに記載されていること以上の情報を持ち合わせていない営業マンがたくさんいることだった。とても恥ずかしく情けなくなった。

 顧客情報の収集は、メモ(いまメモをとる営業担当者は少ないはず)を片手に物件を説明しながら聞き出せばいいことだ。それがプロの営業マンだ。お客さんだって本当に物件を検討しているなら、事実を話し相談に乗ってもらうことを希望するはずだ。

 最近はどのような接客・接遇を行っているかは知らない。昔のようなことはないと思うが、いまだに価格にオンされる〝商品券プレゼント〟をほとんどのデベロッパーは行っているのではないか。いわゆる〝歩留まり率〟がなかなか上がらないのは商品企画もさることながら、幾分かは接客・接遇態勢に問題があると思っている。

 長々と余分なことを書いたが、横浜ハウスクエアは住宅展示場の新たなビジネスモデルになる可能性を秘めていると思う。コンシェルジュのレベルが問われるが…。取材を申し込もうかしら。

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「リーフィア南大沢ガーデンズ」(昨年4月撮影)

小田急不動産は616日、八王子市鑓水の総開発面積約5ha、全185区画の「リーフィア南大沢ガーデンズ」第1期・第2期(47区画)の販売が完了したのに伴い、第313区画のモデルホームを718日(土)にオープンし、8月上旬に販売すると発表した。

20195月にモデルホームをオープンして以来、これまで287組の来場があり、第1期(24区画)、第2期(23区画)の合計47区画を2020420日(月)までに全て引渡し完了した。

購入者は30代のファミリーが中心で、全体の60%が八王子市・町田市・相模原市からの住み替え。「自然豊かなロケーション」、「大規模住宅ならではの綺麗な街並み」、「デザイン性が高い集会所」などが高い評価を得たという。

物件は、京王相模原線多摩境駅から徒歩16分、八王子市鑓水2丁目に位置する全総区画数185区画(同社117区画・住友林業26区画・大和ハウス42区画)。第313区画の土地面積は172.13㎡~173.93㎡、建物面積は95.64㎡~106.18㎡、価格は4,200万円台~。施工は細田工務店。

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売れ行きがいいのは今年2月、同社の「祖師ヶ谷大蔵」を取材したときなに聞いていた。その時点でほとんど完売状態だった。

良否を判断するのはユーザーだが、住宅の質、住環境などは一級品だ。今後、テレワーク、時差出勤が拡大するのも間違いなく、どのような評価を受けるか注目したい。

小田急不「リーフィア南大沢〈ガーデンズ〉」「GW街びらきFESTA4/30まで(2019/4/28

ヴェール脱ぐ 全185区画、敷地170㎡以上の小田急不「リーフィア南大沢ガーデンズ」(2019/4/17

 

 

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