積水ハウス 「イクメンフォーラム2020」視聴 三重県の男性職員 育休取得率日本一
パネルディスカッション(左から安藤氏、治部氏、池永氏、伊藤氏)
仲井社長
積水ハウスが9月17日行ったオンラインによる「イクメンフォーラム2020」記者発表会を「見逃し配信」で視聴した。
冒頭、仲井嘉浩社長は「パートナーや子どもだけでなく、本人や周囲の人を幸せにするイクメン休業は幸せと生産性向上が両立できる働き方改革であり、多様な働き方へのトリガーになる。本日は、皆さんと当社が2年間蓄積してきたデータを共有させていただき、イクメン休業のあり方、今後の課題と可能性について一緒に考え、取り組んでいくヒントを見つけていただければ幸い」などと挨拶した。
フォーラムでは、在日本スウェーデン大使館大使ペールエリック・ヘーグベリ氏のメッセージが紹介され、パネルディスカッションではNPO法人ファザーリング・ジャパンファウンダー・代表理事安藤哲也氏をモデレーターに、パネリストに前内閣府男女共同参画局長・池永肇恵氏、ジャーナリスト・治部れんげ氏、同社執行役員ダイバーシティ推進担当・伊藤みどり氏が登壇。三重県知事・鈴木英敬氏もオンラインでゲスト出演した。
視聴環境がよく、聞き取れなかった部分はほとんどなかった。パネルディスカッションの会場はどこか分からなかったが、ガラス越しに樹木が映し出されており、とても気持ちがよかった。
左から鈴木氏(後ろは宇治山田商業の生徒さん)、ペールエリック・ヘーグベリ氏
左から安藤氏、治部氏
左から池永氏、伊藤氏
◇ ◆ ◇
ここで一つひとつ紹介する余裕はないので、気が付いたことをいくつか紹介したい。
まず、わが故郷の三重県知事・鈴木英敬氏が熱く語った「みえの育児男子プロジェクト」について。鈴木氏は、自治体の首長として初めて「男性育休100%」に賛同し、第一子、第二子とも育児休暇を取得。「イクメンオブザイヤー2015」「ベスト・ファーザーイエローリボン賞」(2016年)などを受賞したことで知られるが、〝隗より始めろ〟とばかり同プロジェクトを立ち上げ、2018年度の男性職員の育休取得率は8.1%となり、47都道府県で全国一となった。
これは全然知らなかった。こんな嬉しいことはない。記者はもう50年以上故郷を離れているが、いまでも三重県人だと思っている。三重県出身の歴史的人物は本居宣長、芭蕉、観阿弥・世阿弥、江戸川乱歩、朝日新聞の創業者・村山龍平、沢村栄治、山林王・諸戸家など少なくないはずだが、われら三重県人が誇れるのは伊勢神宮に赤福、的矢の牡蠣くらいで、スポーツ界でも全国区はマラソンの野口みずきさん、レスリングの吉田沙保里さんくらいしかいない。
鈴木知事は、「ネクスト親世代」の高校生など若者の意識を変える取り組みにも力を入れていると報告した。万歳!三重県!
これ以上書くと読者の方に怒られるのでやめる。次にジャーナリスト・治部れんげ氏が、「記者の皆さんは客観報道も大事だが、自分の問題として考えてほしい」と呼びかけたことについて。
同感だ。日本新聞協会の倫理綱領には「新聞は歴史の記録者であり、記者の任務は真実の追究である。報道は正確かつ公正でなければならず、記者個人の立場や信条に左右されてはならない。論評は世におもねらず、所信を貫くべきである」とあるが、「真実」とはいったい何か誰も分からないし、記者が信条を捨てたらジャーナリストでなくなる。「客観報道」などそもそもあり得ない。
3つ目。前内閣府男女共同参画局長・池永肇恵氏が紹介したわが国の男性の家事・育児などの「無償労働」が他の国に比べて圧倒的に低いことについて。全500分のうち有償労働時間と無償労働時間の比率は、男性が452分: 41分(女性は272分:224分)。カナダは341分:148分、スウェーデンは313分:171分となっている。
小生は、旭化成ホームズが主催した「『ワーク・ワーク・バランス』を考えるオンライン記者勉強会」の記事でも次のように書いた。
「有償」と「無償」は賃金が支払われるかどうかで分かれるのだろうが(労働者は金だけで働かないのも事実だか)、「労働」の価値そのものは変わらないと記者は考えている。家事や育児が「無償労働」とされてきたのはわが国の家父長制の残滓でもある。「無償労働」の価値を正当に評価することが「新しい生活様式」につながるのではないか。〝専業主婦(または夫)〟(昔は婚期を迎えた娘さんや出戻り、後家さんは「家事手伝い」と呼ばれたが、今は死滅しているはず)などの言葉は死滅すべきだし、職と住の関係も問い直す必要があると思う。
家事・育児労働をきちんと評価しないといけない。「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の制度の見直しも必要ではないか。この制度は明らかに家父長制度の残滓だ。
パネルディスカッションでは〝育休の質の向上〟も論議された。記者も約10年間〝主夫〟をやったので分かるのだが、家事・育児労働はいやおうなく質の向上を求める。さぼったり手抜きしたりすると、途端にほころびが出てくる。これは仕事と同じだ。だらだらと長時間働いても成果は上がらない-家事・育児労働をするからこそこのことがよく理解され、仕事にフィードバックされる。記者は〝主夫〟をやったことで仕事(記事)は2倍くらいに増えた。選択と集中だ。
ペールエリック・ヘーグベリ氏は育休は自分を見直すきっかけになる主旨の話をされたが、確かに見えなかったすべてのものが見えてくる。
積水ハ イクメン白書2020全国ランク 九州男児が上位独占 かかあ天下群馬は最下位(2020/9/19)
旭化成ホームズ 「ワーク・ワーク・バランス」を考えるオンライン記者勉強会(2020/6/30)
積水ハ イクメン白書2020全国ランク 九州男児が上位独占 かかあ天下群馬は最下位
積水ハウスは9月17日、全国の小学生以下の子どもを持つ20代~50代の男女9,400人を対象に育児休暇の取得実態を調査した結果を「イクメン白書2020」とまとめ発表した。
「イクメン白書2020」では、同社が独自に設定した5項目4指標に基づき「イクメン力全国ランキング」を公表しているが、1位には昨年36位の佐賀県が浮上、2位に熊本県(同14位)、3位は福岡県(同29位)となるなど〝 九州男児〟の九州勢が上位を独占した。昨年1位の島根県は27位へ大幅に後退した。
山口祥義・佐賀県知事は「佐賀県が日本一のイクメン県になったこと、本当に嬉しく思います。今、佐賀県では、結婚、出産、子育てのあらゆるステージで支援を行い『佐賀で子育てしたい』と思ってもらえる環境をつくるプロジェクト『子育てし大県(たいけん)さが』に取り組んでいます」とコメントを寄せた。
このほか、男性の育休取得率は昨年9.6%から12.8%に、「1か月以上」取得した男性も昨年13.1%から18.1%に増え、育休満足度は昨年67.5%から81.8%にそれぞれ大幅アップした。
また、男性の約8割が家事・育児に幸せを感じており、家事・育児スキルが高く、仕事に対する生産性の向上や会社への愛着も向上したと報告。
男性社員の育休取得が進んでいる会社は「企業イメージが良くなる」(89.9%)、「生産性が高い企業だと思う」(83.7%)、「就職したい(子どもに就職してほしい)」(86.7%)と、全ての項目で高い評価を得た。
調査結果について、子ども支援政策や男性の家庭参加の専門家・治部れんげさんは「今回の調査結果で興味深かったのは、佐賀、熊本、福岡という九州三県がトップ3 位を独占したことです。これまで『九州男児は保守的』とされてきたイメージを覆す画期的な内容だと思いました。もしかしたら『九州男児』に対するイメージ自体が特定地域と性役割の強さを結び付ける『ジェンダーバイアス』なのかもしれません」「都内の女子大で積水ハウスの男性育休について話したところ『うれしくて泣きそうになった』いう声がありました。男女共に育休を取れる会社、社会は次世代の大きな希望になるのです」などとコメントしている。
同社は、男性社員の育児休業1か月以上の完全取得を目指し、2018 年9 月より「イクメン休業」制度の運用を開始しており、2020年8月末時点で取得期限(子が3 歳の誕生日の前日まで)を迎えた男性社員670名全員が1か月以上の育児休業を取得しており、2019年2月以降、取得率100%を継続している。9月19日を「育休を考える日」として記念日制定し、2019年から企業で働く男性の育休取得実態を探る「イクメン白書」を発表している。
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小生は「イクメン」なる造語は好きではない。そもそも中身を不問にして外見だけで「イケメン」などと評価すること自体ばかばかしいことなのに、それを夫婦共同の仕事であるはずの「育児」に熱心な男性に当てはめるのは、不平等を当然のように肯定・固定化する考えが透けて見えるからだ。
いったい「イクメン」と呼ばれることに当事者はどう思うか聞いてみたいものだ。例えば、8月26日に同社の「みんなの暮らし7stories」のメディア向け見学会を取材した際、モデルハウスを説明した同社住生活研究所課長・木野村昭彦氏(41)。木野村氏は「うちは完全フルタイムの共働きなので、家事は妻と出来る限り平等に分担していて、私も妻と同様に料理や洗濯も普通にこなします」と語った。木野村氏は「イクメン」と呼ばれることをよしとしないはずだ。木野村氏の奥さんだって「イクジョ」などと呼ばれたら嫌な気分になるのではないか。
更にまた、男性の家事・育児時間は1日平均1.46時間なのに対し女性は5.14時間と大きな差があるのは、いわゆる専業主婦(これまた嫌な言葉)の回答者もいるからだろうが、こんな状態で生産性が上がるわけがない。
まあ、本旨から外れるのでこれくらいにしておく。「イクメン」も「主婦」も死滅するような世の中にしないといけない。
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レポートは全体で8ページの長大なもので、とても面白い。小生も全文を読んだ。
驚いたのは、やはり〝九州男児〟の言葉に象徴されるように、まだ家父長制が色濃く残っているのではないかと思われる九州勢が「イクメン力全国ランキング」で葉隠れの佐賀県がトップに躍り出て、〝肥後もっこす〟の熊本県、〝亭主関白〟の福岡県の順にベスト3を独占したことだ。宮崎県(6位)、沖縄県(9位)、鹿児島県(19位)、大分県(21位)、長崎県(25位)と九州の他県もみんな上位にランクされた。
九州勢の上位独占について治部さんは「もしかしたら『九州男児』に対するイメージ自体が特定地域と性役割の強さを結び付ける『ジェンダーバイアス』なのかもしれません」とコメントしたが、そうだろうか。
ならば、〝かかあ天下〟で知られる群馬県(昨年14位)は得点が30点しかなく、佐賀県の205点、24位の千葉県の118点より断トツに低いのはどう説明するのか(参考までに。わが故郷・三重県も18位(同5位)と大健闘しているのもうれしいのだが、若いとき、小生を〝花を愛せる人になって〟と殺し文句で捨てられた彼女の出身地は群馬県だ)。
まだある。隣り合う府県なのに京都府が11位なのに大阪府は44位、奈良県は46位だし、5位の長野県に対し岐阜県は37位で、鳥取県は7位なのに島根県は27位だ。順位が激しく入れ替わったのはなぜかの説明もほしい。
その理由としては、一つにはサンプル数が少ないこともあるだろうが、設問の仕方にも回答者は影響されているのではないかと小生は考える。九州の人も群馬県の人も回答者は祖父母、両親などから父親像、母親像を刷り込まれているはずで、その色眼鏡で自分自身を、そして配偶者を評価しているはずだ。治部さんは「ジェンダーバイアス」といったが、そのバイアスを取り除くフィルターを通せばまた違った結果が得られるのではないか。
それにしても、葉隠れ・佐賀県とかかあ天下・群馬県の人が結婚したらどのような夫婦になるのか。三日坊主になるのか、それともおしどり夫婦になるのか。
従来の総花的提案から脱却 積水ハウス ライフスタイル型モデル「7stories」開設(2020/8/27)
三井不レジ 中野駅北口の2.0haの再開発組合設立認可 住宅は約720戸
「囲町東地区第一種市街地再開発事業」完成予想図
三井不動産レジデンシャルは9月18日、参加組合員として事業参画している中野駅北口の線路際の「囲町東地区第一種市街地再開発事業」の組合が9月16日付で設立認可を受けたと発表した。
JR総武・中央線、東京メトロ中野駅前の「中野駅新北口駅前エリア」再開発に隣接する約2.0haの規模。住宅約720戸のほか、商業施設・オフィスに加え、隣接する区立「囲町ひろば」と一体的な広場形成を行い、防災機能の拡充、回遊性のある歩行者空間の整備を行う。2024年度の竣工を目指す。
事業地は、中野駅北口から徒歩数分の約2.0ha。建築面積は約8,860㎡、延べ床面積は約121,100㎡。事業推進コンサルタントは佐藤総合計画。
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同駅南口駅前では、住友不動産が2024年2月の竣工を目指し、開発面積約2.4haの「中野二丁目地区第一種市街地再開発事業」に今年3月工事着手した。20階建てオフィス棟(延床面積約15,000坪)と37階建て住宅棟(延床面積約14,900坪、約400戸)などを整備する。
同時に分譲すれば面白い戦いになるとみていたが、住友不動産は賃貸にする予定で、「囲町東地区」も分譲か賃貸化の記載はない。分譲されれば単価は坪600万円でどうだろうか。もっと高いか。
「中野二丁目地区第一種市街地再開発事業」完成予想図
三井不レジ・日鉄興和・三菱地所レジ・不燃公社 麻布十番駅近接の2.5ha再開発
三井不動産レジデンシャル、日鉄興和不動産、三菱地所レジデンス、首都圏不燃建築公社の4社は9月18日、参加組合員として事業参画している港区三田一丁目の「三田小山町西地区第一種市街地再開発事業」の組合が9月10日付で認可を受けたと発表した。
麻布十番駅に近接する約2.5haの区域で、約1,450戸の共同住宅をはじめオフィス、店舗、公園を一体で開発するとともに、麻布十番エリアへつながる動線を設け、緑あふれる広場や歩行者空間を整備してエリア全体の回遊性・利便性を高める。
事業地は港区三田一丁目3番他、区域面積は約2.5ha。建築面積は約10,430㎡、延べ床面積は約181,130㎡。事業推進コンサルタントはアール・アイ・エー。竣工予定は2027年。
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都心部の再開発プロジェクト始動が相次いで発表されている。マンションの戸数にしたら1万戸はくだらない。2万戸くらいではないか。
ここも場所はよく知っている。三井不動産レジデンシャル「パークコート麻布十番ザ タワー」、住友不動産「シティタワー麻布十番」に隣接するエリアだ。駅と直結されれば徒歩2分だろう。
所在は「麻布十番」ではないのと、高速道路が走っているのをどう評価するかだが、現時点で販売されれば坪単価800万円以下はあり得ない。あと7年、日本経済が活気を取り戻していたら坪1,000万円は超えるのではないか。それまで生きていられるかどうか。
〝オール地域〟の学生シェアハウスPJ なか安・住宅工営・日本工学院八王子専門学校
最終審査発表会(なか安で)
東京都八王子市の老舗料亭「なか安」と地元不動産会社「住宅工営」、昭和62年開校の日本工学院八王子専門学校の3者は9月10日、地域の再生・活性化を図るため老朽化し使用されなくなった老舗旅館をリノベーションし学生シェアハウスに再生するプランを専門学生から募る「明日も楽しみで”たまんない”〜学生シェアハウスdesign project @暁町〜」の最終審査発表会を開催し、各賞を決定した。(写真はは記者撮影以外全て住宅工営提供)
56案のうち最終審査に残った15案の中から最優秀賞には井上汐里さんの「Inner Terrace(照らす)House」が選ばれた。光と風を取り込んだアイデアが評価された。
井上さんは「手描き感を出すため、図面の色も自分で塗ったりした。努力が実ってうれしい」と目を潤ませた。
次位の優秀賞には齋藤亜紀さんと星川雅人さんが受賞し、さらに「暮らしを、design。賞」に西川茉季葉さん(SDGs部門)、村松陸さん(地域コミュニティ部門)と小林菜々子さん(SNS発信部門)、特別賞には芹澤匠太郎さん(なか安代表取締役・宮﨑昌久氏)、山田健太さん(学校法人片柳学園理事・黒須隆一氏)、佐藤真心さん(日本工学院八王子専門学校副校長・山野大星氏)がそれぞれ選ばれた。
オンラインによる最終審査発表会オープニングには、住宅工営より協力依頼したという、建築家の隈研吾氏からの学生に向けたエールメッセージ動画も上映されたそうだ。
最優秀賞の井上汐里さんの「Inner Terrace(照らす)House」
最終審査発表会(なか安で)
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同プロジェクトは、創業87年の老舗料亭・なか安の1972年竣工の9階建てビルのうち、同社が2003年に旅館業から撤退してから使用されなくなった4~6階部分(1フロア56坪)をリノベーションし、学生向けシェアハウスとして再生しようというもの。
なか安から相談を受けた創業51年の住宅工営・齋藤祥文社長は日本工学院八王子専門学校と連携して学生向けシェアハウスとして再生することを考え、今回のプロジェクトを立ち上げた。同社はこれまで2,000戸以上の建売住宅を供給した実績があり、齋藤社長は3代目だそうだ。
プロジェクトには同校の建築学科の3年生56人が授業の一環として参加。今年6月からすべてリモート授業で取り組んでいる。
齋藤氏は、「普通のマンションやアパートにリノベーションしてもこれからは事業として成り立たなくなる。いかに新しい価値を創造するか。学生さんには『箱があってプランを描くことは誰でもできる。新しい価値を吹き込むことが大事』と話しました。これから具体的なプラン作りに入るが、学生さんのアイデアを最大限生かしていく。来年3月までに完成させたい。これからの住宅事業はコミュニティがキーワードとなる」などと語った。
住宅工営の店舗(背後にはSDGsをあしらった壁:記者撮影)
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このプロジェクトは、週刊住宅の記者から聞いて知った。大手デベロッパーやハウスメーカーが主催するこの種の取り組みは何度か取材しているが、〝オール地域〟に意義があると思い取材をお願いした。書き足りない部分は、転載・引用の了解も得られたので、添付した同紙の記事を参照していただきたい。過不足なく書かれていると思う。
なか安は記者も一度、利用(接待、つまりただ)したことがある。庭園が美しく個室型なのでゆったり寛ぐことができる。
かつては多摩エリアの社会・経済圏の核だった八王子市だったことを納得させる料亭だと思う。シェアハウスが完成したらまた取材したい。
※8月3日付週刊住宅の記事
前提条件は?だが「道」のテーマが最高にいい ポラス第5回「学生・建築コンペ」(2018/6/23)
次代へ道を開くか「広がる通りみち」 第8回 「三井住空間デザイン賞」(2014/10/23)
三菱地所 常盤橋PJの街区名称「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」に決定
「Torch Tower(トーチタワー)」
三菱地所は9月17日、東京駅前で開発を進めている「東京駅前常盤橋プロジェクト(大手町二丁目常盤橋地区第一種市街地再開発事業)」の街区を「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」に、2021年6月末竣工予定の東京駅圏最高峰の高さ約212mのA棟を「常盤橋タワー」に、2027 年度竣工予定の高さ日本一となる約390m B棟を「Torch Tower(トーチタワー)」にそれぞれ名称決定したと発表した。
同プロジェクトは、東京圏の国家戦略特別区域計画の特定事業として2016年度に都市計画されたが、追加的に都市計画変更手続きを行い、「Torch Tower」に都心最高層クラスの展望施設、約100室の国際級ホテル、約2,000席の大規模ホールなどを整備するほか、1階から8階の外周部に約2㎞の空中散歩道と、屋上には約2,500㎡の屋上庭園を整備。街区全体では、約7,000㎡の大規模広場や親水空間、常盤橋公園など全体で約2.0haの屋外空間を創出する。
「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」という街区名称には、「Torch」のもつ「灯り」のイメージと、プロジェクトビジョン「日本を明るく、元気にする」想いが込められている。
発表会に臨んだ同社執行役社長・吉田淳一氏は、「10年以上前から検討してきたプロジェクトの概要がまとまった。現在はグローバルな競争が激化し、国内の社会課題も山積し、不確実性が増しているが、だからこそ停滞感を払しょくするためにも明確で分かりやすい〝日本を明るく、元気にする〟をコンセプトにした。日本一の高さ390mというシンボル性にふさわしい唯一無二の街づくりを推進していく」と語った。
「Torch Tower」は高さ約390m、地下4階地上63階建て延べ床面積約約544,000㎡。B1-6Fが商業施設、3F-6Fがホール、7Fがフィットネス、7F-53Fがオフィス、57F-61Fがホテル、62F・RFが展望施設。着工は2023年度、竣工は2027年度の予定。施工は未定。
「常盤橋タワー」は高さ約212m、地下5階地上38階建て延べ床面積約146,000㎡。B1-3Fが商業施設、3Fがカフェテリア、9F-37Fがオフィス、8Fがラウンジ。2021年6月末に竣工する予定。施工は戸田建設。
街区全体の設計監理は三菱地所設計が担当し、「Torch Tower」の頂部デザインには藤本壮介建築設計事務所主宰・藤本壮介氏、低層部デザインには永山祐子建築設計事務所主宰・永山祐子氏、広場デザインにはFd Landscape代表・福岡孝則氏を起用する。事業全体に占める同社の事業費は約3,500億円。
左から福岡氏、藤本氏、三菱地所執行役員常盤橋開発部長・茅野静仁氏、吉田社長、三菱地所執行役副社長・谷澤淳一氏、三菱地所設計常盤橋プロジェクト室長・松田貢治氏、永山氏
吉田社長
-ホール外装
親水空間
親水空間
広場空間
ホテルロビー
低層部
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コロナ禍でデベロッパー各社は〝自粛〟を決めているが、同社と同社グループは今回を含めて5度目の発表会を行った。プレス・リリースでは伝えきれない新しい事業や新商品の特性を経営陣が直に伝える姿勢がうれしい。今回も、報道陣と同じくらいの数十人のスタッフは全員SDGsのバッジを胸につけていた。
今回の発表会で記者がもっとも注目したのは「Torch Tower」の1階から8階の外周部に設置する約2㎞(往復4㎞)の空中散歩道だった。
ビルの高さが日本一というのは宣伝効果としては大きいかもしれないが、世界レベルからすれば問題にならない高さだし、約54.4haの延べ床面積も他に負けるし、全体で2.0haの屋外空間も、これより広いプロジェクトはほかにもあるはずだ。
しかし、ビルの外周にこれほどの空中散歩道を整備するのはわが国初ではないか。道路幅は約4mで、8階までの高さは約50mだそうだ。随所に緑も設置するという。マラソンのように走るのは禁じられるようだが、約5㎞の皇居一周とともに東京の新しい名所の一つになるかもしれない。
「常盤橋タワー」
三菱地所ホーム 木造の常識を覆す新構法「FMT」 富裕層・非住宅用途に照準(2020/9/4)
「美しい公衆トイレ発信できた」安藤忠雄氏/世界からオファー 日本財団PJ
「神宮通公園トイレ あまやどり」(写真提供:日本財団)
「美しい日本表現できた」安藤氏
既報の建築家・安藤忠雄氏(79)が設計デザインを担当した日本財団「THE TOKYO TOILET」の一つ、「神宮通公園トイレ」(あまやどり)が供用開始されたのに伴い、9月15日、安藤氏が約30分にわたり熱弁をふるった。約30社50人のメディア関係者が駆け付けた。
この種の独立型の公衆トイレを手掛けるのは初めてという安藤氏は、「2年前、話を聞いたときは費用もかかるし本当かな、大丈夫かなと思ったが、日本の〝売り〟の一つは清潔で美しいことにある。これをテーマに世界に発信したいと考えてデザインした。コロナを意識したわけではないが、風通しもよく、美しい公衆トイレとして世界に発信できたのではないか。宝石と同じように、小さいなりに大きな発進力があることを示せた。公園を見直すきっかけにもなる」などと語った。
他の作品については、「他の先生の作品は見ていないが、それぞれ緊張を持たれ全力投球されているのにびっくりした。話題にもなっているガラス張りは透けて見えたらどないすんねんと思ったが、その〝危険感〟がいいのではないか」と感想を述べた。
駆け付けた報道陣
内部(写真提供:日本財団)
安藤氏(左)と笹川氏
◇ ◆ ◇
記者は次のように質問した。
「先生、わたしはこれまで7か所のうち4か所を見学しました。先生のこのトイレが一番好き。日本だけでなく、世界の公園トイレのモデルに間違いなくなるはず。世界から同じものを作ってくれとオファーがあったらどうされますか。設計デザイン、著作権の帰属など権利関係はどうなっているのですか。外観ですが、縦格子はアルミ合金を採用されていますが(隈研吾さんが得意とする…これはぐっと堪えて)、木造では具合が悪いのですか。それと、こんなに美しいと、入った人が出て来なくなるんじゃないか、行列ができるトイレになるんじゃないかと心配ですが、いかがですか」
安藤氏は次のように答えた。
「世界からオファーがあったらどうするか、これは日本財団さんがどうされるかにもよる、ちょっと答えられない。アルミを使ったのは耐久性と衛生面を重視したから。木造は考えていなかった。入った人が出て来なくなったら、そりゃ困る」
世界からのオファーの質問を引き継いだ日本財団の常務理事・笹川順平氏は、「実はインド、ベトナム、中国、ヨーロッパなど世界中からオファーがあるが、決まっていない。今回のプロジェクトはメーカーのTOTOさん、施工の大和ハウス工業さんの力が合わさって実現したもの。メンテナンスも含めてよく検討しないと、そのまま輸出してうまくいくか不安もある」などと慎重な構えを示したが、まんざらでもなさそうだった。
「先生、コロナ気を付けてくださいよ」「コロナ? ついそこまで来よったが、逃げていきよった」
「大和ハウスさんもようやった。親分(社長)というもんは売上ばかり言うたらあかん。今回のように社員がやりたい仕事を取らなあかん」
縦格子の円形平屋デザインが美しい 安藤忠雄氏の「神宮通公園トイレ」完成 日本財団(2020/9/7)
日本財団 渋谷区公園トイレ整備に17億円 「西原一丁目」完成/真逆の児童遊園(2020/8/31)
三井不動産 安心な街づくりへ実証実験 Park-PFI制度の公園整備運営事業の一環
三井不動産は9月14日、NTTコミュニケーションズとともに、都市における課題の解決や経済的な発展をICTによって可能とする「安心安全な街づくり」の実現に向けた検証を9月18日から開始すると発表した。
Park-PFI制度を活用した事業としては全国で最大規模の再整備が行われている愛知県名古屋市の久屋大通公園の北エリア・テレビ塔エリア(全長約900m、面積約54,500㎡)の公園整備運営事業の一環として実施する。
公園内地下広場(旧もちの木広場)の防犯カメラ映像をNTT ComのAIを用いて解析し、防犯や事故防止に活用するほか、匿名化・統計化されたスマートフォンの位置情報データを用いて来園者の行動を解析し、施設運営やマーケティングに活用する実験を行う。
積水ハウス 「彩の国みどりの基金」へ累計1607万円寄付/課題も多い埼玉の緑環境
本日(9月14日)行われる予定だった、積水ハウスの「彩の国みどりの基金」への今回の寄付額が134万2千円となり、累計で18回1,607万4千円に達したことに対する大野元裕・埼玉県知事による感謝状贈呈式は延期となった。
「彩の国みどりの基金」は、埼玉県の豊かな自然環境を次世代に引き継いでいくことを目的に平成20年4月に創設された制度で、自動車税収入の1.5%相当額と企業・個人からの寄附を基金に毎年積み立て、森林の整備・保全や身近な緑の保全・創出、県民運動などに活用しているもの。
平成30年度までの累計積立額は、自動車税収入の1.5%相当額が約143億円、寄付額が約4億2,634万円となっている(他に運用益1億3,259万円)。活用額は約388億円で、「森林の整備・保全」の分野で11,409haの森林を整備、再生したほか、民間施設や公共施設の緑化、校庭・園庭の芝生化などによる「身近な緑の保全・創出」の分野で515か所の緑を創出している。
同社は戸建て住宅1棟に〝3本は鳥のために、2本は蝶のために〟の「5本の樹」計画を盛り込むことを基本としていることから基金制度に賛同し、県内で建設した環境配慮型住宅「グリーンファースト」1棟につき2千円寄付を寄付している。基金への全寄付額に占める割合は約3.8%に達している。
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小生は60年来の西武ライオンズファンだ。西武とつながっている埼玉も好きだ。〝ださいたま〟と揶揄されるのも受け入れられる。しかし、好きだからこそ、埼玉の弱点、課題も見えてくる。以下、埼玉が抱える課題などをデータで示す。
埼玉県の平成27年度の都市計画に関するデータによると、県内の市街化調整区域住む人口は県人口の16.0%に当たる約115万人で、調整区域面積も北海道に次ぎ全国2位だ。
調整区域が多いということは、それだけ〝緑〟が多いともいえるのだが、緑被率は東京、神奈川、大阪、愛知、福岡に次ぎ全国6位の少なさで、農耕地を除いた植林地、二次林だけで比較すると東京都より少なく全国最低だ。
1人当たり都市公園面積も東京都とそれほど変わらない少なさだ。さいたま市の5.10㎡はむしろ多いほうで、所沢市4.02、春日部市3.27、川口市3.22、越谷市2.70、草加市1.92、蕨市1.85などと東京23区平均の4.42㎡を下回っている市が多い。
都市のポテンシャルを計る指標の一つでもある、良好な低層住宅の環境を保護する第一種低層住居専用地域の全用途地域に占める面積割合も首都圏で埼玉県が〝断トツ〟に少ない。東京都は36.9%、神奈川県は30.4%、千葉県は31.3%であるのに対し、埼玉県は17.7%だ。調整区域が多いことを割り引いてもいかにも少ない。ちなみに大阪市は第一種低層住居専用地域が全くない。
第二種低層住居専用地域を含めて50%を上回っている都市計画エリアはさいたま、志木、北本、富士見、朝霞、越谷、新座しかない。
街路樹が貧しいことも戸田市、三郷市、白岡市、八潮市などの事例を紹介してきた。街路樹の豊かさと街のポテンシャルとは相関関係にあることは言うまでもない。
以上、埼玉県の緑や住環境について問題を指摘したが、明るい材料もある。マンションの分譲単価は東京、神奈川より相対的に低いが、浦和、大宮、所沢、川口などは千葉県の各駅圏より高く、一方で第一次取得層に手が届くエリアも多い。自虐的な〝翔んで埼玉〟がヒットしたのも、他都県にない良さをアピールできているからではないか。
彩の国みどりの基金が、少しでも県の緑環境の向上に役立ち、イメージアップにつながることを期待したい。
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県庁の代表電話から都市計画課につないでもらう保留音に〝おお 埼玉 埼玉 輝く埼玉〟の音楽が流れた。埼玉県歌であることはすぐ分かった。保留音が何度も繰り返されても嫌にならない。もう50年以上東京に住んでいる小生は「東京音頭」なら歌に合わせて踊ったことはあるが、東京都歌があるのかどうかも知らないくらいだ。長野県歌を〝知らない県民はいない〟のは例外だ。
そこで県庁に問い合わせた。県歌は昭和40年に制定されたもので、県庁の電話の着信音として採用したのは平成25年1月4日からという。
県民への浸透度はいま一つで、マスコット「コバトン」には遠く及ばないようだ。県の施設などでどんどん流せばいいのではないか。(電話保留音で長くなっても嫌にならないのは積水ハウス「積水ハウスの歌」だが、デベロッパーでは三菱地所で、確かビバルディの「四季」だと思う)
ついでに「みどりの基金」の表彰式について。行うのなら広く県民に理解してもらうようイベントがいいのではないか。同社には緑のプロ涌井史郎取締役(東京都市大学特別教授)がいる。トークショーを行えば参加者が殺到するはずだ。
埼玉県「彩の国みどりの基金」への寄付累計1473万円 上田知事から感謝状 積水ハウス(2019/7/13)
貧しい街路樹 低い緑被率 「緑」に対する市民の不満率44% 「八潮らしさ」を考える(2020/2/15)
樹齢30年以上 戸建てより低く〝伐採〟された「白岡ニュータウン」のケヤキの街路樹(2016/4/27)
続々「街路樹が泣いている~街と街路樹を考える」 支離滅裂の「新三郷」(2014/10/24)
続「街路樹が泣いている~街路樹と街を考える」流山と越谷、三郷の差(1014/10/17)
貧弱な戸田市の緑・街路樹 市民の満足度が上がらないのは行政の責任(2012/3/13)
東京都 新型コロナ感染者 5日連続で30代男性が最多 20代の減少顕著
pdfはこちら感染者.pdf
東京都の新型コロナ感染者は減少傾向にあるが、世代別・性別属性では、30代男性が5日連続して最多となっている。20代の感染者が減少している分だけ押し出された格好だ。
別表は過去5週間の日ごとの20~40代の世代別・性別感染者の推移をみたものだ。8月26日までの18日間では、20代男性が14日間最多だったのが、その後の1週間では20代女性が6日間最多となり、この5日間は30代男性が最多となっている。