「スラップ訴訟」「ひこばえあるうちはあきらめない」街路樹守る会・愛氏ら会見
西川氏(左)愛氏(都庁会見室で)
ChatGPTに聞いた。「重さ10キログラムのA4のコピー紙は枚数にするとおおよそ何枚でしょうか。また、この紙を製造するのにどれくらいの樹木が必要で、水、その他CO2排出量はどれくらいでしょうか」
瞬時に次のような答えがはじき出された。「A4コピー用紙の重さは通常、1枚あたり約4.5グラム(80g/m²の紙の場合)です。計算式は以下の通りです(略)10kgのA4コピー紙=約2,222枚。製造に必要な資源:樹木(1本高さ約12m):0.03本、水:22,220リットル、CO2排出量:9.3kg」
重さ10キログラムのA4のコピー紙とは、11月21日行われた「神田警察通りの街路樹を守る会」の記者会見で、千代田区がイチョウ並木の街路樹伐採工事区域内への立ち入り禁止を求めた「立入行為禁止仮処分命令申立」を受けた愛みち子氏(一般社団法人「街路樹を守る会」代表)と西川直子氏(「建築ジャーナル」編集長)にそれぞれ送られた段ボール箱に詰められた訴訟資料の量だ。コピー用紙約2,222枚といえば、400字原稿用紙にして約6,666枚。「源氏物語」の約3倍だし、消費する水の量は浴槽の100日分もあり、CO2排出量はイチョウが半年間かけて吸収する量になるのではないか。(間違っていても記者は責任を取らない。ChatGPTの答えをそのまま紹介したにすぎない)
何の前触れもなく書類が届けられたときのショックを愛氏も西川氏も隠せなかったようだ。言葉は悪いが、臨家に糞尿をぶちまける行為に近い。
両氏はまた、昨年11月の8名と今回10月の2人の訴訟を合わせ弁護士費用は626万円(区民1人当たり約1万円)に上ることを明らかにした。上記の訴訟資料作成にはいくらの費用が掛かっているのか。
記者は、区の代理人弁護士の名前など明かしたくないのだが、愛氏も西川氏も名前を明らかにし、写真撮影も許可した。公平性を勘案して、担当している南木みお氏と外ノ池佳子氏の両弁護士の名前を出すことにした。
弁護士も因果な仕事だ。どのような経緯があったかは知らないが、このような仕事を受けることに何の痛痒も感じないのだろうか。自らの弁護士としての経歴に汚点を残さないのか。
「立入行為禁止仮処分命令申立」とは、「神田警察通りの道路整備工事において、午後8時から翌日午前8時までの間、赤色カラーコーンとコーンバーで区切った作業帯の設置を開始した時点から撤収するまでの間、同作業帯に立ち入り禁止の決定を裁判所に求めるもので、区はイチョウの下に座っている2人を取り囲み、写真を撮影し、インターネットで執拗に調査し、特定するという作業を千代田区環境まちづくり部道路公園課の職員が行った」(会見での配布資料)というものだ。
職員もまたかわいそうだ。仕事だから断れないのだろうが、〝お父さん、イチョウの木に抱きついているあの人たちってそんなに悪人なの? 〟と子どもに尋ねられてきちんと答えられる人はいるのだろうか。
送られてきた段ボール箱を紹介する愛氏
隠し撮りの写真
書類の一部(タバコは記者のもの)
◇ ◆ ◇
記者会見場で資料として配布された「第17回神田警察通り沿道整備推進協議会議事要旨」(令和2年12月2日)を読んで、「街路樹の味方」の記者は怒りがこみあげてきた。〝伐採ありき〟の論議しか紹介されていないからだ。各委員の声を紹介する。
●学識経験者の保存案に対する意見の中に「倒木の可能性がある」とある。台風で倒れて、人や物に何らかの被害を与えた場合、どこが責任を取るのか(担当者貴「区の責任になる」と答弁)
●何より怖いのは倒木によって避難路が維持できなくなること。倒木の恐れがあるならは、この際切った方がいいのではないか
●倒木の恐れがある樹木は街路樹に適さない。街路樹は緑陰を兼ねているというが、今は高いビルが多いため、陰を保っている
これら委員の方は街路樹や樹木に関して素人だろうし、何を発言しようが自由だろうが、町内会を代表しているのだろうから(選出方法に問題があり、異論もあるが)、少しは勉強して臨むべきだ。以前記事にも書いたが「戦争は平和なり 自由は隷従なり 無知は力なり」(ジョージ・オーウェル「一九八四年」)-為政者がもっとも好むのはこのような方々だ。
実際はどうか。国土交通省の調査によると、国・都道府県・自治体が管理する道路における街路樹(高木)約720万本のうち、年平均の倒木本数は約5,200本で、倒木による被害は、直轄国道で人身1件、物損34件が確認されたとある。
比較するのが適当かどうかはわからないが、近年の年間離婚件数は約18万件、孤独死は約3万人、特殊詐欺は2万件弱、家庭内事故死は約16,000人、交通事故死は年間約3,500人、強盗は約1,500件、殺人は1,000件弱…。
車道を逆走する車が日常茶飯で、空から人が降ってくる時代だから、確率として0.0007%の倒木を恐れるのは理解できないわけではないが、〝天が落ちてきたらどうしょう〟〝空からミサイルが飛んでくる危険性があるから防衛力を高めよう〟という考えと同じといったら失礼か。緑陰の代わりにビルの陰を期待する意見にはもうなにもいうことはない(そもそも神田警察通りは日影は全く考慮されない商業地域だ。沿道居住者には住環境を叫ぶ権利はない。税務署、神田警察署、正則学園、錦城学園も敷地いっぱいに建物を建てていように、都市計画に問題がある。だからこそ街路樹は貴重なのだが…)-2時間もかけてこんな論議に終始していたのか。学識経験者とは誰だ。
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神田警察通りの街路樹問題について、記者会見で愛氏、西川氏らは概略について次のように示した。
千代田区の神田警察通りは、一ツ橋から神田駅までの1300m余りの区道で、200本近い街路樹が植わっています…2016年に地元などから反対がでて、32本のイチョウは残りました。しかし2020年、残りすべてを伐採する方針をたてました。
住民たちは「神田警察通りの街路樹を守る会」をつくって、区長などに再三話し合いを求め、解決策としての代替案も提示してきました。
しかし千代田区は話合いや調整をしようとしません。仕方なく、住民たちはイチョウの街路樹を守るため、夜を徹した見守りを始めました。これまで720日以上続いています。
すると千代田区は、大量の警備員を雇い深夜に大音量で脅すなど強引な伐採工事を10回近く行い、計18本のイチョウを伐採しました。まるで戦争のような有様は区の行政からかけ離れ、常軌を逸しています。
また、異常な工事に対して、①地域住民への周知・協力の欠落②工事車両の危険な使用③現場の市民への非人道的な対処④異常な工事動員数(令和5年4月11日は合計50名で、総額500万円を超える金額が関係者に支払われた)-などの問題点を指摘した。
愛氏らは、今回の訴訟は樋口高顕区長からの「スラップ訴訟」だとして、「私たちはひこばえがあるうちはあきらめない」と締めくくった。
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第20回神田警察通り沿道整備推進協議会 議事録」(令和4年3月10日)から、「神田警察通りの街路樹を守る会」の推薦として、母が錦華小学校出身で、自らは一橋中学校に通ったという明治大学教授が述べた意見の一部を以下に紹介する。
「明治大学の●●●●と申します…明大通りの歩道の拡張に伴う、街路樹問題についての2年を超える沿道協議会の議論を経て、プラタナス並木の処遇をめぐる議論が輝かしい成果を獲得することができました…ほぼ2年、全部で9回の協議会を重ねたわけです。話がまとまった根本的な理由は、まさにまちづくりの学問的な専門家、そしてまた、民間企業におられて現実もよくご存知の法政大学の●●先生を座長に据えて、そして街路樹の、まさに専門家の千葉大の名誉教授の●●●●●先生をアドバイザーとして、つまり、専門家たちによって、このワークショップというものが、牽引されて、そして合意形成を促進していったということが、非常に重要なモーメントだったと思うわけです…会場には、全長5メーターに及ぶ、明大通りの模型を作りました。そして、この模型をめぐって、いわゆる反対派と、いわゆる賛成派が、このミニチュアの明大通りの街路樹や信号機などを自由に動かしながら、お互いが身を寄せ合って議論する。そうしたことやミニチュアの明大通りを御茶ノ水の駅から、或いは駿河台の下からを眺めてみる。そういったことを経験していきますと、お互いがあらかじめいだいていた不信感や疑心暗鬼は次第に解けていくものです…また年齢は違えども、出身の中学や高校や大学が同じだったり、共通の知人や友人がいたりすれば、お互いに氷は溶けていくというわけです…地域社会に根づいている、或いは生きている緑と、それを慈しむ人々の心を軽んじる傾向に加担することは、二酸化炭素の削減において、技術的な解決を模索しつつも、地域開発と称して、地域社会にビル風の公害やヒートアイランド現象を引き起こす企業の活動が、実は環境配慮の偽装であるといったことと変わらないと思います…最後に本日は、私の祖父と祖母が焼け出された3月10日でございます。民主主義があからさまに踏みにじられているこの世界において、まさに民主主義とは何かという根源的な問いがここ神田警察通りの問題にはあります」
議事録は、行政担当者を除きすべて伏字。個人情報保護がその主な理由だ。しかし、この種の会合での発言は区民に責任を持つはずで、名前を公開するのが基本だと思う。いやなら辞退すればいい。伏字ばかりの文章は暗黒時代の小説や昔の「チャタレイ夫人の恋人」を読むようで、気分がよくない。堂々と名乗った明大教授にも失礼だ。
「まちづくりとはなんだ」専大生によるドキュメンタリー「変わりゆくまち神田」(2024/5/8)
「アレ」を「暗黒社会」「ファッショ」に置き換えた…千代田区の仮処分申立書(2023/12/2)
〝やめてくれよ区長さん千代に千代田のイチョウが泣いている(20230/12/1)
「約束を反故。許せない」住民怒る健全木のイチョウ新たに4本伐採千代田区(2023/2/7)
健全な街路樹を「枯損木」として処分問われる住民自治千代田区の住民訴訟(2022/11/12)
「苦汁」を飲まされたイチョウ「苦渋の決定」には瑕疵続「街路樹が泣いている」(2022/5/14)
民主主義は死滅した千代田区のイチョウ伐採続またまた「街路樹が泣いている」(2022/5/13)
千代田区の主張は根拠希薄イチョウの倒木・枯死は少ない「街路樹が泣いている」(2022/5/12)
ぶった斬らないで神田警察通りのイチョウの独白続またまた「街路樹が泣いている」(2022/5/11)
なぜだ千代田区の街路樹伐採強行またまたさらにまた「街路樹が泣いている」(2022/5/10)
世界の水辺の再生・街づくりに学ぶ 野村不「BLUE FRONT SHIBAURA」セミナー
右から四居氏、高野氏、内田氏(浜松町ビルディングで)
野村不動産は11月19日、「世界の水辺の街と、最新の街づくりトレンド~“TOKYO”の経済重心が都心からベイエリアへ~」と題したメディアセミナーを開催し、日本総合研究所リサーチ・コンサルティング部門プリンシパル高野寛之氏をゲストに迎え、同氏がニューヨークとシドニーの水辺の先進的な再開発を紹介するとともに、野村不動産芝浦プロジェクト企画部課長・内田賢吾氏とクロストークを行った。セミナーは二部構成で、記者が参加した一部は約20人のメディアが参加した。
冒頭、野村不動産芝浦プロジェクト企画部部長・四居淳氏は、「2013年に再開発の検討を開始し、今年5月にタウン名を『BLUE FRONT SHIBAURA』に決定し、来春には1棟目のS棟が完成する。全体完成は2030年だが、水辺の価値をどうとらえるべきか実証し、皆さんと一緒に考えていきたい」とあいさつした。
内田氏は、「BLUE FRONT SHIBAURA」の概要について説明。浜松町駅と緑のアプローチを整備し、バリアフリーな街づくりを行い、ラグジュアリーホテルを誘致し、観光拠点にもするとともに、再開発に際しては、水辺を再生し、他の大手町や日本橋、晴海などと連携させ、ベイエリア全体の価値をあげていくと語った。
高野氏は、ニューヨークのハドソン・ヤード再開発、hunter's Point South Park、ドミノパーク、Little Island、シドニーの港湾地区の再開発などについて説明。先進的な海外事例から得られる示唆として、「観光客、地元住民、ワーカーにとって魅力的な目的地としての水辺空間」「新たなライフサイクルの創出による街の魅力の向上」が都市の活性化・競争力の観点から重要とし、憩いの場となるパブリックスペースの存在、イノベーティブな体験を可能とする水辺開発のポイントとなり、水辺の拠点をつなぎ、人の回遊を促す水上交通は不可欠と話した。
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高野氏がニューヨークとシドニー、内田氏がアムステルダムの湾岸整備について話しているとき、海好きの記者はわが国の湾岸・港湾都市のことも考えていた。海と川に背を向けて発展してきたのではないかと。高野氏も内田氏も「(湾岸の)荒廃」「(街との)分断」「(開発と規制は)トレードオフ」などの言葉を何度も使った。言うは易く行うは難し-2008年に体験した日本橋川下りの記事を添付したので是非読んでいただきたい。「芝浦アイランド」の記事も添付したが、このころニューヨークでも湾岸の再開発が行われていた。
47都道府県のうち海に面していない県は栃木県、群馬県、埼玉県、山梨県、長野県、岐阜県、滋賀県、奈良県の8県あり、海に面していない、あるいは1級河川がない都道府県庁所在地は10都市くらいあるはずで、残りの約30都市は海があり、大きな川が流れている。
これらの都市の現状はどうか。一つひとつ調べる余裕はないが、今も人口が増え経済も発展しているのはその半分あるかどうかではないか。これらの都市でも湾岸エリアの再開発が課題になっている都市は少なくないはずだ。大阪もそうだろう。
なぜか。京浜、中京、阪神、北九州の四大工業地帯に象徴されるように、1960年代の高度成長期までに、原材料・製品の輸出入に便利な港湾が整備され、その後背地は原油タンク貯蔵庫や工場、物流施設などが整備されてきた。
代表的な例は、東京駅から電車で10分圏の江東区新木場一丁目、新木場二丁目、新木場三丁目及び辰巳三丁目の約151haのエリアだ。都は平成11年11月15日付で従前の工業専用地域から準工業地域に変更し、地区計画によって「木材関連をはじめとする多様な生産・流通機能と商業・業務機能などが共存できる複合地区の形成を図る」目的に適さない住宅や風俗系建築物、廃棄物処理場を不可とした(居住者は100人近くいるが…)。
一方、湾岸エリアで商業・業務・居住・観光拠点などとして発展している都市はいくつあるか。横浜、神戸、広島、福岡、那覇くらいしか記者は思いつかない(ほかの都市は行ったことがない)。
セミナー中、考えていたことはもう一つある。同社が芝浦プロジェクトのタウンネームを「BLUE FRONT SHIBAURA」とし、舟運「BLUE FERRY」の船上ツアーを実施した5月30日から1週間後の6月6日に、建物のデザインを監修した槇総合計画事務所名誉顧問の槇文彦氏が亡くなったことだ(享年95歳)。建物のイメージは〝寄り添う夫婦〟だそうだ。「BLUE FRONT SHIBAURA」は遺作となったのか。
野村不&JR東日本芝浦PJ「BLUE FRONT SHIBAURA」イメージは寄り添う夫婦(2024/5/31)
パークシステムの復活はあるか都市再生は可能か「川」を考える(2023/12/28)
期待の大きさの分だけ深い失望「渋谷川・古川の河川再生」現地を歩く(20222/10/5)
圧巻の眺望「メムズ竹芝」眼下の浜離宮-隅田川-ビル街…「ウォーターズ竹芝」(2021/7/1)
らしき建築物発見!住宅不可の151haの江東区・新木場に88人が住む不思議(2019/6/4)
これでいいのか 川に背を向ける日本橋の街(2008/5/19)
街全体の資産性と割安感が人気 「芝浦アイランド」(2006/12/12)
ポラス 第6回「おえかきコンクール」表彰式 応募は過去最多の2,940作品
特別賞受賞者(ポラテック本社で)
ポラスは11月16日、第6回「おえかきコンクール」表彰式を開催し、全国から応募があった2,940作品の中から特別賞20作品、特別優良賞20作品、優良賞160作品、奨励賞500作品を発表した。表彰式には約90人が参加し、同社グループ・中内晃次郎氏が主催者としてあいさつしたほか、8つの後援自治体首長のメッセージも披露された。
中内氏は「今年もどのような作品が見られるかとても楽しみにしていたところ、全国各地から過去最多の2,940点と、大変多くのご応募をいただきました。どれもが大人では思いつかないような自由な発想で描かれたものばかりで、子どもたちの生き生きとしたエネルギーにあふれておりました。そのような作品に触れることで、私たちもたくさんの元気をいただき、とても温かい気持ちになりました」とあいさつした。
審査員を代表して若色欣爾・審査委員長(越谷市住まい・まちづくり協議会会長)は「応募は海外を含め3,000近くにのぼり、このうち2年連続の応募が702名、3年連続の応募が164名あった。大変ありがたい。連続応募者は特別に表彰してはいかがか。また、3歳未満の応募は約1割で、ほとんどが選外になるが、私は選外の作品も再度見るようにしている」などと講評した。
同コンクールは、同社グループ創業50周年記念事業として2019年に開始されたもので、0歳から6歳の未就学児を対象に「住んでみたい夢の家・街」をテーマに8切サイズの画用紙にクレヨン、絵具、水性ペンなどで描いた作品を募集。後援自治体には越谷市、さいたま市、草加市、松戸市、柏市、流山市、吉川市のほか、今回は野田市も加わった。
協力団体は、越谷市住まい・まちづくり協議会、越谷美術協会、埼玉大学教育学部 木材研究室、NPO法人木育・木づかいネット。、山崎正氏(越谷美術協会会長)、浅田茂裕氏(埼玉大学教育学部教授、NPO法人木育・木づかいネット理事長)、野村壮一郎氏(ポラスグループ社員グッドデザイン賞受賞ディレクター)、大湖正之氏(同デザイナー)。
入賞作品は越谷市、さいたま市、流山市、草加市、松戸市の公共施設で巡回公開・展示される。
中内氏(左)と若色氏
【以下、特別賞・特別優良賞受賞作品】
大賞 丸山舜葵さん(5歳)作品
金賞 阿部想也さん(5歳)作品
金賞 越前杏咲さん(6歳)作品
金賞 丸茂正虎さん(5歳)作品
金賞 横井大和さん(5歳)作品
越谷市長賞_ 松澤杏さん(4歳)作品
草加市長賞_ 篠﨑瑛斗さん(5歳)作品
さいたま市長賞_小泉悠さん(5歳)作品
松戸市長賞_堀江美伶さん(6歳)作品
流山市長賞_中村渚さん(6歳)作品
柏市長賞_平野葵香さん(5歳)作品
吉川市長賞_ S.Uさん(4歳)作品
野田市長賞_中村奏心さん(5歳)作品
越谷市住まい・まちづくり協議会賞_枝廣咲来さん(4歳)作品
越谷美術協会賞_荻田花恋さん(5歳)作品
森と木の住まい賞_今村圭佑さん(6歳)作品
ポラス審査員賞 宮崎桜さん(6歳)作品
ポラス審査員賞中山知香さん(6歳)作品
ポラスグループ55周年記念賞 西川結斗さん(6歳)作品
ポラスグループ55周年記念賞 K.Sさん(5歳)作品
◇ ◆ ◇
以下は、多少は絵を観る目はあると思っている記者の〝押しの絵〟だ。対象は優秀賞に選ばれた160作品とした。
どうして優秀賞にしたかといえば、そもそも子どもの描いた絵を(汚辱に満ちた世界に生きる)大人の目で評価していいのか、創造力が未発達の乳児とその萌芽期である4歳児以上と同じモノサシで測ることなどできないのではないかという疑問を持っており、他の作品を含めて視点を考えればみんな素晴らしい作品に見えてくるからだ。
記者は、会場の一番端っこに展示されていた0歳児のT.Hさんと2歳児の宮田さんの作品に目を見張った。3歳児の上条さんの作品にも不思議な魅力があるし、植草さんの作品は、他の作品がカラフルなものばかりなのに対して異彩を放っている。
写真は記者が撮影したのを当初はそのまま掲載したのだが、ポラスにお願いしてプロのカメラマンが撮影したものに変更した。ポラスにも感謝したい。読者の皆さんもこれらは上段の作品と比べて全然見劣りしないと感じられるのではないか(大人の目だが)。
そして強く思うのは、子どもたちの無限の可能性を秘めた想像力を育みより豊かにするのか、それともそれを削ぐのかはお父さん、お母さん、学校の先生、さらには地域の人たちだ…この日紹介された絵のように未来が明るくなるのを願うばかりだ。
H.Tさん(0歳児)の作品
宮田梛央さん(2歳)の作品
上条翠さん(3歳)の作品
岩渕恵子さん(4歳)の作品
中原朱亜さん(4歳)の作品
植草朔さん(5歳)の作品(ポラス提供)
表彰式
優良賞
「協創」促す機能と美の融合オフィス「出社率高まる」三井デザインテック
エントランス
ハローウィンのこの日(10月31日)、わが国民を熱狂させた大谷翔平が所属する西海岸の王者ロサンゼルス・ドジャース(ナ・リーグ)と、本塁打王アーロン・ジャッジを擁する東海岸の王者ニューヨーク・ヤンキース(ア・リーグ)との48年ぶりの夢のワールドシリーズ第5戦があったのだが、試合がどうなろうと全く興味はなかった。唯一の関心事は、同業のF記者が絶賛した三井デザインテックの銀座オフィスが美しいかどうかを確認することだった。
エントランスに入ってほとんど瞬時に心が踊り、取材を終えた30~40分後には感動で胸がふるえた。案内していただいた同社フェロー/エグゼクティブクリエイティブディレクター・見月伸一氏、広報担当の(記者がアンチ巨人&西武ファンを知ってか知らずか)巨人ファンというNさんと美大出身のOさん(二人でON、逆だとNO)に感謝申し上げる。
①有楽町駅前のサクラの街路樹
②板橋・浮間公園のメタセコイア(左)と③東銀座駅すぐのメタセコイア
本題に入る前に写真①②③を見ていただきたい。①の写真は、JR有楽町駅前の東京交通会館前に植わっている街路樹だ。樹形からしてケヤキではないかと思ったのだが、よく見るとサクラだった。樹齢はわからないが、人間にしたら芳紀まさに十八か(サクラは雌雄同株だが)。千鳥ヶ淵や井の頭公園のような池のほとりではなく、何のストレスもないフラットなところで、強剪定などされていないからこのような美しい自然樹形を描いているのだろう。これこそが「フラクタル」現象だ。
②の写真は、戦後、米国から昭和天皇に献上されてから爆発的に全国に広がったメタセコイアで、板橋区・舟渡公園で撮影したものだ。樹高は30mにもなるはずだ(阿佐ヶ谷駅前の落葉したメタセコイアはビュッフェの絵画を見るようで最高に素晴らしい)。
③の写真は、東京メトロ東銀座駅を降りてすぐの同社本社ビルにも近い、公開空地に植えられているメタセコイアだ(本来、こんな狭い空間に植えるものではない)。虐待というべき強剪定がされていた。至るところからひこばえを茂らせ、必死に生きようとていた。
千葉大学名誉教授・藤井英二郎氏は三鷹市で行われた講演会で「強剪定された街路樹をみて多くの人々は無意識でストレスを感じているんです。感じていながら気づいていない。これは不幸です…強剪定された街路樹は委縮した心と社会の表れです」と喝破した。
◇ ◆ ◇
オフィス見学取材が決まったとき、ぜひとも聞こうと思っていたことが一つあった。丹下健三が「(建築物は)機能的なものが美しいのではない。美しいもののみが機能的だ」と専門書で書いていた。この言葉が頭の隅にこびりついており、マンションを見るときも街を歩くときも、美しいか醜いか機能的かそうでないかをずっと考えてきた。
そこで次のような図表をつくった。丹下の言が正しいとすれば、右の図表になる。その逆だと左だし、機能性と美が重なり合うこともありうるとしたのが真ん中だ。
そして、お会いした方すべてに聞いてみた。ちょうど出合わせた同社取締役専務執行役員ライフスタイル事業本部長・玉留勇輝氏はためらいなく左を指さした。Oさんは「理想は真ん中」と答えた。Nさんは「多様性」などと回答を避けた。見月氏は当初明言しなかったが、記者とのやり取りの中で「私も丹下さんに近いかもしれない」と話した。
新オフィスは、狭義の意味でデザイン性にこだわったのではなく、協創を生む機能性も重視したまさにユニバーサルデザインにしたということだ。建築家もデザイナーもそして我々も目指すべきなのは美と機能が重なり合う究極の「フラクタル」ではないか。
◇ ◆ ◇
三井デザインテック新本社オフィス「CROSSOVER Lab」は2021年7月、「銀座6丁目-SQUARE」に移転したもので、1~3階の延べ床面積1,512坪(同社のプレス・リリースと記者の記事参照)。最先端のABW研究×クロスオーバーデザインをテーマに、社内外の組織の垣根を超えた「協創」を促し、Well-Beingな空間でイノベーションを誘発する新たな働き方の実現を目指している。
ここでは、見月氏の説明と記者の感じたままの印象を紹介する。まず、エントランス。目に飛び込んできたのは天井まで届く両開きのナグリ仕上げのドアだった。同社は2016年、ロンドンで行われた著名なデザイナーやデザイン会社が結集したハイエンド向けホテル関連資材展示イベントで審査員特別賞を受賞したのだが、その時もこのナグリ仕上げを提案した。初めて挑戦するナグリを見事に仕上げた英国人の職人魂に、見月氏は「匠に国境はない」と感銘を受け、新オフィスのドアにも象徴的に取り入れたという。
エントランス正面の壁がまた美しい。見月氏から説明を受けるまで分からなかったのだが、ビス、蝶番、塩ビパイプなどの建築資材をアートにしたものだった。1階の「CORDs(Crossover Design salon)」には和テイストが多用されていた。アクセント壁にはえもいわれぬ珊瑚珠色か紅柑子、藍染の一種である浅葱色が用いられていた。光の当たり具合で変化するグラデーションの演出も見事だ。
2階の執務フロアはフリーアドレスで、ネイバーフッドエリアがたくさん設けられており、「協創」を促す仕掛けが随所に施されていた。カラーリングは暖色系が多用されており、これもリラックスできる空間に仕上げるよう計算されているに違いないと感じた。
3階フロアは一変して「白」が基調だった。記者は小躍りした。美しいのはやはり白だ。見月氏に「私は女性がもっとも美しいと感じるのは白と黒」と話したら、見月氏も同じ考えのようで、目の前のNさんとOさんに視線を向けた。二人とも白と黒だった。3階にはこのほか、社外の顧客も招くことができるキッチン&バー、屋外テラスSORANIWA(空庭)も設置されている。
屋外テラスSORANIWA(空庭)
もう一つ気が付いたことがある。1階も2階も3階も内装仕上げはほとんどスクエアなのだが、3階の一角だけアール形状にした出入り口があった。これまた空間をシームレスにつなぐ計算がされていると思った。何の違和感も覚えなかった(最近の建築物はアールが流行のようで、三井不動産レジデンシャル「パークコート青山 ザ・タワー」や森ビル「麻布台ヒルズ」などマンションにもたくさん用いられている)。ただ、使い方を誤ると今風に言えばダサくなる。
意外だったのは緑だ。フェイクグリーンは一つもなく、観葉植物はすべて本物だったのは予想した通りだったが、その数はそれほど多くなかった。過剰な緑はマイナスに働くことを考慮したのだろう。
肝心な新オフィスの生産性の向上について。見月氏は「これは数値化が難しいが、号令をかけているわけではありませんが、出社率が高まったのは確か。コロナ禍で在宅・リモートが浸透した一方で、リアルな人のつながりが重要なことから、どこの企業も戻ってくるよう呼び掛けているが、なかなか難しいのが現状」と話した。
これも同感だ。号令・命令でなく、出社したくなるような環境を企業は整えないといけない。三井不動産・植田俊社長も「行きたくなるような街づくりを進める」という趣旨の話をしていたのを思い出した。
見月氏
デザインウォール
1階「CORDs(Crossover Design salon)」
1階「CORDs(Crossover Design salon)」
デジタルアート
2階アート
2階執務室エリア
2F minä perhonen と協働した WEB BOOTH
2階PJエリア
2階Quiet standing
◇ ◆ ◇
同社は昨年8月、芥川賞作家の小川洋子さんを本社に招き、小川さんの作品「ことり」(朝日新聞出版)の朗読会を行ったと聞いた。会場は前述した「CORDs」で、見月氏があいさつし、Nさんがナビゲーターを務め、小川さんが朗読したのだという。
小川さんが芥川賞を受賞したのは1991年で、作品は「妊娠カレンダー」(文藝春秋)だ。Nさんにも小川さんにも申し訳ないが、記者はその翌年、丸山健二「千日の瑠璃」(1992年、文藝春秋)に出会ってから、他の小説をほとんど読まなくなった。丸山文学に触れると〝中毒〟になる。ほかの小説を読むのはばかばかしくなる。
女性作家で名が浮かぶのは、大好きな宮尾登美子(「櫂」もいいが「岩伍覚え書」が最高にいい)と、記者と同世代の小池真理子(本人が両性具有と言っているように男性の性愛が描ける稀有な作家)だ。よく読んだのは野上弥生子、宮本百合子、佐多稲子、金子みすゞ、林京子、杉本苑子、津村節子、角田光代、高樹のぶ子、高村薫、桐野夏生、笙野頼子(記者の高校の同窓生)あたりまでだ(1982年、59歳のとき自死した江夏美好の「下々の女」、吉永小百合さんが主人公になった中里恒子の「時雨の記」はとてもいい)。小川さん(62)のような若い方(受賞時29歳)の作品は生理的に受け付けなくなっている。例外は最近では西加奈子さんくらいか。男性作家も同じだ。
先の朗読会は定員25名に対し200名の応募があったため、同社は落選した人も視聴できるようYouTubeにアップした。
そのURLを送ってもらったので視聴し、「ことり」を図書館で借りた。400字にして487枚。ストーリ-は、兄を、母を、父を相次いで亡くして独り暮らしになったおじさん(50代半ばか)が「ことり」(メジロ)の世話をするようになり、やがて自らも「ことり」に看取られながら人生の幕を閉じるという、ごくありふれた家庭の日常を描いたものだ。
パラパラとページを繰っていたら、「(おじさんに)即座に老人は言った。『鈴虫は女性の皮脂を好むのでね。特に処女の脂を』」(166ページ)というくだりに出会った-朗読会のURLを視聴して、小川さんは冗談が通じない方だと思ったが、全然そうでないことが分かった。(小生は、モンゴルの馬乳酒を「処女の聖酒」と名付けた。「百年の孤独」の100倍は売れるはず)
この小説の主人公のほかに大きな役割を果たしているメジロだが、今は法律で捕獲も飼育も禁止されているが、記者の小さい頃はそんな法律はなかったので、面白いように獲れた。モチノキの樹皮をすりつぶして捕獲した。飼育も楽で、すぐ人に慣れた(スズメは鳥かごに入れると暴れ、竹ヒゴに体当たりしてほとんど〝自死〟した)。
実は、「千日の瑠璃」も障がい者の少年与一とオオルリの出会いから物語が始まる。小川さんと丸山さんに共通するのは〝人間に対する愛〟だ。小川さんの36作品が35か国で読まれていることなど全然知らなかったが、多分、すべての作品に「愛」が貫かれているからだろうと思う。(丸山文学はその逆に、外国語に訳されたものはほとんどないはずだ。理由はいろいろあるのだろうが、記者は、丸山文学は結構難解ですらすら読めるものではなく、短い文章に込められた意味は深く、それを他国語に翻訳するのはほとんど不可だと思っている)
同社オフィスのライブラリーには、小川さんが選本した「未来に残したい文学作品10選」も展示されている。V.E.フランクル「夜と霧」、武田百合子「富士日記」、川端康成「掌の小説」、清少納言「枕草子」、テネシー・ウィリアムズ「ガラスの動物園」、内田百閒「件」、フィリパ・ピアス「トムは真夜中の庭で」、谷崎潤一郎「春琴抄」、ジョン・スタインベック「怒りの葡萄」、宮沢賢治「銀河鉄道の夜」だ。
記者は、「夜と霧」もいいが、若い方にはクロード・モルガン「人間のしるし」、トマス・キニーリー「シンドラーズ・リスト」、大岡昇平「レイテ戦記」・「俘虜記」も是非読んでいただきたい。それと丸山健二。
三井デザインテック、本社オフィスのライブラリーで小説家 小川洋子氏が選本した「未来に残したい文学作品 10 選」を展示
ナグリ仕上げのドア
デザインウォール
デザインウオール
◇ ◆ ◇
取材後、記者の野球記事やこだわり記事も話題になり、双方で年間数十万件のアクセスがあり、こだわり記事でアクセス数が1万件を超える記事も少なくないと話した。検索が可能な2013年以降の「こだわり記事」で「三井デザインテック」「三井倶楽部」に触れた記事へのアクセス数で1万件超は2件ヒットした。約1万3,000件の「三田ガーデンヒルズ」と約1万件の「パークマンション三田綱町」だ。「コンドルが設計した『綱町三井倶楽部』」「横浜MIDベース タワー」などの記事へのアクセス数も数千件ある。
今回の銀座オフィスの記事は、見月氏から「1万件を超えますかね」と聞かれたが、残念ながらそれは期待できない。「こだわり記事」を読まれる方大半はマンション記事を期待されているのだろう。他は極端に少なくなる。今回は1,000件届くかどうかではないか。
しかし、記者はアクセス数を稼ごうなどとは全然思っていない。〝記事はラブレター〟-この記事を参考にして働きやすいオフィス環境を整える会社が1社でもあればうれしいし、デザイン会社に就職しようと考えている学生さんはぜひ三井デザインテックを加えていただきたい。オフィス内をメディアや一般に公開した住宅・不動産会社を記者は三菱地所、三菱地所ホーム、積水ハウス、旭化成ホームズくらいしか知らない。
ナグリ仕上げの両開きドア
1階「CORDs(Crossover Design salon)」
ニコライ・バーグマン氏の作品(1階)
雑草に見るフラクタル現象(東銀座で)
三井デザインテック新本社『CROSSOVER Lab』開設(2021/7/15)
第一園芸独自に考案したオフィス空間デザイン三井デザインテック新本社に採用(2021/8/11)
「ビニール(フェイク)はよくない」フラワーアーティスト ニコライ・バーグマン氏(2023/12/6)
坪1300万円でどうか旧逓信省庁舎跡地の三井&三菱「三田ガーデンヒルズ」(2022/4/30)
今日は丸山健二「千日の瑠璃《究極版》」(求龍堂)の主人公・少年世一の命日(2020/6/18)
もう一つのターナーを見た三井デザインテック綱町三井倶楽部でセミナー&懇親会(2019/11/20)
横浜市内最高単価520万円に納得三井不レジ「パークコート山下公園」が好調(2017/12/22)
ターナー発見椿姫乾杯の歌に「ブラヴォー」三井デザインテックセミナー・懇親会(2017/12/4)
わが意を得たり人工植物は販売促進に逆効果三井デザインテック調査研究(2017/9/25)
今度は横浜のど真ん中人気必至の横浜公社「横浜MIDベースタワー」(2016/1/28)
令和6年9月住宅着工 首都圏は持家、貸家、分譲とも増加
国土交通省は10月31日、令和6年9月の新設住宅着工統計をまとめ発表。総戸数は68,548戸(前年同月比0.6%減、5か月連続の減少)で、内訳は持家19,350戸(同0.9%減、34か月連続の減少)、貸家31,033戸(同4.4%増、先月の減少から再びの増加)、分譲住宅17,921戸(同7.0%減、5か月連続の減少)。分譲住宅の内訳はマンション7,651戸(同6.1%減、2か月連続の減少)、一戸建住宅10,110戸(同8.2%減、23か月連続の減少)。
首都圏の総戸数は前年同月比11.5%増で、持家(同0.9%増)、貸家(同20.8%増)、分譲住宅(同6.0%増)とも増加した。
首都圏マンションは、着工戸数3,657戸(前年同月比24.1%増)で、都県別は東京都1,602戸(同13.3%増)、神奈川県1,416戸(同82.0%増)、埼玉県291戸(同38.9%減)、千葉県348戸(同24.7%増)。1~9月は38,764戸(同3.1%増)で、都県別は東京都19,853戸(同0.3%減)、神奈川県11,325戸(同9.1%増)、埼玉県3,904戸(同4.8%増)、千葉県3,682戸(同2.4%増)。
アパートメントホテル5社が結集・怪気炎 市場規模は現在4,000室⇒30万室へ
左から北川氏、保坂氏、藤岡氏、橋本氏、大谷氏
アパートメントホテル事業を展開するコスモスホテルマネジメント、霞ヶ関キャピタル、セクションL、リクリエ、NSKRE(日鉄興和不動産)ホスピタリティの5社は10月29日、業界動向セミナーを開催し、既存ホテルが取りこぼしている海外からの中長期滞在利用に対応し、爆発的に拡大することが見込まれるインバウンド需要に応えていくとそれぞれ怪気炎を上げた。セミナーには、専門紙記者や同業関係者、投資家(企業)など約40名が参加した。
プレゼンテーションを行ったのは、客室数1,434室(2024年9月現在、以下同じ)のコスモスホテルマネジメント代表取締役社長・藤岡英樹氏、726室の霞ヶ関キャピタルHospitality and Culture Division Vice President・保坂賢太郎氏、224室のセクションL共同創業者/取締役・北川旭洋氏、269室のリクリエ取締役・橋本将崇氏、145室のNSKREホスピタリティ社長執行役員・大谷宗徳氏。それぞれ約10分間、各社の事業規模、特徴などについて語った。
◇ ◆ ◇
記者は「アパートメントホテル」が新しいホテルカテゴリーとして認知されるかどうかわからないが、選択肢が増えるのは結構なことだ。ラグジュアリーホテル、シティホテル、宿泊特化型、ビジネスホテル…などと峻別する定義はないはずだが、ラグジュアリーもシティホテルも宿泊特化型も多様なニーズを取り込むプランを最近は備えている。
もう一つ、注目しているのは三菱地所が外資と組んで展開しているフレキシブル賃貸住宅だ。定義は、月ぎめ家具付き賃貸住宅で、オンラインでの契約・契約期間の変更、申し込みから入居まで数日間、家具・家電・水道光熱費込みのオールインクルーシブル、24時間365日のトラブル対応、多言語によるサポートなどが特徴だ。業態としてはアパートメントホテルとそれほど変わらない。違いを強いてあげれば、宿泊・契約日数だろうが、フレキシブル住宅も契約日数を短縮することは容易なはずだ。三菱地所などは現在、1,000室規模の市場を2030年には約10倍の10,000室に拡大するとしている。
この他、外国人向けサービスアパートメント、シェアハウス、民泊、外国人留学生向け宿舎、サ高住などもあり、大混戦を展開するかもしれない。
◇ ◆ ◇
新型コロナが世界に蔓延し、わが国の2020年の訪日外客数は約412万人、2021年は約25万人、2022年は約383万人へ激減し、昭和の一桁時代に逆戻りした。コロナが猖獗を極めた2020年5月、アパホテルは「アパ直限定素泊まり2,500円プラン」キャンペーンを張り、業界のひんしゅくを買った。ホテルの身売り・倒産も相次いだ。コスモスイニシアがアパートメントホテル「MIMARUを立ち上げたときからずっと取材してきた小生は、藤岡氏がかわいそうで、会っても顔をそらし知らんぷりしたものだ。
あれから3~4年。不死鳥のようにホテル業界は復活した。どれほどすごいか、藤岡氏か示したデータを示そう。
アパートメントホテルに限らないが、「MIMARU」客室単価は、2019年比2.0倍の47,836円で、STRの1.4倍をはるかに上回っている。
コスモスイニシアの2025年3月期第一四半期決算の宿泊事業は売上高72億35百万円(前年同期比85.6%増)、セグメント利益23億32百万円(前年同期比179.1%増)を計上した。主力のレジデンシャル事業の売上高84億92百万円(前年同期比58.1%増)、セグメント利益2億79百万円(前年同期はセグメント損失4億45百万円)を利益面で上回り、全セグメント利益26億70百万円の大半を稼ぎ出している。
他社がオペレーションの効率化に力を入れているのに対し、同社が運営している27施設で働くスタッフは148人で、藤岡氏は「フレンドリーな顧客対応に力を入れている。リピーターが多いことに、その効果が表れている」と差別化を強調した。
藤岡氏
霞ヶ関キャピタル・保坂氏は「一般的なホテルは稼働率が40%以上でないと黒字化は難しいが、当社ブランドは徹底した省人化オペレーションによって20%でも黒字になる。運営客室数は2026年には2,000室に拡大する。アパートメントホテルは、アパ(約11万室)の3倍、約30万室の需要がある」と語った。
保坂氏
セクションL・北川氏は「当社は不動産、ホスピタリティ、テクノロジーを兼ね合わせているのが特徴で、GOP(営業利益)率は業界最高水準の60~70%。今後はゲスト同士が交流できる施設に力を入れていく」と話した。
北川氏
リクリエ・橋本氏は「当社は国内向けに力を入れてきた。オンラインで対応できるものは福岡オフィスで対応し、チェックインの内製化、テック、生成AIの活用を進めていく。リノベ企画も検討していく」と語った。
橋本氏
NSKREホスピタリティ・大谷氏は、前職が東急不動産だったことを明かし、「すでに11施設の用地を手当て済みで、5年後には1,000室体制、将来的には2,000室を目指す」と抱負を述べた。(大谷氏の話を聞きながら、どこかで聞いた声だと思っていたが、東急不動産の記念碑的マンション「ブランズタワー豊洲」の記者発表会で当時、東急不動産執行役員住宅事業ユニット首都圏住宅事業本部本部長として「即日完売を目指す」と語った方で、RBA野球大会にも出場したことがあるとか=記憶にないので選手としては活躍していないのではないか)
大谷氏
アパートメントホテル業界動向セミナー(新橋プレイス 4階 AP新橋Eルームで)
フレキシブル住宅市場現在3~4%⇒2030年には15%へ三菱地所イベント(2024/10/4)
「参入は歓迎。市場が育つ」MIMARU・藤岡社長アパートメントホテル勉強会(2023/3/9)
外国人に人気のホテルTOP20にコスモスイニシア「MIMARU」3施設(2019/8/9)
東急不ほか 全1,152戸の「豊洲」事業説明会に40名超の報道陣 〝愛〟に反応(2019/2/18)
高評価に驚愕コスモスイニシア7件目「MIMARU京都新町三条」に体験宿泊(2018/10/17)
〝骨太ニッチ〟アパートメントホテルで独走コスモスイニシア第一弾「上野」開業(2018/2/2)
小田急バス×ブルースタジオ なりわい賃貸第二弾「meedo(みいど)」開業へ
なりわい賃貸住宅「meedo(みいど)」
小田急バスとブルースタジオは10月26日、全13戸と店舗営業も可能なシェア店舗を備えた、なりわい賃貸住宅「meedo(みいど)」の上棟イベントに合わせて現地見学会・説明会を開催した。小田急バスが保有するバスターミナルに、ブルースタジオが企画・設計監理を行うプロジェクトで、2022年のグッドデザイン賞ベスト100を受賞した「hocco(ホッコ)」に続く第2弾。来春に開業する予定。
建設するのは、延床面積47.20~64.59㎡の店舗可の「あきない住居タイプ」3戸、50.20~53.80㎡の店舗可の「なりわい居住タイプ」4戸、延床面積50.20~59.20㎡の店舗不可の「なりわい住居タイプ」3戸、延床面積67.90~72.04㎡の「住居専用タイプ」3戸の合計13戸と、居住者だけでなく地域の飲食店営業も可能な23.45㎡のシェア店舗。すべての住居はUa値0.46の国際基準レベルの高性能で、4.3~25.25㎡の多目的に利用できる土間がついている。
地域レジリエンス機能として、施設のシンボルとなる井戸(深井戸)、ハイブリッド照明、かまどベンチ、マンホールトイレ、充電設備、防災ベンダーを整備する。
「meedo(みいど)」は、施設のコンセプトである〝水と人々の営み〟のシンボルである井戸を掘り、計画地の周辺は「絵堂(えどう)」集落であったことから歴史を継承するために名付けられた。
説明会でブルースタジオ専務取締役/クリエイティブディレクター・大島義彦氏は、「三鷹駅からバスで30分近くかかるバスターミナルの住宅地。遠いところだからこそ、生活の延長として自分を表現できるよう企画した。3年前に完成した『hocco(ホッコ)』では毎月のようにイベントを行い賑わっているように実績もある。究極の専門店になる」と語った。
物件は、JR中央線三鷹駅南口から「晃華学園東」行き小田急バス28分「晃華学園東」バス停隣接、または京王線つつじヶ丘駅北口から「深大寺」行き京王バス7分「晃華学園」バス停徒歩数分、調布市深大寺東町2丁目の第一種低層住居専用地域、第一・二種中高層住居専用地域に位置する敷地面積約1,774㎡、建物は木造2階建て延床面積約299㎡のA棟(住居5戸・店舗1軒)、延床面積約498㎡のB棟(住居8戸)。工期は令和6年5月~令和7年3月。事業主・貸主は小田急バス、建築設計監理はブルースタジオ、施工はジェクト。
左から小田急バス取締役不動産ソリューション部長・下村友明氏、同社取締役社長・早川弘之氏、大島氏
模型
なりわい賃貸住宅「meedo(みいど)」
◇ ◆ ◇
大島氏は、〝ターミナル〟〝終点〟〝終着点〟を何度も口にした。この言葉から受ける印象は、♭落ち葉の舞い散る停車場は悲しい女の吹き溜まり だから今日もひとり 明日もひとり…過去から逃げてくる♭奥村チヨさんの歌謡曲だろうし、記者は、同世代の破天荒な生き方をした大好きな作家の一人、白川道の「終着駅」を思い出しながら複雑な気持ちで話を聞いていた。
しかし、終点は始発点でもある。身振り手振りの大島氏の熱弁に、この「meedo(みいど)」は人生をリセットし、新たなスタートを切るターニングポイントになるのではないかと考えるに至った。「究極の専門店」とは言いえて妙だ。肩肘を張らず、自分らしい生き方ができる。13の物語を奏でるのではないか。
Ua値0.46の賃貸住宅など市内は言うまでもなく小田急線、京王線のバス路線を駆け巡ってもここしかないはずだ。井戸は、50m掘削してくみ上げるもので、大腸菌などは検出されなかったという。飲料水として利用するにはハードルは高そうだが、国分寺崖線の湧き水だろうから冷暖房としての役割を果たすのではないか。
大島氏
隣接地の生産緑地では柿がたわわに実っていた
2024年グッドデザイン賞 不動産各社が受賞 ブルースタジオ・はちくりはうす金賞(2024/10/16)
地域の歴史・文化を継承し、コミュニティ育む ブルースタジオ 練馬区「種音(たね)」(2024/5/12)
裏山の借景活かし 断熱等級6クリア ブルースタジオ 賃貸住宅「SUNKA(サンカ)」(2023/12/26)
爛漫の春満喫 「hocco(ホッコ)」イベントに1000名超 小田急バス×ブルースタジオ(20224/2)
雲散霧消した不動産流通推進センターに対する積年の疑問 「嫌悪施設」取材
約40年にもわたる積年の不審・疑問がこの日2024年10月25日、きれいさっぱり払しょくされた。こんなうれしいことはない。疑問とは、不動産流通推進センターに対する記者の考え方で、それが完全な思い違い、偏見であることが取材で分かったからだ。
取材とは、この日実現した「物流施設が嫌悪施設になっている」(資料参照)ことに関する取材だ。同センター教育事業部統括参事・金子雅生氏と同センター教育事業部専門次官兼開発課長・櫻井弘久氏は、物流施設を「嫌悪施設」と決めつける意図は全くなく、不動産取引を円滑に進めるためには、重要な事項の不告知、不実告知を定めた宅建業法第47条第1号ニの「宅地若しくは建物の所在、規模、形質、現在若しくは将来の利用の制限、環境…宅地建物取引業者の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの」については、事前に調査し、相手方に説明し、了解を得ることが必要と話した。
それともう一つ、同センターの前呼称「不動産近代化センター」を現在の「不動産流通推進センター」に変更した経緯を聞き(これは書かない)、記者が40年間にわたって抱き続けてきた不信感・疑問も雲散霧消した。
そればかりか、お二人は宅建士の最高位に位置付けられている「宅建マイスター」(現在約670人)事業を担当されており、今後「宅建マイスター」を取材するきっかけを与えてもらった。以前、「宅建マイスター」試験に挑戦したことがあるが、全然歯が立たなかった。「宅建マイスター」の頭脳がどうなっているのかとても興味がある。
◇ ◆ ◇
取材をお願いしたのは、今から6年前の2018年5月、当時の三井不動産常務執行役員ロジスティクス本部長・三木孝行氏(現、顧問)は大勢の記者団の前で「もはや物流施設は嫌悪施設ではない」と語った言葉が頭の中にこびりついているのと、現在、シンガポールに本拠を置く日本法人「日本GLP」が計画している昭島市の「昭和の森ゴルフコース」など約65haを含む81.5haにも及ぶ物流拠点「玉川上水南側地区地区計画」(素案)の行方が気になっているからだ。
この点については上段で書いた通り。考えないといけないのは物流業界だ。具体的な事実に基づき「物流施設は嫌悪施設ではない」ことを地域住民らに説明・証明する必要があるのではないか。施設で働く人はみんなエッセンシャル・ワーカーだ。
(添付資料)物流施設が嫌悪施設になっていることに関する取材のお願い
貴センターのホームページ「不動産相談」(掲載日:2016年2月、重要事項説明における「嫌悪施設」の調査範囲)では、「通常『嫌悪施設』と言われるものには、騒音や振動の発生、煤煙や臭気(悪臭)の恐れ、危険を感じさせる、心理的に忌避されるものなどがあるが、嫌悪施設の明確な定義はないと言わざるを得ない。嫌悪を感じるかどうかは個々人により判断が異なり、また、時代背景や技術の進歩により嫌悪感が薄れることもあり、一概に言えない。宅建業者はそれらを踏まえ、説明すべきかどうかの判断をせざるを得ない」としながら、<住宅地近辺における主な嫌悪施設>として、「騒音や振動の発生」生じさせる施設として「大型車両出入りの物流施設」を例示されています。
私も、物流施設は小規模なものを除き、建設が許可されるのは工業系用途地域のみなので「嫌悪施設」と理解していましたが、添付いたしました記事の通り、「物流施設はもはや嫌悪施設ではない」と語り、街づくり、地域共生に力を入れている事業者がいます。
そこで、「物流施設」を嫌悪施設から除外することはないか、除外するには何が必要かなどを取材形式でお聞きしたいと思います。
売上高、営業利益、営業利益率とも拡大・向上大和ハウス事業施設(物流)事業(2024/10/12)
◇ ◆ ◇
「不動産近代化センター」の呼称変更については2014年と2015年に書いた記事を添付する。次のように書いている。
「この呼称についてはもう30年も前から変更すべきという記事を書いてきたし、直接訪ねて呼称変更を〝お願い〟したことがある。(この日10月25日、2~3人の方に対応していただいたが、けんもほろろだったのを思い出した)
なぜか。当時、記者はデベロッパーを取材していたのだが、不動産業界に『近代化』なる言葉が付けられた公益法人があるのに驚いた。『近代化』なる言葉は歴史の教科書に出てくる『戦前』のことだ。『もはや戦後ではない』と経済白書が謳ったのは昭和31年だ。どうして昭和の50年代にもなって『近代化』をわざわざつけなければならないのか不思議に思った。
確かに『全国宅地建物取引業協会連合会』(全宅連)という会員数が約11万(当時約14万)を擁す、主に街の不動産会社などからなる業界団体があり、『前近代的』と思われる部分も少なくなかった。
しかし、それでも大手デベロッパーや大手流通会社は良好な街づくりや住宅供給を行っており、他の業種を含めトップランナーだと記者は思っていた。『近代化』などと言われると、自分自身が時代遅れの俗物と言われているような気がした。
そこで『近代化』が付された団体があるかどうか調べた。今でこそネットで検索できるが、当時は電話帳やらその他の刊行物を調べ、『近代化』が付いている団体は不動産流通近代化センターのほかには、昭和44年に設立された財団法人東京タクシー近代化センターしかないことを突き止めた。東京タクシー近代化センターは平成14年に『東京タクシーセンター』に呼称変更されているので、現在、『近代化』のついている団体は不動産流通近代化センターしかないはずだ。」
◇ ◆ ◇
以上の記事で書いているように、30年昔(当時)といえば、記者が業界紙の記者として働きだしてから数年経過したころだ。全宅連系の会社が主な事業とする賃貸管理業は、時代遅れの「礼金」なる商習慣にかじりつき、墨守していた(今でもそうだろう)。今は、外国人に「礼金」は通用しないはずなので〝room charge〟(飲食店などの「お通し」「突き出し」はそう呼んでいるのではないか)とでも説明しているのだろうか。
記者は幸か不幸か、全宅連担当になったことは一度もないが(マンション・建売住宅担当にしてもらうよう当時の編集長に直談判した)、「前近代的」な業界を取材することなどしたくなかったし、「俗物」にもなりたくなかったのは事実だ。
今でもそうだろうが、不動産業界紙は取材対象ごとに、例えば行政、大手デベロッパー、ハウスメーカー、流通業界、賃貸業、中小業界団体などに分かれており、しかも数年ごとに配置換えが行われる。これでは絶対自立した記者にはなれない。業界紙も変わらないといけない。
81.5haの物流「GLP昭島プロジェクト」敷地内に4.5haの樹林地開発に疑問の声も(2024/9/21)
「近代化」が消えた 近代化センターが「不動産流通推進センター」に名称変更(2015/4/20)
唯一残っていた「近代化」が消える 不動産流通近代化センターが名称変更(2014/11/4)
大成建設・三井不動産など わが国初の超高層ビル屋上に風力発電実証実験
大成建設とチャレナジーは10月23日、三井不動産の協力を得てわが国初の超高層ビルの屋上に垂直軸型サボニウス式風車「サボニウス式風車」を30階建て「横浜三井ビルディング」に設置し、2025年4月から実証に向けた実験を行うと発表した。
「サボニウス式風車」は、従来の水平軸型プロペラ式風車「プロペラ式風車」には風車の風切り音や発電モーターの振動などの問題に加え、広い設置面積を要することや所定の風速や風向が安定しないと効率的な発電ができないことなどの課題があるのに対し、①装置の設置に必要な面積が小さく、軽量なため、設置場所の選定や組立が容易②全方位からの風を受けて24 時間連続で悪天候時でも発電が可能③低騒音・低振動で、バードストライクを回避可能-などの特徴がある。
チャレナジーは、東日本大震災に伴う福島の原発事故をきっかけに日本のエネルギー問題に着目し、次世代に安心安全なエネルギーを供給することをミッションに設立された。
ポラス 木造建築の研究・情報発信拠点「ポラステクノシティ」来春竣工
「ポラステクノシティ」(完成予想図)
ポラスグループは10月21日、吉川美南駅東口周辺地区土地区画整理事業地内で建築中の木造建築の研究・情報発信拠点「ポラステクノシティ」を2025年3月に竣工すると発表した。
「ポラステクノシティ」は、住まいに関する技術展示スペースと地域住民のふれあいの場としてのイベントスペースからなる「交流と学びの場」「事務所」としてのオフィス棟、開発現場を見学できる実験棟・研究棟、注文住宅のモデルハウス4棟で構成。3棟ともZEB数値を達成し、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)を申請する予定しており、BIM活用(国土交通省補助事業「建築BIM加速化事業」利用)により、完全ZEB により3棟合計で年間杉10,214本分、森林面積11.3ha分のCO2排出削減効果があるとしている。
オフィス棟・研究棟は、一般流通材と大断面集成材、住宅用の金物を使用。75分準耐火木造建築であるオフィス棟は環境省「建築物等のZEB化・省CO2 化普及加速事業」に採択されている。
実験棟は、3階建ての戸建住宅サイズを室内に納め、様々な住宅性能実験を行うため982.5㎡の空間に12000mmの天井高を実現。大断面集成材を使用するほか、高さ3550mmのCLT耐力壁3段重ね(総高さ12000mm)とする。
施設は、敷地面積約6,002㎡、オフィス棟(木造3 階建)は延べ床面積約2,236㎡、研究棟(木造3階建)延べ床面積約1,327㎡、実験棟(木造1階建)の延べ床面積約1,050㎡。この他、注文住宅モデルハウス4棟(体感すまいパーク吉川美南)。竣工予定は2025年3月頃。
オフィス棟内部
実験棟内部
研究棟内部